JP6216611B2 - オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フタル酸エステル等の芳香族環を有する内部電子供与性化合物を含まず、高い重合活性と立体規則性を有し、また、従来のフタル酸エステルを電子供与体として使用したオレフィン重合用触媒と同様の分子量分布とより高い対水素活性を有するオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造方法に関する。
従来から、プロピレンなどのオレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物およびハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分が用いられている。また、該固体触媒成分、有機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物から成るオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類を重合もしくは共重合させる方法が数多く提案されている。
例えば、特開昭63−3010号公報(特許文献1)ではフタル酸エステルを典型的な例とする電子供与体が担持された固体触媒成分と、助触媒成分として有機アルミニウム化合物と、少なくとも一つのSi−OR(式中、Rは炭化水素基である)を有するケイ素化合物とを用いた場合に、優れた重合活性と立体特異性を発現することが報告されている。上記の特許文献も含め多くの報告では、フタル酸エステルを電子供与体とすることが好ましい例が示されている。
しかし、フタル酸エステルの一種であるフタル酸ジ−n−ブチルやフタル酸ベンジルブチルは、欧州のRegistration,Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals (REACH)規制におけるSVHC(SUBSTANCES OF VERY HIGH CONCERN)として特定されており、欧州では2015年2月21日以降、原則その使用が禁止となることから、SVHCを使用しない触媒系への転換が産業界で求められている。なお、フタル酸エステルの中でもREACH規制で示されているSVHCに該当しないとして、フタル酸ジエチルを電子供与体として用いた固体触媒成分が知られている(特開平10−182720号公報(特許文献2))が、上記一部のフタル酸エステルの使用が禁止される動きに伴い、SVHCに該当しないフタル酸エステルであっても、固体触媒成分の電子供与体としてその使用を避ける動きがある。また、上記REACH規制に関わらず、環境に対する影響を考慮し、芳香族環を含まない電子供与体の開発が望まれている。従って、現在、電子供与体としてフタル酸エステルや芳香族環を含む化合物を使用しないオレフィン類重合用固体触媒成分および触媒が求められている。
一方、SVHC規制対象物質ではない電子供与体として、マロン酸エステルやコハク酸エステルなどの脂肪酸エステル類、1,2−ジエーテル、1,3−ジエーテル、1,4−ジエーテルといったジエーテル類など、フタル酸エステルを使用しないで調製される固体触媒成分が知られている。
マロン酸エステルを使用したオレフィン重合用固体触媒成分は、例えば、WO2012/060361号公報(特許文献3)、特開2004−91513号公報(特許文献4)特開平6−122716号公報(特許文献5)、WO2013/005463号公報(特許文献6)などに開示されている。
特許文献3には、ジ−iso−ブチルマロン酸ジメチル、ジ−iso−プロピルマロン酸ジメチル、ジ−n−プロピルマロン酸ジメチル、ジ−n−ブチルマロン酸ジメチル、ジネオペンチルマロン酸ジメチル、ビス(3−クロロ−n−プロピル)マロン酸ジメチル及びジブロモマロン酸ジメチルから選択されるマロン酸エステルを用いた固体触媒成分が開示されている。
特許文献4には、RC(COORで表わされるマロン酸エステルを用いた固体触媒成分が開示されている。特許文献5には、XC(COOR)(COOR)で表わされる環状マロン酸エステルを用いた固体触媒成分が開示されている。特許文献6には、RC=C(COOR)(COOR)で表わされるマロン酸エステルを用いた固体触媒成分が開示されている。特表2002−542347号公報(特許文献7)には、(ROOC)CRCR(COOR)で表わされるコハク酸エステルを用いた固体触媒成分が開示されている。特開平03−706号公報(特許文献8)には、ROCHCRCHORで表わされるジエーテルを用いた固体触媒成分が開示されている。また、特許文献9には、R212223CO(Rn+1C・・・CR2n)OCR242526で表わされるジエーテルを用いた固体触媒成分が開示されている。
マロン酸エステルやジエーテルを用いた固体触媒成分より構成される触媒系は、対水素活性が相対的に高いことから、プロピレン重合に用いた場合に得られるポリプロピレンは高メルトフローが要求される射出成型体に適しているものの、立体規則性は十分に高いレベルではなく、高剛性射出成型体の製造には適用が難しい。また、繊維やフィルム、シートなど、従来のフタル酸エステルを電子供与体として用いた固体触媒により製造したポリプロピレンに適用される汎用グレードは低メルトフローが要求されるが、上記マロン酸エステルやジエーテルを内部電子供与体として用いた触媒系は、その特性から低メルトフロー領域における重合活性の低下が課題である。
コハク酸エステルを内部電子供与体として用いた固体触媒成分より構成される触媒系は、得られたオレフィン系重合体の分子量分布は非常に広いが、立体規則性は十分に高いレベルではない。汎用的に用いられるポリプロピレンの分子量分布は、例えばMw/Mn値で4から6程度の間で制御できることが求められ、その範囲においてある程度以上の結晶性と、ある程度以上の高い重合活性を示す固体触媒成分であることがもっとも実用性が高いとされている。そして、従来のフタル酸エステルを用いた固体触媒成分より構成される触媒が、これを満足するものとして知られている。
特開昭63−3010号公報 特開平10−182720号公報 WO2012/060361号公報 特開2004−91513号公報 特開平06−122716号公報 WO2013/005463号公報 特表2002−542347号公報 特開平03−706号公報 特開平04−96910号公報
従って、本発明の目的は、内部電子供与体としてフタル酸エステル等の芳香族環を有する化合物を使用せず、従来のマロン酸エステル、ジエーテル又はコハク酸エステルを使用したものよりも高い重合活性、立体規則性を有し、また、従来のフタル酸エステルを使用したものと同様の分子量分布を有し、且つ、より高い対水素活性を示すオレフィン系重合体の製造に適したオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒及びオレフィン類重合方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行なった結果、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび特定のノルボルネンジカルボン酸または特定のノルボルナンジカルボン酸を必須の構成要素とするオレフィン重合用固体触媒成分および、該固体触媒成分を用いて形成されるオレフィン重合触媒が、上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1);
Figure 0006216611
(式中、R〜R10は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換炭化水素基またはヘテロ原子含有基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよく、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい。R11およびR12は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)の化合物から選択される1種又は2種以上のエステル化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するものである。
また、本発明は、(I)前記固体触媒成分、(II)下記一般式(3);
23 AlQ3−p (3)
(式中、R23は炭素数1から6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲンを示し、pは0<p≦3の実数で、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて(III)外部電子供与性化合物を接触させて得られるオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、オレフィン類の重合に供した際、従来のマロン酸ジエステル、コハク酸ジエステルあるいはジエーテルを含有する固体触媒成分が有していた課題を克服し、また、フタル酸エステルを用いずとも、従来のフタル酸エステルを含有する固体触媒成分と同等の分子量分布を有し、且つ、より高い水素活性を有するオレフィン類重合体を、高い収率で得ることができる。
本発明の固体触媒成分及び重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。
(オレフィン類重合用固体触媒成分の説明)
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(以下、単に「成分(I)」と言うことがある)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび上記一般式(1)または一般式(2)のエステル化合物(以下、単に「エステル化合物(A)」ということがある)を必須成分として含有する。
ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子が挙げられ、中でも好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、特に好ましくは塩素またはヨウ素である。
上記一般式(1)および一般式(2)中、ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子が挙げられ、中でも好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、特に好ましくは塩素または臭素である。
上記一般式(1)および一般式(2)中、炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、ビニル基、炭素数3〜20の直鎖状または分岐状アルケニル基、炭素数2〜20の直鎖状または分岐状ハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。また、ヘテロ原子含有基としては、窒素含有基、酸素含有基、リン含有基およびケイ素含有基から選ばれる基が挙げられる。
上記炭素数1〜20の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐状アルキル基としては、例えばiso−プロピル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられる。炭素数3〜20の直鎖状アルケニル基としては、例えばn−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、n−ヘプテニル基、n−オクテニル基、n−ノネニル基、n−デセニル基等が挙げられ、また、炭素数3〜20の分岐状アルケニル基としては、例えばiso−プロテニル基、iso−ブテニル基、t−ブテニル基、iso−ペンテニル基、ネオペンテニル基等の2級炭素または3級炭素を有するアルケニル基が挙げられる。
また、炭素数2〜20の直鎖状または分岐状ハロゲン置換アルキル基としては、例えばハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基、ハロゲン化n−プロピル基、ハロゲン化iso−プロピル基、ハロゲン化n−ブチル基、ハロゲン化iso−ブチル基、ハロゲン化n−ペンチル基、ハロゲン化n−ヘキシル基、ハロゲン化n−ヘプチル基、ハロゲン化n−オクチル基、ハロゲン化n−ノニル基、ハロゲン化n−デシル基が挙げられる。なお、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。
