JP6230358B2 - 光学的距離計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光の照射により表面状態のプロファイルや細胞等の表面状態の計測や観察を極めて高い分解能で実現させる光学的距離計測装置に関し、顕微鏡等の光学機器の分解能を向上させ、かつ、レンズにより取得された欠落された空間周波数情報を正確に再現することにより行路差情報等の観察や計測を定量的に正確に行う装置に好適なものである。
従来の光学的顕微鏡では、回折限界以下の測定対象物を観測したり計測したりすることが出来なかった。これに代わるものとして、プローブ顕微鏡(STM,AFM,NFOS等)や走査型電子顕微鏡等が開発され、多くの分野で使われている。この走査型電子顕微鏡は、走査電子プローブとしてきわめて細いビームを用いているので、分解能が高く、焦点深度が光学顕微鏡に比べて著しく大きい。しかしながら、細胞のように導電性の低い測定対象物の観測には、測定対象物である試料に導電性のよい白金パラジウムや金をコートする必要性がある。このため、細胞自体の破損を伴うことが多く、当然のことながら生きたままの細胞を観測、計測することは、不可能であった。
また、プローブ顕微鏡は、測定対象物に対して近接して配置されたプローブをさらに接近させ、原子間力やトンネル電流、光近接場等を利用して、測定対象物との距離を計測するものである。しかしながら、プローブを高速に移動させることは困難であり、かつ、測定対象物との距離が非常に近いので取り扱いが難しく、さらに2次元的な情報を取得するまでに時間が膨大に必要であった。
この一方、従来の光学的な行路差を検出する手段としては、共焦点顕微鏡やデジタルホログラム顕微鏡等が知られている。
前者の共焦点顕微鏡は、測定対象物にスポットを照射しそのスポットに対してピンホールを介して共焦点位置に配置した受光素子にて受光した光量が最大になるように対物レンズ、または測定対象物を動かすことにより、測定対象物の高さ情報や行路差情報を取得していた。
また、後者のデジタルホログラム顕微鏡は、測定対象物に対して略平行なレーザー光を照射し、測定対象物で回折された光を対物レンズにて集光し、レファランスとなる平面波とCCD等のエリアセンサ上にて干渉させてホログラムを作成し、この干渉縞を計算にて解析することにより元の測定対象物からの波面を復元して、行路差情報を取得するものである。
ところが、前者の共焦点顕微鏡では、基本的にスポット内に位相分布があるとビームが変形し誤情報となる。特に測定対象物が細胞等の屈折率変化など波面が位相的に変化するようなものに対しては、その値の信頼性は乏しいと言わざるを得ない。また、受光した光量が最大になるように対物レンズや測定対象物を動かす必要性があるので、リアルタイム性に欠けている。
後者のデジタルホログラム顕微鏡では、対物レンズで回折された光を集光し、その波面を再生して情報としているが、対物レンズで集光できる空間周波数は、対物レンズのNAによりカットオフ周波数が制限されると同時に、DCからカットオフ周波数までほぼ線形に取得できる周波数は減少していくことになる。いわゆるMTF曲線がこれにあたる。
したがって、取得した波面情報は測定対象物が実際に有している空間周波数情報を全く正確に反映しておらず、誤った行路差情報を与えていた。
この一方、結像光学系の一部にフーリエ変換面を用意し、このフーリエ変換面に位相型の空間変調器を配置し、0次回折光に位相変調を加える方法も知られている。この方法は、下記特許文献2や非特許文献1、2に表されるように、0次回折光と1次回折光との間に90度ずつ相違する90度、180度、270度の位相差を生じさせた計4種類の画像をレンズの結像面に配置したCCDカメラで撮像し、この4種類の画像の相互の演算から光学的距離を計測する方法とされている。
しかしながら、この方法をベースにしたいずれの方法もレンズを用いて結像しているので、前記したようにレンズのMTFの特性を有しているため、空間周波数が高くなるにつれて情報量の欠損が生じる。この為、これらの方法では定量化した情報の信頼性が乏しいと言わざるを得ない。
また、0次回折光だけに位相差を生じさせることは実効的に不可能であった。なぜならば、0次回折光は測定対象物とされる試料からの変調を受けずに透過した光であるが、0次回折光の領域に重なった周波数の低い1次回折光などが0次回折光に含まれ、0次回折光と1回折光を実質的に区別できないからである。
さらに、4つの位相を変えた画像を取得するに当たり、空間光変調器の変調切り替えをする必要性があり、CCDカメラで取得した画像が時間的にずれた情報となっている。従って、比較的高速に変化するような過程の変化を正しく反映しているとは、言いがたかった。
他方、この画像が時間的にずれた情報となる影響をできるだけ少なくするために、0次回折光の広がりの周辺部付近のごく狭い領域で本方法を適用することが考えられる。このようにすれば、空間周波数の周波数依存性や0次回折光に含まれる1次回折光の影響を低減できる可能性がある。しかし、この場合には、極めて狭い範囲の光しか有効に取得できなくなるので、極めて光量が低下し、SN比の良好な情報とすることは困難となる。
また、細胞等を特定の波長による蛍光発色を行わせることにより、細胞等の化学変化を分析したいという要求も知られている。しかし、結像光学系においては本来、対物レンズによる開口制限がある為に、取り入れられる空間周波数に限界があると同時に、空間周波数のコントラストも周波数が高くなるにつれて線形的に漸減する。
この為に、周波数の高い構造部分で蛍光発色するとそのコントラストは低下してしまい、正確な濃度測定等を行うことは困難であった。
他方、距離を高精度に測定したり、微少なものを高精度に測定したり観察したりするには、へテロダイン干渉法がよく知られている。ここでは、光を用いた光ヘテロダイン法について述べるが、他の電磁波においても同様な考え方で実施されている。この光ヘテロダイン法は、周波数の異なる2つのレーザー光を干渉させて、その差の周波数のビート信号を作成し、このビート信号の位相変化を波長の1/500程度の分解能で検出するものである。つまり、この光ヘテロダイン法によれば、表面の高さ方向の変化を計測しつつ測定対象物までの距離を測定したり、被測定物自体を測定や観察したりできる。
そして、下記特許文献1の特開昭59−214706号公報には、音響光学素子を用いて異なる波長からなる2つのビームを隣接して発生させ、これら2ビーム間の位相変化を検出し、その位相変化を累積して表面プロファイルを得る方法が開示されている。ただし、この特許文献1は、ビームプロファイルよりも僅かに大きく2つのビームを近接させ、2つのビームプロファイル内の平均的な位相差をヘテロダイン検波で検出して、順次積分することにより、凹凸情報を得るものであった。
従って、この特許文献1によれば、半導体ウェハーのようなフラットであることが前提となるような測定対象物に対して、その凸凹情報を計測することは出来たが、ビームプロファイル内の情報を引き出すことはできなかった。このため、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることは出来なかった。
この一方、従来よりDPC(Differential Phase Contrast)法と呼ばれる手法が知られている。これは、最初Dekkers and de Langにより電子顕微鏡に適用された技術であり、その後、Sheppard and Wilson等により光学的顕微鏡への拡張がなされた技術である。このDPC法は、試料に照射された電磁波に対してファーフィールドであって、電磁波の照射軸に対して対称に配置されたディテクタ同士で検出した0次回折光と1次回折光との干渉の結果の差動信号を求めることにより、試料のプロファイル情報を得るものである。しかし、このDPC法も空間周波数が高くなると、これら0次回折光と1次回折光とが干渉できなくなり、その空間周波数が再現されない結果として、測定ができなくなることがあった。
つまり、電磁波を用いた一般的な装置類を含め、従来の電磁波を用いた結像型の顕微鏡においては、アッべの理論の限界とされる分解能を超えることはできなかった。この限界は、波動の有する回折現象の結果であり、越えることの出来ない理論限界とされていた。したがって、光学顕微鏡はもとより、電子顕微鏡においても使用している実質的な波長による限界を打破することは困難であった。
また、結像光学系を基にした従来のさまざまな顕微鏡では、レンズの開口制限により、取得できる空間周波数が制限を受けると同時に、空間周波数が高くなるにつれ、試料のコントラストが漸減していた。この為、位相情報等の行路差情報や蛍光発色により濃度情報を正確に取得することは困難であった。
特開昭59−214706号公報 特表2007−524075号公報
Opt.Lett.29(21),2503-2505(2004) Opt.Exp.19(2),1016-1026(2011)
以上のように、従来のヘテロダイン検波を用いた距離測定器においては、与える電磁波の波長以下の分解能で、距離を測定することは出来なかった。従って、電磁波の照射領域を波長以下に小さくしても、波長と同程度以上の領域の平均的な距離を算出することしか出来なかった。
同じように従来のヘテロダイン検波を用いた光測定器においても、半導体ウェハーのようなフラットに近いものを主な測定対象としていた。このため、面内の分解能を高くするには、電子顕微鏡やAFM(原子間力顕微鏡)等の近接場を用いざるを得なかった。
しかし、電子顕微鏡に関しては、特に生物や細胞等に対して加工処理する必要性があるので、生きたままの観察や屈折率分布の測定は不可能であった。他方、AFMは、処理速度が十分でないことから、リアルタイムに状態の変化を見ることが出来ないので、生物、細胞の観測には不向きであり、また、測定対象物に対してプローブを近接させなくてはならず、使い勝手も悪かった。
ここで、結像光学系を用いた従来の顕微鏡における対物レンズのOTF特性について、以下に説明する。
結像光学系を用いた従来の顕微鏡においては、対物レンズにて捉える対称物の空間周波数の1次回折光の成分と0次回折光の成分とが干渉して像形成を行う。このため、レンズの開口に1次回折光が入射されないと、その空間周波数は再現されないことになる。他方、低い周波数から高い周波数に至るにつれてその1次回折光の回折角は次第に大きくなるので、レンズに入力される1次回折光の量が減っていくことになる。その結果として、1次回折光が入力されない周波数がカットオフになり、低い周波数から高い周波数に至る途中で、変調度が次第に落ちていくようになる。
