以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。本実施形態では、電子写真方式のカラー印刷可能なプリンター100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略)
まず、図1、図2を用いて、実施形態に係るプリンター100の概略を説明する。図1は、プリンター100の構成の一例を示す図である。図2は、画像形成ユニット40の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンター100は、本体内に給紙部2、搬送部3、画像形成部4(起動処理実行部に相当)、定着部6(起動処理実行部に相当)を含む。プリンター100の上面には、プリンター100に関する設定入力を受け付ける操作パネル7が設けられる。
給紙部2は、印刷に用いられる用紙を収容し、1枚ずつ用紙を搬送部3に送り出す。搬送部3は、給紙部2から供給された用紙を搬送し、画像形成部4、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ31まで導く。
画像形成部4は、形成すべき画像の画像データに基づきトナー像を形成する。そして、画像形成部4は、4色分の画像形成ユニット40Bk(ブラック)、40C(シアン)、40Y(イエロー)、40M(マゼンタ)と露光部41を含む。また、画像形成部4は、中間転写部5(転写部、起動処理実行部に相当)を含む。
ここで、図2に基づき、各画像形成ユニット40Bk、40C、40Y、40M(40Bk〜40M)を詳述する。尚、各画像形成ユニット40Bk〜40Mは、形成するトナー像の色が異なるが、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、以下では画像形成ユニット40Bkを例に挙げ説明する。また、以下の説明では色を示すBk、Y、C、Mの符号は特に説明する場合を除き省略し、共通する部材に、共通の符号を付して説明する。
図2に示すように、各画像形成ユニット40Bk〜40Mは、感光体ドラム42、帯電部43、現像部44、クリーニング部45、除電部46を含む。感光体ドラム42は、所定の周速度で回転駆動される。感光体ドラム42は、帯電、露光、現像のプロセスを経て周面にトナー像を担持する(像担持体)。帯電部43は、感光体ドラム42の表面を一定の電位で帯電させる。
露光部41は、各画像形成ユニット40の下方に配される。露光部41は、感光体ドラム42に向けレーザー光を出力する。露光部41は、内部に、レーザー発光部41a(レーザーダイオード、図5参照)、ポリゴンミラー41b(図5参照)、ポリゴンモーター41c(図5参照)、fθレンズ(不図示)、ミラー(不図示)のような光学系部材を含む。露光部41は、光学系部材を用いて、画像データをカラー色分解した画像信号に基づいた光信号(レーザー光、図2で破線で図示)を、帯電後の感光体ドラム42に照射して走査露光を行う。これにより、感光体ドラム42の周面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
現像部44は、トナーを含む現像剤(例えば、2成分現像剤)を収納する。本実施形態のプリンター100では、4つの現像部44が設けられ、各現像部44は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの何れか一色の現像剤を収容する。印刷のとき、現像ローラー44aの周面にはトナーの薄層が形成される。そして、現像ローラー44aには交流電圧と直流電圧が印加される(詳細は後述)。これにより、感光体ドラム42に向けてトナーが飛翔し、静電潜像の現像が行われる。また、各現像部44内には、回転することにより、各現像部44内のトナーをほぐし、帯電させる攪拌スクリュー44bが設けられる。
クリーニング部45は、感光体ドラム42の軸線方向に延び、感光体ドラム42の表面を擦って残トナー等を除去する。又、クリーニング部45の上方には、感光体ドラム42に対し光を照射して除電を行う除電部46(例えば、アレイ状のLED)が設けられる。
図1に戻り説明を続ける。画像形成部4の一部としての中間転写部5は、感光体ドラム42からトナー像の1次転写を受けて、用紙に2次転写を行う。中間転写部5は、各感光体ドラム42に対向する位置につき1本の1次転写ローラー51Bk、51Y、51C、51M(51Bk〜51M)を含む。また、中間転写部5は、中間転写ベルト52、駆動ローラー53、従動ローラー54、55、56、2次転写ローラー57、ベルトクリーニング装置58を含む。
中間転写ベルト52は、1次転写ローラー51Bk〜51M、駆動ローラー53、従動ローラー54、55、56、2次転写ローラー57に張架される。そして、駆動機構(モーター等。不図示)により回転される駆動ローラー53により、中間転写ベルト52は、図1の紙面時計方向に周回する。各1次転写ローラー51Bk〜51Mと対応する感光体ドラム42は、無端状の中間転写ベルト52を挟む。各1次転写ローラー51Bk〜51Mには、1次転写を行うための電圧が印加される。各感光体ドラム42上のトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、ずれなく重畳されて中間転写ベルト52に1次転写される。
又、駆動ローラー53と2次転写ローラー57は、中間転写ベルト52を挟み、ニップを形成する。所定の電圧が2次転写ローラー57に印加される。これにより、中間転写ベルト52上のトナー像は、用紙に2次転写される。ベルトクリーニング装置58は、2次転写後の中間転写ベルト52上の残トナーや埃を除去、回収する。
定着部6は、ヒーター60(図5参照)と定着ローラー61(定着用回転体に相当)と、定着ローラー61に圧接する加圧ローラー62を含む。トナー像が2次転写された用紙は、定着ローラー61と加圧ローラー62のニップを通過する。ニップ通過時の加熱・加圧により、トナー像は用紙に定着する。定着後の用紙は排出トレイ31に排出される。
(プリンター100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成を説明する。図3はプリンター100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、プリンター100は、主制御部8を有する。主制御部8は、プリンター100の制御を統括する。主制御部8は、CPU81、画像処理部82のような処理、演算を行う回路、素子を含む。又、プリンター100には記憶装置73が設けられる。記憶装置73は、ROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置73の組み合わせである。CPU81は、中央演算処理装置であり、記憶装置73に記憶される制御プログラム、制御用データに基づき、プリンター100の各部の制御や演算を行う。記憶装置73は、プリンター100の制御プログラムのほか、制御データ等、各種データを記憶する。
そして、主制御部8は、給紙部2、搬送部3、画像形成部4、定着部6のような印刷を行う部分を制御するエンジン制御部1と接続される。印刷を行うとき、主制御部8は、エンジン制御部1に印刷を行う指示を与える。エンジン制御部1は、主制御部8からの指示を受け、給紙部2、搬送部3、画像形成部4、定着部6の動作、処理を制御する。例えば、エンジン制御部1は、プリンター100内に1又は複数個設けられるモーターを制御し、感光体ドラム42、現像ローラー44a、中間転写ベルト52(駆動ローラー53)、定着ローラー61、用紙搬送用のローラーを回転させる。
エンジン制御部1(制御部に相当)には制御のための演算や処理を行うエンジンCPU11、印刷に関するデータやプログラムを記憶するエンジンメモリー12(記憶装置に相当)、各種時間を計測するための計時部13(変動要因検知部に相当)が設けられる。