上記炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、炭素数3〜20のシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基、シクロデセニル基等が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
窒素含有基としては、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ジノニルアミノ基、デシル基、ジデシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;多環状アミノ基;アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基などのアミド基;メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などのイミノ基;アセトイミド基、ベンズイミド基などのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;iso−シアノ基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったもの等が挙げられる。
また、酸素含有基としては、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、iso−プロポキシ基、iso−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセルアセトナト基;エーテル基;アシル基;オキソ基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。
また、リン含有基としては、例えばジメチルホスフィン、ジブチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィンなどのジアルキルホスフィン基;ジフェニルホスフィン、ジトリルホスフィンなどのジアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、例えばシリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
更に、一般式(1)および一般式(2)中、R〜R10およびR13〜R20は、互いに結合して環を形成していてもよく、例えば、RとRが、RとRが、RとRが、RとRが、R15とR16が、R16とR17が、R17とR18が、R13とR18が、RとR10が、R19とR20が、それぞれ結合して形成する環としては、飽和単環、芳香環、縮合多環、複素環が挙げられ、具体的には、シクロアルカン、フルオレン、インデン、イミダゾール、ピリジンなどの環構造が挙げられる。
一般式(1)および一般式(2)中、好ましいR〜R10およびR13〜R20は、水素原子、炭化水素1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、ビニル基、炭素数3〜6の直鎖状アルケニル基または分岐状アルケニル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数5〜6のシクロアルケニル基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。また、好ましいR11、R12、R21及びR22は、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、または炭素数3〜8の分岐状アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基または炭素数3〜4の分岐状アルキル基である。
一般式(1)で表わされるエステル化合物(A)の具体例としては、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸エチルメチル;3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;3−エチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3−エチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3−エチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3−エチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3−エチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;5−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、5−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、5−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、5−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、5−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;
3,3−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3,3−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3,3−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3,3−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3,3−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;3,3−ジエチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3,3−ジエチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3,3−ジエチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3,3−ジエチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3,3−ジエチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;3,5−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3,5−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3,5−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3,5−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;3−メチル−5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3−メチル−5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3−メチル−5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3−メチル−5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3−メチル−5−t−ブチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;5,6−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、5,6−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、5,6−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、5,6−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、5,6−ジメチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;
スピロ(7,1´−シクロプロパン−ノルボルナン)−2,2−ジカルボン酸ジエチル、スピロ(7,1´−シクロプロパン−ノルボルナン)−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル;デカヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、デカヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、デカヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、デカヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、デカヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;
5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;3−メチル−5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、3−メチル−5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、3−メチル−5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、3−メチル−5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、3−メチル−5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル;5−クロロ−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル、5−クロロ−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル、5−クロロ−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、5−クロロ−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、5−クロロ−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチルが挙げられる。これらの化合物は単独または2種類以上組み合わせて用いることもできる。
前記一般式(1)で示されるエステル化合物(A)は、例えば、アルデヒドとマロン酸ジエステルからアルキリデンマロン酸ジエステルを合成し、次いで、該アルキリデンマロン酸ジエステルとシクロペンタジエンを反応させて得た中間体に、パラジウム炭素触媒存在下で水素添加することにより得られる。このような製造方法は、公知文献Zhurnal Obshchei Khimii(Russian Journal of General Chemistry), 25, 986-9; 1955に記載されている。
本発明における固体触媒成分(I)中には、前記一般式(1)で示されるエステル化合物(A)以外の電子供与性化合物(以下、「電子供与性化合物(D)」ということがある)が含まれていてもよい。このような電子供与性化合物(D)としては、酸ハライド類、酸アミド類、ニトリル類、酸無水物、カーボネート類、エーテル化合物類および本発明のエステル化合物(A)以外のカルボン酸エステル類などが挙げられる。上記の中でも、本発明のエステル化合物(A)と、コハク酸ジエステル類、シクロアルカンジカルボン酸ジエステル類、シクロアルケンジカルボン酸ジエステル類、マロン酸ジエステル、アルキル置換マロン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル等のカルボン酸ジエステルや置換基を有するカルボン酸ジエステル、エステル基とエーテル基を有する化合物またはジエーテル化合物から選ばれる成分(D)を併用して調製した固体触媒成分を用いることは、従来のフタル酸エステルと他の電子供与体を併用して調製した場合と同様に、重合時に得られるオレフィン類重合体の立体規則性を向上し、また、分子量分布や水素応答性を、所望の程度に制御することができる点から、本発明の好ましい態様の一つである。
