JP5734801B2 - 合成皮革用基布及び合成皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、合成皮革用基布及びそれを用いた合成皮革に関する。
近年、自動車内装部品(インストルメントパネル、ドアトリム、座席、天井など)、鉄道車両・航空機内装部品(トリム、座席、天井など)、家具、靴・履物・鞄、建装用内外装部材、衣類表装材・裏地、壁装材などには、天然皮革や繊維性シートに代えて、耐久性に優れる合成皮革が多用されている。例えば、航空機用内装部品や自動車内装品については、軽量で耐久性があること、耐火性が良好であることが必要であり、これらの基礎的な特性に加え、ある程度の厚みと適度の弾力性を有し、天然の皮革に近い感触をもつ合成皮革が求められている。
このような合成皮革は、寸法安定性や加工性から基布などの繊維質シート表面に、適度の弾力性を調整するための柔軟な樹脂層と、皮革様の外観を有し、耐摩耗性に優れた表皮層を有するものが一般的である。
しかしながら、基布と樹脂層と表皮層の3層構造の合成皮革においては、裏面に貼着されている基布の剛性や伸縮性と樹脂層の物性との関係で、基布と樹脂層との接着強度が充分ではない、或いは、折れ皺が発生し易く、座席シートなどに加工する場合の加工性に劣るなどの問題が生じ、解決が望まれていた。
詳細には、合成皮革に用いられる基布の伸縮性が悪いと形状追随性に劣り、一方、伸縮性に優れたにメリヤス編みなどを用いると樹脂層が基布の伸縮の影響を受けて、使用時に部分的に伸ばされたところが当初設計された樹脂層の厚みより薄くなり、摩耗強度が弱くなる部分が発生する可能性があり、伸縮性が低いものの風合いが柔軟な平織りなどの基布を用いた場合には、伸縮性が小さすぎて立体感のある型への追随性が悪くなり、縫製工程が非常に複雑となり、生産性に劣るといった問題があった。
また、基布と樹脂層との接着強度を向上させるために、基布として起毛を有するメリヤス編みを用い、起毛繊維の長さの少なくとも一部を樹脂層に存在させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、接着性は向上するものの、起毛繊維の強度には限界があり、さらなる向上が望まれている。また、ここに記載の合成皮革は難燃性については考慮されていない。
難燃性向上を目的として、基布に窒素系、リン酸系の難燃剤を含浸させてなる合成皮革が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、基布に用いられる織布や不織布の厚みや強度が充分ではない場合、例えば、座席シートなどに使用した場合に仕上り性が劣るという問題があり、さらに、基布に難燃剤などを含浸させ、その後、乾燥させた後、樹脂層と接着させるため、工程が煩雑になるという問題があった。
特開平9−111671号公報 特開2006−77349号公報
上記従来技術の問題点を考慮してなされた本発明の目的は、充分な厚みを有し、合成皮革の製造に好適な易加工性、耐久性と難燃性に優れた合成皮革用基布、及びそれを用いた、適度の弾力性を有し、天然の皮革に近い感触をもち、耐久性、難燃性及び加工性に優れた合成皮革を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、難燃繊維とセルロース系繊維とを用いた織布を基布として用いることで、上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
本発明の第1の実施形態に係る発明は、限界酸素指数(LOI値)が25以上の難燃繊維とセルロース系繊維とを含む糸を用いた両面編組織を有し、質量が150g/m〜250g/mの編製体であり、該編製体のLOI値が25以上である合成皮革用基布である。
本発明の第2の実施形態に係る発明は、前記難燃繊維が、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、及び塩化ビニル系繊維から選ばれた1種以上であり、前記セルロース系繊維が、綿、及びレーヨンから選ばれた1種以上である前記第1の実施形態に記載の合成皮革用基布である。
本発明の第3の実施形態に係る発明は、前記編製体が、ポンチローマ編み組織を有する、第1の実施形態又は第2の実施形態に記載の合成皮革用基布である。
本発明の第4の実施形態に係る発明は、前記編製体が起毛を有する、第1の実施形態〜第3の実施形態のいずれか1項に記載の合成皮革用基布である。
本発明の第5の実施形態は、本発明の第1の実施形態〜第4の実施形態のいずれか1項に記載の合成皮革用基布上に、水系ポリウレタン接着層、及び水系ポリウレタン表皮層をこの順で有する合成皮革である。
本発明の第6の実施形態は、前記水系ポリウレタン接着層と、水系ポリウレタン表皮層との間に、さらに水系ウレタン乾式発泡層を有する第5の実施形態に記載の合成皮革である。
本発明の第7の実施形態は、前記水系ポリウレタン表皮層に用いられる水系ポリウレタンが、100%モジュラスで50N/cm〜1200N/cmの範囲である硬さのフィルムを形成しうる水性ポリウレタンである前記第5の実施形態又は第6の実施形態に記載の合成皮革である。
本発明の第8の実施形態は、前記水系ポリウレタン接着層に用いられる水系ポリウレタンが、100%モジュラスで10N/cm〜1000N/cmの範囲である硬さのフィルムを形成しうる水性ポリウレタンである前記第5の実施形態〜第7の実施形態のいずれか1項に記載の合成皮革である。
本発明の第9の実施形態は、前記水系ポリウレタン接着層が難燃剤を含有する、第5の実施形態〜第8の実施形態のいずれか1項に記載の合成皮革である。
前記本発明では、基布を構成する編製体として難燃繊維と、天然繊維であり通気性と風合いに優れたセルロース系繊維とを用いた編製体を用いているために、強度と風合いに優れ、且つ、難燃性が良好なものとなったと考えられる。
