以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる冷蔵庫の構造を前扉が取り除かれ、左側の側壁部の一部が取り出された状態で示す斜視図である。図1に示す冷蔵庫1は、全体が箱型で前部が開放した外箱と内箱を重ねた間に断熱材を挟んで形成される筺体3で構成され、この箱型の筺体3の開放した前部に扉が開閉自在に取り付けられているものであるが、冷蔵物を収納して冷蔵すべく最上部に位置する冷蔵室5の前面側の例えば両開き扉や片開き扉などの扉は図示を省略されている。
なお、この最上部の冷蔵室5の直下には製氷室7および冷蔵から冷凍までの任意の冷却状態に可変し得る切替室とも称する上部冷凍室9が横に並んで設けられ、これら製氷室7と上部冷凍室9の直下の最下部には冷凍室11が設けられている。また、製氷室7および上部冷凍室9は、それぞれ引出し式扉7aおよび9aで前面側が覆われ、また冷凍室11も引出し式扉11aで前面側が覆われ、これらの引出し式扉7a、9aおよび11aをそれぞれを前方に引き出すことにより、製氷室7、上部冷凍室9および冷凍室11が外部に取り出されるようになっている。
上述したように、前部が開放した筺体3の左側の側壁部3aは、筺体3の内箱を構成する内板が切り取られ(なお、内板は図示せず)、筺体3の外箱を構成する外板13の内側が露出して見えている。この露出している外板13の内側部分には、取り除かれた内板の分だけ、空所、すなわち凹部が形成され、この凹部に図1で手前に分解して図示する真空断熱材15が配設されるようになっている。
このような構成により、発泡ポリウレタン等の断熱材を充填する場合には、真空断熱材15が発泡ポリウレタンの流入を遮らないことから発泡ポリウレタンの流動性が向上し、隙間無く発泡ポリウレタンを充填することができる。
真空断熱材15が上述したように外板13の内側の凹部に配設された後は、この真空断熱材15の内側から蓋または閉塞板を構成する庫内パネル17が固定ねじ19により側壁部3aの内箱または外板13にねじ止めされ、真空断熱材15を外板13と庫内パネル17との間に固定的に配設している。これにより、真空断熱材15は、前記凹部から落ちたり、ずれたり、簡単に取り除かれたり、出ないようにしている。なお、図2は、このように庫内パネル17が真空断熱材15を挟んで側壁部3aの内箱または外板13に取り付けられた状態を示す図である。また、庫内パネル17は、図から分かるように、冷蔵室5内に設けられる複数の棚の両端を保持するための棚受けが複数設けられている。
図3は、図2において矢印A−Aで示す方向に冷蔵庫1を切断して示す冷蔵庫1の上部の冷蔵室5の断面図である。図3に示すように、前記真空断熱材15は、冷蔵庫1の左側の側壁部3aのみでなく、右側の側壁部3bにも同様な構造で設けられている。また、この真空断熱材15は、図3から分かるように、内箱を構成する内板を取り除いて形成される凹部内に配設されているが、真空断熱材15は、この凹部内の外板13の内側に隙間なく、密接して配設されているのでなく、真空断熱材15と外板13との間に隙間21が形成されている。そして、この隙間21には、図示しないが硬質ウレタンフォームである発泡断熱材が配設されるものであるが、この発泡断熱材は、真空断熱材15に固定的に付着されるものでなく、真空断熱材15は、容易に発泡断熱材から離れ得るようになっている。なお、前記隙間21に配設される断熱材は、ウレタンに限られるものではなく、スチロール等の他の断熱材でも良いものである。
すなわち、発泡断熱材は、当該発泡断熱材を収納している容器から発泡断熱材の発泡性を利用して、直接、真空断熱材15と外板13との間の隙間に充填されるのでなく、例えば隙間の形に予め形成された容器などに充填収納されてから、前記隙間に配設されるなどで設けられるものである。
図4は、図3に示した冷蔵室5の左側の側壁部3aの拡大断面図である。この図4から、真空断熱材15の内側に配設されている庫内パネル17は、その上下端部が固定ねじ19により側壁部3aの上下に固定的に取り付けられていることが分かる。
図5は、図4と同様に、図3に示した冷蔵室5の左側の側壁部3aの拡大断面図であるが、この図4では、前記庫内パネル17は、図4のように固定ねじ19により側壁部3aに固定的に取り付けられるのでなく、固定ねじ19の代わりに固定フック23を用いて、庫内パネル17を側壁部3aに固定的に取り付けているものである。
