JP6213368B2 - 電子制御装置 - Google Patents
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Description
上死点検出手段は、筒内圧信号が示す筒内圧に基づいて、気筒における圧縮上死点を検出する。
本実施形態の電子制御装置(Electronic Control Unit)1(以下、エンジンECU1という)は、車両に搭載され、図1に示すように、車両のエンジン50(本実施形態ではディーゼルエンジン)の制御を行う。
各インジェクタ51には、燃料の蓄圧容器であるコモンレール52から伸びた燃料供給用配管53が接続されている。またコモンレール52には、車両の燃料タンク54に貯留された燃料が、燃料ポンプ55によって圧送される。これにより、コモンレール52に蓄えられた高圧の燃料は、燃料供給用配管53を介して各インジェクタ51に供給される。そしてエンジンECU1は、各インジェクタ51を駆動して、エンジン50への燃料噴射を制御する。
クランク角センサ61は、エンジン50のクランク軸の回転に応じて所定角度毎(例えば6°CA毎の歯、および0°CAを示す歯の進角側4歯分の欠歯、計60−4歯)に、ローレベルからハイレベルに変化するパルス状のクランク角信号を出力する。マイコン2は、このクランク角信号に基づいて、エンジン50の回転速度およびクランク角度を算出する。
そして、クランク角センサ61およびカム角センサ62からの信号など、ハイレベルとローレベルとに変化する信号については、外部入出力回路3により波形整形されてマイコン2に入力される。また、筒内圧センサ63からの信号など、アナログ信号については、外部入出力回路3に備えられたAD変換器(図示省略)によりデジタル信号に変換されてマイコン2に入力される。
CPU11は、エンジン50を制御するための各種信号を入出力ポート14を介して入力する。そしてCPU11は、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。またCPU11は、入出力ポート14を介して入力される各種信号に基づいて制御演算を行い、その演算結果に基づき、インジェクタ51等の電気負荷へ入出力ポート14を介して駆動信号を出力することにより、エンジン50の制御に関係する電気負荷を制御する。
RAM13は、揮発性メモリであり、CPU11の演算結果等を一時的に記憶する。
さらに本実施形態では、カム角信号の立下りエッジは、0°CA、180°CA、360°CA、540°CA、690°CAで発生する。
まず、CPU11が実行する加速区間算出処理の手順を説明する。加速区間算出処理は、余分歯(690°CA)以外の正規歯によるカム角信号の立下りエッジが発生する毎に実行される処理である。
その後S50にて、計測時間Taを加速時間taとして保持する。そしてS60にて、計測時間Taをクリアする。
θe = Ec × 90[°CA] ・・・(1)
そしてS80にて、クランク角度θがイベント時角度θeに等しいか否かを判断する。ここで、クランク角度θがイベント時角度θeに等しい場合には(S80:YES)、S100に移行する。一方、クランク角度θがイベント時角度θeに等しくない場合には(S80:NO)、S90にて、イベント時角度θeに等しくなるようにクランク角度θの値を変更し、S100に移行する。
va = 90[°CA]/ta ・・・(2)
さらにS110にて、加速時角加速度aaを算出し、加速区間算出処理を一旦終了する。具体的には、加速時間taと加速時角速度vaと減速時角速度vd(後述)とを用いて下式(3)により加速時角加速度aaを算出する。
次に、CPU11が実行する減速区間算出処理の手順を説明する。減速区間算出処理は、エンジンECU1の動作中において所定時間毎(例えば10μs毎)に繰り返し実行される処理である。
vd = 90[°CA]/td ・・・(4)
さらにS320にて、減速時角加速度adを算出し、減速区間算出処理を一旦終了する。具体的には、減速時間tdと加速時角速度vaと減速時角速度vdとを用いて下式(5)により減速時角加速度adを算出する。
次に、CPU11が実行する角度算出処理の手順を説明する。角度算出処理は、エンジンECU1の動作中において所定時間毎(例えば10μs毎)に繰り返し実行される処理である。
θ = θe + vd×Ta + aa×Ta2/2 ・・・(6)
一方、減速区間である場合には(S420:NO)、S440にて、下式(7)によりクランク角度θを算出し、S450に移行する。
そしてS450に移行すると、角度上限値θmaxを算出する。具体的には、イベント回数Ecを用いて下式(8)により角度上限値θmaxを算出する。
そしてS460にて、クランク角度θが角度上限値θmaxを超えているか否かを判断する。ここで、クランク角度θが角度上限値θmax以下である場合には(S460:NO)、角度算出処理を一旦終了する。一方、クランク角度θが角度上限値θmaxを超えている場合には(S460:YES)、S470にて、角度上限値θmaxに等しくなるようにクランク角度θの値を変更し、角度算出処理を一旦終了する。