この編製体を、難燃繊維糸とセルロース系繊維糸とを用いた両面編の組織とすることでさらに風合い、弾力性が良好になる。本発明において、「難燃繊維とセルロース系繊維とを含む糸を用いた両面編組織」とは、難燃繊維とセルロース系繊維とを含む混紡糸を用いた両面編組織及び難燃繊維からなる糸とセルロース系繊維からなる糸とを用いた両面編組織の双方の態様を含むものである。前者の場合には、混紡糸中のセルロース系繊維が燃焼時に炭化することで編製体の燃焼速度を遅延させることができる。また、後者のように別々の糸として編製する場合には、例えば、より難燃性が求められる側に難燃繊維糸を露出するように編製することで特定面の難燃性の向上を図ることができる。
本発明の好ましい態様では、組織をポンチローマ編み組織としたために、両面編の緻密さとリブ編みの弾力性を備え持つ、強度、風合い及び難燃性に優れた、合成皮革に好適な基布となる。
本発明によれば、充分な厚みを有し、合成皮革の製造に好適な耐久性と難燃性に優れた合成皮革用基布を提供することができる。また、前記本発明の合成皮革用基布を用いることで、適度の弾力性を有し、天然の皮革に近い感触をもち、耐久性、難燃性及び加工性に優れた合成皮革を提供することができる。
ポンチローマ編み組織の一態様を示す画像部分拡大図である。 本発明の合成皮革の一態様を示す概略断面図である。 本発明の合成皮革の別の態様を示す概略断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
<合成皮革用基布>
まず、本発明の合成皮革用基布について説明する。
本発明の合成皮革用基布は、限界酸素指数(LOI値)が25以上の難燃繊維とセルロース系繊維とを含んで編製され、編製体のLOI値が25以上であることを特徴とする。
即ち、基布用の編製体(編物)は、2種の異なる繊維糸を使用して編製され、好ましくは両面編の組織を有する。
限界酸素指数(LOI値)とは、ものが燃え続けるのに必要な酸素濃度を示し、JIS K7201に記載の方法で測定される。通常、空気中の酸素濃度が21.2%程度であるため、LOI値が25以上であれば、難燃性が良好な繊維であるといえる。
(難燃繊維)
本発明の基布に使用される難燃繊維は、LOI値が25以上であれば特に制限はないが、柔軟でボリューム感のある編製体を形成しうるという観点からは、難燃性の合成繊維が好ましく、具体的には、メタ系アラミド繊維を含むアラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、塩化ビニリデン繊維、及び塩化ビニル系繊維が挙げられる。また、難燃加工してLOI値を25以上とされた難燃化ポリノジック繊維、難燃化ポリエステル繊維、難燃化アクリル系繊維、及び難燃化レーヨン繊維などを用いてもよい。
なかでも、難燃性及び基布に編製したときの強度及び風合いに優れるという観点からは、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、及び塩化ビニル系繊維から選ばれた1種以上の繊維が好ましい。これらの繊維はLOI値が25以上であることを要するが、本発明に使用される難燃繊維のLOI値は、好ましくは26以上であり、より好ましくは28以上である。
本発明の基布は難燃繊維からなる糸と後述するセルロース系繊維からなる糸により編製された編製体(編物)であるが、編製体自体のLOI値もまた25以上であることを要するため、編製体における難燃繊維の使用量は、セルロース系繊維の使用量に対し、等量以上であることが好ましく、編製体を構成する糸の全質量に対する難燃繊維の割合が60質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
また、車両用内装材などに使用される合成皮革用の基布であることを考慮すれば、編製体の編製に使用される糸は20番手〜40番手程度の太さであることが好ましい。
(セルロース系繊維)
本発明の基布に用いられるセルロース系繊維には特に制限はなく、綿、麻、キュプラ、及びレーヨンなどが挙げられ、好ましくは、綿、及びレーヨンから選ばれた1種以上である。通常、綿やレーヨンはLOI値が18程度で易燃性ではあるが、前記難燃繊維と組み合わせて編製体とすることで、セルロース系繊維の特性を生かしつつ、編製体全体のLOI値が25以上となるような態様で使用される。
セルロース系繊維を併用することで、燃焼時にセルロース系繊維が炭化して、編製体の燃焼速度を遅延させることができる。
基布の難燃性を低下させることなく、上記、炭化による燃焼速度の優れた遅延効果を得るためには、セルロース系繊維は、難燃繊維と混紡して用いることが好ましい。即ち、本発明の好ましい態様では、編製体を作製するのに用いられる糸は、難燃性繊維とセルロース系繊維との混紡糸であり、この構成により編製体のLOI値が25以上を達成するものである。
前記難燃繊維とセルロース系繊維により両面編組織を有する編製体を編製する場合に使用される糸としては、得られる基布の弾力性、強度の観点から、太さ20番手〜40番手(程度、糸密度は、ウェール:20本/25mm〜50本/25mm、コース:15本/25mm〜70本/25mm程度であることが好ましい。
このようにして得られた編製体は、質量が150g/m〜250g/mの範囲であることが好ましく、175g/m〜225g/mの範囲であることがより好ましい。
編製体の組織には特に制限はなく、難燃繊維とセルロース系繊維とを撚り合わせた混紡糸で、均一な編製体としてもよく、難燃繊維からなる糸とセルロース系繊維からなる糸とを別々に使用した両面編組織であり、片面に主として難燃繊維が、他方の面に主としてセルロース繊維が露出するように組織される編製体であってもよいが、編製体の風合い(柔軟性)に優れるという観点からは、基布の編製に好適な糸は、撚り糸(混紡糸)であり、上記難燃性効果向上の観点からも、難燃繊維とセルロース系繊維との混紡糸による編製体であることが好ましい。
