JP6228530B2 - 電極およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、入力装置などに用いられる電極、およびその製造方法に関する。以下では、入力装置の代表例としてタッチパネルセンサーを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
タッチパネルセンサーは、液晶表示装置や有機EL装置などの表示装置の表示画面上に入力装置として貼り合わせて使用される。タッチパネルセンサーは、その使い勝手の良さから、銀行のATMや券売機、カーナビ、PDA(Personal Digital Assistants、個人用の携帯情報端末)、コピー機の操作画面などに使用されており、近年では携帯電話やタブレットPCに至るまで幅広く使用されている。その入力ポイントの検出方式には、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式、超音波表面弾性波方式、圧電式等が挙げられる。これらのうち、携帯電話やタブレットPCには、静電容量方式が、応答性が良くコストがかからず構造が単純である等の理由から好適に用いられている。
静電容量方式のタッチパネルセンサーは、一例として、ガラス基板などの透明基板上に、二方向の透明電極が直交して配置され、その表面に保護ガラスなどの絶縁体であるカバーが被覆された構造を有している。上記構成のタッチパネルセンサーの表面を指やペン等でタッチすると、両透明電極間の静電容量が変化するため、当該静電容量を介して流れる電流量の変化をセンサーで感知することにより、タッチされた箇所を把握することができる。
上記構成のタッチパネルセンサーに用いられる透明基板として、タッチパネルセンサー専用の基板を用いても良いが、表示装置に用いられる透明基板を用いることもできる。具体的には、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板や、有機EL装置に用いられるガラス基板などが挙げられる。このような表示装置用透明基板の使用により、タッチパネルセンサーに要求される特性、例えば、ディスプレイのコントラスト比の向上、輝度の向上、スマートフォンなどの薄型化などに対応可能となる。
最近では、上記透明電極を用いた場合の接触感度向上やノイズ低減のために、電極として、低抵抗な金属電極の使用が検討されている。
しかし、金属電極は反射率が高く、使用者の肉眼で見える、即ち視認されるため、コントラスト比が低下するという問題がある。そのため、金属電極を用いる場合には、金属膜に黒色化処理を施して反射率を低減させるなどの方法が採用されている。
例えば特許文献1には、導電性透明パターンセルを相互接続するブリッジ電極における視認性の問題を解決するため、導電性パターンセルに形成される絶縁層上に、黒色の導電材料を用いてブリッジ電極を形成する方法が記載されている。具体的には、ブリッジ電極として、Al、Au、Ag、Sn、Cr、Ni、Ti又はMgの金属を、薬品との反応により酸化物、窒化物、フッ化物などに黒色化させる方法が例示されている。しかし、特許文献1では、金属の黒色化処理によるブリッジ電極の反射率低減化技術が開示されているに過ぎず、電気抵抗率の低減には全く留意していない。そのため、上記例示のなかには、金属の酸化物のような高電気抵抗率のものも含まれており、低電気抵抗率配線用電極に適用することは出来ない。また、上記特許文献1には、Agの窒化物やMgの酸化物などのように反応性が高く危険な物質も含まれており、実用性に乏しい。
特開2013−127792号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、好ましくは静電容量方式のタッチパネルセンサーなどに代表される入力装置に用いられる電極であって、シート抵抗が低く、且つ、反射率が低い新規な電極;およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の電極は、Al膜またはAl合金膜からなる第1層、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有し、前記第3層の膜厚が45〜60nmでかつ前記第2層の膜厚が40〜60nmであるところに要旨を有するものである。
本発明の好ましい実施形態において、前記電極は、さらに基板を有し、前記基板側から順に前記第3層、前記第2層、前記第1層が積層されてなる
本発明の好ましい実施形態において、前記第2層は、波長450nm、波長550nm、および波長650nmの消衰係数が2.0以上を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記電極は、前記第1層の少なくとも一方の面に、Mo膜またはMo合金膜を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記第3層は、少なくともInを含む酸化物からなる透明導電膜である。
本発明の好ましい実施形態において、前記第1層の電気抵抗率は20μΩ・cm以下である。
本発明の好ましい実施形態において、前記第1層のAl合金膜は、Alと;Nd、Cu、Mn、Ta、Ge、La、Zr、およびNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素と;を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記第1層の膜厚は50〜400nmである。
本発明には、上記のいずれかに記載の電極を有する入力装置が含まれる。
本発明には、上記のいずれかに記載の電極を有するタッチパネルセンサーが含まれる。
本発明には、上記のいずれかに記載の電極を有する表示装置も含まれる。
また、上記課題を解決し得た本発明に係る電極の製造方法は、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって上記第2層を成膜するところに要旨を有する。
本発明に係る電極は、Al膜またはAl合金膜からなる第1層、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有し、前記第3層の膜厚が45〜60nmでかつ前記第2層の膜厚が40〜60nmであるため、低シート抵抗および低反射率の両方を達成できる。よって、上記積層構造の本発明電極を、入力装置用電極として用いれば、低シート抵抗と、金属膜単独では不可能であった低反射率を兼ね備えた電極を備えた入力装置が得られる。