又、主制御部8には、通信部84(通信インターフェイス)を介し、コンピューター200(パーソナルコンピューター、サーバー等)が接続される。通信部84は、コンピューター200から画像データや印刷の設定データを含む印刷用データを受信する。主制御部8は、受信した印刷用データに基づき画像処理部82に画像処理を行わせ、画像形成部4にトナー像形成を行わせる。
(主電源投入及び通常モードと省電力モード)
次に、図4を用いて、実施形態に係るプリンター100での主電源の投入と、通常モードと、省電力モードについて説明する。図4はプリンター100での電力供給の一例を説明するための図である。
まず、プリンター100は、電源コード(不図示)をコンセントにつなぐことにより、商用電源と接続される。プリンター100は、商用電源からの電力は、電源部85に入力される。電源部85は、入力された電源部85の整流、変圧などを行い、プリンター100で必要な電圧を生成する。電源部85は、必要な大きさの電圧を生成するため、複数種の電源回路(電力変換回路)を含む。そして、電源部85は、省電力モードと通常モードのようなモードに応じた電力供給先の切り替えを行い、各モードで生成する電圧の種類を制御する電源制御部を含む。
また、プリンター100には、主電源のON/OFFを行うためにメインスイッチ85sが設けられる。例えば、メインスイッチ85sはプリンター100の側面に設けられる。メインスイッチ85sにより主電源が投入されると、電源部85は、プリンター100に含まれる全ての部分に電力供給を行う。言い換えると、電源部85は、予め定められた供給停止部分を含めて電力供給を行う。これにより、主電源部85やエンジン制御部1は、プリンター100を印刷可能な状態とするための起動時処理を複数種実行し、プリンター100を通常モードで立ち上げる。
主制御部8は、プリンター100が通常モードとなってから予め定められた移行条件が満たされたことを認識すると、省電力モードへの移行を電源部85に指示する。ここで、予め定められた条件は、適宜定めることができる。例えば、印刷ジョブが完了してから、プリンター100が通常モードに復帰してから、あるいは、プリンター100に対する操作がなくなってからの何れかのうち最も遅い時点から、通信部84で新たな印刷用データを受信せず、又、プリンター100に対する操作がないまま予め定められた時間(例えば、数十秒〜数分。操作パネル7で設定可能)が経過したとき(待機状態が連続して予め定められた時間続いたとき)、主制御部8は、省電力モードへの移行条件が満たされたと認識する。
ここで、操作パネル7に対する操作、給紙部2のカセット21の着脱操作、プリンター100のメンテナンスや部材交換用のカバー(外装)の開閉操作がが、プリンター100に対する操作と扱われる。図4に示すように、カセット21の着脱を検知するためのカセット21センサーS1が給紙部2(プリンター100内部)に設けられる。主制御部8は、カセット21センサーS1の出力に基づき、カセット21(給紙部2)の着脱がなされたか否かを認識する。また、カバーの開閉を検知するためのカバーセンサーS2が設けられる。主制御部8は、カバーセンサーS2の出力に基づき、カバーの開閉がなされたか否かを認識する。
移行条件が満たされ、主制御部8からの省電力モードへの移行指示を受けると、電源部85は、通常モードから省電力モードで電力供給を行う。具体的に、省電力モードに移行すると、主制御部8は、予め定められた供給停止部分への電力供給を電源部85に停止させる。本実施形態のプリンター100では、図4に示す各部のうち、右側に並ぶ部分(エンジン制御部1、給紙部2、搬送部3、画像形成部4、中間転写部5、定着部6)が供給停止部分にあたる(図4中、供給停止部分への電力供給ラインを白抜き矢印で図示)。尚、これらの供給停止部分は、一例であり、他の部分を供給停止部分と扱っても良いし、本説明で供給停止部分と扱う部分のうち何れかを供給停止部分としないようにしてもよい。電源制御部は、供給停止部分につながる電力供給ラインの遮断や、供給停止部分用の電源回路を停止させ、供給停止部分への電力供給を停止する。
一方、図4に示す各部のうち、省電力モードでも電力供給を行う部分を図4で電源部85の左に示している。電源部85は、主制御部8のうち少なくとも省電力モードで行うために動作させておく部分(回路)に対し、省電力モードでも電力を供給する。また、省電力モードでもコンピューター200等からの印刷用データを受信できるように、電源部85は、モードを問わず、通信部84に対して電力供給を行う。また、電源部85は、プリンター100に対する操作を検知するためモードを問わず、カセット21センサーS1やカバーセンサーS2に対して電力供給を行う。
主制御部8は、プリンター100が省電力モードで、予め定められた予め定められた復帰条件が満たされたことを認識すると、通常モードへの復帰を電源部85に指示する。主制御部8からの通常モードへの復帰指示を受けると、電源部85は、通常モードでの電力供給を開始する。具体的に、電源部85は、予め定められた供給停止部分への電力供給を再開する。
省電力モードでは、印刷に関する部分への電力供給が停止されるので、印刷用データを受信しても、プリンター100は直ちに印刷を開始できない。そこで、主電源の投入時や、省電力モードから通常モードに復帰したとき、プリンター100を印刷できる状態とするため、起動時処理が行われる。起動時処理は複数種類ある。全ての起動時処理が完了すると、プリンター100は印刷できる状態となる。そこで、起動時処理について、以下説明してゆく。
(定着部6の加熱制御)
次に、図5を用いて、定着部6での加熱制御について説明する。図5は、定着部6での加熱制御の一例を示す図である。
まず、図5を用いて、定着部6での加熱制御の一例を説明する。定着部6には、定着ローラー61を加熱するためのヒーター60が設けられる。ヒーター60は、ハロゲンヒーターやIHヒーターなどでもよい。エンジン制御部1は、ヒーター60への通電を制御する。具体的に、ヒーター60の加熱(通電、電力供給)のON/OFFを行うためのヒータースイッチ63が設けられる。
加熱処理は、定着ローラー61をトナーの定着に適する温度として予め定められた定着制御温度にまで熱する処理である。エンジン制御部1は、加熱処理では、定着部6に設けられた定着温度センサーS3(例えば、サーミスター、変動要因検知部に相当)の出力値を確認する。定着温度センサーS3は、定着ローラー61の温度を計測するためのセンサーである。定着温度センサーS3は、接触式でもよいし非接触式でもよい。そして、定着温度センサーS3は、定着ローラー61の温度によって出力値が異なる。エンジン制御部1は、定着温度センサーS3の出力電圧値に基づき、定着ローラー61の温度を認識する。尚、定着制御温度は、用いるトナーの特性やヒーター60の形式などにより異なる(例えば、170°C程度)。
定着制御温度に達していないとき、エンジン制御部1は、ヒータースイッチ63をONとし、ヒーター60に定着ローラー61を暖めさせる。このとき、定着ローラー61の温度分布を均一なものとするため、エンジン制御部1は、定着モーター64を回転させ、定着ローラー61と加圧ローラー62を回転させて、熱的な偏りを減らす。
ヒーター60による加熱により、エンジン制御部1が定着温度センサーS3の出力に基づき、定着ローラー61が定着制御温度に達したことを認識すると、ヒータースイッチ63をOFFとし、ヒーター60の加熱(通電)を停止させる。エンジン制御部1は、このような加熱処理を起動時処理として、定着部6に行わせる。
いったん定着ローラー61が定着制御温度に達すると、通常モードでは、エンジン制御部1は定着ローラー61の温度を定着制御温度で維持する温度維持制御を行う。具体的に、エンジン制御部1は、周期的に定着温度センサーS3の出力値を確認し、定着ローラー61の温度を認識する。認識した定着ローラー61の温度が定着制御温度以上であれば、ヒーター60への通電を行わず、定着制御温度未満になると、ヒーター60への通電を行う。
