JP6210886B2 - 防振手段が設けられた工具ホルダ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、被加工材に対して切削加工や研削加工を行う際に用いられる切削工具を保持する工具ホルダに関する。
従来より、被加工材(例えば、鋼材)に対して、ボーリング加工、中ぐり加工やフライス加工など切削加工を行う際には、長尺の工具ホルダの先端に回転切削工具を取り付けて、その取り付けられた回転切削工具を用いて切削加工を行っている。
ところが、ボーリング加工やフライス加工などを行ってゆく過程においては、回転切削工具が取り付けられた長尺の工具ホルダを被加工材に押し込む際に、回転切削工具に発生する抵抗力により振動(びびり振動)が生じ、加工精度の不良や加工能率の低下を引き起こしたり、長尺の工具ホルダの工具寿命を短くする虞があった。
上述した問題を解決するために、様々な防振技術が開発されてきた。例えば、長尺の工具ホルダに備えられたアーバ部を高剛性化する防振技術(アーバを高剛性の部材で作製したり、鋼材製のアーバ部の中空内部に高剛性の部材で作成された防振用の芯棒を圧入したりする技術)や、アーバ部を高減衰能化する防振技術(アーバ部の中空内部にウエイトなどの粘弾性体を充填したり、回転切削工具の先端にウエイトなどの粘弾性体を取り付けたりする技術)などが挙げられる。
工具ホルダのアーバ部を高剛性化する防振技術としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているようなものがある。
特許文献1には、軸方向の端部に切刃を保持する鋼材製アーバであって、前記アーバの外周面に溶射層を有する防振アーバが開示されている。
また、特許文献2には、長尺の工具本体の先端には切れ刃チップが装着されて、被削材の深部が切削できるようにした工具であって、工具本体の一部には、防振効果を高める目的で、超硬合金の如き高剛性材料の使用された深部加工用の防振工具において、前記工具本体には、その軸心に沿って、基部側直径が先端側直径より大きなテーパ部を有する穴が後端より穿設され、該テーパ部に適合するテーパ部を有する前記高剛性材料からなる丸棒が前記穴に挿入されて、前記穴の入口近傍に螺設されたねじ部に螺合する押込みねじにより、前記丸棒が工具本体内に圧接固定されるようにした深部加工用の防振工具が開示されている。
一方、アーバ部を高減衰能化する防振技術(びびり振動の振動エネルギを粘弾性体のひずみエネルギとして吸収させる技術)としては、例えば、特許文献3〜特許文献6に開示されているようなものがある。
特許文献3には、先端部に切刃を装着したシャンク部を有する切削工具において、該シャンク部の後端部から軸心に沿って穿設された穴部と、該穴部に挿入された高剛性棒と、該高剛性棒と該穴部の内周面とが形成する間隙に充填されたエポキシ樹脂系接着剤と、該シャンク部の後端部に嵌合する押圧固定具と、を備え、且つ、該高剛性棒は該押圧固定具により押圧固定されている切削工具が開示されている。
特許文献4には、先端側に工具を着脱可能に固定する工具保持手段が設けられ、基端側に工作機械のスピンドルに取り付けるためのシャンク部が設けられ、前記工具を用いて加工する際に該工具に生じる振動を抑制する振動抑制部を備えた工具保持体であって、この工具保持体の周部には該工具保持体の軸方向に延設される補強部が放射方向に複数設けられ、この補強部同士の間には振動減衰材が収納される収納凹部が設けられ、この収納凹部には前記振動減衰材が収納され、この振動減衰材と前記補強部とで前記振動抑制部が構成されている工具保持体が開示されている。
特許文献5には、円盤状の本体に切れ刃を取り付けた回転切削工具において、前記円盤状の本体の端面側に、粘弾性体を介してリング状の錘を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘が前記本体と相対的に移動可能に構成した回転切削工具が開示されている。
特許文献6には、切削時のびびり振動を抑制するための減衰用部材であって、剛性体と
粘弾性体とから構成され、前記剛性体の一方の先端部近傍に前記粘弾性体を備え、他方の先端部が切削工具のシャンクを把持する部分に保持可能な形状を有し、前記粘弾性体を介して前記剛性体を前記シャンクに当接させることで切削時のびびり振動を抑制する切削工具の減衰用部材が開示されている。
特開2002−233911号公報 特開平7−285002号公報 特開2002−210602号公報 特開2011−115929号公報 特開2012−196729号公報 特開2009−50983号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献6に示すようなアーバ部(長尺の工具ホルダ)の防振技術を用いても、以下に述べるような難点が存在する。