図1は、一般的な液晶表示装置の構成を模式的に示す概略断面図である。 図2は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の一例を示す概略平面図である。 図3は、前記図2の点線A1−A1における断面構造の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の電極の一構造例、即ち、実施の態様1Aに係る電極を示す概略断面図である。 図5は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様1Bに係る電極を示す概略断面図である。 図6は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様1Cに係る電極を示す概略断面図である。 図7は、前記図2の点線A1−A1における断面構造の別の一例を示す概略断面図である。 図8は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様2Aに係る電極を示す概略断面図である。 図9は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様2Bに係る電極を示す概略断面図である。 図10は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様2Cに係る電極を示す概略断面図である。 図11は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の別の一例を示す概略平面図である。 図12は、入力装置外付型の液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。 図13は、前記図12の断面構造の一例を示す概略断面図である。 図14は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様3Aに係る電極を示す概略断面図である。 図15は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様3Bに係る電極を示す概略断面図である。 図16は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様3Cに係る電極を示す概略断面図である。 図17は、前記図12の断面構造の他の例を示す概略断面図である。 図18は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様4Aに係る電極を示す概略断面図である。 図19は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様4Bに係る電極を示す概略断面図である。 図20は、本発明の電極の別の構造例、即ち、実施の態様4Cに係る電極を示す概略断面図である。 図21は、第2層のX線回折装置による結晶状態解析結果を示した図である。
まずタッチパネル構造における液晶表示装置部分について説明する。尚、以下ではディスプレイ、即ち表示装置として液晶表示装置を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、その他の表示装置として例えば有機EL装置等にも適用できる。
図1は、一般的な液晶表示装置1の構成を模式的に示す概略断面図である。図1に示す液晶表示装置1は、TFT(Thin Film Transistor)基板2を有している。TFT基板2は、例えば、アレイ基板である。TFT基板2には、対向基板3が対向して配置されている。対向基板3は、例えば、カラーフィルタ(CF、Color Filter)基板4であり、視認される側に配置される。対向基板3には、緑色、青色、赤色のカラーフィルタ5A、5B、5C、ブラックマトリックス(Black Matrix、BM)6、カラーフィルタ基板4が形成される。TFT基板2と対向基板3との間には液晶が導入された液晶層7が狭持され、液晶層7は液晶封止材8により封止される。更に、対向基板3の外側の面には、図示しないが偏光板及び位相差板等が設けられる。また、液晶表示パネルの反視認側、即ち、図1におけるTFT基板2の下方には、図示しないがバックライトユニット等が配設される。
本発明の電極を含む入力装置、特にタッチパネルセンサーは、上記液晶表示装置1のカラーフィルタ基板4の上方、即ち、操作面側に配置される。
以下、上記入力装置のパターンを例示しながら、本発明の電極の好ましい実施態様について説明する。詳細には、入力装置例その1における実施の態様1および2と、入力装置例その2における実施の態様3および4を例示しながら、本発明の電極について説明する。
(1)入力装置例その1
図2は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の一例を示す概略平面図である。図2に示す入力装置10は、配線が格子形状となっている。詳細には、透明基板の一種であるカラーフィルタ基板4の上部に、行ごとにX方向に配される駆動用の複数の金属電極11と;列ごとにY方向に配される検出用の複数の金属電極12と;が設けられる。駆動用電極11と検出用電極12とは、それぞれ異なる層に設けられており、絶縁層13により互いに絶縁される。
図2の構成では、駆動用電極11への電圧の印加により、駆動用電極11と検出用電極12の間に生じるキャパシタンスの変化によって、ユーザのタッチ位置を検出する。
本構成は、抵抗の小さい金属電極を駆動用電極11および検出用電極12として用いることから、それぞれの電極を幅の狭い配線として形成することが可能である。そのためアクティブエリアの透過率を十分高くすることができる特徴を有する。
実施の態様1:入力装置例その1における断面構造例その1
前記図2の点線A1−A1における断面構造の一例として、図3の断面構造が挙げられる。図3は、図2の入力装置10を、図1に示す液晶表示装置1のカラーフィルタ基板4に搭載した構造の一例を示す概略断面図である。
図3に示されるように、カラーフィルタ基板4の上部には、行ごとにX方向に配される複数の第1の金属電極11が、同一の層に配置される。さらに列ごとにY方向に配される複数の第2の金属電極12が、第1の金属電極11とは異なる層に配置される。この複数の第1の金属電極11と第2の金属電極12は、表示装置の視認性を低下させないために、図示していないがブラックマトリックスの直上に配置することが好ましい。複数の第1の金属電極11の間、複数の第2の金属電極12の間、および、第1の金属電極11と第2の金属電極12との間には、第1の絶縁層13A、第2の絶縁層13Bが配置される。第1の絶縁層13Aと第2の絶縁層13Bには、例えば公知の透光性絶縁樹脂などを用いることができる。そして第2の絶縁層13Bが設けられた面を覆うように、カバーガラス14が設けられる。尚、図3における15はバックライトを示す。
前記図3において、第1の金属電極11や第2の金属電極12として、本発明の電極を好適に用いることができる。以下では、前記図3の第1の金属電極11を例として、その好ましい具体例を図4、図5および図6に示しながら、本発明の電極の好ましい実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の電極はこれらの図に限定されない。尚、図4、図5および図6では、基板を、図3のカラーフィルタ基板4ではなく透明基板24としている。基板は特に限定されない意図である。液晶表示装置に適用する場合は、透明基板としてカラーフィルタ基板を用いるが、本発明の電極を有機EL表示装置に用いる場合は、カラーフィルタ基板は不要な場合が多く、カバーガラスのようなガラス基板等の透明基板を用いることができる。本発明に用いられる透明基板の種類は後に詳述する。
実施の態様1A:第1層と第2層の二層構造からなる電極
図4は、本発明の電極の一構造例を示す概略断面図である。図4の電極構造20Aにおいて、透明基板24は、ガラスやプラスチック等からなる基板を用いることができる。透明基板24上には、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22が少なくとも形成されている。積層構造において、第1層21は電極に用いられる配線用膜として作用し、第2層22は光学調整層として作用する。
