JP6213878B2 - 吸収性物品 - Google Patents

Description

本発明は、スリットを有する吸収体を備えた吸収性物品に関する。

使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品には、尿、便または経血等を吸収するための吸収体を備えており、この吸収体は例えば図１５に示されるような積繊装置１０１により製造されることが知られている。すなわち、この積繊装置１０１は、原料パルプシート１００を細かく粉砕するための解繊装置１０４と、この解繊装置を囲繞する粉砕パルプ供給ケーシング１０８と、この粉砕パルプ供給ケーシング１０８の下流側開口部に配設される積繊ドラム１１０とを備えたものである。

粉砕パルプ供給ケーシング１０８は、粉砕された粉砕パルプを空気流に乗せて下流の積繊ドラム外周面に搬送するためのチャンバＣの外装を構成する。粉砕パルプ供給ケーシング１０８には、チャンバＣ内に粉砕パルプとは別に吸収性ポリマーＰを供給するためのポリマー供給口１０６が設けられている。

また、積繊ドラム１１０は、外周面に適宜の間隔で、一面が微細な網目状とされたあるいは一面に多数の微細孔が形成された通気性の吸収体成形用凹部が形成されていて、図示しない吸引手段によって積繊ドラム１１０内を負圧（図中の「−」部分）に維持することにより、この吸収体形成用凹部内に空気搬送された粉砕パルプが吸収性ポリマーと混合されつつ積繊されるように構成されている。積繊ドラム１１０上に作られた吸収体１３は、バキュームコンベア上を搬送する包装シート１４の上面位置に、積繊ドラム１１０内の正圧（図中の「＋」部分）化、及びバキューム装置１４９による吸引によって転移され、コンベア上を搬送されたてそのまま下流の加工工程に送られる。

ところで、吸収性物品の吸収体においては、吸収性能あるいは漏れ性能を向上させるべく、その幅方向中間部に、前後方向に延びるスリット（吸収体を厚み方向に貫通する細長い隙間をいう。以下同じ。）を形成することが知られており（例えば特許文献１、２参照）、このようなスリットを有する吸収体は、従来、積繊ドラムの吸収体形成用凹部のスリット形成位置に、プレス成型や別部材の溶接によってドラム外周面側に突出する凸部分を形成しておき、この凸部分において繊維の堆積を抑制し、その周囲に繊維を堆積させることにより製造されてきた。ただし、吸収性形成用凹部に凸部を形成する手法では、スリットパターンの変更の際に、積繊ドラムの改造が必要となり、その費用が嵩む他、同一の積繊ドラムを用いてスリットパターンだけ変更することにより多品種を製造することができないといった問題点がある。

この問題点を解決するものとして、積繊ドラム自体の変更ではなく、積繊ドラム１１０の外周面に図１６に示すような形状のマスク１２０を取り付ける手法がある。図中の一点鎖線は個々の吸収体となる部分の境界を示している。この手法では、マスク１２０によりカバーされる部分には繊維が堆積しないことによりスリットが形成される。このようなマスク１２０では、吸収体形成用凹部の幅方向中間部上に前後方向に延びる第１スリットを形成するための主スリットパターン１２１と、主スリットパターン１２１から吸収体形成用凹部の側方に延びる補助パターン１２２とが必要となる。

しかしながら、この手法では、主スリットパターン１２１を浮かして支持するために、主スリットパターン１２１から吸収体形成用凹部の側方に延びる補助パターン１２２が必要になり、吸収体には主スリットパターン１２１による第１スリットだけでなく、補助パターン１２２による第２スリットが、第１スリットから吸収体の側縁まで連続してしまう。そして、この補助パターン１２２による第２スリットも、それを細くしたとしても、スリットである以上、液拡散性への影響（スリットの延在方向には液の拡散を助長し、その横断方向には液の拡散を阻害するため、いわゆる横漏れのおそれがある）や、変形によるフィット性への影響（スリットの延在方向に沿って折れ易くなる）があり、これらをともに満足いくものとすることが望まれる。

