JP6223097B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法、並びに、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents
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Description
発泡成形体は、例えば、発泡剤を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、水蒸気などの加熱媒体によって加熱しつつ発泡させて予備発泡粒子とし、この予備発泡粒子を、成形型のキャビティ内に充填した上で、成形型内に水蒸気などの加熱媒体を圧入して予備発泡粒子を加熱しつつ発泡させて、予備発泡粒子間の隙間を埋めながら発泡圧によって互いに融着一体化させた後、得られた発泡成形体を型内にて冷却する冷却工程を経て製造される。
また、熱可塑性樹脂と、発泡剤として該熱可塑性樹脂の軟化点より低い沸点を有する炭化水素と、を含有する粒子に、炭素数7〜12の中鎖飽和脂肪酸トリグリセリドを該熱可塑性樹脂に対して0.3〜2.5重量%含有させた、発泡性熱可塑性樹脂粒子が提案されている(特許文献2参照)。
これに対して、従来、ステアリン酸トリグリセリド(粉体状)やメチルフェニルシリコーンオイル(液体状)等の添加剤(ハイサイクル剤)が用いられている。
また、一般的に、平均気泡径が大きい発泡成形体(平均気泡径150〜300μm)の製造の場合には、平均気泡径が小さい発泡成形体(平均気泡径60〜100μm)の製造の場合に比べて、成形サイクルが長くなりやすい。
特に、ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを含有する溶融樹脂を、押し出して粒状に成形した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体の平均気泡径(150〜300μm程度)は、懸濁重合法などにより調製される汎用の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形体の平均気泡径(60〜100μm程度)に比べて大きい。そのため、前者の発泡成形体の製造においては、成形サイクルが長くなりやすく、成形サイクルの短縮化が強く要望されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いた場合、要望される成形サイクル短縮の効果は得られず、さらに、脂肪酸のトリグリセリドがポリスチレン系樹脂粒子から剥離しやすいという問題がある。また、上記特許文献2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いた場合、得られる発泡成形体の機械強度が低くなりやすいという問題がある。
また、従来のハイサイクル剤では、成形サイクル短縮の効果は小さく、充分な成形サイクル短縮の効果を得るためには、ハイサイクル剤の使用量を通常よりも多くする必要があった。しかし、ハイサイクル剤の使用量の増加に伴い、粉体状のハイサイクル剤を用いた場合には、ハイサイクル剤が樹脂粒子から剥離する課題があり、液体状のハイサイクル剤を用いた場合には、樹脂粒子の表面が調製後から使用時までベトついて粒子の流動性が悪く、輸送不良を生じやすいという課題があった。
かかる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法においては、前記工程(ii)で前記発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に前記トリグリセリド(C)を塗布した後、任意の時間放置することが好ましい。
本発明の発泡成形体は、上記本発明のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形してなることを特徴とする。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂(A)と、発泡剤(B)と、炭素数6〜11の脂肪酸を主成分とする脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド(C)と、を含有する。
ポリスチレン系樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられる。(A)成分の中でも、スチレン系単量体単位を50質量%以上含有する樹脂が好ましい。スチレン系単量体の中でも、スチレンが好ましい。
このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等の単官能モノマーの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の二官能性モノマーなどが挙げられる。
なお、上記の「スチレン系単量体を主成分とする」とは、前記スチレン系単量体と前記ビニル単量体との合計に対して前記スチレン系単量体が50質量%以上であることを意味する。
(A)成分のMwが好ましい下限値以上であると、充分な強度を有する発泡成形体が得られやすくなり、一方、好ましい上限値以下であると、外観美麗な発泡成形体が得られやすくなる。
樹脂の質量平均分子量(Mw)の測定方法:
試料の樹脂約50mgを、テトラヒドロフラン(THF)10mLに浸漬して24時間室温に保管する。これを、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過した後、HPLCを用いて測定を行い、ポリスチレン換算分子量を求める。なお、前記測定においては、THFに代えてクロロホルムを用いることもできる。
具体的には、例えば、測定装置としてWaters社製のHPLC(Detecter484,Pump510)を用いる。カラムとして昭和電工株式会社製のShodexGPCK−806L(直径0.8mm×長さ300mm)2本を用いる。
測定条件を、カラム温度:40℃、移動相:THF、移動相流速:1.2mL/min、注入・ポンプ温度:室温、検出:UV254nm、注入量:50μLに設定する。
検量線用標準ポリスチレンとして、昭和電工株式会社製のShodex(分子量103万)、並びに、東ソー株式会社製の分子量が548万、384万、34.5万、10.2万、37900、9100、2630及び495のものを用いる。
他の樹脂としては、発泡成形体の耐衝撃性を向上させる樹脂として、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を含むゴム変性ポリスチレン系樹脂(いわゆるハイインパクトポリスチレン等の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂)が好ましい。
あるいは、他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体なども挙げられる。
