JP6221521B2 - 振動波モータ及び光学機器 - Google Patents
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Description
近年、振動波モータは、径を従来の1/3〜1/5倍程度と小さくし、小型化、軽量化する傾向がある。この様な小型化された振動波モータは、機器の組み込みに対しての使い勝手が良く、アプリケーションへの適用化が進み、出荷台数を大幅に伸ばしている(特許文献1参照)。
また、本発明は、上記振動波モータを備える光学機器に関する。
以下、本発明にかかる振動波モータ1の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態の振動波モータ1をレンズ鏡筒100に搭載した例を示した図である。
振動波モータ1はギアユニットモジュール101に取り付けられ、ギアユニットモジュール101はレンズ鏡筒100の固定筒102に取り付けられている。
振動波モータ1の出力ギア2は、ギアユニットモジュール101の減速ギア103を介して、カム環104に回転運動が伝達され、カム環104は回転駆動する。
カム環104には、周方向に対して斜めにキー溝105が切られており、そのキー溝105に固定ピン106が挿入されたAF環107は、カム環104が回転駆動することにより、光軸方向に直進方向に駆動され、所望の位置に停止できる。
回路108は、レンズ鏡筒100の外側固定筒102Aと内側固定筒102Bの間に設けられ、振動波モータ1の駆動、制御、回転数の検出等を行う。
第1実施形態では振動子3側を固定とし、相対運動部材4(移動子)を駆動する。
振動子3は、後で説明する様に電気エネルギーを機械エネルギーに変換する圧電素子や電歪素子等を例とした電気−機械変換素子(以下、圧電体5と称する)と、圧電体5を接合した弾性体6とを備え、振動子3には振動波が発生する。
弾性体6はベース部7と突起部8とを有する。
突起部8は、ベース部7の上面に円周方向に対して等分に6箇所設けられており、突起部8の先端面が駆動面8aとなり相対運動部材4に加圧接触される接触部である。また、ベース部7の下面の突起部8が無い面に圧電体5が接合される。
弾性体6の突起部8の駆動面8aには摺動部材として塗装膜や潤滑メッキが施されている。
弾性体6のベース部7には、後で説明する様に、周方向に沿って二種類の面外曲げ3次振動が発生する。
一つの振動は、突起部8の位置が振動の腹部になる振動で、もう片方の振動は、突起部8の位置が振動の節部になる振動であり、突起部8から突起部8までの距離がこの曲げ振動の1/2波長分にあたる。
圧電体5の表面には、後で詳細を説明するが、電極が配置され、それは円周方向に沿って2つの相(A相、B相)に分かれている。各相においては、1/2波長毎に交互に分極されている。
圧電体5の弾性体6の接着面側との反対面には、駆動信号を伝達するためにフレキシブルプリント基板(FPC)10が接合され、回路108に伸びている。
相対運動部材4は、アルミニウムといった軽金属からなり、摺動面の表面には耐摩耗性向上のための表面処理が成されている。
出力軸11とストッパー部材13はEクリップ14等により固定され、相対運動部材4と一体に回転する。ストッパー部材13と相対運動部材4との間のゴム部材12は、ゴムによる粘着性で相対運動部材4とストッパー部材13と結合する機能があり、かつ相対運動部材4からの振動を出力軸11へ伝えないための振動吸収との機能があるブチルゴム等が好適である。
圧電体5の片面側は、図4の様な電極パターンが設けられている。本実施形態では、図示する面5aは、弾性体6との接合面5bと反対側の面となっている。
一方、弾性体6の接合面5bは、全面電極となっており、弾性体6がGNDになる様にされている。
電極Aは、円周方向に対して、電極の真ん中が突起部8に位置する様になっており、電極Bは、円周方向に対して、突起部8と突起部8との間に電極の真ん中が位置する。
これは、分極方向(3方向)に電圧を印加すると、円周方向(1方向)に変位が生じる現象である。圧電体5の厚さ方向に電圧を加えると、圧電体5には伸び変位、縮み変位が発生し、これにより弾性体6ベース部7が曲げ変位が生じる。駆動信号を交流電圧とすると、ベース部7には面外曲げ振動(定在波)が発生する。
移相部23は、該発振部22で発生した駆動信号を90°位相の異なる2つの駆動信号に分ける。
増幅部24は、移相部23によって分けられた2つの駆動信号をそれぞれ所望の電圧に昇圧する。
