JP6207304B2 - 合成皮革およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合成皮革およびその製造方法に関する。詳しくは、車両内装材やインテリア資材などの産業資材に適した合成皮革に関する。
合成皮革は、天然皮革の代替品として、あるいは、天然皮革以上に良好な耐久性を備えた皮革素材として、衣料、鞄、靴、産業資材など様々な分野で用いられている。合成皮革は、一般に、繊維質基材(例えば、不織布、織物、編物など)にポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層して形成される。
車両内装材やインテリア資材などの産業資材に採用される合成皮革は、耐久性、特には耐摩耗性に優れていることが要求される。このような要求を満たすために、様々な取り組みがなされている。
例えば、合成皮革の表面となるポリウレタン樹脂層の摩擦係数を下げることによって、耐摩耗性を向上させる方法として、特許文献1には、表皮層をシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂により形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、水性ポリウレタン樹脂、架橋剤、シリコーン系化合物およびフィラーを含有する仕上げ剤を皮革の表面に付与する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1のように、表皮層にシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いる方法では、シリコーンが合成皮革の表面に存在しない。そのため、合成皮革の耐摩耗性が十分でないという問題がある。
また、特許文献2に開示されているポリウレタン樹脂層に添加されるシリコーンオイルは、一般的に比較的低分子量で液体のシリコーンオイルである。このようなシリコーンオイルは、合成皮革に高度な耐摩耗性を付与するものの、合成皮革の表面が白化するという問題がある。この白化現象は、表面を摩耗した際に表面が削られて生じる白化とは異なり、表面を繰り返し摩耗した際にシリコーンオイルがポリウレタン樹脂層から揉み出されて表面に浸み出し、白く見えるため生じると考えられる。車両やインテリアの座面等で繰り返し摩耗されたときに、表面が削られることは防止できても、シリコーンオイルの浸み出しによる白化が発生する問題が生じていた。
特開平09−031862号公報 特開2007−314919号公報
本発明は、車両内装材やインテリア資材などの産業資材、特には、座席用シートに適した耐摩耗性を有し、且つ、白化の問題のない合成皮革を提供することを目的とする。
本発明は、繊維質基材の一方の面に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層と、ポリウレタン樹脂および固体のシリコーン系化合物を含有する表面処理層と、を順次積層してなり、前記シリコーン系化合物は数平均分子量が33万以上のジメチルシリコーンである、合成皮革である。
また、本発明は、表皮層用樹脂液を離型性基材上に塗布して、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を形成する工程と、
表皮層と繊維質基材とを貼り合わせる工程と、
離型性基材を剥離する工程と、
ポリウレタン樹脂および固体のシリコーン系化合物を含有する表面処理層用樹脂液を表皮層上に塗布して、表面処理層を形成する工程と、
を含み、前記シリコーン系化合物は数平均分子量が33万以上のジメチルシリコーンである、合成皮革の製造方法である。
本発明によれば、車両内装材やインテリア資材などの産業資材に適した耐摩耗性を有し、且つ、白化の問題のない合成皮革とすることができる。
本発明の一実施形態に係る合成皮革の概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の合成皮革は、繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層、固体のシリコーン系化合物を含有したポリウレタン樹脂からなる表面処理層を順次積層してなるものである。
図1は、一実施形態に係る合成皮革(1)の断面構造を模式的に示したものである。合成皮革(1)は、繊維質基材(2)と、表皮層(3)と、表面処理層(4)とを備え、この例では、繊維質基材(2)と表皮層(3)との間に接着層(5)が設けられている。
本発明に用いられる繊維質基材としては、例えば、織物、編物、不織布などの布帛や、天然皮革(床革含む)が挙げられる。また、布帛に、公知の無溶剤系、溶剤系または水系の高分子化合物、例えば、ポリウレタン樹脂やその共重合体を主成分とする液を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固にて固化させたものを用いることもできる。布帛において、繊維の素材は特に限定されるものではなく、例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などを挙げることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。なかでも強度の観点から合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。
また、繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。着色に用いられる染料や顔料は特に限定されない。
本発明の合成皮革は、かかる繊維質基材の一方の面に、第一の樹脂層として、ポリウレタン樹脂からなる表皮層が、また、第二の樹脂層として、固体のシリコーン系化合物を含有したポリウレタン樹脂からなる表面処理層が、積層されたものである。