すなわち、庫内パネル17の上下端部の外側面、すなわち外板13に向かう外側面には、外側を向いて突出した先端が下方に折曲している鉤型部を有する固定フック23が取り付けられ、この固定フック23の鉤型部が側壁部3aの対応する箇所に形成されたスリット状の凹部などに引っ掛けられることで、庫内パネル17が側壁部3aに固定的に取り付けられている。
上述したように構成される本実施形態の冷蔵庫1においては、側壁部3a、3bに真空断熱材15が配設されているが、この真空断熱材15は、側壁部3a、3bの内板を取り除いた凹部に配設されるとともに、この真空断熱材15の内側に庫内パネル17を固定ねじ19または固定フック23により固定的に取り付けて、真空断熱材15が落ちたり、抜け出たり、露出しないようにし、これにより冷蔵庫1の冷蔵室5の側方の側壁部3a、3bの断熱性能を向上しているものであり、簡単に組み立てることができる。
従って、真空断熱材15が、例えば機能が向上した新製品が開発された場合や、破損したような場合には、固定ねじ19または固定フック23を取り外し、庫内パネル17を取り除いて、既に収容されている真空断熱材15を取り出し、その代わりに新しい真空断熱材を配設するなどの交換を簡単かつ短時間で効率的に行うことができる。これにより、例えば冷蔵庫を買い替えるなどしなくても、冷蔵庫1の冷却性能を維持することができるとともに、また断熱性能の向上した改良型の新しい真空断熱材が開発されたような場合には、今使用している真空断熱材15を上述したように取り出し、その代わりに改良型の新しい真空断熱材を入れて、冷蔵庫1の冷却性能を今まで以上に向上することができる。
なお、本実施形態では、冷蔵庫1の左右の側壁部3aの上部の内板を切り取って、凹部を形成し、この凹部に真空断熱材15を配設し、庫内パネル17で閉塞しているが、同様な構造は、冷蔵庫1の上部の背面側、すなわち冷蔵室5の裏側の背壁部などに設けてもよいものである。
図6は、本発明の他の実施形態に係わる冷蔵庫を右側壁部の下部の一部が分解され取り出されて示す斜視図である。図6に示す冷蔵庫10は、図1に示した冷蔵庫1において冷蔵室5の前面開放部に両開き扉5a、5bが取り付けられるとともに、筺体3の外箱を構成する外板31のうちの、側壁部3bの下部、すなわち上部冷凍室9および冷凍室11の側方に位置する側壁部3bの下部を構成する外板31が部分的に切り取られて、ここに凹部25が形成されるとともに、この凹部25内に真空断熱材27を配設し、この真空断熱材27の上から蓋または閉塞板である外壁パネル29を固定的に取り付けて、凹部25を閉塞し、凹部25内に真空断熱材27を設けるようにした点が大きく異なるものであり、その他の構成は、図1と同じであり、同じ構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
すなわち、図6に示す冷蔵庫10では、側壁部3bを構成する外板31の下部を部分的に切り取って、凹部25を形成し、この凹部25内に真空断熱材27を配設し、この真空断熱材27を配設した凹部25に対して外側から外壁パネル29を固定的に取り付けて、凹部25を閉塞して、凹部25内の真空断熱材27が凹部25から抜け出たり、落ちたり、露出しないようにし、これにより冷蔵庫10の側壁部3bの下部の断熱性能を向上しているものである。
図7は、図6において矢印B−Bで示す方向に冷蔵庫10を切断して示す冷蔵庫10の下部の冷凍室11の断面図である。図7に示すように、冷蔵庫10の下部の側壁部3bを構成する外板31を部分的に切り取って、凹部25を形成し、この凹部25内に真空断熱材27を配設し、外壁パネル29で閉塞した構造は、冷蔵庫10の右側の側壁部3bのみでなく、冷蔵庫10の左側の側壁部3aにも同様な構造で形成されていることが分かる。なお、この左側の側壁部3aに設けられている凹部25、真空断熱材27および外壁パネル29に対しても同様な符号を付している。
なお、真空断熱材27を配設された凹部25を閉塞するように外壁パネル29を固定的に取り付ける方法は、図8に示すように、固定ねじ33を使用して、外壁パネル29の端部を外板31に取り付けるなどで行うことができるが、これに限定されるものではない。なお、本実施形態では、冷蔵庫10の下部の左右の側壁部3a、3bに対して、凹部25を形成し、真空断熱材27を設け、外壁パネル29で閉塞しているが、同様な構造は、冷蔵庫10の下部の背面側、すなわち冷凍室11の裏側の背壁部に設けてもよいものである。