再生ポリスチレン系樹脂としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、家電等の梱包用緩衝材、魚箱、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したポリスチレン系樹脂を用いることができる。
また、再生ポリスチレン系樹脂は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えばテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)や事務用機器(例えば複写機、ファクシミリ、プリンター等)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練し、リペレットした再生ポリスチレン系樹脂を用いることができる。
発泡剤(B)(以下「(B)成分」ともいう)としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)等のクロロフルオロカーボン;1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロメタン(HFC−32)等のフルオロカーボン;各種アルコール、二酸化炭素、水、窒素などの物理発泡剤が挙げられる。これらの中でも、(B)成分としては、脂肪族炭化水素が好ましく、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンがより好ましい。その中でも、溶融押出法による発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の製造に好適であることから、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンがさらに好ましく、n−ペンタン、イソペンタンが特に好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して3〜10質量部であることが好ましく、4〜8質量部であることがより好ましい。
本発明におけるトリグリセリド(以下「(C)成分」ともいう)は、炭素数6〜11の脂肪酸を主成分とする脂肪酸と、グリセリンと、のトリグリセリドである。該(C)成分を含有することで、成形サイクルの短縮化が図れる。加えて、該(C)成分は樹脂粒子からの剥離を生じにくく、また、該(C)成分を用いることで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は良好な流動性を示す。
「炭素数6〜11の脂肪酸を主成分とする脂肪酸」とは、脂肪酸の全体に占める、炭素数6〜11の脂肪酸(C6〜11脂肪酸)の割合が50質量%以上である脂肪酸を意味する。このC6〜11脂肪酸の割合が50質量%以上である脂肪酸と、グリセリンと、のトリグリセリドを用いることで、成形サイクルが短縮されるとともに、樹脂粒子からのハイサイクル剤の剥離を生じにくく、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は良好な流動性を示す。このC6〜11脂肪酸の割合は、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
「脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合(質量%)」は下式で算出される。
脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合(質量%)
=炭素数6〜11の脂肪酸成分の質量/全ての脂肪酸成分の質量×100
炭素数6〜11の脂肪酸として具体的には、炭素数6のカプロン酸(C5H11COOH:融点−3℃(凝固点))、炭素数8のカプリル酸(C7H15COOH:融点16℃(タイター))、炭素数10のカプリン酸(C9H19COOH:融点31℃(タイター))が好ましく、カプリル酸、カプリン酸がより好ましい。
ただし、(C)成分中の全てのアシル基のうち、炭素数6〜11のアシル基の占める割合は50質量%以上であり、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
(C)成分として具体的には、カプロン酸とグリセリンとのトリグリセリド、カプリル酸とグリセリンとのトリグリセリド、カプリン酸とグリセリンとのトリグリセリド、又はこれらの混合物が挙げられる。
また、(C)成分としては、炭素数6〜11の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリドを主成分とし、これに炭素数6〜11以外の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリドを併用したもの;1分子中に炭素数6〜11のアシル基と炭素数6〜11以外のアシル基とが混在したトリグリセリドを含み、トリグリセリド混合物中の全てのアシル基のうち、炭素数6〜11のアシル基の占める割合が50質量%以上であるものも挙げられる。
炭素数6〜11以外の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリドとしては、ラウリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、オレイン酸トリグリセリド、リノール酸トリグリセリド、リノレン酸トリグリセリド、絡酸トリグリセリド等が挙げられる。
前記質量比が好ましい下限値以上であれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性がより高まり、一方、前記質量比が好ましい上限値以下であれば、樹脂粒子からのトリグリセリドの剥離がより抑制される。
理研ビタミン株式会社製の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド(中鎖脂肪酸トリグリセリド)である、アクターM−1(脂肪酸組成は、炭素数8の脂肪酸60質量%、炭素数10の脂肪酸40質量%:融点−6.5℃(曇点))、アクターM−2(脂肪酸組成は、炭素数8の脂肪酸100質量%:融点−12℃(曇点))、アクターM−3(脂肪酸組成は、炭素数8の脂肪酸75質量%、炭素数10の脂肪酸25質量%:融点−5℃以下(曇点))、アクターM−4(脂肪酸組成は、炭素数8の脂肪酸85質量%、炭素数10の脂肪酸15質量%:融点−5℃以下(曇点))、アクターM−107FR(脂肪酸組成は、炭素数8の脂肪酸40質量%、炭素数10の脂肪酸30質量%、その他の脂肪酸30質量%:融点−5℃以下(曇点))。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.01質量部以上0.3質量部未満であり、0.02〜0.28質量部であることが好ましく、0.03〜0.25質量部であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、発泡成形体の製造において、冷却時間をより短くでき、成形サイクルの短縮化が図れる。一方、(C)成分の含有量が好ましい上限値未満であれば、強度の高い発泡成形体が得られる。