以上が対物レンズのOTF特性である。したがって、結像系においては対物レンズに入力される1次回折光には自ずと限界があるので、再現される測定対象物の空間周波数に関連して分解能も自ずと限界があることになる。
他方、前記したデジタルホログラム顕微鏡のように、対物レンズを使って結像させるような光学系においては、測定対象物により回折されたレーザー光は、開口の大きさに制限のある対物レンズに入射した時点で、このレーザー光の有する空間周波数の一部が欠落した情報となっている。すなわち、空間周波数が高くなるほど、対物レンズに入力される空間周波数は徐々に低下する。このために、レファランスの波面と干渉させて作ったホログラムは、測定対象物の有する本来の情報を反映していない。この結果、計算にて再生した行路差情報は全くの誤情報となっている。
以上の定性的な説明を定量化して、以下に詳細に説明する。
図17のように開口半径がaで焦点距離がfの対物レンズ31に平行光束が入射しているとする。なお、図17においては、照射光軸を光軸L0で表し、この光軸L0に対して角度Θだけ傾く傾斜光軸を光軸L1で表している。通常の結像を用いた顕微鏡では、図17のように光束が試料Sを透過する透過型となるが、光束が試料Sで折り返される反射型として考えてもよい。また、式を簡単にするために、1次元の開口として扱う。
また、簡単のために試料Sが高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとする。すなわち、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2π(h/λ)sin(2πx/d)・・・・・(1)式
試料Sから回折された光の振幅Eは、焦点距離fだけ離れた面において、(1)式のフーリエ変換とレンズの開口とのコンボリューションとして、与えられるので、以下のように表される。ただし、(1)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は、±1次まで取るものとする。
Figure 0006230358
ここで、(2)式のフーリエ変換が結像に寄与する。
したがって、強度Iは下記(3)式のようになる。
Figure 0006230358
この式の意味するところは、d=λf/2a=0.5λ/NAより小さいピッチの情報は欠落するということである。これは、矩形開口のビーム径(sinc(ka)=0の最初の暗環半径wは、ka=πを満たすので、w=0.5λ/NAとなる )と一致する。また、d>0.5λ/NAでもdが小さいほど変調度が低下することを意味している。これを1/dの空間周波数と変調度との関係を示せば、MTFとなっている。ただし、位相情報を単に結像しただけでは、コントラストを有した像形成はされることはなく、位相差顕微鏡のように0次回折光に位相遅れを生じさせる光学素子等を用いてコントラストを生じさせるような手段が必要である。
以上に示したように、通常の結像光学系では、対物レンズ31のNAによって再現される空間周波数のリミットは、必然的にd=λf/2a=0.5λ/NAとなり、この値よりも小さいものは、どのようにしても再現されないことになる。これに伴って、対物レンズにより情報を取得するデジタルホログラム顕微鏡を含む従来の光学顕微鏡では、正確な強度情報や行路差情報を取得することはできなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る光学的距離計測装置は、測定対象物に光束を照射する光源と、
この光束が入射されるのに伴い測定対象物で回折されて生じた0次回折光および1次回折光を含む光束を2つの光束にする分離素子と、
分離素子により分割された一方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を遅延させる第1の遅延素子と、
第1の遅延素子で一部遅延した0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態で、2つの部分に分けて検出する一対の分割受光素子を備えた第1の受光素子と、
分離素子により分割された他方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を第1の遅延素子と異なる位相で遅延させる第2の遅延素子と、
第2の遅延素子で一部遅延した0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態で、2つの部分に分けて検出する一対の分割受光素子を備えた第2の受光素子と、
第1の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号間及び、第2の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号の和や差の出力値を検出する出力和差検出部と、
を含む。
請求項1に係る光学的距離計測装置の作用を以下に説明する。
本発明においては、測定対象物に光源から照射された光束が測定対象物に入射されるのに伴い回折されて、0次回折光および1次回折光を含む光束が出射される。分離素子がこの光束を2つの光束に分割し、分割された一方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を第1の遅延素子が遅延させる。そして、0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態として、第1の受光素子の一対の分割受光素子がこの状態の光を別々に検出する。
他方、分割された他方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を第2の遅延素子が第1の遅延素子と異なる位相で遅延させる。そして、上記と同様に0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態として、第2の受光素子の一対の分割受光素子がこの状態の光を別々に検出する。
さらに、出力和差検出部が、第1の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号間及び、第2の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号の和や差の出力値を検出する。
従って、本請求項によれば、2種類の受光素子の各一対の分割受光素子で位相の相違した各状態の光を検出することで、光学的距離を定量化するとともに、さらに、これらの情報を電気的に適切に増幅可能となる。このことから、レンズのMTFの特性を考慮して、電気的に適正に周波数フィルタリングを行い、情報量の欠損が生じさせないようにすることで、定量化した情報の信頼性が高くなる。
また、ヘテロダイン検波もしくは変調周波数自体の分析により、空間周波数の情報を電気的な周波数に変換できるので、計4つの位相の相違した情報から、0次回折光の領域に重なった周波数の低い1次回折光を、0次回折光から区別できる。
さらに、計4つの分割受光素子で相互に位相の相違した画像を同時にそれぞれ取り込めるので、画像が時間的にずれた情報とならない。このため、比較的高速に変化するような過程の変化を正しく反映した情報が得られる。これに伴って、光量の低下が抑えられてSN比の良好な情報となる。
以上をまとめると、本発明が適用された顕微鏡では、非常に高い面内分解能を有し、さらに2次元走査を一度行うことで、高さや屈折率分布を測定することが出来るので、生きたままの細胞やマイクロマシンなどの状態変化などの3次元計測をリアルタイムに行うことができる。このため、従来の2次元情報を取得し、3次元方向に積算していくようなレーザー走査型共焦点顕微鏡などとは比較にならない大きな特徴を有することとなる。
さらに、本発明を透過型の顕微鏡に適用した場合、生物や細胞を生きたままかつ蛍光着色せず高い分解能で観察、計測できる。このため、細胞等を不活性化して計測する電子顕微鏡にはない大きな特徴を有することとなる。
以上より、本発明によれば、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損のない光学的距離計測装置が提供されるようになる。
以下に請求項2から請求項6に係る光学的距離計測装置の作用を説明する。
請求項1の分離素子が、傾きを有した傾斜光軸上に配置され、また、0次回折光および1次回折光を含む光束を平行光束とするレンズおよび、これら2つの光束に分割するビームスプリッターにより構成されることで、0次回折光および1次回折光を含む光束を確実に分割可能となる。
請求項1の第1の遅延素子及び第2の遅延素子が、1/4波長板或いは1/2波長板とされ、或いは回折格子とされて、光束の位相を90度或いは180度遅延させることで、計4つの位相の相違した情報を確実に作り出せることになる。さらに、第1の遅延素子と第1の受光素子との間および、第2の遅延素子と第2の受光素子の間に、ロンボイドプリズム等のプリズムがそれぞれ配置されていることで、受光素子で0次回折光及び1次回折光を検出する前に、これら回折光とを確実に干渉させることができる。
上記に示したように、本発明の光学的距離計測装置は、面内の分解能が高く、しかも面外において高さや屈折率分布に対する分解能が高く、また、通常の結像光学系では取得不可能な空間周波数を取得して測定対象物の有する空間周波数情報を正確に再現することで、実効上分解能が高く空間周波数の欠損がなく光学的距離を定量的に算出できるという優れた効果を奏する。
また、各受光素子で検出された信号の周波数は空間周波数に対応しているので、レンズのMTF曲線に対応して周波数の増幅度を変化させることで、試料の有する空間周波数を正しく反映した行路差情報を取得することができる。さらに、試料の有する微細部分の行路差情報や強度情報を観察したい場合には、電気的な高周波の強調を行うことで、空間周波数の高周波領域の強調を行うことができる。
さらに、ヘテロダイン方式との融合により、位相変化および強度変化をきわめて精度よく検出することができる点と、受光素子で受光される光が非常に微弱でも検出回路系のゲインを高くすることで、高精度に検出できる点と、検出される信号は変調信号だけなので、外乱光の影響を受けることもなくなる点から、さらに高精度な検出ができる。このことから、非常に微弱でコントラストの低い位相情報やわずかな屈折率変化に対しても非常に高い分解能で観察、計測することが可能となる。
