JP6218359B2 - 表面修飾された金属酸化物ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

表面修飾された金属酸化物ナノ粒子及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、表面修飾された金属酸化物ナノ粒子及びその製造方法に関する。
金属酸化物ナノ粒子は、そのサイズ的及び構造的特徴を利用した様々な応用研究がなされている。しかし、これらの金属酸化物ナノ粒子はその粒子の小ささのため強いファン・デル・ワールス力により非常に凝集しやすく、そのサイズを保ったまま応用利用することが困難である。金属酸化物ナノ粒子が凝集すると、そのサイズ的特徴が失われるため、金属酸化物ナノ粒子の応用研究において、金属酸化物ナノ粒子の凝集を防ぐことが大きな課題となっている。
そこで、修飾剤を併用したソルボサーマル合成法、超臨界水熱合成法といったボトムアップ的手法(特許文献1及び2、非特許文献1)から、表面を修飾する検討や得られた粒子の破砕と同時に表面を修飾するといったビルドダウン的手法まで、様々な表面修飾方法、表面修飾剤が検討されている。これらの中で、ボトムアップ的手法は粒子径や粒子の結晶性等の制御がより容易にできる点、及び粒子径のより小さいものの調整が可能な点で好ましい。
しかし、ボトムアップ的な手法においては、様々な表面修飾が検討されているものの、分散性を向上させるためには、非常に多くの表面修飾剤が必要となる。加えて、これらの表面修飾剤の多くはポリマーとの親和性が低く、ポリマーコンポジットへの応用においては、さらなる修飾が必要となるケースも多い。また、表面修飾剤が多く必要であることにより、用いる表面修飾ナノ粒子の重量当たりの無機分率が低下し、結果として期待するほどの特性が得られないといった問題点も有している。
例えば、ソルボサーマル法を用いた手法において、有機修飾剤として機能するものを界面活性剤に用いる方法(特許文献1)や、有機スルホン酸を表面修飾剤として用いる方法(特許文献2)等が知られている。これらの手法で用いられている修飾剤はオレイン酸やヘキシルアミン、p−トルエンスルホン酸等であり、表面修飾ナノ粒子が十分に分散されたものとするためには、表面修飾ナノ粒子は有機分率が高いものとなる。
特開2009−233845号公報 特開2011−020915号公報
Shuxue Zhouetal., Langmuir 2007, 23, p.9178-9187.
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、金属酸化物ナノ粒子を分散させることができ、ポリマーとの親和性が高い表面修飾金属酸化物ナノ粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、フルオレン化合物で金属酸化物ナノ粒子の表面を修飾することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の表面修飾金属酸化物ナノ粒子及びその製造方法に関する。
項1.フルオレン化合物が金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾した金属酸化物ナノ粒子。
項2.前記フルオレン化合物が、前記金属酸化物ナノ粒子の表面に化学結合又は担持している、項1に記載の金属酸化物ナノ粒子。
項3.前記フルオレン化合物が一般式(1)
Figure 0006218359
[式中、Z及びZは同一か又は異なって、飽和又は不飽和の炭化水素環、又は複素環を示す。E及びEは同一か又は異なって、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。R1a及びR2aは同一か又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。R1b及びR2bは同一か又は異なって、アルキレン基を示す。R1c及びR2cは同一か又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。n1及びn2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。m1及びm2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。p1及びp2は同一か又は異なって1〜4の整数を示す。q1及びq2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。]
で表されるフルオレン化合物である、前記項1又は2に記載の金属酸化物ナノ粒子。
項4.前記E及びEが水酸基又はカルボキシル基である、前記項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物ナノ粒子。
項5.前記Z及びZがベンゼン環又はナフタレン環である、前記項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物ナノ粒子。
項6.前記金属酸化物ナノ粒子がジルコニアナノ粒子である、前記項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物ナノ粒子。
項7.フルオレン化合物が金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾した金属酸化物ナノ粒子の製造方法であって、
(1)金属酸化物前駆体及びフルオレン化合物を含む溶液を加熱する工程
を備える、製造方法。
本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、分散性及びポリマーへの相溶性に優れており、複合材料分野への活用に好適である。
