JP6215992B2 - 電力ケーブル絶縁劣化位置推定方法及び推定システム - Google Patents

電力ケーブル絶縁劣化位置推定方法及び推定システム Download PDF

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Description

本発明は、電力ケーブルにおける絶縁劣化位置を精度よく推定する技術に関する。
屋内外配線用の電力ケーブルとしてCVケーブルが広く用いられている。CVケーブルは、布設および保安管理が容易である一方、絶縁体として用いられている架橋ポリエチレンに水トリーと呼ばれる特有の劣化現象が発生することが知られている。水トリーは、絶縁体に付着した微量の水分等が経時変化により絶縁体内に浸透する現象であり、電力ケーブルの絶縁性能を大きく低下させ絶縁破壊事故の原因となる。
電力ケーブルの絶縁劣化に起因する事故を未然に防止するためには、布設された電力ケーブルを診断し、絶縁劣化が検出された電力ケーブルを取り替えることが必要である。絶縁劣化が検出された電力ケーブルを取り替える際に、全長に亘って取り替えるとすると、多大な時間とコストを要することから、絶縁劣化が生じている位置を推定し、不良箇所のみを取り替えることが好ましい。
このため、従来から電力ケーブルの絶縁劣化位置を推定する手法が提案されている。図7は、従来提案されている電力ケーブルの絶縁劣化位置推定手法の一例を示す図である。本図の例では、亘長Lの電力ケーブル200において、一方の端部からXの位置で水トリーによる絶縁劣化が生じているものとする。ここで、電力ケーブル200は、内部導体201、内部導体201を囲う絶縁体202、絶縁体202を囲う外部導体203、外部導体203を囲う保護被膜204で構成されているものとする。
水トリーが存在する電力ケーブル200の内部導体201に高電圧を印加すると、水トリー発生位置から「キック」と呼ばれる放電が頻繁に発生することが知られている。キックによるパルス状の放電性電流は、外部導体203を課電端側(電路1)および遠端側(電路2)に分流して伝搬する。
それぞれの放電性電流を検出抵抗320a、320bで検出し、デジタルオシロスコープ330で両波形を取り込むと、電路1と電路2との距離差によってキック波形の到達時間に差が生じる。
デジタルオシロスコープ330で両波形の立ち上がりタイミングを観察することで到達時間差Δtを測定することができ、ケーブル亘長Lと電力ケーブル200における電流の伝搬速度vは既知であるため、
X=(L−vΔt)/2
により絶縁劣化位置Xを求めることができる。
特開2013−36839号公報
キック波形の周波数スペクトルは、100MHz以上まで拡がっているが、一般に、電力ケーブルを伝搬するパルスは、高周波成分ほど減衰しやすいことから、伝搬行路が長くなるほど波形の立ち上がりが緩やかになり、不明瞭になる。さらに、電路1、電路2の伝搬行路差が大きい場合には、周波数毎の減衰量に差が生じ、課電側端で観察される波形と遠端側で観察される波形とで相似性が失われてしまう。
このため、両波形の立ち上がりタイミングを比較する到達時間差Δtの測定は、立ち上がりタイミングの認定が曖昧となり、誤差が拡大しやすいことから、絶縁劣化位置推定の精度が低下するおそれがある。
そこで、本発明は、電力ケーブルにおける絶縁劣化位置の推定精度を高めることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である絶縁劣化位置推定方法は、絶縁体により隔てられた第1導体と第2導体とを有する電力ケーブルの絶縁劣化位置推定方法であって、一方の導体の端部に電圧を印加するステップと、前記電圧に起因して絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の両端部方向に伝搬した放電性電流をそれぞれ検出し、特定周波数を抽出する狭帯域バンドパスフィルタを介して波形表示装置に取り込んで表示させるステップと、前記波形表示装置に表示される2つの概正弦波形の特徴点の時間ずれを測定するステップと、前記測定された時間ずれに基づいて、前記電力ケーブルの絶縁劣化位置を推定するステップと、を有することを特徴とする。
ここで、前記電圧を印加するステップに先立ち、前記電力ケーブルの亘長に基づいて、前記狭帯域バンドパスフィルタの中心周波数を複数の候補から選択するステップをさらに有してもよい。
前記選択するステップは、前記電力ケーブルの亘長に基づいて前記放電性電流の最大伝搬行路差を求め、最大伝搬行路差の場合における前記2つの概正弦波形の前記波形表示装置への到達時間差が1周期を超えない条件を満たす周波数候補を中心周波数として選択することとすることができる。
このとき、前記条件を満たす周波数候補のうち、最も高い周波数を中心周波数として選択することができる。
