以下、本発明の実施の形態に係る放熱装置について、図面を用いて説明する。なお、以下では一つの発熱体を例として放熱装置の説明をおこなうが、複数の発熱体にも適用できることは言うまでもない。
また、各実施の形態の説明において、方向を表す用語(例えば、「下流」、「背面」、「左」、「右」等)を適宜用いているが、これらの用語によって本発明は限定されない。また、各図において、同一部材又は同一部分には同一の符号を付している。また、細かい構造については適宜図示を省略している。また、重複する説明については、適宜簡略化又は省略している。
なお、実施の形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるものであり、本発明はそれらの例示に限定されるものではない。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
<実施の形態1>
以下に、実施の形態1に係る放熱装置を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る放熱装置100の分解斜視図である。図1において、X,Y,Z方向の各々は、互いに直交する。以下の図に示されるX,Y,Z方向の各々も、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(−X方向)とを含む方向をX軸方向ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(−Y方向)とを含む方向をY軸方向ともいう。また、以下においては、Z方向と、当該Z方向の反対の方向(−Z方向)とを含む方向をZ軸方向ともいう。
図2は、本発明の実施の形態1に係る放熱装置100の構成を示す図である。図2(a)は、Y-Z平面からX方向に向かって視た放熱装置100の平面図である。図2(b)は、X−Z平面から視た放熱装置100の側面図である。図2(c)は、放熱装置100の平面図である。
具体的には、図2(a)は、図2(b)の放熱装置100を、放熱装置100の左側から視た図である。また、図2(c)は、図2(b)の放熱装置100を、放熱装置100の右側から視た図である。すなわち、図2(a)、図2(b)および図2(c)は、X-Z平面を基準に、X-Z平面を左側または右側から見た図である。
図1および図2に示すように、放熱装置100は、ヒートシンク4と、ファン5とを備える。
図3は、本発明の実施の形態1に係るヒートシンク4の構成を詳細に示す図である。図3(a)は、ヒートシンク4の側面図である。図3(b)は、ヒートシンク4の平面図である。図3(c)は、ヒートシンク4の側面図である。
具体的には、図3(a)は、図3(b)のヒートシンク4を、X−Y平面から−Z方向に向かって視たヒートシンク4の図である。図3(c)は、図3(b)のヒートシンク4を、X−Y平面からZ方向に向かって視たヒートシンク4の図である。すなわち、図3(a)、図3(b)および図3(c)は、図3(b)のY-Z平面を基準に、Y-Z平面を上側または下側から見た図である。
図1および図3に示されるように、ヒートシンク4は、ベース板2と、2つの放熱フィン群3とから構成される。すなわち、放熱装置100は、ベース板2と放熱フィン群3とを備える。なお、図1および図2では、放熱フィン群3を簡略化して示している。
ベース板2は、熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウム、銅)からなる固体物である。ベース板2は、電子部品1を保持(固定)する機能、電子部品1で発生する熱を受ける機能、放熱フィン群3へ伝熱する機能、後述の冷却風へ直接放熱する機能等を有する。
ベース板2は、電子部品1が取り付けられる面である取付面2aと、面2b(背面)と、2つの側面2cと、2つの側面2cnとを有する。取付面2aは、面2bと平行である。ベース板2の取付面2aの形状は、長方形である。すなわち、ベース板2の形状は、帯状である。
なお、取付面2aの形状は、長方形に限定されず、例えば、正方形であってもよい。取付面2aは、電子部品1が取り付けられる領域21aを有する。
電子部品1は、所望の機能を得るために電力が供給される。これにより、電子部品1は発熱する。以下においては、発熱する電子部品1を、発熱部品または発熱部ともいう。すなわち、ベース板2には、発熱部品である電子部品1が設けられる(取り付けられる)。
電子部品1は、所定の温度以下に保持されるために冷却される必要がある部品である。すなわち、電子部品1は、通電により発熱し、所定の許容温度以下に保持すべきものである。電子部品1は、パワー半導体素子である。当該パワー半導体素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオード等である。
なお、電子部品1は、パワー半導体素子に限定されず、例えば、光学素子、マイコン、トランス、コンデンサ等であってもよい。光学素子は、例えば、LD(レーザダイオード)、LED(Light Emitting Diode)等である。
なお、電子部品1には、所定の許容温度以下に保持すべき配線部品(例えば、ブスバー、基板等)なども含まれる。
電子部品1は、取付面2aに取り付けられる。図示は省略するが、電子部品1は、防塵、防水、絶縁、遮光、他部品への固定、位置決め等のために、取付面2aを1面とする収容容器にて囲われて、保持されても良い。この場合、ベース板2は、当該収容容器の1面の役割を成す。
図示は省略するが、ベース板2に設けられる発熱部品(発熱部)は、単体の電子部品に限定されない。ベース板2に設けられる発熱部品(発熱部)は、複数の電子部品、異なる複数の電子部品からなる電子部品群あるいは電子機器等であっても良い。
各放熱フィン群3は、直線状に配置された複数の放熱フィン31から構成される。各放熱フィン31の形状は、一例として、板状である。すなわち、図3に示される放熱フィン31の形状は、標準的な形状の放熱フィンである。また、放熱フィン群3の形状は、ファン5の後述の翼部5bの回転軸方向に平行に複数の放熱フィン31(平行フィン)を設けた、標準的な形状である。