特開２００８−１８３１６０号公報 特開２００６−１４９５７１号公報

そこで本発明の主たる課題は、前後方向に延びる第１スリットと、この第１スリットから側方に向かって側縁まで連続する第２スリットとを有する吸収体における、液拡散性及びフィット性をともに向上させることにある。

上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
＜請求項１記載の発明＞
吸収体を備えた吸収性物品において、
前記吸収体における幅方向中間部に、前後方向に延びる第１スリットが一本又は幅方向に間隔を空けて複数本設けられ、
第１スリットの前端側及び後端側のそれぞれにおいて、前記吸収体の各側縁と対応する第１スリットの各側縁との間に、連続する第２スリットが設けられ、
前記第２スリットの連続方向と交差し、前記第２スリットが閉じる方向に収縮力を作用する第２スリット用弾性部材として、前記吸収体の裏側に、前記第２スリットと交差するように前後方向に延びる弾性部材が設けられている、
ことを特徴とする吸収性物品。

（作用効果）
本発明の吸収体では、第２スリット用弾性部材の収縮力により第２スリットが一部又は完全に閉じて、吸収体の各側縁と対応する第１スリットの各側縁との間の部分の前後方向長さが短くなるのに伴い、吸収体の各側縁と対応する第１スリットの各側縁に沿って折れ曲がることにより、吸収体がほぼ舟形に変形する。したがって、第２スリットの幅が狭くなる又はスリットの両側が接触することにより、第２スリットを横断する方向の液拡散性が良好となり、第２スリットに沿う方向の液拡散が抑制されるためいわゆる横漏れ防止効果に優れるようになるとともに、第１スリット及び第２スリットの変形作用が組み合わさって全体として舟形に変形するため、フィット性や漏れ防止効果に優れたものとなる。
特に、上述の位置に第２スリット用弾性部材を備えると、第２スリットに対して直接的に収縮力が作用するため、上述の変形及びその維持作用に優れるようになる。

＜請求項２記載の発明＞
前記第１スリットは、幅方向に間隔を空けて二本設けられ、
前記第２スリットは、幅方向一方の第１スリットから、吸収体の幅方向一方の側縁まで連続するものと、幅方向他方の第１スリットから、吸収体の幅方向他方の側縁まで連続するものとからなる、
請求項１記載の吸収性物品。

（作用効果）
このように第１スリットを二本とすると、第１スリット間の領域に対して、第２スリットの領域が立ち上がって舟形となる。よって、よりフィット性に優れるようになる。

＜請求項３記載の発明＞
前記二本の第１スリットを幅方向に繋ぐ架橋スリットを有しており、この架橋スリットの隙間幅の総和が前記第２スリットの隙間幅の総和よりも短い、請求項２記載の吸収性物品。

（作用効果）
このような架橋スリットを設けることにより、二本の第１スリット及びその幅方向両側の第２スリットが繋がるため、前述した製造時のマスクにおいて、主スリットパターンを補助スリットパターン（第２スリット及び架橋スリットを形成するためのパターン）を介して幅方向両側から支持することができるため、主スリットパターンをより強固に支持することが可能となる。また、架橋スリットの隙間幅の総和が短いことにより、前述の舟形形状となり易い。

＜請求項４記載の発明＞
表面の幅方向両側に、肌側に立ち上がる立体ギャザーが腹側から背側まで前後方向に沿って延在されており、この立体ギャザーは前後方向に延びる立体ギャザー弾性部材を有しており、この立体ギャザー弾性部材における少なくとも前記第２スリットと交差する部分が、前記第２スリット用弾性部材として機能する、請求項１〜３のいずれか１項に記載の吸収性物品。