両面編組織の好ましい態様としては、両面編の変化組織の一つであり、両面編みと袋編みと、を交互に繰り返す組織であるポンチローマ(ponterome)編が、強度と弾力性が良好で、得られた合成皮革の加工性に優れる観点から好ましい。図1は、ポンチローマ編み組織を有する編製体10の一例を示す部分拡大図である。ここでは、編製状態をわかりやすくするために、第1の糸12と第2の糸14とを色を変えて表示したものである。例えば、第1の糸12と第2の糸14とを、難燃性繊維とセルロース系繊維とを併用した混紡糸としてもよく、第1の糸12を難燃繊維からなる糸とし、第2の糸14をセルロース系繊維からなる糸として編製してもよい。ポンチローマ編組織を有する編製体10は、片面に主として第1の糸12が露出し、他方の面に主として第2の糸14が露出するため、例えば、片面に難燃性繊維糸を露出させてそれを表面側に使用し、易燃性のセルロース系繊維が露出する面を裏面とすることで、セルロース系繊維か主として露出する面が難燃繊維層により保護された編製体10としてもよく、また、同一の組成の混紡糸を用いてもよく、互いに混紡率の異なる2種の混紡糸を用いてもよい。いずれの場合にも、前記2種類の繊維を併用することにより基布全体の難燃性が改良されるものと考えられる。
本発明の合成皮革用基布は、難燃性が良好であることに加え、強度と弾力性に優れ、柔軟であることから合成皮革の形成に有用であり、この基布10を用いてなる合成皮革は強度と加工性に優れる。
なお、基布10は少なくとも片面に起毛を有していてもよい。起毛は常法により形成することができる。基布10の起毛を有する面と隣接する水系ウレタン接着層22とを接触させることで両者の密着性、密着強度が改良される。
<合成皮革>
次に、本発明の合成皮革について説明する。
本発明の合成皮革は、前記本発明の合成皮革用基布上に、水系ポリウレタン接着層、及び水系ポリウレタン表皮層をこの順で有することを特徴とする。水系ポリウレタン接着層と、水系ポリウレタン表皮層との間には、さらに水系ウレタン乾式発泡層を有していてもよい。
図2は、本発明の合成皮革16の一態様を示す概略断面図である。
本発明の合成皮革16は、前記本発明の合成皮革用基布10の表面に、水系ポリウレタン接着層22、水系ウレタン発泡層20、水系ポリウレタン表皮層18をこの順に設けてなる。なお、本明細書において「この順に設ける」とは、基布10上に、前記接着層22、発泡層20及び表皮層18がこの順に存在していること意味し、所望により設けられる他の層の存在を否定するものではない。
本実施形態における水系ウレタン発泡層20は、合成皮革の使用態様により所望により設けられる層であり、水系ウレタン発泡層20を設けることで合成皮革16の弾力性、柔軟性、形状追随性が改良される。
本実施形態に係る合成皮革16の一般的な製造方法について説明する。まず、離型剤層を有する仮支持体の離型剤層表面に、水系ウレタン表皮層形成用組成物を塗布、乾燥して水系ウレタン表皮層18を設ける。次に、形成された表皮層18上に、水系ポリウレタン樹脂組成物に熱膨張ビーズが分散されてなる水系ウレタン発泡層形成用塗布液を、50g/m〜500g/m塗布し、乾燥して塗布液層を形成し、その後、加熱、乾燥して熱膨張ビーズを発泡させ、気泡を内在する発泡層20を形成する。
形成された発泡層20表面に、水系ウレタン接着剤を塗布して接着剤層22を形成し、形成された接着剤層22を有する面と基材(基布)10とを密着させて接着剤層22を硬化させ、その後、仮支持体を剥離することで合成皮革16が製造される。
離型剤層を有する仮支持体表面に、皮革様の凹凸(シボ模様)を形成することで、表皮層18に皮革様の凹凸模様が形成され、天然皮革様の外観を有する合成皮革16が得られる。
〔水系ウレタン表皮層〕
水系ウレタン表皮層は、離型剤層を有する仮支持体の離型剤層表面に、表皮層形成用組成物を、例えば、密閉式もしくは開放式コーティングヘッドにて塗布し、加熱乾燥して所望の厚みに形成させることにより得られる。
仮支持体は、表面に離型剤層を有するとともに、表面には所望のシボ型(凹凸模様)が形成される。例えば、合成皮革16を天然皮革様の外観を有する表皮材とする場合には、予め仮支持体の離型剤層を形成する側の表面に皮革様の凹凸模様を形成すればよい。このとき、仮支持体の離型剤層が形成された側の表面に表皮層形成用組成物を塗布することで、形成される表皮層18には皮革様の凹凸模様が転写される。
表皮層18の形成に使用される水系ポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物等が挙げられ、長期耐久性が必要な場合には、ポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。
本発明におけるポリエーテル系又はポリカーボネート系の水性ポリウレタンは、単独で用いてもよく、また、本発明の効果を損なわない限り、他のポリウレタン樹脂と混合して用いてもよい。このような水系ポリウレタン主剤は分子鎖の一部に1個または2個以上の親水性のカルボキシル基を導入して、水に分散しやすくした、所謂自己乳化型水系ポリウレタンであることが好ましい。自己乳化型水系ポリウレタンは、常法に従って、ポリエーテル系又はポリカーボネート系ジオールとジオール含有低分子量物とジメチロールアルキルカルボン酸とジイソシネアネートより作製したプレポリマーを、アルカリ等で中和してから、ジアミン鎖伸長剤で高分子化しながらナノサイズの粒子径で水に分散させて得ることができる。
本発明に適した水系ポリウレタンは、ポリエーテル又はポリカーボネート系の水系ポリウレタンの単独あるいはポリエーテル系及びポリカーボネート系混合乃至共重合物におけるウレタン主剤の分子鎖の一部に、水系ポリウレタン主剤に対して、質量比で0.01%〜10%、好ましくは0.05%〜5%、より好ましくは0.1%〜2%のカルボキシル基が導入されていることが望ましい。前記質量比の範囲において、充分な水分散性と乾燥成膜性が得られる。