表皮層の形成に用いられるポリウレタン樹脂は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐摩耗性および耐光堅牢性の観点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系、水系などを問わず、さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、具体的用途に応じて適宜選択することができる。
ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、ウレタン化触媒、架橋剤、熱安定剤、耐光安定剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、レベリング剤などを含有させることができる。
表皮層の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。厚さが5μm以上であることにより、均一な樹脂層を形成しやすくなり、部分的に表皮層が欠落することを防いで、十分な耐摩耗性が得られる。厚さが100μm以下であることにより、風合いが粗硬になる虞を回避することができる。
上述の表皮層は、繊維質基材の一方の面に積層される。積層する際、接着層を介してもよいし、直接積層してもよい。接着層を介することにより、表皮層を繊維質基材に直接積層した場合に起こり得る、表皮層を構成するポリウレタン樹脂の繊維質基材への過度の浸み込みや、表皮層内の不均一な孔の形成を抑制することができる。そのため、天然皮革調の触感や風合いを具備することができる。
本発明の合成皮革は、繊維質基材の一方の面に積層されたポリウレタン樹脂からなる表皮層の表面に、第二の樹脂層として、固体のシリコーン系化合物を含有するポリウレタン樹脂からなる表面処理層が積層されたものである。第二の樹脂層により、合成皮革の耐摩耗性が向上する。なお、本発明において表面処理層は、表皮層の表面に形成されて当該表皮層を保護する最外層としての樹脂層の総称をいい、少なくとも一層の樹脂層からなるが、同一または異なる組成の二層以上の樹脂層にて構成することもできる。
表面処理層の形成に用いられるポリウレタン樹脂は、特に限定されるものでなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐摩耗性および耐光堅牢性の点からポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系、水系を問わず、さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、具体的用途に応じて適宜選択することができる。
表面処理層には、固体のシリコーン系化合物を含有させる。シリコーン系化合物は、表面処理層中には小さなシリコーン系化合物の粒が分散した状態で存在する。シリコーン系化合物が液体であると、合成皮革に外圧が加わった場合に、合成皮革の表面にシリコーン系化合物が浸み出したりシリコーン系化合物の粒が変形したりして、表面処理層中にわずかな空隙が生じる。これにより、表面処理層中にシリコーン系化合物が存在していた部分で光の乱反射が起こるため、白化が生じる。一方、本発明に用いられるシリコーン系化合物は、室温で固体であり表面処理層中で固体として存在する。すなわち、シリコーン系化合物は、表面処理層中において固形の粒として分散した状態に存在する。従って、合成皮革に外圧が加わった場合に、合成皮革の表面にシリコーン系化合物が浸み出したり、表面処理層中に分散したシリコーン系化合物の小さな粒が変形したりすることが少ない。そのため、車両内装材やインテリア資材などの産業資材に適した耐摩耗性を有し、且つ、シリコーン系化合物が浸み出すことによる白化が抑制された合成皮革とすることができる。なお、本発明において「固体」とは、室温で流動性のない状態を指す。なお、本発明でいう室温とは25〜35℃の範囲をいう。
本発明に用いるシリコーン系化合物は、ジメチルシリコーン(即ち、ポリジメチルシロキサン)、ジメチルシリコーンの変性物、シリコーン・アクリル共重合体などを挙げることができる。なかでも、汎用性の面からジメチルシリコーンが好ましい。また、固体のシリコーン系化合物を用いるため、ジメチルシリコーンの数平均分子量は33万以上であることが好ましく、より好ましくは 35万〜70万である。本明細書において、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリエチレングリコール換算の数平均分子量(Mn)である。
表面処理層におけるシリコーン系化合物の含有量は、表面処理層のポリウレタン樹脂の固形分に対して5〜40重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましい。シリコーン系化合物の含有量が5重量%以上であることにより、十分な耐摩耗性を発揮することができる。シリコーン系化合物の含有量が40重量%以下であることにより、合成皮革の良好な触感を維持し、また白化を生じにくくすることができる。
表面処理層のポリウレタン樹脂には、必要に応じて、上述のシリコーン系化合物以外に、本発明の効果を妨げずポリウレタン樹脂の物性を損なわない範囲内で、ウレタン化触媒、シランカップリング剤、充填剤、チクソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、不活性気体、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、艶消し剤、触感向上剤、スリップ改良剤、架橋剤、増粘剤、レベリング剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
表面処理層の厚さは、3〜30μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。厚さが3μm以上であることにより、均一な樹脂層を形成しやすくなり、部分的に表面処理層が欠落することを防いで、十分な耐摩耗性が得られる。厚さが30μm以下であることにより、風合いが粗硬になったり、白化が生じたりする虞を回避することができる。
次に、上記合成皮革の製造方法について説明する。
該製造方法は、以下の工程を含むものである。
