JP6206410B2 - 近赤外線カットフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外線カットフィルタに関し、特に、透明基板上に形成された光学多層膜を有する近赤外線カットフィルタに関する。
デジタルカメラやデジタルビデオ等には、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等(以下、固体撮像素子と称する)が使用される。しかしながら、これら固体撮像素子の分光特性は、人間の視感度特性に比べて赤外光に強い感度を有する。そこで、デジタルカメラやデジタルビデオ等では、近赤外線カットフィルタによる分光補正を行っている。
近赤外線カットフィルタとしては、例えば、Cu2+イオンを着色成分として含有するフツリン酸系ガラス等の近赤外線吸収タイプの色ガラスフィルタが使用されてきた。しかしながら、色ガラスフィルタ単体では、近赤外域及び紫外域の光を十分にカットすることができないことから、現在では、近赤外線をカットできる特性を有する光学多層膜が併用されている。
光学多層膜を併用する場合、光学多層膜の特性により可視光を透過させる透過帯の紫外側の半値波長が決定され、色ガラスフィルタの特性により透過帯の赤外側の半値波長が決定される。これは、光学多層膜では、光の入射角度の増加に伴い、光学多層膜の分光波形が紫外域側にシフトする傾向があるのに対して、色ガラスフィルタでは、光の入射角度の増加に対して、分光波形が紫外域側にシフトしにくい傾向があり、色ガラスフィルタの分光波形をできるかぎり利用しながら、色ガラスフィルタでカットできない波長域の光を光学多層膜でカットすることが合理的であるためである。
ところで、近年では、デジタルカメラやデジタルビデオ等が小型化、薄型化している。このためデジタルカメラやデジタルビデオ等のレンズの広角化が進んでいる。これに伴い、光学多層膜がカットする波長域の入射角度依存性が問題となっている。具体的には、固体撮像素子が必要とする400〜700nmにおける透過帯のうち光学多層膜によって形成される紫外側の阻止帯から透過帯への透過率の立ち上がり位置や近赤外側の阻止帯から透過帯への透過率の立ち上がり位置が光の入射角度によってずれることによって画質に影響する帯域(透過帯)の光量が変化する。
上記のように、光学多層膜は、光の入射角度が大きくなると分光波形が紫外側に移動(シフト)する入射角度依存性を有することが従来から知られている。入射角度依存性は、プリズム等に利用されるダイクロミックミラー等の分野では以前から大きな問題となっているため、光学多層膜の入射角度依存性を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平7−027907号公報 特開平11−202127号公報 特開2008−020563号公報
特許文献1〜3では、屈折率が高い方の膜が分光の入射角度依存性が小さくなることを利用することが提案されている。具体的には、特許文献1では、屈折率の低さから入射角度依存性を増大させるSiO膜をなくし、高屈折率膜同士の小さな屈折率差によって光学多層膜を形成し、入射角度依存性を抑制することが提案されている。
また、特許文献2では、低屈折率膜として、SiO膜よりやや屈折率の高いAl膜等を利用して透過帯から近赤外側の阻止帯にかけてのカット波長における入射角度依存性を抑制するほか、屈折率差が小さくなったことに伴う阻止帯の減少を、カット波長がより長波側にある通常構成の光学多層膜によって補完することが提案されている。
特許文献3では、低屈折率膜をSiO膜より大きな屈折率を有するAl膜等に置き換え、さらに光学膜厚比におけるTiO膜等の高屈折率膜の割合を大きくすることで入射角度依存性を抑制することが提案されている。
以上のように、これら特許文献1〜3の提案では、高屈折率膜、低屈折率膜の交互多層膜において、高屈折率膜の比率を増やすか、低屈折率膜の屈折率を大きくするかによって、低屈折率膜による入射角度依存性を抑制することが基本となっている。
ところで、近赤外線カットフィルタにおいては、例えば、近赤外線吸収タイプの色ガラスフィルタとの併用のために、可視域において非常に広い透過帯と、この透過帯の紫外側および近赤外側に広い阻止帯を有することが必須であり、紫外側の透過率の立ち上がり、および近赤外側の透過率の立ち下がりにおける2つのカット波長のいずれの入射角度依存性も小さいことが必要である。
