以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものであり、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、一部の図面には、方向を説明するためにXYZ直交座標軸が適宜付されている。この座標軸におけるZ軸は、鉛直方向(+Z側が上側)を示し、XY平面は水平面である。
<1.基板処理装置の全体構成>
図1は実施形態に係る基板処理装置100の概略構成の一例を模式的に示す図である。図2は、基板処理装置100の上面図である。この基板処理装置100は、半導体ウェハ等の基板Wの上面(「表面」とも称する)S1のうち基板の周縁(「端縁」、「周端縁」とも称する)E1から定められた幅の処理領域(「表面周縁部」とも称する)S3に純水などの処理液51を供給して処理液51を用いて処理領域S3に定められた処理を行う。
処理液51としては、例えば、純水が用いられる。処理液51は、純水に限らず、炭酸水、イオン水、オゾン水、還元水(水素水)または磁気水などの機能水であってもよいし、アンモニア水またはアンモニア水と過酸化水素水との混合液などの薬液であってもよい。処理領域S3は、基板Wの上面S1のうち基板Wの周縁E1から、例えば、幅1.5〜3.0mmの環状の領域である。なお、上面S1と反対側の下面S2は、「裏面」とも称される。基板Wの表面形状は略円形であり、その直径は、例えば、300mmである。基板Wの上面S1のうち処理領域S3以外の非処理領域S4は、デバイスパターンが形成されるデバイス形成面を意味している。
基板処理装置100は、基板Wを略水平状態に吸着保持して矢印R1方向に回転させるスピンチャック(「基板回転機構」)5と、このスピンチャック5の下面に設けられ、スピンチャック5を支持しつつ回転可能な回転支軸6と、回転支軸6に連結されて回転支軸6を回転駆動することにより、スピンチャック5及び基板Wを、回転軸a1を軸として回転駆動するモータ7とを備える。
また、基板処理装置100は、処理液51を吐出可能な吐出部20と、吐出部20を移動させる移動部155と、吐出部20に処理液51を供給する処理液供給源131とを備えている。吐出部20は、スピンチャック5によって回転されている基板Wの処理領域S3に処理液51を吐出する。移動部155は、スピンチャック5に保持された基板Wの側方に、モータを備えて設けられている。吐出部20の上端には、処理液51を吐出部20に供給可能な剛性を有する筒状の配管アーム180が接続され、配管アーム180の他端側は、移動部155を貫通してその下面に達している。
移動部155は、モータによって移動部155を中心に配管アーム180を略水平面内で旋回させることによって、スピンチャック5に対する基板Wの受け渡し時等に吐出部20を搬入経路の外部の退避位置に退避させる。また、吐出部20が処理領域S3に処理液を吐出するときには、移動部155は、配管アーム180を旋回させることによって、吐出部20が処理領域S3上の定められた領域に処理液51を吐出可能な基板Wの上方の位置に吐出部20を位置決めする。また、移動部155は、配管アーム180を旋回させることによって、処理液51が吐出される領域が処理領域S3上で移動するように、処理液51を吐出している吐出部20を基板Wの上方で移動させる。吐出部20が処理液51を吐出しているときの位置決めや移動は、サーボ制御により正確に行われる。当該サーボ制御は、制御部161により制御される。従って、制御部161からの指令により吐出部20の位置を調整することが可能となる。
移動部155を貫通した配管アーム180の他端には、処理液供給源131から配設された配管381の一端が接続されている。配管381の他端は、処理液供給源131に接続され、途中部には、開閉バルブ171が設けられている。処理液供給源131は、貯留している処理液51をポンプなどにより配管381および配管アーム180を介して吐出部20に供給する。開閉バルブ171の開閉動作は、制御部161により制御される。
また、基板処理装置100は、基板Wの処理領域S3を洗浄する洗浄部10と、基板Wの上面S1に気体52を噴射する気体噴射部30と、貯留している気体52をポンプ等によって気体噴射部30に供給する気体供給源132と、気体噴射部30と気体供給源132とを連通接続する配管382とを備えている。配管382の途中には制御部161により開閉制御される開閉バルブ172が設けられている。なお、処理液供給源131および気体供給源132は、基板処理装置100の外部に設けられてもよい。
洗浄部10は、スピンチャック5によって回転されている基板Wの処理領域S3に当接して基板Wの処理領域S3に付着するパーティクルや処理液等の付着物(「汚染物質」)を掻き取って除去することで処理領域S3を洗浄する。洗浄部10は、回転(自転)可能に構成され、可撓性を有している。洗浄部10は、例えば、円柱状のブラシあるいは多孔質性部材、例えば、スポンジ等の部材にて形成されている。洗浄部10は、その軸方向が基板Wの回転軸a1と平行になるように基板Wの処理領域S3に当接する。洗浄部10は、不図示の回転機構により回転されて洗浄部10の軸回りに回転(自転)する。また、洗浄部10は、不図示の移動機構により基板Wの処理領域S3に当接する当接位置と、処理領域S3から離間した離間位置とのそれぞれに位置決めされる。なお、洗浄部10は、基板Wの周縁E1に食い込んだ状態で基板Wに当接するが、理解容易のために図1〜図3では簡略化して表示されている。また、洗浄部10は、吐出部20が処理液51を処理領域S3に吐出している状態で処理領域S3を洗浄することも、処理液51が吐出されていない状態で、処理領域S3を洗浄することもできる。