なお、放熱フィン31の形状は、ストレートフィン型、ピンフィン型、コルゲートフィン型、ウェイビーフィン型等であってもよい。すなわち、放熱フィン31は、特に形状および寸法が制限されるものではない。なお、放熱フィン群3の形状は、一次フィンとしての放熱フィン31と二次フィンとしての放熱フィン31からなる複合形状等であってもよい。
各放熱フィン31は、Z軸方向に延在する。放熱フィン31は、ベース板2と同様の熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウム、銅)からなる。
図3(b)に示すように、放熱フィン群3の複数の放熱フィン31は、隣接する2つの放熱フィン31の間に通流路PS1を形成するように設けられる。通流路とは、風が通る経路である。すなわち、放熱フィン群3は、通流路PS1を形成する複数の放熱フィン31から構成される。つまり、放熱フィン群3は、通流路PS1を有する。通流路PS1のZ軸方向の長さL1は、ベース板2の厚みT1より大きい。
図1、図2(b)および図3(b)に示すように、2つの放熱フィン群3は、それぞれ、ベース板2の2つの側面2cに設けられる。すなわち、ベース板2の長手方向に沿った2つの側面2cの各々には、放熱フィン群3が設けられる。
別途製造された各放熱フィン31は、接着、カシメ、溶接、ロウ付け等により、ベース板2に接合される。なお、各放熱フィン31(放熱フィン群3)とベース板2とは、一体成型されても良い。
放熱フィン群3は、ベース板2が発する熱を受け、放熱フィン31間の通流路PS1を通る冷却風と熱交換し、放熱する役割を有する。なお、各放熱フィン31の形状は、側面2cの面積より、後述の冷却風と熱交換するための、当該放熱フィン31の表面積が大きくなるような形状である。すなわち、放熱フィン31の形状は、放熱フィン31(放熱フィン群3)の放熱特性を向上させる形状であればよい。
なお、ヒートシンク4は、図2(a)の線L2a,L2bに沿って分割して製造された各部材を、組合せた構成でもよい。この場合、ヒートシンク4は、各部材が組合された場合において、当該各部材の接合面の一部または全部を溶接などで熱的に接合されたものであって良い。また、ヒートシンク4は、放熱フィン群3がベース板2の取付面2aまたは面2bの一部と接合した構成であっても良い。
図1および図2(c)を参照して、ファン5は、軸流ファン、ターボファン等である。ファン5は、ベース板2の面2bと対向する位置に設けられる。すなわち、ファン5は、ベース板2において、発熱部品である電子部品1が設けられた一方の面(取付面2a)と反対側の面2bと対向する。
ファン5は、図1において、−X方向に風を送る。すなわち、ファン5は、ベース板2の面2bに向かって風を送る。以下においては、ファン5が発生させる風を冷却風ともいう。なお、ファン5の設置向きは上記の構成に制限されるものではない。
以下においては、ファン5が、風をベース板2の面2bに吹き付ける構成として説明する。すなわち、ファン5の送風方向は、−X方向であるとして説明する。以下においては、ファン5の周囲のうち、ファン5(後述の翼部5b)から風が送られる領域を、ファン5の下流または翼部5bの下流ともいう。
なお、ファン5の送風方向は、−X方向に限定されず、X方向であってもよい。すなわち、ファン5は、ベース板2側の空気を吸気するように設けられてもよい。
図1および図2(c)に示すように、ファン5は、ボス部5a、翼部5bおよびファンケース5cからなる。なお、図2(c)では、図の簡略化のために、翼部5bの形状を簡略化して示している。また、図1では、図の簡略化のために、翼部5bの形状を示していない。
翼部5bは、複数の翼51bから構成される。翼部5bは、図示しないモーターにより回転することで、空気の旋回流を発生させる旋回部である。すなわち、翼部5bは、回転することで風を発生させる。以下においては、翼部5bの回転軸に沿った方向を、回転軸方向ともいう。ファン5は、回転軸方向に送風する。
ボス部5aは、翼部5bを回転させるモーター(図示せず)を収容するモーター収容部である。ファンケース5cは、翼部5bを収容する。
次に、図2(b)を用いて、ファン5において発生する風の流れについて説明する。図2(b)に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。図2(b)を参照して、ボス部5aからベース板2の面2bに向かう風は弱い。また、ファン5のうち、翼部5bの周縁部に近い位置ほど、当該位置から送られる風は強くなる。
ファン5は、図2(b)のように、放熱フィン群3(ヒートシンク4)から隙間SP1だけ離れて配置される。なお、ファン5は、放熱フィン群3と接触するように配置されてもよい。
また、ファン5は、弾性体を介して、放熱フィン群3(ヒートシンク4)と固定されても良い。当該弾性体は、例えば、クッション、ゴムである。これにより、ファン5からの振動を抑制することができる。また、ファン5と放熱フィン群3とが周期的に接触して騒音が生じることを防ぐことができる。
本実施の形態において、上記構成の放熱装置100の特徴を以下に示す。まず、ベース板2の厚みT1より大きい長さの通流路PS1を有する放熱フィン群3が、ベース板2の側面2cに設けられる。また、ファン5の翼部5bの下流の一部をベース板2が横断する。すなわち、ベース板2は、翼部5b(ファン5)の下流側において該ベース板2が横断(延在)するように設けられる。
また、図2(b)に示すように、放熱フィン群3は、該放熱フィン群3とベース板2とファン5とにより、空間SP2を形成するように設けられる。すなわち、放熱フィン群3は、通流路PS1が空間SP2とつながるように、ベース板2の側面2cに設けられる。