また、強度の観点からは、これら水系ポリウレタンは、架橋構造を有するものが好ましい。即ち、ウレタン主剤にカルボキシル基が導入されたものを用いることにより、該カルボキシル基と架橋剤が反応して架橋構造が形成され、得られるポリウレタン表皮層の剥離強度、反発弾性が飛躍的に向上する。架橋構造を形成するための架橋剤としては、従来知られているイソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤などが好適であり、また、オキサゾリン系架橋剤なども好ましく用いられる。なかでも、カルボジイミド架橋剤を用いることが、水系ポリウレタンの加水分解を抑制する観点からより好ましい。
表皮層18の形成に使用する前記水系ポリウレタンは、JIS K6772で測定した硬さが、100%モジュラスで50N/cm〜1200N/cmの範囲にあるフィルムを形成しうる水系ポリウレタンであることが好適であり、98N/cm〜1176N/cmの範囲であることがさらに好ましく、196N/cm〜980N/cmの範囲であることがより好ましい。また、表皮層を形成するに際して主剤として用いられる前記水系ポリウレタンは、GPC法で測定した重量平均分子量が5万〜15万の範囲であることが好ましい。
表皮層18には、前記ベースとなる樹脂に加え、着色剤を含有してもよい。
着色剤としては、例えば、ウレタン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子などから選ばれる有機樹脂微粒子に着色剤が含まれてなる着色有機樹脂粒子などが挙げられ、なかでも、分散媒となるポリウレタン系樹脂に対する親和性、均一分散性の観点からポリカーボネート系の着色樹脂粒子を含有することが好ましい。
このような有機樹脂微粒子の平均粒径は、一般的には、0.5μm〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、3μm〜50μmの範囲である。
表皮層18の塗布量、及び膜厚には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、強度及び外観の観点から、乾燥前の塗布量として、50g/m〜300g/mの範囲であることが好ましく、150g/m〜250g/mの範囲であることがさらに好ましい。また、乾燥後の膜厚は、10μm〜70μm程度が好ましく、10μm〜30μm程度がさらに好ましい。
〔水系ウレタン発泡層〕
前記のようにして形成された表皮層18上に、水系ウレタン発泡層20を設ける。
水系ウレタン発泡層20の形成に使用される水系ウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物が挙げられ、長期耐久性が必要な場合ポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。
水系ウレタン発泡層20の形成に用いられる水系ポリウレタンは、表皮層18の形成に用いるポリウレタンと同様に、水系の物性を持たせるため、ウレタン主剤の分子鎖の一部に1個または2個以上の親水性のカルボキシル基を導入してなるものが好ましく、常法に従って、ポリエーテル系又はポリカーボネート系ジオールとジオール含有低分子量物とジメチロールアルキルカルボン酸とジイソシネアネートより作製したプレポリマーを、アルカリ等で中和してから、ジアミン鎖伸長剤で高分子化しながらナノサイズの粒子径で水に分散させて得ることができる。ポリエーテル系又はポリカーボネート系の水系ポリウレタンの単独あるいはその混合乃至共重合物からなる水系ウレタン主剤は、水性分散液として用いられ、水分散状態で加水分解することなく長期間安定であり、それから得られる発泡体は耐久性、かつ耐候性にも優れるという利点を有する。
カルボキシ基を導入した水系ポリウレタンによる発泡層の形成方法にはとくに制限はなく、公知の発泡剤を併用する方法などをとればよいが、安定性向上の観点からは、5質量%水溶液の曇点が50℃以上である高曇点界面活性剤を用いて強制乳化させた水系ポリウレタン主剤を撹拌しながら起泡剤、整泡剤、架橋剤を添加し、更に増粘剤を添加して得られたクリーム状に機械発泡した水分散液を、前起表皮層18表面に塗布し、乾燥することで形成する方法が好ましい。
高曇点界面活性剤を用いて強制乳化させた水系ポリウレタン主剤の分散液における水系ポリウレタンの分散粒子径は、乾燥成膜性、発泡体の均一構造等を考慮すると、0.1μm以上となるのが好ましく、より好ましくは0.4μm〜0.8μmである。更に樹脂の固形分は剥離強度を考慮すると、40質量%以上、好ましくは60質量%以上が好ましい。
次に水系ポリウレタン主剤を撹拌しながら、少なくとも起泡剤、整泡剤、架橋剤を添加し、更に増粘剤が添加される。ここで、起泡剤としてはそれ自体に化学変化を生ぜず、水系ウレタン分散液の表面張力を低下させることにより、機械的撹拌で起泡し易くするもので、アルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニールエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸エステル塩、エーテル変性シリコーン系化合物が挙げられ、これらのなかで、水系ポリウレタン分散液に添加し、撹拌したときの泡立ちがよく、長時間においても泡の高さが変わらず、60℃の雰囲気で泡の高さの変化が少ない点からスルホ琥珀酸ラウリルエステルナトリウムが好ましい。