特に、本発明のフルオレン化合物で修飾された表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子が有する機能(ジルコニアの場合屈折率等)を損なうことなく、分散性及びポリマーへの相溶性を向上させることができる。
実施例1及び比較例1のX線回折の結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1のFT−IR測定結果(横軸:波数[cm−1]、縦軸:透過率[%])を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.表面修飾金属酸化物ナノ粒子
本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、フルオレン化合物が金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾した粒子である。
<金属酸化物ナノ粒子>
本発明において、金属酸化物ナノ粒子としては、特に制限されるわけではないが、金属酸化物ナノ粒子に含まれる金属としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バリウム、亜鉛、ストロンチウム、セリウム、コバルト、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、イットリウム、リチウム等が挙げられる。金属酸化物ナノ粒子における金属酸化物はこれらの金属を1種のみ含むものであっても、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含まれる複合酸化物であってもよい。上記金属酸化物の具体例としては、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、シリカ、アルミナ、コバルト酸リチウム、リン酸マンガンリチウム等が例示できる。中でも、ポリマー等の有機材料に金属酸化物ナノ粒子を分散させることにより、光学的、電磁気的、力学的な性質を付与する目的においては、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、シリカ、アルミナが好ましく、電池等への応用においては、コバルト酸リチウム、リン酸マンガンリチウム等が好ましい。
金属酸化物ナノ粒子は、末端OH基に代表されるように一部金属酸化物の合成に起因する金属−酸素−金属以外の基を含んでいてもよいが、表面処理等を施していない未処理の金属酸化物ナノ粒子が好ましい。
金属酸化物ナノ粒子の平均1次粒子径は、1〜50nm程度、更に1〜30nmが好ましく、特に1〜10nm程度が好ましい。このように、平均1次粒子径の小さい金属酸化物は、凝集しやすく、分散性が悪いが、本発明で用いるフルオレン化合物によって表面修飾することで、分散性を飛躍的に向上させることができる点で、もともと分散性の悪い金属酸化物ナノ粒子を使用することが有用である。なお、金属酸化物ナノ粒子の平均1次粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察(TEM等)により測定することができる。
上記金属酸化物の結晶構造又は結晶相は今日までに知られている金属酸化物の結晶構造又は結晶相であればよいが、例えば、チタニアの場合はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられ、ジルコニアの場合には、正方晶、立方晶、単斜晶等が挙げられる。
<フルオレン化合物>
本発明において、フルオレン化合物は下記一般式(1)
Figure 0006218359
[式中、Z及びZは同一か又は異なって、飽和又は不飽和の炭化水素環、又は複素環を示す。E及びEは同一か又は異なって、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。R1a及びR2aは同一か又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。R1b及びR2bは同一か又は異なって、アルキレン基を示す。R1c及びR2cは同一か又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。n1及びn2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。m1及びm2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。p1及びp2は同一か又は異なって1〜4の整数を示す。q1及びq2は同一か又は異なって、0〜4の整数を示す。]
で表されるフルオレン化合物が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、E又はEで表される基と金属酸化物ナノ粒子表面に存在する水酸基とが脱水縮合することにより結合を形成し、金属酸化物ナノ粒子表面を修飾することが可能である。