空間SP2は、空間SP2内の空気圧を回復(変化)させるための圧力回復空間である。空間SP2は本発明の大きな役割を果たす。空間SP2は、ベース板2の面2b(背面)と、ベース板2の2つの側面2cにそれぞれ設けられる2つの放熱フィン群3の各々の側面3aと、ファン5とで囲まれた空間である。空間SP2は、ボス部5aの下流の領域と、翼部5bの下流の領域とを連通している。
以下においては、空間SP2のうち翼部5bの下流の領域を、翼部下流空間ともいう。また、以下においては、空間SP2のうちボス部5aの下流の領域を、ボス部下流空間ともいう。また、以下においては、ヒートシンク4の周囲の空間を周囲空間ともいう。
ボス部5aの下流の領域(ボス部下流空間)に対する、ファン5から送られる風(冷却風)は弱い。すなわち、ボス部下流空間に流入する冷却風は少ない。一方、ボス部5aの下流の領域の両側に位置する、翼部5bの下流の領域(翼部下流空間)に対する、ファン5から送られる風(冷却風)は強い。すなわち、翼部下流空間に流入する冷却風は多い。
したがって、翼部下流空間内において、ファン5からの送風により発生する動圧が、静圧に変換される。そのため、翼部下流空間内の圧力(空気圧)は高圧になる。また、ボス部5aの下流の領域(ボス部下流空間)と翼部5bの下流の領域(翼部下流空間)とは連通している。そのため、翼部下流空間からボス部下流空間へ冷却風が流入する。そのため、ボス部下流空間内の圧力(空気圧)も、翼部下流空間と同様に高圧となる。
空間SP2(圧力回復空間)と周囲空間との差圧により、空間SP2に接する放熱フィン群3の側面3aから、空間SP2と周囲空間とを連通する放熱フィン群3の隙間(通流路PS1)を冷却風が通る。よって、本実施の形態の放熱装置100は、空間SP2(圧力回復空間)が無い構成の放熱装置よりも、冷却風の通風量が多く、放熱効率が高い。
また、冷却風が流入する空間SP2(圧力回復空間)に接する放熱フィン群3の側面3a近傍では、前縁効果が生じる。前縁効果とは、伝熱体において送風される入口近傍の温度境界層の厚さが薄くなり高効率に放熱する効果である。そのため、本実施の形態の構成によれば、ファン5に近接する放熱フィン群3と共に高効率に放熱する部分が拡大し、より放熱特性が向上する。
一方、ファン5の下流側の半径方向に圧力損失が異なる圧力損失体がある構成(以下、比較構成Aともいう)を例にする。当該比較構成Aは、放熱装置100において、例えば、放熱フィン群3の厚さとベース板2の厚さとを同一にし、空間SP2(圧力回復空間)を無くした構成である。この場合、比較構成Aでは、ファン5(翼部5b)の下流側に、小さな圧力損失体である放熱フィン群3と大きな圧力損失体であるベース板2が、半径方向に交互に配設される。そのため、比較構成Aでは、騒音が大きくなると共に、ファン5の翼部5bの回転数に依存した共振現象が発生する。
そこで、本実施の形態では、ベース板2とファン5(翼部5b)との間に、空間SP2(圧力回復空間)を設ける。これにより、前述の大きな圧力損失体を低圧力損失体化することができる。その結果、それぞれの部位による圧力差を小さくすることができ、低騒音化することができる。なお、この圧力差をゼロにすることにより最適な低騒音化の設計が可能である。
このように、放熱装置100は、電子部品1が取り付けられたヒートシンク4と、ファン5とから構成される。また、放熱装置100は、空間SP2(圧力回復空間)を有する。そのため、放熱装置100では、所望の機能を得るために動作し、発熱し、高温となった電子部品1から、ベース板2が受熱する。また、ベース板2内において熱拡散され、熱伝導により放熱フィン群3へ熱が導かれる。
高温となった放熱フィン群3およびベース板2の面2b(背面)は、ファン5から送風される冷却風と熱交換する。これにより、放熱フィン群3およびベース板2は放熱する。その結果、電子部品1の温度が許容温度を超えないように保持することができる。そのため、電子部品1の異常または破壊を防止することができる。
また、その際、ファン5の翼部5bに面した放熱フィン群3の近傍は、ファン5からの旋回流による乱れ効果と前縁効果により高効率に放熱することができる。特に放熱フィン群3のうち、外側に面する部分を高効率に放熱することができる。
一方、空間SP2(圧力回復空間)に流入した冷却風により、空間SP2に面する放熱フィン群3の近傍を、前縁効果により高効率に放熱することができる。特に、放熱フィン群3の内側の部分(放熱フィン群3の根元部分)を冷却風が通ることにより、高効率に放熱させることができる。
さらに、放熱装置100には、空間SP2(圧力回復空間)が形成される。これにより、ファン5の翼部5bの半径方向の圧力損失分布を均一にし、低騒音化することができる。
したがって、ベース板2に対向してファン5を設置することにより、コンパクトな放熱装置100を提供できる。また、低圧力損失で冷却風の通風量が大きく、高効率な放熱が可能で、かつ、低騒音な放熱装置100を提供することができる。
また、本実施の形態によれば、発熱部品である電子部品1が設けられたベース板2は、翼部5bの下流側において該ベース板2が横断するように設けられる。放熱フィン群3は、該放熱フィン群3とベース板2とファン5とにより、空間SP2を形成するように設けられる。
すなわち、ベース板2は、翼部5bの下流側に設けられる。また、該放熱フィン群3とベース板2とファン5とにより、空間SP2が形成される。そのため、翼部5bが発生させた風がベース板2でさえぎられ、当該空間SP2において、当該風による動圧が静圧に変換される。その結果、当該空間SP2の圧力を上昇させることができる。したがって、当該空間SP2に入った風を、放熱フィン群3へ、より多く送ることができ、効率よく放熱することができる。これにより、風を活用した、高い放熱効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、帯状のベース板2に設けられた電子部品を十分に放熱することができる。
<実施の形態1の変形例1>