上述したように構成される本実施形態の冷蔵庫10においては、側壁部3a、3bの下部に真空断熱材27が配設されているが、この真空断熱材27は、側壁部3a、3bの下部の外板31を取り除いた凹部25に配設されるとともに、この真空断熱材27の外側に外壁パネル29を固定的に取り付けて、真空断熱材27が落ちたり、抜け出たり、露出しないようにし、これにより冷蔵庫10の冷凍室11の側方の側壁部3a、3bの断熱性能を向上しているものであり、簡単に組み立てることができる。
従って、真空断熱材27が劣化したり、破損したような場合には、外壁パネル29を取り外して、劣化したり破損した真空断熱材27を取り出し、その代わりに新しい真空断熱材を配設するなどの交換を簡単かつ短時間で効率的に行うことができ、例えば冷蔵庫を買い替えるなどしなくても、冷蔵庫1の冷却性能を維持することができるとともに、また断熱性能の向上した改良型の新しい真空断熱材が開発されたような場合には、今使用している真空断熱材27を取り出し、その代わりに改良型の新しい真空断熱材を入れて、冷蔵庫10の冷却性能を今まで以上に向上することができる。
図9は、本発明の別の実施形態に係わる冷蔵庫を上部冷凍室9が引き出された状態で示す斜視図である。図9に示す冷蔵庫111は、後述するように、上部冷凍室9と冷蔵室5との間に真空断熱材を設けているものであるが、これは、例えば電子レンジなどで加熱した比較的熱い高温収納物を急速冷凍するために上部冷凍室9内に収納した場合に、この高温収納物の温度の影響が上方の冷蔵室5内の収納物に対して及ばないようにするために真空断熱材を上部冷凍室9と冷蔵室5との間に設けているものである。
図10は、図9に示す冷蔵庫111の横断面図である。図10に示すように、本実施形態の冷蔵庫111は、冷蔵室5の底板41と上部冷凍室9の上板である閉塞板45との間の空所である凹部に真空断熱材43が設けられている。この真空断熱材43は、例えば劣化や破損などした場合に、後述するように、容易に取り出して、新しい真空断熱材と交換できるように下側の閉塞板45が例えばねじ止めなどにより取り外し可能に取り付けられている。なお、閉塞板45は、閉塞板を構成しているものである。
すなわち、冷蔵室5と上部冷凍室9との間に設けた真空断熱材43を交換したい場合には、引き出し式の上部冷凍室9を手前に引き出して取り出し、この上部冷凍室9を引き出した前面開口部から閉塞板45の下方に作業者が手を伸ばし、例えばねじまわしなどで閉塞板45を固定しているねじを外して、閉塞板45を取り出し、この取り出した閉塞板45の開口部から真空断熱材43を取り出すことができるものである。
図11は、図9に示す冷蔵庫111を上述した底板41、真空断熱材43および閉塞板45が取り出され分解された状態で示す斜視図である。図11に示すように、真空断熱材43は、冷蔵室5の底板41と上部冷凍室9の上板である閉塞板45との間に挟まれるように設けられている。真空断熱材43は、上部冷凍室9の部分のみを覆うように閉塞板45のほぼ半分程度の大きさである。なお、図11では、底板41は、外部に引き出されているが、冷蔵室5の底部には、2点鎖線で示すように、底板41が図示されている。
図12は、図9に示す冷蔵庫111の前記閉塞板45の取り付け状態を詳細に示す部分拡大断面図である。図12に示すように、前記真空断熱材43は、冷蔵室5の底板41と上部冷凍室9の閉塞板45との間の凹部に設けられているが、この場合において、真空断熱材43が収納される部分の奥側に位置する冷蔵庫111の背面側の内板の一部は、手前の内側の方に向かって直角に折曲されて、引掛け受部47が形成され、この引掛け受部47に閉塞板45の奥側の先端が載置されて受け止められるとともに、閉塞板45の他端、すなわち閉塞板45の、上部冷凍室9の前面開口部側の他端は、上部冷凍室9と冷蔵室5との間の隔壁部の下側に真っすぐ伸び、この伸びた部分にねじ49が螺合し、当該閉塞板45の他端を固定し、これにより閉塞板45を全体的に固定している。
従って、真空断熱材43を交換したい場合には、上部冷凍室9を前面側から取り出し、この取り出した前面開口部から作業者が手を入れて、閉塞板45の他端を止めているねじ49をねじまわしで取り外せば、閉塞板45を前面開口部から手前に取り出すことができるので、このように閉塞板45を取り出した後、真空断熱材43を同様に外部に取り出すことが可能である。なお、前面開口部側の上にあるねじ49は、この前面開口部の手前下方から長いねじまわしを利用して、取り外すことができるが、また当該ねじ49を前面開口部側にねじ頭が傾くように斜めに取り付けることも可能であり、このようにねじ49を斜めに取り付けることにより、当該ねじ49を取り外し易くなる。