すなわち、特許文献1及び特許文献2は、アーバ部を高剛性化して、切削加工時に発生する「びびり振動」(振動)を抑制しているが、アーバ部を高剛性化するには、高価な高剛性材料を採用することが必要となったり、その高剛性材料をアーバ部に加工する際の加工コストが嵩んだりといった工具加工費の増大が懸念される。
一方、特許文献3〜特許文献6は、アーバ部を高減衰能化して、切削加工時に発生する「びびり振動」を抑制しているが、アーバ部を高減衰能化するには、特殊な機構を有する防振機構をアーバ部に配備したり、特殊な機構を有する防振機構を回転切削工具に配備しなければならず工具加工費の増大が懸念される。
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたものであり、切削加工時に発生するびびり振動をはめあい機構で抑制する防振手段が設けられた工具ホルダを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の防振手段が設けられた工具ホルダは、長尺のアーバ部と、前記アーバ部の先端側に設けられると共に工具が装着される工具取付具と、前記アーバ部の基端側に工作機械の回転駆動軸に取り付けるためのシャンク部とを有し、前記工具を用いて切削加工時に生じるびびり振動を抑制する防振手段が前記アーバ部に設けられた工具ホルダにおいて、前記アーバ部は、長手方向に分割された棒体であって、前記分割された一方の棒体の端部に凸状の軸部が形成されていると共に、前記分割された他方の棒体の端部に前記軸部が嵌り込む凹状の孔部が形成されていて、前記防振手段は、前記軸部が孔部に嵌り込んで構成される「はめあい機構」からなり、前記防振手段において、前記孔部の内径Dと前記軸部の外径dとの差Δdが、−20μm≦Δd≦10μmの範囲とされ、前記軸部の軸心方向高さlが、20mm≦l≦50mmの範囲とされ、前記孔部の軸心方向深さLが、L≧lとされていて、前記防振手段において、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが面接触する部分の接触面積Sが、600mm <S<3000mm の範囲とされていて、前記防振手段の配備位置tは、前記アーバ部の基端側からの位置t がt ≧30mm、且つ当該アーバ部の先端側からの位置t がt ≧30mmの範囲とされていることを特徴とする。
本発明の防振手段が設けられた工具ホルダによれば、切削加工時に発生するびびり振動を確実に抑制することができる。
(a)は本発明に係る防振手段が設けられた工具ホルダを模式的に示した図であり、(b)は工具ホルダの防振手段を拡大して示した図である。 防振手段を構成する孔部の内径Dと軸部の外径dとの差Δdに対する工具ホルダの粘性を示す図である。 (a)は工具ホルダの動剛性の比較例を示す図であり、(b)は本発明の工具ホルダの動剛性を示す図である。 回転切削加工時に「びびり振動」が発生した際における回転切削工具の切込み量を示す図である。 防振手段の配備位置と、工具ホルダの動剛性との関係を示す図である。
以下、本発明の防振手段が設けられた工具ホルダ1について、図面に基づき説明する。
図1は、アーバ部5が軸心方向に向かって突出状に備えられると共に、そのアーバ部5に本発明の防振手段10が設けられている工具ホルダ1を模式的に示した側面図である。
工具ホルダ1は、被加工材に対してボーリング加工、中ぐり加工やフライス加工など切削加工を行う際に用いられるものである。この工具ホルダ1は、工作機械の回転駆動軸(スピンドル軸)に取り付けられるようになっていて、その回転駆動軸の回転駆動力を、アーバ部5の先端側に取り付けられたエンドミル、ボーリングヘッドなどの工具13に伝達して、被加工材に対して切削加工を行うようになっている。
図1に示すように、工具ホルダ1は、長尺のアーバ部5と、そのアーバ部5の先端側に設けられると共に工具13(例えば、回転切削工具など)が装着される工具取付具11と、アーバ部5の基端側に設けられて工作機械の回転駆動軸(スピンドル軸)に取り付けるためのシャンク部2と、切削加工時に生じる「びびり振動」(以降、単に振動と呼ぶ)を抑制ないしは防止する防振手段10とを有している。特に、寸法サイズが大きく且つ複雑な形状の被加工材や、深い窪みなどの切削加工が困難とされる領域を有する被加工材に対しては、非常に長い突き出し量を有するアーバ部5を備えられた工具ホルダ1が用いられる。