本発明の光学的距離計測装置に係る実施例に適用される光学系のブロック図である。 図1の対物レンズおよび測定対象物周辺部分を拡大して示す図である。 図1の光学系における測定対象物上における光照射領域を表す説明図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例に適用される他の光学系のブロック図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例1を示す光学系のブロック図である。 実施例1における分岐された一方の光路の光束と遅延素子43Aの関係を示す図であって、光束を構成する半円ビームBA、BBを相互に離して表示した図である。 実施例1における分岐された他方の光路の光束と遅延素子43B、43Cの関係を示す図であって、光束を構成する半円ビームBC、BDを相互に離して表示した図である。 図6に示す半円ビームBAと半円ビームBBとを平行シフトして合成した状態を表示した図である。 実施例1における位相ピッチdが0<λf/d<a/2の場合の0次回折光エリアと±1次回折光エリアを示す模式図であって、(A)は0次回折光J0を示し、(B)は1次回折光J1を示し、(C)は−1次回折光-J1を示す。 実施例1における各回折光の重なり方を示す図であって、(A)は0次回折光J0をシフトした状態を示し、(B)は1次回折光J1の一部をシフトした状態を示し、(C)は1次回折光J1の他の一部をシフトしない状態を示し、(D)は−1次回折光-J1をシフトした状態を示す。 本実施例の特性曲線を表すグラフを示す図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例1の変形例を示す光学系のブロック図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例2を示す光学系のブロック図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例3を示す光学系のブロック図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例4を示す光学系のブロック図である。 本発明の光学的距離計測装置に係る実施例5を示す光学系のブロック図である。 通常の結像光学系の原理を説明する原理図である。
以下に、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例1から実施例5を各図面に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例に適用される光学系の概念を以下に説明する。
光源から出射されたレーザーのようなコヒーレントな光を、第1の手段である音響光学素子や空間変調器により実質上2つの異なる周波数の光に変調させる。この時、例えば音響光学素子を用いると、この音響光学素子の表面弾性波と光の相互作用により、回折縞が変調を受ける。ドップラーシフトを受けた光は、周波数変調を受けるとともに、±1次の回折光となって出射される。他方、空間光変調器を用いる場合には、この空間光変調器に書き込んだ回折縞を変調させることでも、同様な効果をもたらす。
このようにして、周波数変調を受けた光が相互に近接した2つの光に分離されつつ第1の手段から出射される。この2つの光を第2の手段である瞳伝達光学系や2次元走査デバイス等により2次元に走査し、第3の手段である対物レンズ等で試料に照射させる。この試料から離れた位置であって、2つの光の分離方向に沿って2以上に分割されて配置された受光素子を第4の手段とする。この受光素子が、試料から反射し、あるいは試料を透測定対象物G1過した光を、2つの光の分離方向に対して略垂直な方向に伸びる境界線を挟んだ光として、それぞれ受光する。
この様にして受光素子で受光された光は光電変換される。前記の境界線を挟んだ各領域に関して第4の手段の受光素子で光電変換された各々の電気信号の周波数に応じて第5の手段が増幅度を変化させつつ、増幅する。
そして、この第5の手段である信号比較器において2つの光の分離方向に対して略垂直な方向を境界線とし、この境界線を挟んで対称な位置にある各々の出力の差信号または和信号を作成する。この差信号または和信号を第6の手段であるデータ処理部においてヘテロダイン検波することにより、位相差の検出をし、あるいは強度差の検出をする。
この検出された位相差や強度差は、反射の場合には試料表面のプロファイルの高さ情報を示し、透過の場合には厚みや屈折率分布等の情報、すなわち、行路差情報を示す。この際、図3に示す光の照射領域A,Bを対物レンズで絞った回折限界スポット径と考えればよい。
以下、本光学系の動作原理について詳細に説明する。
図3に示す2つの光の照射領域A,B間の中心距離Δxをこれらの光が有する回折限界以下に設定したとする。この場合、各々の光の照射領域A,Bは、アッべの理論の回折限界以下にはならないが、わずかにずらした各々別の周波数の光であるため、これらの光をヘテロダイン検波することにより、微分情報を取得することができる。この時、2以上に分割されて配置された各受光素子の和信号を用いると、実質的に光学顕微鏡の一種の微分干渉顕微鏡と等価になり、これらの差信号を用いると、微分干渉顕微鏡よりはるかに高い横分解能が得られる。
簡単のために1次元で考える。まず、微生物等の試料である測定対象物G1のプロファイルd(x)の位相分布をAejθ(x)とおく。ここで、θ(x)=2πd(x)/λである。本光学系のように反射の場合には、行路差は2倍になるので、観測されるθ(x)の半分を高さ情報とすればよい。
上記のように測定対象物G1上での2つの光の照射領域A,B間の中心距離をΔxとし、光の複素振幅分布をu(x)とする。この場合、測定対象物G1に対して十分離れた場所では、測定対象物G1のプロファイルとビームプロファイルの積のフーリエ変換となる。
本光学的距離計測装置においては、一方の受光素子で受信される光は、ej(ωc-ωm)tで変調を受けていることになり、中心距離Δxだけ離れて配置された他方の受光素子で受信される光は、ej(ωc+ωm)tで変調を受けていることになる。
従って、各受光素子上の複素振幅分布Eは、以下のようになる。
E=∫(Aejθ(x) u(x)ejkxdx・ej(ωc-ωm)t+Aejθ(x+Δx) u(x)ejkxdx・ej(ωc+ωm)t
これら各受光素子により強度Iの検出を行うと、I=EE*、さらに、2ωmのヘテロダイン検波を行うので、以下の(4)式のようになる。
I(k)=A2∫ej(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x') ejk(x-x')dxdx'e-j2ωmt
+A2∫e-j(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x') ejk(x-x')dxdx'ej2ωmt・・・・・(4)式
そして、2つの光の重なっている照射領域A,Bのほぼ中心を図2、図3の境界線Cとし、この境界線Cを挟んだ位置であって、各々の照射領域A,Bの分離方向に沿った位置に対応して2つの受光素子を測定対象物G1から離して配置する。ここでまず、2つの受光素子で受信した信号の和信号がどのようになるかを考える。測定対象物G1から離れた位置では、フーリエ変換面であると考えられるので、受光素子で受信できる最大空間周波数をKmaxとすると、和信号では強度Iが下記式から求められる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は-KmaxからKmax)
=A2∫cos(θ(x)−θ(x'+Δx')−2ωmt) u(x) u(x')sin(Kmax(x-x'))/(x-x')dxdx'
受光素子を大きくして広い空間周波数まで受信するように配置すると、
sin(Kmax(x-x'))/(x-x')=Kδ(x-x')となるので、以下の(5)式のようになる。
I=A2∫cos(θ(x) −θ(x+Δx) −2ωmt) u(x)2dx・・・・・(5)式
すなわち、2つの光の分離位置の位相差を光のプロファイルのウェイトで積分したことになる。
(5)式を変形すると下記の式を得る。
Iq=A2∫cos(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx・cos(2ωmt)
Ii=A2∫sin(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx・sin(2ωmt)
従って、直交変換により、観測される位相差Θは以下の(6)式のようになる。
Θ=tan-1(∫sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx)・・・・・(6)式
この一方、2つの受光素子の差信号を考えると、和信号の場合と同様にして下記の式が得られる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は0からKmax)−∫I(k)dk(積分範囲は−Kmaxから0)
=A2∫sin(θ(x)−θ(x'+Δx')−2ωmt) u(x) u(x')( cos(Kmax(x-x')-1)/(x-x')dxdx'
受光素子を大きくして広い空間周波数まで受信するように配置すると、
(cos(Kmax(x-x')-1)/(x-x')=δ'(x-x')+1/x(δ(x)-1)となるので、下記(7)式のようになる。
I=A2∫d/dx(sin(θ(x)―θ(x+Δx)―2ωmt) )u(x)2dx・・・・・(7)式
さらに、この(7)式を変形すると、下記のようになる。
Iq=A2∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・cos(2ωmt)
Ii=−A2∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・sin(2ωmt)
従って、直交変換により観測される位相差Θは以下の(8)式のようになる。
Θ=tan-1(−∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx))u(x)2dx)・・・・・(8)式
ここで、(6)式と(8)式の比較を行う。定性的には、以下の点がわかる。
まず、(6)式では、照射領域A,Bの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差をu(x)の重み関数で、平滑化した結果として得られる位相差を示しているので、照射領域A,B内の平均的な位相差を示している。これは、微分干渉顕微鏡と等価な処理である。
他方、(8)式では、照射領域A,Bの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差の微分に対して、u(x)の重み関数で平滑化しているので、おおよそ元の関数を復元していることになる。