いずれの場合も、前記概正弦波の特徴点は、ゼロクロス点とすることができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である絶縁劣化位置推定システムは、絶縁体により隔てられた第1導体と第2導体とを有する電力ケーブルの絶縁劣化位置推定を支援する絶縁劣化位置推定システムであって、一方の導体の端部に電圧を印加する電圧印加部と、絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の電圧印加側端部方向に伝搬した放電性電流を検出し、狭帯域バンドパスフィルタを用いて特定周波数の概正弦波形を抽出する第1電流検出部と、絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の他端部方向に伝搬した放電性電流を検出し、狭帯域バンドパスフィルタを用いて特定周波数の概正弦波形を抽出する第2電流検出部と、前記第1電流検出部が抽出した概正弦波形と前記第2電流検出部が抽出した概正弦波形とを取り込んで同一画面に表示する波形表示装置とを備えることを特徴とする。
前記狭帯域バンドパスフィルタは、例えば、セラミックフィルタ、または、表面弾性波フィルタにより構成することができる。
本発明によれば、キック波形を特定周波数の概正弦波信号に成形し、概正弦波形の特徴点の時間差を測定するため、キック波形の原波形の立ち上がりタイミングを判定する必要が無くなる。概正弦波形では、特徴点を明確に認定することができるため、到達時間差測定の際の誤差を低減でき、電力ケーブルにおける絶縁劣化位置の推定精度を高めることができる。
本実施形態に係る電力ケーブル絶縁劣化位置推定システムの構成を示す図である。 実フィールドにおける電力ケーブル絶縁劣化位置推定システムの構成例を示す図である。 デジタルオシロスコープで観測される波形を説明する図である。 本実施形態における絶縁劣化位置推定手順について説明するフローチャートである。 中心周波数設定処理を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る電力ケーブル絶縁劣化位置推定システムの別構成を示す図である。 従来提案されている電力ケーブルの絶縁劣化位置推定手法の一例を示す図である。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る電力ケーブル絶縁劣化位置推定システム100の構成を示す図である。本例においても、検査対象の電力ケーブル200は、内部導体201、絶縁体202、外部導体203、保護被膜204で構成されているものとし、亘長Lの電力ケーブル200において、一方の端部からXの位置で水トリーによる絶縁劣化が生じているものとする。
電力ケーブル200は、例えば、CVケーブルとするが、異なる導体を絶縁体で隔てている電力ケーブルであれば検査対象として用いることができる。また、絶縁劣化は水トリーに限られず、高電圧印加により劣化箇所で部分放電が発生する絶縁不良であれば位置を推定することができる。
電力ケーブル絶縁劣化位置推定システム100は、高電圧印加部110、第1電流検出部120、第2電流検出部130、デジタルオシロスコープ140、ブロッキングコイル150を備えている。
高電圧印加部110は、電力ケーブル200の一方の端部の内部導体201に接続され、直流高電圧を印加する。電力ケーブル200において、直流高電圧が印加される側を課電端側と称し、反対側を遠端側と称する。
第1電流検出部120は、外部導体203の課電端側から流れる電流を検出する回路であり、検出抵抗121、アンプ122、狭帯域バンドパス(BP)フィルタ123を備えている。検出抵抗121で生じた電圧はアンプ122で増幅され、狭帯域バンドパスフィルタ123で濾波されて、デジタルオシロスコープ140の第1チャネル(Ch1)に入力される。
第2電流検出部130は、外部導体203の遠端側から流れる電流を検出する回路であり、検出抵抗131、アンプ132、狭帯域バンドパス(BP)フィルタ133を備えている。アンプ132、狭帯域バンドパスフィルタ133の特性は、第1電流検出部120のアンプ122、狭帯域バンドパスフィルタ123の特性と等しくする。検出抵抗131で生じた電圧はアンプ132で増幅され、狭帯域バンドパスフィルタ133で濾波されて、デジタルオシロスコープ140の第2チャネル(Ch2)に入力される。
デジタルオシロスコープ140は、ストレージ機能を有する波形表示装置であり、第1チャネル、第2チャネルから入力した波形を同画面に重ねて表示し、拡大縮小観察可能となっている。デジタルオシロスコープ140は、波形取り込み装置、表示装置等の複数の装置で構成してもよい。
ブロッキングコイル150は、検出抵抗121および検出抵抗131と接地線との間に接続され、接地線から混入するコモンモードノイズを低減するために用いられている。