特に好ましい成分(D)は、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどのマロン酸ジエステル、ジイソブチルマロン酸ジメチル、ジイソブチルマロン酸ジエチルなどのジアルキルマロン酸ジエステル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチルなどのマレイン酸ジエステル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジメチルなどのシクロアルカンジカルボン酸ジエステルである。なお、このそうな電子供与性化合物(D)は、2種以上併用することもできる。
本発明における固体触媒成分(I)中には、ポリシロキサン(以下、単に「ポリシロキサン(E)」ということがある)が含まれていてもよい。ポリシロキサンを用いることにより、生成ポリマーの立体規則性あるいは結晶性を向上させることができ、さらには生成ポリマーの微粉を低減することが可能となる。ポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合(−Si−O−結合)を有する重合体であるが、シリコーンオイルとも総称され、25℃における粘度が0.02〜100cm/s(2〜10000センチストーク)、より好ましくは0.03〜5cm/s(3〜500センチストーク)を有する、常温で液状あるいは粘稠状の鎖状、部分水素化、環状あるいは変性ポリシロキサンである。
鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが、部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10〜80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが、環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
また、本発明における固体触媒成分(I)中のチタン、マグネシウム、ハロゲン、エステル化合物(A)の含有量は特に規定されないが、好ましくは、チタンが0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8.0重量%、より好ましくは、1.0〜8.0重量%であり、マグネシウムが10〜70重量%、より好ましくは、10〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは15〜25重量%であり、ハロゲンが20〜90重量%、より好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%であり、またエステル化合物(A)は合計0.5〜40重量%、より好ましくは合計1〜30重量%、特に好ましくは合計2〜25重量%である。固体触媒成分(I)が成分(D)を含む場合、エステル化合物(A)含有量に対する成分(D)含有量の比は、エステル化合物(A)1モルに対し0.01〜10モル、好ましくは0.1〜1モル、より好ましくは0.2〜0.6モルである。
また、本発明における固体触媒成分(I)は、上記成分の他、更に、ケイ素やリン、アルミニウム等の金属を含む反応試剤を含有するものであってもよい。これらの反応試剤としては、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有する有機ケイ素化合物、P−O結合を有するリン酸化合物、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロライド、アルコキシアルミニウムジハライド、トリアルコキシアルミニウム等の有機アルミニウム化合物、及びアルミニウムトリハライドが挙げられ、好ましくは、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有する有機ケイ素化合物および有機アルミニウム化合物である。このような反応試剤を含む固体触媒成分(I)は、得られる固体触媒成分の重合活性や立体規則性が改良できる点で好ましい。
上記Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物及びSi−N−C結合を有する有機ケイ素化合物としては、後述する一般式(4)及び(5)で表わされる有機ケイ素化合物の例示化合物及び具体的化合物と同様のものが挙げられるため、その記載を省略する。また、上記有機アルミニウム化合物は、後述する一般式(3)の有機アルミニウム化合物と同様のものが挙げられるため、その記載を省略する。これらの反応試剤は、1種又は2種以上含んでいてもよい。
また、反応試剤を含む固体触媒成分(I)は、更に、一般式(8);
〔CH=CH−(CHSiR23 4−t (8)
(式中、R23は水素原子または炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、ハロゲン原子を示し、同一または異なっていてもよく、uは0または1から5の整数であり、tは1から4の整数である。)で表わされる不飽和アルキル基を有する有機ケイ素化合物を含有するものであってもよい。これにより、得られる個体触媒成分のさらなる重合活性や水素応答性を向上できる。
不飽和アルキル基とはビニル基あるいはアルケニル基のことであり、具体的には、ビニル基含有アルキルシラン、ビニル基含有アルコキシシラン、ビニル基含有シクロアルキルシラン、ビニル基含有フェニルシラン、ビニル基含有ハロゲン化シラン、ビニル基含有アルキルハロゲン化シラン、アルケニル基含有ビニルシラン、アルケニル基含有アルキルシラン、アルケニル基含有アルコキシシラン、アルケニル基含有シクロアルキルシラン、アルケニル基含有フェニルシラン、アルケニル基含有ハロゲン化シラン、アルケニル基含有アルキルハロゲン化シランである。なお、ビニル基とはCH=CH−基のことで、アルケニル基とは、CH=CH−(CH−基のことである。上記の中でも、ビニルトリアルキルシラン、アリルトリアルキルシラン、ジビニルアルキルシラン、ジアリルジアルキルシラン、トリビニルアルキルシランおよびトリアリルアルキルシランが好ましく、特に好ましくは、アリルジメチルビニルシラン、ジアリルジメチルシラン、トリアリルメチルシラン、ジ−3−ブテニルシランジメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、アリルトリエチルシランである。なお、上記の不飽和アルキル基を有する有機ケイ素化合物は1種あるいは2種以上含んでいてもよい。
(オレフィン類重合用固体触媒成分(I)の製造方法の説明)
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(I)は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物、必要に応じて前記チタン化合物以外のハロゲン化合物および前記一般式(1)のエステル化合物(A)、および必要に応じて電子供与性化合物(D)を、相互に接触させることで調製される。
本発明の固体触媒成分の製造方法において使用されるマグネシウム化合物(B)(以下、単に「マグネシウム化合物(B)」ということがある。)としては、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウムあるいは脂肪酸マグネシウム等から選ばれる一種以上が挙げられる。これらのマグネシウム化合物の中、ジハロゲン化マグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムとジアルコキシマグネシウムの混合物、ジアルコキシマグネシウムが好ましく、特にジアルコキシマグネシウムが好ましい。
ジアルコキシマグネシウムとしては、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウム等が挙げられる。また、これらのジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物等の存在下にアルコールと反応させてなるものでもよい。また、上記のジアルコキシマグネシウムは一種以上併用することもできる。
更に、本発明の固体触媒成分の調製において、ジアルコキシマグネシウムを用いる場合は、顆粒状または粉末状であることが好ましく、その形状は不定形あるいは球状のものを使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、重合時により良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
上記の球状のジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸系wとの比(l/w)が3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときの、平均粒子径D50(体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径)で1〜200μmのものが好ましく、5〜150μmのものがより好ましい。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。また、その粒度については、微粉および粗粉の少ない、粒度分布の狭いものが望ましい。具体的には、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときに、5μm以下の粒子が20%以下であるものが好ましく、10%以下であるものがより好ましい。一方、100μm以上の粒子が10%以下であるものが好ましく、5%以下であるものがより好ましい。
更にその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は体積積算粒度分布における積算粒度で90%の粒径、D10は体積積算粒度分布における積算粒度で10%の粒径である。)で表わすと3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、同62−51633号公報、特開平3−74341号公報、同4−368391号公報、同8−73388号公報などに例示されている。
本発明では、マグネシウム化合物(B)は、溶液上のマグネシウム化合物、またはマグネシウム化合物懸濁液のいずれも用いることができる。マグネシウム化合物(B)が固体である場合には、マグネシウム化合物(B)の可溶化能を有する溶媒に溶解して溶液所のマグネシウム化合物とするか、マグネシウム化合物(B)の可溶化能を有さない溶媒に懸濁してマグネシウム化合物懸濁液として用いる。マグネシウム化合物(B)が液体である場合には、そのまま溶液状のマグネシウム化合物として用いることができ、マグネシウム化合物の可溶化能を有する溶媒にこれを溶解して溶液状のマグネシウム化合物として用いることもできる。
固体状のマグネシウム化合物(B)を可溶化しうる化合物としては、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、iso−プロピルアルコール、iso−プロピルベンジルアルコール、エチレングリコールなどの炭素原子数が1〜18のアルコール;トリクロロメタノール、トリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどの炭素原子数が1〜18のハロゲン含有アルコール;メチルエーテル、エチルエーテル、iso−プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルベンジルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素原子数が2〜20のエーテル;テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラヘキソキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウムなどの金属酸エステルなどが挙げられ、中でも、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコールが好ましく、2−エチルヘキサノールが特に好ましい。