整泡剤としては、気泡生成時に気泡膜の表面張力を低下させることにより破泡を防ぐとともに、安定した気泡の均一微細化をはかるために使用するもので、炭素数が14以上の高級脂肪酸エステルナトリウムが好ましく、例えば、ミリスチン酸ナトリウム、バルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムの単独又はこれらの混合物が挙げられる。これらのなかで、水系ポリウレタン分散剤に添加して撹拌したときに、泡立ちが少ないが均一で微細な泡が立ち、長時間放置しても泡の高さが変わらず、また60℃の雰囲気で泡の高さが全く変化しない安定性を示す点から、特にパルミチン酸ナトリウムが好ましい。パルミチン酸ナトリウムの添加量は、水系ポリウレタン分散液100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部、好ましくは1質量部〜5質量部である。
架橋剤としては、既述のものが用いられ、好ましくはカルボジイミド系架橋剤である。架橋剤の添加量は、水系ポリウレタン分散液100質量部に対して0.5質量部〜20質量部以上であることが望ましく、より好ましくは1質量部〜10質量部、さらに好ましくは3質量部〜7質量部である。架橋剤の添加量が上記範囲において、硬化が十分に行われ、目的とする剥離強度と反発弾性が得られ、且つ、未反応成分の残留に起因する物性の低下が抑制される。
水系ポリウレタン分散液の粘度は気泡の安定性から高粘度の配合が要求され、BH型粘度計で1,000Pas〜100,000mPas、さらに平滑塗工面を得るためには、5,000Pas〜50,000mPasが好ましい。増粘剤としては、一般に水溶性高分子が用いられるが、カゼイン、アルギン酸塩、アラビヤゴム、カルボキシ化メチルセルロース塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリアクリルアミド系エマルジョン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、カルボキシル化スチレンブタジエンポリマー、カルボキシル化ビニルポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリフタリル酸エマルジョン等が使用される。その他にモンモリナイト、ベントナイト、クレー等の無機系の増粘剤も単独又は混合して使用することができる。これらの増粘剤は親水性であり、使用量が多いと、発泡体の硬さ、吸湿性や保水性に影響を与えるため、使用量ができるだけ少なくて増粘効果のある会合型のポリアルキレンオキシドポリマーなどを1質量部〜5質量部添加するのが好ましい。
また、水系ポリウレタン分散液には,起泡剤、整泡剤、オキサゾリン系架橋剤、増粘剤の他に必要に応じて成膜助剤、顔料、難燃剤、充填材、老化防止剤、紫外線吸収剤、芳香剤等の成分を添加することができる。
水系ポリウレタン分散液に所定の成分を添加して、通常のバッチ式攪拌機、例えばホバートミキサー、ホィッパーなどにて空気を巻き込みながら機械的に撹拌すると、クリーム状に機械発泡した分散液が得られる。量産化においては、オークスミキサー、ピンミキサーなどにて定量の空気量を送り込みながら連続的に攪拌する方法が望ましい。この機械発泡した分散液を所定の基材に塗布する方法は、通常のナイフコーター、コンマコーター、ロールコーター、リップコーターなど塗工装置が使用できる。
この機械発泡した分散液を塗布する場合において、水系ポリウレタン分散液を前記表面層18上に塗布し、塗布後、乾燥・熱処理を行えばよく、この塗布、乾燥・熱処理を2回以上繰り返すことで、任意の厚さの発泡体を形成することができる。所望される発泡層の厚みが、1mm以上である場合には、上記工程を2回以上行うことが、得られた発泡層の押圧による反発弾性、剥離強度等の物性が良好になるため望ましい。
前記乾燥温度は、50℃〜100℃、乾燥時間は0.5分〜10分が好ましく、熱処理温度は、100℃〜180℃、より好ましくは120℃〜160℃、熱処理時間は、0.5分〜10分、より好ましくは2分〜8分である。乾燥方法としては、従来の熱風乾燥、遠赤外線ラジエター乾燥などの装置を単独又は組み合わせて使用することができる。
このようなポリエーテル系又はポリカーボネート系の水系ポリウレタンを用いた発泡層の形成方法については、特許第4596865号公報に詳細に記載され、ここに記載の技術は本発明における発泡層の形成に適用することができる。
また、発泡層20はベースとなる水系ポリウレタン樹脂組成物に熱膨張ビーズを添加してなる発泡層形成用塗布液を、前記表皮層18の表面に、塗布し、乾燥して塗布液層を形成したのち、加熱することで塗布液層に内在する熱膨張ビーズを膨張させて空隙を形成させることで発泡層20を形成してもよい。
発泡層20の形成に使用する前記水系ポリウレタンは、硬さが100%モジュラスで50N/cm〜1200N/cmの範囲であるフィルムを形成しうる水系ポリウレタンであることが好適であり、98N/cm〜1176N/cmの範囲であることがさらに好ましく、98N/cm〜490N/cmの範囲であることがより好ましい。また、発泡層を形成するに際して主剤として用いられる前記水系ポリウレタンの重量平均分子量は、25万〜150万の範囲であることが好ましい。
発泡層20の乾燥前の塗布量は、50g/m〜500g/mmp範囲であることが好ましく、ビーズを使用する方法では、乾燥して塗布液層を形成したのち、加熱することで塗布液層に内在する熱膨張ビーズを膨張させて空隙を形成させることで発泡層20が形成される。
発泡層形成用塗布液に用いる熱膨張ビーズとは、中空の熱可塑性樹粒子中に炭化水素系溶剤などの有機溶剤等を内包してなる粒子であり、加熱により有機溶剤の体積膨張により粒子の体積が増加し、結果として樹脂マトリックス(分散媒)中に気泡が内在された発泡層20が形成される。
本発明に使用される熱膨張ビーズは、加熱により膨張して前記水系ポリウレタン樹脂マトリックスに気泡が形成され、形成された気泡の状態を維持しうるものであれば、いずれのものを用いてもよい。