他の成分としては、発泡核剤(タルクなどの無機微粉末、化学発泡剤等)、帯電防止剤(ポリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセリドなど)、ブロッキング剤(ステアリン酸亜鉛など)等が挙げられる。
上述した本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前記ポリスチレン系樹脂(A)に前記発泡剤(B)を含有させて、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程(i)と、前記工程(i)で得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、前記トリグリセリド(C)を塗布する工程(ii)と、を備える方法によって好適に製造することができる。
工程(i)では、前記ポリスチレン系樹脂(A)に前記発泡剤(B)を含有させて、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を得る。
この発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子は、公知の方法により製造でき、例えば、
(1)ポリスチレン系樹脂(A)と発泡剤(B)とを含有する溶融樹脂を粒状に成形する溶融押出法、
(2)水性媒体及びポリスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、ポリスチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、撹拌しながら単量体を連続的に又は断続的に供給して、ポリスチレン系樹脂粒子に単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて(シード重合法により)ポリスチレン系樹脂粒子を調製し、該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤(B)を含有させる方法、
(3)水性媒体、スチレン系単量体を含む単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、撹拌しながら単量体を懸濁重合させ、必要に応じて分級してポリスチレン系樹脂粒子を調製し、該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤(B)を含有させる方法などが挙げられる。
前記(1)の溶融押出法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、ポリスチレン系樹脂(A)を含む樹脂を溶融して溶融樹脂とし、該溶融樹脂に発泡剤(B)を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を得る。得られた発泡剤含有の溶融樹脂を、小孔から直接に冷却用液体中に押し出しつつ、その押出物を冷却用液体中で切断するとともに、その押出物を冷却用液体との接触により冷却固化する。
このような溶融押出法を用いることで、発泡剤(B)がポリスチレン系樹脂(A)中に均一に分散した発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
図1に示す製造装置10は、押出機1と、ダイ2と、高圧ポンプ4と、カッティング室7と、を備える。
押出機1には、ポリスチレン系樹脂(A)等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内に供給口5を通して発泡剤(B)を圧入する高圧ポンプ4と、が設けられている。
ダイ2は、押出機1の先端に取り付けられ、多数の小孔を有する。
カッティング室7には、ダイ2の小孔から吐出する樹脂を冷却する冷却水が循環供給され、該樹脂を冷却しつつ切断するカッター6(高速回転刃)が回転可能に設けられている。
また、カッター6が設けられたカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
次いで、加熱溶融したポリスチレン系樹脂(溶融樹脂)をダイ2側に移送しながら、供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤(B)を圧入して溶融樹脂と発泡剤とを混合する。発泡剤(B)を圧入する際の押出機1内の圧力は、5〜25MPa程度とすることが好ましい。
次いで、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、発泡剤(B)を圧入した溶融物をさらに混練しながらダイ2側に移送させ、該溶融物を、押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出す。
本発明において、「樹脂粒子の平均粒子径」は、ロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて分級操作を行うことにより測定される値を示す。
発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の形状は、球状又は略球状であることが好ましい。
前記(2)又は前記(3)の方法に用いられる単量体としては、スチレン系単量体、このスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体が挙げられ、それぞれ上記(ポリスチレン系樹脂)についての説明の中で例示したスチレン系単量体、ビニル単量体が挙げられる。
また、前記の懸濁重合法又はシード重合法においては、単量体の液滴又は熱可塑性樹脂種粒子の分散性を安定させるために、懸濁安定剤を水性媒体に予め添加してもよい。懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子;第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩などが挙げられる。難水溶性無機塩を用いる場合には、アニオン界面活性剤が通常、併用される。
該アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタレンスルホン酸塩などが挙げられ、なかでもアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤(B)を含浸させるためには、例えば、ポリスチレン系樹脂粒子が水性媒体に分散したスラリーを、オートクレーブなどの耐圧容器内に入れた後、発泡剤(B)を耐圧容器内に供給し、一定時間保持すればよい。