図6に示すように、まず、クランク角度が0°CAのときにカム角信号の立下りエッジが発生すると(時刻t01のカム角信号を参照)、加速区間算出処理が開始され(加速区間算出処理タイミングTMa1を参照)、イベント回数Ecがクリアされることにより、イベント回数Ecが7から0に変化する(時刻t01のイベント回数Ecを参照)。そして、この時点における計測時間Taが加速時間taとして保持されるとともに、計測時間Taがクリアされる(時刻t01の計測時間Taを参照)。さらに、この時点におけるイベント時角度θe(0°CA)に等しくなるようにクランク角度θの値が変更される(時刻t01のクランク角度θを参照)。そして、加速時角速度vaと加速時角加速度aaが算出される。
またエンジンECU1は、圧縮上死点を検出したタイミングと、圧縮上死点より前においてカム角信号が直近で入力したタイミングとの間におけるクランク軸の角速度(減速時角速度vd)および角加速度(減速時角加速度a d)とを算出する(S310,S320)。
図7に示すように、まず、クランク角度が0°CAのときにカム角信号の立下りエッジが発生すると(時刻t11を参照)、エンジンECU1において加速区間算出処理が開始され、加速時間t0aが設定されるとともに、イベント時角度θ0e(0°CA)に等しくなるようにクランク角度θが変更される。さらに、下式(9)により加速時角速度v1aが算出されるとともに、下式(10)により加速時角加速度a1aが算出される。なお、式(10)におけるv0dは、直近の減速区間算出処理で算出された減速時角速度である。
a1a = (v1a−v0d)/t0a ・・・(10)
その後、クランク角度が90°CAに到達するまでは、下式(11)によりクランク角度θ1が算出される(時刻t11〜t12における曲線L01を参照)。なお、式(11)における「t」は時刻t11を起点とした経過時間である。
次に、クランク角度が90°CAのときに筒内圧のピークが発生すると(時刻t12を参照)、エンジンECU1において減速区間算出処理が開始され、減速時間t1dが設定されるとともに、イベント時角度θ1e(90°CA)に等しくなるようにクランク角度θが変更される。さらに、下式(12)により減速時角速度v1dが算出されるとともに、下式(13)により減速時角加速度a1dが算出される。
a1d = (v1d−v1a)/t1d ・・・(13)
その後、クランク角度が180°CAに到達するまでは、下式(14)によりクランク角度θ2が算出される(時刻t12〜t13における曲線L02を参照)。なお、式(14)における「t」は時刻t12を起点とした経過時間である。
次に、クランク角度が180°CAのときにカム角信号の立下りエッジが発生すると(時刻t13を参照)、エンジンECU1において加速区間算出処理が開始され、加速時間t1aが設定されるとともに、イベント時角度θ2e(180°CA)に等しくなるようにクランク角度θが変更される。さらに、下式(15)により加速時角速度v2aが算出されるとともに、下式(16)により加速時角加速度a2aが算出される。
a2a = (v2a−v1d)/t1a ・・・(16)
その後、クランク角度が270°CAに到達するまでは、下式(17)によりクランク角度θ3が算出される(時刻t13〜t14における曲線L03を参照)。なお、式(17)における「t」は時刻t13を起点とした経過時間である。
次に、クランク角度が270°CAのときに筒内圧のピークが発生すると(時刻t14を参照)、エンジンECU1において減速区間算出処理が開始され、減速時間t2dが設定されるとともに、イベント時角度θ3e(270°CA)に等しくなるようにクランク角度θが変更される。さらに、下式(18)により減速時角速度v2dが算出されるとともに、下式(19)により減速時角加速度a2dが算出される。
a2d = (v2d−v2a)/t2d ・・・(19)
その後、クランク角度が360°CAに到達するまでは、下式(20)によりクランク角度θ4が算出される(時刻t14〜t15における曲線L04を参照)。なお、式(20)における「t」は時刻t14を起点とした経過時間である。
一方、従来方法では、まず、クランク角度が0°CAのときにカム角信号の立下りエッジが発生すると、直近の2つのカム角信号の立下りエッジの発生間隔に基づいて角速度を算出する。その後、クランク角度が180°CAに到達するまでは、この角速度と、時刻t11を起点とした経過時間とに基づいて、クランク角度を算出する(時刻t11〜t13における直線L11を参照)。
例えば上記実施形態では、4気筒のエンジンを制御するものを示したが、これに限定されるものではなく、4気筒以外のエンジンにおいても本発明を適用可能である。