上記一般式(1)中、E及びEは、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基である。E及びEは水酸基又はカルボキシル基であることが好ましく、水酸基であることがより好ましい。E及びEは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)中、Z及びZは、飽和又は不飽和の炭化水素環、又は複素環である。飽和又は不飽和の炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の飽和炭化水素環;シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環、芳香族炭化水素環(ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等)等の不飽和炭化水素環等が挙げられる。飽和又は不飽和の複素環としては、例えば、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、ピペリジン環等の飽和複素環;芳香族複素環(チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環等)等の不飽和複素環が挙げられる。Z及びZは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であることが好ましく、芳香族炭化水素環であることがより好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることが特に好ましい。Z及びZは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)中、R1a及びR2aは、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基等、アリール基、アラルキル基等)、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。R1a及びR2aは同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜8(特に1〜6)のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
シクロアルキル基としては、炭素数5〜10(好ましくは5〜8、特に5〜6)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基(アルキル基としては前述したもの;より具体的にはトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基等のメチルフェニル基等、キシリル基等のジメチルフェニル基等)、ナフチル基等が好ましい。
アラルキル基としては、前述したアリール基と前述したアルキル基を有する炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基等が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8(特に1〜6)のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が好ましい。
シクロアルコキシ基としては、炭素数5〜10のシクロアルコキシ基が好ましく、具体的には、シクロヘキシルオキシ基等が好ましい。
アリールオキシ基としては、前述したアリール基を有する炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基等が好ましい。
アラルキルオキシ基としては、前述したアリール基と前述したアルキルオキシ基を有する炭素数7〜14のアラルキルオキシ基が好ましく、具体的には、ベンジルオキシ基等が好ましい。
アシル基としては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基等が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基等が好ましい。
ヒドロキシアリール基としては、前述したアリール基を有する炭素数6〜10のヒドロキシアリール基が好ましく、具体的には、ヒドロキシフェニル基(特に4−ヒドロキシフェニル基)、ヒドロキシC1−4アルキルフェニル基(特に4−ヒドロキシ−3−メチル基)、ヒドロキシナフチル基(特に4−ヒドロキシナフチル基)等が好ましい。
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子等が好ましい。
置換アミノ基としては、上述した官能基を置換基に有するものが好ましく、具体的には、ジアルキルアミノ基等が好ましい。
置換基R1a及びR2aの置換数であるm1及びm2は、通常0〜4(特に0〜2)程度の整数が好ましい。置換基R1a及びR2aの置換位置も特に制限されない。好ましい置換基R1a及びR2aは、炭素数が1〜6のアルキル基(特にメチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基)であり、好ましい置換数m1及びm2は、0又は1(特に0)である。
上記一般式(1)中、R1b及びR2bは同一か又は異なって、アルキレン基である。R1b及びR2bは炭素数1〜4(特に2〜4)のアルキレン基が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。R1b及びR2bは同一であっても異なっていてもよい。また、R1b同士、R2b同士が同一であっても異なっていてもよい。好ましいアルキレン基は、炭素数2〜3のアルキレン基(特にエチレン基、プロピレン基及びトリメチレン基)であり、通常エチレン基が好ましい。
置換基[E−(R1bO)q1]及び[E−(R2bO)q2]の置換数であるp1及びp2は、1〜4の整数であり、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。置換基[E−(R1bO)q1]及び[E−(R2bO)q2]の置換位置も特に限定されない。
オキシアルキレン単位の繰り返し数であるq1及びq2は、0〜4の整数であり、好ましくは0〜3、より好ましくは1〜3である。