次に、図3で示したヒートシンク4と異なる構成のヒートシンクを備える放熱装置について説明する。以下においては、本実施の形態の変形例1に係る放熱装置を、放熱装置A1ともいう。放熱装置A1は、放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりに以下のヒートシンク4Aを備える点が異なる。それ以外の放熱装置A1の構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
図4は、本発明の実施の形態1の変形例1に係るヒートシンク4Aの構成を詳細に示す図である。図4(a)は、ヒートシンク4Aの側面図である。図4(b)は、ヒートシンク4Aの平面図である。図4(c)は、ヒートシンク4Aの側面図である。
具体的には、図4(a)は、図4(b)のヒートシンク4Aを、X−Y平面から−Z方向に向かって視たヒートシンク4Aの図である。図4(c)は、図4(b)のヒートシンク4Aを、X−Y平面からZ方向に向かって視たヒートシンク4Aの図である。すなわち、図4(a)、図4(b)および図4(c)は、図4(b)のY-Z平面を基準に、Y-Z平面を上側または下側から見た図である。
ヒートシンク4Aは、図3のヒートシンク4と比較して、2つの放熱フィン群3の代わりに2つの放熱フィン群3Aを含む。ヒートシンク4Aのそれ以外の構成は、ヒートシンク4と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
各放熱フィン群3Aは、翼部5bが発生させる旋回流に適合するように開口角を大きくした構成を有する。例えば、図4(b)では、ヒートシンク4Aが、反時計周りの旋回流を発生させる場合における、放熱フィン群3Aの構成を示す。
具体的には、各放熱フィン群3Aは、直線状に配置された複数の放熱フィン31aから構成される。放熱フィン31aは、放熱フィン31と比較して、該放熱フィン31aの端部の形状のみが異なる。さらに具体的には、各放熱フィン31aのうち、翼部5bの下流側の端部の形状は、鋭角形状である。
以下においては、放熱フィン31aのうち、翼部5bの下流側の端部を、下流側フィン端部ともいう。下流側フィン端部には、傾斜している面31abが設けられる。
例えば、図4(b)は、空間SP2(圧力回復空間)に接する放熱フィン31aの端部(下流側フィン端部)が、ファン5(翼部5b)からの旋回流に適合するように開口角(θ)を大きくした構成を示す。開口角(θ)は、例えば、図4(b)では、面31abとZ軸方向とのなす角である。
開口角(θ)は、ファン5の動作条件により最適値が異なる。以下においては、翼部5bを通過する風の平均の速度である平均通風速度と、ファン5の翼部5bの先端の周る速度である周速度とからなる方向を、速度ベクトル方向ともいう。開口角(θ)は、速度ベクトル方向の角度±30度以内が好ましい。さらに好ましくは、開口角(θ)は、速度ベクトル方向の角度−15度〜+5度が良い。
なお、図4(b)において、上側の放熱フィン群3Aにあたる旋回流の方向と、下側の放熱フィン群3Aにあたる旋回流の方向とは異なる。そのため、上側の放熱フィン群3Aの形状と、下側の放熱フィン群3Aの形状とは異なる。
具体的には、上側の放熱フィン群3Aの形状と下側の放熱フィン群3Aの形状とは、ベース板2の中心点C1に対し、点対称な形状である。すなわち、2つの側面2cの一方の放熱フィン群3Aの形状と、当該2つの側面2cの他方の放熱フィン群3Aの形状とは、2つの放熱フィン群3Aの間の中心(中心点C1)に対し対称な形状である。
なお、対向する2つの放熱フィン群3Aの各々が有する各放熱フィン31aの形状寸法は同一でなくてもよい。例えば、各放熱フィン31aは、形状だけでなく、ピッチ(配置間隔)、高さ、肉厚などそれぞれで最適設計しても構わない。
以上、本実施の形態の変形例1の構成により、放熱フィン31a間の通流路PS1に冷却風を滑らかに送風することができる。そのため、さらに圧力損失が低下させることができ、通風量を大きくすることができる。したがって、放熱装置(ヒートシンク4A、放熱フィン群3A)の放熱特性を向上させることができる共に、放熱装置を低騒音化することができる。
<実施の形態1の変形例2>
次に、実施の形態1の変形例1と異なる構成のヒートシンクを備える放熱装置について説明する。以下においては、本実施の形態の変形例2に係る放熱装置を、放熱装置A2ともいう。放熱装置A2は、放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりにヒートシンク4Bを備える点が異なる。それ以外の放熱装置A2の構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
図5は、本発明の実施の形態1の変形例2に係るヒートシンク4Bの構成を詳細に示す図である。図5(a)は、ヒートシンク4Bの側面図である。図5(b)は、ヒートシンク4Bの平面図である。図5(c)は、ヒートシンク4Bの側面図である。
具体的には、図5(a)は、図5(b)のヒートシンク4Bを、X−Y平面から−Z方向に向かって視たヒートシンク4Bの図である。図5(c)は、図5(b)のヒートシンク4Bを、X−Y平面からZ方向に向かって視たヒートシンク4Bの図である。すなわち、図5(a)、図5(b)および図5(c)は、図5(b)のY-Z平面を基準に、Y-Z平面を上側または下側から見た図である。
ヒートシンク4Bは、図3のヒートシンク4と比較して、2つの放熱フィン群3の代わりに2つの放熱フィン群3Bを含む。ヒートシンク4Bのそれ以外の構成は、ヒートシンク4と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
各放熱フィン群3Bは、翼部5bが発生させる旋回流に適合するように放熱フィンを傾斜させた構成を有する。すなわち、本実施の形態の変形例2では、各放熱フィン群3Bへの送風方向に合わせて放熱フィン群3Bを最適に設置する。
具体的には、各放熱フィン群3Bは、複数の放熱フィン31から構成される。放熱フィン群3Bは、図3の放熱フィン群3と比較して、放熱フィン31の延在方向が異なる。例えば、図5(a)のように、各放熱フィン31は、旋回流に適合するように、ベース板2の厚さ方向(X軸方向)に対し傾斜して設けられる。以下においては、放熱フィン31とX軸方向とのなす角度を傾斜角(φ)ともいう。