一方、マグネシウム化合物(B)の可溶化能を有さない媒体としては、マグネシウム化合物を溶解することがない、飽和炭化水素溶媒または不飽和炭化水素溶媒が用いられる。飽和炭化水素溶媒または不飽和炭化水素溶媒は、安全性や工業的汎用性が高いことから、具体的にはヘキサン、ヘプタン、デカン、メチルヘプタンなどの沸点50〜200℃の直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、エチルベンゼンなどの沸点50〜200℃の脂環式炭化水素化合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの沸点50〜200℃の芳香族炭化水素化合物が挙げられ、中でも、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの沸点50〜200℃の直鎖状脂肪族炭化水素化合物や、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの沸点50〜200℃の芳香族炭化水素化合物が、好ましく用いられる。また、これらは単独で用いても、2種以上混合して使用してもよい。
本発明における成分(I)の調製に用いられるチタン化合物(以下「チタン化合物(C)」ということがある。)としては、例えば、一般式(7);
Ti(OR244−j (7)
(R27は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、OR24基が複数存在する場合、複数のR24は同一であっても異なっていてもよく、Xはハロゲン基であり、Xが複数存在する場合、各Xは同一であっても異なっていてもよく、jは0または1〜4の整数である。)で表わされる4価のチタン化合物を挙げることができる。
前記一般式(7)で表わされる4価のチタン化合物は、アルコキシチタン、チタンハライドもしくはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の1種あるいは2種以上である。具体的には、チタンテトラフルオライド、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド等のアルコキシチタントリハライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド等のジアルコキシチタンジハライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等のトリアルコキシチタンハライドが挙げられる。これらの中ではハロゲン含有チタン化合物が好ましく用いられ、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これらのチタン化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。さらに、これらの一般式(7)で表わされる4価のチタン化合物は、炭化水素化合物あるいはハロゲン炭化水素化合物等に希釈して使用してもよい。
本発明の固体触媒成分(I)の調製において、必要に応じて、上記チタン化合物(C)以外のハロゲン化合物を使用してもよい。ハロゲン化合物としては、四価のハロゲン含有ケイ素化合物が挙げられる。より具体的には、テトラクロロシラン(四塩化ケイ素)、テトラブロモシラン等のシランテトラハライド、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、n−ブトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジ−n−ブトキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリ−n−ブトキシクロロシラン等のアルコキシ基含有ハロゲン化シランが挙げられる。
本発明の固体触媒成分(I)の調製で使用されるエステル化合物(A)は、本発明の固体触媒成分(I)のエステル化合物(A)と同様であり、その説明を省略する。また、本発明の固体触媒成分(I)の調製で必要に応じて使用される電子供与性化合物(D)は、本発明の固体触媒成分(I)の電子供与性化合物(D)と同様であり、その説明を省略する。また、本発明の固体触媒成分(I)の調製で必要に応じて使用されるポリシロキサン(E)は、本発明の固体触媒成分(I)のポリシロキサン(E)と同様であり、その説明を省略する。
本発明において、好適な固体触媒成分(I)の調製方法としては、例えば、還元性を有しない固体マグネシウム化合物、エステル化合物(A)およびハロゲン化チタンを共粉砕する方法や、アルコール等の付加物を有するハロゲン化マグネシウム化合物、エステル化合物(A)およびハロゲン化チタンを不活性炭化水素溶媒の共存下、接触させる方法、ジアルコキシマグネシウム、エステル化合物(A)およびハロゲン化チタンを不活性炭化水素溶媒共存下で接触させる方法、還元性を有するマグネシウム化合物、エステル化合物(A)およびハロゲン化チタンを接触させて固体触媒を析出させる方法などが挙げられる。
以下に、オレフィン類重合用固体触媒成分(I)の具体的な調製方法を例示する。なお、以下の(1)〜(16)の方法において、エステル化合物(A)に加え、エステル化合物(A)以外の電子供与性化合物(D)を併用してもよい。さらに、上記接触は、例えば、ケイ素、リン、アルミニウム等の他の反応試剤や界面活性剤の共存下に行なってもよい。
(1)ハロゲン化マグネシウムをアルコキシチタン化合物に溶解させた後、有機ケイ素化合物を接触させて固体生成物を得、該個体生成物とハロゲン化チタンを反応させ、次いでエステル化合物(A)を接触反応させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。なおこの際、成分(I)に対し、さらに有機アルミニウム化合物、有機ケイ素化合物及びオレフィン類で予備的な重合処理を行なうこともできる。
(2)ハロゲン化マグネシウム及びアルコールを反応させて均一溶液とした後、該均一溶液にカルボン酸無水物を接触させ、次いでこの溶液に、ハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)を接触反応させて固体物を得、該固体物に更にハロゲン化チタンを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。
(3)金属マグネシウム、ブチルクロライド及びジアルキルエーテルを反応させることによって有機マグネシウム化合物を合成し、該有機マグネシウム化合物にアルコキシチタンを接触反応させて固体生成物を得、該個体生成物にエステル化合物(A)及びハロゲン化チタンを接触反応させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。なおこの際、該固体成分に対し、有機アルミニウム化合物、有機ケイ素化合物及びオレフィンで予備的な重合処理を行ない、オレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製することもできる。
(4)ジアルキルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物と、有機アルミニウム化合物を、炭化水素溶媒の存在下、アルコールと接触反応させて均一溶液とし、この溶液に四塩化ケイ素等のケイ素化合物を接触させて固体生成物を得、次いで芳香族炭化水素溶媒の存在下で該固体生成物に、ハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)を接触反応させた後、更に四塩化チタンを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。
(5)塩化マグネシウム、テトラアルコキシチタン及び脂肪族アルコールを、炭化水素溶媒の存在下で接触反応させて均質溶媒とし、その溶液とハロゲン化チタンを接触した後昇温して固体物を析出させ、該固体物にエステル化合物(A)を接触させ、更にハロゲン化チタンと反応させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。
(6)金属マグネシウム粉末、アルキルモノハロゲン化合物及びヨウ素を接触反応させ、その後テトラアルコキシチタン、酸ハロゲン化物及び脂肪族アルコールを、炭化水素溶媒の存在下で接触反応させて均質溶液とし、その溶液に四塩化チタンを加えた後昇温し、固体生成物を析出させ、該固体生成物エステル化合物(A)を接触させ、更に四塩化チタンと反応させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。
(7)ジアルコキシマグネシウムを炭化水素溶媒に懸濁させた後、四塩化チタンと接触させた後に昇温し、エステル化合物(A)と接触させて固体生成物を得、該固体生成物を炭化水素溶媒で洗浄した後、炭化水素溶媒の存在下、再度四塩化チタンと接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。なおこの際、該固体成分を、炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で加熱処理することもできる。
(8)ジアルコキシマグネシウムを炭化水素溶媒に懸濁させた後、ハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)と接触反応させて個体生成物を得、該固体生成物を不活性有機溶媒で洗浄した後、炭化水素溶媒の存在下、再度ハロゲン化チタンと接触・反応させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。なおこの際、該固体成分とハロゲン化チタンとを2回以上接触させることもできる。
(9)ジアルコキシマグネシウム、塩化カルシウム及びアルコキシ基含有ケイ素化合物を共粉砕し、得られた粉砕固体物を炭化水素溶媒に懸濁させた後、ハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)と接触反応させ、次いで更にハロゲン化チタンを接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。
(10)ジアルコキシマグネシウム及びエステル化合物(A)を炭化水素溶媒に懸濁させ、その懸濁液をハロゲン化チタンと接触・反応させて固体生成物を得、該固体生成物を炭化水素溶媒で洗浄後、さらに炭化水素溶媒の存在下、ハロゲン化チタンを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。
(11)ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族マグネシウムを、ハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)と接触反応させ、その後更にハロゲン化チタンと接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。
(12)ジアルコキシマグネシウムを炭化水素溶媒に懸濁させ、ハロゲン化チタンと接触させた後昇温し、エステル化合物(A)と接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物を炭化水素溶媒で洗浄した後、炭化水素溶媒の存在下、再度ハロゲン化チタンと接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法であって、上記懸濁・接触並びに接触反応のいずれかの段階において、塩化アルミニウムを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。
(13)ジアルコキシマグネシウム、2−エチルヘキシルアルコール及び二酸化炭素を、炭化水素溶媒の存在下で接触反応させて均一溶液とし、この溶液にハロゲン化チタン及びエステル化合物(A)を接触反応させて固体物を得、更にこの固体物をテトラヒドロフランに溶解させ、その後更に固体生成物を析出させ、この固体生成物にハロゲン化チタンを接触反応させ、必要に応じハロゲン化チタンとの接触反応を繰り返し行い、オレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。なおこの際、上記接触・接触反応・溶解のいずれかの段階において、例えばテトラブトキシシラン等のケイ素化合物を使用することもできる。