（作用効果）
第２スリット用弾性部材は、専用の弾性部材を設けることもできるが、このように立体ギャザー弾性部材を利用すると好ましい。

＜請求項５記載の発明＞
吸収体の幅方向両側に突出するサイドフラップ部を有するとともに、このサイドフラップ部に前後方向に延びる平面ギャザー弾性部材を有しており、この平面ギャザー弾性部材における少なくとも前記第２スリットと交差する部分が、前記第２スリット用弾性部材として機能する、請求項１〜４のいずれか１項に記載の吸収性物品。

（作用効果）
第２スリット用弾性部材は、専用の弾性部材を設けることもできるが、このように平面ギャザー弾性部材を利用すると好ましい。

＜請求項６記載の発明＞
前記第２スリットの隙間幅が３〜８ｍｍとされている、請求項１〜５のいずれか１項に記載の吸収性物品。

（作用効果）
第２スリットの隙間は狭すぎると前述の変形作用が小さくなり、広過ぎると前述の変形状態においても隙間が大きく開くため、第２スリットを横断する方向の液拡散性が低下する。よって、上記範囲内とすることが好ましい。

以上のとおり、本発明によれば、前後方向に延びる第１スリットと、この第１スリットから側方に向かって側縁まで連続する第２スリットとを有する吸収体における、液拡散性及びフィット性がともに向上するようになる、等の利点がもたらされる。

展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図（内面側）である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図（外面側）である。 吸収体の要部平面図である。 図１のＣ−Ｃ断面図である。 図１のＡ−Ａ断面図である。 図１のＢ−Ｂ断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。 弾性部材のカットパターンを示す平面図である。 （ａ）第２スリットが閉じる前の状態から閉じた後の状態への変化を示す縦断面概略図、及び（ｂ）、（ｃ）吸収体の横断面図である。 吸収体の平面図である。 吸収体の平面図である。 吸収体の平面図である。 展開状態のテープタイプ使い捨ておむつの平面図（内面側）である。 図１３のＤ−Ｄ断面図である。 吸収体の積繊装置を示す概略図である。 積繊マスクの展開平面図である。

以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、用語「伸長率」は自然長を１００％としたときの値を意味する。また、図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図１〜図７はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ（以下、単におむつともいう。）は、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂを一体的に形成する外装体２０と、前身頃Ｆから後身頃Ｂにわたるように外装体２０の内面に固定された内装体１０とを有しており、内装体１０は液透過性表面シート１１と液不透過性裏面側シート１２との間に吸収体１３が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体２０の内面（上面）に対して内装体１０の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合（図２の点模様部分）された後に、内装体１０および外装体２０が前身頃Ｆ及び後身頃Ｂの境界である前後方向（縦方向）中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部２１が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対のレッグ開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。

（内装体の構造例）
内装体１０は、図４〜図６に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート１１と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート１２との間に、吸収体１３を介在させた構造を有しており、表面シート１１を透過した***液を吸収保持するものである。内装体１０の平面形状は特に限定されないが、図示形態のように略長方形とすることが一般的である。

吸収体１３の表面側（肌当接面側）を覆う液透過性表面シート１１としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート１１に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート１１は、吸収体１３の側縁部を巻き込んで吸収体１３の裏面側まで延在している。

吸収体１３の裏面側（非肌当接面側）を覆う液不透過性裏面側シート１２は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。

吸収体１３としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体１３は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート１４によって包装することができる。
吸収体１３の全体形状は、股間部分に前後両側よりも幅の狭い括れ部分１３Ｎを有する略砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分１３Ｎの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分１３Ｎの前後方向長さはおむつ全長の２０〜５０％程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体１３の全幅の４０〜６０％程度とすることができる。このような括れ部分１３Ｎを有する場合において、内装体１０の平面形状が略長方形とされていると、内装体１０における吸収体１３の括れ部分１３Ｎと対応する部分に、吸収体１３を有しない余り部分が形成される。