(ポリゴンモーター41cの回転制御)
次に、図6を用いて、ポリゴンモーター41cの回転制御について説明する。図6は、露光部41のポリゴンモーター41cの回転制御の一例を説明するための図である。
まず、図6を用いて、露光部41(起動処理実行部に相当)のポリゴンモーター41cの回転制御に関する部分を説明する。露光部41には、ポリゴンモーター41c、レーザー発光部41a、レーザー駆動回路41dが設けられる。レーザー発光部41aは、対応する色の感光体ドラム42の走査、露光を行うため、レーザー光を発する。画像処理部82は、印刷対象としての画像データや設定データに基づき、画像処理を行って、レーザー発光部41aの点消灯を指示する内容の画像データを生成する。レーザー駆動回路41dは、画像処理部82から画像データを受け取り、レーザー発光部41aの点消灯を制御する。トナーをのせる画素とのせない画素に応じて、レーザー発光部41aの点灯、消灯を切り替えることにより、感光体ドラム42には、画像データを反映した静電潜像が形成される。
レーザー発光部41aは、複数の反射面を有するポリゴンモーター41cに向けてレーザー光を発する。エンジン制御部1は、ポリゴンモーター41cを回転させ、ポリゴンモーター41cの駆動力によりポリゴンミラー41bを回転させる。これにより、主走査方向に沿ってレーザー光の照射位置が移動し、感光体ドラム42が走査、露光される。
走査、露光時(印刷時)のポリゴンモーター41cの回転速度は、数万rpmに及ぶことがある。そのため、停止した状態から印刷時の回転速度に到達するまである程度の時間を要する。そして、印刷ジョブの1ページ目の走査、露光開始前に、ポリゴンモーター41cの回転速度を加速して、ポリゴンモーター41cを走査、露光時の回転速度まで加速させる必要がある。尚、走査、露光時の回転速度とは、感光体ドラム42が副走査方向に1ライン分移動する間に、主走査方向でちょうど1回の走査がなされる速度である。
そして、通信部84がコンピューター200から印刷用データを受信したことにより、省電力モードから通常モードに復帰したとき、プリンター100を印刷できる状態への復帰にあわせ直ちに印刷を開始することになる。このような場合、エンジン制御部1は、起動時処理として、ポリゴンモーター41cの加速処理を露光部41(ポリゴンモーター41c)に行わせる。
(トナー補給制御)
次に、図7を用いて、各現像部44へのトナーの補給制御について説明する。図7は、各現像部44へのトナーの補給制御の一例を説明するための図である。尚、図7では、トナーの流れを白抜き矢印で示している。
まず、図7を用いて、各現像部44へのトナーの補給制御に関する部分を説明する。プリンター100内には、トナーの色ごとに、補給用のトナーを収容するトナーコンテナ91(トナー補給部、起動処理実行部に相当)、補給のためにトナーコンテナ91から現像部44にトナーを送る補給機構92(トナー補給部、起動処理実行部に相当)が設けられる。また、各現像部44内には、現像部44内のトナーの量が規定量以上か否かを検知するための残量センサーS4が設けられる。
プリンター100には、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの計4つのトナーコンテナ91が取り付けられる。各トナーコンテナ91は、交換可能であって、空になると取り替えることができる。補給機構92は、トナーをトナーコンテナ91から現像部44に向けて送る搬送用スクリュー(不図示)や、搬送用スクリューを回転させるためのモーターやギアを含む(不図示)。補給機構92は、トナーコンテナ91に対して1つ設けられる。
残量センサーS4は、各現像部44内に1つ設けられる。各残量センサーS4は、圧力センサーや光センサーなどであり、現像部44内のトナー(現像剤)の量が規定量未満か否かにより、出力値が異なる。各残量センサーS4の出力は、エンジン制御部1に入力される。
エンジン制御部1は、主電源投入時、通常モードに復帰したとき、印刷実行中、印刷ジョブの開始前などに、各残量センサーS4の出力に基づき、トナーの量が規定量未満の現像部44が有るか否かを確認する。規定量未満の現像部44が有ったとき、エンジン制御部1は、トナーの量が規定量未満の現像部44に対応する補給機構92を動作させ、トナーの補給を行わせる。そして、エンジン制御部1は、残量センサーS4の出力に基づき、トナーの量が規定量以上になったことが確認できるまで、補給機構92に補給動作を継続させる。そして、エンジン制御部1は、残量センサーS4の出力に基づきトナーの量が規定量以上になったことが確認できたとき、補給機構92を停止させる。
そして、主電源投入時や、省電力モードから通常モードに復帰したとき、エンジン制御部1は、トナーの量が規定量未満の現像部44に対するトナー補給処理をトナー補給部(トナーコンテナ91、補給機構92)に起動時処理として行わせる。
(キャリブレーション処理)
次に、図8〜図10を用いて、キャリブレーション処理を説明する。図8は、キャリブレーション処理で形成する計測用トナー像i1の一例を示す図である。図9は、ずれの計測を説明するための図である。図10は、キャリブレーション処理における電圧調整を説明するための図である。
気温、気圧などのプリンター100の設置環境の変化や、経時変化により、形成される画像の濃度や、画像の形成位置にずれが生ずる場合がある。例えば、全体的に濃度が薄くなることや、有る色のトナー像の形成位置が理想的な位置からずれる場合がある。濃度や位置のずれが大きいと、各色のトナー像を重ね合わせたときの画質が低下する。そこで、実施形態に係るプリンター100では、トナー像の濃度や形成、転写位置を調整するためのキャリブレーション処理を行うことができる。
具体的に、キャリブレーション処理では、エンジン制御部1は、(1)画像形成部4による計測用トナー像i1を形成させ、(2)プリンター100内に設けられた計測センサーS5を用いて計測用トナー像i1を計測させ、(3)計測結果に基づいて画像形成部4と転写部の何れか一方、又は、両方の動作を調整する。
(1)計測用トナー像i1の形成
まず、計測用トナー像i1の形成を説明する。例えば、計測用トナー像i1の画像データ(調整用画像データD1)は、エンジンメモリー12(図3参照。記憶装置73でもよい)に不揮発的に記憶される。そして、エンジン制御部1は、読み出した調整用画像データD1に基づき、画像形成部4に計測用トナー像i1を形成させ、中間転写部5に転写させる。
計測用トナー像i1として、濃度計測用画像i2と、第1位置ずれ計測用画像i3と、第2位置ずれ計測用画像i4といった種類が形成される。図8に示すように、濃度計測用画像i2は、濃度が異なる複数種のパッチ画像を組み合わせたものである。例えば、1つの濃度計測用画像i2は、同じ色のトナーで形成される。第1位置ずれ計測用画像i3は、主走査方向(中間転写ベルト52に対し垂直な方向)のラインを、副走査方向で一定間隔となるように並べた画像であり、各ラインの色は先頭から順番に異なる(例えば、ブラック→シアン→イエロー→マゼンタの順)。第2位置ずれ計測用画像i4は、主走査方向に対して斜め45度のラインを、一定間隔となるように形成した画像であり、各ラインの色は先頭から順番に異なる(例えば、ブラック→シアン→イエロー→マゼンタの順)。尚、図8は、4色分の濃度計測用画像i2と、1つの第1位置ずれ計測用画像i3と、1つの第2位置ずれ計測用画像i4を示しているが、各計測用トナー像i1を更に多数形成するようにしてもよい。
(2)計測用トナー像i1の計測
次に、計測用トナー像i1の計測について説明する。そして、エンジン制御部1は、計測用センサー(濃度センサー)を用いて、各種計測用画像を計測する。計測用センサーは、例えば、ブラックの画像形成ユニット40と駆動ローラー53の間に設けられる(図1参照)。計測用センサーは、発光部と受光部を有し、中間転写ベルト52の表面に光を照射し、受光部で反射光を受光する。計測用センサーの出力は、検知範囲内の反射率、拡散率などにより変化し、トナー像の有無、トナーの色、トナーの濃度により出力値が変わる。そして、計測用センサーの出力値は、エンジン制御部1に入力される。