具体的には、工具ホルダ1は、工作機械の回転駆動軸に取り付けられるシャンク部2に長尺のアーバ部5の基端側が接合されていて、このアーバ部5がシャンク部2から軸心方向に沿って突出するように配備されているものである。加えて、アーバ部5には、切削加工時に生じる振動を抑制する防振手段10が設けられている。また、アーバ部5の先端側には、工具13(ボーリングヘッド等の切刃)を装着する工具取付具11が設けられている。
シャンク部2は、内部が中空とされ且つ端部が先細るようなテーパ形状の円錐部材3と、その円錐部材3の底部に連接された円板部材4とからなるものであって、テーパ形状の円錐部材3が工作機械の回転駆動軸に取り付けられるようになっている。また、円板部材4には、アーバ部5の基端側が接合されている。なお、本実施形態では、テーパ形状のシャンク部2を回転駆動軸に直接取り付ける構成として説明したが、ストレート形状のシャンク部2を別体のホルダを介して回転駆動軸に取り付ける構成としてもよい。
アーバ部5は、シャンク部2の円板部材4から軸心方向に沿って突出状に設けられた長尺の円柱部材であって、鋼材や超硬合金などの硬質材料で形成されている。アーバ部5の長さLは例えば100mm〜500mm程度であり、アーバ部5の外径dはシャンク部2の円板部材4の外径より小径とされ、例えばφ30mm〜φ100mm程度である。
アーバ部5の軸心方向の先端側には、突起状の工具取付具11が設けられている。工具取付具11は、荒切削用の工具や仕上切削用の工具などの仕様の異なる工具13(切刃)をアーバ部5に取り付けるアタッチメントである。この突起状の工具取付具11を、工具13に設けられた取付孔部12に嵌合させて、その工具13と工具取付具11とをボルトなどの締結具(図示せず)で固定する。
このように工具13を固定することで、回転駆動軸の回転駆動力をアーバ部5を介して工具13に伝達することができる。なお、工具取付具11は、エンドミルやドリルなどを
取り付けるためのミーリングチャックであってもよい。
ところで、このように締結された工具13を用いて、被加工材にボーリング加工やフライス加工などの切削加工を行うと、工具13に発生する抵抗力により長尺のアーバ部5に振動が生じてしまう虞がある。特に、工具突き出し長さ/工具径(L/d)の値が大きい場合、切削加工時にアーバ部5に大きな振動が生じてしまい、工具ホルダの動剛性を大きく低下させてしまう。
そこで、本願発明者らは、上述した問題を解決するために鋭意研究を重ね、以下に示す防振手段10が設けられた工具ホルダ1を発明した。
本発明に係る防振手段10が設けられた工具ホルダ1は、長尺のアーバ部5に、このアーバ部5の振動を抑制する防振手段10が設けられているものである。
このアーバ部5は、長手方向に少なくとも2つ以上に分割された棒体であり、その分割された一方の棒体6の端部に凸状(円柱状)の軸部7が形成されていると共に、分割された他方の棒体8の端部に軸部7が嵌り込む凹状(円筒状)の孔部9が形成されている。この軸部7の外径d及び孔部9の内径Dは、アーバ部5の外径dとの比率によって設定されるようになっている。例えば、軸部7の外径dとアーバ部5の外径dとの比率は、d:d=2:3とされる。
防振手段10は、一方の棒体6の軸部7が他方の棒体8の孔部9に嵌り込んで構成される「はめあい機構」からなるものである。この防振手段10は、「はめあい機構」において、アーバ部5に生じる振動エネルギを、孔部9の側壁面と軸部7の側壁面とが面接触する際に発生する摩擦エネルギに変換して、アーバ部5に生じる振動を抑制するようになっている。
図1(b)に示すように、本発明の防振手段10である「はめあい機構」は、孔部9の内径Dと軸部7の外径dとの差Δdが、−20μm≦Δd≦10μmの範囲とされ、軸部7の軸心方向高さlが、20mm≦l≦50mmの範囲とされ、孔部9の軸心方向深さLが、L≧lとされている。
詳しくは、「はめあい機構」における寸法差Δdが−20μm≦Δd≦10μmの範囲の略「しまりばめ」状態であり、且つ軸部7の軸心方向高さlが20mm≦l≦50mmの範囲であると、孔部9の内周面と軸部7の外周面とが密着するように面接触し、その接触面において大きな押圧力が発生する。このとき、押圧力は、工具ホルダ1が回転してアーバ部5に曲げ変形が加えられる際に、孔部9の内周面と軸部7の外周面との間(摺動面)に摩擦エネルギを生じさせる。
この摩擦エネルギが、切削加工時に生じるアーバ部5の振動エネルギを吸収する(摩擦エネルギが振動エネルギを打ち消す)ようになっている。すなわち、孔部9の内周面と軸部7の外周面との間に生じた摩擦が、切削加工時に生じるアーバ部5の振動を抑制ないし防止するものとなっている。