従って、照射領域A,Bの分離度に相当する横分解能で、位相差情報および位置情報を取得することが可能となる。
ここでは、2つの受光素子を配置した場合を記述したが、照射領域A,Bの重なった領域の中心付近に、2つの光の分離方向に沿って複数の受光素子を測定対象物G1から離して配置した場合も同様になる。特に、差出力を得る場合には、照射領域A,Bの重なった部分の中心付近に対応して配置した複数の受光素子のうちの、対応する複数の受光素子間同士で差演算を行うようにすれば良い。
また、複数の受光素子の和出力だけを用いるのであれば、実質上1つの受光素子を用いることで、同様のことが実現できることになる。
尚、説明を簡単にするために取得する空間周波数が広い場合を想定して式を簡略化したが、取得できる空間周波数が大きくない場合には、式中のδ関数の部分がコンボリューションになるだけで、本質的に分解能が向上することに変わりはない。この場合には、測定対象物G1のプロファイル等に多少のボケが生じることになる。
上記説明においては位相に関して詳述したが、強度についても同様なことが言える。特に、照射領域A,Bよりも小さいプロファイルの変化に対しては、照射されている領域のフーリエ変換の0次回折波と1次回折波との干渉により形成された干渉縞のファーフィールドにおけるパターンが2つの受光素子で異なる。このため、受光素子の差信号はプロファイルの傾きに反映した強度差となってあらわれる。
以上述べたように、ヘテロダイン検波を用い、フーリエ変換面にて空間周波数情報を処理することにより、特に差演算では非常に高い横分解能の向上をもたらすことができる。
すなわち、光電変換されたそれぞれの信号の和信号に基づくヘテロダイン検波では、2つの光であるビームの中心距離だけ離れた2点間の位相差をu(x)の重み関数で平滑化し、この結果として得られる位相差を示している。このため、この和信号に基づくヘテロダイン検波は、ビーム内の平均的な位相差を示していることになるが、これは微分干渉顕微鏡と等価な処理である。
この一方、光電変換されたそれぞれの信号の差信号に基づくヘテロダイン検波では、ビームの中心距離だけ離れた2点間の位相差の微分に対して、u(x)の重み関数で平滑化しているので、おおよそ元の関数を復元していることになる。
以上より、ビームを瞳伝達光学系により走査した場合、ビーム分離度に相当する横分解能で、位相差および位置情報を取得することが可能となる。
上記においては、光軸を境界線として2分割された受光素子を適用した場合を記述したが、ビームの分離方向に沿って複数の受光素子を試料から離して配置した場合も同様になる。特に、差出力を得る場合には、境界線を挟んで隣り合う受光素子間同士で行うようにすれば良い。また、複数の受光素子の和出力だけを用いるのであれば、実質上1つの受光素子を用いることで、同様のことが実現できることになる。特に、和出力の場合、試料が吸収率や反射率の異なるような強度パターンとなっている場合には有効である。たとえば、対象物が細胞で染色されているような場合である。
そして、試料に関し、ビーム内にプロファイルの傾きがあれば、定性的には光が反射または透過する方向が異なるので、2つの受光素子に強度としての差出力が与えられる。具体的に説明すると、ビーム径よりも小さいプロファイルの変化があれば、光が照射されている領域のフーリエ変換の0次回折波と1次回折波との干渉により形成された干渉縞のファーフィールドにおけるパターンが、2つの受光素子間で異なる。このため、これら2つの受光素子の差信号は、プロファイルの傾きを反映した強度差となって表れることになる。
また、詳細は後述するが、対物レンズによる空間周波数はビームの走査と受光素子により電気的な周波数信号に変換しているので、対物レンズが本来有する空間周波数の漸減度を電気的な増幅度で修正することにより、対物レンズで取得できる空間周波数までは完全に復元することができる。
以下、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例に適用される光学系を図面を用いて具体的に説明する。
図1は、実施例に適用される光学系の装置の構成を示すブロック図である。この図1に示すように、レーザー光が出射される光源であるレーザー光源21と、AODドライバー24が接続されて動作が制御される第1の手段である音響光学素子(AOD)23との間に、コリメーターレンズ22が配置されている。
また、この音響光学素子23に対して、2群のレンズからなる瞳伝達拡大レンズ系25、入力されたレーザー光を2次元走査する2次元走査デバイス26、入力されたレーザー光を分離して出射する偏光ビームスプリッター27が順に並んで配置されている。但し、音響光学素子23に対して、瞳伝達拡大レンズ系25、ビームスプリッター27、2次元走査デバイス26の順に並べて配置しても良い。
さらに、この偏光ビームスプリッター27に隣り合って、2群のレンズからなる瞳伝達レンズ系30が位置し、この隣に対物レンズ31が測定対象物G1と対向して配置されている。つまり、これら部材が光軸Lに沿って並んでいることになる。他方、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であって偏光ビームスプリッター27の両隣の位置には、それぞれ光センサである受光素子28及び受光素子29が配置されている。
これら受光素子28、29が、これら受光素子28、29からの信号を比較する信号比較器33にそれぞれ接続され、この信号比較器33が、最終的にデータを処理して測定対象物G1のプロフィル等を得るデータ処理部34に繋がっている。
また、このレーザー光源21は、He-Ne等のガスレーザー、もしくは、半導体レーザー、固体レーザーであり、コヒーレントなレーザー光を発生する。このレーザー光をコリメーターレンズ22により平行光束にし、音響光学素子23に入射させる。このとき、レーザー光の入射ビーム径は、後段の瞳伝達拡大レンズ系25との兼ね合いより、絞り機構(図示せず)等を用いて適正化しておくことにする。さらに、この音響光学素子23には、AODドライバー24より、sin(2πfct)sin(2πfmt)のようなDSB変調信号が変調信号として加えられる。
この様な変調を行うと、fc+fmとfc-fmの2つの周波数変調が加えられたことになる音響光学素子23は、ブラッグ回折格子のピッチdに相当する音波の粗密波を発生する。すなわち、超音波の速度をVa、印加する周波数をfとすると、d=Va/fとなる。具体的には、この粗密波により、音響光学素子23に入射されたレーザー光であるビームは、±1次回折光に分離され、各々の回折光は周波数fc±fmの周波数で変調される。たとえば、音響光学素子23の材料としてTeO2が用いられるが、この材料の音速は、660m/sである。
キャリアー周波数の周波数fcとして40MHzを選択すると、d=16.5μmとなり、He-Neレーザーをレーザー光源21に用いた場合、回折角θは2.19791度程度の角度になる。図1においては、光軸Lが変化していないように図示してあるが、実際には音響光学素子23以降の光学系を回折角θだけ傾けておくか、2次元走査デバイス26にバイアスを付与して、回折角θの傾きを実効上与えておくことにする。
このキャリアー周波数に10KHz程度の周波数fmを加えると、±1次回折光はθ=2.19847度とθ=2.19737度となり、40.01MHzと39.99MHzでそれぞれ変調されることになる。この角度を維持したまま、対物レンズ31にレーザー光を入射させた場合、対物レンズ31の焦点距離を2mm、NA0.9とすると、ビームの中心距離は、0.6μm程度になり、この時の回折限界はw=0.857μmとなる。つまり、このように回折限界系よりもビームの分離度を小さくしておくことにする。
尚、ビームの中心距離であるビーム分離度をより小さくすれば、分解能を向上させることが出来るが、ヘテロダイン検波の周波数を低下させると、処理スピードが遅くなってしまう。この場合、より音速の早い音響光学素子を使用すれば、ブラッグの回折格子ピッチdを大きくすることが出来るので、処理速度を向上させることが出来る。実際、音速Vaが4.2E+3m/s程度のものも知られ、市販されている。
ここで、音響光学素子23と偏光ビームスプリッター27との間に配置されている瞳伝達拡大レンズ系25は、音響光学素子23の出射面位置を次の2次元走査デバイス26に共役に伝達するための光学系である。この瞳伝達拡大レンズ系25を通過した光は2次元走査デバイス26に送られるが、対物レンズ31の瞳位置に共役にする瞳伝達レンズ系30により、この2次元走査デバイス26からの光は、角度差を有した±1次回折光として対物レンズ31に入射する。
つまり、キャリア周波数fcと変調周波数fmの2つのDSB変調された信号を外部からAODドライバー24を経て、音響光学素子23に入力することで、きわめて接近したこれら2つの光束を作成することができる。
そして、上記のように音響光学素子23の実質的な瞳位置を2次元走査デバイス26の瞳位置に伝達する瞳伝達レンズ系25、光を面上に走査する2次元走査デバイス26および、2次元走査デバイス26の瞳位置を対物レンズ31の瞳に伝達するための瞳伝達レンズ系30を経て、対物レンズ31に、きわめて接近した2方向に出射された光束が入射される。
このようにして、図2の実線で示すビームLAおよび点線で示すビームLBのように、非常に接近して相互に同一径とされる2つのビームを得ることができる。
この結果として、対物レンズ31で収束された光束であるビームLA、LBは、きわめて接近された2つのスポットとして、測定対象物G1を面上に走査することになる。この2つのスポットは周波数fc+fmと周波数fc−fmの2つの信号となるので、これらの信号をヘテロダイン検波することにより、測定対象物G1の凸凹情報、屈折率分布を反映した信号が得られる。
また、これら2つのビームLA、LBの有する周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc±変調周波数fm」となる。2つの接近したビームの中心距離を上記したように回折限界以下に設定した場合、各々のビームは、アッべの理論の回折限界以下にはならないが、わずかにずらした各々別の周波数の光であるために、ヘテロダイン検波をすることにより、微分情報を取得することができる。さらに、図1に示す受光素子29を2分割以上の受光素子とする。そして、光軸Lを境界線として、この境界線を挟んでビームの分離方向に対して垂直な方向に暗線を有するように、これら受光素子を配置し、その和信号あるいは差信号より、ビート信号を取得させる。この時、和信号を用いると、実質的に微分干渉顕微鏡と等価になり、差信号を用いるとはるかに高い横分解能が得られる。