尚、以下に説明する図5、図6、図8〜10、図14〜16、図18〜20における第2層22も、前記図4の第2層22と同様に、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる第2層である。以下では、この第2層を「規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層」または単に「第2層」ということがある。
実施の態様1B:第1層、第2層および第3層からなる三層構造の電極
図5は、本発明の電極の別の構造例を示す概略断面図である。図5の電極構造20Bにおいて、電極は、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、および透明導電膜からなる第3層23が少なくとも形成された積層構造を有している。積層構造において、第1層21は電極に用いられる配線用膜として作用し、第2層22および第3層23は光学調整層として作用する。なお、この積層構造において第2層22と第3層23の順序は入れ替わってもよい。
以下では、前記の第1層21、第2層22および第3層23の各層について詳述する。まずは第1層について説明する。
本発明に用いられる第1層は、Al膜またはAl合金膜で構成される。以下、前記「Al膜またはAl合金膜」を「Al/Al合金膜」と略記する場合がある。配線用金属として上記Al/Al合金膜を使用することにより、材料コストが安く基板との密着性に優れる。これに対し、第1層として、上記以外のAg若しくはCu、またはこれらの合金を用いた場合、積層構造としたときに低シート抵抗は得られるが、材料コストや基板との密着性を考慮すると、Al/Al合金膜が好ましい。
具体的には、第1層単膜の電気抵抗率が20μΩ・cm以下の上記Al/Al合金膜を用いることが好ましい。上記第1層の電気抵抗率が、第2層を構成する規定のアモルファスなAl窒化膜や第3層の透明導電膜と比較して十分に低いため、電荷の流れは第1層が支配的となり、積層構造のシート抵抗も低減される。
電極層として用いられる上記第1層のAl合金膜は、合金成分として、高融点金属元素、希土類金属元素の少なくとも一種以上を含有することが好ましい。これにより、熱凝集抑制効果が発揮される。ここで、高融点金属元素は、Mo、Ti、Ta、W、Cr、Mnなどの融点が1200℃以上の金属を意味する。また、希土類金属元素とは、ランタノイド元素、即ちLaからLuまでの15元素およびスカンジウムとイットリウムを含む意味である。これらのうち、特にTi、Ta、Mnの高融点金属元素を含有するAl合金を用いることによって耐熱性が高められ、更に使用環境によって存在するハロゲン、塩水などによる腐食に対する耐食性も向上する。また、合金成分として、Cu、Ge、Zr、NiなどのAlに対して貴な電極電位を有する元素を含有することも好ましい。これにより、例えば後述する実施の態様3のように、Al合金電極と透明電極が接する構造を用いた場合、Al合金薄膜と透明電極との接続界面における電池反応を抑制し、電解腐食を抑制することができる。
これらの中でも、より好ましくはNd、Cu、Mn、Ta、Ge、La、Zr、およびNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含むAl合金膜である。
上記第1層のAl合金膜の合金元素含有量は、次の通りとすることが好ましい。即ち、該合金元素含有量の下限は、上述した耐熱性と耐食性を確保するため、前記高融点金属元素、希土類金属元素、およびAlよりも貴な電極電位を有する元素のうちの、少なくとも一種以上の元素を、合計で0.1原子%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.2原子%以上である。
一方、上記合金元素含有量の上限は、低シート抵抗を実現するために次の通りとすることが好ましい。即ち、前記希土類金属元素や前記高融点金属元素を含有させる場合には、該希土類金属元素の合計含有量の上限と、該高融点金属元素の合計含有量の上限を、それぞれ2原子%以下とすることが好ましく、それぞれ1原子%以下とすることがより好ましい。前記Alよりも貴な電極電位を有する元素を含有させる場合には、該元素の合計含有量の上限を、3原子%以下とすることが好ましく、より好ましくは2原子%以下である。また前記高融点金属元素、希土類金属元素、およびAlよりも貴な電極電位を有する元素の合計含有量は、3原子%以下とすることが好ましく、より好ましくは2原子%以下である。
上記第1層の膜厚は、積層構造としたときのシート抵抗値を所定範囲まで下げるため、50nm以上であることが好ましい。第1層の膜厚が50nmを下回ると、所望とするシート抵抗値を得ることが難しい。より好ましくは100nm以上である。尚、前記第1層の膜厚の上限は400nmとすることができる。
本発明に用いられる第2層は、上述の通り、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる。
前記第2層は、波長450nm、波長550nm、および波長650nmの消衰係数が2.0以上を満足していることが好ましい。また前記第2層は、波長450nm、波長550nm、および波長650の屈折率が1.0以上であることが好ましい。前記第2層として、このように消衰係数が高く、かつ屈折率の高いAl窒化層を使用する事によって、積層構造全体の反射率を低減することができる。
更に、上記第2層の電気抵抗率は、好ましくは10.0kΩ・cm以下である。第2層の電気抵抗率がこの様に抑えられることによって、本発明の電極を例えばタッチパネルに適用した場合であってタッチセンサー信号を受信するIC(Integrated Circuit)と接合した際に、直列抵抗を十分に小さくすることができ、信号強度に悪影響を与えない。上記第2層の電気抵抗率が10.0kΩ・cmよりも大きい場合、積層構造の膜厚によってはICとのコンタクトに悪影響を与えてしまい、信号受信強度が小さく、ノイズ等の影響を受けやすくなる。
これに対し、特許文献1のように金属の酸化物を用いると、反射率を低減できたとしても、電気抵抗率が増加してしまう。また第2層として、規定のアモルファスなAl窒化膜ではなく、窒素原子比率が27原子%未満であって、X線回折装置による結晶状態解析で金属Alに由来するピークの測定されるメタルライクなAl窒化膜を積層した場合、このメタルライクなAl窒化膜の反射率が高いため積層膜全体の反射率が高くなる後記する実施例を参照)。よって本発明では、第2層の窒素原子比率の下限を27原子%以上とする(後記する実施例の表1と表3を参照)。前記窒素原子比率の下限は、好ましくは30原子%以上である。尚、この窒素原子比率の測定方法は、後記する実施例1に示す通りである。
また、窒素原子比率が62原子%超であって、X線回折装置による結晶状態解析でAl窒化物に由来するピークの測定されるAl窒化膜は、所望する消衰係数を得られず吸収率が低い。上記Al窒化膜を第2層に用いると、第1層からの反射光が上記Al窒化膜で吸収され難く、積層膜全体の反射率が高くなる。よって本発明では、第2層の窒素原子比率の上限を62原子%以下とする(後記する実施例の表1と表3を参照)。前記窒素原子比率の上限は、好ましくは50原子%以下である。
以上のことから、所望する光学特性を得るためには、第2層を、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜とする。
上記第2層中の窒素原子比率は、第2層内の膜厚方向において、一定であっても良いし、変化しても良い、すなわち、濃度分布を有していても良い。本発明において、上記第2層は積層構造の光学調整としての役割を担っている。よって、膜全体の窒素原子比率が規定の範囲内にあり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスな膜構造を有し、所望の消衰係数を有する限り、第2層中の窒素原子の分布は問わない。
本発明に用いられる第3層は透明導電膜で構成される。上記第3層は、前述した第2層と合わせて、本発明に係る積層構造の光学調整層として有効に作用する層であり、これにより、低反射率を実現することができる。上記透明導電膜としては、本発明の技術分野において通常用いられるものであれば特に限定されないが、少なくともInを含む酸化物からなる透明導電膜、例えば、InとSnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、またはInとZnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、例えば、ITO(In−Sn−O)、IZO(In−Zn−O)などが、好ましく用いられる。
上記第3層の膜厚は、前述した第1層と第2層からの反射光の位相を調整して積層膜の反射率が最小になるように、制御することが好ましい。
透明基板は、本発明の技術分野に通常用いられ、透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば、カラーフィルタ基板やカバーガラスを構成する、ガラス基板、フィルム基板、プラスチック基板、石英基板などが挙げられる。
本発明の電極は、所望とする低シート抵抗および低反射率の更なる向上を目的として、或いは、他の特性向上を目的として、公知の膜を介在させることもできる。以下に、五層構造からなる本発明電極の、好ましい実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施の態様1C:第1層、第2層、第3層およびMo膜またはMo合金膜の五層構造の電極
図6は、本発明の電極の別の構造例を示す概略断面図である。この電極構造20Cは、本発明に係る電極の好ましい実施形態の一つであり、上述した図5の電極構造20Bにおいて、第1層21を構成するAl/Al合金膜の上下にMo膜またはMo合金膜25を積層した五層構造からなる。Mo膜またはMo合金膜25は、密着性や耐熱性などの特性を向上させる膜として知られており、本発明でも好ましく用いられる。尚、図6では、第1層21の上下共にMo膜またはMo合金膜25を積層しているが、第1層21の上または下のいずれかにMo膜またはMo合金膜25が形成されていてもよい。
以下、実施の態様2〜4について説明するが、第1層21、第2層22、第3層23、その他の層や透明基板20については、上記実施の態様1と同じである。
実施の態様2:入力装置例その1における断面構造例その2
前記図2の点線A1−A1における断面構造の他の例として、図7の断面構造が挙げられる。図7は、図2の入力装置10を、図1に示す液晶表示装置のカラーフィルタ基板4に搭載した構造の別の一例を示す概略断面図である。
図7では、複数の第2の金属電極12はカバーガラス14の裏面に接するように設けられ、複数の第1の金属電極11は、カラーフィルタ基板4の直上ではなく第2の絶縁層13Bに接するように設けられている。この点が図3と異なっている。
詳細には図7では、カラーフィルタ基板4の上に第1の絶縁層13Aが配置される。第1の絶縁層13Aの上部にカラーフィルタ基板と接することなく、行ごとにX方向に配される複数の第1の金属電極11が配置される。複数の第1の金属電極11の上には第2の絶縁層13Bが配置される。さらに列ごとにY方向に配される複数の第2の金属電極12が、第2の絶縁層13Bの上部に配置される。複数の第2の金属電極12は、カバーガラス14に接するように配置される。
前記図7における第1の金属電極11や第2の金属電極12として、本発明の電極を好適に用いることができる。以下では、前記図7の第2の金属電極12を例として、その電極構造の具体例を図8、図9および図10に示しながら、本発明に係る電極の好ましい実施形態を詳しく説明する。図8〜10の透明基板24は、前記図7のカバーガラス14に相当する。但し、本発明の電極はこれらの図に限定されない。
実施の態様2A:第1層と第2層の二層構造からなる電極
図8は、本発明の電極の別の構造例を示す概略断面図である。図8の電極構造20Eにおいて、透明基板24には、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21が少なくとも形成される。本態様では、第1層21のAl合金膜層が視認されないように、光学調整層である第2層22が、透明基板24側により近い位置に設けられる。
実施の態様2B:第1層、第2層および第3層からなる三層構造の電極
図9は、本発明の電極の別の構造例を示す概略断面図である。図9の電極構造20Fにおいて、透明基板24には、透明導電膜からなる第3層23、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、そしてAl膜またはAl合金膜からなる第1層21が少なくとも形成されている。この積層構造において第2層22、第3層23の順序は入れ替わってもよい。
実施の態様2C:第1層、第2層、第3層およびMo膜またはMo合金膜の五層構造の電極
図10は、本発明の電極の別の構造例を示す概略断面図である。図10の電極構造20Gは、本発明に係る電極の好ましい実施形態の一つであり、上述した図9の電極構造20Fにおいて、第1層21を構成するAl/Al合金膜の上下にMo膜またはMo合金膜25を積層した五層構造である。Mo膜またはMo合金膜25の効果は、上記図6で説明した通りである。この図10では、第1層21の上下共にMo膜またはMo合金膜25を積層しているが、第1層21の上または下のいずれかにMo膜またはMo合金膜が形成されていてもよい。
(2)入力装置例その2
図11は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の別の一例を示す概略平面図である。図11の入力装置30では電極がダイヤ形状の透明電極となっている。詳細には、透明基板33と、透明基板33の上部に、行ごとにX方向に配されるダイヤ形状を有する複数の第1の電極パターン31Aと、第1の透明電極31A間を接続する第1のブリッジ電極31Bと、列ごとにY方向に配されるダイヤ形状を有する複数の第2の電極パターン32Aと、第2の透明電極32A間を接続する第2のブリッジ電極32Bが設けられる。第1の電極パターン31Aおよびブリッジ電極31Bからなる第1の透明電極と、第2の電極パターン32Aおよびブリッジ電極32Bからなる第2の透明電極とは、図示しない絶縁層により互いに絶縁される。それぞれの電極パターンは、外周配線31Cや32Cを介して、図示しない制御部に接続される。
図11の構成では、スクリーンへ指などが接触した際に、第1の電極パターン31Aと第2の電極パターン32Aとの間に生じるキャパシタンスの変化を通じてユーザのタッチ位置を検出する。
第1の電極パターン31Aおよび第2の電極パターン32Aには、一般的に透明導電性材料が用いられる。具体的には例えば、ITO(In−Sn−O)や、IZO(In−Zn−O)などの金属酸化物が挙げられる。
本構成は、それぞれの電極パターン間を接続するブリッジ電極31B、32Bや入力装置の外周配線31C、32Cに、抵抗の小さい金属電極を用いることによって、検出能の高い入力装置を形成することができる特徴を有する。