本図の例では、説明を簡単にするため、外部導体203の課電端側からデジタルオシロスコープ140までの電気長と、外部導体203の遠端側からデジタルオシロスコープ140までの電気長とが等しくなるように配線を行なっている。このため、第1電流検出部120と第2電流検出部130とにおけるキック波形の到達時間差Δtが得られると、
X=(L−vΔt)/2 (式1)
により、絶縁劣化位置Xを推定することができる。
実フィールドにおいては、他の健全なケーブル250の導体部を利用して遠端部のキック波形を課電端側に伝搬させて、課電端側に配置されたデジタルオシロスコープ140で測定を行なうことになる。この場合、他のケーブル250の亘長をLcとすると、
X=(L+Lc−vΔt)/2 (式2)
により、絶縁劣化位置Xを推定することができる。他のケーブル250は、電力ケーブル200が3相ケーブルを構成している場合は、他の相の電力ケーブルの内部導体あるいは外部導体を用いることができる。この場合、L+Lc=2Lとすることができる。
図1の説明に戻って、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133は、キック波形から特定の周波数を抽出し、キック波形をほぼ単一周波数の正弦波バースト信号に成形する。このため、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133は、尖鋭度Qの非常に高いフィルタを選択する。
尖鋭度Qの非常に高いフィルタは、セラミックフィルタ、表面弾性波フィルタ(SAWフィルタ:Surface Acoustic Wave filter)等を用いて実現することができる。例えば、汎用的な中心周波数455kHzのセラミックフィルタを用いることができる。ただし、後述するように、中心周波数の異なる複数種のセラミックフィルタを用意しておき、電力ケーブル200の亘長Lに基づく到達時間差Δtの最大値に応じて選択することが望ましい。
図3は、キック発生の際に、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133を通過して、デジタルオシロスコープ140で観測される波形の例を示している。課電端側のCh1波形と遠端側のCh2波形とを同じ時間軸上に重畳して表示しており、図3(a)は、略全体図、図3(b)は区間Aの拡大図である。パルス状の信号が入力された場合、セラミックフィルタの出力波形は、図3(a)に示すように正弦波の包絡線が穏やかな紡錘型を描く。
Ch1の波形とCh2の波形の位相差は、課電端側の波形と遠端側の波形との到達時間差を表すことになる。このため、図3(b)に示すように、Ch1の波形とCh2の波形の特徴点、例えば、ゼロクロス点の時間ずれを読み取ることで到達時間差Δtを測定することができる。すなわち、到達時間差Δtの測定に際して、キック波形の原波形の立ち上がりタイミングを判定する必要が無くなる。
Ch1の波形とCh2の波形は、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133により、概正弦波と見なすことができるため、明確にゼロクロス点を認定することができる。このため、到達時間差Δt測定の誤差を低減でき、絶縁劣化位置推定の精度を高めることができる。逆いえば、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133は、明確にゼロクロス点を認定できる程度の概正弦波を抽出可能な尖鋭度Qを有するものを用いるものとする。
なお、到達時間差Δtを測定する特徴点は、負から正へのゼロクロス点に限られない。例えば、正から負へのゼロクロス点としたり、極大点、極小点等としてもよい。また、両波形とも同じ単一周波数の正弦波と見なせるため、時間差測定に用いる区間は、任意に定めることができるが、区間Aのように、振幅が大きい部分の方が、SN比的に有利である。
次に、本実施形態における絶縁劣化位置推定手順について図4のフローチャートを参照して説明する。ここでは、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133として、中心周波数が異なる複数種類のセラミックフィルタが用意されている場合を例とする。中心周波数が異なる複数種類のセラミックフィルタを用意せず、セラミックフィルタの選択を行なわない場合は、処理(S12)は省くことができる。
まず、検査対象の電力ケーブル200の特性を取得する(S11)。取得する特性は、亘長Lと伝搬速度vが含まれるものとする。図2に示すように、他のケーブル250を用いて遠端側から課電端側へのキック波形の伝搬を行なう場合には、他のケーブル250の亘長Lcも取得する。伝搬速度vは、一般に、電力ケーブル200の種類により特定することができる。