図6は、気体噴射部30の概略構成の一例を模式的に示す側面図である。図1、図2、図6に示されるように、気体噴射部30は、基板Wの上面S1のうち洗浄部10と基板Wの回転軸a1との間の部分の上方に設けられている。気体噴射部30は、直方体状の本体と、本体のうち洗浄部10に対向する側面36に設けられた噴射口31と、噴射口31と配管382とを連通する流路32とを備えている。基板Wの上面S1に対する気体噴射部30の下端の高さh2は、例えば、25mmなどに設定される。気体噴射部30の形状は、直方体に限定されず、種々の形状が採用される。
気体噴射部30は、噴射口31部分における流路32の軸方向に沿って基板Wの上面S1に予め規定された噴射目標領域201に向けて基板Wの上方から気体52を噴射することにより、噴射目標領域201から洗浄部10側に向かう気体52の流れ(すなわち、気体流)を基板W上に生成させる。気体52の噴射方向が基板Wの上面S1となす角度θ3は、例えば、45°などに設定される。
基板処理装置100は、噴射目標領域201から洗浄部10側に向かう気体52の流れによって、洗浄部10によって掻き取られた汚染物質や、洗浄部10の自転等により発生する処理液51のミストなどが非処理領域S4に飛散して、非処理領域S4に付着することを抑制できる。気体噴射部30は、気体52として、例えば、窒素ガスなどを噴射する。窒素ガスの他に、例えば、乾燥空気などの乾燥気体、あるいは窒素ガス以外の不活性ガスが噴射されてもよい。
また、図1に示されるように、基板処理装置100は、基板処理装置100が備える各構成要素と電気的に接続され、これら各要素を制御する制御部161を備えている。制御部161は、具体的には、例えば、各種演算処理を行うCPU、プログラム等を記憶するROM、演算処理の作業領域となるRAM、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク、LAN等を介したデータ通信機能を有するデータ通信部等がバスなどにより互いに接続されたコンピュータなどにより構成される。また、制御部161は、各種表示を行うディスプレイ、キーボードおよびマウスなどで構成される入力部等と接続されている。基板処理装置100においては、制御部161の制御下で、基板Wに対して定められた処理が実行される。
基板処理装置100は、洗浄部10による洗浄を伴わないリンス処理や、処理液51としてエッチング液を用いたエッチング処理などを行ってもよい。この場合には、基板処理装置100が洗浄部10と気体噴射部30を備えていなくてもよい。
<2.吐出部が処理液を吐出する領域>
図3は、吐出部20が処理領域S3に処理液51を吐出する領域を説明するための上面図である。図3に示されるように、吐出部20は、処理領域S3の回転軌跡のうち洗浄部10に対して基板Wの回転方向下流側の半環状の領域M1(後述)内の、予め規定されている第2領域(「主吐出領域」)72に向けて処理液51を吐出する。従って、例えば、洗浄部10に対して基板Wの回転方向上流側に処理液51が吐出される場合に比べて、処理領域S3のうち洗浄部10によって処理液51が除かれて乾燥状態となる範囲が小さくなる。従って、上面S1の処理領域S3をより確実に洗浄できる。なお、半環状の領域M1は、処理領域S3の回転軌跡のうち洗浄部10と基板Wの回転軸a1とを通る平面J1によって区分される2つの半環状の領域のうち洗浄部に対して基板の回転方向下流側の領域である。
また、第2領域72が処理領域S3の回転軌跡において洗浄部10に近いほど処理領域S3のうち処理液51が洗浄部10によって除去されて乾燥する領域が減少する。従って、第2領域72は、洗浄部10に対して基板Wの回転方向下流側で洗浄部10に近いほどより好ましい。ただし、処理液51が洗浄部10に直接吐出されると、処理液51が洗浄部10の外周面で液跳ねし、非処理領域S4が汚染される虞があるため、第2領域72は、洗浄部10が基板Wに当接する領域とは異なる領域に予め規定される。
<3.吐出部の吐出方向>
図4および図5は、吐出部20が処理液51を吐出する際の吐出方向V1を説明するための上面図および側面図である。処理液51は、吐出部20の吐出口21から吐出される。吐出部20の内部には、吐出口21と、吐出部20の上部に接続された配管アーム180とを連通する流路22(図12参照)が設けられており、処理液51は、流路22のうち吐出口21部分の軸(中心軸)23方向に沿った吐出方向V1に沿って吐出される。
図4に示されるように、好ましくは、吐出方向V1は、吐出部20の上方から基板Wの回転軸a1方向に見て、基板Wの周縁E1のうち第2領域72と近接する部分における接線91に沿って基板Wの回転方向下流側に向かう成分V2と、接線91と直交する方向に沿って基板Wの中心側(回転軸a1側)から周縁E1側に向かう成分V3とを有する斜め方向である。従って、処理領域S3に吐出された処理液51が、液跳ねしたり、非処理領域S4まで拡がることにより非処理領域S4に付着することを抑制できる。吐出方向V1が接線91となす角度θ1は、好ましくは、例えば、30°に設定される。なお、角度θ1は、0°よりも大きく、かつ、90°以下の範囲であれば、30°以外の角度でもよい。角度θ1は、90°よりも少し大きくてもよい。
また、図5に示されるように、基板Wの側方から吐出部20を見たときに、吐出方向V1が上面S1となす角度θ2は、好ましくは、例えば、30°に設定される。角度θ2は、0°よりも大きく、かつ、90°以下の角度であれば30°以外の角度に設定されてもよい。また、角度θ2は、90°よりも少し大きくてもよい。
基板Wの上面S1に対する吐出部20の吐出口21の高さh1は、例えば、1mm〜3mmに設定され、好ましくは、例えば、2mmに設定される。処理液51の流量は、例えば、10〜30ml/min.に設定され、好ましくは、例えば、20ml/min.に設定される。なお、基板Wの回転数は、例えば、300〜800rpmに設定され、好ましくは、例えば、500rpmに設定される。
<4.気体噴射部の吐出口の構成例>