ここで、測定対象物G1に送られる光の性質について具体的に説明する。対物レンズ31で絞られた光は、図2に示すように近接した2つのビームLA、LBとなり、測定対象物G1に送られる。なお、ビームLAの複素振幅EaおよびビームLBの複素振幅Ebは、下記式のようになる。
Ea=Aexpj(2π(fo+fc+fm)t)
Eb=Bexpj(2π(fo+fc-fm)t+δ)
この複素振幅Ebの式のδは、ビームLAを基準としたビームLBの高さ方向の位相差を表わし、foは光の周波数を表す。なお、前述したようにこの2つのビームの間隔は、音響光学素子23に加えた変調周波数fmによって決定されるので、走査速度とは無関係である。
図1および図2に示す測定対象物G1で反射されたこの2つのビームLA、LBは、対物レンズ31、瞳伝達レンズ系30および偏光ビームスプリッター27を介して、受光素子29に導かれる。この受光素子29を2次元走査デバイス26の位置と共役な位置に配しておくと、2つのビームLA、LBは同じ位置に戻るので、2つのビームLA、LBの位相差δがビート信号として検出される。
すなわち、この受光素子29は図示しない光電変換部を有した構造とされているので、受光素子29上における2つのビームLA、LBの強度Iは、下記式に基づく値で受光素子29の光電変換部により検出され、信号比較器33に送られる。
I=(Ea+Eb)(Ea+Eb)*=A2+B2+2ABcos(2π*2fmt+δ)
これに伴い、図1に示す信号比較器33を用いて、周波数2fmのヘテロダイン検波の位相比較を行うことにより、位相差δを測定することができる。このようにして、位相情報を取得する。
ところで、受光素子29と偏光ビームスプリッター27を挟んで対向して配置されている受光素子28も図示しない光電変換部を有した構造とされている。そして、音響光学素子23で生じる回折光の入射ビームのビート信号がこの受光素子28に入射されて、受光素子28の光電変換部により検出される。つまり、音響光学素子23までに光学系等で生じた位相差を受光素子28の光電変換部により検出することになるので、この受光素子28は位相の基準を与える役割をしている。
この一方、前述のように受光素子29においては、ビームLAとビームLBの2つのビーム間の位相差情報を加えたビート信号が受光素子29内の光電変換部により検出され、信号比較器33に送られる。したがって、信号比較器33においてこの2つの位相比較を行うことにより、真の位相差δが検出されることになる。この真の位相差δは、ビームLAとビームLBの平均の位相差、すなわち、平均の高さhの差情報であるδh=λδ/4πとなる。ここで、λはレーザー光源21から出射されるレーザー光の波長を表す。
信号比較器33と接続されたCPUやメモリ等からなるデータ処理部34にこれらの情報を送り込めば、データ処理部34でこの情報を平面の走査情報とともに記録していき、測定対象物G1の表面のプロファイル情報を簡単に導くことができる。また、さらに高速なデータを取得するには、できるだけ音速Vaの大きい音響光学素子23を用いれば実現できる。
他方、本光学系において、ヘテロダイン検波を行うには、照射された変調信号の一部をビームスプリッター27で取り出して受光素子28でレファランス信号を得る。そして、このレファランス信号と2分割された受光素子29で検出された信号とで差動出力を求め、信号比較器33により位相差情報および強度情報を取得し、データ処理部34に送る。
データ処理部34では走査情報とともに取得された情報を画像やデータの形として、ディスプレイに表示したり、メモリにデータとして蓄積したりする。
ただし、受光素子28は必ずしも必要ではなく、音響光学素子23に出力する信号、 すなわち音響光学素子23に印加される信号自体と比較してもよい。この場合、回路系や音響光学素子等による遅延が発生するが、予め補正するなどしておけば、位相差検出等に大きな影響を与えることはない。
また、測定対象物G1の表面を面上に走査する極めて接近した2つのスポット光は、相互に周波数の異なる光となる。但し、実質上、瞳伝達レンズ系25、30等の拡大光学系を使用することにより、高い周波数でも極めて接近させたスポットにすることができる。これにより高速な走査により高速な情報取得ができることになる。
以上より、このような本光学系を用いれば、2次元走査を行うたびに3次元計測データを取得することが可能となる。このため、本光学系によれば、細胞や微生物の状態変化や表面状態の過渡的な変化等を、高速に観察、計測することができる。
この一方、このようにして得られた2つの光は、上記手法により分離度を非常に小さくすることができ、実質上1つのビームで走査した情報と変わらない。これに対し、一つのビームで走査し、ファーフィールドに配置した少なくとも2分割された受光素子の差動出力を得る方法が、前記したDPC法である。
つまり、DPC法に比較すると、このような本ヘテロダイン法をさらに使用した方法では、ヘテロダイン検出することにより、位相変化および強度変化をきわめて精度よく検出できる点と、受光素子29で受光される光が非常に微弱でも検出回路系のゲインを高くすることで、高精度に検出できる点と、検出される信号は変調信号だけなので、外乱光の影響を受けることもなくなる点とを有することから、さらに高精度な検出ができることになる。
また、製品化されている裸眼立体ディスプレイや偏光めがねを使用した3次元ディスプレイ等を用いることにより、3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。この際、2つのビームの重なりの程度をビーム径よりも小さくしてあるので、2つのビームの行路差はほとんど生じていない。このことから、外乱や振動の影響も2つのビームで同時に生じるので、これらの影響が相殺される。
他方、本光学系では、ビームの分離度を個々のビーム径よりも非常に小さくした例を示した。但し、変調周波数を高くすることにより、ビームの分離度が大きくなり、かつ、ビーム径程度の分離度が必要となる場合にも、本発明の光学系が有用であることになる。
尚、本光学系においては、2次元走査デバイスを用いた例で説明をしたが、単純な一方向だけのデータが必要なアプリケーションであれば、この2次元走査デバイスを1次元走査デバイスに置き換えても同様な効果が得られることになる。これらの1次元走査デバイスとして、ガルバノミラー、レゾナントミラー、回転ポリゴンミラー等を採用することができる。また、2次元走査デバイスは、上記した1次元走査デバイスをX方向用とY方向用の2つを用意し、瞳伝達レンズ系を介すことにより、実現できる。また、マイクロマシーンの技術を用いたマイクロミラーデバイスを用いても良い。このマイクロミラーデバイスとしては、1次元用、2次元用ともに知られ製品化されている。
以上述べたように、フーリエ変換面にて空間周波数情報を処理することにより、特に差演算では非常に高い横分解能の向上をもたらすことができる。また、前述したように強度差信号がプロファイルデータの高さを反映したデータであることも同様である。
本光学系は、前記説明で述べた反射光学系を透過光学系に置き換えた場合である。
図4は、本光学系に係る透過型の光学系を用いた装置を示すブロック図である。主要な光学系は前記光学系と同じなので説明を割愛するが、本光学系では、図4に示すように、対物レンズ31で集光された光が測定対象物G2を透過することになる。このため、受光素子49は測定対象物G2を挟んで対物レンズ31と反対側に配置されていることが特徴である。つまり、本光学系の場合、対物レンズ31の光軸Lの延長線上に2つのビームの分離方向に対して垂直方向に暗線が伸びる形で分割された受光素子49が配置されている。
以上より、本光学系によれば、反射型の光学系に比較し、測定対象物G2に近接して受光素子49を配置できるので、取得できる空間周波数を非常に高く設定することが可能となる。従って、近接した受光素子で得られる電気的な高周波の信号を、本光学系と同様に周波数により信号ゲインを変換することにより、MTF曲線をフラット化して計測に使用したり、高周波強調を行い、細胞等の屈折率変化や形状変化を強調したりすることができる。
特に、透過では、無染色、非侵襲で生きたままの細胞の状態変化をリアルタイムに観察できるので、IPS、ES細胞の正常かどうかの検査やがん細胞の有無検査等に大きな役割を果たすことができる。これは、電子顕微鏡のような高倍率であっても生体を殺した状態でないと観測できない測定器とは大きく異なる特徴である。このように、特に透過では受光素子を近接して配置することができるという大きな特徴を有する。これは、前述したように受光素子が一種のレンズと等価であるために、光学レンズでは不可能な空間周波数情報まで、取得できるということを意味する。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例1を以下に図5を参照しつつ説明する。この図5は、本実施例の光学的距離計測装置の構成を示す概略図である。
以下、説明を簡単にするために、変調しないDPC的な手法を用いて一つのビームによる位相取得方法について説明するが、ヘテロダイン信号を作成する音響光学素子や1次元または2次元の走査系を経て、きわめて隣接した2つのビームを作成するヘテロダイン法においても、同様に説明できる。
この図5に示すように、光を照射する光源であって半導体レーザーとされるレーザー光源21が、図示しない光学装置を介して対物レンズ31と対向して配置されている。このレーザー光源21から出射された光は、図示しないコリメーターレンズにより平行光となり、対物レンズ31に入射される。そして、対物レンズ31を透過した光が、透過物の測定対象物である試料Sに収束して照射される。
本実施例においては、図5に示すように試料Sを透過して回折された光束を平行な光束に集光するための集光レンズ36を0次回折光の光軸L0に対して傾斜して設置している。このことで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れることができる。つまり、本実施例においては、試料Sに照射された光が試料Sを透過するのに伴い回折されて0次回折光と1次回折光とになる。さらに、これら0次回折光の一部と1次回折光の一部とが、0次回折光と1次回折光との間の中間的な傾き角を有した光軸L3だけ傾けた状態の集光レンズ36に入射される。この集光レンズ36は実質的にフーリエ変換レンズであり、試料Sのフーリエ変換パターンがこの集光レンズ36により伝達される。