しかしながら、低屈折率膜の屈折率を大きくする場合、屈折率を極端に大きくしないと入射角度依存性の抑制が十分とはならない。また、低屈折率膜の屈折率を過度に大きくすると高屈折率膜と低屈折率膜との屈折率差が小さくなりすぎる。この結果、透過帯が広くなりすぎる一方、阻止帯の透過率が十分に低くならず、かつ非常に狭くなり、特に紫外域側の阻止帯が十分に形成されない。また、低屈折率膜の屈折率を大きくせずに高屈折率膜と低屈折率膜との光学膜厚比における高屈折率膜の比率を過大にした場合は、阻止帯を十分に拡張できるが、透過帯が狭くなる。
以上のように、特許文献1〜3に開示される提案では、入射角度依存性の抑制が十分ではないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、入射角度依存性が抑制される近赤外線カットフィルタを提供することを目的とする。
本発明に係る近赤外線カットフィルタは、透明基板と、透明基板の少なくとも一方の主面に設けられた光学多層膜とを備えた近赤外線カットフィルタであって、光学多層膜は、波長500nmにおける屈折率が2.0以上の高屈折率膜と、1.6以下の低屈折率膜とから構成され、光学多層膜は、高屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQ、低屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQとしたときに、(a、b、c、d)^nの基本単位がn個積層された繰り返し構造(ここで、a 、b 、c 、d は、各基本単位における膜の物理膜厚がQWOTの何倍であるかを示す係数であり、またnは1以上の自然数を表す。)を有し、aの平均値は、1.5以上2.5以下であり、b,c のそれぞれの平均値を平均した値は、1.0以下であることを特徴とする。
本発明によれば、光学多層膜は、波長500nmにおける屈折率が2.0以上の高屈折率膜と、1.6以下の低屈折率膜とから構成され、光学多層膜は、高屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQ、低屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQとしたときに、(a、b、c、d)^nの繰り返し構造を有し、aの平均値は、1.5以上2.5以下であり、b,cn,のそれぞれの平均値を平均した値は、1.0以下である。このため、入射角度依存性が抑制された近赤外線カットフィルタを提供することができる。
実施形態に係る近赤外線カットフィルタの断面構成図である。 実施形態に係る光学多層膜の分光特性図である。 実施形態に係る光学多層膜の拡大断面図である。 実施形態の変形例に係る近赤外線カットフィルタの断面構成図である。 実施形態に係る近赤外線カットフィルタを用いた撮像装置の一部構成図である。 実施例1に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例2に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例3に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例4に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例5に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例6に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例7に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例8に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例9に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 比較例1に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例10に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例10に係る透明基板のシミュレーション結果である。 比較例2に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例11に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。 実施例11に係る透明基板のシミュレーション結果である。 比較例3に係る近赤外線カットフィルタのシミュレーション結果である。
(実施形態)