図7〜図10は、気体噴射部30の噴射口31の一例として噴射口31a、31c、複数の噴射口31b、31dをそれぞれ示す上面図である。なお、図7〜図10に示されている噴射口31a〜31dは、気体噴射部30の上方から基板Wの回転軸a1方向に噴射口31a〜31dを透視したときの透視像である。
図7に示されるように、気体噴射部30の噴射口31aはスリット状であり、上方から基板Wの回転軸a1方向(Z方向)に透視したときに、基板Wの周縁E1のうち洗浄部10に当接する部分を含む洗浄部10との近接部分(例えば、破線111で囲まれた部分)に沿って湾曲し、基板Wの周方向に長い形状をなしている。これにより、噴射口31aの透視像が接線92に沿って並ぶ場合に比べて、スリット状の噴射口31aの各部と当該近接部分との各距離L3を、相互に略等しくできる。従って、当該近接部分における気体52の流量の当該接線92に沿った分布をより均一化できる、すなわち、当該近接部分に対して均一に気体52を供給することができるので、ミスト等が当該近接部分から飛散して基板Wの上面S1の非処理領域S4に付着することを抑制できる。
図8に示されるように、気体噴射部30の複数の噴射口31bは、気体噴射部30の上方から基板Wの回転軸a1方向に透視したときに、基板Wの周縁E1のうち洗浄部10に当接する部分を含む洗浄部10との近接部分(例えば、破線111で囲まれた部分)に沿って湾曲する仮想線K1上に互いに離間して並んでいる。これにより、複数の噴射口31bの各透視像が基板Wの周縁E1のうち洗浄部10に当接する部分の接線92方向に並ぶ場合に比べて、複数の噴射口31bと当該近接部分との各距離L3を、相互に略等しくできる。従って、当該近接部分における気体52の流量の接線92に沿った分布をより均一化できる、すなわち、当該近接部分に対して均一に気体52を供給することができるので、ミスト等が当該近接部分から飛散して上面S1の非処理領域S4に付着することを抑制できる。
図9に示されるように、気体噴射部30の噴射口31cは、スリット状であり、気体噴射部30の上方から回転軸a1方向に透視したときに、洗浄部10の外周面のうち基板Wの周縁E1との対向部分(例えば、破線112で囲まれた部分)に沿って湾曲し、洗浄部10の周方向に長い形状をなしている。これにより、噴射口31cの透視像が、基板Wの周縁E1のうち洗浄部10に当接する部分の接線92方向に長い場合に比べて、スリット状の噴射口31cの各部と洗浄部10の外周面における当該対向部分との各距離L5を、相互に略等しくできる。従って、洗浄部10の周囲から、洗浄部10と基板Wとの接触位置に対して均一に気体52を供給することができるので、洗浄部10からミスト等が飛散して上面S1の非処理領域S4に付着することを抑制できる。
図10に示されるように、気体噴射部30の複数の噴射口31dは、気体噴射部30の上方から回転軸a1方向に透視したときに、洗浄部10の外周面のうち基板Wの周縁E1との対向部分(例えば、破線112で囲まれた部分)に沿って湾曲する仮想線K2上に互いに離間して並んでいる。これにより、複数の噴射口31dの各透視像が周縁E1のうち洗浄部10に当接する部分の接線92方向に並ぶ場合に比べて、複数の噴射口31dと当該対向部分との各距離L5を、相互に略等しくできる。従って、洗浄部10の周囲から、洗浄部10と基板Wとの接触位置に対して均一に気体52を供給することができるので、洗浄部10から発生するミスト等が上面S1の非処理領域S4に飛散することを抑制できる。
複数の噴射口31b、31dの穴径(直径)は、好ましくは、0.5mm〜1.0mmに設定される。噴射口31b、31dの個数は5〜10に設定される。複数の噴射口31b、31dの形状は、円形に限られず、例えば、四角形などの円形以外の形状が採用されてもよい。噴射口31a、31cの、幅は、好ましくは、0.5mm〜1.0mmに設定され、接線92に沿った噴射口31a、31cの長さL2、L4は、好ましくは、40mm程度に設定される。
図11は、気体噴射部30の噴射口の構成と、基板Wの全周にわたる非処理領域S4に付着しているパーティクルの増加数との関係の一例を棒グラフ形式で示す図である。具体的には、図11に示されるグラフの横軸には、3種類の噴射口の形態が示されている。縦軸には、横軸にそれぞれ示された噴射口のそれぞれに対して、気体噴射部30が気体52を噴射しつつ洗浄部10が処理領域S3を洗浄する処理を行った後に、基板Wの全周にわたる非処理領域S4に付着しているパーティクルの増加数が示されている。パーティクルは、40nm以上の径を有するものが計数されている。
横軸に示された3種類の噴射口のうち左端のものは、比較技術に係る噴射口であり、より具体的には、基板Wの上面S1に対して鉛直方向に真っ直ぐに延設されたパイプ状のノズルの下端における円状の噴射口である。横軸の真ん中および右端の噴射口は、上述した複数の噴射口31dおよび噴射口31aである。複数の噴射口31dおよび噴射口31aは、角度θ3が45°、比較技術に係る噴射口は角度θ3が90°に設定され、何れの吐出口も上面S1からの高さh3が25mmに設定されている。比較技術に係る噴射口、複数の噴射口31d、噴射口31aから噴射される気体52の流量(複数の噴射口31dについては、各噴射口31dから噴射される気体52の合計流量)は、それぞれ、100NL/min.、170NL/min.、190NL/min.である。
図11に示されるように、比較技術に係る噴射口、複数の噴射口31d、噴射口31aに対するパーティクルの増加数はそれぞれ、6136個、8〜10個、4〜5個であった。このように、実施形態に係る気体噴射部30の噴射口31として、噴射口31a、複数の噴射口31dの何れが採用されたとしても、比較技術に係る吐出口に比べて、格段にパーティクルの増加数が減少している。