工程(ii)では、前記工程(i)で得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、前記トリグリセリド(C)(炭素数6〜11の脂肪酸を主成分とする脂肪酸と、グリセリンと、のトリグリセリド)を塗布する。
発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、前記トリグリセリド(C)を塗布する方法は、特に限定されず、例えば、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子とトリグリセリド(C)とを混合する方法が挙げられる。
図2に示すミキサー20は、円筒状の撹拌槽26と、シャフト23と、シャフト23を回転駆動させるモータ25と、を備える。
撹拌槽26は、その上部に原料(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子及びトリグリセリド(C)等)を投入する投入口21と、その下部に調製品(トリグリセリド(C)等が塗布された発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子)が排出される排出口22と、を有する。
シャフト23は、撹拌槽26内に、撹拌槽26の上下方向に対して垂直方向に、回転可能に挿通されている。また、シャフト23には、複数枚の撹拌羽24が離間して設けられている。
このとき、トリグリセリド(C)は、最終的に調製される発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中のトリグリセリド(C)の含有量が、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して0.01質量部以上0.3質量部未満となるように配合される。
後者の場合、かかる脂肪酸グリセリンエステル混合物は、成形サイクルを短縮でき、樹脂粒子から剥離しにくいことから、常温(25℃)で液体であることが好ましい。
また、かかる脂肪酸グリセリンエステル混合物は、トリグリセリド(C)を50質量%以上含んでいることが好ましく、トリグリセリド(C)を65質量%以上含んでいることがより好ましい。トリグリセリド(C)の割合がこの好ましい下限値以上であれば、成形サイクルの短縮化が図れ、また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性がより高まる。かかる脂肪酸グリセリンエステル混合物として、特に好ましくは、炭素数8〜10の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリドを65質量%以上含むものである。
また、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子とトリグリセリド(C)とを混合する際、トリグリセリド(C)に加えて、帯電防止剤(ポリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセリドなど)、ブロッキング剤(ステアリン酸亜鉛など)等を共に混合してもよい。
発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子表面にトリグリセリド(C)を塗布した後に放置する時間としては、3時間以上が好ましく、8〜120時間がより好ましく、10〜100時間がさらに好ましい。該塗布後に放置する時間を前記好ましい時間以上とすることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面のベトつきが充分に低減して、粒子の流動性が高まり、輸送不良等をより生じにくくなる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の形状は、球状又は略球状であることが好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子(以下単に「予備発泡粒子」ともいう)は、上記本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して発泡させてなるものである。
予備発泡粒子の平均粒子径は、高強度の発泡性形体が得られやすいことから、0.3〜8.0mmであることが好ましく、0.5〜7.0mmであることがより好ましい。
予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、製造目的とする発泡成形体の用途等を勘案して決定され、例えば、10倍以上(嵩密度0.10g/cm3以下)が好ましく、30倍以上(嵩密度0.033g/cm3以下)がより好ましく、40倍以上(嵩密度0.025g/cm3以下)がさらに好ましい。予備発泡粒子の嵩発泡倍数が好ましい下限値以上であれば、多種多様な用途の発泡成形体に適用できる。
予備発泡粒子の嵩密度の測定方法:
予備発泡粒子の質量(W)gを小数点以下2位まで秤量する。次に、メスシリンダー内に秤量した予備発泡粒子を自然落下により充填し、メスシリンダー内に落下させた予備発泡粒子の体積(V)cm3を、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。そして、下式に基づいて予備発泡粒子の嵩密度を求める。
嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm3)
本発明の発泡成形体は、上記本発明のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形してなるものである。
本発明の発泡成形体の密度は、特に限定されないが、通常は0.010〜0.60g/cm3の範囲内が好ましく、0.015〜0.20g/cm3の範囲内がより好ましく、0.015〜0.10g/cm3の範囲内がさらに好ましい。
発泡成形体の発泡倍数は、製造目的とする発泡成形体の用途等を勘案して決定され、例えば、10倍以上(密度0.10g/cm3以下)が好ましく、30倍以上(密度0.033g/cm3以下)がより好ましく、40倍以上(密度0.025g/cm3以下)がさらに好ましい。上記発泡倍数が上記下限値以上であれば、多種多様な用途の発泡成形体に適用できる。
発泡成形体の密度の測定方法:
50cm3以上の試験片(発泡成形体)を、材料の元のセル構造を変えないように切断してその質量を測定し、下式により算出する。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
試験片としては、成形後72時間以上経過した発泡成形体から切り取り、温度23℃±2℃、相対湿度50%±5%、又は、温度27℃±2℃、相対湿度65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものを用いる。