なお、閉塞板45の取り付け方法は、上記方法に限るものでなく、種々の方法が考えられるが、要は、真空断熱材43が凹部などに収納され、全体的に囲まれて、外部などから傷などを付けられないように保護されるとともに、真空断熱材43の交換を容易にするために、比較的簡単に取り出し可能であればよいものである。
更に、図12においては、上部冷凍室9内に高温収納物51が収納され、冷蔵室5内に冷蔵室収納物53が収納されることが図示されているが、高温収納物51を急速冷凍するために、上部冷凍室9内に収納しても、この高温収納物51の熱は、真空断熱材43で遮断されて、冷蔵室5内にほとんど伝達されないため、冷蔵室5内の冷蔵室収納物53が上部冷凍室9内の高温収納物51の熱の影響を受け難いようになっている。
また、さらに冷蔵室5、上部冷凍室9および冷凍室11の扉に適用する場合でも同様である。
図13は、本発明の別の実施形態の冷蔵庫を示す斜視図である。図13に示す冷蔵庫1Aでは、冷蔵室5に前扉5A、5Bが設けられている。図13に示す冷蔵庫1Aは、全体が箱型で前部が開放した外箱と内箱を重ねた間に断熱材を挟んで形成される筺体3で構成されている。
なお、この最上部の冷蔵室5の直下には、製氷室7および上部冷凍室9が横に並んで設けられ、これら製氷室7と上部冷凍室9の直下の最下部には、冷凍室11が設けられている。また、製氷室7および上部冷凍室9は、それぞれ引出し式扉7aおよび9aで前面側が覆われ、また冷凍室11も引出し式扉11aで前面側が覆われている。これらの引出し式扉7a、9aおよび11aをそれぞれ前方に引き出すことにより、製氷室7、上部冷凍室9および冷凍室11が外部に取り出されるようになっている。
図14は、図13に示す冷蔵庫1Aの背面部100側を示す斜視図である。図15は、図14の冷蔵庫1Aの背面部100から、閉塞板101と真空断熱材102を外した状態を示す斜視図である。
図15に示すように、真空断熱材102は、長方形状の板部材であり、背面部100側を断熱するための部材である。冷蔵庫1Aの背面部100には、凹部103が設けられている。この凹部103は、縦方向に長い長方形状を有しており、凹部103内には真空断熱材102がはめ込むことで収容される。
図15に示す閉塞板101は、真空断熱材102を覆うための蓋部材である。閉塞板101は、例えば金属製の長方形状の板部材であり、閉塞板101の縦横サイズは真空断熱材102の縦横サイズよりも大きい。
閉塞板101の隅部の複数箇所には、穴部104が設けられている。背面部100には、凹部103の周囲の複数箇所にはナット部106が設けられている。これにより、締結部品としての固定ねじ105は、これらの穴部104に通して、ナット部106にねじ込むことで、閉塞板101は、真空断熱材102を、背面部100の凹部103内にはめ込んだ状態で押圧して固定することができる。しかも、閉塞板101の縦横サイズは真空断熱材102の縦横サイズよりも大きいので、真空断熱材102には固定ねじ105を通すための穴を設ける必要がない。
この真空断熱材102は、例えばグラスウールの板状の芯材をラミネートフィルムのような被覆材で包んで、この内部を真空の多孔質構造に形成することで、高い真空空間率(例えば90%を超える)を保持している。このため、この真空断熱材102は、真空による高い断熱性能を発揮することができる。真空断熱材102の断熱性能は、発泡ポリウレタン材の断熱性能に比べてかなり高いので、厚みの薄い真空断熱材102を用いても冷蔵庫1Aの背面部100の断熱性能を確保することができる。
図15に示す実施形態では、真空断熱材102は背面部100において交換が容易に行える。そして、真空断熱材102は背面部100の凹部103内にはめ込んで固定でき、真空断熱材102に対する外部からの直接衝撃の印加を防止できる。
図16は、本発明のさらに別の実施形態の冷蔵庫1Bの背面部を示す斜視図である。
図16に示す冷蔵庫1Bの背面部110の構造は、図15に示す冷蔵庫1Aの背面部100の構造と実質的には、ほぼ同じであるので、対応する箇所には同じ符号を記してその説明を省略する。
図16に示す冷蔵庫1Bの背面部110の構造が、図15に示す冷蔵庫1Aの背面部100の構造とは異なるのは、閉塞板111の構造である。閉塞板111には、複数本の補強用の凹凸形状部分118が、冷蔵庫の縦方向に沿ってしかも間隔を空けて平行になるように設けられている。