また、噴射口31a、複数の噴射口31dとの比較では、噴射口31aの方が、複数の噴射口31dの半分程度にパーティクルの増加数が改善されている。また、図示省略の噴射口30cについての測定結果は、複数の噴射口31dと略同数であるか、あるいは複数の噴射口31dよりも僅かに少なくなって改善されている。これは、噴射口31cは、スリット状の噴射口であるために、離散的に設けられた噴射口31dに比べて、気体52の流れがより均一化されるためである。また、図示省略の噴射口31bについての測定結果は、噴射口31aと略同数であるか、あるいは噴射口31aよりも僅かにパーティクル増加数が増加している。これは、複数の噴射口31bの方が噴射口31aよりも気体52の流れの均一性が僅かに悪化しているためである。従って、気体噴射部30の噴射口31としては、好ましくは、複数の噴射口31dが採用され、より好ましくは、噴射口31cが採用され、さらにより好ましくは、複数の噴射口31bが採用され、さらにより好ましくは、噴射口31aが採用される。
図6に示す気体噴射部30の噴射目標領域201(気体噴射部30が複数の噴射口を備える場合は、各噴射口に対応した各噴射目標領域201の列)は、基板Wの処理領域S3のうち洗浄部10が当接する部分に対向するように基板Wの上面S1に規定される。噴射目標領域201は、処理領域S3の回転軌跡の内周縁E2(図2)を含んでもよいし、当該内周縁E2よりも基板Wの中心側(回転軸a1側)に規定されてもよいし、内周縁E2よりも周縁(外周縁)E1側に規定されてもよい。なお、噴射目標領域201は、好ましくは、処理領域S3の回転軌跡の内周縁E2を含んで規定され、より好ましくは、内周縁E2よりも基板Wの中心側において、処理領域S3の回転軌跡の近傍に規定される。
気体52の気体流(複数噴射口の場合は、各気体流の全体)を上方から基板Wの回転軸a1方向に見たときに、気体流の中に、洗浄部10の全体が含まれることが好ましい。洗浄部10全体が気体流に含まれれば、当接部分からのミスト等だけでなく、洗浄部10の自転により洗浄部10自体から発生するミスト等の非処理領域への飛散をより抑制できる。気体流(複数噴射口の場合は、各気体流の全体)が、洗浄部10の中心軸(回転軸)と、基板Wの回転軸a1とを含む平面に対して対称な平行流である場合には、気体流中に洗浄部10の全体が含まれる条件は、噴射口31の接線92方向の幅(噴射口31a、複数の噴射口31bの場合は、幅L2であり、噴射口31c、複数の噴射口31dの場合は、幅L4)が洗浄部10の径L1よりも長い場合に相当する。
気体52の気体流が平行流である場合には、気体流が基板W上で洗浄部10に向かって扇形に広がる場合に比べて、気体流の流速の低下を抑制できるので、より好ましい。なお、気体流が、平行流でないとしても、ミスト等の非処理領域への飛散を抑制できるとともに、気体噴射部30を洗浄部10側に近づけることにより気体流の拡がりを抑制できるので、本発明の有用性を損なうものではない。例えば、気体流が、洗浄部10の回転軸に向かう気流でもよい。
<5.吐出動作における吐出部の位置の変動>
図12は、吐出部20の概略構成の一例を示す側面図である。図12に示されるように、吐出部20は、処理液51を吐出する吐出口21と、吐出口21と配管アーム180とに連通して吐出口21に処理液51を供給する流路22とを備えている。吐出口21の径φは、例えば、0.3mmなどに設定される。吐出口21部分における流路22の断面は、吐出口21部分における流路22の軸(「中心軸」)23方向に沿って処理領域S3の回転軌跡における領域79に投影される。
処理液51は、軸23方向に沿って吐出口21から吐出されるため、吐出口21部分における流路22の断面形状が略一定である場合には、吐出口21から吐出された処理液51は、流路22の断面と略同じ断面を有する液柱形状を有して領域79に向けて吐出される。この場合、吐出口21の内径φと、吐出された処理液51の液柱の断面の径とは、略同じ長さになる。吐出口21から吐出された処理液51が吐出口21から離れるにつれて処理液51の液柱の断面が広がることを抑制するために、流路22のうち吐出口21の近傍部分の断面形状は一定であることが好ましい。吐出口21部分における流路22の断面形状は、例えば、四角形など円以外であってもよい。
図13は、吐出部20が処理液51を吐出する基板W上の各領域(吐出を開始する第1領域71、吐出を続行する第2領域72、吐出を停止する第3領域73)を説明するための図である。また、図14は、吐出部20の吐出動作における吐出部20の位置および処理液51が基板W上に吐出される領域の変化の一例を時系列に沿って示す図である。
制御部161は、吐出部20が基板Wの上方の第1位置(「吐出開始位置」)61に位置決めされている状態で、吐出部20が処理液51の吐出を開始して処理液51を吐出しつつ第1位置61よりも基板Wの回転軸a1に近い第2位置(「主吐出位置」)62に移動し、第2位置62において処理液51の吐出を続行するように、吐出部20と移動部155とを制御する。さらに、制御部161は、第2位置62において処理液51を吐出している吐出部20が、処理液51を吐出しつつ第2位置62よりも基板Wの回転軸a1から遠い第3位置(「吐出停止位置」)63に移動し、第3位置63において処理液51の吐出を停止するように、吐出部20と移動部155とを制御する。制御部161は、開閉バルブ171の開閉を制御することによって吐出部20の吐出動作を制御し、移動部155が内蔵するモータの回転動作を制御することにより移動部155を制御して吐出部20を移動させる。
図13、図14に示されるように、第1領域71は、第1位置61に位置決めされた吐出部20の吐出口21部分における流路22の断面が、吐出口21部分における流路22の軸23方向に沿って処理領域S3の回転軌跡に投影される領域である。第1位置61に位置決めされた吐出部20が吐出する処理液51は、第1領域71に向けて吐出される。