内装体１０の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーＢＳが形成されている。この立体ギャザーＢＳは、図５及び図６に示されるように、内装体の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体の側方を経て内装体の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折返しによって二重シートとした立体ギャザーシート１５により形成されている。立体ギャザーシート１５としては撥水性とされた不織布が好適に用いられる。

また、二重シート間には、自由部分の先端部等に細長状の立体ギャザー弾性部材１６が配設されている。立体ギャザー弾性部材１６は、製品状態において図５に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する自由部分を起立させて立体ギャザーＢＳを形成するためのものである。

液不透過性裏面側シート１２は、液透過性表面シート１１とともに吸収体１３の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性裏面側シート１２としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。

ギャザー弾性部材１６としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは９２５ｄｔｅｘ以下、テンションは１５０〜３５０％、間隔は７．０ｍｍ以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材１６としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。

前述の立体ギャザーシート１５を構成する素材繊維も液透過性表面シート１１と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらに立体ギャザーシート１５については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性（ドライ感）を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。

（外装体の構造例）
外装体２０は、図４〜図６にも示されるように、それぞれ不織布等からなる押えシート２０Ａ及びバックシート２０Ｂからなる２層構造とされ、押えシート２０Ａとバックシート２０Ｂとの間、及びバックシート２０Ｂをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分２０Ｃの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口部を形成するために形成された凹状の脚周りライン２９により、全体として擬似砂時計形状をなしている。

図示形態の外装体２０においては、弾性部材として、図１〜図３に示される展開形状において、ウエスト開口部近傍２３に配置されたウエスト部弾性部材２４と、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数のウエスト下方部弾性部材２５とを有するとともに、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂのそれぞれにおいて、ウエスト下方部弾性部材群２５とは別に、一方のサイドシール部２１から一方のレッグ開口部に沿って股間部分に向かい、股間部分を横断し、かつ他方のレッグ開口部に沿って他方のサイドシール部２１に至るパターンで湾曲しつつ延在する、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材２６，２８を備えている。これら、弾性部材２４〜２８は、それぞれその延在方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されている。なお、本外装体２０では、脚周りライン２９に沿って前身頃Ｆのサイドシール部から後身頃Ｂのサイドシール部まで連続する、所謂脚周り弾性部材は設けられていない。

ウエスト部弾性部材２４は、前身頃Ｆと後身頃Ｂとが接合されたサイドシール部２１の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に縦方向に間隔をおいて配置された複数条の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材２４は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材２４は、ウエスト部におけるバックシート２０Ｂの折り返し部分２０Ｃの不織布間に挟持されているが、押えシート２０Ａとバックシート２０Ｂとの間に挟持しても良い。

ウエスト下方部弾性部材２５は、サイドシール部２１の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、縦方向に間隔をおいて配置された糸ゴム等の細長状弾性部材であり、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂの腰周り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材２４とウエスト下方部弾性部材２５との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂに縦方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材がウエスト下方部弾性部材として機能していればよい。

後身頃Ｂにおいて、ウエスト下方部弾性部材２５とは別に配設された背側湾曲弾性部材２６は、糸ゴム等の細長状弾性部材であり、所定の曲線に沿って配置されている。背側湾曲弾性部材２６は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では４本の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材２６は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群２６は、２，３本程度の弾性部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように３〜２０ｍｍ、好ましくは６〜１６ｍｍ程度の間隔を空けて、３本以上、好ましくは４本以上配置される。

外装体２０の前身頃Ｆにおいて、ウエスト下方部弾性部材群２５とは別に配設された腹側湾曲弾性部材２８は糸ゴム等の細長状弾性部材であり、所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材２８は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では４本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材２８は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群２８も、２，３本程度の弾性部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように３〜２０ｍｍ、好ましくは６〜１６ｍｍ程度の間隔を空けて、３本以上、好ましくは４本以上配置される。