複数本の補強用の凹凸形状部分118が、閉塞板111の長手方向に沿って形成されていることで、平板状の閉塞板111の強度の補強を図っている。閉塞板101の隅部の複数箇所には、穴部104が設けられている。これにより、閉塞板111を真空断熱板102に押し付けることにより発生する真空断熱板102からの押圧力により、閉塞板111が変形したり逃げたりすることを防止できる。このため、背面部110は、隙間が生じることなく真空断熱材102により確実に断熱することができる。
図16に示す実施形態では、真空断熱材102は背面部110において交換が容易に行える。そして、真空断熱材102は背面部110の凹部103内にはめ込んで固定でき、真空断熱材102に対する外部からの直接衝撃の印加を防止できる。
図17は、本発明のさらに別の実施形態の冷蔵庫1Cの背面部を示す斜視図である。
図17に示す冷蔵庫1Cの背面部120の構造は、図15に示す冷蔵庫1Aの背面部100の構造と実質的には、ほぼ同じであるので、対応する箇所には同じ符号を記してその説明を省略する。
図17に示す冷蔵庫1Cの背面部120の構造が、図15に示す冷蔵庫1Aの背面部100の構造とは異なるのは、凹部103の構造と閉塞板121の構造である。閉塞板121には、例えば2つの凹形状部分125が設けられている。これらの凹形状部分125は、円形状の凹部であり、中央部には固定ねじ105を通すための穴部127が設けられている。
一方、背面部120の凹部103には、2つの凸形状部分126が設けられている。これらの凸形状部分126は、円形状の凸部であり、閉塞板121の凹形状部分125に対応した位置にある。凸形状部分126に中央部には、固定ねじ105をねじ込むためのナット部128が設けられている。凸形状部分126の直径と閉塞板121の凹形状部分125の直径は、好ましくは同じである。
これにより、締結部材としての固定ねじ105は、閉塞板121の各穴部104と、閉塞板121の凹形状部分125の穴部129にそれぞれ固定ねじ105を通して、凹部103のナット部106とナット部128にそれぞれねじ込むことで、閉塞板121は、真空断熱材102を、背面部120の凹部103内にはめ込んだ状態で押圧して、安定して固定することができる。
このように固定ねじ105を用いるので、閉塞板121を真空断熱板102に押し付けることにより発生する真空断熱板102からの押圧力により、閉塞板121が変形したり逃げたりすることを防止することができる。
しかも、閉塞板121の2つの凹形状部分125を、背面部110の凹部103の2つの凸形状部分127にそれぞれ突き当てた状態で、閉塞板121は背面部110側に固定ねじ105により固定することができるので、閉塞板121の固定時の面圧を安定させることができ、閉塞板121の固定状態を安定できる。
図17に示す実施形態では、真空断熱材102は背面部120において交換が容易に行える。そして、真空断熱材102は背面部120の凹部103内にはめ込んで固定でき、真空断熱材102に対する外部からの直接衝撃の印加を防止できる。
図18は、図15において矢印C−Cで示す方向に冷蔵庫1Aを切断して示す縦断面図である。
図18に示すように、冷蔵庫1Aの背面部100の凹部103が設けられており、この凹部103には、真空断熱材102がはめ込まれている。真空断熱材102は、図19に示すような平板状の長方形の部材である。閉塞板101は、真空断熱板102に押し付けるようにして固定ねじ105により背面部100に固定されている。冷蔵庫1Aの背面部100に下部には、発泡ウレタン断熱材130が配置されている。この閉塞板101に代えて、図16に示す閉塞板111を用いても良い。
図20は、冷蔵庫1Dを切断して示す縦断面図である。
図20に示すように、冷蔵庫1Dの背面部110の凹部103が設けられており、この凹部103には、真空断熱材132がはめ込まれている。そして、閉塞板121は、真空断熱板132を背面部110に押し付けるようにして固定ねじ105により背面部110に固定されている。冷蔵庫1Dの背面部100に下部には、発泡ウレタン断熱材130が配置されている。