エンジンメモリー12は、理想的な濃度の濃度計測用画像i2を読み取ったときの各パッチの出力値を理想データD2として不揮発的に記憶する。エンジン制御部1は、この理想データD2と、実際に形成、転写された濃度計測用画像i2のパッチを読み取ったときの出力値とを比較し、形成されたトナー像が濃いか薄いかを判断する。
また、エンジンメモリー12は、理想的な位置に形成された第1位置ずれ計測用画像i3の各ラインを読み取ったときの各ラインの時間的間隔を理想データD2として記憶している。ブラックのラインを基準とするとき、ブラックのラインとシアン、イエロー、マゼンタのそれぞれのラインとの間隔が理想的な間隔よりも狭い色については、理想よりも進みの方向でずれており、理想的な間隔よりも広い色については、理想よりも遅れの方向でずれていることになる。エンジン制御部1は、この理想データD2と、実際に形成、転写された第1位置ずれ計測用画像i3の各ラインを読み取ったときの各ラインの時間的間隔を比較し、副走査方向(ベルトの搬送方向)における各色のトナー像が転写される位置のずれを認識する。
また、エンジンメモリー12は、理想的な位置に形成された第2位置ずれ計測用画像i4の各ラインを読み取ったときの各ラインの時間的間隔を理想データD2として記憶している。エンジン制御部1は、この理想データD2と実際に形成、転写された第2位置ずれ計測用画像i4の各ラインを読み取ったときの各ラインの時間的間隔を比較し、主走査方向(ベルトの搬送方向)における各色のトナー像が転写される位置のずれを認識する。
この主走査方向での位置ずれの認識を、図9を用いて説明する。図9のうち、破線は、中間転写ベルト52のうち、計測用センサーが面するラインであり、破線上のトナー像を計測用センサーが検知する。また、図9のうち、左の実線は、基準色(例えば、ブラック)のラインである。また、図9のうち、右側の実線は、基準色と異なる色(例えば、シアン)であって、主走査方向でずれの無い(書き出し位置が同じ)ラインである。
そして、図9のうち、2点鎖線のラインは、右側の実線と同じ色(例えば、シアン)であって、主走査方向の書き出し位置がずれているラインの一例を示している。主走査方向でずれがあると、ラインを検知する時点とのずれとして現れる。エンジン制御部1は、このずれに基づいて主走査方向のずれを認識する。
(3)画像形成部4(中間転写部5)の動作調整
次に、図10を用いて、画像形成部4(中間転写部5)の動作調整を説明する。まず、計測の結果、理想的な濃度とのずれがある場合、現像ローラー44aに印加する電圧や転写ローラーに印加する電圧を調整する。
具体的に、各色の現像部44には、現像ローラー44aに交流電圧を印加する交流電圧生成部44cと、現像ローラー44aに直流電圧を印加する直流電圧生成部44dが設けられる。また、中間転写部5の各1次転写ローラー51Bk、51Y、51C、51M(51Bk〜51M)に印加する電圧を生成する転写電圧生成部51vが設けられる。各交流電圧生成部44cと、各直流電圧生成部44dと、各転写電圧生成部51vの出力電圧の大きさは、段階的に変えることができる。エンジン制御部1は、出力すべき大きさを各交流電圧生成部44cと、各直流電圧生成部44dと、各転写電圧生成部51vに指示し、各電圧生成部は指示に応じた大きさの電圧を出力する。
また、中間転写部5の2次転写ローラー57に印加する電圧を生成する2次転写電圧生成部57vが設けられる。2次転写電圧生成部57vの出力電圧の大きさは、段階的に変えることができる。エンジン制御部1は、出力すべき大きさを2次転写電圧生成部57vに指示し、2次転写電圧生成部57vは指示に応じた大きさの電圧を出力する。
一般に、感光体ドラム42と現像ローラー44a間の電位差が大きいほどトナー像の濃度が高くなる傾向がある。また、感光体ドラム42と1次転写ローラー51Bk、51Y、51C、51M(51Bk〜51M)、中間転写ベルト52と2次転写ローラー57の電位差が大きいほど、転写されずに中間転写ベルト52に残るトナーは少なくなる。そこで、エンジン制御部1は、理想的な濃度よりも低濃度の色については、交流電圧生成部44c、直流電圧生成部44d、転写電圧生成部51vに指示して、現像ローラー44aや1次転写ローラー51Bk、51Y、51C、51M(51Bk〜51M)に印加する電圧(の振幅)を大きくさせる調整を行う。一方、理想的な濃度よりも高濃度の色については、交流電圧生成部44c、直流電圧生成部44d、転写電圧生成部51vに指示して、現像ローラー44aや1次転写ローラー51Bk、51Y、51C、51M(51Bk〜51M)に印加する電圧(の振幅)を小さくさせる調整を行う。また、全色で理想よりも低濃度の傾向がでているとき、エンジン制御部1は、2次転写電圧生成部57vに指示し、2次転写ローラー57に印加する電圧を大きくさせ、全色で理想よりも高濃度の傾向がでているとき、2次転写ローラー57に印加する電圧を大きくさせる調整を行う。
次に、副走査方向の位置ずれについては、エンジン制御部1は、基準色(例えば、ブラック)に対する副走査方向の位置ずれがなくなるように、ずれ量に相当する時間(ライン数)だけ、今までよりも早い又は遅いラインから1ページの先頭ラインの書き出しが始まるように、走査、露光を開始するタイミングを調整する。
次に、主走査方向の位置ずれについては、エンジン制御部1は、基準色(例えば、ブラック)に対する主走査方向の位置ずれがなくなるように、ずれ量に相当する時間(画素数分)だけ、今までよりも早い又は遅いタイミングで、1ラインの先頭画素の書き出しが始まるように、走査、露光を開始するタイミングを調整する。
そして、主電源投入時や、省電力モードから通常モードに復帰したとき、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理を起動時処理として行わせる。尚、主電源投入時のみキャリブレーション処理を行うようにしてもよく、主電源投入時、省電力モードから通常モードへの復帰時に、常に行わないようにしてもよい。また、計測用トナー像i1の形成→計測→濃度、位置ずれの調整の手順は、1回のキャリブレーション中に複数回行って、画質維持、向上を図っても良い。
(起動期間での各起動時処理の実行)
次に、図11〜図16を用いて、本実施形態のプリンター100での主電源投入時などでの起動時処理の実行について説明する。図11は、主電源投入時などでの各起動時処理の実行手順を定める処理の一例を示すフローチャートである。図12は、所要時間データD3のうち基準所要時間を定めた部分の一例を示す図である。図13は、所要時間データD3のうち加熱処理の補正値について定義した補正用データD5の一例を示す図である。図14は、所要時間データD3のうちキャリブレーション処理の補正値について定義した補正用データD5の一例を示す図である。図15、図16は、起動期間中の各起動時処理の実行時点の一例を示す図である。
本実施形態のプリンター100では、主電源投入時や省電力モードから通常モードへの復帰時、プリンター100を印刷可能な状態にするため(立ち上げるため)起動期間中に、エンジン制御部1は、各種起動時処理を行わせる。そして、図11のフローチャートのスタートは、メインスイッチ85sによる主電源投入時や、省電力モードから通常モードへの復帰時に、エンジン制御部1に対し電力供給が再開されたことにより、エンジン制御部1が起動した時点である。
そして、エンジン制御部1は、プリンター100を印刷可能な状態とするために必要な起動時処理を定める(ステップ♯1)。具体的に、定着温度センサーS3の出力を確認し、定着ローラー61の温度が定着制御温度以上か否か(加熱処理が必要か否か)を確認する。例えば、印刷ジョブ中のエラー発生などにより、リセット的に主電源のOFF→ONがなされたとき、定着ローラー61の温度は、主電源投入の時点で定着制御温度以上である場合がある。この場合、エンジン制御部1は、起動時処理として、加熱処理は必要無いと判断する。