なお、後述する図８も分かるように、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂに配置されたウエスト下方部弾性部材２５及び湾曲弾性部材２６，２８は、製造時に外装体に対して連続的に固定した後に、内装体と重なる部分の一部または全部が、所定の切断パターンＣＰで細かく切断されて収縮力が作用しない非収縮部分（つまり、図８の切断パターンＣＰと重なる部分）とされ、この非収縮部分より側方に延在する部分が収縮力の作用する収縮部分（つまり、図８の切断パターンＣＰより側方の、ウエスト下方部弾性部材２５及び湾曲弾性部材２６，２８が連続的に残された部分）とすることができる。このため、ウエスト下方部弾性部材２５及び湾曲弾性部材２６，２８は、一方側のサイドシール部２１から内装体１０を横切って他方（反対）側のサイドシール部２１まで連続的に設けた後に、内装体と重なる部分の一部または全部が、細かく切断される。これにより、内装体（特に吸収体１３）の幅方向の不必要な収縮を防止することができる。もちろん、ウエスト下方部弾性部材２５及び湾曲弾性部材２６，２８を、内装体１０を横切って連続的に配置することもできる。

上述した外装体２０は、例えば特開平４−２８３６３号公報や、特開平１１−３３２９１３号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材２６，２８を内装体１０上で切断し不連続化するには、特開２００２−３５０２９号公報、特開２００２−１７８４２８号公報及び特開２００２-２７３８０８号公報に記載される切断方法が好適に採用される。

図示例とは異なり、湾曲弾性部材２６，２８を、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材２６，２８を、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂの両方に設ける場合、前身頃Ｆ側に配置された湾曲弾性部材２８の群の一部又は全部と、後身頃Ｂ側に配置された湾曲弾性部材２６の群の一部又は全部とが交差する形態（図示せず）も採用できるが、図示例のように、前身頃Ｆ側に配置された湾曲弾性部材２８の群と、後身頃Ｂ側に配置された湾曲弾性部材２６の群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Ｆに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適である。

さらに、湾曲弾性部材２６，２８はその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。

弾性部材２４〜２８の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合、ウエスト部弾性部材２４は１６０〜３２０％程度、ウエスト下方部弾性部材２５は１６０〜３２０％程度、湾曲弾性部材２６，２８は２３０〜３２０％程度とすることができる。

（前後押えシート）
図１及び図４にも示されるように、外装体２０の内面上に取り付けられた内装体１０の前後端部をカバーし、且つ内装体１０の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート５０，６０が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート５０は、前身頃Ｆ内面のうちウエスト側端部の折り返し部分２０Ｃの内面から内装体１０の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート６０は、後身頃Ｂ内面のうちウエスト側端部の折り返し部分２０Ｃの内面から内装体１０の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート５０，６０の股下側縁部に幅方向の全体にわたり（中央部のみでも良い）若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。

図示形態のように、前後押えシート５０，６０を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体２０をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分２０Ｃを、内装体１０と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート５０，６０と同等の部分を形成することもできる。

（吸収体のスリットについて）
特徴的には、図１〜図５に示すように、吸収体１３における幅方向中間部に、前後方向に延びる第１スリット１７が一本形成されており、この第１スリット１７の前端側及び後端側のそれぞれから、幅方向両側に向かって側縁まで連続する第２スリット１８が設けられるとともに、第２スリット用弾性部材３０が第２スリット１８の連続方向と交差し、第２スリット１８が閉じる方向に収縮力を作用する。これにより、本形態の吸収体１３では、第２スリット用弾性部材３０の収縮力により第２スリット１８が図９（ａ）に示すように一部又は完全に閉じて、第１スリット１７の幅方向両側の前後方向長さが短くなるのに伴い、図９（ｂ）、（ｃ）に示すように第１スリット１７に沿って折れ曲がることにより、吸収体１３がほぼ舟形に変形する。したがって、第２スリット１８の幅が狭くなる又はスリットの両側が接触することにより、第２スリット１８を横断する方向の液拡散性が良好となり、第２スリット１８に沿う方向の液拡散が抑制されるためいわゆる横漏れ防止効果に優れるようになるとともに、第１スリット１７及び第２スリット１８の変形作用が組み合わさって全体として舟形に変形するため、フィット性や漏れ防止効果に優れたものとなる。