この真空断熱材132は、図21に示すように例えば円形の2つの貫通穴140を有している。図20に示すように、これらの貫通穴140は、閉塞板121の凹形状部分125の内側の凸部分125Tをはめ込むことで収容することができる。このように、真空断熱材132には貫通穴140を設けることにより、閉塞板121の凹形状部分125の内側の凸部分125Tが真空断熱材132に当たってしまうことが無い。このため、真空断熱材132と閉塞板121が干渉したり、逃げる部分が生じることを避けることができ、閉塞板121は、真空断熱材132に対して、面圧を安定させた状態で、密着して安定して固定することができる。
図20に示すように、この真空断熱材132は、グラスウールのような断熱性の板状の芯材150と、芯材150を覆う被覆材であるラミネートフィルム151から構成されている。しかも、ラミネートフィルム151は、溶着することで溶着部152を有している。この溶着部152は、真空断熱材132の貫通穴140の内壁部分141を覆っている。これにより、真空断熱材132の貫通穴140の内壁部分141は、被覆材であるラミネートフィルム151の溶着部152により覆われているので、芯材150が露出しないように真空断熱材132の貫通穴140の内壁部分141を保護でき、しかも芯材150が固定ねじ105と直接接触することが無いので、固定ねじ105により芯材150が傷つけられることが無い。
締結部品である固定ねじ105は、閉塞板121の凹形状部分125の穴部129と、真空断熱材132の貫通穴140を通って、背面部110のナット部106にねじ込まれる。これにより、閉塞板121は、真空断熱材132を、背面部110側に押し付けて固定することができる。このように固定ねじ105を用いるので、閉塞板121が真空断熱板132に押し付けられることにより発生する真空断熱板132からの押圧力により、閉塞板121が変形したり逃げたりすることを防止することができる。
図20に示す実施形態では、真空断熱材132は背面部110において交換が容易に行える。そして、真空断熱材132は背面部110の凹部103内にはめ込んで固定でき、真空断熱材132に対する外部からの直接衝撃の印加を防止できる。
図22は、本発明の別の実施形態の冷蔵庫を示す斜視図である。図22に示す冷蔵庫1Aでは、冷蔵室5に前扉5A、5Bが設けられている。図22に示す冷蔵庫1Aは、全体が箱型で前部が開放した外箱と内箱を重ねた間に断熱材を挟んで形成される筺体3で構成されている。
なお、この最上部の冷蔵室5の直下には製氷室7および上部冷凍室9が横に並んで設けられ、これら製氷室7と上部冷凍室9の直下の最下部には冷凍室11が設けられている。また、製氷室7および上部冷凍室9は、それぞれ引出し式扉7aおよび9aで前面側が覆われ、また冷凍室11も引出し式扉11aで前面側が覆われ、これらの引出し式扉7a、9aおよび11aをそれぞれ前方に引き出すことにより、製氷室7、上部冷凍室9および冷凍室11が外部に取り出されるようになっている。
図23は、図22に示す冷蔵庫1Aの背面部100側を示す斜視図である。図24は、図23の冷蔵庫1Aの背面部100から、後ろ板301を外した状態を示す斜視図である。図25は、図24の圧縮機格納室310から、圧縮機台305を外した状態を示す斜視図である。
図23から図24に示すように、後ろ板301が、冷蔵庫1Aの背面部100の下部302から取り外されており、図24に示すように、下部302には、圧縮機格納室310が設けられている。この圧縮機格納室310には、圧縮機304と圧縮機台305が配置されている。図24から図25に示すように、図24の圧縮機格納室310から、圧縮機台305が取り外されている。
図26は、図25の冷蔵庫1Aの背面部100の下部302から、真空断熱材306と、閉鎖板307が取り外された状態を示す斜視図である。図27は、図26に示す冷蔵庫1AにおけるD−D線における縦断面図である。
図26と図27に示すように、背面部100には、凹形状部分109が形成されている。真空断熱材306は、冷蔵庫の圧縮機格納室310を断熱するために、背面部100の凹形状部分109にはめ込まれて配置されている。
蓋部材である閉塞板307は、例えば金属製の長方形状の板部材である。閉塞板307のサイズは真空断熱材306のサイズよりも大きい。閉塞板307は、圧縮機格納室310の形状に合わせて、例えば複数箇所で折り曲げて形成されており、第1面部307Aと、第2面部307Bと、第3面部307Cを有している。第1面部307Aは、冷蔵庫1Aの上下方向に沿って形成された垂直面である。第2面部307Bは、第1面部307Aから連続しており、冷蔵庫1Aの水平面に平行である。そして、図27に示すように、第3面部307Cは、第2面部307Bに対して、所定の角度θにより冷蔵庫1Aの前側に向けて傾斜して形成されている。