(1)表皮層用樹脂液を離型性基材上に塗布して、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を形成する工程、
(2)表皮層と繊維質基材とを貼り合わせる工程、
(3)離型性基材を剥離する工程、及び、
(4)ポリウレタン樹脂および固体のシリコーン系化合物を含有する表面処理層用樹脂液を表皮層上に塗布して、表面処理層を形成する工程。
離型性基材上に表皮層用樹脂液を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、リバースロールコーター、ナイフコーター、又は、コンマコーターによる塗布が好ましい。
本発明に用いられる離型性基材は特に限定されるものでなく、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよい。例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、合成皮革の表面に意匠性を付与することができる。
表皮層用樹脂液の塗布厚は、前記表皮層の厚さに応じて適宜設定すればよい。塗布厚は20〜250μmであることが好ましく、100〜200μmであることがより好ましい。塗布厚をこの範囲に設定することにより、好ましくは5〜100μm、より好ましくは20〜50μmの厚さを有する表皮層となる。
表皮層用樹脂液を離型性基材に塗布した後、必要により熱処理を行う。熱処理は、表皮層用樹脂液中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
熱処理温度は50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃である。熱処理温度が50℃未満であると、熱処理に時間がかかり、工程負荷が大きくなったり、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となったりする虞がある。熱処理温度が150℃を超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。また、熱処理時間は2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは2〜10分間である。熱処理時間が2分間未満であると、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となる虞がある。熱処理時間が20分間を超えると、加工速度が遅くなり工程負荷が大きくなる虞がある。
次いで、表皮層と繊維質基材とを貼り合わせる。接着層を介してもいいし、直接積層してもよい。接着層を介することにより、表皮層を繊維質基材に直接積層した場合に起こり得る、表皮層を構成するポリウレタン樹脂の繊維質基材への過度の浸み込みや、表皮層内の不均一な孔の形成が抑制されて、天然皮革調の触感や風合いを具備することができる。
接着剤としては、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。表皮層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
接着剤を塗布する方法は、公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。
次いで、表皮層から離型性基材を剥離する。剥離することで、表皮層と繊維質基材との積層体が得られる。
その後、表皮層上に表面処理層を形成する。表面処理層を形成するために、表面処理層用樹脂液を表皮層に塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも、均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、リバースロールコーター、ナイフコーターまたはコンマコーターによる塗布が好ましい。樹脂組成物の塗布厚は、前記表面処理層の厚さに応じて適宜設定すればよい。
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、表面処理層用樹脂液中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
熱処理温度は50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。熱処理温度が50℃未満であると、熱処理に時間がかかり、工程負荷が大きくなったり、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となったりする虞がある。熱処理温度が150℃を超えると、合成皮革の風合いが粗硬になる虞がある。また、熱処理時間は2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは2〜10分間である。熱処理時間が2分間未満であると、樹脂の架橋が不十分となって耐摩耗性が不良となる虞がある。熱処理時間が20分間を超えると、加工速度が遅くなり工程負荷が大きくなる虞がある。
かくして、実施形態に係る合成皮革が得られる。但し、本発明の合成皮革を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は重量基準であるものとする。また、得られた合成皮革の評価は以下の方法に従った。
[評価項目]
[耐白化性]
本試験は、シート上での人の動き(上下動、前後動、ツイスト運動)を再現する臀部模型を備えるロボットによって行った。
具体的には、室温20±2℃、湿度65±5%RHの状況下で、臀部模型上に試験片を配置し、荷重が77kg重(754.6N)、臀部模型の上下動(50mm)と前後動(30mm)とツイスト運動(15度)をこの順で25万回繰り返し摩耗した。摩耗後の試験片を目視で確認し、下記の基準に従って判定した。
○:表面に変化が認められない
△:若干白化現象が認められるが目立たない
×:明らかに白化現象が認められる
[耐摩耗性]