第２スリット１８の本数は、幅方向の片側あたり２本（前後各一本）は必要であるが、図１０及び図１２（ｂ）に示すように前後方向に間隔を空けて３本以上設けることもできる。また、第２スリット１８の前後方向位置は左右対称とする他、図１０に示すように、第２スリット１８の前後方向位置は左右非対称とすることも可能である。

第１スリット１７は、図１１及び図１２に示すように、幅方向に間隔を空けて二本設けることもでき、その場合、第２スリット１８は、幅方向一方の第１スリット１７から、吸収体１３の幅方向一方の側縁まで連続するものと、幅方向他方の第１スリット１７から、吸収体１３の幅方向他方の側縁まで連続するものとからなる。このように第１スリット１７を二本とすると、第１スリット１７間の領域に対して、第２スリット１８の領域が立ち上がって舟形となる。よって、よりフィット性に優れるようになる。第１スリット１７は３本以上設けることもできる。まとめると、第１スリット形成領域（つまり第１スリット１７が一本のときにはそのもの、複数本のときには最も側方に位置する両スリット及びその間の領域）の前端側及び後端側のそれぞれから、幅方向両側に向かって側縁まで連続する第２スリット１８が設けられる。

第１スリット１７を二本とする場合、それらは図１１（ａ）に示すように幅方向に繋がっていなくても良いが、図１１（ｂ）及び図１２（ａ）（ｂ）に示すように幅方向に繋ぐ架橋スリット１９を設けることが好ましい。これにより、二本の第１スリット１７及びその幅方向両側の第２スリット１８が繋がるため、前述した製造時のマスクにおいて、主スリットパターンを補助スリットパターン（第２スリット１８及び架橋スリット１９を形成するためのパターン）を介して幅方向両側から支持することができ、主スリットパターンをより強固に支持することが可能となる。なお、このような架橋スリット１９を設ける場合、架橋スリット１９の隙間幅１９ｄの総和が第２スリット１８の隙間幅１８ｄの総和より短いと、前述の舟形形状となり易い。

第２スリット１８の隙間幅１８ｄは適宜定めることができるが、狭すぎると前述の変形作用が小さくなり、広過ぎると前述の変形状態においても隙間が大きく開いて第２スリット１８を横断する方向の液拡散性が低下するため、３〜８ｍｍ程度、特に３〜５ｍｍ程度とすることが好ましい。また、第２スリット１８の隙間幅１８ｄは第１スリット１７の隙間幅１７ｄよりも狭いことが望ましいが、反対としても良い。さらに、第１スリット１７の隙間幅１７ｄ及び第２スリット１８の隙間幅１８ｄはその連続方向の位置に応じて拡大又は減少していても良い。

第１スリット１７及び第２スリット１８は、図示形態では直線状に延びているが、曲線状に延びていても良い。また、第２スリット１８は幅方向に沿って設けられる他、図１６のマスクのパターンからも分かるように、側方に向かうにつれて前後方向端部側（逆に前後方向中央側でも良い）に位置するように斜め方向に沿って設けられても良い。第１スリット１７も前後方向に対して傾斜していても本発明の「前後方向に延びる」の範囲内である。