以下、本発明の近赤外線カットフィルタについて図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る近赤外線カットフィルタ10(以下、IRCF10)の断面構成図である。図1に示すようにIRCF10は、透明基板11と、透明基板11の少なくとも一方の主面に設けられた光学多層膜12とを備える。なお、光学多層膜12は、透明基板11の一方の主面に設けるようにしてもよいし、透明基板11のそれぞれの主面に分割して設けるようにしてもよい。
(透明基板11)
透明基板11の材料は、少なくとも可視波長域の光を透過できるものであれば特に限定されない。透明基板11の材料として、例えば、ガラス、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等の結晶、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
透明基板11としては、特に、近赤外波長域の光を吸収するものが好ましい。近赤外波長域の光を吸収する透明基板11を用いることで、人間の視感度特性に近い画質を得ることができるためである。また、光学多層膜12は、入射角度依存性が抑制されるとともに、可視波長域の透過帯が広いため、この透過帯によって近赤外波長域に吸収を有する透明基板11の特性を有効に発揮させることができる。
すなわち、光学多層膜12によれば、入射角度依存性を抑制しつつ可視波長域における透過帯を広く確保出来るとともに、適正な阻止帯を透過帯の両側に作成することが出来る。従来の高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層した光学多層膜で波長シフト抑制を試みた場合には、必ずしも透過帯の幅が十分でない。また、公知例に示した各種手法などでも透過帯は適正な範囲での調整が難しいなどの問題が生じている。そのため、透明基板11上に従来の光学多層膜を形成して得られるフィルタは、可視波長域の紫外側もしくは赤外側の分光特性が透明基板11の分光特性とは異なるものとなり、固体撮像素子に求められる分光特性が得られない可能性がある。
なお、近赤外波長域の光を吸収する透明基板11としては、例えば、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラスにCu2+イオンが含有された吸収型ガラスが挙げられる。また、樹脂材料中に近赤外線を吸収する吸収剤を添加したものを使用してもよい。吸収剤としては、例えば、染料、顔料、金属錯体系化合物が挙げられ、具体的には、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物が挙げられる。
(光学多層膜12)
図2は、光学多層膜12の分光特性図である。図3は、光学多層膜12の拡大断面図である。以下、光学多層膜12について、図2,図3を参照して説明する。なお、図2を参照して光学多層膜12の分光特性について説明した後、図3を参照して光学多層膜12の構造について説明する。
(光学多層膜12の分光特性)
図2に示すように、0°入射条件(光学多層膜12の主面に対して光が垂直に入射する条件)と30°入射条件(光学多層膜12の主面に対して光が垂直から30°傾いた状態で入射する条件)とにおける光学多層膜12の透過帯の半値波長のシフト量は、近赤外(IR)側で25nm以下であることが好ましく、23nm以下であることがより好ましい。また、0°入射条件と30°入射条件とにおける光学多層膜12の透過帯の半値波長のシフト量は、紫外(UV)側で13nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。なお、本実施形態における半値波長とは、光学多層膜12の透過率が50%の波長のことをいう。
また、光学多層膜12は、0°入射条件において、400〜700nmの波長範囲に平均透過率が85%以上となる透過帯と、該透過帯の紫外側および近赤外側のそれぞれに平均透過率が5%以下となる阻止帯とを有する。また、光学多層膜12の透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、200nm以上であることが好ましく、250nm以上であることがより好ましく。270nm以上であることが更に好ましい。
なお、光学多層膜12は、0°入射条件での分光特性において、さらに以下の要件を満たすことが好ましい。具体的には、光学多層膜12の透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は300nm以下が好ましい。また、紫外側の半値波長は390〜430nmの範囲にあることが好ましく、近赤外側の半値波長は640〜720nmの範囲にあることが好ましい。さらに、紫外側の阻止帯の幅は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。また、赤外側の阻止帯の幅は、90nm以上であることが好ましく、110nm以上であることがより好ましく、120nm以上であることが更に好ましい。