幅70mm、長さ300mmの大きさの試験片をタテ、ヨコ各方向からそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームを添えて、平面摩耗試験機T−TYPE(株式会社大栄科学精器製作所製)に固定した。綿布(綿帆布)をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nを掛けて試験片を摩耗した。摩擦子は試験片の表面上140mmの間を60往復/分の速さで10000回往復摩耗した。その際、摩耗回数2500回往復ごとに綿帆布を交換し、合計10000回往復摩耗した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って判定した。
○:表皮層に亀裂や削れ、破れがない
△:表皮層に亀裂が発生した
×:表皮層に亀裂だけでなく削れや破れが発生した
[実施例1]
(表皮層の形成)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(商品名「クリスボンNY−331」、DIC株式会社製)100重量部に対して、ジメチルホルムアミド40重量部を加え、粘度約2000cpsに調整して表皮層用ポリウレタン樹脂液を作製した。該ポリウレタン樹脂液を離型紙へ塗布厚200μmになるようにコンマコーターにてコーティングした後、130℃で2分間乾燥し、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を得た。
ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤(商品名「クリスボンTA−205」、DIC株式会社製)100重量部に対して、ジメチルホルムアミド50重量部を加え、粘度約4500cpsに調整した接着剤樹脂溶液を作製した。該接着剤樹脂溶液を、前記表皮層に塗布厚200μmになるようにコンマコーターにてコーティングした後、100℃で1分間乾燥した。接着剤塗布面と繊維質基材のポリエステルトリコット編地表面を合わせて4kgf/cm(39.2N/cm)条件下で1分間プレス圧着した後、離型紙を剥離した。厚さ40μmのポリウレタン樹脂からなる表皮層が形成されていた。
(表面処理層の形成)
下記の処方1に従い調製した表面処理層用ポリウレタン樹脂液を、上述の表皮層表面にリバ−スコータ−にてコーティングした後、130℃で2分間乾燥し、厚さ15μmの表面処理層を形成し、実施例の合成皮革を得た。なお、表面処理層用ポリウレタン樹脂液の粘度は、3200cps(B型粘度計、ローター:No4、60rpm、23℃)であった。
処方1(表面処理層用ポリウレタン樹脂液)
水系ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(商品名「UC−02」、LANXESS株式会社製、固形分20重量%):100重量部
イソシアネート系架橋剤(商品名「AQUADERM XL−50」、LANXESS株式会社製、固形分40重量%):3重量部
シリコーン系化合物水分散液1(ジメチルシリコーン、固形分60重量%、数平均分子量56万、固体):4重量部
レベリング剤(ノニオン系界面活性剤、商品名「AQUADERM Fluid H」、LANXESS株式会社製、固形分100重量%):1重量部
得られた合成皮革を評価した結果、耐白化性及び耐摩耗性ともに、評価は「○」であった。
その他の実施例及び比較例は、表面処理層用ポリウレタン樹脂組成物を表1に従って作成した以外は、全て実施例1と同様にして合成皮革を作製した。表1中のシリコーン系化合物水分散液2〜4の詳細は以下の通りである。
・シリコーン系化合物水分散液2:ジメチルシリコーン、固形分30重量%、数平均分子量40万、固体
・シリコーン系化合物水分散液3:ジメチルシリコーン、固形分30重量%、数平均分子量39万、固体
・シリコーン系化合物水分散液4:ジメチルシリコーン、シリコーン系化合物含有量30重量%、数平均分子量30万、液体
実施例および比較例によって作製された合成皮革の評価は前述の方法によってなされ、結果を表1に記載した。表1に示されるように、液体のシリコーン系化合物を配合した比較例1では、耐摩耗性には優れるものの、耐白化性に劣っていた。これに対し、固体のシリコーン系化合物を配合した実施例1〜6であると、耐摩耗性を有しつつ、白化現象も抑制できた。
Figure 0006207304
1…合成皮革、2…繊維質基材、3…表皮層、4…表面処理層、5…接着層

Claims (5)

  1. 繊維質基材の一方の面に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層と、ポリウレタン樹脂および固体のシリコーン系化合物を含有する表面処理層と、を順次積層してなり、前記シリコーン系化合物は数平均分子量が33万以上のジメチルシリコーンである、合成皮革。
  2. 前記表面処理層は、シリコーン系化合物をポリウレタン樹脂の固形分に対して5〜40重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の合成皮革。
  3. 前記シリコーン系化合物は、前記表面処理層中において固形の粒として分散した状態に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成皮革。
  4. 前記表面処理層の厚みが3〜30μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の合成皮革。
  5. 表皮層用樹脂液を離型性基材上に塗布して、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を形成する工程と、
    表皮層と繊維質基材とを貼り合わせる工程と、
    離型性基材を剥離する工程と、
    ポリウレタン樹脂および固体のシリコーン系化合物を含有する表面処理層用樹脂液を表皮層上に塗布して、表面処理層を形成する工程と、
    を含み、前記シリコーン系化合物は数平均分子量が33万以上のジメチルシリコーンである、合成皮革の製造方法。
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