第１スリット形成領域は、吸収体１３の幅方向中間部に設けられる限り、その位置は限定されないが、通常は幅方向中央が望ましく、その幅（一本の場合は第１スリットの幅１７ｄ）は吸収体１３の全幅１３ｗの５〜２０％とすることが望ましい。また、第１スリットの前後方向長さは適宜定めることができ、例えば吸収体１３の全長の３０〜７０％程度とすることができる。第１スリット１７の位置はおむつのサイズに応じて適宜定めることができるが、通常の場合、吸収体１３の前端位置を０％とし、吸収体１３の後端位置を１００％としたとき、第１スリット１７の位置は１０〜２７％の位置、特に１２〜２５％の位置とすることが好ましい。

第２スリット１８の第１スリット１７との接続位置は、第１スリット１７の前端側及び後端側に位置していれば良いが、前側及び後側ほど好ましいため、図示形態のように第１スリット１７の前端部及び後端部に接続することが望ましい。また、第２スリット１８は、漏れ防止の観点からは前後両側ほど好ましく、特に吸収体の括れ部分１３Ｎの前後両端部又はそれよりも前後両側に位置することが望ましい。

第２スリット用弾性部材３０は、第２スリット１８の連続方向と交差し、第２スリット１８が閉じる方向に収縮力を作用するものであれば、他の目的で取り付けられた弾性部材の一部又は全部を利用する他、専用の弾性部材を設けることができる。第２スリット用弾性部材３０は第２スリット１８の連続方向と直交していることが望ましいが、第２スリット１８が閉じる方向に収縮力が作用する限り直交方向に対して傾斜していても良い。

第２スリット用弾性部材３０による収縮作用をより効果的に第２スリット１８に伝えるために、第２スリット用弾性部材３０は第２スリット１８の幅方向中央より外側に設けられていることが好ましく、特に第２スリット１８の側端部と重なる部位か又はそれよりも外側に設けられているとより好ましい。

図１〜図７に示される形態では、第２スリット１８の連続方向と交差し、第２スリット１８が閉じる方向に収縮力を作用するものとして、立体ギャザー弾性部材１６を備えているため、これが第２スリット用弾性部材３０として機能するとともに、吸収体１３の裏側に第２スリット１８と交差するように前後方向に延びる専用の第２スリット用弾性部材３０を第１スリット１７の左右各側に設けている。立体ギャザー弾性部材１６は第２スリット１８に対して作用する収縮力は弱いものの、現在の使い捨ておむつでは必須の部材である点で、第２スリット１８に対する位置も好ましいものである。一方、吸収体１３の裏側に第２スリット１８と交差するように前後方向に延びる専用の第２スリット用弾性部材３０は、第２スリット１８に対して直接的に収縮力が作用するため、上述の変形及びその維持作用に優れる点で好ましいものであり、図示形態では内装体１０の裏面に固定された固定部における立体ギャザーシート１５間に設けられているが、内装体１０の裏面と立体ギャザーＢＳとの間、内装体１０と外装体２０との間に設けることもでき、反対に吸収体１３の表側、例えば表面シート１１と吸収体１３との間に設けることもできる。

図１３及び図１４に示すテープタイプ使い捨ておむつや、図示しない大型パッドタイプ使い捨ておむつでは、吸収体１３の幅方向両側に突出するサイドフラップ部ＳＦを有するとともに、このサイドフラップ部ＳＦに前後方向に延びる平面ギャザー弾性部材３１を有していることが多い。よって、この平面ギャザー弾性部材３１を第２スリット１８の連続方向と交差させて第２スリット用弾性部材３０として機能させるのも好ましい形態である。なお、このテープタイプ使い捨ておむつは第２スリット１８の連続方向と交差し、第２スリット１８が閉じる方向に収縮力を作用する立体ギャザー弾性部材１６も備えているため、これも第２スリット用弾性部材３０として機能するものである。その他の構成部材は、基本的にパンツタイプ使い捨ておむつの形態と同様であり、図１３及び図１４中に同一の符号を用いているため、敢えて説明を省略する