傾斜角(φ)は、開口角(θ)と同様、ファン5の動作条件により最適値が異なる。傾斜角(φ)は、開口角(θ)と同様、前述の速度ベクトル方向の角度±30度以内が好ましい。さらに好ましくは、傾斜角(φ)は、前述の速度ベクトル方向の角度−15度〜+5度が良い。
なお、図5(b)において、上側の放熱フィン群3Bにあたる旋回流の方向と、下側の放熱フィン群3Bにあたる旋回流の方向とは異なる。そのため、上側の放熱フィン群3Bの形状と、下側の放熱フィン群3Bの形状とは異なる。
具体的には、上側の放熱フィン群3Bの形状と下側の放熱フィン群3Bの形状とは、ベース板2の中心点C1に対し、点対称な形状である。すなわち、2つの側面2cの一方の放熱フィン群3Bの形状と、当該2つの側面2cの他方の放熱フィン群3Bの形状とは、2つの放熱フィン群3Bの間の中心(中心点C1)に対し対称な形状である。
なお、対向する2つの放熱フィン群3Bの各々が有する各放熱フィン31の形状寸法は同一でなくてもよい。例えば、各放熱フィン31は、形状だけでなく、ピッチ(配置間隔)、高さ、肉厚などそれぞれで最適設計しても構わない。
以上、本実施の形態の変形例2の構成により、実施の形態1の変形例1と同じ効果が得られる。すなわち、放熱装置(ヒートシンク4B、放熱フィン群3B)の放熱特性を向上させることができる共に、放熱装置を低騒音化することができる。
<実施の形態2>
以下に、実施の形態2に係る放熱装置を説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る放熱装置100Cの構成を示す図である。図6(a)は、放熱装置100Cの側面図である。図6(b)は、放熱装置100Cの平面図である。図6(a)および図6(b)に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図6(a)および図6(b)に示すように、放熱装置100Cは、図2の放熱装置100と比較して、2つのヒートシンク9をさらに備える点が異なる。それ以外の放熱装置100Cの構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク9は、放熱するための放熱部材である。ヒートシンク9は、複数の放熱フィン19を含む。複数の放熱フィン19は、Z軸方向に沿って間隔をあけて配置される。各放熱フィン19は、Y軸方向に沿って延在する。
ヒートシンク9の主面9aには、電子部品8が取り付けられる。電子部品8は、電子部品1と同様の発熱部品である。すなわち、電子部品8は、冷却される必要がある被冷却体である。つまり、放熱部材であるヒートシンク9には、被冷却体である電子部品8が設けられる。
実施の形態1の放熱装置100では、Y軸方向において、空間SP2(圧力回復空間)と、放熱装置100の両側の周囲空間とが連通している。
そこで、本実施の形態の放熱装置100Cでは、ヒートシンク4のY軸方向の両側の周囲空間にヒートシンク9を配置する。具体的には、ヒートシンク9は、ベース板2の2つの側面2cnの各々の法線方向に沿った位置に配置される。当該2つの側面2cnは、ベース板2の長手方向(Y軸方向)と直交する面である。
この構成により、放熱装置100Cでは、実施の形態1のように、放熱フィン群3を通る冷却風の風量を増大させることに加え、ヒートシンク4の側方(Y軸方向)に配置されたヒートシンク9へ、空間SP2(圧力回復空間)からの冷却風が送られる。
したがって、放熱装置100Cにおいて、この側方への送風位置に、電子部品8を冷却するヒートシンク9を配設する(配置する)ことにより、ヒートシンク9専用のファンを設けることなく、ヒートシンク9へ送風され、該ヒートシンク9を放熱することができる。すなわち、空間SP2(圧力回復空間)から漏れる冷却風を有効に利用して、被冷却体を冷却することができる。つまり、空間SP2(圧力回復空間)から漏れる冷却風を有効に利用して、放熱装置100Cを放熱することができる。
なお、2つの側面2cnの両方でなく、2つの側面2cnの一方のみの近傍にヒートシンク9を配置してもよい。すなわち、ヒートシンク9は、ベース板2の2つの側面2cnの少なくとも一方の法線方向に沿った位置に配置される。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3に係る放熱装置について説明する。以下においては、本実施の形態に係る放熱装置を、放熱装置B1ともいう。放熱装置B1は、放熱装置100と比較して、流動阻害体10を備える点が異なる。それ以外の放熱装置B1の構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
図7は、本発明の実施の形態3に係るヒートシンク4およびその周辺の構成を詳細に示す図である。図7(a)は、ヒートシンク4の側面図である。図7(b)は、ヒートシンク4の平面図である。図7(c)は、ヒートシンク4の側面図である。
流動阻害体10は、風の流れを阻害する形状を有する。流動阻害体10は、例えば、板状の部材である。流動阻害体10は、空間SP2(圧力回復空間)の一部を覆うように、ベース板2の2つの側面2cnの各々側に配置される。具体的には、流動阻害体10は、側面2cnに沿って設けられる。
なお、流動阻害体10は、2つの側面2cnの一方側のみに配置されてもよい。すなわち、流動阻害体10は、ベース板2の2つの側面2cnの少なくとも一方側に空間SP2(圧力回復空間)の一部を覆うように配置される。
この構成により、空間SP2(圧力回復空間)から漏れる冷却風の流れを阻害し、空間SP2内の圧力をより上昇させることができる。その結果、放熱フィン31間の通流路PS1を通る通風量を増大させることができ、ヒートシンク4(放熱フィン群3)を、さらに効率よく放熱することができる。
なお、流動阻害体10の形状および配置は、図7に限定されない。図8に示すような形状および配置であってもよい。