同様に、第2領域72は、第2位置62に位置決めされた吐出部20の吐出口21部分における流路22の断面が、吐出口21部分における流路22の軸23方向に沿って処理領域S3の回転軌跡に投影される領域である。第2位置62に位置決めされた吐出部20が吐出する処理液51は、第2領域72に向けて吐出される。
同様に、第3領域73は、第3位置63に位置決めされた吐出部20の吐出口21部分における流路22の断面が、吐出口21部分における流路22の軸23方向に沿って処理領域S3の回転軌跡に投影される領域である。第3位置63に位置決めされた吐出部20が吐出する処理液51は、第3領域73に吐出される。また、第1領域71および第3領域73は、第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。
図13においては、吐出口21部分における流路22の断面形状が円形であり、角度θ2(図5、図12)が90度である。当該断面形状が円形であり、角度θ2が90°で無い場合には、第1領域71(第3領域73)、第2領域72の形状は、楕円形になり、角度θ1に応じて長軸、短軸の方向が変動する。また、当該断面形状が円以外であれば、第1領域71、第2領域72、第3領域73の形状は、当該断面形状と角度θ1、θ2に応じた種々の形状となる。
上述したように、吐出部20は、制御部161に制御された移動部155による配管アーム180の旋回によって、第1位置61(第3位置63)、第2位置62に位置決めされるとともに、第1位置61(第3位置63)から第2位置62へ、また、第2位置62から第3位置63(第1位置61)へ移動される。例えば、処理領域S3の幅が2mmであれは、第1位置61(第3位置63)から第2位置62までの移動距離は、吐出部20を移動させる配管アーム180の長さに対して著しく短くなる。これにより、図1にしめされるように、移動部155が配管アーム180を旋回させることで吐出部20を第1位置61(第3位置63)から第2位置62まで移動させる場合には、吐出部20は、略直線に沿って移動され、角度θ1、θ2は、一定に保たれる。
基板Wのサイズ、吐出口21の口径φ、第1位置61、第2位置62、第3位置63、および処理領域S3の幅L13などは、予め設定されて、制御部161のメモリなどに記憶されている。第1位置61と第3位置63とは、同じであってもよいし、異なってもよい。すなわち、第1領域71と第3領域73とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第2位置62は、第2位置62において安定した液柱形状で処理液51の吐出動作を続行中の吐出部20から処理領域S3に吐出される処理液51が、非処理領域S4に侵入せず、かつ、処理液51を用いて処理領域S3に目的の処理を行うことが出来るように、予め実験等によって定められている。換言すれば、第2領域72は、吐出部20が第2領域72に向けて処理液51の吐出動作を安定した液柱形状で続行しているときに、吐出された処理液51が、非処理領域S4に付着しない領域であり、予め実験等によって定められている。具体的には、処理領域S3の内周縁E2から第2領域72の中心82までの距離は、例えば、図13に示されるように、吐出口21の径φの長さ以上に設定される。これにより、第2位置62において吐出部20が処理液51を吐出する際に、処理液51が処理領域S3よりも基板Wの回転軸a1側、すなわち非処理領域S4に侵入することをより確実に抑制できる。
また、処理液51の吐出を停止するときには、吐出部20の流路22内部の処理液51を処理液供給源131側にサックバックすることなどによって吐出部20から吐出される処理液51の量を低減して、処理液51の液跳ねを抑制することが出来る。従って、吐出部20が第2位置62において処理液51の吐出を続行している状態において、吐出部20が基板Wの周縁E1側に移動することなく処理液51の吐出を停止するとしても本発明の有用性を損なうものではない。
上述した制御部161による吐出部20と移動部155との制御によって、吐出部20は、図14に示されるように、第1位置61に位置決めされた状態で第1領域71に向けて処理液51の吐出を開始する。次に、吐出部20は、処理液51を吐出しつつ、矢印Y1に沿って第2位置62に移動され、第2位置62において第2領域72に向けて処理液51の吐出を続行する。次に、吐出部20は、処理液51を吐出しつつ、矢印Y2に沿って第3位置63に移動される。吐出部20が第3位置63に移動された時点では、吐出部20は、第3領域73に向けて処理液51を吐出している。第3位置63への移動が完了すると、吐出部20は処理液51の吐出を停止する。なお、基板処理装置100が、下面S2に処理液を吐出可能な他の吐出部をさらに備え、吐出部20が処理領域S3に処理液を吐出するとともに、当該他の吐出部が下面S2に処理液を吐出してもよい。この場合において、処理領域S3への処理液の吐出と、下面S2への処理液の吐出とは、並行して行われてもよいし、順次に行われてもよい。
上述したように、処理液51は、第1位置61の吐出部20からは、処理領域S3の回転軌跡における第1領域71へ向けて吐出され、第2位置62の吐出部20からは、当該回転軌跡の第2領域72へ向けて吐出される。吐出開始時には、吐出が続行されている場合に比べて、吐出された処理液51の液柱形状が不安定である。このため、第1領域71に向けて吐出された処理液51が第1領域71の周囲にも吐出される場合があるが、第1領域71は第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。また、第2位置62への移動中および第2位置62における吐出動作中において、吐出部20は吐出動作を続行しているため、処理液51は吐出開始時に比べて安定した液柱形状で吐出される。従って、基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは、処理領域S3での拡がりによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。また、処理液51は吐出部20によって基板Wに吐出されるので、スポンジ等から染み出させた処理液を基板Wに供給する場合に比べて大量の処理液を供給できる。これにより、処理領域S3をより確実に処理することもできる。