この集光レンズ36の下方の光軸L3上には、集光レンズ36から出射された平行な光束を右方向に分割するための分離素子であるビームスプリッター38が配置されている。そして、光束が直進して送られる光路B1とビームが直角に曲がって送られる光路B2とに、このビームスプリッター38により光束であるビームを2つの光路に分岐する。
光軸L3に沿った光路B1上には、ロンボイドプリズム39が配置されている。このロンボイドプリズム39の一面が半透鏡39Aとされ、この半透鏡39Aと反対の面が半透鏡39Bとされていて、それぞれの面を通過あるいは反射して光を受光する位置には、受光素子40、41が配置されている。これに対して、光軸L3に対して直交する光路B2上には、ロンボイドプリズム39と同様のロンボイドプリズム49が配置されている。このロンボイドプリズム49の一面が半透鏡49Aとされ、この半透鏡49Aと反対の面が半透鏡49Bとされていて、それぞれの面を通過あるいは反射して光を受光する位置には、受光素子50、51が同じく配置されている。
各光路B1、B2の光束の断面はそれぞれ円形とされるが、光路B1の光束を図5の紙面に対して垂直な方向で半分に分割した半円形の半円ビームBA、BBにそれぞれ分割する。同じく、光路B2のビームを図5の紙面に対して垂直な方向で半分に分割した半円形の半円ビームBC、BDにそれぞれ分割する。
ここで、半円ビームBA、BCは0次回折光の図5における進行方向の右側半分のエリアであるものの、低周波の1次回折光を含む。このエリアを以下、0次回折光エリアと呼ぶ。また、半円ビームBB、BDは1次回折光を含むエリアである。このエリアを以下、1次回折光エリアと呼ぶ。図6および図7は、2つに分岐された光路B1、B2のそれぞれの光束と遅延素子の関係を示す図である。図6に半円ビームBA、BBを相互に離して表示し、図7に半円ビームBC、BDを相互に離して表示してある。
光路B1の半円ビームBAの図6の上側半分(図6の下側半分でもよい)は、1/4波長板とされて第1の遅延素子でもある遅延素子43Aによりπ/2だけ位相が遅れた光を生じさせる。そして、半円ビームBAと半円ビームBBは、ロンボイドプリズム39の半透鏡39Aと半透鏡39Bにより平行シフトして、図8に示すように合成される。他方、光路B2の半円ビームBDの図7の上側半分は、1/4波長板とされて第2の遅延素子でもある遅延素子43Bによりπ/2だけ位相が遅れた光を生じさせる。また、半円ビームBDの図7の下側半分は、1/2波長板とされて第2の遅延素子でもある遅延素子43Cによりπだけ位相が遅れた光を生じさせる。そして、半円ビームBCと半円ビームBDは、同様のロンボイドプリズム49の半透鏡49Aと半透鏡49Bにより平行シフトして、同様に合成される。
上記したように遅延素子43Aが位置する半円ビームBAは0次回折光エリアであり、遅延素子43Bが位置する半円ビームBDは1次回折光エリアであるが、π/2の位相差を生じさせる遅延素子43A、43Bの位置関係を、相互に異なる回折光エリアであればどのように配置してもよい。また、遅延素子43Cは半円ビームBCの下側半分に位置してもよい。
ここで、ロンボイドプリズム39により合成された光路B1の半円ビームBA、BBは、第1の受光素子である受光素子40に送られる。また、ロンボイドプリズム49により合成された半円ビームBC、BDは、第2の受光素子である受光素子50に送られる。尚、この受光素子50はビームスプリッター38により分岐されたもう一つの光路B2における受光素子40に対応する受光素子である。他方、受光素子40は、紙面を境界として紙面垂直方向に2分割されている分割受光素子40A、40Bにより形成されている。つまり、受光素子40の上側部分を分割受光素子40Aとし、下側部分を分割受光素子40Bとする。同様に、受光素子50の上側部分を分割受光素子50Aとし、下側部分を分割受光素子50Bとしている。
以上より、受光素子40で受光される光束は、0次回折光エリアの半円ビームBAと1次回折光エリアの半円ビームBBが合成されたものである。これに伴い、0次回折光エリアの1/2π位相遅れの光と1次回折光エリアの光とを干渉させた光束の上側半分が、受光素子40の上側部分の分割受光素子40Aで受光される。一方、0次回折光エリアの光と1次回折光エリアの光とを位相遅れなく干渉させた光束の下側半分が、受光素子40の下側部分の分割受光素子40Bで受光される。
同様に、受光素子50で受光される光束は、0次回折光エリアの半円ビームBCと1次回折光エリアの半円ビームBDが合成されたものである。これに伴い、1次回折光エリアの1/2π位相遅れの光と0次回折光エリアの光とを干渉させた光束の上側半分が、受光素子50の上側部分の分割受光素子50Aで受光される。一方、1次回折光エリアのπ位相遅れの光と0次回折光エリアの光とを干渉させた光束の下側半分が、受光素子50の下側部分の分割受光素子50Bで受光される。
以上より、0次回折光エリアの光を基準とすれば、分割受光素子40Aでは1次回折光エリアの光が1/2π進んで受光され、分割受光素子40Bでは1次回折光エリアの光が同位相で受光され、分割受光素子50Aでは1次回折光エリアの光が1/2π遅れて受光され、分割受光素子50Bでは1次回折光エリアの光がπ遅れて受光される。
さらに、前述の分割受光素子40A、40Bや分割受光素子50A、50Bが、これら分割受光素子40A、40Bや分割受光素子50A、50Bからの信号を比較するための比較器7にそれぞれ接続されている。そして、この比較器7が、最終的にデータを処理して試料Sのプロフィル等を得るデータ処理部8に繋がっている。このため、比較器7及びデータ処理部8が、受光素子40の分割受光素子40A、40B間の出力和や出力差および、受光素子50の分割受光素子50A、50B間の出力和や出力差を検出する出力和差検出部とされている。
次に、このような干渉光がどのような情報をもたらすかを説明する。
説明を簡単にするために、試料Sが高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとすれば、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2π(h/λ)sin(2πx/d−θ0)・・・・・(9)式
試料Sから回折された光の振幅Eは、焦点距離fだけ離れた面においては、(9)式のフーリエ変換と対物レンズ31の開口とのコンボリューションとして、与えられるので、以下のように表される。ただし、(9)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は±1次まで取るものとする。
Figure 0006230358
この(10)式の振幅Eを有した光を集光レンズ36にて集光する。このとき、対物レンズ31の開口に対応する0次回折光の出射範囲内の角度である出射角度ξの位置に、図5に示す集光レンズ36の光軸L3があるように傾斜して集光レンズ36を配置する。
以下の説明を簡単にするために、光軸L3の傾斜角を出射角度ξに一致するようにするが、0次回折光J0が入射されれば、この角度よりも大きくても良く、小さくても良い。 このように光軸L3の傾斜角が変化すると、これに伴い、以下に説明するように0次回折光エリアが変わるので、0次回折光J0と1次回折光J1との干渉領域が変わるが、本質的には定量化の議論に影響を与えない。
以下、同様に説明を簡単化するために、集光レンズ36を対物レンズ31のNAと一致させる。但し、対物レンズの半径をa、焦点距離をfとする。図9は、位相ピッチdが0<λf/d<a/2の場合の0次回折光エリアと±1次回折光エリアを示す模式図であり、0次回折光及び±1次回折光の各領域を表す。
集光レンズ36に入射される0次回折光エリアは1点鎖線X1と1点鎖線X2との間の領域とされ、同じく1次回折光エリアは1点鎖線X2よりも右側の領域とされる。図5に示すように、ロンボイドプリズム39により光束が平行シフトして重ね合わせるわけだが、ロンボイドプリズム39の半透鏡39Aで反射される0次回折光エリアと、半透鏡39Bで反射される1次回折光エリアとでは、実質的な光路差が生じている。但し、ロンボイドプリズム39をガラス等の熱膨張が小さく安定な物質で構成すれば、その光路差は一定であり、この行路差をθ1とする。
従って、0次回折光エリアの半円ビームBAは1次回折光エリアの半円ビームBBにロンボイドプリズム39により平行シフトされて、重ね合わされる結果として、各回折光は図10(A)〜(D)に示したような重なり方になる。具体的には、図9(A)に示す0次回折光J0は、0からaまでの0次回折光エリアが全体としてaだけシフトされるので、図10(A)に示すようになる。同様に、図9(C)に示す−1次回折光-J1も同様なシフトを受けるので、図10(D)に示すようになる。
図9(B)に示す1次回折光J1は、0次回折光エリアと1次回折光エリアの両方にまたがるので、それぞれシフトを受ける部分とシフトを受けない部分に分かれ、かつ、1次回折光エリアでの光路差θ1が加わる。この様子が図10(B)、(C)に示すようになる。すなわち、図9(B)の0次回折光エリアの部分はaだけシフトするが、1次回折光エリアの部分はそのままである。
この各部の重なり部分を考慮すると、振幅分布Eは以下の式から求まる。
Figure 0006230358
ここで、上記(11)式のαとβは各遅延素子の位相を反映した変数となる。すなわち、0次回折光エリアの半円ビームBAが遅延素子43Aにより遅延し、1次回折光エリアの半円ビームBBがそのままとなる光を受光する分割受光素子40Aでは、α=j、β=1となる。0次回折光エリアの半円ビームBAと1次回折光エリアの半円ビームBBが両方ともそのままとなる光を受光する分割受光素子40Bでは、α=1、β=1となる。
また、1次回折光エリアの半円ビームBDが遅延素子43Bにより遅延し、0次回折光エリアの半円ビームBCがそのままとなる光を受光する分割受光素子50aでは、α=1、β=jとなる。1次回折光エリアの半円ビームBDが遅延素子43Cにより遅延し、0次回折光エリアの半円ビームBCがそのままとなる光を受光する分割受光素子50Bでは、α=1、β=−1となる。
受光素子40、50は光の干渉した強度情報を受光することになるので、(11)式の強度を計算すればよい。強度をIとすると、分割受光素子40Bと分割受光素子50Bでは(複合同順)、強度Iが下記の式により求まる。
Figure 0006230358
同じく強度をIとすると、分割受光素子40Aと分割受光素子50Aでは(複合同順)、強度Iが下記の式により求まる。
Figure 0006230358
従って、分割受光素子40Bと分割受光素子50Bの差出力ΔIbおよび、分割受光素子40Aと分割受光素子50Aの差出力ΔIaは、以下のようになる。
Figure 0006230358