図8は、図3と同様、本発明の実施の形態3に係るヒートシンク4およびその周辺の他の構成を詳細に示す図である。図8(a)は、ヒートシンク4の側面図である。図8(b)は、ヒートシンク4の平面図である。図8(c)は、ヒートシンク4の側面図である。
図8(b)に示すように、流動阻害体10の形状は、例えば、金網状または格子状であってもよい。また、流動阻害体10は、ベース板2の長手方向(Y軸方向)と直交する該ベース板2の端部に配置されてもよい。
なお、流動阻害体10は、ベース板2の面2b(背面)のうち、側面2cnの近傍に、ベース板2と一体成型されても良い。
また、例えば、流動阻害体10は、複数の放熱フィンから構成されても良い。この場合、流動阻害体10の放熱フィン間のピッチ(間隔)は、放熱フィン群3における放熱フィン間のピッチより小さく設定される。すなわち、当該流動阻害体10は、放熱フィン群3より通流圧力損失が大きい構成としてもよい。この構成により、上記圧力の上昇を生じさせると共に、流動阻害体10でも放熱することができる。その結果、さらに効率よく放熱装置(ヒートシンク4)を放熱することができる。
<実施の形態4>
次に、実施の形態4に係る放熱装置について説明する。図9は、本発明の実施の形態4に係る放熱装置100Dの構成を示す平面図である。なお、図の簡略化のため、図9には電子部品1を示しておらず、ヒートシンク4の構造を見やすくするためにファン5を点線で示している。なお、図9に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図9を参照して、放熱装置100Dは、図2の放熱装置100と比較して、ファン5が2つ設けられる点と、板11をさらに備える点が異なる。放熱装置100Dのそれ以外の構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク4(ベース板2)のY軸方向の長さは、隣接した2つのファン5の長さよりも長い。2つのファン5は、Y軸方向に沿って直線状に並ぶように設けられる(並設される)。すなわち、ファン5は直線状に複数設けられる。
板11は、空間SP2(圧力回復空間)のうち、隣り合う各ファン5の翼部5bの下流側の領域を仕切る(区切る)位置に配置される。
同一回転方向の2つのファン5を並設した場合、空間SP2(圧力回復空間)のうち、隣り合う各ファン5の下流側の領域には、互いに異なる空気の旋回流(冷却風)が送られる。そのため、板11を設けない構成の場合、各冷却風が衝突し、空間SP2(圧力回復空間)における、動圧から静圧への変換を阻害する。
そこで、本実施の形態では、上記の各冷却風が衝突する部分に板11を設ける。この構成により、空間SP2(圧力回復空間)において、効率よく、動圧から静圧への変換を行うことができる。
なお、板11は、流動阻害体10と同様、ヒートシンク4と一体成型しても良い。
<実施の形態5>
図10は、本発明の実施の形態5に係る放熱装置100Eの構成を示す図である。図10に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図10を参照して、放熱装置100Eは、図2の放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりにヒートシンク4Eを備える点が異なる。それ以外の放熱装置100Eの構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク4Eは、図2(b)のヒートシンク4と比較して、溝D1を有する点が異なる。具体的には、ヒートシンク4Eにおいて、ベース板2の長手方向(X軸方向)に沿った2つの側面2cの各々には、放熱フィン群3が設けられる。ヒートシンク4Eにおいて、各放熱フィン群3は、空間SP2(圧力回復空間)に加えて、該放熱フィン群とベース板2とにより、取付面2aを底面として有する溝D1をさらに形成するように設けられる。
すなわち、放熱フィン群3が、通流方向である、ベース板2の両側において突き出るように設けられる。そのため、電子部品1が、放熱フィン群3により囲まれる。
放熱フィン群3は、表面積が大きくなるほど放熱特性が向上する。しかしながら、放熱フィン群3を大きくすると、放熱装置100Eの容積が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、図10に示すように構成することにより、電子部品1周りの領域を、放熱フィン群3の配置により、風が通る領域である通風路領域として活用する。これにより、コンパクトでさらに放熱特性が向上した放熱装置を提供できる。
<実施の形態6>
以下に、実施の形態6に係る放熱装置を説明する。図11は、本発明の実施の形態6に係る放熱装置100Fの構成を示す図である。図11に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図11を参照して、放熱装置100Fは、図2(b)の放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりにヒートシンク4Fを備える点が異なる。それ以外の放熱装置100Fの構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク4Fは、図2(b)のヒートシンク4と比較して、ベース板2および放熱フィン群3の形状が異なる。
具体的には、放熱フィン群3が設けられる、ベース板2の側面2cは、取付面2aに対し傾斜している。これに伴い、放熱フィン群3のうち側面2cと接する部分は、取付面2aに対し傾斜している。
すなわち、実施の形態では、図7に示すように、ベース板2の側面2cが、取付面2aと直交するのではなく、取付面2aに対し傾斜している。この構成により、圧力損失が低下し、さらに冷却風の風量が増大し、放熱特性が向上する。また、放熱フィン群3の放熱面積、および、ベース板2と放熱フィン群3との接触面積が増大する。その結果、さらに、放熱装置の放熱特性を向上することができる。