また、吐出部20が、第2位置62で吐出動作を続行している状態と、第2位置62から第3位置63へ移動している状態の何れにおいても、処理液51は吐出され続けるので、処理液51の液柱形状が不安定になることが抑制される。また、処理液51が、第3位置63の吐出部20から第3領域73に向けて吐出されている状態で吐出を停止されるときに、液柱形状が不安定になり、処理液51が第3領域73の周囲にも吐出される場合があるが、第3領域73は、第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。従って、基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは、拡がりによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。
図15は、吐出部20が図14に示された順序で処理液51の吐出処理を行った後の基板Wの全周にわたる処理液51による基板Wの濡れ幅の分布をグラフ形式で示す図である。濡れ幅の分布は、第1領域71の位置(すなわち、基板Wの周縁E1から第1領域71の中心81までの距離L11)を種々に変更して測定されている。図15の例では、吐出開始時の第1領域71と、吐出終了時の第3領域73とは、同じ領域である。すなわち、吐出部20の第1位置61と第3位置63とは同じ位置であり、距離L11は、基板Wの周縁E1から第3領域73の中心83までの距離でもある。
横軸の各距離L11に対して示された各縦棒の下端は、基板Wの全周にわたって測定された濡れ幅の最小値を示し、上端は、濡れ幅の最大値を示している。また、菱印は、基板Wの全周にわたる濡れ幅の平均値を示している。処理領域S3の幅L13(図13参照)は、2mmに設定されており、第2領域72の中心82の位置は、基板Wの周縁E1から1.7mmの位置である。図15の横軸の左端に記載された「ウェハ外」は、第1領域71(第3領域73)が周縁E1を含んでいる状態に対応している。横軸の右端に記載された「1.7mm」は、第1領域71(第3領域73)が第2領域72と一致している状態、すなわち、第2位置62において処理液51の吐出が開始され、そのまま第2位置62において吐出が継続された後、第2位置62において吐出が終了された状態に対応している。
図16は、図15の横軸に示された第1領域71(第3領域73)の各位置(基板Wの周縁E1から各領域の中心までの各距離L11)に対して、基板Wの全周にわたる非処理領域S4に付着したパーティクルの増加数の分布の一例をグラフ形式で示す図である。パーティクルは、40nm以上の径を有するものが計数されている。また、菱印は、基板Wの全周にわたるパーティクルの増加数の平均値を示している。
図15に示されるように、横軸に示された距離L11が「1.7mm」(第2位置62において処理液51の吐出の開始および停止が行われた場合)である場合には、基板Wの全周のうち一部において、濡れ幅が処理領域S3の幅L13を越えて濡れ領域が非処理領域S4に入り込んでおり、入り込み量と、濡れ幅の均一性との両方に於いて、各距離L11に対する濡れ領域の状態の中で最も悪い状態となっている。また、図16に示されるように、横軸に示された距離L11が「1.7mm」(第2位置62において処理液51の吐出の開始および停止が行われた場合)である場合には、パーティクルも各距離L11に対する測定結果の中で最も増加している。
また、図15に示されるように、横軸に示された距離L11が「0mm」(第1領域71、第3領域73の一部がウェハ外にある場合)である場合には、基板Wの全周のうち一部において、濡れ領域が処理領域S3の内周縁E2にぎりぎり達している。また、距離L11が0.15mm〜1.55mmである場合に比べて、濡れ幅の分布幅が大きくなっている。すなわち、濡れ幅の均一性が悪くなっている。また、パーティクルも、距離L11が1.7mmである場合に次いで増加している(図16参照)。
図15に示されるように、距離L11が0.15mm〜1.55mmである場合には、濡れ幅の均一性が向上し、さらに、濡れ幅が基板Wの全周にわたって処理領域S3に収まっている。また図16に示されるように、距離L11が0.15mm〜1.55mmである場合には、パーティクルの増加数も、比較的小さい値に収まっている。
ここで、図15、図16において距離L11が0.15mmである場合とは、距離L11が、0.5φ、すなわち第1領域71(第3領域73)が図13の破線で囲まれた領域である場合である。図15、図16の測定結果から、距離L11が吐出口21の径φの半分以上の長さであれば、第1領域71に向けて吐出開始された不安定な液柱形状の処理液51が基板Wの周縁E1にも吐出されることが抑制されると考えられる。従って、周縁E1での液跳ねによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。
また、第3領域73の中心83から基板Wの周縁E1までの距離L11が、吐出口21の径φの半分以上の長さであれば、第3領域73に向けて吐出を続行されている処理液51が、吐出を停止される過程で、その液柱形状が不安定になるとしても、周縁E1への処理液51の吐出が抑制されると考えられる。従って、処理液51の周縁E1での液跳ねによる非処理領域S4への付着を抑制できる。