また、エンジン制御部1は、各現像部44の残量センサーS4の出力を確認し、起動時処理としてトナーの補給が必要か否かを確認する。また、エンジン制御部1は、起動時処理としてポリゴンモーター41cの加速処理が必要か否かを確認する。例えば、通信部84が印刷用データを受信したことによる通常モードへの復帰であるとき(印刷可能な状態になると直ちに印刷を開始すべきとき)、エンジン制御部1は、加速処理が必要と判断する。尚、ポリゴンモーター41cの加速処理は、主電源投入時や通常モードへの復帰時、常時行うようにしてもよい。また、本実施形態のプリンター100のエンジン制御部1は、キャリブレーション処理を行う必要が有るか否かを確認する。主電源投入時や通常モードに復帰したとき、キャリブレーション処理を行うか否かは、操作パネル7で設定できるようにしてもよい。この場合、設定に応じて、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理を実行するか否かを判断する。
続いて、エンジン制御部1は、行う必要があると判断した各起動時処理について、開始から終了までの所要時間を定める(ステップ♯2)。ここで、図11〜図13を用いて、各起動時処理の所要時間の定め方について説明する。
エンジン制御部1のエンジンメモリー12には、各起動時処理の所要時間を定めるための所要時間データD3が記憶される。そして、所要時間データD3には、各起動時処理の基準としての所要時間(基準所要時間)を定めた基準時間データD4が含まれる(図3、図11参照)。
図11に示すように、基準時間データD4では、各起動時処理(加熱処理、トナー補給処理、加速処理、キャリブレーション処理)の基準となる所要時間が定められる。言い換えると、各起動時処理の開始から終了までに要すると予測される基準の時間が基準時間データD4に定められる。エンジン制御部1は、必要な起動時処理のそれぞれの基準所要時間を読み出す。
ここで、定着ローラー61の加熱処理は、定着ローラー61の温度や環境温度によって、開始から終了までに要する時間(所要時間)が変わる。また、キャリブレーション処理でも、キャリブレーション処理前の現像部44の使用状況などにより、開始から終了までに要する時間(所要時間)が変わる場合がある。
そこで、各起動時処理のうち、定着ローラー61の加熱処理と、キャリブレーション処理については、プリンター100の状態や環境に応じて、基準所要時間の補正を行い、実際の処理開始から終了までに要する時間に近づくように、予測の加熱処理とキャリブレーション処理の所要時間を補正(調整)する。
尚、通常、所要時間の変動は少ないので、ポリゴンモーター41cの加速処理と、トナー補給処理については、エンジン制御部1は、基準所要時間を所要時間と扱い、補正しない。尚、加速処理とトナー補給処理についても、基準所要時間の補正を行うようにしてもよい。
そして、エンジン制御部1は、加熱処理の所要時間を変動する要因として予め定められた確認項目の検知、計測を行う。そして、エンジンメモリー12は、検知された確認項目の値に対し、基準所要時間を補正するための補正値を定めた補正用データD5を所要時間データD3として記憶する(図3、図12、図13参照)。そして、エンジン制御部1は、基準所要時間を求めた補正値で補正し、定着ローラー61の加熱処理とキャリブレーション処理の所要時間を定める。
まず、定着ローラー61の加熱処理の補正から説明する。本実施形態では、エンジン制御部1は、加熱処理の確認項目として、定着ローラー61の温度、機内温度、機外温度の機外湿度の検知を行う。
まず、エンジン制御部1は、確認項目として、定着温度センサーS3の出力に基づき、定着ローラー61の温度を検知する。通常、定着ローラー61の温度が高いほど、定着制御温度に到達するまでに要する時間は短く、定着ローラー61の温度が低いほど、定着制御温度に到達するまでに要する時間は長くなる。そこで、図12に示すように、補正用データD5は、加熱処理に関しては、定着ローラー61の温度が高いほど所要時間を短くし、定着ローラー61の温度が低いほど所要時間を長くするような補正値となるように定められる。図12の例では、定着ローラー61の温度が室温レベルである10°Cを超え、20°C以下の温度帯のとき、補正値がゼロとなる(室温が基準レベル)。
次に、エンジン制御部1は、確認項目として、エンジンメモリー12に不揮発的に記憶された設定値に基づき、目標とする定着制御温度を認識する。尚、本実施形態のプリンター100では、メンテナンス時など操作パネル7への入力によって、定着制御温度を設定することができる。また、操作パネル7になされた給紙部2に収容される用紙の厚さの設定に応じて、用紙が厚いほど定着制御温度を高く、薄いほど定着制御温度が低くなるように、定着制御温度が自動的に変更される。そして、目標とする定着制御温度が高いほど、加熱に要する時間は長くなる。そこで、図12に示すように、補正用データD5は、目標とする定着制御温度が低いほど所要時間を短くし、定着制御温度が高いほど所要時間が長くするような補正値となるように、定められる。図12の例では、目標とする定着制御温度が160°Cを超え、170°C以下の温度帯のとき、補正値がゼロとなる(170°C程度が基準レベル)。
また、エンジン制御部1は、確認項目として、機内温度を認識する。尚、機内の何れかの箇所(例えば、何れかの感光体ドラム42の隣)に、機内温度を検知するための機内温度センサーS6が設けられる(図3参照、変動要因検知部に相当)。エンジン制御部1は、機内温度センサーS6の出力に基づき確認項目としての機内温度を認識する。通常、機内温度が高いほど定着ローラー61の温度は上がりやすく、機内温度が低いほど定着ローラー61の温度は上がりにくくなる。そのため、図12に示すように、補正用データD5は、加熱処理に関し、機内温度が低いほど所要時間を長くし、機内温度が高いほど所要時間を短くするような補正値となるように、定められる。図12の例では、空調があるときの一般的な室温である20°Cを超え、30°C以下の温度帯のとき、補正値がゼロとなる(25°C程度が基準レベル)。
また、エンジン制御部1は、確認項目として、機外温度を認識する。尚、機外に面する位置(例えば、プリンター100の背面)に、機外の温湿度を検知するための機外温湿度センサーS7(図3参照、変動要因検知部に相当)が設けられる。エンジン制御部1は、機外温湿度センサーS7の出力に基づき確認項目としての機外温度を認識する。通常、機外温度が高いほど定着ローラー61の温度は上がりやすく、機外温度が低いほど定着ローラー61の温度は上がりにくい。そのため、図12に示すように、補正用データD5は、加熱処理に関し、機外温度が低いほど所要時間を長くし、機外温度が高いほど所要時間を短くする補正値となるように、定められる。図12の例では、空調があるときの一般的な室温である20°Cを超え、30°C以下の温度帯のとき、補正値がゼロとなる(25°C程度が基準レベル)。また、機外の湿度に応じて、補正値を増減させるようにしてもよい。
尚、上記の確認項目は一例であり、他種の確認項目を設け、より多様に変動要因を考慮して、定着ローラー61の加熱処理の所要時間の補正がなされるようにしてもよい。
そして、エンジン制御部1は、各確認項目の値と補正用データD5に基づき求めた各補正値と基準所要時間を足しあわせることにより、定着ローラー61の加熱処理の所要時間を定める。
次に、キャリブレーション処理の補正から説明する。本実施形態では、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理の確認項目として、計測用トナー像i1の形成前に行われるトナーの攪拌時間の長短を確認する。トナーの攪拌は、トナーの帯電レベルがある程度大きくするために行われる。