ここで、光学多層膜12の透過帯の範囲(平均透過率を求めるための範囲)は、透過帯から紫外側の阻止帯に向かって透過率の低下が開始するときの波長(紫外側の基点)から、透過帯から近赤外側の阻止帯に向かって透過率の低下が開始するときの波長(近赤外側の基点)までとする。また、光学多層膜12の阻止帯の範囲(平均透過率や幅を求めるための範囲)は、紫外側・赤外側共に透過率が5%以下となる範囲をいう。
(光学多層膜12の構造)
上述した分光特性を満たすために、本発明の光学多層膜12は、図3に示すように、波長500nmにおける屈折率が2.0以上の高屈折率膜と、波長500nmにおける屈折率が1.6以下の低屈折率膜とが積層された構造を有する。具体的には、高屈折率膜の波長500nmにおけるQWOT(Quarter-wave Optical Thickness)をQ、低屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQとしたときに、以下の式で表される。
(a、b、c、d)^n(n:1以上の自然数)
つまり、本発明の光学多層膜12は、基本単位(a、b、c、d)がn個積層された構造を有する。
ここで、a、b、c、dは、各基本単位における係数であり、各基本単位における膜の物理膜厚がQWOTの何倍であるかを表している。そのため、a、b、c、dは、各膜の光学的膜厚を示す。ここで、上述した分光特性を満たすために、以下の(1)式で表される係数aの平均値Aが、1.5以上2.5以下であることが好ましい。
A=(a+a+・・・+a)/n(n:1以上の自然数)・・・(1)
また、以下の(2)式〜(4)式で表される係数bの平均値B、係数cの平均値C及び係数dの平均値Dを平均した値が1.0以下であることが好ましい。
B=(b+b+・・・+b)/n(n:1以上の自然数)・・・(2)
C=(c+c+・・・+c)/n(n:1以上の自然数)・・・(3)
D=(d+d+・・・+d)/n(n:1以上の自然数)・・・(4)
上記条件を式で表すと、以下の(5)式、(6)式となる。すなわち、係数a〜dの平均値A〜Dは、上述した分光特性を満たすために、下記(5)式及び(6)式を満たすことが好ましい。
1.5≦A≦2.5・・・(5)
(B+C+D)/3≦1.0・・・(6)
ここで、上記基本単位(a、b、c、d)を積層する数n(n:整数)は、多いほど分光特性が向上する。このため、nは9以上であることが好ましい。但し、一般に層数が多くなると生産性が低下することから、nは、25以下が好ましい。
さらに、透過帯及び赤外(IR)側の阻止帯の幅を十分に確保するためには、係数cの平均値Cは、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。但し、係数cの値を小さくし過ぎると、膜厚が薄くなりすぎ、成膜時における膜厚の制御が難しくなる。このため、係数Cの平均値は、0.2以上とすることが好ましい。
すなわち、透過帯及び赤外側の阻止帯の幅を十分に確保するためには、係数cの平均値Cは、以下の(7)式を満たすことが好ましい。
0.2≦C≦0.5・・・(7)
さらに、紫外(UV)側の阻止帯についても、阻止帯の幅を十分に確保するため、係数b、dの値は、以下の(8)式を満たすことが好ましい。
1.1≦Average(max(b/d、d/b))≦2.5・・・(8)
但し、nは、1以上の自然数である。
(8)式では、繰り返し積層された各基本単位のb/d、d/bを算出し、値の大きいほうを平均したものが1.1以上2.5以下であることを表している。
なお、係数bの値と係数dの値が近い(すなわち、b/d又はd/bが1に近い)と紫外側の阻止帯の幅が狭くなる傾向にある。逆に言うと、係数bの値と係数dの値とをずらす(すなわち、b/d又はd/bが2.5に近い)と紫外側の阻止帯の幅を確保しやすい。また、当該手法により、紫外側の阻止帯の幅を確保する場合は、膜の数を増やすことなくシャープカットの高い紫外側立ち上がり波形を得ることが出来る。
なお、高屈折率膜としては、波長500nmにおいて、屈折率が2.0以上となる材料からなるものであれば特に限定されない。このような高屈折率の材料としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。また、屈折率が2.0以上であれば、添加物を含有していても構わない。なお、屈折率が高いほうが、斜入射時の波長シフト量抑制、紫外側の阻止帯の拡張等に有利である。このため、上記3物質のうち、屈性率のより高い酸化チタン、酸化ニオブが高屈折率膜としてより好適である。