また上記実施形態では、微分値波形が正値から負値に変化するときのゼロクロス点を検出することにより筒内圧信号のピークを検出するものを示した。しかし、エンジンECU1のマイコン2が、入力信号の最大値を保持するピークホールド回路を搭載している場合には、ピークホールド回路を用いて筒内圧信号のピークを検出するようにしてもよい。図8に示すように、気筒の筒内圧信号CPSは、対応する気筒の圧縮上死点で1回目のピークが発生し(ピークPK1を参照)、その後、燃焼による筒内圧増加に起因した2回目のピークが発生する(ピークPK2を参照)。このため、筒内圧信号を入力信号としたピークホールド回路が出力するピークホールド信号PHSは、カム角信号の入力以降、まず、ピークPK1によるピークを保持し、その後に、ピークPK2によるピークを保持する。このため、カム角信号の入力タイミングから初回のピークホールド時に、圧縮上死点を検出したと判断するようにする。このように圧縮上死点の検出をソフトウェアではなくハードウェアで行うことにより、マイコン2のCPU11の演算負荷を低減することができる。ただし、ピークホールド時の検出に時間遅れがある場合には、この時間遅れを考慮して、圧縮上死点の検出タイミングを補正する必要がある。
Claims (2)
- エンジン(50)のクランク軸の回転に応じて予め設定された第1所定クランク角度毎にクランク角センサ(61)から出力されるクランク角信号と、前記エンジンのカム軸の回転に応じて前記カム軸の角度が前記エンジンの気筒判別が可能となるように予め設定された第2所定クランク角度になる毎にカム角センサ(62)から出力されるカム角信号と、前記エンジンの気筒の内部の圧力を検出する筒内圧センサ(63)から出力される筒内圧信号とを入力して、前記エンジンを制御する電子制御装置(1)であって、
前記筒内圧信号が示す筒内圧に基づいて、前記気筒における圧縮上死点を検出する上死点検出手段(S210,S220)と、
前記上死点検出手段が前記圧縮上死点を検出したタイミングと、該圧縮上死点より前において前記カム角信号が直近で入力したタイミングとの間における前記クランク軸の角速度および角加速度とを算出する上死点前算出手段(S310,S320)と、
前記上死点検出手段が前記圧縮上死点を検出したタイミングと、該圧縮上死点より後において前記カム角信号が直近で入力したタイミングとの間における前記クランク軸の角速度および角加速度とを算出する上死点後算出手段(S100,S110)と、
前記上死点前算出手段が算出した前記角速度を上死点前角速度とし、前記上死点前算出手段が算出した前記角加速度を上死点前角加速度とし、前記上死点後算出手段が算出した前記角速度を上死点後角速度とし、前記上死点後算出手段が算出した前記角加速度を上死点後角加速度として、前記クランク角信号の異常が発生している場合に、前記上死点前角速度、前記上死点前角加速度、前記上死点後角速度および前記上死点後角加速度を用いて、前記クランク軸のクランク角度を算出する異常時算出手段(S410〜S440)とを備え、
前記上死点前算出手段は、
前記圧縮上死点における前記クランク軸のクランク角度を上死点クランク角度とし、前記圧縮上死点より前において直近で入力した前記カム角信号を上死点前カム角信号とし、前記上死点前カム角信号に基づいて特定される前記第2所定クランク角度を上死点前クランク角度とし、前記圧縮上死点を検出した時刻と前記上死点前カム角信号が入力した時刻との差分を上死点前時間として、前記上死点クランク角度と前記上死点前クランク角度との差分を前記上死点前時間で除算することにより前記上死点前角速度を算出し、さらに、前記上死点前算出手段が算出した最新の前記上死点前角速度と、前記上死点後算出手段が算出した最新の前記上死点後角速度との差分を前記上死点前時間で除算することにより前記上死点前角加速度を算出し、
前記上死点後算出手段は、
前記圧縮上死点より後において直近で入力した前記カム角信号を上死点後カム角信号とし、前記上死点後カム角信号に基づいて特定される前記第2所定クランク角度を上死点後クランク角度とし、前記上死点後カム角信号が入力した時刻と前記圧縮上死点を検出した時刻との差分を上死点後時間として、前記上死点後クランク角度と前記上死点クランク角度との差分を前記上死点後時間で除算することにより前記上死点後角速度を算出し、さらに、前記上死点後算出手段が算出した最新の前記上死点後角速度と、前記上死点前算出手段が算出した最新の前記上死点前角速度との差分を前記上死点後時間で除算することにより前記上死点後角加速度を算出する
ことを特徴とする電子制御装置。 - 前記上死点検出手段は、
前記圧縮上死点より前において直近で入力した前記カム角信号を上死点前カム角信号とし、前記筒内圧信号が示す筒内圧の時間変化を示す波形において、前記上死点前カム角信号が入力したタイミングから初回の極大値を検出したときに、前記圧縮上死点を検出したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
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