そして、狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133として用いるセラミックフィルタの中心周波数を設定する(S12)。ここで、中心周波数の設定処理(S12)について詳細に説明する。図3(b)の拡大波形図において、Ch1の波形とCh2の波形の位相差が2π以上であると、ゼロクロス点のずれに基づいて読み取った時間差と実際の到達時間差Δtとが一致しなくなり、波形周期の整数倍の誤差が生じる。
電力ケーブル200において、到達時間差Δtが最も大きくなるのは、課電端側キック波形と遠端側キック波形との伝搬行路差が最大となる場合である。最大伝搬行路差をDLmaxとすると、図1の場合は、電力ケーブル200のいずれかの端部でキックが発生した場合に、最大伝搬行路差DLmax=Lとなる。また、図2の場合は、電力ケーブル200の課電端部でキックが発生した場合に、最大伝搬行路差DLmax=L+L1となる。
Ch1の波形とCh2の波形の位相差が2π以上にならないようにするためには、最大伝搬行路差DLmaxの場合にも、最大到達時間差(=最大伝搬行路差DLmax/伝搬速度v)が1周期(=1/f)を超えない周波数fを中心周波数f0として設定すればよいことになる。
すなわち、
f<v/DLmax
を満たす周波数fを中心周波数f0として設定すればよい。
例えば、簡単のため、図2においてLc=Lとして、最大伝搬行路差DLmax=2Lとすると、455kHzのセラミックフィルタを用いた場合は、亘長198m未満の電力ケーブル200であれば、位相差が2π未満となる。なお、キックの伝搬速度を1.80×10m/sとしている。また、45kHzのセラミックフィルタを用いた場合には、亘長2km未満の電力ケーブル200であれば、位相差が2π未満となる。
このように、セラミックフィルタの中心周波数を低くすることで、より長い亘長の電力ケーブル200に対応することができるようになる。
一方で、セラミックフィルタの中心周波数を低くすると、抽出される波長が長くなり、波形が時間軸方向に引き延ばされることから、測定時間を長くしなければならない。デジタルオシロスコープ140のサンプリング周期がそのままであるとデータ量が過大となるため、サンプリング周期を長くして測定分解能を落とす必要があり、推定位置の範囲(位置分解能)が粗くなることになる。このため、測定分解能の観点からは、セラミックフィルタの中心周波数は高い方が好ましい。
そこで、本実施形態では、図5のフローチャートに示すような手順で中心周波数を設定する。まず、処理(S11)で取得した最大伝搬行路差DLmaxと伝搬速度vとから位相差が2πとなる周波数fを算出する(S121)。最大伝搬行路差DLmaxは、図1の場合には亘長L、図2の場合には亘長L+亘長L1で算出することができ、周波数fは、f=v/DLmaxにより算出することができる。
そして、中心周波数が異なる複数種類のセラミックフィルタのうち、中心周波数が、算出された周波数f以下で、最大のセラミックフィルタを選択する(S122)。これにより、Ch1の波形とCh2の波形の位相差が2π以上になるのを防ぎつつ、なるべく高い測定分解能で絶縁劣化位置の推定を行なうことができる。ただし、周辺環境等により、特定の周波数帯のノイズ成分が混入することが明らかである場合には、その周波数帯を中心周波数とすることは避けるようにする。
なお、位相差が2π以上の場合により生じる到達時間差Δtの誤差は、上述のように波形周期の整数倍となることから、セラミックフィルタ中心周波数を選択しない場合でも、複数位置を候補とした絶縁劣化位置の推定が可能である。
図4のフローチャートの説明に戻って、セラミックフィルタの中心周波数を設定すると(S12)、設定されたセラミックフィルタを狭帯域バンドパスフィルタ123、狭帯域バンドパスフィルタ133として用いて、高電圧印加部110から電力ケーブル200の外部導体203に直流高電圧を印加する(S13)。これにより、水トリー等の絶縁劣化部分でキック現象が発生する。
発生したキック波形は、電力ケーブル200の外部導体203を両端部方向に伝搬し、第1電流検出部120、第2電流検出部130で検出され、デジタルオシロスコープ140に取り込まれて、画面に表示される(S14)。なお、本例では、内部導体201に直流高電圧を印加し、外部導体203がキック電流を伝搬するようにしていたが、外部導体203に直流高電圧を印加し、内部導体201がキック電流を伝搬するようにしてもよい。