まず、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理に関する確認項目として、計測用トナー像i1の形成前に行うトナーの攪拌時間を確認する。例えば、エンジン制御部1は、計時部13の計時に基づいた、直前の(以前の通常モードでの)印刷ジョブでの現像部44の駆動時間や直前の印刷ジョブ完了から現時点までの待機時間に基づき、攪拌時間を定める。
例えば、印刷ジョブ中では、攪拌スクリュー44bの回転によりトナーが攪拌されるので、直前の印刷ジョブでの現像部44の駆動時間が長いほど、トナーの帯電レベルは、比較的が高い可能性が高い。また、直前の印刷ジョブ完了から現時点までの待機時間が長いほど、現像部44内のトナーをよく攪拌してほぐす必要がある。
そこで、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理前の攪拌時間を定める。エンジン制御部1は、キャリブレーション処理のとき、現像部44内のトナーを攪拌してから計測用トナー像i1の形成を開始する。そして、エンジン制御部1は、直前の印刷ジョブでの現像部44の駆動時間が短いほど、及び、直前の印刷ジョブ完了から現時点までの待機時間が長いほど、攪拌時間を長くする。また、エンジン制御部1は、基準の攪拌時間に対し、直前の印刷ジョブでの現像部44の駆動時間が長いほど、及び、直前の印刷ジョブ完了から現時点までの待機時間が短いほど、攪拌時間を短くする。
尚、計時部13は、直前の印刷ジョブでの現像部44の駆動時間や、直前の印刷ジョブ完了から現時点までの待機時間を計測する。計時部13の計測結果は、省電力モードでも電力が供給される主制御部8に設けられるメモリーに格納される。尚、本実施形態のプリンター100では、いったん主電源が落とされると、駆動時間や待機時間は失われる。そのため。主電源投入時後の起動時処理では、駆動時間や待機時間に関する補正値はゼロとされる。
そして、トナーの攪拌時間が長いほど、キャリブレーション処理に要する時間は長くなる。そこで、補正用データD5は、攪拌時間が長いほど、キャリブレーション処理の所要時間が長くなるような補正値が導き出されるように定められる。
尚、エンジン制御部1は、その他の確認項目として、現像ローラー44aに印加する電圧の大きさや、定着ローラー61の現在温度といった項目を確認し、各確認項目の確認した値に対する補正値の大きさを定めた補正用データD5を追加し、他の確認項目について、それぞれ補正値を求めても良い。
そして、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理での各確認項目の値と、補正用データD5に基づき求めた補正値に基づき(各補正値と基準所要時間を足しあわせることにより)、キャリブレーション処理の所要時間を定める。
続いて、エンジン制御部1は、求めた各起動時処理の所要時間に基づき、最も所要時間の長い起動時処理(第1起動時処理)を認識する(ステップ♯3)。又、エンジン制御部1は、最も所要時間の長い起動時処理以外の起動時処理(第2起動時処理)について、求められた所要時間の長さ順に実行順を定める(ステップ♯4)。
そして、エンジン制御部1は、最も所要時間の長い第1起動時処理を開始させる(ステップ♯5)。そして、エンジン制御部1は、定めた順番に、第1起動時処理とそれぞれの第2起動時処理の差の絶対値だけ、第1起動時処理の開始から時間が経過した時点で第2起動時処理を開始させる(ステップ♯6)。第2起動時処理が複数ある場合には、エンジン制御部1は、それぞれの第2起動時処理について第1起動時処理との所要時間の差を求め、絶対値の差に基づき、異なる時点で、それぞれの第2起動時処理を実行させる。
このように、各起動時処理の終了時点をあわせるので、各起動時処理は同じ時点、又は、ほぼ同じ時点で終了する(ステップ♯7)。これにより、プリンター100は、印刷できる状態になる(エンド、プリンター100のウォームアップ完了)。
各起動時処理の同じ時点、又は、ほぼ同じ時点で終了の具体的な例を図15、図16を用いて説明する。
まず、図15は、主電源投入により起動したエンジン制御部1が、起動時処理としてトナー補給処理と、定着ローラー61の加熱処理と、ポリゴンモーター41cの加速処理を行うと定めた例を示している。そして、図15の例では、求められた所要時間の関係が、加速処理<加熱処理<トナー補給処理となっている。言い換えると、第1起動時処理がトナー補給処理であり、第1起動時処理以外の起動時処理である第2起動時処理が加速処理と加熱処理である。
この場合、エンジン制御部1は、最も所要時間の長い起動時処理(第1起動時処理)であるトナー補給処理から開始させる。そして、第1起動時処理(トナー補給処理)の開始後、エンジン制御部1は、第2起動時処理のうち、より所要時間の長い加熱処理を開始させる。このとき、エンジン制御部1は、トナー補給処理の開始時点から、トナー補給処理の所要時間と加熱処理の差(の絶対値)の時間T1を経過した時点で、ヒーター60への通電を開始させる。
更に第1起動時処理(トナー補給処理)の開始後、エンジン制御部1は、第2起動時処理のうち、最も所要時間の短い加速処理を開始させる。このとき、エンジン制御部1は、トナー補給処理の開始時点から、トナー補給処理の所要時間と加速処理の差(の絶対値)の時間T2を経過した時点で、ポリゴンモーター41cの回転を開始させる。
続いて、図16は、省電力モードに移行した後、ほとんど定着ローラー61の温度が低下しないうちに、通信部84が印刷用データを受信したために、通常モードに復帰したような場合の例である。この図16の例では、エンジン制御部1は、起動時処理として、定着ローラー61の加熱処理と、ポリゴンモーター41cの加速処理を行うと定めている。そして、図16の例では、求められた所要時間の関係が、加熱処理<加速処理となっている。言い換えると、第1起動時処理が加速処理であり、第2起動時処理が加熱処理である。
この場合、エンジン制御部1は、最も所要時間の長い第1起動時処理である加速処理から開始させる。そして、加速処理の開始後、エンジン制御部1は、第2起動時処理である加熱処理を開始させる。このとき、エンジン制御部1は、加速処理の開始時点から、加速処理と加熱処理の差(の絶対値)の時間T3を経過した時点で、ヒーター60への通電を開始させる。
(印刷ジョブを中断しての処理実行と印刷再開)
次に、図17〜図19を用いて、実施形態に係るプリンター100での印刷ジョブを中断して実行する処理と処理終了による印刷再開について説明する。図17は、印刷ジョブを中断しての処理実行と印刷再開の流れの一例を示すフローチャートである。図18は、回復時間を定めるための回復時間データD6の一例を記す図である。図19は、ヒーター60への通電再開の実行時点の一例を示す図である。
本実施形態のプリンター100では、印刷ジョブを実行しているとき、いったん印刷ジョブを停止し、キャリブレーション処理又はトナー補給処理を実行し、処理終了後、印刷ジョブを再開する場合がある。
本実施形態のプリンター100では、予め定められた中途調整条件が満たされると、エンジン制御部1は、印刷ジョブ中にキャリブレーション処理を実行させる。予め定められた中途調整条件は、例えば、先に実行されたキャリブレーション処理から所定枚数の印刷がなされたときや、先に実行されたキャリブレーション処理から現像部44の現像ローラー44aに電圧を印加している時間が規定時間経過したときなど、適宜定められる。あるいは、数日、一週間、1ヶ月ごとの決まった時刻にキャリブレーション処理が実行されてもよい。これにより、先のキャリブレーション処理からある程度時間が経過しており、画質の観点からキャリブレーション処理を実行した方が好ましいとき、エンジン制御部1は、印刷ジョブ中であっても印刷をいったん停止し、キャリブレーション処理を行わせる。