なお、本構成は、入力装置を液晶セルと別個に形成する、入力装置外付型、すなわちアウトセル構造型の液晶表示装置において適用することが可能である。アウトセル型構造は、カバーガラス、タッチパネル、ディスプレイをそれぞれ個別に作成して接着するので製造方法がシンプルという特徴を有しており、広く一般的に使用されている。
図12は、入力装置外付型の液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。図12に示す液晶表示装置40は、カバーガラス41、タッチパネル42、ディスプレイ43を有している。タッチパネル42として上述した図11の構造の入力装置が用いられうる。カバーガラス41、タッチパネル42、ディスプレイ43のそれぞれは、OCA(Optically Clear Adhesive、光学透明両面)テープ、またはOCR(Optical clear resin、光学透明樹脂)などの接着層44によって接着されている。ディスプレイ43には、図示していないがカラーフィルタ基板、液晶、TFT基板、バックライトユニット等が配設される。
実施の態様3:入力装置例その2における断面構造例その1
前記図12の断面構造の一例として、図13の断面構造50が挙げられる。この図13は、前記図12におけるカバーガラス41、このカバーガラス41と接する接着層44、およびタッチパネル42の断面構造の一例を示すものである。図13における矢印は、表面側から見る方向を示す。図13に示すように、第1の透明基板に該当するカラーフィルター4には、X方向に配される第1の透明電極52と、Y方向に配される第2の透明電極53が設けられる。座標の検出は互いの透明電極52,53間における静電容量の変化に基づき行う。第1の透明電極52A、および第2の透明電極53はそれぞれが接触しないよう、絶縁層54により分離される。図13において第1のブリッジ電極52Bは、第1の透明電極52A間を電気的に接続している。接着層44は、第2の透明基板であるカバーガラス41と、それぞれの透明電極およびブリッジ電極などを接合する層である。接着層は、OCAやOCRなどの透明粘着層であり、アクリル系粘着材などが用いられる。
前記図13における第1のブリッジ電極52Bとして、本発明の電極を好適に用いることができる。以下では、前記図13のA2−A2における断面構造の好ましい例として、図14、図15および図16の構造を示しながら、本発明に係る電極の好ましい実施形態を詳しく説明する。
実施の態様3A:第1層と第2層の二層構造からなる電極
図14は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図14の電極構造20Hにおいて、透明基板24上には、静電容量を形成する透明電極26、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22が少なくとも形成されている。
実施の態様3B:第1層、第2層および第3層からなる三層構造の電極
図15は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図15の電極構造20Iにおいて、透明基板24上には、透明電極26、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、透明導電膜23からなる第3層が形成されている。なお、この積層構造では第2層22、第3層23の順序を入れ替えることが可能である。
実施の態様3C:第1層、第2層、第3層およびMo膜またはMo合金膜の五層構造の電極
図16は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図16の電極構造20Jは、上述した図15の電極構造20Iにおいて、第1層21を構成するAl/Al合金膜の上下にMo膜またはMo合金膜25を積層した五層構造である。Mo膜またはMo合金膜25の効果は、上記図6で説明した通りである。この図16では、第1層21の上下共にMo膜またはMo合金膜25を積層しているが、第1層21の上または下のいずれかにMo膜またはMo合金膜25が形成されていてもよい。
なお、前記の図14、図15および図16に示す電極の積層構造は、透明基板24と本発明の電極との間に透明電極26が介在している例を示しているが、これに限定されず、例えば、透明電極26の代わりにまたは透明電極26と共に、絶縁層や接着層などが介在する場合や、透明基板と本発明の電極が直接接触する場合も含まれる。
実施の態様4:入力装置例その2における断面構造例その2
前記図12の断面構造の他の一例として、図17の断面構造60が挙げられる。図17において前記図12と同一箇所には同一符号を付している。図17の断面構造60では、第2の透明基板、即ちカバーガラス41の裏面側に、透明電極52Aや53、絶縁層54、および第1のブリッジ電極52Bとして金属電極が設けられており、この点が前述の実施の態様3と異なる。図13における矢印は、表面側から見る方向を示す。図17に示すように、接着層44は、第1の透明基板であるカラーフィルタ基板と、これに対向する第1、第2の透明電極52A、53および第1のブリッジ電極52Bを接合する層として設けられる。
前記図17における第1のブリッジ電極52Bとして、本発明の電極を好適に用いることができる。以下では、前記図17のA3−A3における断面構造の好ましい例として、図18、図19および図20の構造を示しながら、本発明の電極の好ましい実施形態を詳しく説明する。
実施の態様4A:第1層と第2層の二層構造からなる電極
図18は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図18の電極構造20Kにおいて、透明基板24には、静電容量を形成する透明電極26、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、Al膜またはAl合金膜からなる第1層21が少なくとも形成されている。本態様では、第1層21のAl/Al合金膜が視認されないように、光学調整層である第2層22が、視認される側、すなわち透明基板により近い位置に設けられる。
実施の態様4B:第1層、第2層および第3層からなる三層構造の電極
図19は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図19の電極構造20Lにおいて、透明基板24には、静電容量を形成する透明電極26、透明導電膜からなる第3層23、規定のアモルファスなAl窒化膜からなる第2層22、およびAl膜またはAl合金膜からなる第1層21が少なくとも形成される。本態様では、第1層21のAl合金膜層が視認されないように、光学調整層である第2層22、第3層23が、視認される側、すなわち透明基板24により近い位置に設けられる。なお、この積層構造において第2層22、第3層23の順序は入れ替わっていてもよい。
実施の態様4C:第1層、第2層、第3層およびMo膜またはMo合金膜の五層構造の電極
図20は、本発明の電極の別の構造例を示す図である。図20の電極構造20Mは、上述した図19の電極構造20Lにおいて、第1層21を構成するAl/Al合金膜の上下にMo膜またはMo合金膜25を積層した五層構造である。Mo膜またはMo合金膜25の効果は、上記図6で説明した通りである。この図20では、第1層21の上下共にMo膜またはMo合金膜25を積層しているが、第1層21の上または下のいずれかにMo膜またはMo合金膜25が形成されていてもよい。
以上、本発明の電極について詳述した。