(14)塩化マグネシウム、有機エポキシ化合物及びリン酸化合物を炭化水素溶媒中に懸濁させた後、加熱して均一溶液とし、この溶液に、カルボン酸無水物及びハロゲン化チタンを接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物にエステル化合物(A)を接触させて反応させ、得られた反応生成物を炭化水素溶媒で洗浄した後、炭化水素溶媒の存在下、再度ハロゲン化チタンを接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。
(15)ジアルコキシマグネシウム、チタン化合物及びエステル化合物(A)を炭化水素溶媒の存在下に接触反応させ、得られた反応生成物にポリシロキサン等のケイ素化合物を接触反応させ、更にハロゲン化チタンを接触反応させ、次いで有機酸の金属塩を接触反応させた後、再度ハロゲン化チタンを接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法。
(16)ジアルコキシマグネシウムとエステル化合物(A)を炭化水素溶媒に懸濁させた後、昇温してハロゲン化ケイ素と接触させ、その後ハロゲン化チタンと接触させて固体生成物を得、該固体生成物を炭化水素溶媒で洗浄した後、炭化水素溶媒の存在下、再度ハロゲン化チタンと接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を調製する方法。なおこの際、該固体成分を、炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で加熱処理してもよい。
なお、オレフィン重合時の重合活性、生成ポリマーの立体規則性を更に向上させるため、これら(1)〜(16)の方法において、洗浄後の上記固体触媒成分(I)に、新たにハロゲン化チタンおよび炭化水素溶媒を20〜100℃で接触させ、昇温して、反応処理(第2次反応処理)を行なった後、常温で液体の不活性有機溶媒で洗浄する操作を1〜10回繰り返してもよい。
本発明における成分(I)の調製方法としては、上記のいずれかの方法であっても好適に用いることができ、中でも(1)、(3)、(4)、(5)、(7)、(8)または(10)の方法が好ましく、(3)、(4)、(7)、(8)、(10)の方法が、高立体規則性を有するオレフィン類重合用固体触媒成分が得られる点で特に好ましい。最も好ましい調製方法は、ザルコキシマグネシウムおよびエステル化合物(A)を、直鎖状炭化水素または分岐状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素および芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素溶媒に懸濁させ、その懸濁液をハロゲン化チタン中に添加し、反応させて固体生成物を得、該固体生成物を炭化水素溶媒で洗浄後、さらに炭化水素溶媒の存在下、ハロゲン化チタンを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(I)を得る方法である。
また、固体触媒成分の重合活性や水素応答性の改良の観点から、上記の方法で得られた固体触媒成分(I)を、上記Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有する有機ケイ素化合物、及び必要に応じて上記有機アルミニウム化合物、更に必要に応じて上記一般式(8)で表わされる有機ケイ素化合物と接触させることも、本発明の好ましい態様の一つである。これら化合物の接触方法は、炭化水素溶媒の存在下で行なう。また、各成分を接触させた後、不要な成分を除去するために炭化水素溶媒で十分に洗浄する。また、これら化合物の接触は繰り返し行なってもよい。
各成分を接触させる時の温度は、−10℃〜100℃、好ましくは0℃〜90℃、特に好ましくは20℃〜80℃である。接触時間は1分〜10時間、好ましくは10分〜5時間、特に好ましくは30分〜2時間である。各成分を接触させる際の使用量比は、効果に悪影響を及ぼさない限り任意であり、特に限定されるものではない。通常、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有する有機ケイ素化合物、及び上記一般式(8)で表わされる有機ケイ素化合物成分は、固体触媒成分(I)中のチタン原子1モルあたり、0.2〜20モル、好ましくは0.5〜10モルの範囲、特に好ましくは1〜5の範囲で、有機アルミニウム化合物は、固体触媒成分(I)中のチタン原子1モル当たり、0.5〜50モル、好ましくは1〜20モル、特に好ましくは1.5〜10モルの範囲で用いられる。
得られたオレフィン類重合用固体触媒成分(I)は、該固体成分に対する重量比で1/3以下、好ましくは1/20〜1/6になるまで残留する溶媒を除くことで粉末状固体成分とし、気流分級等の手段により該粉末固体成分に混在する粒径11μm以下の微粉を除去することが好ましい。
前記固体触媒成分(I)を調製する際の各成分の使用量比は、調製法により異なるため一概に規定はできないが、例えばマグネシウム化合物(B)1モル当たり、4価のチタンハロゲン化合物(C)が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、エステル化合物(A)、またはエステル化合物(A)と電子供与性化合物(D)の合計量が0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モル、より好ましくは0.02〜0.6モルであり、溶媒が0.001〜500モル、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.005〜10モルであり、ポリシロキサン(E)が0.01〜100g、好ましくは0.05〜80g、より好ましくは1〜50gである。
本発明のオレフィン類重合用触媒は、(I)固体触媒成分、(II)有機アルミニウム化合物(以下、単に「有機アルミニウム化合物(F)」ということがある。)および(III)外部電子供与性化合物(以下、単に「外部電子供与性化合物(G)」ということがある。)を接触させることでオレフィン重合用触媒を形成し、該触媒の存在下にオレフィン類の重合もしくは共重合を行なうことができる。なお、固体触媒成分(I)が、上記Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有する有機ケイ素化合物又は上記有機アルミニウム化合物(反応試剤)を含む場合、あるいは反応試剤を含む固体触媒成分が、更に一般式(7)で表わされる有機ケイ素化合物を含む場合、外部電子供与性化合物(G)の使用を省略することができる。外部電子供与性化合物(G)を使用せずとも、固体触媒成分と、有機アルミニウムで形成される触媒が、重合活性や水素応答性に優れた性能を示すからである。
(II)有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(3);
23 AlQ3−p (3)
(R23は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、Qは水素原子もしくはハロゲン、pは0<p≦3の実数である。)で表わされる化合物であれば、特に制限されないが、R23としては、エチル基、iso−ブチル基が好ましく、Qとしては、水素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、pは2又は3が好ましく、3であることが特に好ましい。
このような有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリ−iso−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、中でもジエチルアルミニウムクロライドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム、またはトリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが好ましく用いられ、特に好ましくはトリエチルアルミニウムおよびトリ−iso−ブチルアルミニウムである。これらの有機アルミニウム化合物は、1種あるいは2種以上が使用できる。
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる(III)外部電子供与性化合物としては、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物が挙げられ、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、iso−シアネート類、有機ケイ素化合物、中でもSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物またはSi−N−C結合を有するアミノシラン化合物が挙げられる。なお、エステル類として本発明のエステル化合物(A)を使用することも可能である。
上記のなかでも、安息香酸エチル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−エトキシ安息香酸エチル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のエステル類、1,3−ジエーテル類、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を含むアミノシラン化合物が好ましく、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、Si−N−C結合を有するアミノシラン化合物、1,3−ジエーテル類が特に好ましい。
上記(III)の外部電子供与性化合物のうち、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(4);
24 Si(OR254−q (4)
(式中、R24は炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基のいずれかで、同一または異なっていてもよい。R25は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)で表わされる有機ケイ素化合物が挙げられる。
上記(III)の外部電子供与性化合物のうち、Si−N−C結合を有するアミノシラン化合物としては、下記一般式(5);
(R2627N)SiR28 4−s (5)
(式中、R26とR27は水素原子、炭素数1〜20の直鎖または炭素数3〜20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、アリール基であり、R26とR27は同一でも異なっていてもよく、またR26とR27が互いに結合して環を形成してもよい。R28は炭素数1〜20の直鎖または炭素数3〜20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐状アルコキシ基、ビニルオキシ基、アリロキシ基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、およびそれらの誘導体を示し、R28が複数ある場合、複数のR28は同一でも異なっていてもよい。sは1〜3の整数である。)で表わされるアミノシラン化合物が挙げられる。
このような有機ケイ素化合物の例示化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、アルキル(シクロアルキル)アルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、シクロアルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、テトラキス(アルキルアミノ)シラン、アルキルトリス(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルビス(アルキルアミノ)シラン、トリアルキル(アルキルアミノ)シラン等を挙げることができ、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、iso−プロピル−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ペンチルジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロペンチルアミノ)メチルシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(シクロヘキシルアミノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(イソキノリノ)ジメトキシシラン等が挙げられ、中でも、フェニルトリメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、iso−プロピル−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