発泡倍数=1/密度(g/cm3)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においては、ハイサイクル剤として、ポリスチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上0.3質量部未満の、炭素数6〜11の脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド(C)を用いていることにより、成形時の冷却時間を短くでき、成形サイクルが短縮される。加えて、ハイサイクル剤として、該トリグリセリド(C)を用いていることにより、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の運搬又は移送の際、樹脂粒子からの該ハイサイクル剤の剥離を生じにくく、また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性が良好である。
また、上述したように、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を前記(1)の溶融押出法により製造した場合、得られる発泡成形体の平均気泡径が大きく、成形サイクルが長くなりやすい。本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法は、かかる場合に特に有効である。
かかる発泡成形体は、例えば、家電等の梱包用緩衝材、魚箱や野菜箱等の保温保冷箱、建物の構造部材、食品容器、断熱材等に好適に利用できる。
本実施例で用いたハイサイクル剤(トリグリセリド)を以下に示す。
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造>
工程(i):
図1に示す製造装置と同じ形態のものを用い、以下のようにして発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子)を得た。
ポリスチレン系樹脂原料(再生ポリスチレン、質量平均分子量28万)100質量部に対し、微粉末タルク0.3質量部を加え、これらを、口径90mmの単軸式押出機に、時間当たり130kgで連続供給した。押出機内の温度を最高温度210℃に設定し、ポリスチレン系樹脂原料及び微粉末タルクを溶融させた後、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し、発泡剤としてペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))6質量部を、押出機の途中から圧入した(押出機内の圧力15MPa)。押出機内でポリスチレン系樹脂と発泡剤とを混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を13MPaに保持しつつ、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され30℃の水が循環するカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断した。切断され形成した粒子を、循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を、脱水・乾燥して、発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂粒子(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子)を得た。
得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ完全な球体であり、平均粒子径は約1.1mmであった。
得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対し、ポリエチレングリコール(分子量300)を0.03質量部と、ステアリン酸亜鉛を0.15質量部と、ステアリン酸モノグリセリドを0.05質量部と、トリグリセリドとしてC−1(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)を0.10質量部と、を図2に示すミキサーと同じ形態のものを用い、以下のようにして前記発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子表面の全面に均一に塗布した。
なお、前記のポリエチレングリコール、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸モノグリセリド及びトリグリセリドを、以下まとめて塗布剤という。
その後、撹拌を停止して排出口22から、塗布剤が塗布された発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を取り出し、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置し、目的とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ほぼ完全な球体であり、平均粒子径は約1.1mmであった。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、円筒型バッチ式予備発泡機に供給し、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱して発泡させることによってポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm3(嵩発泡倍数50倍)であった。
続いて、得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に充填し、その後、成形型のキャビティ内を、水蒸気によってゲージ圧0.08MPaの圧力で10秒間に亘って加熱して型内発泡成形した。その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後、成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm3(発泡倍数50倍)であった。