上記一般式(1)中、R1c及びR2cは同一か又は異なって、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基等、アリール基、アラルキル基等)、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。これらの置換基は、R1a及びR2aにおいて例示したものが挙げられる。
置換基R1c及びR2cの置換数であるn1及びn2は、通常0〜4(特に0〜2)程度の整数が好ましい。置換基R1c及びR2cの置換位置も特に制限されない。好ましい置換基R1c及びR2cは、炭素数が1〜6のアルキル基(特にメチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基)であり、好ましい置換数n1及びn2は、0又は1(特に0)である。
<表面修飾金属酸化物ナノ粒子>
本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、上記の金属酸化物ナノ粒子の表面に、フルオレン化合物が修飾している。
この本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子の平均1次粒子径は、金属酸化物ナノ粒子の平均1次粒子径と同様であるが、1〜50nmが好ましく、1〜30nmが更に好ましく、1〜10nmが特に好ましい。なお、金属酸化物ナノ粒子の平均1次粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察(TEM等)により測定することができる。
本発明において、「修飾」とは、化学結合又は担持を意味する。特に、本発明においては、上記一般式(1)で示される化合物を使用した場合には、E又はEで表される基と金属酸化物ナノ粒子表面に存在する水酸基とが脱水縮合することにより結合を形成できるため、化学結合することが好ましい。
このように、本発明においては、金属酸化物ナノ粒子をフルオレン化合物で完全に覆わなくても、分散性を向上させることができる。
また、フルオレン化合物の存在により、様々なポリマーとの相溶性を向上させることも可能である。
さらに、本発明では、上記のように、金属酸化物ナノ粒子をフルオレン化合物で完全に覆うことがない。このため、従来の表面修飾方法と比較すると、有機分率を低く保つ(具体的には、5〜30重量%程度、特に10〜20重量%程度)ことができる。このため、本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子が有する機能を損なうことなく、分散性及びポリマーへの相溶性を向上させることが可能である。また、本発明で表面修飾のために使用するフルオレン化合物は、比較的屈折率の高い有機化合物であり、金属ナノ粒子としてジルコニアを使用した場合には、その屈折率を低減することなく、分散性及びポリマーへの相溶性を向上させることができる。
2.表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法
本発明において、表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、例えば、
(1)金属酸化物前駆体及びフルオレン化合物を含む溶液を加熱する工程
を備える方法(ソルボサーマル法等)により製造することができる。
金属酸化物前駆体としては、加熱により金属酸化物になるものであれば特に制限はなく、例えば、金属塩化物等の金属ハロゲン化物、金属アセテート、金属アルコキシド、金属水酸化物などが挙げられる。この中でも、金属塩化物においては、塩化物が副生することから、金属アセテート、金属アルコキシド、金属水酸化物が好適に用いられる。金属酸化物前駆体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用しても良く、通常は反応系内に溶解した状態で存在する。
金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化ジルコニウム、塩化チタン等が挙げられる。
金属アセテートとしては、例えば、酢酸ジルコニウム、四酢酸チタン等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、ジルコニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等が挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化亜鉛等が挙げられる。
フルオレン化合物は、上記説明したものである。
上記溶液を作製するための溶媒としては、金属酸化物前駆体及びフルオレン化合物の溶液を作製でき、且つ、ソルボサーマル法に適用できるものであれば制限されないが、例えば、水、アルコール類、フェノール類、グリコール類、ケトン類、ニトリル類、ラクタム化合物、オキシム化合物、アミド類、アミン類、スルフィド類、スルホキシド類、芳香族化合物等の溶媒が挙げられる。これらの溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;フェノール等のフェノール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族化合物が挙げられる。
上記溶液において、金属化合物の濃度としては、特に制限されないが、10〜300mmol/Lが好ましく、50〜100mmol/Lがさらに好ましい。また、フルオレン化合物の濃度としては、特に制限されないが、2〜200mmol/Lが好ましく、10〜50mmol/Lがさらに好ましい。上記溶液において、金属化合物およびフルオレン化合物は、完全に溶解していることが好ましい。