上記(III)の外部電子供与性化合物のうち、1,3ジエーテル類としては、下記一般式(6);
293031COCH(R3536C)CHOCR323334 (6)
(式中、R29〜R34は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基のいずれかで、同一であっても異なっていてもよい。R35とR36は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基のいずれかで、同一であっても異なっていてもよく、またR35とR36が互いに結合して環を形成してもよい。)で表わされる1,3−ジエーテル化合物が挙げられる。
また、このような1,3−ジエーテル化合物としては、具体的には、2−iso−プロピル−2−iso−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−iso−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−iso−プロピル−2−iso−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシメチル)1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン等が挙げられ、中でも、2−iso−プロピル−2−iso−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、9.9−ビス(メトキシメチル)フルオレン等が好ましく用いられる。
また、上記(III)の外部電子供与性化合物として、前記一般式(4)で表わされる有機ケイ素化合物、前記一般式(5)で表わされる有機ケイ素化合物および前記一般式(6)で表わされるジエーテル化合物の中から1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(オレフィン類の重合方法)
本発明においては、前記オレフィン重合触媒の存在下に、オレフィン類の重合もしくは共重合を行なう。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができ、中でもエチレン、プロピレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。特に好ましいものはプロピレンである。
プロピレンの重合を行なう場合、他のオレフィン類との共重合を行なうこともできる。共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常有機アルミニウム化合物(F)は固体触媒成分(I)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。外部電子供与性化合物(G)は、有機アルミニウム化合物(F)1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物(F)を装入し、次いで外部電子供与性化合物(G)を接触させた後に成分(I)を接触させることが望ましい。本発明におけるオレフィンの重合は、有機溶剤の存在下でも不存在下でも行なうことができ、またプロピレン等のオレフィンモノマーは、気体および液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に、重合反応は1段で行なってもよいし、2段以上で行なってもよい。
更に、本発明においてオレフィン類重合用固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および外部電子供与性化合物を含有する触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう。)、触媒活性、立体規則性および生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行なうことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。
予備重合を行なうに際して、各成分およびモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず有機アルミニウム化合物(F)を装入し、次いで固体触媒成分(I)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン、またはプロピレンと1種あるいは2種以上の他のオレフィン類の混合物を接触させる。
なお、外部電子供与性化合物(G)を組み合わせて予備重合を行なう場合は、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず有機アルミニウム化合物(F)を装入し、次いで外部電子供与性化合物(G)を接触させ、更に固体触媒成分(I)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン、またはプロピレンと1種あるいは2種以上の他のオレフィン類の混合物を接触させる方法が望ましい。
プロピレンブロック共重合体を製造する場合は、2段階以上の多段重合により行い、通常第1段目で重合用触媒の存在下にプロピレンを重合し、第2段目でエチレン及びプロピレンを共重合することにより得られる。第2段目あるいはこれ以降の重合時にプロピレン以外のα−オレフィンを共存あるいは単独で重合させることも可能である。α−オレフィンの例としては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクヘキサン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。具体的には、第1段目でポリプロピレン部の割合が20〜80重量%になるように重合温度および時間を調整して重合を行い、次いで第2段目において、エチレンおよびプロピレンあるいは他のα−オレフィンを導入し、エチレン−プロピレンゴム(EPR)などのゴム部割合が20〜80重量%になるように重合する。第1段目及び第2段目における重合温度は共に、200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、各重合段階での重合時間あるいは連続重合の場合、滞留時間は通常1分〜5時間である。
重合方法としては、シクロヘキサン、ヘプタン等の不活性炭化水素化合物の溶媒を使用するスラリー重合法、液化プロピレン等の溶媒を使用するバルク重合法、及び実質的に溶媒を使用しない気相重合法が挙げられる。好ましい重合法としては、バルク重合法、気相重合法である。
実施例
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。なお、本明細書において、実施例6は、参考例となるものである。
(製造例1)
〔ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの合成〕
4.26モルのパラホルムアルデヒドを含む1.2Lのトルエンと3.96モルの酢酸からなる混合物に、20℃で620ミリモルの酢酸銅(II)を加え、反応物を90℃に加熱し、そこに3.36モルのマロン酸ジエチルを滴下した。混合物は、ディーン−スターク装置を用いて5時間還流下で攪拌し、室温まで冷やして濾過した。濾過物は水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。5gのヒドロキノンと5gのマレイン酸に混合物を加え、低圧化で濃縮し、その残渣を蒸留することで中間体1(2−メチレンマロン酸ジエチル)を得た。次に、中間体1と1.3Lのアセトニトリルとの攪拌混合物に、1.13モルのシクロペンタジエンを20℃で滴下し、16時間攪拌したのち、反応物を2Lの水に注ぎ、酢酸エチルで生成物を抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、中間体2(5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチル)を得た。中間体2と1.2Lのエタノールとの攪拌溶液にパラジウム−炭素触媒を加え、その懸濁液を真空下で脱気し、数分間水素パージしたのち、反応混合物を50℃の水素下で16時間攪拌した。濾過により触媒を取り除き、低圧下で濃縮することで目的物を得た。収率は84%であった。
核磁気共鳴装置によるH−NMRスペクトルの分析を行った結果、ケミカルシフト値は、それぞれ1.08〜1.32(m,8H),1.35〜1.55(m,3H),1.59〜1.65(m,1H),2.20〜2.30(m,2H),2.83(d,1H),4.00〜4.30(m,4H)ppmであり、このことから、得られた生成物がノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルであることを確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる測定を行なった結果、得られたノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの純度は、98%であった。
(製造例2)
〔ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの合成〕
4.77モルのパラホルムアルデヒドを含む1.5Lのトルエンと4.43モルの酢酸からなる混合物に、20℃で682ミリモルの酢酸銅(II)を加え、反応物を90℃に加熱し、そこに3.79モルのマロン酸ジメチルを滴下した。混合物は、ディーン−スターク装置を用いて4時間還流下で攪拌し、濾過した。濾過物は水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。5gのヒドロキノンと5gのマレイン酸に混合物を加え、低圧化で濃縮し、その残渣を蒸留することで中間体1(2−メチレンマロン酸ジメチル)を得た。次に、中間体1と1.3Lのアセトニトリルとの攪拌混合物に、902ミリモルのシクロペンタジエンを20℃で滴下し、16時間攪拌したのち、反応物を2Lの水に注ぎ、酢酸エチルで生成物を抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、中間体2(5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジメチル)を得た。中間体2と1.2Lのエタノールとの攪拌溶液にパラジウム−炭素触媒を加え、その懸濁液を真空下で脱気し、数分間水素パージしたのち、反応混合物を50℃の水素下で16時間攪拌した。濾過により触媒を取り除き、低圧下で濃縮することで目的物を得た。収率は96%であった。
核磁気共鳴装置によるH−NMRスペクトルの分析を行った結果、ケミカルシフト値は、それぞれ1.04〜1.14(m,1H),1.19〜1.27(m,1H),1.31〜1.40(m,1H),1.41〜1.59(m,2H),1.60〜1.68(m,1H),1.71〜1.80(m,1H),2.21〜2.27(m,2H),2.83〜2.85(m,1H),3.65〜3.70(m,6H)ppmであり、このことから、得られた生成物がノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルであることを確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる測定を行なった結果、得られたノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの純度は、99%であった。
(製造例3)
〔ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジブチルの合成〕