熱膨張ビーズは市販品としても入手可能であり、例えば、日本フェライト社製のエクスパンセルシリーズ(商品名)などが挙げられ、いずれも本発明に使用しうる。
熱膨張ビーズの添加量としては、水系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜7質量部であることがより好ましい。
熱膨張ビーズを用いた場合の発泡層形成用塗布液層の乾燥は、温度が90℃〜130℃の範囲にて行われることが好ましく、100℃〜120℃の温度条件にて行われることがより好ましい。
また、前記発泡層形成工程において、熱膨張ビーズを膨張させるための加熱温度は130℃〜200℃の範囲であることが好ましく、150℃〜180℃の範囲であることがより好ましい。
発泡層形成用塗布液には、外観を調製する目的で着色剤を含有してもよい。発泡層に使用される着色剤としては、各種顔料や染料を含む着色有機微粒子などを目的に応じて選択して用いることができるが、意匠性、耐久性の観点から、有機顔料及び無機顔料から選択される1種以上又はこれら顔料を含有する着色有機微粒子であることが好ましい。なお、前記した表皮層にも着色剤を含んでもいてよく、表皮層における着色剤と発泡層における着色剤は同じであっても異なっていてもよい。
着色剤の含有量は使用目的に応じて適宜選択されるが、主剤である水系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、1質量部〜100質量部の範囲で含有することが好ましい。着色剤を複数種含有する場合、含有量は複数の着色剤の総量を示す。
なお、発泡層形成用塗布液には、その他の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲において併用してもよい。併用しうる添加剤としては、難燃剤、鎖伸長剤、チキソトロピー付与剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤などが挙げられる。
発泡層20の塗布量、及び膜厚には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、強度及び外観の観点から、乾燥前の塗布量として、25g/m〜500g/mの範囲であることが好ましく、25g/m〜200g/mの範囲であることがさらに好ましい。また、乾燥後の膜厚は、10μm〜100μm程度が好ましく、20μm〜60μm程度がさらに好ましい。
〔水系ウレタン接着層〕
形成された発泡層20の表面に水系ウレタン接着層22を設ける。
水系ウレタン接着層22の形成に使用される水系ウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物が挙げられ、長期耐久性が必要な場合ポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。接着剤層に用いられる水系ポリウレタンも、前記表皮層や発泡層に用いられる水系ポリウレタンと同様に、水系の物性を持たせるため、ウレタン主剤の分子鎖の一部に1個または2個以上の親水性のカルボキシル基を導入してなるものが好ましい。
また、接着剤層の形成に用いられる水系ポリウレタンとしては、市販される各種の水系ポリウレタン樹脂、例えば、バイエル社製、インプラニールDLU等も適用可能である。
接着層の形成に使用する水系ポリウレタンは、硬さが、100%モジュラスで10N/cm〜1000N/cmの範囲であるフィルムを形成しうる水系ポリウレタンであることが好ましく、より好ましくは98N/cm〜980N/cmの範囲であり、更に好ましくは196N/cm〜588N/cmの範囲である。また、接着層を形成するに際して主剤として用いられる水系ポリウレタンの重量平均分子量は、1万〜7万の範囲であることが好ましい。
仮支持体上に、表皮層18及び発泡層20を形成した後、発泡層20表面に水系ポリウレタン接着剤を密閉式もしくは開放式コーティングヘッドにて塗工し加熱乾燥して所望の厚みの接着剤塗布液層を形成する。その後、前記合成皮革用基布10を熱圧着させて接着剤を反応硬化させて接着層22の形成と、接着層22と基布16との密着が同時に行われる。
硬化反応促進のための加熱温度及び加熱時間は、接着剤の種類により適宜選択されるが、一般的には30℃〜80℃の範囲であることが好ましく、加熱時間は12時間〜72時間の範囲であることが好ましい。
加熱圧着は、ラミネートはロールニップ装置により、加熱温度を100℃〜150℃の範囲として行うことが好ましい。
また、基布10が少なくとも片面に起毛を有する場合、起毛を有する側を接着層22と密着させることで起毛繊維が接着層形成用の接着剤塗布液層に浸入し、その状態で接着層22が硬化されることで、両者の密着性がより向上する。
基材は単層であっても、目的に応じた物性を有するシートを積層した重層構造を有するものであってもよい。
接着剤組成物には、硬化性向上を目的として、架橋剤、及び架橋促進剤を添加してもよい。また、合成皮革の難燃性向上のため、難燃剤を添加してもよい。
(架橋剤、架橋促進剤)
架橋剤としては、記述のオキサゾリン系架橋剤、ポリイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及びカルボジイミド系架橋剤などを使用することができる。
また、架橋剤とともに、架橋剤に適する架橋促進剤などを併用してもよい。
(難燃剤)
本発明に係る接着層には、難燃剤を含有してもよい。特に、本発明の合成皮革を航空機や車輌用内装材などに用いる場合には、強度とともに難燃性が重要になるため、難燃剤を含有することが好ましい。
本発明に使用しうる難燃剤は、公知のものを適宜使用することができ、例えば、金属水酸化物、リン系難燃剤、及び、窒素−リン系難燃剤などを使用してもよい。難燃剤は市販品としても入手可能であり、例えば、クラリアントジャパン(株)製のSTCパウダーなどが挙げられる。