なお、寸法差Δdが−20μmよりも小さい値、あるいは10μmよりも大きい値の場合は、「はめあい機構」のすべり面における摩擦(摩擦エネルギ)が生じ難く、防振手段のダンパ(減衰)効果が小さくなるため、アーバ部5に発生する振動を抑制ないしは防止することが困難である。
なお、軸部7及び孔部9の軸心方向の長さは、孔部9の軸心方向深さLがL≧lとすることが好ましい。
また、防振手段10の配備位置tを設定することによって、アーバ部5に生じる振動を効果的に抑制することができる。
図1(a)に示すように、防振手段10の配備位置tは、アーバ部5の基端側に近い部分(アーバ部5の長手方向中央より基端側)とされている。
詳しくは、防振手段10の配備位置tは、アーバ部5の基端側からの位置tがt≧30mm、且つアーバ部5の先端側からの位置tがt≧30mmの範囲とされている。すなわち、防振手段10は、アーバ部5の基端側から30mm離れた位置tからアーバ部5の先端側30mm離れた位置tまでの間(t〜t)に配備すればよい。
なお、アーバ部5の基端側のみを防振手段10の配備位置tの基準とすると、アーバ部
5の長さによって先端側の配備位置tが変わるため、アーバ部5の基端側および先端側からそれぞれ30mm以上離れた位置としている。
なお、防振手段10の配備位置tが30mmより小さい値、すなわちアーバ部5の基端側に近すぎる場合、アーバ部5の基端側とシャンク部2(円板部材4)とが接合されている部分に非常に大きな応力が集中してしまい、工具ホルダ1本体が損傷してしまう虞がある。また、工具ホルダ1本体の損傷により、被加工材も損傷してしまう虞もある。一方、防振手段10の配備位置tが30mmより小さい値、すなわちアーバ部5の先端側に近い場合、回転しているアーバ部5による撓み(ひずみ)が小さいため、孔部9の内周面と軸部7の外周面との間の摩擦が生じ難くなり、アーバ部5に生じる振動を抑制することが困難である。
図2は、「はめあい機構」における孔部9の内径Dと軸部7の外径dとの差Δdと、「はめあい機構」において発生する摩擦エネルギの指標である工具13の粘性μとの関係を示した図である。
図2に示すように、横軸に示された寸法差Δdが−20μm≦Δd≦10μmの範囲において、縦軸に示される粘性μが約100kg/sより大きい値となり、(粘性μの最大値、約500kg/s)、アーバ部5に生じる振動エネルギが「はめあい機構」にて摩擦エネルギに変換されていることがわかる。
つまり、上述した範囲を満たす形状の軸部7と孔部9とで構成される「はめあい機構」からなる防振手段10は、「はめあい機構」からなる防振手段10を有さない工具ホルダにて発生する粘性μ(100kg/s)より大きい値となり、アーバ部5に発生する振動を抑制することが可能となる。なお、粘性能は、孔部9の内径Dと軸部7の外径dとの差Δdを変更することにより、簡易に調整することができる。
以上述べたように、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」の形状及び寸法を適切なものに設定することで、アーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。
一方、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」の形状及び寸法を別の観点から、設定することもできる。別の観点とは、孔部9の内周面と軸部7の外周面とが面接触する部分の接触面積Sを設定することである。
詳しくは、防振手段10においての「はめあい機構」は、孔部9の内周面と軸部7の外周面とが面接触する部分の接触面積Sが、600mm<S<3000mmの範囲とされている。
また、孔部9の内径Dと軸部7の外径dとの差Δd[μm]と、孔部9の内周面と軸部7の外周面とが面接触する部分の接触面積S[mm]とは、−26000≦Δd・S≦13000の範囲とされているとよい。
接触面積Sは、アーバ部5に生じる振動エネルギを、孔部9の内周面と軸部7の外周面との摩擦で生じる摩擦エネルギに変換する際に必要な部分であり、この接触面積Sの広さによってアーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。すなわち、「はめあい機構」からなる防振手段10は、アーバ部5に生じる振動エネルギを摩擦エネルギに変換して、アーバ部5に生じる振動を抑制するものである。
以上述べたように、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」の接触面積Sを設定することで、アーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。
[実験例]