本明細書において「電極」は電極形状に加工する前の配線も含む。上述したように本発明の電極は、低いシート抵抗と低い反射率を兼ね備えているため、入力装置の入力領域に用いられる電極のみならず、当該電極を延長してパネル外周部の配線領域にも適用可能である。
前述した実施の態様1および実施の態様2では、検出用電極および駆動用電極を金属電極により形成し、入力装置を液晶のカラーフィルタとカバーガラスの間に形成する、いわゆるオンセル型構造に適用する例を示し、その構成を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。
また、前述の実施の態様3および実施の態様4では、検出用電極および駆動用電極を透明電極とし、前記透明電極間のブリッジ電極を金属電極により形成する入力装置を、液晶セルとは別個に形成する、いわゆるアウトセル型構造に適用する例を示し、その構成を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものでもない。
本発明の電極は、例えば液晶表示装置内、例えばTFT基板とカラーフィルタ基板の間に入力装置の電極を組み込んだいわゆるインセル型構造に適用することも可能である。このように本発明は前記実施の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
また本発明の電極が適用される入力装置には、タッチパネルなどのように表示装置に入力手段を備えた入力装置;タッチパッドのような表示装置を有さない入力装置の両方が含まれる。具体的には上記各種表示装置と位置入力手段を組み合わせ、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置や、位置入力手段上の入力位置に対応して別途設置されている表示装置を操作する入力装置の電極にも本発明の電極を用いることができる。上記入力装置には、本発明の電極に加えて、上記に例示した通り、透明基板、透明電極、接着層、絶縁膜等が含まれうるが、これらは、タッチパネルやタッチパッド等で用いられているものを採用することができる。
次に、本発明の電極を製造する方法について説明する。以下では前述の実施の態様1Aを例に製造方法を説明する。
上述した積層構造を有する電極を製造するに当たっては、細線化や膜内の合金成分の均一化、更には添加元素量の制御のし易さなどの観点から、スパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法にて成膜することが好ましい。
特に本発明の電極を特徴付ける第2層を構成する、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜を成膜するには、例えば後にも示す通り、Alスパッタリングターゲットと、窒素ガスとを用いる反応性スパッタリング法を採用することが好ましい。すなわち、本発明に係る電極の製造方法は、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって上記第2層を構成するAl窒化膜を成膜するところに特徴がある。
上記第2層を成膜するための反応性スパッタリング法の条件は、導入したい窒素原子比率などに応じて適切に制御すれば良いが、以下のように制御することが好ましい。
・到達真空度:1×10-6Torr以下
・全ガス圧:1〜5mTorr
・雰囲気ガス:窒素ガスとArガスとの混合ガス
・成膜時の窒素ガス流量比率:11〜18%
・スパッタパワー:100〜500W
・基板温度:室温〜400℃
使用するスパッタリングターゲットは、Alのスパッタリングターゲットを用いれば良い。スパッタリングターゲットの形状は特に限定されず、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状、例えば角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状、円筒状などに加工したものを用いることができる。
但し、第2層の成膜方法は上記方法に限定されない。例えば、予め窒化処理された、Al窒化物スパッタリングターゲットを用い、Ar等の希ガス元素のみを含む雰囲気、即ち窒素ガスの導入なしでスパッタリングし、所望とする第2層を成膜してもよい。
本発明は上記第2層の成膜方法に特徴があり、それ以外の各層の成膜方法は、本発明の技術分野において通常用いられる方法を適宜採用することができる。
上記製造方法では、例として前述の実施の態様1Aに係る電極の製造方法を示したが、他の実施の態様においても、上記第1層と第2層の形成順序を替えて製造することができる。また、第3層である透明導電膜や、更に積層させるMo膜またはMo合金膜、透明電極を構成する酸化物層等を、公知の方法で形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。即ち、以下では、前述の実施の態様1と実施の態様2に係る例を示しているが、本発明の電極を他の実施の態様に適用した場合も同様の効果を奏する。
[実施例1]
本実施例では、透明基板側から順に、第1層、第2層および第3層を積層させた構造の試料を作製した。第1層として表2に記載のAl合金膜、第2層として表1に記載のAl窒化膜、および、第3層として表2に記載の透明導電膜であるIZO薄膜を順に積層させて、表3に示す積層膜の試料を成膜した。そして、この積層膜の反射率およびシート抵抗を測定した。以下では、透明基板側から順に、第1層、第2層、第3層を成膜する方法を順番に説明する。
(1)試料の作製
(1−1)第1層の成膜
まず、透明基板として、板厚0.7mm、直径4インチの無アルカリ硝子板を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、表2または表3に示す第1層を成膜した。成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、上記金属膜と同一の成分組成を有する直径4インチの円盤型スパッタリングターゲットを用い、下記条件でスパッタリングを行った。
スパッタリング条件
・Arガス圧:2mTorr
・Arガス流量:30sccm
・スパッタパワー:250W
・基板温度:室温
(1−2)第2層の成膜
第2層が表1に記載の組成となるよう、Alターゲットを用い、以下の条件で、窒素ガスとの反応性スパッタリング法による成膜を行ないAl窒化膜を形成した。成膜時のガス圧は2mTorrに固定し、窒素ガスの流量比率が下記のようになるようArガスと窒素ガスの流量を調整した。
反応性スパッタリング条件
・ガス圧:2mTorr
・成膜ガス:Arガスと窒素ガスとの混合ガス
・窒素ガスの流量比率:10%〜33%
・スパッタパワー:500W
・基板温度:室温
尚、後述する第2層の光学定数および電気抵抗率の測定、ならびに第2層の窒素原子比率の分析には、試料として、板厚0.7mm、直径4インチの無アルカリ硝子板に、前記第2層のみを前記条件で成膜したものを用いた。また、第1層の電気抵抗率の測定用に、前記第1層のみを前記条件で成膜したものも用意した。
(1−3)第3層の成膜
上記のようにして第2層のAl窒化膜を成膜した後、引き続き、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、下記のスパッタリング条件で、透明導電膜としてIZO膜を成膜した。透明導電膜の成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、透明導電膜と同一組成であって直径4インチの円盤型のIZOスパッタリングターゲットを用いた。