また、図15、図16の横軸において、距離L11が1.55mmである場合は、第1領域71の中心81から第2領域72の中心82までの距離L12が、吐出口21の径φの半分の長さである場合、すなわち、第1領域71が図13の一点鎖線で囲まれた領域である場合である。吐出開始時の処理液51の液柱形状は不安定であるため、距離L12、すなわち、処理液51の吐出開始位置(第1位置61)から吐出続行位置(第2位置62)まで吐出部20が移動する際の移動量が短い場合には、吐出された処理液51が非処理領域S4にまで侵入する虞がある。このため、距離L12として、ある程度の長さが必要となる。具体的には、図15、図16の測定結果から、距離L12が、例えば、吐出口21の径φの半分以上の長さであれば、第1領域71に向けて吐出開始された不安定な液柱形状の処理液51が、非処理領域S4に侵入することが抑制されると考えられる。すなわち、距離L12が、例えば、吐出口21の径φの半分以上の長さに設定されれば、第1領域71に向けて吐出開始された処理液51による基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは拡がりによる処理液51の非処理領域S4への付着を、処理液51が第2領域72に向けて安定した液柱形状で吐出され続けている状態と比べて、同等以上に抑制できる。ここで、第2領域72は、第2領域72に向けて安定した液柱形状で処理液51の吐出が続行されたとしても非処理領域S4への処理液51の付着が抑制されるように設定されている。
<6.基板処理装置の動作>
図17、図18は、基板処理装置100の洗浄動作の一例をそれぞれ示すタイムチャートである。図17は、ブラシ洗浄中(洗浄部10による洗浄中)に処理液の吐出が行われる場合のタイムチャートであり、図18は、ブラシ洗浄中に処理液の吐出が行われない場合のタイムチャートである。ブラシ洗浄中の処理液の吐出は、ブラシを処理液によって濡らすことを主な目的として行われる。図18に示されるようにブラシ洗浄中に処理液の吐出が行われ無くてもよい。図19は、基板処理装置100の処理液吐出動作の一例を示すフローチャートである。図20は、基板処理装置100の洗浄動作の一例を示すフローチャートである。
基板処理装置100は、洗浄部10(ブラシ)による洗浄に先立って、吐出部20から処理液(洗浄液)51を基板Wの処理領域S3に吐出する前リンス処理を行う(図20のステップS10)。
ここで、ステップS10の開始に先立って、洗浄部10の位置は、スピンチャック5への基板Wの受渡しを妨げない離間位置に位置決めされている。また、吐出部20もスピンチャック5への基板Wの受渡しを妨げない退避位置に位置決めされており、吐出部20は処理液を吐出していない(図17、図18参照)。
この状態でステップS10の前リンス処理が開始されると、先ず、吐出部20が移動部155によって第1位置61(吐出開始位置)に位置決めされる。吐出部20は、第1位置61で処理液51の吐出を開始し(図17、図18、図19のステップS110)、吐出を行いつつ移動部155によって第2位置62(主吐出位置)まで移動される(図17、図18、図19のステップS120)。次に、吐出部20は、第2位置において処理液51の吐出を続行し(図19のステップS130)、前リンス処理を行う。その後、処理液51の吐出を行いつつ第3位置63(吐出停止位置)まで移動部155によって移動されることにより、前リンス処理を終了する(図17、図18、図19のステップS140)。なお、第1位置61と第3位置63とは互いに等しい位置である。第1位置61と第3位置63とが互いに異なる位置であってもよい。吐出部20は、第3位置63に配置された後、(図17、図18)、第3位置63において処理液51の吐出を停止する(図17、図18、図19のステップS150)。
前リンス処理が終了すると、洗浄部10(ブラシ)によるブラシ洗浄処理が行われる(図20のステップS20)。ステップS20において、洗浄部10が、離間位置から基板Wの処理領域S3に当接する当接位置に移動される。ブラシ洗浄時に処理液51を吐出する場合には、吐出部20は、第1位置61(第3位置63)において処理液51を吐出する(図17)。なお、ブラシ洗浄時に、吐出部20が、第1位置61において処理液51の吐出を開始した後、処理液51を吐出しつつ第2位置62に移動し、第2位置62において処理液51の吐出を続行してもよい。処理液51の吐出を伴わないブラシ洗浄処理を行う場合には、吐出部20は、処理液51を吐出しない(図18)。ブラシ洗浄処理が終了すると、洗浄部10は、当接位置から離間位置に移動され、吐出部20が処理液51を吐出していた場合には、吐出部20は吐出を停止する(図17)。これにより、ブラシ洗浄処理が終了する。ブラシ洗浄時に吐出部20が処理液51の吐出を行いつつ第2位置62に移動して処理液51の吐出を続行する場合においては、吐出部20は、ブラシ洗浄処理の終了の際に、処理液51を吐出しつつ第2位置62から第3位置63に移動した後に、処理液51の吐出を終了する。
ブラシ洗浄処理が終了すると、基板処理装置100は、ブラシ洗浄後のリンス処理である後リンス処理を行う(図20のステップS30)。後リンス処理においては、前リンス処理と同様に、図19のステップS110〜S150の処理が行われる。これにより、後リンス処理が終了する。
後リンス処理が終了すると、吐出部20は、移動部155によって、退避位置に退避される(図17、図18)。これにより、基板処理装置100の洗浄動作が終了する。なお、上記の各処理において、洗浄部10、吐出部20、移動部155の動作は、制御部161によって制御される。