トリグリセリドとして用いたC−1(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)の塗布量を、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.02質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドとして用いたC−1(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)の塗布量を、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.29質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−2(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−3(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合73.4質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−1を0.05質量部と、C−4を0.05質量部と、の混合物(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合57.7質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造>
工程(i):
100リットルの撹拌機付オートクレーブ内に、複分解法で得られたピロリン酸マグネシウム64g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.4g、ベンゾイルパーオキシド(純度75質量%)107g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート28g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体(スチレン)40kgを供給し、撹拌羽を回転速度150rpmで回転させて撹拌し、懸濁液を調製した。
次に、撹拌羽を同じく回転速度150rpmで回転させて懸濁液を撹拌しながら、オートクレーブ内の温度を90℃まで昇温し、90℃を6時間に亘って保持し、その後、更にオートクレーブ内の温度を125℃まで昇温し、125℃を2時間に亘って保持することによってスチレン単量体を懸濁重合した。
その後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却し、オートクレーブ内からポリスチレン系樹脂粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、分級して平均粒子径0.6mm、質量平均分子量が30万のポリスチレン系樹脂粒子(種粒子)を得た。
また、イオン交換水6kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g及びピロリン酸マグネシウム20gを分散させた分散液と、スチレン単量体5kgに重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド(純度75質量%)88g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート50gを溶解させたスチレン単量体溶液と、をそれぞれ調製し、このスチレン単量体溶液を上記分散液に加え、ホモミキサーを用いて撹拌して乳濁化させて乳濁液を得た。
そして、オートクレーブ内を75℃に加熱し、75℃を保持した上で該オートクレーブ内で上記乳濁液を添加し、ポリスチレン系樹脂粒子(種粒子)中にスチレン単量体及びベンゾイルパーオキサイドが円滑に吸収されるように30分間に亘って保持した。その後、オートクレーブ内を75℃から108℃まで0.2℃/分の昇温速度で昇温しながら、オートクレーブ内でスチレン単量体28kgを160分かけて連続的に滴下した。スチレン単量体の滴下が終了してから20分後、1℃/分の昇温速度で120℃まで昇温し、120℃を90分間に亘って保持してシード重合によりポリスチレン系樹脂粒子を含む反応液を得た。このとき、スチレン単量体は全て重合に用いられていた。
次に、オートクレーブ内を1℃/分の降温速度にて90℃まで冷却した上で、上記分散液を、上記シード重合により得られたポリスチレン系樹脂粒子を含む反応液に加えた。
そして、オートクレーブ内で分散液を供給してから30分経過後にオートクレーブを密閉し、その後、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン(質量比)=30/70)3520g(ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して8質量部)を窒素加圧によってオートクレーブ内に30分間で圧入し、その状態で3時間保持した。
その後、オートクレーブ内を25℃まで冷却し、オートクレーブ内から、発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂粒子(発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子)を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、分級して平均粒子径が0.9mm、質量平均分子量が30万の発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対し、実施例1と同様にして、ポリエチレングリコール300を0.03質量部と、ステアリン酸亜鉛を0.15質量部と、ステアリン酸モノグリセリドを0.05質量部と、トリグリセリドとしてC−1(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)を0.10質量部と、を図2に示すミキサーと同じ形態のものを用いて、前記発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子表面の全面に均一に塗布した。
その後、脂肪酸トリグリセリド等を表面に塗布した発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置し、目的とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
上記で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
脂肪酸トリグリセリドを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−4(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合15.4質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−5(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合0質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドの種類を、C−6(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合0質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