また、低屈折率膜としては、波長500nmにおいて、屈折率が1.6以下となる材料からなるものであれば特に限定されない。このような低屈折率の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)が好適に挙げられる。また、屈折率が1.6以下であれば、添加物を含有していても構わない。
光学多層膜12を構成する高屈折率膜及び低屈折率膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト真空蒸着法、CVD法により形成することができるが、特に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト真空蒸着法により形成することが好ましい。透過帯は、CCD、CMOS等の固体撮像素子の受光に利用される波長帯域であり、その膜厚精度が重要となる。スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト真空蒸着法は、薄膜を形成する際の膜厚制御に優れる。このため、光学多層膜12を構成する高屈折率膜及び低屈折率膜の膜厚の精度を高めることができ、その結果、波長シフトを抑制することができる。
なお、付着力強化層、最表面層(空気側)での帯電防止層など、光学多層膜12を構成する以外の膜が、光学多層膜12に積層されていてもよい。
以上のように、光学多層膜の構成を基本単位:(a、b、c、d)が繰り返し積層した構造とし、係数aの平均値Aを1.5以上2.5以下、係数b、c、dの平均値B〜Dの平均値(B+C+D)/3を1.0以下としている。すなわち、係数a、b、c、dの平均値A〜Dが、以下の(5)式、(6)式を満たすように構成しているので、光の入射角度が大きくなると分光波形が紫外側に移動(シフト)する入射角度依存性を抑制することができる。
1.5≦A≦2.5・・・(5)
(B+C+D)/3≦1.0・・・(6)
また、係数cの平均値Cが、0.2以上0.5以下、好ましくは、0.2以上0.4以下、すなわち、以下の(7)式を満たすようにして構成しているので、透過帯及び赤外(IR)側の阻止帯の幅を十分に確保することができる。また、膜厚が薄くなりすぎ、成膜時における膜厚の制御が難しくなるのを抑制することができる。
0.2≦C≦0.5・・・(7)
さらに、紫外(UV)側の阻止帯についても、阻止帯の幅を十分に確保するため、係数b、dの値が、以下の(8)式を満たすようにしているので、紫外(UV)側の阻止帯についても、阻止帯の幅を十分に確保することができる。
1.1≦Average(max(b/d、d/b))≦2.5・・・(8)
(実施形態の変形例)
図4は、実施形態の変形例に係る近赤外線カットフィルタ10A(以下、IRCF10A)の断面構成図である。図1〜図3を参照して説明した近赤外線カットフィルタ10の光学多層膜12は、透過帯やその両側のカットオフ帯を主として形成するものである。このため、要求に応じた十分な幅の阻止帯を形成できない場合がある。そこで、図4に示すようにIRCF10Aの紫外側および近赤外側の阻止帯を拡張するために、透明基板11の主面の一方に、紫外側および近赤外側の阻止帯を拡張するための阻止帯拡張用の光学多層膜13(以下、阻止帯拡張用光学多層膜13)を形成するようにしてもよい。
以下、図4を参照して、この実施形態の変形例に係るIRCF10Aの構成について説明するが、図1〜図3を参照して説明したIRCF10と同じ構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図4では、光学多層膜12が設けられている透明基板11の主面側とは異なる主面側に阻止帯拡張用光学多層膜13を設けているが、光学多層膜12が設けられている透明基板11の主面側に阻止帯拡張用光学多層膜13を設けるようにしてもよい。この場合、透明基板11と光学多層膜12との間に阻止帯拡張用光学多層膜13を設けてもよいし、光学多層膜12上に阻止帯拡張用光学多層膜13を設けてもよい。
阻止帯拡張用光学多層膜13は、例えば、0°入射条件における分光特性において、光学多層膜12の分光特性における透過帯を含む透過帯を有するとともに、光学多層膜12の分光特性における紫外側の半値波長以下の紫外側の半値波長、および光学多層膜の分光特性における近赤外側の半値波長より7nm以上大きい近赤外側の半値波長を有する。