そして、測定者が表示された波形を拡大観察して、到達時間差Δtを測定し(S15)、上述の(式1)あるいは(式2)にしたがって、絶縁劣化位置Xを推定する(S16)。デジタルオシロスコープ140に、両波形のゼロクロス点を自動認識し、到達時間差Δtを測定し、絶縁劣化位置Xを算出する機能を付加してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限られず、種々の変形を行なうことができる。例えば、図1に示した例では、それぞれの電流検出部を検出抵抗、アンプ、狭帯域バンドパスフィルタで構成していたが、図6に示すように、第1電流検出部120を、検出抵抗121、プリアンプ124、狭帯域バンドパスフィルタ125、メインアンプ126、狭帯域バンドパスフィルタ127で構成し、第2電流検出部130を、検出抵抗131、プリアンプ134、狭帯域バンドパスフィルタ135、メインアンプ136、狭帯域バンドパスフィルタ137で構成してもよい。ここで、後段に配置された狭帯域バンドパスフィルタ127、狭帯域バンドパスフィルタ137は、主として内部雑音低減のために用いている。
この場合、狭帯域バンドパスフィルタ125、狭帯域バンドパスフィルタ127、狭帯域バンドパスフィルタ135、狭帯域バンドパスフィルタ137は、すべて同一の特性とする。また、増幅時に両波形の位相がずれないように、プリアンプ124とプリアンプ134の特性を同一にし、メインアンプ126とメインアンプ136の特性を同一にする。
100…電力ケーブル絶縁劣化位置推定システム
110…高電圧印加部
120…第1電流検出部
121…検出抵抗
122…アンプ
123…狭帯域バンドパスフィルタ
124…プリアンプ
125…狭帯域バンドパスフィルタ
126…メインアンプ
127…狭帯域バンドパスフィルタ
130…第2電流検出部
131…検出抵抗
132…アンプ
133…狭帯域バンドパスフィルタ
134…プリアンプ
135…狭帯域バンドパスフィルタ
136…メインアンプ
137…狭帯域バンドパスフィルタ
140…デジタルオシロスコープ
150…ブロッキングコイル
200…電力ケーブル
201…内部導体
202…絶縁体
203…外部導体
204…保護被膜

Claims (6)

  1. 絶縁体により隔てられた第1導体と第2導体とを有する電力ケーブルの絶縁劣化位置推定方法であって、
    前記電力ケーブルの亘長に基づいて、特定周波数を抽出する狭帯域バンドパスフィルタの中心周波数を複数の候補から選択するステップと、
    一方の導体の端部に電圧を印加するステップと、
    前記電圧に起因して絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の両端部方向に伝搬した放電性電流をそれぞれ検出し、選択された中心周波数の前記狭帯域バンドパスフィルタを介して波形表示装置に取り込んで表示させるステップと、
    前記波形表示装置に表示される2つの概正弦波形の特徴点の時間ずれを測定するステップと、
    前記測定された時間ずれに基づいて、前記電力ケーブルの絶縁劣化位置を推定するステップと、
    を有することを特徴とする絶縁劣化位置推定方法。
  2. 前記選択するステップは、
    前記電力ケーブルの亘長に基づいて前記放電性電流の最大伝搬行路差を求め、
    最大伝搬行路差の場合における前記2つの概正弦波形の前記波形表示装置への到達時間差が1周期を超えない条件を満たす周波数候補を中心周波数として選択することを特徴とする請求項に記載の絶縁劣化位置推定方法。
  3. 前記条件を満たす周波数候補のうち、最も高い周波数を中心周波数として選択することを特徴とする請求項に記載の絶縁劣化位置推定方法。
  4. 前記概正弦波の特徴点は、ゼロクロス点であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁劣化位置推定方法。
  5. 絶縁体により隔てられた第1導体と第2導体とを有する電力ケーブルの絶縁劣化位置推定を支援する絶縁劣化位置推定システムであって、
    前記電力ケーブルの亘長に基づいて、中心周波数の異なる複数の狭帯域バンドパスフィルタから狭帯域バンドパスフィルタを選択する選択部と、
    一方の導体の端部に電圧を印加する電圧印加部と、
    絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の電圧印加側端部方向に伝搬した放電性電流を検出し、選択された前記狭帯域バンドパスフィルタを用いて特定周波数の概正弦波形を抽出する第1電流検出部と、
    絶縁劣化位置で発生し、他方の導体の他端部方向に伝搬した放電性電流を検出し、選択された前記狭帯域バンドパスフィルタを用いて特定周波数の概正弦波形を抽出する第2電流検出部と、
    前記第1電流検出部が抽出した概正弦波形と前記第2電流検出部が抽出した概正弦波形とを取り込んで同一画面に表示する波形表示装置と、
    を備えることを特徴とする絶縁劣化位置推定システム。
  6. 前記狭帯域バンドパスフィルタは、セラミックフィルタ、または、表面弾性波フィルタにより構成されていることを特徴とする請求項に記載の絶縁劣化位置推定システム。
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