<実施の形態7>
以下に、実施の形態7に係る放熱装置を説明する。図12は、本発明の実施の形態7に係る放熱装置100Gの構成を示す図である。図12(a)は、放熱装置100Gに設けられるヒートシンク4Gの斜視図である。図12(b)は、放熱装置100Gをファン5側から見た平面図である。なお、図12(b)では、ヒートシンク4Gの構造を見やすくするために、ファン5を点線で示している。図12(c)は、放熱装置100Gの側面図である。なお、図12(b)および図12(c)に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図12を参照して、放熱装置100Gは、図2の放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりにヒートシンク4Gを備える点が異なる。それ以外の放熱装置100Gの構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク4Gは、図2(b)のヒートシンク4と比較して、放熱フィン群3に加えて、さらに、ベース板2の面2b(背面)に放熱フィン群3Gが設けられる点が異なる。面2bは、電子部品1が設けられた一方の面(取付面2a)と反対側の面である。それ以外のヒートシンク4Gの構成は、ヒートシンク4と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
放熱フィン群3Gは、直線状に配置された複数の放熱フィン32から構成される。各放熱フィン32の形状は、一例として、板状である。各放熱フィン32は、放熱フィン群3の各放熱フィン31が延在するZ軸方向と直交するY軸方向に延在する。放熱フィン32は、ベース板2と同様の熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウム、銅)からなる。
図12(b)に示すように、放熱フィン群3Gの複数の放熱フィン32は、隣接する2つの放熱フィン32の間に、Y軸方向に沿った通流路を形成するように設けられる。
別途製造された各放熱フィン32(放熱フィン群3G)は、接着、カシメ、溶接、ロウ付け等により、ベース板2の面2bに接合される。なお、各放熱フィン32(放熱フィン群3G)とベース板2とは、一体成型されても良い。
すなわち、本実施の形態では、図2に示すベース板2の面2bと放熱フィン群3とにより構成される空間SP2を活用して、図12に示すようにベース板2の面2bに放熱フィン群3Gが構成される。そのため、ヒートシンク4G全体の体積を増大させること無く、ベース板2と放熱フィン群3Gとの接触面積を増大させ、放熱面積を大きくすることができる。その結果、放熱装置100Gの放熱性能を、放熱装置100の放熱性能よりさらに向上させることができる。
なお、ファン5により発生した放熱フィン群3Gに流れる風は、放熱フィン群3Gの各放熱フィン32が延在するY軸方向と同じ方向の風の流れとなる。そのため、この風を利用して放熱装置100Gの横に配置した発熱部品を冷却できる効果は、図6に示した実施の形態2の効果と同じである。さらに、本実施の形態では、図7のように、Y軸方向に流れる風の片側に、流動阻害体10を配置する構成としてもよい。この構成により、Y軸方向の一方向だけに効果的に風を流すことができる。
<実施の形態7の変形例1>
次に、実施の形態7と異なる構成のヒートシンクを備える放熱装置について説明する。図13は、本発明の実施の形態7の変形例1に係る放熱装置100Hの構成を示す図である。図13(a)は、放熱装置100Hに設けられるヒートシンク4Hの斜視図である。図13(b)は、放熱装置100Hをファン5側から見た平面図である。なお、図13(b)では、ヒートシンク4Hの構造を見やすくするために、ファン5を点線で示している。図13(c)は、放熱装置100Hの側面図である。なお、図13(b)および図13(c)に示す点線矢印は、風が流れる経路(方向)を示す。
図13を参照して、放熱装置100Hは、図12の放熱装置100Gと比較して、ヒートシンク4Gの代わりにヒートシンク4Hを備える点が異なる。それ以外の放熱装置100Hの構成は、放熱装置100Gと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
ヒートシンク4Hは、図12のヒートシンク4Gと比較して、ベース板2の面2b(背面)に放熱フィン群3Hが設けられる点が異なる。それ以外のヒートシンク4Hの構成は、ヒートシンク4Gと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
放熱フィン群3Hは、放熱フィン群3Gと同様、直線状に配置された複数の放熱フィン32から構成される。各放熱フィン32の形状は、一例として、板状である。各放熱フィン32は、放熱フィン群3の各放熱フィン31が延在するZ軸方向に延在する。
図13(b)に示すように、放熱フィン群3Hの複数の放熱フィン32は、隣接する2つの放熱フィン32の間に、Z軸方向に沿った通流路を形成するように設けられる。すなわち、放熱フィン群3Gの各放熱フィン32はY軸方向に延在するのに対し、放熱フィン群3Hの各放熱フィン32は、Z軸方向に延在する。
すなわち、本実施の形態では、図2に示すベース板2の面2bと放熱フィン群3とにより構成される空間SP2を活用して、図13に示すようにベース板2の面2bに放熱フィン群3Hが構成される。そのため、放熱装置の放熱性能を向上できる効果は、図12で示した実施の形態と同様である。
なお、ファン5により発生する、放熱フィン群3Hに流れ込む風の一部は、放熱フィン群3Hの各放熱フィン32が延在するZ軸方向と同じ方向の風の流れとなる。そのため、当該同じ方向のZ軸方向に延在する各放熱フィン32を構成する放熱フィン群3Hに効率よく風の流れができる。その結果、放熱装置100Hの冷却効率が向上する効果も奏する。
<実施の形態7の変形例2>