増幅部24からの駆動信号は、振動波モータ1に伝達される。振動波モータ1では、この駆動信号の印加により振動子3に振動が発生し、その振動により相対運動部材4が駆動される。
制御部21は、レンズ鏡筒100内またはカメラ本体のCPUからの駆動指令を基に振動波モータ1の駆動を制御する。制御部21は、位置・速度検出部25からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部22の周波数を制御する。
制御部21から駆動指令が発令されると、発振部22からは駆動信号が発生される。その駆動信号は位相部により90度位相の異なる2つの駆動信号(A相、B相)に分割され、増幅部24により所望の電圧に増幅される。図7は、駆動信号を示すグラフであり、(a)はA相、(b)はB相を示す。
電極AへのA相の駆動信号の入力により、弾性体6のベース部7には、突起部8が面外曲げ振動の腹部に位置する3次モード振動(定在波)が発生する(図6(a))。
それとともに、電極BへのB相の駆動信号の入力により、弾性体6のベース部7には、突起部8が面外曲げ振動の節部に位置する3次モード振動(定在波)が発生する(図6(b))。
突起部8が面外曲げ振動の節部に位置する振動は、突起部8を回転運動させ、即ち駆動方向に変位する振動となる(図6(b))。
突起部81は、
t=1の時は、上側へ運動し、
t=2の時は、右側へ運動し、
t=3の時は、下側へ運動し、
t=4の時は、左側へ運動し、
t=5の時は、上側へ運動、即ちt=1の時に戻る。
この様に突起部81の駆動面81aは楕円運動を発生する。
t=1の時は、下側へ運動し、
t=2の時は、左側へ運動し、
t=3の時は、上側へ運動し、
t=4の時は、右側へ運動し、
t=5の時は、下側へ運動、即ちt=1の時に戻る。
この様に突起部82の駆動面82aも楕円運動を発生する。
突起部81と突起部82とは、交互に位置しており、お互いの楕円運動は180度位相がずれたようになっている。
これにより駆動に必要な振動のみを励起させることが可能となり、従来の構造よりも駆動力や駆動効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、部品点数が非常に少なくなり、組立工数も大幅に削減したため、大幅なコストダウンも達成することが出来る。
本発明の振動波モータ1は、A相入力で加圧方向の振動を発生させ、B相の入力で駆動方向の振動を発生させる方式であるが、この方式の振動波モータ1は、楕円運動の大きさや形状をコントロールできる。
このため、低速時に駆動面8aの面粗さや平面度の状態によっては、回転ムラが大きくなったり、急激停止したりする場合がある。
また、速度を上げる時には、A相の電圧を維持し、B相の電圧を上げていけば、駆動方向の振幅のみを大きくする状態が可能となり(この状態は楕円が横長形状となっている)、進行波型と比較して高回転でも異音の発生が生じず、消費電力も抑えることが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は第1実施形態に対して、圧電体5Aの電極パターンが異なる。図9は第2実施形態の圧電体5Aおよび電極パターンを説明する図である。振動波モータの外観、レンズ鏡筒100に組み込んだ外観や駆動回路108については、第1実施形態と同様なため説明は省略する。
第2実施形態では、図示する面5Aaは、弾性体6との接合面とは反対面となっている。
一方、弾性体6の接合面は、第1実施形態と同様に全面電極となっており、弾性体6がGNDになる様にされている。
電極Aは、円周方向に対して、電極の真ん中が突起部8Aに位置する。
電極Bは、円周方向に対して、突起部8Aと突起部8Aとの間に電極の真ん中が位置する。
なお、第2実施形態においても、d31圧電現象を利用している。
第1実施形態と同様に、制御部21から駆動指令が発令されると、発振部22からは駆動信号が発生される。その駆動信号は移相部23により90度位相の異なる2つの駆動信号(A相、B相)に分割され、増幅部24により所望の電圧に増幅される。駆動信号A相、B相は、第1実施形態の図7と同様である。
駆動信号A相、B相はそれぞれ圧電体5Aの電極Aと電極Bとに印加される。すると、電極AへのA相の入力により、弾性体6のベース部7には、突起部8A1が面外曲げ振動の腹部に位置する3次モード振動が発生する。電極BへのB相の入力により、弾性体6のベース部7には、突起部8A2が面外曲げ振動の節部に位置する3次モード振動が発生する。