次に、本発明に係る防振手段10が設けられた工具ホルダ1を用いて、被加工材にボーリング加工を実施した結果を述べる。
ボーリング加工用の工具13が取り付けられた工具ホルダ1を3つ用意して、それぞれの工具ホルダ1を用いて被加工材にボーリング加工を実施する。
本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1として、工具外径dが53mm、工具突き出し長さLが275mm、防振手段10の配備位置tがアーバ部5の基端側から90mmの工具ホルダ1Aと、工具外径dが53mm、工具突き出し長さLが275mm、防振手段10の配備位置tがアーバ部5の基端側から180mmの工具ホルダ1Bを用意する。また、工具ホルダ1A、工具ホルダ1Bともに、軸部7の外径dを約30m
m、長さlを約50mm、孔部9の内径Dを約30mm、長さLを約50mmとする。
なお、実験例では、「はめあい機構」における孔部9の内径Dと軸部7の外径dとの差Δdを−3μmとする。また、軸部7を孔部9に挿入して嵌め合わせる「はめあい機構」のみとすると、ボーリング加工時にアーバ部5に付与される回転モーメントにより、嵌め合わされた一方の棒体6と他方の棒体8とが別々に回転してしまう可能性があるので、一方の棒体6と他方の棒体8とをボルトなどの締結具(図示せず)にて固定して、一方の棒体6と他方の棒体8とが一体に回転するようにする。
一方で、比較例の工具ホルダとして、工具外径dが53mm、工具突き出し長さLが275mm、防振手段10を有さない工具ホルダCを用意する。
そして、表1にボーリング加工の条件を示す。
ボーリング加工の実施については、まず工具ホルダ1A,1B及び工具ホルダCの回転数を1000rpm、工具送り量を0.15mm/rev、工具切込み量(片)を0.025mmに設定して加工を始めて、その後工具切込み量(片)を0.025mm毎に増加させてゆき、アーバ部5に振動が発生するまで加工を実施した。
図3に工具ホルダ1の動剛性を示し、図4にアーバ部5に振動が発生した際における工具13の切込み量を示す。
図3(a)に示すように、比較例の工具ホルダCは、アーバ部における振動周波数(Hz)が約400Hzから約530Hzに増加するにつれて、加速度が増加していることが読み取れる。特に、振動周波数が約500Hzから約530Hzまでの範囲では、加速度が急峻に増加していることが読み取れる。つまり、工具ホルダCは、動剛性が低下しており、アーバ部に発生する振動を抑制することが困難である。
図3(b)に示すように、本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1Aは、アーバ部5における振動周波数(Hz)が増加しても、加速度の増加が少ないことが読み取れる。特に、振動周波数が約400Hzから約480Hzまでの範囲においての工具ホルダ1Aの加速度は、工具ホルダCの加速度より、小さいことが読み取れる。
つまり、本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1Aは、「はめあい機構」によりアーバ部5が高い動剛性(高減衰能化)を有するようになり、アーバ部5に発生する振動を抑制することができる。
図4に示すように、アーバ部5に振動が発生した際におけるボーリング加工の切込み量は、本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1Aを用いている場合、0.1mmである。一方、比較例の工具ホルダCを用いている場合のボーリング加工の切込み量は、0.02mmである。
本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1Aを用いて被加工材に対してボーリング加工を行うと、比較例の工具ホルダCを用いている場合よりも深く切削することが可能である。
また、防振手段10の配備位置tを設定することで、アーバ部5に生じる振動を効果的に抑制することができる。
図5は、防振手段10の配備位置tが異なった工具ホルダ1A、工具ホルダ1Bの動剛性を示す図である。
図5(a)に示すように、アーバ部5の基端側から90mmの位置tに防振手段10を配備した場合の工具ホルダ1Aは、アーバ部5における振動周波数が約400Hzから約480Hzまでの範囲において、加速度が増加していることが読み取れる。
一方、図5(b)に示すように、アーバ部5の基端側からmmの位置tに防振手段10を配備した場合の工具ホルダ1Bは、約400Hzから約480Hzまでの範囲において、加速度が工具ホルダ1Aの加速度よりも多く増加していることが読み取れる。