上記溶液において、金属酸化物の濃度とフルオレン化合物の濃度との比率としては、10:1〜1:2が好ましく、5:1〜2:1がさらに好ましい。
工程(1)において、加熱温度としては、本発明の表面修飾金属酸化物を作製できる温度であれば特に制限されないが、100〜400℃が好ましく、150〜300℃がさらに好ましい。
また、加熱は、高圧下で行うことが好ましい。この場合の圧力としては、特に制限はなく、常法にしたがえばよいが、0.1〜40MPaが好ましく、1〜20MPaがさらに好ましい。上記方法において、高圧下加熱する方法としては、高圧条件下加熱できればよく、オートクレーブ等のバッチ式の方法でも高圧ポンプと耐圧チューブ(SUS等)を連結して作成可能な連続式反応装置等を用いた連続式の方法でもよい。
工程(1)における反応時間としては、特に制限はなく、常法にしたがえばよいが、0.01〜72時間が好ましく、0.1〜5時間がさらに好ましい。
本発明の表面修飾金属酸化物ナノ粒子は、ソルボサーマル法により製造した後、遠心分離し、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒によって洗浄処理を行うことができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1
ジルコニウムテトライソプロポキシド(Aldrich社製、3.76g、8.03mmol)と9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下単に「BREF」とする;大阪ガスケミカル(株)製、1.00g、2.28mmol)をエタノール(和光純薬製、100g(127mL))に溶解させた。この溶液をオートクレーブ(ステンレス製)に充填し、270℃、11MPaで3時間反応させた後、室温に放冷した。この反応液は白濁しており、反応液中に白色沈殿が見られた。得られた反応液を遠心分離した後、白色沈殿物をトルエン及びテトラヒドロフランへ再分散し、遠心分離をした後、沈殿物を得る操作をそれぞれ2回ずつ繰り返し、洗浄処理を行い、白色の粉末を得た。
この際、トルエン及びテトラヒドロフランへの分散性は高く、乳白色の分散液となった。
比較例1
ジルコニウムテトライソプロポキシド(Aldrich社製、3.76g、8.03mmol)をエタノール(和光純薬社製、100g(127mL))に溶解させた(つまり、BREFを使用しなかった)こと以外は、実施例1と同様の操作により白色の粉末を得た。
この際、トルエン及びテトラヒドロフランへの分散性は実施例1と比較して明らかに悪かった。
実施例1及び比較例1で得られた白色粉末について、以下のような分析を行った。
(1)平均1次粒子径
実施例1及び比較例1で得られた粉末を、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観測し、平均1次粒子径を測定した。その結果、実施例1及び比較例1ともに、2〜4nm程度であった。結果を表1に示す。
(2)有機分量分析
実施例1及び比較例1で得られた粉末10mgを空気雰囲気下、25〜1000℃、昇温速度10℃/minの条件にてTG測定((株)リガク製、TG−8120)を行った。ナノ粒子表面の有機分率の算出は、25〜150℃での重量減少を水分吸着によるもの、及び150〜1000℃での重量減少を表面に吸着、結合した有機物によるものとした。この結果、実施例1では19重量%、比較例1では6重量%であった。結果を表1に示す。なお、従来の方法で表面修飾する場合の20〜50重量%程度と比較して本発明の実施例では有機分率を低くすることができた。
(3)粒子の状態分析
実施例1及び比較例1で得られた粉末の結晶構造は、(株)マックサイエンス社製の微小部X線回折装置により測定を行い、表面に吸着した有機物の同定をFT−IR(Nicolet製 Magna760)において行った。この結果、実施例1及び比較例1ともに正方晶であり、また、実施例1の粉末表面には、BPEFが吸着していたのに対し、比較例1の粉末表面には何も吸着していなかった。結果を表1及び図1〜2(図1はX線回折、図2はFT−IRの結果である)に示す。
なお、図2において、1510cm−1及び1450cm−1付近のピークはフルオレン化合物中の芳香環炭素−炭素結合の伸縮に該当する吸収である。実施例1のスペクトルでは、該当するピークが検出でき、ジルコニアナノ粒子表面にフルオレン化合物が修飾されていることがわかる。
Figure 0006218359

Claims (3)

  1. 9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン水酸基と金属酸化物ナノ粒子の表面の水酸基とが化学結合している、フルオレン化合物が金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾した金属酸化物ナノ粒子。
  2. 前記金属酸化物ナノ粒子がジルコニアナノ粒子である、請求項1に記載の金属酸化物ナノ粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンが金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾した金属酸化物ナノ粒子の製造方法であって、
    (1)金属酸化物前駆体及び9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを含む溶液を加熱する工程
    を備える、製造方法。
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