このようなものとすることで、入射角度が変化した場合であっても、光学多層膜12により形成される透過帯を含むような透過帯とすることができ、結果として、入射角度依存性が抑制されるとともに、可視域の透過帯ならびに紫外域および近赤外域の阻止帯が拡張されたIRCF10Aとすることができる。
すなわち、入射角度が変化した場合、阻止帯拡張用光学多層膜13により形成される近赤外側の半値波長は、光学多層膜12により形成される近赤外側の半値波長に比べて大きくシフトしやすい。0°入射条件における分光特性において、阻止帯拡張用光学多層膜13により形成される近赤外側の半値波長を、光学多層膜12により形成される近赤外側の半値波長よりも7nm以上大きくすることで、入射角度が変化した場合についても、阻止帯拡張用光学多層膜13により形成される近赤外側の半値波長が光学多層膜12により形成される近赤外側の半値波長に重ならないようにすることができる。
一方、阻止帯拡張用光学多層膜13により形成される紫外側の半値波長は、光学多層膜12により形成される紫外側の半値波長に比べて必ずしも大きく変化しないことから、0°入射条件における分光特性において、これらによって形成される紫外側の半値波長以下であれば、入射角度が変化した場合についても、これらによって形成される紫外側の半値波長に重ならないようにすることができる。
このような阻止帯拡張用光学多層膜13としては、以下に示すような2つの形態(第1の形態および第2の形態)が挙げられる。なお、以下の説明では、第1の形態による阻止帯拡張用光学多層膜13を阻止帯拡張用光学多層膜13Aと記載し、第2の形態による阻止帯拡張用光学多層膜13を阻止帯拡張用光学多層膜13Bと記載する。
(阻止帯拡張用光学多層膜13A)
阻止帯拡張用光学多層膜13Aは、屈折率が2.0以上である高屈折率膜と屈折率が1.7以下である低屈折率膜との繰り返し構造を有する。また、高屈折率膜の平均光学膜厚をT、低屈折率膜の平均光学膜厚をTとしたとき、T/Tは2未満であることが好ましい。
このような構成とすることで、光学多層膜12の分光特性における透過帯を含む透過帯を形成できるとともに、光学多層膜12の分光特性における紫外側の半値波長以下の紫外側の半値波長、および光学多層膜12の分光特性における近赤外側の半値波長より7nm以上大きい近赤外側の半値波長を形成できる。すなわち、T/Tが2以上となる場合、入射角度依存性は抑制しやすいが、透過帯が狭くなる。T/Tを2未満とすることで、入射角度依存性は必ずしも抑制できないが、光学多層膜12の分光特性における透過帯を含むような広い透過帯を形成できる。
なお、阻止帯拡張用光学多層膜13Aの層数は、十分な幅の透過帯や阻止帯、および所定の半値波長を得る観点から、20以上が好ましく、30以上がより好ましい。層数の上限値については特に制限されないが、一般に層数が多くなると生産性が低下することから、150以下が好ましく、100以下がより好ましい。
平均光学膜厚の比T/Tについては特に限定されないが、十分な幅の透過帯や阻止帯、特に広い阻止帯を得ることを考えれば、阻止帯を設計する際の設計上の中心波長に対し、T/T比率が1程度の一般的な膜設計手法を用いることがよい。これは、先に述べたように、入射角度依存性の抑制を目的としたT/Tの増加が、阻止帯の減少を引き起こすことを考えれば明らかである。
高屈折率膜としては、屈折率が2.0以上となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、TiO、Ta、Nb、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。高屈折率膜としては、屈折率が2.3以上のものが好ましく、屈折率が2.4以上のものがより好ましい。このようなものとしては、TiO(屈折率2.45)からなるものが好適に挙げられる。
低屈折率膜としては、屈折率が1.7以下となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、SiO、MgF、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。
(阻止帯拡張用光学多層膜13B)
阻止帯拡張用光学多層膜13Bは、紫外側の阻止帯を構成するための紫外側阻止帯構成部と、近赤外側の阻止帯を構成するための近赤外側阻止帯構成部とを有する。紫外側阻止帯構成部は、屈折率が2.0以上である高屈折率膜と屈折率が1.7以下である低屈折率膜との繰り返し構造を有する。近赤外側阻止帯構成部は、屈折率が2.0以上である高屈折率膜、屈折率が2.0以上であって前記高屈折率膜の屈折率未満である中屈折率膜、および屈折率が1.7以下である低屈折率膜を有し、高屈折率膜、中屈折率膜、および低屈折率膜の合計した層数が30層以上である。