また、本実施形態のプリンター100では、印刷ジョブ中などに現像部44内のトナーの量が規定量未満になると、トナー切れを防ぐため、エンジン制御部1は補給機構92を動作させる。エンジン制御部1は、各現像部44へのトナー補給中、基本的に、印刷は停止させない。しかし、予め定められた中途補給条件が満たされると、エンジン制御部1は、印刷ジョブ中にトナー補給処理を実行させる。
予め定められた中途補給条件は、適宜定めることができる。例えば、所定の印字率(例えば、数十%ベタ塗り)以上の画像の印刷が所定のページ数連続したことや、現像部44へのトナーの補給を所定時間継続したものの規定量以上になったことを検知できないこと(トナーコンテナ91内のトナーの残量が少なくなっている場合に起こりやすい)が、予め定められた中途補給条件と定められる。これにより、現像部44へのトナー補給が追いついていない可能性が高く、いったん印刷を停止してトナー補給を優先した方が好ましいとき、エンジン制御部1は、印刷ジョブ中であっても、印刷をいったん停止し、トナー補給処理を行わせる。
エンジン制御部1は、中途調整条件と中途補給条件が満たされたか否かを監視する。そして、エンジン制御部1は、これらの条件のうちいずれかが満たされたと認識したとき、印刷を停止してキャリブレーション処理又はトナー補給処理を実行すべきと判断する。図17のスタートは、印刷中(印刷ジョブ中)、印刷すべきページが残っている状態で、エンジン制御部1がこれらの条件が満たされたためにキャリブレーション処理又はトナー補給処理を実行すると判断した時点である。
まず、エンジン制御部1は、所要時間を定める(ステップ♯11)。具体的に、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理を行うときはキャリブレーション処理の所要時間を定め、トナー補給処理を行うときはトナー補給処理の所要時間を定める。
エンジン制御部1は、キャリブレーション処理の所要時間を、起動時処理のときと同様に求めればよい。言い換えると、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理での確認項目の値と、補正用データD5に基づき求めた補正値に基づき(各補正値と基準所要時間を足しあわせることにより)、キャリブレーション処理の所要時間を定める。
また、エンジン制御部1は、トナー補給処理の所要時間を、起動時処理のときと同様に求めればよい。言い換えると、トナー補給処理の所要時間は、通常、変動は少ないので、エンジン制御部1は、トナー補給処理については、基準所要時間をトナー補給処理の所要時間とする。
続いて、エンジン制御部1は、ヒーター60への通電の一時的に停止のために低下した定着用回転体の温度を定着制御温度に戻すのに必要な回復時間を定める(ステップ♯12)。ここで、印刷ジョブ中、エンジン制御部1は、ヒーター60の通電を制御し、定着ローラー61を定着制御温度で維持する(温度維持制御)。そのため、印刷停止のときの定着ローラー61の温度はほぼ一定である。
そして、印刷ジョブの途中でキャリブレーション処理、又は、トナー補給処理を行うためにヒーター60への通電が停止されたとき、エンジン制御部1は、印刷ジョブが停止している間、定着ローラー61の温度が定着制御温度よりも低い所定温度まで低下すると、ヒーター60への通電のON/OFFを行って定着ローラー61の温度を所定温度で維持するようにしてもよい。所定温度は、適宜定めることができ、例えば、実験の結果に基づき定めることができ、また、定着制御温度の60〜90%程度の温度としてもよい(定着制御温度が170°Cのとき、所定温度は140°C程度とできる)。
そこで、エンジンメモリー12には、図18に示すような回復時間を定めるための回復時間データD6が記憶される(図3参照)。具体的に、キャリブレーション処理やトナー補給処理の所要時間に対する回復時間が回復時間データD6で定義される。印刷ジョブの停止中、定着ローラー61の温度を所定温度で維持するようにする場合、回復時間は、所定温度から定着制御温度に戻すのに必要な時間とされる。尚、所定温度と定着制御温度は一定であるので、これらの処理のために定着ローラー61の温度が低下しても、常時、ほとんど誤差無く、温度が低下した定着ローラー61の温度を回復時間で定着制御温度にまで回復させることができる。
続いて、エンジン制御部1は、ヒーター60への通電を停止させるとともに、画像形成部4にトナー像の形成を一時的に停止させる(ステップ♯13)。具体的に、エンジン制御部1は、現在トナー像を形成中のページのトナー像形成、転写、定着、排出は行い、現在トナー像を形成中のページの次のページのトナー像形成、給紙、用紙搬送を一時停止させる。
そして、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理又はトナー補給処理を開始させる(ステップ♯14)。また、エンジン制御部1は、定着ローラー61の温度を所定温度で維持する。更に、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理又はトナー補給処理の実行開始から、求めた所要時間を求めた回復時間で減じて得られる時間が経過したとき、ヒーター60への通電を行い、定着用回転体の温度を定着制御温度に戻す(ステップ♯15)。
更に、エンジン制御部1は、キャリブレーション処理又はトナー補給処理の終了及び定着ローラー61の定着制御温度到達に伴い、印刷を再開する(ステップ♯16→エンド)。具体的に、エンジン制御部1は、給紙部2、搬送部3、画像形成部4(中間転写部5)、定着部6に残りのページの印刷を再開させる。
図19を用いて、印刷停止に伴ってヒーター60への通電を停止することによる定着ローラー61の温度を、直ちに印刷再開できるように、処理の終了にあわせて定着制御温度に回復させる具体例を説明する。
図19は、印刷中にキャリブレーション処理(又はトナー補給処理)を行うために、印刷を中断する例を示している。そして、エンジン制御部1は、印刷停止後、キャリブレーション又はトナー補給処理を開始させた時点から、所要時間と回復時間の差(の絶対値)の時間T4を経過した時点で、ヒーター60への通電を開始させる。これにより、キャリブレーション処理又はトナー補給処理が終了した時点で、定着ローラー61の温度は、ほぼ定着制御温度となる。
このようにして、本実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、電力が供給されていなかった部分への電力供給を開始し、画像形成装置を印刷可能な状態とするための起動期間に起動時処理を行う複数の起動処理実行部(画像形成部44、中間転写部5、定着部66、トナー補給部、露光部41等)と、それぞれの処理の所要時間を定めた所要時間データD3を記憶する記憶装置(エンジンメモリー12)と、起動処理実行部の動作を制御し、実行する起動時処理を定め、所要時間データD3に基づき、実行する起動時処理のうち、所要時間が最も長い第1起動時処理から開始させ、第1起動時処理の終了時間にあわせて第1起動時処理以外の第2起動時処理の全てが終了するように、第2起動時処理を開始させる制御部(エンジン制御部1)と、を含む。具体的に、制御部は、第2起動時処理は、第1起動時処理の開始から、第1起動時処理の所要時間と当該第2起動時処理の所要時間との差の絶対値の時間が経過したときに開始させる。
これにより、主電源投入時や省電力モードから通常モードへの復帰時など、画像形成装置(プリンター100)を印刷可能な状態とするときに実行される全ての起動時処理を、同時、又は、ほぼ同時に終了させることができる。従来では、各起動時処理は同時に開始されており、開始から終了までの所要時間には起動時処理の種類ごとの差があるため、最も終了時点が遅い起動時処理が終了するまで、終了済の起動時処理(第2起動時処理)については無駄な電力が消費される場合があったが、本発明では、このような無駄な電力の消費が少なくなる。