以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、吐出部20は、第1位置61で処理液51の吐出を開始して、吐出を行いつつ第1位置61よりも回転軸a1に近い第2位置62へ移動されて第2位置62で吐出を続行する。処理液51は、吐出部20の吐出口21部分における流路22の軸23方向に沿って吐出口21から吐出されるため、第1位置61の吐出部20からは、処理領域S3の回転軌跡における第1領域71へ向けて吐出され、第2位置62の吐出部20からは、当該回転軌跡の第2領域72へ向けて吐出される。吐出開始時には、吐出を続行されている場合に比べて、吐出された処理液51の液柱形状が不安定であるため、第1領域71に向けて吐出された処理液51が第1領域71の周囲にも吐出される場合があるが、第1領域71は第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。また、第2位置62への移動中および第2位置62における吐出動作中において、吐出部20は吐出動作を続行するため、処理液51は吐出開始時に比べて安定した液柱形状で吐出される。従って、基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは、処理領域S3での拡がりによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。また、処理液51は吐出部20によって基板Wに吐出されるので、スポンジ等から染み出させた処理液を基板Wに供給する場合に比べて大量の処理液を供給できる。従って、本発明によれば、処理領域S3をより確実に処理することもできる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板Wの周縁E1から第1領域71の中心81までの距離L11が、吐出口21の径φの半分以上の長さであるので、第1領域71に向けて吐出開始された不安定な液柱形状の処理液51が基板Wの周縁E1にも吐出されることが抑制される。従って、周縁E1での液跳ねによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、第1領域71の中心81から第2領域72の中心82までの距離L12が、吐出口21の径φの半分以上の長さである。従って、第1領域71に向けて吐出開始された不安定な液柱形状の処理液51が、第2領域72よりも基板Wの回転軸a1側に吐出されることが抑制される。従って、第1領域71に向けて吐出開始された処理液51による基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは拡がりによる処理液51の非処理領域S4への付着を、処理液51が第2領域72に向けて吐出され続けている場合と比べて、同等以上に抑制できる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、第2位置62において処理液51を吐出している吐出部20が、処理液51を吐出しつつ第2位置62よりも基板の周縁E1側の第3位置63に移動する。吐出部20が第3位置63に移動したときには、処理液51は、流路22の軸23方向に沿って処理領域S3の回転軌跡における第3領域73に向けて吐出されている。その後、吐出部20は、第3位置63において処理液51の吐出を停止する。吐出部20が、第2位置62で吐出動作を続行している状態と、第2位置62から第3位置63へ移動している状態の何れにおいても、処理液51は吐出され続けるので、処理液51の液柱形状が不安定になることが抑制される。また、処理液51が、第3領域73に向けて吐出されている状態で吐出を停止されると、液柱形状が不安定になり、処理液51が第3領域73の周囲にも吐出される場合があるが、第3領域73は、第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。従って、基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは、拡がりによる非処理領域S4への処理液51の付着を抑制できる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板Wの周縁E1から第3領域73の中心までの距離が、吐出口21の径φの半分以上の長さである。これにより、第3領域73に向けて吐出を続行されている処理液51が、吐出を停止されて、その液柱形状が不安定になるとしても、周縁E1への処理液51の吐出を抑制できる。従って、第3領域73に向けて吐出を続行されている処理液51、および吐出を停止された処理液51の周縁E1での液跳ねによる非処理領域S4への付着を抑制できる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理装置によれば、スピンチャック5によって回転されている基板Wの処理領域S3に当接して処理領域S3を洗浄する洗浄部10をさらに備える。従って、洗浄部10によって処理領域S3の汚染物質を掻き取って処理領域S3を洗浄できる。
また、以上のような本実施形態に係る基板処理方法によれば、回転している基板Wの処理領域S3の回転軌跡における第1領域71に向けて、第1位置61の吐出部20に処理液51の吐出を開始させ、引き続いて、吐出部20に処理液51の吐出を続行させつつ、回転軌跡における第2領域72に向けて処理液51を吐出可能な第2位置62に吐出部20を移動させる。さらに、引き続いて、第2位置62において、吐出部20に、第2領域72に向けた処理液51の吐出を続行させる。吐出開始時には、吐出を続行されている場合に比べて、吐出された処理液51の液柱形状が不安定であるため、第1領域71に向けて吐出された処理液51が第1領域71の周囲にも吐出される場合があるが、第1領域71は第2領域72よりも基板Wの周縁E1側の領域である。また、第2位置62への移動中および第2位置62における吐出動作中において、吐出部20は吐出動作を続行するため、処理液51は吐出開始時に比べて安定した液柱形状で吐出される。従って、基板Wの処理領域S3での液跳ね、あるいは、処理領域S3での拡がりによる非処理領域S4への処理液の付着を抑制することができる。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。