これに対して、真空断熱材306は、第1部分306Aと、第2部分306Bと、第3部分306Cを有している。第1部分306Aは、閉塞板307の第1面部307Aの形状に対応して形成され、第2部分306Bは、閉塞板307の第2面部307Bの形状に対応して形成されている。そして、第3部分306Cは、閉塞板307の第1面部307Cの形状に対応して形成されている。すなわち、第1部分306Aは、冷蔵庫1Aの上下方向に沿って形成された垂直面である。第2部分306Bは、第1部分306Aから連続しており、冷蔵庫1Aの水平面に平行である。そして、図27に示すように、第3部分306Cは、第2部分306Bに対して、所定の角度θにより冷蔵庫1Aの前側に向けて傾斜して形成されている。
図26と図27に示すように、背面部100の凹形状部分109は、圧縮機格納室310の前側部分と上側部分に対応する位置に形成されている。図26に示すように、凹形状部分109は、第1凹部分109Aと、第2凹部分109Bと、第3凹部分109Cを有している。図27に示すように、第1凹部分109Aは、真空断熱材306の第1部分306Aを収容し、第2凹部分109Bは、真空断熱材306の第2部分306Bを収容する。そして、第3凹部分109Cは、真空断熱材306の第3部分306Cを収容するようになっている。真空断熱材306は、冷蔵庫の側方から凹形状部分109内に挿入して配置することができる。
図26と図27に示すように、閉塞板307の隅部の複数箇所には、穴部312が設けられている。背面部100には、ナット部113が、凹形状部分109の周囲の複数箇所に設けられている。締結部品としての固定ねじ308は、これらの穴部312に通して、ナット部113にねじ込むことで、閉塞板307は、真空断熱材306を上から覆うようにして、圧縮機格納室310の上部の位置にある凹形状部分109内に、冷蔵庫の後方からはめ込んだ状態で固定することができる。これにより、圧縮機格納室310の前側部分と上側部分は、真空断熱材306により覆って断熱することができる。しかも、閉塞板307のサイズは真空断熱材306のサイズよりも大きいので、固定ねじ308は真空断熱材306には固定ねじを通すための穴を設ける必要がない。
この真空断熱材306は、例えばグラスウールの板状の芯材をラミネートフィルムのような被覆材で包んで、この内部を真空の多孔質構造に形成することで、高い真空空間率(例えば90%を超える)を保持している。このため、この真空断熱材306は、真空による高い断熱性能を発揮することができる。真空断熱材306の断熱性能は、発泡ポリウレタン材の断熱性能に比べてかなり高い。このため、厚みの薄い真空断熱材306を用いても、真空断熱材306は、圧縮機格納室310の前側部分と上側部分において、動作時に発生する圧縮機304の熱を、断熱することができる。
図26に示すように、真空断熱材306は、閉鎖板307を複数本の固定ねじ308を用いて固定する。これにより、冷蔵庫を組み立てる際に真空断熱材306を取付ける作業が容易になる。また、真空断熱材306が経年変化したり、真空断熱材306の所定の交換時期に達した場合に、真空断熱材306を取り外して新たな真空断熱材306に交換する作業が容易になる。
また、閉鎖板307が、真空断熱材306を覆って、そして固定ねじ308により締結する構造であるので、外的衝撃が真空断熱材306に直接印加するのを防止できる。
図27に示すように、背面部100では、真空断熱材306の上部の領域に、発泡ウレタン断熱材311が配置されている。
また、図25から図26に示すように、複数本の固定ねじ308を取り外すことにより、背面部100から、真空断熱材306と、閉鎖板307を取り外すことができる。これにより、真空断熱材306の交換が可能になる。
次に、本発明のさらに別の実施形態の冷蔵庫を説明する。
図28は、本発明のさらに別の実施形態の冷蔵庫1Bを示し、側壁部3bから閉塞板340が取り外された状態を示す斜視図である。図29は、図28に示す冷蔵庫1Bの背面部100側を示し、閉塞板340と2枚の真空断熱材351,352が取り外された状態を示す斜視図である。図30は、図28の冷蔵庫1BにおけるE−E線での縦断面を示す図である。
なお、図28から図30に示す冷蔵庫1Bが、図31に示す冷蔵庫1Aと同様の箇所には、同じ符号を記してその説明を省略する。