突起部8が面外曲げ振動の腹部に位置する振動は、突起部8を上下方向即ち加圧方向に変位する振動となる(図10(a))。突起部8が面外曲げ振動の節部に位置する振動は、突起部8を回転運動させ、即ち駆動方向に変位する振動となる(図10(b))。
第1実施形態においては、円周方向に対して、電極パターンは1/4波長となっているが、第2実施形態では、A相、B相とも円周方向に対して、電極パターンを1/2波長を確保することができる。このため、第1実施形態よりも曲げ振動の励起が有利になることから、駆動力を向上させることが可能である。
また、第1実施形態と同様に、A相入力で加圧方向の振動を発生させ、B相の入力で駆動方向の振動を発生させる方式であるが、この方式の振動波モータ1は、楕円運動の大きさや形状をコントロールできる。
Claims (12)
- 電極を介して駆動信号が入力される電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子への前記駆動信号の入力により振動波を生じ、移動部材と接触する接触部を有する弾性体と、を備え、
前記電気機械変換素子の前記電極は、前記接触部の位置が振動の腹部になる曲げ振動を発生させる第1相の駆動信号が入力される第1電極と、前記接触部の位置が振動の節部になる曲げ振動を発生させる第2相の駆動信号が入力される第2電極とに分離されていて、
前記移動部材を移動させている間に前記第1相の駆動信号の電圧の大きさと前記第2相の駆動信号の電圧の大きさを異ならせて前記移動部材の速度を変更させる制御部を備える振動波モータ。 - 請求項1に記載の振動波モ−タにおいて、
前記接触部は、3以上設けられている振動波モータ。 - 請求項1または2に記載の振動波モータにおいて、
前記振動は、前記接触部の位置が振動の腹部になる面外曲げ振動と、該接触部の位置が振動の節部になる面外曲げ振動である振動波モータ。 - 請求項3に記載の振動波モ−タにおいて、
前記面外曲げ振動は3次モードの振動である振動波モータ。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の振動波モ−タにおいて、
前記接触部は、前記振動の腹部になる面外曲げ振動により、駆動方向に対して略垂直方向に運動し、
前記接触部は、前記振動の節部になる面外曲げ振動により、駆動方向に運動する振動波モータ。 - 第1電極を介して第1相の駆動信号が入力され、2つの前記第1電極の間に配置された第2電極を介して第2相の駆動信号が入力される電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子への駆動信号の入力により振動波を生じる弾性体と、
前記振動波により移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させている間に前記第1相の駆動信号の電圧の大きさと前記第2相の駆動信号の電圧の大きさを異ならせて前記移動部材の速度を変更させる制御部と、
を備える振動波モータ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記制御部は、前記第2相の駆動信号の電圧の大きさを前記第1相の駆動信号の電圧の大きさよりも小さくすることにより前記移動部材の移動速度を遅くする振動波モータ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記制御部は、前記第2相の駆動信号の電圧の大きさを前記第1相の駆動信号の電圧の大きさよりも大きくすることにより前記移動部材の移動速度を早くする振動波モータ。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の振動波モ−タにおいて、
前記電気機械変換素子は円環状であり、円周に沿って前記第1電極と前記第2電極とが交互に配置されている振動波モータ。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の振動波モ−タにおいて、
前記電気機械変換素子は円環状であり、内周側に前記第1電極が配置され、外周側に前記第2電極が配置されている振動波モータ。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の振動波モ−タにおいて、
前記第1相の駆動信号と前記第2相の駆動信号とは90°の位相差を有する振動波モータ。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の振動波モータを備える光学機器。
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