スパッタリング条件
・ガス圧:2mTorr
・Arガス流量:18sccm
・Oガス流量:1sccm
・スパッタパワー:250W
・基板温度:室温
このようにして得られた積層膜の反射率、シート抵抗を測定した。また、第2層の窒素原子比率、膜の結晶状態、光学定数として屈折率と消衰係数、分光特性として反射率と透過率と吸収率、および電気抵抗率を測定した。加えて第1層の電気抵抗率を以下のようにして測定した。更には第3層として用いたIZO膜、および第3層として用いうるITO膜の電気抵抗率も以下の様にして測定した。
(1)第2層の窒素原子比率の分析
表1に示す第2層の一部の窒化状態を調べるため、アルバック・ファイ社製 PHI-710型走査型オージェ電子分光装置を用いて、エネルギー:3keV、電流:約8nAの電子線を試料傾斜角度60°で第2層単膜試料に照射し、AESスペクトル(Auger Electron Spectroscopy スペクトル、オージェスペクトルともいう)を測定した。第2層の深さ方向については、Ar+のイオンスパッタでエッチングしながら、上記の条件で同様に測定を行った。上記方法で測定したAl原子とX群元素原子と窒素原子との総量を分母としたときの、窒素原子の含有比率を、第2層中の窒素原子比率として求めた。その結果を表1の「窒素原子比率」の欄に記載する。
(2)第2層の結晶構造の解析
上記の方法で得られた第2層単膜について、リガク社製 水平型X線回折装置 SmartLabを用い、X線出力:45kV-200mAのX線を入射角度0.5°、測定角度10°〜90°の範囲で試料に照射し、X線回折スペクトルを測定した。表1に示すNo.1、No.3およびNo.5の膜の結晶状態解析を行った結果を、図21に記載する。
この図21から、No.1は、2θ=約33degや2θ=36deg、2θ=38deg、2θ=50deg、2θ=59deg、2θ=66degにAl窒化物(AlN)由来の結晶ピークが測定されるため、結晶状態は微結晶であると判断した。No.5は、Al窒化物由来のピークがなく、金属Al由来のピークのみが2θ=約38deg、2θ=45deg、2θ=65deg、2θ=78deg、2θ=82degで測定されたため、結晶状態はメタルライクであると判断した。これに対し、No.3は、上記No.1の様なAl窒化物由来のピークも上記No.5の様な金属Al由来のピークも測定されなかったため、結晶状態はアモルファスであると判断した。尚、表1に示すNo.2および4も同様の結晶状態解析を行い、結晶状態はアモルファスであると判断した。
(3)第2層の光学定数である、屈折率と消衰係数の測定
上記の方法で得られた第2層の単膜について、J.A.Woollam.Japan社製 分光エリプソメーターM−2000Uを用い、光学定数として屈折率と消衰係数を測定した。そして本実施例では、λ=450nm、550nm、650nmのいずれの波長域においても全て消衰係数が2.0以上、かつλ=450nm、550nm、650nmのいずれの波長域においても全て屈折率が1.0以上の場合を合格とした。
(4)第2層の分光特性(反射率と透過率と吸収率)
上記の方法で得られた積層膜の反射率と透過率について、日本分光社製V−570分光光度計を用い、450nm、550nm、650nmでの絶対反射率を測定して求めた。吸収率は下記式(1)より求めた。
吸収率(%)=100−(反射率)−(透過率)…(1)
(5)第2層の電気抵抗率の測定
4端子法で電気抵抗率を測定した。尚、表1において、例えばNo.1の「1.00E−03」は、1.00×10-3を意味する。この表記方法は、下記表2における第1層と第3層の電気抵抗率についても同じである。
(6)第1層と第3層の電気抵抗率の測定
4端子法で第1層と第3層のそれぞれの電気抵抗率を測定した。本実施例では、第1層の電気抵抗率が20μΩ・cm以下のものを合格と評価した。その結果を表2に示す。表2から本実施例で用いたAl合金膜はいずれも電気抵抗率が20μΩ・cm以下であることがわかる。
(7)積層膜の反射率の測定
上記の方法で得られた積層膜の反射率について、日本分光社製V−570分光光度計を用い、450nm、550nm、650nmでの絶対反射率を測定して求めた。波長450nm、550nm、650nmでの反射率がいずれも50%以下のものを合格、即ち低反射率に優れると評価し、一つでも50%超のものを不合格と評価した。
(8)積層膜のシート抵抗の測定
4端子法でシート抵抗を測定した。本実施例では、シート抵抗が2.0Ω/□以下のものを合格と評価した。
これらの結果を表1〜3に示す。表1の最右欄に「評価」の欄を設け、屈折率と消衰係数の全てが合格のものは「OK」と評価し、いずれか一つが不合格のものは「NG」と評価した。
まず、表1を参照する。表1には、純Alを窒化したAl窒化膜の窒素原子比率と膜の結晶状態、第2層単膜の膜厚50nm試料の波長450nm、550nm、650nmでの光学定数として屈折率と消衰係数、第2層単膜の膜厚50nm試料の波長450nm、550nm、650nmでの分光特性として反射率と透過率と吸収率、および電気抵抗率を併せて示している。
表1より次のことがわかる。No.1のAl窒化物は、窒素原子比率が62原子%超であり、X線回折装置による結晶状態解析でAl窒化物に由来するピークの測定された微結晶なAl窒化物である。このNo.1のAl窒化物は、消衰係数が小さく、そのため吸収率も小さくなった。またNo.5のAl窒化物は、窒素原子比率が27原子%未満であり、X線回折装置による結晶状態解析で、金属Alに由来するピークが測定されたメタルライクなAl窒化物である。このNo.5のAl窒化物は、屈折率が小さく、消衰係数が大きいため反射率が高くなった。
これに対してNo.2〜4のAl窒化物は、窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜である。このNo.2〜4のアモルファスなAl窒化物は、測定した光学定数と分光特性が共に良好であり、更には電気抵抗率も抑えられているため、第2層として好適であることがわかる。
次に、表3に基づき積層膜について考察する。
表3のNo.1〜2、5、および22〜23の結果から、第2層を構成するAl窒化膜の窒素原子比率と膜の結晶状態が、積層膜の特性に及ぼす影響をみることができる。詳細には、表3のNo.2、5、および22は、上述した表1のNo.2〜4に示す通り規定のアモルファスなAl窒化物を第2層として積層しているため、積層膜の反射率が抑えられた。これに対し、表3のNo.1は、第2層として表1のNo.1を用いた例である。この表1のNo.1に示す通り、第2層の膜質、即ち窒素原子比率と膜の結晶状態が本発明で規定の範囲を外れていると、消衰係数が小さく吸収率が低いため、積層膜の反射率を50%以下にすることができなかった。また、表3のNo.23は、第2層として表1のNo.5を用いた例である。この表1のNo.5に示す通り、第2層の膜質、即ち窒素原子比率と膜の結晶状態が本発明で規定の範囲を外れていると、屈折率が小さく、消衰係数が大きいため反射率が高くなり、結果として、積層膜の反射率を50%以下にすることはできなかった。
表3のNo.3〜5の結果から、第1層の膜厚が積層膜の特性に及ぼす影響をみることができる。詳細には、No.3は第1層の膜厚が好ましい範囲を下回っているため、積層膜のシート抵抗が高くなった。これに対しNo.4および5の通り、第1層の膜厚が好ましい範囲にあると、積層膜のシート抵抗は一定範囲内に抑えられた。