第２スリット用弾性部材３０の前後方向の収縮力作用範囲は、吸収体１３の前後方向全体を含む範囲Ｒ１とすることも、第２スリット１８を含む一部の前後方向範囲Ｒ２，Ｒ３のみとすることもでき、後者の場合、複数の第２スリット１８に対して一体的な収縮力作用範囲Ｒ２を設ける他、各第２スリット１８に対して個別に収縮力作用範囲Ｒ３を設けることもできる。なお、第２スリット用弾性部材３０の収縮力作用範囲を、第２スリット１８を含む一部の前後方向範囲Ｒ２，Ｒ３のみとする手法としては、当該範囲にのみ第２スリット用弾性部材３０を有する形態の他、当該範囲を含むより広範な範囲に第２スリット用弾性部材を設けて、当該範囲以外を細かく切断して伸縮性を殺すことも含まれる。

本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ、パッドタイプ等の各種使い捨ておむつ、生理用ナプキン等、吸収性物品全般に利用できるものである。

Ｂ…後身頃、ＢＳ…立体ギャザー、Ｆ…前身頃、ＳＦ…サイドフラップ部、１０…内装体、１１…表面シート、１２…液不透過性裏面側シート、１３…吸収体、１３Ｎ…括れ部分、１４…包装シート、１５…立体ギャザーシート、１６…立体ギャザー弾性部材、１７…第１スリット、１８…第２スリット、１９…架橋スリット、２０…外装体、２０Ｃ…折り返し部分、２１…サイドシール部、２４…ウエスト部弾性部材、２５…ウエスト下方部弾性部材、２６，２８…湾曲弾性部材、２６…背側湾曲弾性部材、２８…腹側湾曲弾性部材、２９…脚周りライン、３０…第２スリット用弾性部材、３１…平面ギャザー弾性部材。

Claims (6)

1. 吸収体を備えた吸収性物品において、
   前記吸収体における幅方向中間部に、前後方向に延びる第１スリットが一本又は幅方向に間隔を空けて複数本設けられ、
   第１スリットの前端側及び後端側のそれぞれにおいて、前記吸収体の各側縁と対応する第１スリットの各側縁との間に、連続する第２スリットが設けられ、
   前記第２スリットの連続方向と交差し、前記第２スリットが閉じる方向に収縮力を作用する第２スリット用弾性部材として、前記吸収体の裏側に、前記第２スリットと交差するように前後方向に延びる弾性部材が設けられている、
   ことを特徴とする吸収性物品。
2. 前記第１スリットは、幅方向に間隔を空けて二本設けられ、
   前記第２スリットは、幅方向一方の第１スリットから、吸収体の幅方向一方の側縁まで連続するものと、幅方向他方の第１スリットから、吸収体の幅方向他方の側縁まで連続するものとからなる、
   請求項１記載の吸収性物品。
3. 前記二本の第１スリットを幅方向に繋ぐ架橋スリットを有しており、この架橋スリットの隙間幅の総和が前記第２スリットの隙間幅の総和よりも短い、請求項２記載の吸収性物品。
4. 表面の幅方向両側に、肌側に立ち上がる立体ギャザーが腹側から背側まで前後方向に沿って延在されており、この立体ギャザーは前後方向に延びる立体ギャザー弾性部材を有しており、この立体ギャザー弾性部材における少なくとも前記第２スリットと交差する部分が、前記第２スリット用弾性部材として機能する、請求項１〜３のいずれか１項に記載の吸収性物品。
5. 吸収体の幅方向両側に突出するサイドフラップ部を有するとともに、このサイドフラップ部に前後方向に延びる平面ギャザー弾性部材を有しており、この平面ギャザー弾性部材における少なくとも前記第２スリットと交差する部分が、前記第２スリット用弾性部材として機能する、請求項１〜４のいずれか１項に記載の使い捨ておむつ。
6. 前記第２スリットの隙間幅が３〜８ｍｍとされている、請求項１〜５のいずれか１項に記載の吸収性物品。

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