1.92モルのマロン酸と11.5モルの1−ブタノールおよび、22.0モルの4−メチルベンゼンスルホン酸を含む720mLのトルエンからなる混合物を、ディーン−スターク装置を用いて還流下で10時間攪拌し、室温まで冷やしたのち、500mLの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物を低圧下で濃縮することで、中間体1(マロン酸ジブチル)を得た。600ミリモルのパラホルムアルデヒドを含む500mLのトルエンと550ミリモルの酢酸からなる攪拌混合溶液に、80ミリモルの硫酸銅(II)を20℃で加え、90℃に加熱し、460ミリモルの中間体1を滴下した。混合物をディーン−スターク装置を用いて還流下で5時間攪拌し、室温まで冷やして濾過した。濾過物は水で洗浄したのち無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。そこに0.5gのヒドロキノンと0.5gのマレイン酸を加え、低圧下で濃縮し、その残渣を蒸留することで中間体2(2−メチレンマロン酸ジブチル)を得た。次に、中間体2と200mLのアセトニトリルの攪拌混合物に0.293モルのシクロペンタジエンを20℃で滴下し、16時間攪拌させたのち、反応物を2Lの水に注ぎ、酢酸エチルで生成物を抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、中間体3(5−ノルボルネンー2,2−ジカルボン酸ジブチル)を得た。中間体3と500mLのエタノールとの攪拌溶液にパラジウム−炭素触媒を加え、その懸濁液を真空下で脱気氏、数分間水素パージしたのち反応混合物を水素下の40℃で16時間攪拌した。濾過により触媒を取り除き、低圧下で濃縮することで目的物を得た。収率は75%であった。
核磁気共鳴装置によるH−NMRスペクトルの分析を行った結果、ケミカルシフト値は、それぞれ0.92〜0.96(m,6H),1.14〜1.19(m,1H),1.27〜1.41(m,6H),1.46〜1.55(m,2H),1.60〜1.66(m,5H)、1.76〜1.78(m,1H)、2.26〜2.30(m,2H)、2.88(br,1H),4.07〜4.15(m,4H)ppmであり、このことから、得られた生成物がノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジブチルであることを確認した。なお、液体クロマトグラフィーによる測定を行なった結果、得られたノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジブチルの純度は、98%であった。
(製造例4)
〔3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの合成〕
908ミリモルの四塩化チタンを含む2Lの無水テトラヒドロフランと200mLの四塩化炭素からなる攪拌溶液に、682ミリモルの無水アセトアルデヒドと454ミリモルのマロン酸ジメチルを含む50mLの四塩化炭素を0℃で加え、10分間攪拌したのち1.82モルのピリジンを滴下した。反応混合物を20℃で16時間攪拌したのち、反応物を2Lの冷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、中間体1(エチリデンマロン酸ジメチル)を得た。中間体12と510ミリモルのシクロペンタジエンを含む500mLのトルエンとの攪拌混合物に0℃で51ミリモルの四塩化チタンを滴下し、その反応混合物を20℃で16時間攪拌したのち、反応物を800mLの水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、中間体2を得た。中間体2と1.2Lのエタノールとの攪拌溶液にパラジウム炭素触媒を加え、真空下で脱気し数分間水素パージしたのち、反応混合物を25℃の水素下で16時間攪拌した。濾過により触媒を取り除き、低圧下で濃縮したのち、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで目的物を得た。収率は76%であった。
核磁気共鳴装置によるH−NMRスペクトルの分析を行った結果、ケミカルシフト値は、それぞれ0.88(d,2.4H),0.9〜1.1(m,1H),1.13(d,0.6H),1.25〜1.35(m,2H),1.40〜1.65(m,3H),1.71〜1.80(m,0.2H),1.90(d,0.8H),0.95〜2.05(m,0.8H),2.13(s,0.2H),2.45〜2.56(m,0.2H),2.60〜2.70(m,0.8H),2.72〜2.85(m,1H),3.64〜3.68(m,3H)、3.69〜3.72(m,3H)ppmであり、このことから、得られた生成物が3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルであることを確認した。なお、ガスクロマトグラフィーによる測定を行なった結果、得られた3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの純度は、98%であった。
(製造例5)
〔5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの合成〕
1.15モルのパラホルムアルデヒドを含む1.2Lのトルエンと4.25モルの酢酸からなる混合物に、20℃で450ミリモルの酢酸銅(II)を加え、反応物を90℃に加熱し、そこに2.50モルのマロン酸ジエチルを滴下した。混合物は、ディーン−スターク装置を用いて6時間還流下で攪拌し、室温まで冷やして濾過した。濾過物は水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。5gのヒドロキノンと5gのマレイン酸に混合物を加え、低圧化で濃縮し、その残渣を蒸留することで中間体1(2−メチレンマロン酸ジエチル)を得た。次に、中間体1と1.0Lのアセトニトリルとの攪拌混合物に、930ミリモルのシクロペンタジエンを20℃で滴下し、16時間攪拌したのち、反応物を2Lの水に注ぎ、酢酸エチルで生成物を抽出した。混合抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、低圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで、目的物を得た。収率は5.2%であった。
核磁気共鳴装置によるH−NMRスペクトルの分析を行った結果、ケミカルシフト値は、それぞれ1.15〜1.28(m,6H),1.45〜1.55(m,1H),1.60〜1.70(d,1H),1.92〜2.15(m,2H),2.88(brs,1H),4.05〜4.30(m,4H),5.90〜6.05(m,1H),6.20〜6.30(m,1H)ppmであり、このことから、得られた生成物が5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチルであることを確認した。なお、ガスクロマトグラフィーによる測定を行なった結果、得られた2,2−ノルボルナンジカルボン酸ジエチルの純度は、99%であった。
(実施例1)
〔固体触媒成分Aの合成〕
攪拌装置を備え、窒素ガスで充分に置換された内容積500mlのフラスコに、ジエトキシマグネシウム10g(87.4ミリモル)を分取し、トルエン55mlを加えて懸濁状態とし、次いで該懸濁液に四塩化チタン20mlを加えて昇温し、60℃に達した時点でノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルを加え、さらに100℃とした。その後、100℃の温度を保持した状態で90分反応させた。反応終了後、上澄みを抜き出し、反応生成物を100℃のトルエン75mlで6回洗浄した。新たにトルエン50mlおよび四塩化チタン10mlを加えて昇温し、15分間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄みを抜き出し、さらに2回同様の反応を行なった。ついで40℃のn−ヘプタン75mlで6回洗浄して固体触媒成分Aを得た。
この固体触媒成分Aの固液を分離して固体分中のチタン含有量および電子供与性化合物であるノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの含有量を測定したところ、チタン含有量は2.6重量%、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの含有量は15.6重量%であった。
なお、実施例及び比較例において、固体分中のチタン含有量および内部電子供与性化合物の含有量は、下記のようにして測定した。
〔固体分中のチタン含有率〕
固体分中のチタン含有量は、JIS M 8301の方法に準じて測定した。
〔固体分中の内部電子供与性化合物含有量〕
固体分中の内部電子供与性化合物の含有量は、固体分を一定量のトルエンと蒸留水で加水分解し、トルエン中に抽出された内部電子供与性化合物を、ガスクロマトグラフ(島津(株)社製、GC−14B)を用いて下記の条件にて測定し、各成分(各内部電子供与性化合物)のモル数について、ガスクロマトグラフィーの測定結果より、予め既知濃度において測定した検量線を用いて求めた。
(測定条件)
・カラム:パックドカラム(φ2.6×2.1m、Silicone SE−30 10%、Chromosorb WAW DMCS 80/100、ジーエルサイエンス(株)社製)
・検出器:FID(Flame Ionization Detector、水素炎イオン化型検出器)
・キャリアガス:ヘリウム、流量40ml/分
・測定温度:気化室 280℃、カラム 225℃、検出器 280℃
〔重合触媒の形成および重合〕
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)0.13ミリモルおよび前記固体触媒成分Aをチタン原子として0.0026ミリモル装入し、重合用触媒を形成した。その後、水素ガス1.5リットル、液化プロピレン1.4リットルを装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後に昇温し、70℃で1時間重合反応を行なった。この時の固体触媒成分1g当たりの重合活性、生成重合体中のp−キシレン可溶分の割合(XS)、生成重合体のメルトフローレイトの値(MFR)および生成重合体の分子量分布を表1に示した。
(固体触媒成分1g当たりの重合活性)
固体触媒成分1g当たりの重合活性については、下記式により求めた。
重合活性(g−PP/g−触媒)=重合体の質量(g)/固体触媒成分の質量(g)
(重合体のキシレン可溶分(XS)の測定)
攪拌装置を具備したフラスコ内に、4.0gの重合体(ポリプロピレン)と200mlのp−キシレンを装入し、外部温度をキシレンの沸点以上(約150℃)とすることにより、フラスコ内部のp−キシレンの温度を沸点下(137〜138℃)に維持しつつ、2時間かけて重合体を溶解した。その後1時間かけて液温を23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。上記溶解成分の溶液を採取し、過熱減圧乾燥によりp−キシレンを留去し、得られた残留物をキシレン可溶分(XS)とし、その重量を重合体(ポリプロピレン)に対する相対値(重量%)で求めた。
(重合体の溶融流れ性(MFR))
重合体の溶融流れ性を示すメルトフローレート(MFR)は、ASTMD 1238、JIS K 7210に準じて測定した。
(重合体の分子量分布)
重合体の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(Waters社製GPCV2000)にて以下の条件で測定して求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比Mw/Mnによって評価した。
・溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
・温度:140℃(SEC)
・カラム:Shodex GPC UT−806M
・サンプル濃度:1g/liter−ODCB(50mg/50ml−ODCB)
・注入量:0.5ml
・流量:1.0ml/min
(実施例2)
〔重合触媒の形成および重合〕
水素ガス1.5リットルに代えて、水素ガス6.0リットルを使用した以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(実施例3)
〔固体触媒成分Bの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Bを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.6重量%、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの含有量は12.9重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(実施例4)