難燃性の含有量は、接着主剤である水系ポリウレタン接着剤100質量部に対して、1質量部〜50質量部の範囲であることが好ましい。
接着層形成用塗布液の乾燥前の塗布量は、50g/m〜500g/mであることを要し、100g/m〜200g/mであることが好ましい。また、接着層の乾燥後の厚みは、20μm〜100μm程度であることが好ましく、より好ましくは30μm〜80μmの範囲である。接着層の厚みが上記範囲において、充分な弾力性と強度を有する合成皮革が形成される。
このようにして、仮支持体上に表皮層18、発泡層20及び接着層22が形成され、且つ、接着層22と基布10とが接着層22の硬化により密着、固定化されたのち、離型層を有する仮支持体を剥離することで、表皮層18に皮革様の凹凸模様を有し、弾力性と強度が良好な合成皮革16を得る。
図3は、本発明の合成皮革の別の態様を示す概略断面図である。
本実施形態では、合成皮革24は、基布10表面に水系ウレタン接着層22及び水系ウレタン表皮層18をこの順に備えてなる。
本実施形態の合成皮革24は、前記実施形態の合成皮革16において、水系ウレタン接着層22と水系ウレタン表皮層18との間に水系ウレタン発泡層20を有しないこと以外は、同様の構成を有する。
ただし、合成皮革24を所望の膜厚と弾力性、強度を有するものとするために、表皮層18及び接着層24の膜厚が適宜調製される。
本実施形態の合成皮革24における表皮層18の好ましい乾燥後の膜厚は10μm〜70μm程度であり、10μm〜30μm程度がさらに好ましい。
また、接着層22の好ましい乾燥後の膜厚は、20μm〜100μm程度であり、30μm〜80μm程度がさらに好ましい。
本発明の合成皮革16は、充分な厚みを有し、合成皮革の製造に好適な易加工性、耐久性と難燃性を備えた前記本発明の合成皮革用基布10を用いているため、所望の色相であり表面に所望の凹凸模様(シボ模様)を有する表皮層16を備えてなり、強度、耐久性及び加工性に優れる。このため、自動車用内装材、鉄道車両・航空機内装部品、家具、靴・履物・鞄、建装用内外装部材、衣類表装材・裏地、など種々の分野に好適に使用することができ、シートや椅子などの複雑な立体形状を有する部材の表面を被覆するような場合においても、形状への追随性が良好であり、自然なシワ感が得られ、天然皮革を用いた場合と同様の感触と外観を達成することができるとともに、素材に起因した耐久性と難燃性が得られるという効果をも奏する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕
太さが22番手のポリ塩化ビニル繊維(LOI値:28)と22番手のレーヨン繊維(LOI値:19)との混紡糸を用いて編み組織がポンチローマであり、厚みが0.8mm、重さが200g/mの編製体(編布)を作製し、本発明の合成皮革用基布10を得た。得られた基布10のJIS K7201により測定したLOI値は26であった。
仮支持体としては、表面離型処理され、離型層を有する紋付き離型紙(大日本印刷(株)製、DE−41:紙厚平均140μmを用いた。
(表皮層形成用組成物)
・100%モジュラスが588N/cmの水系無黄変型ポリカーボネート系
ポリウレタン塗料 100質量部
(バイエル社製、インプラニールDLC−P:商品名)
・着色有機樹脂微粒子(御国色素製、SBPカラーシリーズ) 10質量部
・溶剤(水) 100質量部

上記表皮層形成用組成物を充分に混合し、固形分約19質量%の表皮層形成用組成物を得た。
前記離型層を備えた仮支持体の離型層形成側の表面に、前記表皮層形成用組成物を、開放式のコーティングヘッド塗工装置を用いて、ウエット塗布量が110g/mとなるように塗布した。塗膜が形成された後、100℃で2分間、熱風乾燥機を用いて塗膜を乾燥して、仮支持体上に表皮層18(乾燥後の膜厚:約20μm)を形成した。
(発泡層形成用組成物)
・100%モジュラスが490N/cmで固形分60%の水系難黄変型ポリ
カーボネート系ポリウレタン塗料 100質量部
(バイエル社製、インプラニールDLU)
・熱膨張ビーズ 4質量部
(日本フェライト社製、エクスパンセルDU120)
・架橋剤 3.0質量部
(日本触媒(株)製、エポクロスWS−500)
・増粘剤 2.0質量部
(エレメンティス社製、レオレート210)
上記中間層形成用組成物を充分に混合し、固形分約60質量%の発泡層形成用組成物を得た。
前記表皮層18上に、前記発泡層形成用組成物を、ナイフコート塗工装置を用いて塗布した。塗膜が形成された後、100℃で2分間、熱風乾燥機を用いて塗膜を乾燥して、表皮層18上に開放式の発泡層形成用塗布液層(塗布量:50g/m)を形成した。
形成された中間層形成用塗布液層18を有する積層体を、熱風乾燥機を用いて170℃で2分間加熱し、熱膨張ビーズを膨張させ、気泡を内在する厚み約75μmの発泡層20を形成した。
形成された発泡層20表面に、100%モジュラスが245N/cmの難黄変型水系ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤(バイエル社製、インプラニールDLU)に対して架橋剤(バイエル社製、ディスモジュールN3900)を3質量部添加し、pHが7〜9の非デカブロ系難燃剤を10質量%とアンチモン併用型難燃剤を2質量%添加したものを乾燥後の厚みが50μmとなる様に、圧密閉式のコーティングヘッドにて塗工し、100℃で2分間乾燥して接着剤組成物層を形成し、合成皮革形成用の積層体を得た。
次に、得られた積層体の接着層22と前記ポンチローマ編み組織を有する基布10とを接触させ、ニップ装置でラミネートしたのち、巻き取って50℃で48時間維持し、接着剤の硬化反応を進行させ、基布10と接着層22とを密着させた。
その後、仮支持体を剥離して、基材10表面に、接着層22、発泡層20及び表皮層18をこの順で有する実施例1の合成皮革16を得た。