次に、実施の形態7の変形例1と異なる構成のヒートシンクを備える放熱装置について説明する。以下においては、本実施の形態の変形例2に係る放熱装置を、放熱装置C1ともいう。放熱装置C1は、図2の放熱装置100と比較して、ヒートシンク4の代わりにヒートシンク4Iを備える点が異なる。それ以外の放熱装置C1の構成は、放熱装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
図14は、本発明の実施の形態7の変形例2に係るヒートシンク4Iの構成を示す図である。図14(a)、はヒートシンク4Iの斜視図である。図14(b)は、ヒートシンク4Iの平面図である。
図14を参照して、ヒートシンク4Iは、図2(b)のヒートシンク4と比較して、放熱フィン群3に加えて、さらに、ベース板2の面2b(背面)に放熱フィン群3Iが設けられる点が異なる。それ以外のヒートシンク4Iの構成は、ヒートシンク4と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
放熱フィン群3Iは、行列状に配置された複数の放熱フィン33から構成される。すなわち、各放熱フィン33の配列は、正方配列である。各放熱フィン33の形状は、一例として、棒状(ピン状)である。具体的には、放熱フィン33の形状は、例えば、角柱状である。放熱フィン33は、ベース板2と同様の熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウム、銅)からなる。
図14(b)に示すように、放熱フィン群3Iの複数の放熱フィン33は、隣接する4つの放熱フィン33の間に、Y軸方向およびZ軸方向に沿った通流路を形成するように設けられる。
別途製造された各放熱フィン33(放熱フィン群3I)は、接着、カシメ、溶接、ロウ付け等により、ベース板2の面2bに接合される。なお、各放熱フィン33(放熱フィン群3I)とベース板2とは、一体成型されても良い。
すなわち、本実施の形態では、図2に示すベース板2の面2bと放熱フィン群3とにより構成される空間SP2を活用して、図14に示すようにベース板2の面2bに放熱フィン群3Iが構成される。そのため、放熱装置の放熱性能を向上できる効果は、図13で示した実施の形態7の変形例1と同様である。
なお、実施の形態7、実施の形態7の変形例1,2では、空間SP2を活用してベース板2と放熱フィン群との接触面積を増大させて放熱面積を大きくする構成であればよい。そのため、放熱フィン群3G,3Hの各々の放熱フィン32の形状は、板状に限定されず、例えば、波板状、湾曲した板状であってもよい。また、各放熱フィン32は、平行に配置されなくてもよい。
また、放熱フィン群3Iの各放熱フィン33の形状は棒状(ピン状)であれば、角柱状に限定されない。放熱フィン33の形状は、例えば、円柱状等、その他の柱状等であってもよい。また、放熱フィン33の形状は、錐体状であってもよい。また、各放熱フィン33の配列は、正方配列に限定されず、例えば、千鳥配列等であってもよい。また、また、各放熱フィン33の配列は、風路、部品等の干渉を配慮して、不等間隔の配列であってもよい。
さらに、放熱フィン群3G,3Hの放熱フィン32、または、放熱フィン群3Iの放熱フィン33については、幅、高さ、長さ、厚み、配置間隔(ピッチ)等を自由に選択してもよい。これにより、周囲構造との適合性を改善させて放熱装置の放熱性能を向上させたり、放熱装置の製造性を改善させたり、放熱装置の重量を低減させたりすることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、各実施の形態の変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、各実施の形態の変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
例えば、実施の形態2の図6の構成は、実施の形態1、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態3〜7および実施の形態7の変形例1,2のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態3における図7または図8の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2,4〜7および実施の形態7の変形例1,2のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態4の図9の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2,3,5〜7および実施の形態7の変形例1,2のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態5の図10の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2〜4,6,7および実施の形態7の変形例1,2のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態6の図11の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2〜5,7および実施の形態7の変形例1,2のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態7の図12の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2〜6のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態7の変形例1の図13の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2〜6のいずれと組み合わせてもよい。
また、実施の形態7の変形例2の図14の構成は、実施の形態1の変形例1,2、実施の形態2〜6のいずれと組み合わせてもよい。