〔固体触媒成分Cの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジブチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Cを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.7重量%、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジブチルの含有量は16.6重量%、ノルボルナン−2,2−カルボン酸エチルブチルの含有量は0.63重量%、ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチルの含有量は0.18重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(実施例5)
〔固体触媒成分Dの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Dを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は1.9重量%、3−メチル−ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジメチルの含有量は6.85重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(実施例6)
〔固体触媒成分Eの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、5−ノルボルネン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Eを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は4.2重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(比較例1)
〔固体触媒成分Fの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、ジイソブチルマロン酸ジメチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Fを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は3.6重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。但し、重合体の分子量分布は評価しなかった。
(比較例2)
〔重合触媒の形成および重合〕
水素ガス1.5リットルの代わりに、水素ガス6.0リットルを使用した以外は、比較例1と同様にして重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(比較例3)
〔固体触媒成分Gの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、1,1−シクロブタンジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Gを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は3.0重量%、1,1−シクロブタンジカルボン酸ジエチルの含有量は11.7重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Gを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(比較例4)
〔固体触媒成分Hの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Hを調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.2重量%、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチルの含有量は11.4重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Hを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(参考例1)
〔固体触媒成分Iの合成〕
ノルボルナン−2,2−ジカルボン酸ジエチル15.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ-nブチル15.3ミリモルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分Iを調製した。得られた固体触媒成分中のフタル酸ジ-nブチルの含有量は14.5重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
固体触媒成分Aに代えて、固体触媒成分Iを用いた以外は、実施例1と同様にして、重合触媒の形成および重合を行なった。重合結果を表1に示した。
(参考例2)
〔重合触媒の形成および重合〕
水素ガス1.5リットルの代わりに、水素ガス6.0リットルを使用した以外は、参考例1と同様にして重合を行なった。重合結果を表1に示した。但し、重合体の分子量分布は評価しなかった。
Figure 0006216611
本発明により得られるオレフィン類重合用触媒は、従来のマロン酸エステルを含有する固体触媒成分より得られるオレフィン系重合体より重合活性、立体規則性が高く、従来のフタル酸エステルを含有する固体触媒成分より得られるオレフィン系重合体と同様の分子量分布を有し、且つ、より高い水素活性を有するオレフィン系重合体を高い収率で得ることができ、また、環境に配慮したオレフィン類重合用固体触媒成分およびオレフィン類重合用触媒を提供することができる。

Claims (10)

  1. チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1);
    Figure 0006216611
    (式中、R〜R10は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基若しくは置換炭化水素基またはヘテロ原子含有基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよく、隣接する基同士は互いに結合して環を形成してもよい。R11およびR12は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる化合物から選択される1種又は2種以上のエステル化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分。
  2. 前記R〜R10 、水素原子、炭化水素1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、ビニル基、炭素数3〜6の直鎖状アルケニル基または分岐状アルケニル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数5〜6のシクロアルケニル基または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
  3. 前記R11またはR12 、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基または炭素数3〜8の分岐状アルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
  4. (I)請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分および
    (II)下記一般式(3);R23 AlQ3−p (3)
    (式中、R23は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲンを示し、pは0<p≦3の実数で、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる有機アルミニウム化合物を接触させて得られることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  5. 更に、(III)外部電子供与性化合物を接触させて得られることを特徴とする請求項4記載のオレフィン類重合用触媒。
  6. 前記(III)の外部電子供与性化合物が、下記一般式(4);
    24 Si(OR254−q (4)
    (式中、R24は炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基のいずれかであり、qは0<q≦3の整数で、qが2以上の場合、複数のR24は同一であっても異なっていてもよい。R25は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、複数のR25は同一であっても異なっていてもよい。)および下記一般式(5);
    (R2627N)SiR28 4−s (5)
    (式中、R26とR27は水素原子、炭素数1〜20の直鎖または炭素数3〜20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、アリール基であり、R26とR27は同一であっても異なっていてもよく、またR26とR27は互いに結合して環を形成してもよい。R28は炭素数1〜20の直鎖または炭素数3〜20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐状アルコキシ基、ビニルオキシ基、アリロキシ基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基を示し、R28が複数ある場合、複数のR28は同一であっても異なっていてもよい。sは1から3の整数である。)から選択される1種または2種以上の有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項5記載のオレフィン類重合用触媒。
  7. 前記(III)の外部電子供与性化合物が、下記一般式(6);
    293031COCH(R3536C)CHOCR323334
    (6)
    (式中、R29〜R34は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基のいずれかで、同一であっても異なっていてもよい。R35とR36は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐状アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基のいずれかで、同一であっても異なっていてもよく、R35とR36は互いに結合して環を形成してもよい。)で表わされるジエーテル類であることを特徴とする請求項記載のオレフィン類重合用触媒。
  8. 前記有機ケイ素化合物が、フェニルトリメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、iso−プロピル−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシランから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項記載のオレフィン類重合用触媒。
  9. 前記ジエーテル類が、2−iso−プロピル−2−iso−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−iso−プロピル−2−iso−ブチル−1,3−ジメトキシプロパンまたは9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンであることを特徴とする請求項7記載のオレフィン類重合用触媒。
  10. 請求項4〜9のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行なうことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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