表3のNo.5〜9の結果からは、第2層や第3層の膜厚が積層膜の特性に及ぼす影響をみることができ、この表3のNo.5〜9に示すように、第2層や第3層の膜厚がどの様な構成であっても積層膜の反射率およびシート抵抗の両方を低く抑えられることがわかる。
表3のNo.5、および10〜21の結果からは、第1層の種類、特に第1層の成分組成が積層膜の特性に及ぼす影響をみることができる。これらの例は、表2に示すAl膜または各種のAl合金膜を第1層として形成した例である。表3のこれらの例から、第2層が規定のアモルファスなAl窒化膜であれば、第1層がAl膜または各種のAl合金膜のいずれであっても、積層膜は所望の特性を満たすことがわかる。
[実施例2]
本実施例では、透明基板側から順に、第3層、第2層および第1層を積層させた構造、または透明基板側から順に、第2層および第1層を積層させた構造の試料を、下記の通り作製した。
(1)試料の作製
(1−1)第3層の成膜
まず、透明基板として無アルカリ硝子板(板厚0.7mm、直径4インチ)を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、表4または表5に示す第3層としてIZO膜を成膜した。成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、透明導電膜と同一の成分組成を有する直径4インチの円盤型IZOスパッタリングターゲットを用い、下記条件でスパッタリングを行った。
スパッタリング条件
・ガス圧:2mTorr
・Arガス流量:18sccm
・Oガス流量:1sccm
・スパッタパワー:250W
・基板温度:室温
(1−2)第2層の成膜
第2層が表4または表5に記載の窒素原子比率と膜の結晶状態になるように、Alターゲットを用い、以下の条件で、窒素ガスとの反応性スパッタリング法による成膜を行なった。
反応性スパッタリング条件
・Arガス圧:2mTorr
・Arガス流量:15sccm
・窒素ガス流量:3sccm
・スパッタパワー:500W
・基板温度:室温
(1−3)第1層の成膜
上記の通り、第2層のAl窒化膜を成膜した後、引き続き、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、表4または表5に示す第1層を成膜した。成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、上記金属膜と同一の成分組成を有する直径4インチの円盤型スパッタリングターゲットを用い、下記条件でスパッタリングを行った。
スパッタリング条件
・Arガス圧:2mTorr
・Arガス流量:30sccm
・スパッタパワー:250W
・基板温度:室温
そして得られた試料を用い、実施例1と同様にして、積層膜の反射率と積層膜のシート抵抗を測定した。その結果を表4または表5に併記する。
表4および表5より、No.1〜10および12〜23のいずれも、第1層および第2層として本発明に規定する要件を満足するものを用い、更には推奨される要件を満たす第3層を形成しているため、積層膜の反射率およびシート抵抗の両方を低く抑えることができた。
なお表4では、特に第2層と第3層の膜厚を変えて積層膜を形成している。表4の結果から、波長が短くなるほど反射率が大きくなる傾向にあることがわかる。波長550nmや波長650nmの反射率は、第3層のみならず第2層の影響も受けていると思われる。この表4の例では、第3層の膜厚が45〜60nmでかつ第2層の膜厚が40〜60nmの範囲内で、波長550nmや波長650nmの反射率をより低く抑えられることがわかる。
また表5では、第1層として、表2に示すAl膜または各種Al合金膜を用いている。表5に示す例から、第2層が規定のアモルファスなAl窒化膜であれば、第1層がAl膜または各種のAl合金膜のいずれであっても、積層膜は所望の特性を満たすことがわかる。
1 液晶表示装置
2 TFT基板
3 対向基板
4 カラーフィルタ基板
5A、5B、5C カラーフィルタ
6 ブラックマトリックス
7 液晶層
8 液晶封止材
10 入力装置
11 第1の金属電極、駆動用電極
12 第2の金属電極、検出用電極
13 絶縁層
13A 第1の絶縁層
13B 第2の絶縁層
14 カバーガラス
15 バックライト
20A、20B、20C、20E、20F、20G、20H、20I、20J、20K、20L、20M 電極構造
21 第1層
22 第2層
23 第3層
24 透明基板
25 Mo膜またはMo合金膜
26 透明電極
30 入力装置
31A 第1の電極パターン
31B 第1のブリッジ電極
31C 第1の電極の外周配線
32A 第2の電極パターン
32B 第2のブリッジ電極
32C 第2の電極の外周配線
33 透明基板
40 液晶表示装置
41 カバーガラス
42 タッチパネル
43 ディスプレイ
44 接着層
50 断面構造
52A 第1の透明電極
52B 第1のブリッジ電極
53 第2の透明電極
54 絶縁層

Claims (12)

  1. Al膜またはAl合金膜からなる第1層
    窒素原子比率が27原子%以上62原子%以下であり、かつX線回折装置による結晶状態解析で金属AlまたはAl窒化物に由来するピークの測定されないアモルファスなAl窒化膜からなる第2層と、
    透明導電膜からなる第3層の積層構造を有し、
    前記第3層の膜厚が45〜60nmでかつ前記第2層の膜厚が40〜60nmであることを特徴とする電極。
  2. さらに基板を有し、前記基板側から順に前記第3層、前記第2層、前記第1層が積層されてなる請求項1に記載の電極。
  3. 前記第2層は、波長450nm、波長550nm、および波長650nmの消衰係数が2.0以上を有する請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記第1層の少なくとも一方の面に、Mo膜またはMo合金膜を有する請求項1〜3のいずれかに記載の電極。
  5. 前記第3層は、少なくともInを含む酸化物からなる透明導電膜である請求項〜4のいずれかに記載の電極。
  6. 前記第1層の電気抵抗率は20μΩ・cm以下である請求項1〜5いずれかに記載の電極。
  7. 前記第1層のAl合金膜は、Alと;Nd、Cu、Mn、Ta、Ge、La、Zr、およびNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素と;を含む請求項1〜6のいずれかに記載の電極。
  8. 前記第1層の膜厚が50〜400nmである請求項1〜7のいずれかに記載の電極。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を有する入力装置。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を有するタッチパネルセンサー。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を有する表示装置。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を製造する方法であって、
    窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって前記第2層を成膜することを特徴とする電極の製造方法。
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