一般的に位相変化が小さいとJ0>J1であるので、(12)式、(13)式の2J12sinθ0cos(θ0+θ1)を下記(12)'式、(13)'式のようにそれぞれ無視できる。
Figure 0006230358
(12)'式と(13)'式の比を取得することにより、tanθ=tan(θ0+θ1)より位相θが計測できる。この位相θは遅延素子の有する位相差を含んでいるが、前述したように本実施例を構成した時点で決定される量なので、計測の原点をどこに置くかということと等価となり、無視できる。さらに、実際の振幅分布をEoとすると共に位相をΘとすると、下記式のようになる。
Figure 0006230358
以上の考え方で試料Sのピッチdと照射ビーム半径とされる対物レンズの半径aと関連付けると、以下の関係を得る。但し、上記したようにJ0>J1とする。
Figure 0006230358
横軸をλf/dとし、縦軸を変調量とすると、図11に示すようにMTF曲線に準じた本実施例の特性曲線Cを得ることができる。そして、通常のMTF曲線では対物レンズのカットオフの周波数は2aになるのに対して、本実施例では、この周波数より高い3aの周波数まで取得することが可能となることが、この特性曲線Cより分かる。
また、0次回折光エリアに含まれる1次回折光成分を0次回折光と区別することは本来困難であったが、本実施例により、0次回折光エリアの1次回折光を計算して区別することが可能となる。すなわち、図1や図4に示す光学系のようにレーザー光を走査することにより、空間周波数が電気的な変調信号に変換されるのに対して、ヘテロダイン検波もしくは変調周波数自体の分析により、この空間周波数の情報を電気的な周波数に変換できる。
従って、上記した一連の空間周波数の変調度を電気的な周波数フィルタにより、本来の1次回折光の大きさを自動的に抽出可能となる。図11において、横軸に沿って線形に変化する0〜a、2a〜3aの範囲の部分については、周波数の変動に対してゲインを双曲線的に変化することにより、ゲインを一定にできる。これに対して、変調量が一定になっているaから2aまでのフラット部CFを一定のゲインにすれば、実効上、周波数依存のない、すなわち、空間周波数に依存しない一定の変調度に、0〜3aの範囲を修正できる。
以上のように、εの空間周波数依存性を修正することにより、従来のレンズによる空間周波数の落ち分を修正することができる。これに伴って、実質的に0次回折光エリアに含まれる1次回折光の量を見積もることができ、結果として、γ=J1/J0を正しく評価可能となる。また、本実施例によれば、取得する空間周波数の情報を高くすることができる。すなわち、従来のレンズで獲得できなかった空間周波数まで取得することができるので、位相情報を正しく計算でき、かつ細胞等の透明体の位相情報に対して実効上の超解像を実現することができる。
なお、上記した集光レンズ36に入射される0次回折光エリアの光として、0次回折光が実質的に入射されるようにすれば、どのように光軸L3の傾斜を与えてもよい。たとえば、わずかに0次回折光が入射されるように設定した場合、1次回折光との干渉範囲が実効的に広がるので、上記したものよりも空間周波数を大きくできる。この場合、図11の特性曲線Cにおけるフラット部CFが実効的に大きくなるので、空間周波数の低周波部と高周波部を除くとほぼ空間周波数の取得可能な全範囲で、特性をフラットにできる。従って、上記のような周波数フィルタを用いる必要性がなくなる。
しかしながら、この場合には0次回折光との干渉度が減るので、受光素子のゲインを高くする必要性が生じ、SN比の劣化をもたらすことになる。逆に、0次回折光エリアを拡大すると、取得する空間周波数の領域および空間周波数のフラット部が減少するので、周波数フィルタをかけたほうが良好な特性を得ることができる。この場合には、取得信号のSN比も良好となる。他方、対物レンズ31による影響はあまりなく、集光レンズ36により分解能が決定されるので、本実施例によれば、視野範囲が広く、かつ横分解能の高い光学系を実現することもできる。これは、通常の結像光学系には見られない大きな特徴の一つとなる。なお、図5における受光素子41の役割は受光素子40と同じで、光を有効に使用するために用いている。
ここで、本実施例の変形例として図12に示すものが考えられ、以下にこの変形例を説明する。この変形例では、プリズム39、49の替わりに、キューブ型のビームスプリッター60A、60Bを2つ並べた形のビームスプリッター60を採用する。これにより、2つのビームスプリッター60A、60Bがそれぞれ例えば図5に示すプリズム39の半透鏡39Aと半透鏡39Bが有する機能を構成する。同じくキューブ型のビームスプリッター61A、61Bを2つ並べた形のビームスプリッター61が、プリズム49の半透鏡49Aと半透鏡49Bが有する機能を構成する。従って、本変形例によっても、上記において説明した実施例と同一の作用効果を奏することになる。
次に、本発明に係る光学的距離計測装置の実施例2を以下に図13を参照しつつ説明する。本実施例では、一つの集光レンズ36にて位相情報を定量化する光学系について、図13に基づき述べる。
図13に示すように、本実施例においても、レーザー光源21が図示しない光学装置を介して対物レンズ31と対向して配置されており、対物レンズ31を透過したレーザー光が、透過物の試料Sに収束して照射される。試料Sに照射されたレーザー光は、光軸L0上に位置する集光レンズ36により集光されて、平行な光束とされる。
レーザー光の光軸L0上の集光レンズ36の直下の位置には、ビームスプリッター71が配置されている。このビームスプリッター71は、相互に逆向きに光束を分離するための2つのビームスプリッター71A、71Bを図13の左右方向に並べて形成した構造とされている。従って、このビームスプリッター71にて、光軸L0を境界として相互に反対方向の2方向と2つの透過方向の計4経路に光束が分離される。
図13に示す光軸L0を境界とした右側には、ブロック1とブロック2とを組み合わせた光学系が配置されている。各ブロック1、2は、ビームスプリッター72、73、受光素子81、82、遅延素子43A、43B、43C等から構成されている。これらブロック1とブロック2は、0次回折光エリアと1次回折光エリアを含み、これらブロック1、2の組み合わせは、図5に示したビームスプリッター38で分離された後の光学系と実質上同一となっている。
他方、ブロック3とブロック4は、0次回折光エリアと−1次回折光エリアを含み、ブロック1とブロック2の対称系の配置となっていて、ブロック1、2と同様の構成とされる。このため、これらブロック3、4の組み合わせは、図5に示した実施例では示されていない−1次回折光エリアを含む光学系となっているが、図5の実施例と実質上同様に機能する。
以上より、各ブロック1〜4において、図5に示す実施例と同様な作用を奏することになる。本実施例によれば、図5で示された実施例1のような空間周波数の極めて高い情報を得られないが、きわめて簡単な構成で位相情報の定量化が図れることになる。従って、本実施例では、図11で示した特性曲線Cのフラット部CFがなくなるような特性となるが、前述したレーザー光の走査に伴う空間周波数の電気的周波数変換による周波数フィルタが、極めて有効に作用し、集光レンズ36の本質的に有するMTFによる欠落情報を再生することができる。
以上より、本実施例では、集光レンズ36が本来有する試料Sの位相情報を正しく反映した計測値を得ることが可能となる。さらに、各ブロック1〜4が、ビームスプリッター72、73、受光素子81、82、遅延素子43A、43B、43C等を有している。また、図示しないものの前述の比較器7にこれら各ブロック1〜4の受光素子81、82がそれぞれ接続され、この比較器7がデータ処理部8に繋がっている。このことから、図5に示す実施例1と同様な作用効果が本実施例でも得られることになる。また、ビームスプリッター71A、71Bを適正量だけずらしつつ図13の紙面に対して垂直方向等の複数の方向に各ブロック1〜4の光学系をそれぞれ配置することが考えられる。このように各ブロック1〜4を複数配置することで、対物レンズ31側から試料Sを見たときの複数の方向に関する計測値をそれぞれ得ることもできる。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例3を以下に図14を参照しつつ説明する。
図14は、本実施例の光学的距離計測装置の構成を示す概略図である。本実施例は、この図14に示すように、0次回折光と1次回折光との間に±π/2やπの位相差を与える手段として、正弦波状に形成されたグレーティングである回折格子54をレンズ52の焦点に配置した構造としている。
具体的に本実施例では、図14に示すように、傾いた光軸L3上に集光レンズ36を配置し、0次回折光と1次回折光を含む光束を平行光束としている。この集光レンズ36の下方に図5と同様のビームスプリッター38が配置され、この平行光束をこのビームスプリッター38が分岐している。さらに、分岐された一方の平行光束とされる0次回折光と1次回折光を含む光束をビームスプリッター38の下方に位置するレンズ52で絞り、その焦点面付近に回折格子54を配置する。但し、この回折格子54は正弦波位相回折格子である位相型のグレーティングとする。
そして、0次回折光エリアに含まれる試料Sで回折された0次回折光と1次回折光のそれぞれをこの回折格子54で干渉させ、また、1次回折光エリアに含まれる試料Sで回折された1次回折光と0次回折光のそれぞれをこの回折格子54で干渉させる。このことで、試料Sで回折された0次回折光と1次回折光を実効的に干渉させるようにする。尚、図14において、斜線を施した部分が、0次回折光と1次回折光が重なる干渉部Kであるが、光軸L3に対して、逆側にも同様な干渉部Kが存在する。さらに、受光素子50でこの干渉された光束を受光するが、この受光素子50が図示しない前述の比較器7に接続され、この比較器7がデータ処理部8に繋がっている。
他方、ビームスプリッター38の位置において光軸L3に対して直交する方向には、同様のレンズ52、回折格子54A、受光素子50が同様に配置されていて、上記と同様に作用する。 但し、この回折格子54Aは正弦波振幅回折格子である強度型のグレーティングとする。
ここで、正弦波振幅回折格子の振幅Eと正弦波位相回折格子の振幅Eとの値が、以下の式により求まる。但し、以下の式では位相をθで表す。
正弦波振幅回折格子では、下記の振幅Eとされる。
E=E0sin(2πx/d-θ)
正弦波位相回折格子では、下記の振幅Eとされる。
Figure 0006230358