得られた実施例1の合成皮革16を目視で観察したところ、シボ転写不良による柄抜け、ツヤチカがなく、外観に優れ、指で押した場合の弾力性、感触は良好であった。
〔実施例2〕
実施例1において用いた基布上に、接着層22(厚み:50μm)及び、表皮層18(厚み:20μm)を設け、水系ウレタン発泡層20を設なかった他は、実施例1と同様にして、図3に示す層構成の実施例2の合成樹脂表皮材を作製した。
〔比較例1、比較例2〕
太さが22番手のポリ塩化ビニル繊維(LOI値:28)を用いて編み組織がポンチローマであり、厚みが0.8mm、重さが200g/mの編製体(編布)を作製し、比較例1用の合成皮革用基布を得た。得られた基布のJIS K7201により測定したLOI値は28であった。
また、22番手のレーヨン繊維(LOI値:19)を用いて編み組織がポンチローマであり、厚みが0.8mm、重さが200g/mの編製体(編布)を作製し、比較例2用の合成皮革用基布を得た。得られた基布のJIS K7201により測定したLOI値は19であった。
基布を上記で得られた比較用の基布に変えた以外は実施例1と同様にして比較例1及び比較例2の合成樹脂表皮材を作製した。
(得られた合成皮革の評価)
得られた合成皮革について以下の方法で評価した。結果を下記表1に示す。
1.難燃性評価
得られた各合成皮革について、耐空性審査要領第III部 付録F垂直法に準拠して燃焼試験を行い、下記表1に示す基準にて、難燃性を評価した。
下記表1の基準により、◎又は○と評価された場合、実用上充分な難燃性を示すものと判断する。
2.耐傷性
テーバースクラッチテスター(テスター産業(株)製、HA−201)を用いて、標準的な試験法でテストを行った。その結果、耐スクラッチ性必要性能である2.94N以上のものを○と評価し、2.94N未満であるものを×と評価した。
3.形状追随性
合成皮革を、裁断し、車両用シートのベースとなるシートクッションとシートバックとを有する構造体において、シートバックの広い面積部分を覆う合成皮革パーツと、シートバックの側面を被覆する細幅で小面積の合成皮革パーツ2枚とを縫製したものでシートバックを被覆して、固定し、合成皮革により被覆された車両用シートのシートバックにおける形状追随性を評価した。
合成皮革で被覆された車両用シートのシートバックを目視にて観察し、特にU字型のシートバックの頂部に添って湾曲した部分の広い面積を被覆する合成皮革と側面部に相当する2枚の合成皮革との縫製箇所において、縫い目に沿った細かい縫製ジワと、合成皮革自体が波打って形成された比較的大きめの吊りジワ、それぞれのシワの有無を確認し、下記評価基準により判定した。形状追随性が良好であると、車両用シートのシートバックなどの湾曲した形状を有する構造体を被覆した場合でもシワが発生しにくい。
○:縫製ジワ、吊りジワともに発生が認められない
△:縫製ジワは認められたが、吊りジワの発生が認められなかった
×:縫製ジワ、吊りジワともに発生が認められた
表2の結果より、本発明の合成皮革用基布を用いた実施例1〜2の合成皮革は、外観、感触に優れるとともに、難燃性、耐傷性、形状追随性のいずれにも優れ、難燃性と耐久性が要求される航空機のシート材、車両用内装材、家具などに好適に使用しうることがわかる。他方、基布として難燃性の繊維のみを用いた比較例1では、実施例に比較して形状追随性が低く、また、驚くべきことに、実施例1に比較して難燃性も劣るものであった。易燃性の基布を用いた比較例2は難燃性が極めて低く、実用上問題となるレベルであった。
10 合成皮革用基布
12 第1の糸
14 第2の糸
16、24 合成皮革
18 表皮層
20 発泡層
22 接着層

Claims (9)

  1. 限界酸素指数(LOI値)が25以上の難燃繊維とセルロース系繊維とを含む糸を用いた両面編組織を有し、質量が150g/m〜250g/mの編製体であり、該編製体のLOI値が25以上である合成皮革用基布。
  2. 前記難燃繊維が、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、及び塩化ビニル系繊維から選ばれた1種以上であり、前記セルロース系繊維が、綿、及びレーヨンから選ばれた1種以上である請求項1に記載の合成皮革用基布。
  3. 前記編製体が、ポンチローマ編み組織を有する請求項1又は請求項2に記載の合成皮革用基布。
  4. 前記編製体が、起毛を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の合成皮革用基布。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の合成皮革用基布上に、水系ポリウレタン接着層、及び水系ポリウレタン表皮層をこの順で有する合成皮革。
  6. 前記水系ポリウレタン接着層と、水系ポリウレタン表皮層との間に、さらに水系ウレタン発泡層を有する請求項5に記載の合成皮革。
  7. 前記水系ポリウレタン表皮層に用いられる水系ポリウレタンが、100%モジュラスで50N/cm〜1200N/cmの範囲である硬さのフィルムを形成しうる水性ポリウレタンである請求項5又は請求項6に記載の合成皮革。
  8. 前記水系ポリウレタン接着層に用いられる水系ポリウレタンが、100%モジュラスで10N/cm〜1000N/cmの範囲である硬さのフィルムを形成しうる水性ポリウレタンである請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の合成皮革。
  9. 前記水系ポリウレタン接着層が、難燃剤を含有する請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の合成皮革。
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