又、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、主電源を投入するためのメインスイッチ85sと、予め定められた移行条件が満たされると予め定められた供給停止部分への電力供給を停止する省電力モードと、予め定められた復帰条件が満たされると省電力モードからの復帰により供給停止部分への電力供給を行う通常モードと、を有し、起動期間は、メインスイッチ85sにより主電源が投入されたときと、省電力モードから通常モードに復帰したときから画像形成装置が印刷可能な状態となったときまでであり、起動処理実行部として、感光体ドラム42と、感光体ドラム42の走査、露光を行う露光部41と、走査、露光によって感光体ドラム42に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部44と、形成されたトナー像の用紙への転写を行うための転写部(中間転写部5)を含む画像形成部4と、用紙に転写されたトナー像を定着させるための定着用回転体(定着ローラー61)と、定着用回転体を熱するヒーター60を含む定着部6と、現像部44内のトナーの量が規定量以上であるか否かを検知するための残量センサーS4の出力に基いて規定量未満の現像部44にトナーを補給するトナー補給部(トナーコンテナ91、補給機構92)と、を備え、更に、露光部41は、ポリゴンミラー41bと、ポリゴンミラー41bに向けてレーザー光を照射するレーザー発光部41aと、感光体ドラム42をレーザー光で走査するためにポリゴンミラー41bを回転させるポリゴンモーター41cを備え、制御部(エンジン制御部1)は、起動時処理として、定着用回転体をトナーの定着に適する温度として予め定められた定着制御温度にまで定着部6に加熱させる加熱処理と、現像部44内のトナーの量が規定量以上でないときトナーをトナー補給部に補給させるトナー補給処理と、ポリゴンモーター41cを走査、露光時の回転速度まで露光部41に加速させる加速処理と、計測用トナー像を画像形成部4に形成させ、画像形成装置内に設けられた計測センサーで計測用トナー像の計測を行い、計測結果に基づいて画像形成部4の動作を調整するキャリブレーション処理のうち、必要な起動時処理を定め、所要時間データD3に基づき必要と判断した起動時処理それぞれの所要時間を定め、求められた所要時間の長さ順に実行順を定める。
この構成によれば、メインスイッチ85sにより主電源が投入されたときと、省電力モードから通常モードに復帰したときが、画像形成装置(プリンター100)を印刷可能な状態とするときとされる。画像形成装置(プリンター100)を印刷可能な状態とするために、様々な起動時処理が行われる場合でも、全ての起動時処理が同じ、又は、ほぼ同時に終了するので、従来、各起動時処理の終了時点のばらつきのために生じていた無駄な電力の消費を無くす、あるいは、大幅に減らすことができる。
又、制御部(エンジン制御部1)は、印刷ジョブの実行中、定着用回転体(定着ローラー61)の温度を定着制御温度で維持する温度維持処理を定着部6に行わせるとともに、印刷ジョブの途中でキャリブレーション処理、又は、トナー補給処理を行う必要があるか否かを判断し、印刷ジョブの途中でキャリブレーション処理、又は、トナー補給処理を行う必要があると判断したとき、ヒーター60への通電と、画像形成部4による印刷動作を停止させ、キャリブレーション処理を行うときはキャリブレーション処理の所要時間を定め、トナー補給処理を行うときはトナー補給処理の所要時間を定め、更に、ヒーター60への通電停止のために低下した定着用回転体の温度を定着制御温度に戻すのに必要な回復時間を定め、画像形成部4にトナー像の形成とヒーター60への通電を停止させた後にキャリブレーション処理又はトナー補給処理を開始させ、キャリブレーション処理又はトナー補給処理の実行開始から、求めた所要時間を回復時間で減じて得られる時間が経過したとき、ヒーター60への通電を再開し、定着用回転体の温度を定着制御温度に戻す。
この構成によれば、印刷ジョブの実行中、印刷を中断して、画質保持、向上のためのキャリブレーション処理を行う場合や、現像部44内のトナーが少ない状態が続いているためのトナー補給処理を行う場合、省電力のためいったんヒーター60への通電は停止される。これにより、ヒーター60に対し無駄な電力供給はなされない。しかも、キャリブレーション処理やトナー補給処理の終了時点にあわせ、定着部6の定着用回転体(定着ローラー61)の温度は定着に適した温度に回復される。従って、キャリブレーション処理やトナー補給処理の終了後、印刷を再開する時点で定着用回転体の温度は定着制御温度に戻っており、キャリブレーション処理やトナー補給処理の終了と同時に、問題なく印刷ジョブを再開することができる。
又、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、所要時間を変動させる要因として予め定められた確認項目を検知するための変動要因検知部(定着温度センサーS3、機内温度センサーS6、機外温湿度センサーS7、計時部13)を含み、制御部(エンジン制御部1)は、変動要因検知部の出力に基づき、確認項目の値を認識し、記憶装置(エンジンメモリー12)は、それぞれの起動時処理について、基準の所要時間である基準所要時間を定義した基準時間データD4を所要時間データD3として記憶するとともに、検知された確認項目の値に対する基準所要時間の補正値について定義した補正用データD5も所要時間データD3として記憶し、制御部は、確認項目の値と補正用データD5に基づいて、基準所要時間を補正してそれぞれの起動時処理の所要時間を定める。
これにより、画像形成装置(プリンター100)を印刷可能な状態にするとき、それぞれの起動時処理の終了時点を正確に合わせることができる。従って、高い消費電力削減効果を得ることができる。
又、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、所要時間を変動させる要因として予め定められた確認項目を検知するための変動要因検知部(定着温度センサーS3、機内温度センサーS6、機外温湿度センサーS7、計時部13)を含む。制御部(エンジン制御部1)は、変動要因検知部の出力に基づき、確認項目の値を認識し、記憶装置(エンジンメモリー12)は、キャリブレーション処理の基準所要時間を所要時間データD3として記憶し、また、検知された確認項目の値に対するキャリブレーション処理の基準所要時間の補正値を定義した補正用データD5も所要時間データD3として記憶し、制御部(エンジン制御部1)は、確認項目の値と補正用データD5に基づいて、キャリブレーション処理の基準所要時間を補正してキャリブレーション処理の所要時間を定める。
これにより、キャリブレーション処理の終了時点や、トナー補給完了時点で定着用回転体(定着ローラー61)の温度をより正確に定着制御温度に戻すことができる。従って、印刷ジョブの途中で、キャリブレーション処理やトナー補給を実行するとき、省電力のために一時的にヒーター60への通電を停止しても、キャリブレーション処理やトナー補給の終了後、直ちに印刷ジョブを再開することができる。
又、印刷ジョブの途中でキャリブレーション処理、又は、トナー補給処理を行うためにヒーター60への通電が停止されたとき、制御部(エンジン制御部1)は、ヒーター60への通電のON/OFFを行って、定着用回転体(定着ローラー61)の温度を定着制御温度よりも低い所定温度で維持する。
これにより、定着用回転体(定着ローラー61)の温度を維持するための電力を抑えつつ、かつ、必要以上に定着用回転体の温度を落とさないようにして、速やかに定着用回転体の温度を定着制御温度にまで回復することができる。従って、印刷ジョブの途中で一旦印刷が停止しても、キャリブレーション処理、又は、トナー補給処理が終了すると、速やかに印刷を再開することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、実施形態の説明では、加熱処理、加速処理、トナー補給処理、キャリブレーション処理の4種類の処理を起動時処理として説明したが、更に別の処理を起動時処理として追加してもよい。