図5を見ながら工具ホルダ1Aと工具ホルダ1Bとを比較してみると、工具ホルダ1Aの方が工具ホルダ1Bよりアーバ部5に発生する振動を効果的に抑制していることがわかる。すなわち、工具ホルダ1Aの方が、工具ホルダ1Bよりも高い動剛性を有していることがわかる。
このように、防振手段10をアーバ部5の基端側に配備することで、「はめあい機構」においてのすべり(摺動)が相対的に大きくなり、摩擦がより生じやすくなる。
以上の実験結果より、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」の形状及び寸法を設定することで、防振手段10のダンパ効果が高くなり、アーバ部5が高減衰能化される。それゆえ、アーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。
また、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」おける孔部9の内周面と軸部7の外周面とが面接触する部分の接触面積Sを設定することで、効果的にアーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。
防振手段10においての「はめあい機構」は、孔部9の内周面と軸部7の外周面とが面接触する部分の接触面積Sが、600mm<S<3000mmの範囲とされている。
以上の実験結果より、軸部7と孔部9とからなる「はめあい機構」の接触面積Sを設定することで、防振手段10のダンパ効果が高くなり、アーバ部5が高減衰能化される。それゆえ、アーバ部5に生じる振動を抑制することが可能となる。
このように、本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1は、切削加工時に発生するアーバ部5の振動エネルギを「はめあい機構」で摩擦エネルギに変換してアーバ部5を高減衰能化することで、切削加工時に発生するアーバ部5の振動を抑制するものである。
以上まとめれば、本発明の防振手段10が設けられた工具ホルダ1によれば、切削加工時に発生する振動(びびり振動)を「はめあい機構」で抑制ないしは防止することができると共に、低コストで製造することが可能である。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、本実施形態では、アーバ部5を2分割し、防振手段10を1つ配備した工具ホルダ1を例に挙げて説明したが、アーバ部5を3つ以上に分割し、防振手段10を2つ以上配備した工具ホルダ1であってもよい。また、本実施形態では、工具ホルダ1について、仕様の異なる工具13を着脱自在に取り付けることのできる工具取付具11を有するもの(工具交換タイプ)として説明したが、各仕様の工具13ごとに用意されたもの(工具固定タイプ)であってもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 工具ホルダ
2 シャンク部
3 円錐部材
4 円板部材
5 アーバ部
6 一方の棒体
7 軸部
8 他方の棒体
9 孔部
10 防振手段
11 工具取付具
12 取付孔部
13 工具(回転切削工具)

Claims (1)

  1. 長尺のアーバ部と、前記アーバ部の先端側に設けられると共に工具が装着される工具取付具と、前記アーバ部の基端側に工作機械の回転駆動軸に取り付けるためのシャンク部とを有し、前記工具を用いて切削加工時に生じるびびり振動を抑制する防振手段が前記アーバ部に設けられた工具ホルダにおいて、
    前記アーバ部は、長手方向に分割された棒体であって、
    前記分割された一方の棒体の端部に凸状の軸部が形成されていると共に、前記分割された他方の棒体の端部に前記軸部が嵌り込む凹状の孔部が形成されていて、
    前記防振手段は、前記軸部が孔部に嵌り込んで構成される「はめあい機構」からなり、
    前記防振手段において、前記孔部の内径Dと前記軸部の外径dとの差Δdが、−20μm≦Δd≦10μmの範囲とされ、前記軸部の軸心方向高さlが、20mm≦l≦50mmの範囲とされ、前記孔部の軸心方向深さLが、L≧lとされていて、
    前記防振手段において、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが面接触する部分の接触面積Sが、600mm <S<3000mm の範囲とされていて、
    前記防振手段の配備位置tは、前記アーバ部の基端側からの位置t がt ≧30mm、且つ当該アーバ部の先端側からの位置t がt ≧30mmの範囲とされている
    ことを特徴とする防振手段が設けられた工具ホルダ。
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