阻止帯拡張用光学多層膜13Bについても、光学多層膜12の分光特性における透過帯を含む透過帯を形成できるとともに、光学多層膜12の分光特性における紫外側の半値波長以下の紫外側の半値波長、および光学多層膜12の分光特性における近赤外側の半値波長より7nm以上大きい近赤外側の半値波長を形成できる。
一般に、光学多層膜は、近赤外側の阻止帯が広く、入射角が大きくなったときの透過帯におけるリップルの発生が少ないことが好ましい。上記した光学多層膜12は、いずれも入射角度依存性を抑制する技術を用いているためにリップルの発生をある程度抑制できるが、この技術を入れない阻止帯構成部は依然としてリップルが発生する。阻止帯拡張用光学多層膜13Aについては、必ずしもこのようなリップルを十分に抑制できない。阻止帯拡張用光学多層膜13Bによれば、透過帯や阻止帯の幅を十分に拡張しつつ、リップルの発生を抑制できる。
紫外側阻止帯構成部は、上記したように屈折率が2.0以上である高屈折率膜と屈折率が1.7以下である低屈折率膜との繰り返し構造を有する。
紫外側阻止帯構成部の層数は、十分な幅の紫外側の阻止帯を形成する観点から、15以上が好ましく、20以上がより好ましい。層数の上限値については特に制限されないが、一般に層数が多くなると生産性が低下することから、60以下が好ましく、40以下がより好ましい。
高屈折率膜としては、屈折率が2.0以上となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、TiO、Ta、Nb、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。高屈折率膜としては、屈折率が2.3以上のものが好ましく、屈折率が2.4以上のものがより好ましい。このようなものとしては、TiO(屈折率2.45)からなるものが好適に挙げられる。
低屈折率膜としては、屈折率が1.7以下となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、SiO、MgF、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。
近赤外側阻止帯構成部は、屈折率が2.0以上である高屈折率膜、屈折率が2.0以上であって高屈折率膜の屈折率未満である中屈折率膜、および屈折率が1.7以下である低屈折率膜を有する。これら、高屈折率膜、中屈折率膜、および低屈折率膜の合計した層数は30層以上である。
近赤外側阻止帯構成部の層数は、30以上であれば特に制限されないが、より十分な幅を有する近赤外側の阻止帯を形成する観点から、40以上が好ましく、60以上がより好ましい。層数の上限値については特に制限されないが、一般に層数が多くなると生産性が低下することから、150以下が好ましく、100以下がより好ましい。
高屈折率膜、中屈折率膜、および低屈折率膜は、高屈折率膜をH、中屈折率膜をM、低屈折率膜をLとしたとき、例えば、以下のような基本単位の繰り返し構造となるように積層される。
基本単位:(HML)
基本単位:(LMHML)
上記のような繰り返し構造を用いる場合、平均光学膜厚T、平均光学膜厚T、平均光学膜厚Tは、十分に広い阻止帯を得る観点から、HMLを基本単位とする部分は、T:T:T=1:1:1前後であり、LMHMLを基本単位とする部分はT:T:T=1:1:2前後とする一般的な膜設計での比率程度であることがよい。
なお、後者のT比率が2となったのは、LMHMLの繰り返しは、LLと重なるために、最終的な膜設計では比率が2となるためであり、基本的な考え方はT:T:T=1:1:1と変わらない。詳細については後述する。なお、ここで一般的な比率を採用したのは、T、Tの比率を大きくすると阻止帯が狭くなることから、光学的膜厚比率を大きく変えない考えを基としている。
また、阻止帯構成部は上記繰り返し構造に対し、二つ以上の設計波長を適用して阻止帯の拡張を図る一般的な手法を用いることが良く、好適である。この場合、上記比率は、それぞれ設計上の中心波長ごとに設定されることになる。
近赤外側阻止帯構成部は、広い範囲の近赤外域をカットするが、CCD、CMOS用途のIRCF10としてはより長波長側までカットできることが好ましい。好ましくは900nm以上、より好ましくは1100nm以上であり、更に好ましくは1150nm以上をカット出来ることが好ましい。上記手法を用いた場合には、より長波側まで阻止域を拡張しながら、入射角度が大きくなった際にリップルの発生を抑えることが可能となる。