トリグリセリドとして用いたC−1(トリグリセリドにおける脂肪酸の全体に占める、C6〜11脂肪酸の割合100質量%)の塗布量を、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.35質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、発泡成形体をそれぞれ得た。
各実施例及び各比較例で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(測定サンプル)について、図3に示す試験装置を用い、ハイサイクル剤(トリグリセリド)を含む塗布剤の剥離量を測定した。
測定サンプルを落下させる前と、落下させた後と、のアクリル板32の質量差を、塗布剤の剥離量とし、次の評価基準に基づき、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における、塗布剤の剥離量を評価した。
評価基準
非常に良好(◎):塗布剤の剥離量が5mg未満。
良好(○):塗布剤の剥離量が5mg以上15mg未満。
不良(×):塗布剤の剥離量が15mg以上。
各実施例及び各比較例で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(測定サンプル)300cm3(嵩体積)を、水平面上に立てた直径80mm、高さ70mmの円筒状の枠体の中に入れた。次に、該枠体を持ち上げて取り除いた。その際に形成する円錐状の測定サンプルの山について、その山を一側面から見た時の、山の二つの稜線のそれぞれが水平面に対してなす角度を、分度器を用いて測定し、その角度の平均値を平均角度とした。
かかる操作を、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造直後、及び、その72時間後に、各5回繰り返して行い、得られた平均角度の相加平均値を安息角とし、次の評価基準に基づき、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性を評価した。
評価基準
非常に良好(◎):安息角が25°未満。
良好(○):安息角が25°以上30°未満。
不良(×):安息角が30°以上。
各実施例及び各比較例で得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、 長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に充填し、その後、成形型のキャビティ内を、水蒸気によってゲージ圧0.08MPaの圧力で10秒間に亘って加熱して型内発泡成形した。その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまでの冷却時間を測定し、次の評価基準に基づき、成形サイクルを評価した。
評価基準
非常に良好(◎):冷却時間が180秒未満。
良好(○):冷却時間が180秒以上240秒未満。
不良(×):冷却時間が240秒以上。
各実施例及び各比較例で得られた発泡成形体について、JIS A9511:2006「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準じて曲げ強度を測定した。
具体的には、テンシロン万能試験機UCT−10T(株式会社オリエンテック製)を用い、発泡成形体(試験片)のサイズを75mm×300mm×50mm、圧縮速度を10mm/minとし、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmの条件として測定し、下式により曲げ強度を算出した。試験片の数は3個とし、その平均値を求めた。
曲げ強度(MPa)=3FL/2uh2
式中、Fは曲げ最大荷重(N)を表し、Lは支点間距離(mm)を表し、uは試験片の幅(mm)を表し、hは試験片の厚み(mm)を表す。
このようにして曲げ強度の平均値を求め、次の評価基準に基づき、発泡成形体の機械強度を評価した。
評価基準
非常に良好(◎):曲げ強度が0.26MPa以上。
良好(○):曲げ強度が0.23MPa以上0.26MPa未満。
不良(×):曲げ強度が0.23MPa未満。
上記の[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における、塗布剤の剥離性の評価]、[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(塗布剤の塗布後72時間後)の流動性の評価]、[成形サイクルの評価]、[発泡成形体の機械強度の評価]及び[発泡成形体の機械強度の評価]における評価結果に基づいて、次の評価基準に従い、総合評価を行った。
評価基準
非常に良好(◎):全ての評価が、非常に良好(◎)であった。
良好(○):全ての評価で、不良(×)がなく、良好(○)又は非常に良好(◎)。
不良(×):不良(×)が1つ以上あった。
Claims (5)
- ポリスチレン系樹脂(A)と、発泡剤(B)とを含有し、炭素数6〜11の脂肪酸を主成分とする脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド(C)によって表面の少なくとも一部が被覆され、
前記トリグリセリド(C)の含有量が、前記ポリスチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上0.3質量部未満である、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。 - 請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
前記ポリスチレン系樹脂(A)に前記発泡剤(B)を含有させて、発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程(i)と、
前記工程(i)で得られた発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、前記トリグリセリド(C)を塗布する工程(ii)と、
を備える、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記工程(ii)で前記発泡剤含有ポリスチレン系樹脂粒子の表面に前記トリグリセリド(C)を塗布した後、任意の時間放置する、請求項2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して発泡させてなるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項4に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形してなる発泡成形体。
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