以上より、本実施例では、図14に示したように、0次回折光と1次回折光を含む平行光束をレンズ52で絞り、その焦点面付近に回折格子54、54Aを配置する。このとき、上記した正弦波振幅回折格子では±π/2の位相ずれを生じさせ、正弦波位相回折格子では同相か逆相の位相ずれである0、πの位相ずれを生じさせるので、これらの組み合わせを図5で示した遅延素子の関係に当てはめれば、図5に示す実施例1と同様な光学系を形成することができる。
また、回折格子54、54Aのピッチがレンズ52で絞ったビーム径と同じくらいの大きさであった場合、上記式の位相θに敏感になる。従って、ビームの焦点位置と回折格子54、54Aの位置を相対的に調整することにより、位相θが決まる。たとえば、正弦波振幅回折格子において位相θ=0とすれば、0次回折光と±1次回折光の間で±π/2となり、位相θ=−π/2とすれば、0次回折光と±1次回折光の間で逆相となる。この結果、図5に示す実施例1と同様に、0次回折光と1次回折光との間に±π/2やπの位相差が生じるようになる。
ここで、本実施例の変形例をこの図14に基づき説明する。例えば、分岐した一方の光束が照射される回折格子54を位相型のグレーティングとし、この一方の光束に関しては、光軸L3を中心として0次回折光と±1次回折光が同相か逆相になるようにこの回折格子54を位置調整して配置する。これとは別に、分岐した他方の光束が照射される回折格子54Aを強度型のグレーティングとし、この他方の光束に関しては、この回折格子54Aを±1/4ピッチだけずらして配置する。この結果、本変形例では、0次回折光と1次回折光との間にπ/4や3π/4の位相差が生じるようになる。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例4を図15を参照しつつ、以下に説明する。
図15は、本実施例の光学的距離計測装置の構成を示す概略図である。この図15に示すように、本実施例においては、0次回折光の光軸L0に対して、集光レンズ36を傾斜して設置している。このことで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れ、結像光学系にて干渉を実現している。なお、図示しないものの、本実施例においては、軸L0に対して対象な位置に同様な光学系が配置されている。
集光レンズ36を傾けて0次回折光の一部と1次回折光の一部を取得するところまでは、図5や図14の実施例と同様である。本実施例では、集光レンズ36により平行光束にした回折光同士をレンズ52にて集光する。このレンズ52により回折光同士が焦点近傍で重なり合って、実質的に干渉する。ただし、0次回折光と±1次回折光との干渉ではないので、試料S自体の結像とは異なる。
この一方、本実施例でも、図14の実施例3と同様に集光レンズ36とレンズ52との間にビームスプリッター38が配置されている。但し、本実施例ではビームスプリッター38Aがさらに配置され、ビームスプリッター38で分岐された平行光束をこのビームスプリッター38Aでさらに分岐するようになっている。
このビームスプリッター38Aの図15の下側には、遅延素子43Aが配置されるだけでなく、レンズ52、拡大光学系53、受光素子50が同様に配置されている。また、ビームスプリッター38Aの図15の右側には、遅延素子43B、43Cが配置されるだけでなく、レンズ52、拡大光学系53、受光素子50が同様に配置されている。なお、これら拡大光学系53は、レンズ52の実効的な焦点距離を長くして、干渉縞自体等を拡大するような機能を有している。つまり、レンズ52の実効的な焦点距離を長くすることで、干渉縞のピッチを広げることができる。
本実施例によれば、光軸L3沿いのレンズ52、拡大光学系53、受光素子50を有している。これに伴い、この拡大光学系53により干渉縞自体を拡大し、受光素子50の大きさにほぼ等しくすれば、1次回折光で自然と逆位相となるので、0次回折光がバイアスになるような形で明暗が逆になる。この様にすれば、極めて簡単に空間周波数の高い領域まで、情報を取得することができるようになる。本実施例の場合、レンズ52を用いているので、このレンズ52に入射される0次回折光と1次回折光の位相差がそのまま反映される程度の波面収差は許容される。したがって、高額なレンズを用いる必要性がなくなる。
さらに、本実施例によれば、ビームスプリッター38、38A、遅延素子43A、43B、43C、レンズ52、拡大光学系53及び受光素子50が配置され、これらビームスプリッター38、38Aにより光束が分岐され、最終的に2つの受光素子50がそれぞれ光束を受光する。また、図示しないものの、前述の比較器7に2つの受光素子50それぞれ接続され、この比較器7がデータ処理部8に繋がっている。このことから、図5に示す実施例1と同様な作用効果が本実施例でも得られることになる。
本発明に係る光学的距離計測装置の実施例5を図16を参照しつつ、以下に説明する。
図16は、本実施例の光学的距離計測装置の構成を示す概略図である。
この図16に示すように、本実施例においては、試料Sに収束した光を入射せず、比較的大きな径を有する平行光束を入射することとする。この場合において、0次回折光の光軸L0に対して集光レンズ36を傾斜して設置することとした。このことで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れることができる。なお、図示しないものの、本実施例においては、光軸L0に対して対象な位置に同様な光学系が配置されている。
本実施例では、0次回折光および1次回折光をそれぞれ集光光束とするが、集光レンズ36のそれぞれの焦点位置に焦点を有する別々のレンズ64,65を配置し、これらのレンズ64,65により集光光束を平行光束とする。この様に平行光束にした以降は、図5に示す実施例の光学系を用いて、0次回折光の一部と1次回折光の一部とを干渉させる。つまり、本実施例によれば、図16に示すように、ビームスプリッター38B、38C、ビームスプリッター72、73、遅延素子43A、43B、43C、受光素子40、50、比較器7、データ処理部8等を有している。このことから、図5に示す実施例1と同様な作用効果が本実施例でも得られることになる。
本実施例の場合、試料Sに入射される光束径は大きいので、面内の情報が平均化されてしまう。そこで、入射された平行光束に図示しない制限開口を設けることで、その部分の情報として解釈するか、もしくは規則正しいパターン中の不規則パターンの検出が可能となる。つまり、規則正しい1次回折光の方向が設計上予め分かっているので、その1次回折光の方向は集光レンズ36の焦点にマスクすることで抑えることができる。
この一方、それ以外の成分はレンズ64、65に入射されるので、欠陥部からの情報を検出することができる。たとえば、半導体ウェハー上の欠陥検査や、ナノ構造の不均一性の検査等への適用が可能である。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の光学的距離計測装置は、試料との間の距離や試料の形状を計測できるだけでなく、顕微鏡等のさまざまな種類の測定機器に適用可能となる。
また、本発明の光学的距離計測装置は、顕微鏡だけでなく、さまざまな種類の光学機器や波動を有する電磁波を用いた計測機に適用でき、これら光学機器や波動を有する電磁波を用いた計測機の分解能を向上することができるものである。
7 比較器
8 データ処理部
21 レーザー光源
30 瞳伝達レンズ系
31 対物レンズ
36 集光レンズ
38 ビームスプリッター
39 ロンボイドプリズム
40 受光素子
40A、40B 分割受光素子
43A 遅延素子
43B、43C 遅延素子
49 ロンボイドプリズム
50 受光素子
50A、50B 分割受光素子
52 レンズ
53 拡大光学系
54 グレーティング
55、56 レンズ
57、58 受光素子
64、65 レンズ
B1、B2 光路
BA、BB 半円ビーム
BC、BD 半円ビーム
S 試料
L0、L1、L2、L3 光軸

Claims (6)

  1. 測定対象物に光束を照射する光源と、
    この光束が入射されるのに伴い測定対象物で回折されて生じた0次回折光および1次回折光を含む光束を2つの光束にする分離素子と、
    分離素子により分割された一方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を遅延させる第1の遅延素子と、
    第1の遅延素子で一部遅延した0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態で、2つの部分に分けて検出する一対の分割受光素子を備えた第1の受光素子と、
    分離素子により分割された他方の光束を構成する各回折光の内の一部の光束の進行を第1の遅延素子と異なる位相で遅延させる第2の遅延素子と、
    第2の遅延素子で一部遅延した0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させた状態で、2つの部分に分けて検出する一対の分割受光素子を備えた第2の受光素子と、
    第1の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号間及び、第2の受光素子の一対の分割受光素子でそれぞれ位相が相違されつつ検出される2種類の受光出力の電気信号の和や差の出力値を検出する出力和差検出部と、
    を含む光学的距離計測装置。
  2. 前記分離素子が、光束の照射光軸に対して傾きを有した傾斜光軸上に配置される請求項1記載の光学的距離計測装置。
  3. 前記分離素子が、
    測定対象物を透過するのに伴い回折された0次回折光および1次回折光を含む光束を平行光束とするレンズと、
    前記光束を2つの光束に分割するビームスプリッターと、
    により構成される請求項1または2に記載の光学的距離計測装置。
  4. 前記第1の遅延素子及び第2の遅延素子が、1/4波長板或いは1/2波長板とされて、光束の位相を90度或いは180度遅延させる請求項1から3のいずれかに記載の光学的距離計測装置。
  5. 前記第1の遅延素子及び第2の遅延素子が、回折格子とされて、光束の位相を90度或いは180度遅延させる請求項1から3のいずれかに記載の光学的距離計測装置。
  6. 第1の遅延素子と第1の受光素子との間および、第2の遅延素子と第2の受光素子の間に、プリズムがそれぞれ配置されていて、
    第1の受光素子及び第2の受光素子で0次回折光及び1次回折光を検出する前に、このプリズムにより0次回折光と1次回折光とを相互に干渉させる請求項1から5のいずれかに記載の光学的距離計測装置。
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