図28と図29に示すように、冷蔵庫1Dの側壁部3bには、長方形の凹部160が形成されている。この凹部160は、側面板あるいは蓋部材である長方形の閉塞板340により閉塞可能になっている。この閉塞板340は例えば金属製の板であり、閉塞板340の隅部の複数箇所には、穴部312が設けられている。一方、図28と図29に示すように、側壁部3bの凹部160には、複数箇所にナット部163が設けられている。
図29と図30に示すように、圧縮機格納室310には、圧縮機304が格納されている。この圧縮機格納室310には、2つの袋状の凹部171,172が設けられている。2つの袋状の凹部171,172は、冷蔵庫1Dの幅方向に沿って形成されている。
図30に示すように、一方の袋状の凹部171は、圧縮機格納室310の上部に配置され、他方の袋状の凹部172は、圧縮機格納室310の前側に傾斜して配置されている。これらの袋状の凹部171,172には、それぞれ真空断熱材351,352が着脱可能に挿入されて保持される。図29に示すように、挿入用開口部171P、172Pは、真空断熱材351,352を挿入するために、凹部160に設けられている。
図29に示す真空断熱材351,352が、挿入用開口部171P、172Pから、図30に示すように凹部171,172にそれぞれ挿入される。そして、図29に示す締結部品としての固定ねじ308は、閉塞板340の穴部312に通して、ナット部163に
ねじ込むことで、閉塞板340は、2枚の真空断熱材351,352を、圧縮機格納室310の上部の位置と前側の位置にそれぞれ固定することができる。これにより、圧縮機格納室310の上側部分と前側部分は、2枚の真空断熱材351,352により覆うことで、動作時に発生する圧縮機304の熱を、断熱することができる。
冷蔵庫を組み立てる際に真空断熱材351,352を取付ける作業が容易になる。また、真空断熱材351,352が経年変化したり、真空断熱材351,352の所定の交換時期に達した場合に真空断熱材351,352を取り外して新たな真空断熱材351,352に交換する作業が容易になる。
図31は、本発明のさらに別の実施形態を示している。図31に示す冷蔵庫1Eが、図30に示す冷蔵庫1Dと同様の箇所には、同じ符号を記してその説明を省略する。
図31に示す冷蔵庫1Cが図30に示す冷蔵庫1Dと異なるのは、1つの袋状の凹部191の形状と、この袋状の凹部191内に収容される1つの真空断熱材181の形状である。
袋状の凹部191は、圧縮機格納室310の形状に合わせて、上部部分192と前側部分193を有し、ほぼL字型を有している。上部部分192は、冷蔵庫1Cの前後方向に平行であるが、前側部分193は、冷蔵庫の上下方向に対して傾斜している。
これに対して、真空断熱材181は、凹凸状の形状、例えばほぼL型であり、上部182と、前部183を有している。真空断熱材181は、袋状の凹部191にはめ込んで保持され、上部182は、上部部分192にはめ込んで保持され、前部183は、前側部分193にはめ込んで保持されている。
このように、真空断熱材181を断熱に用いた冷蔵庫1Cは、圧縮機格納室310の周囲に真空断熱材181を収容可能な大きさで形成される凹部191と、この凹部191内に収容した凹凸状の真空断熱材181を凹部191内に閉塞する閉塞板(図29に示す閉塞板340と同様)と、を有している。
これにより、1つの袋状の凹部191の形状と1つの真空断熱材181の形状を採用することで、部品点数を減らすことができる。そして、冷蔵庫を組み立てる際に真空断熱材181を取付ける作業が容易になる。また、真空断熱材181が経年変化したり、真空断熱材181の所定の交換時期に達した場合に真空断熱材181を取り外して新たな真空断熱材181に交換する作業が容易になる。
上述した本発明の各実施形態の冷蔵庫では、真空断熱材を容易に交換することができる。このため、冷蔵庫の製造時に取扱い等で真空断熱材の表面に傷がついてしまう等、真空断熱材が破損した場合には、真空断熱材を容易に交換できる。このため、冷蔵庫の生産性を向上できる。また、冷蔵庫の使用時に、真空断熱材が経時劣化した場合でも、真空断熱材を容易に交換することができる。これにより、冷蔵庫の冷却性能を維持し、回復し、改善することができ、冷蔵庫の寿命が伸ばせる。また、閉塞板が真空断熱材を覆って閉塞板が締結部品により固定されているので、真空断熱材に対する外部からの直接衝撃の印加を防止することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。