なお、近赤外側阻止帯構成部は、必ずしも厳密に上記した基本単位の繰り返し構造となっている必要はない。例えば、低屈折率膜のように屈折率が小さいものの場合、光学膜厚が小さくなると成膜時の膜厚制御が困難となることから、例えば、複数の低屈折率膜の一部を省略し、これにより高屈折率膜と中屈折率膜とが多数連続する部分があっても構わない。
また、基本単位(LMHML)の繰り返し構造は、隣り合う基本単位の2つのLが連続するために(2LMHM)あるいは2つのLを1つのLと見なして(LMHM)とも表すことができるが、本発明における平均光学膜厚はあくまでも成膜された最終形態での状態を基準として算出されるものであり、同一物質からなる連続した膜は1つの膜として捉えて物理膜厚や層数を求め、これらを用いて平均光学膜厚を求める。
高屈折率膜、中屈折率膜としては、屈折率が2.0以上となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、TiO、Ta、Nb、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。高屈折率膜としては、屈折率が2.3以上のものが好ましく、屈折率が2.4以上のものがより好ましい。このようなものとしては、TiO(屈折率2.45)からなるものが好適に挙げられる。中屈折率膜としては、高屈折率膜の屈折率未満のものであれば特に限定されないが、屈折率が2.0以上2.3未満のものが好ましく、屈折率が2.2以下のものがより好ましい。このようなものとしては、Ta(屈折率2.13)からなるものが好適に挙げられる。
低屈折率膜としては、屈折率が1.7以下となる材料からなるものであれば特に限定されないが、例えば、SiO、MgF、またはこれらの複合酸化物からなるものが好適に挙げられる。
近赤外側阻止帯構成部における中屈折率膜は、必ずしも単一の膜からなるものに限られず、例えば、高屈折率膜と同一の屈折率を有する膜と、低屈折率膜と同一の屈折率を有する膜とから構成される等価膜としてもよい。等価膜によれば、例えば、成膜装置における成膜可能な膜種が2種である場合にも、中屈折率膜を成膜できるために好ましい。
(撮像装置100)
図1〜図3を参照して説明したIRCF10及び図4を参照して説明したIRCF10Aは、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ等の撮像装置や自動露出計等における視感度補正フィルタとして用いられる。デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ等の撮像装置においては、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置される。自動露出計においては、例えば受光素子の前面に配置される。
撮像装置では、固体撮像素子の前面から離れた位置にIRCF10,10Aを配置してもよいし、固体撮像素子、または固体撮像素子のパッケージに直接貼着してもよいし、固体撮像素子を保護するカバーをIRCF10,10Aとしてもよい。また、モアレや偽色を抑制するための水晶やニオブ酸リチウム等の結晶を使用したローパスフィルタに直接貼着してもよい。
次に、具体例を示す。図5は、撮像装置100の一部構成図である。
撮像装置100は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラである。撮像装置100は、固体撮像素子110、カバーガラス120、レンズ群130、絞り140、筐体150を備える。固体撮像素子110、カバーガラス120、レンズ群130及び絞り140は、光軸xに沿って配置されている。
固体撮像素子110は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。固体撮像素子110は、入力される光を電気信号に変換して、図示しない画像信号処理回路へ出力する。
カバーガラス120は、固体撮像素子110の撮像面側(レンズ群130側)に配置され、外部環境から固体撮像素子110を保護する。
レンズ群130は、固体撮像素子110の撮像面側に配置される。レンズ群130は、複数のレンズL1〜L4で構成され、入射する光を固体撮像素子110の撮像面へと導光する。
絞り140は、レンズ群130のレンズL3とレンズL4との間に配置される。絞り140は、通過する光の量を調整可能に構成されている。
筐体150は、固体撮像素子110、カバーガラス120、レンズ群130及び絞り140を収容する。
撮像装置100では、被写体側より入射した光は、レンズL1、レンズL2、第3のレンズL3、絞り140、レンズL4、及びカバーガラス120を通って固体撮像素子110に入射する。この入射した光が固体撮像素子110にて電気信号に変換され、画像信号として出力される。
IRCF10,10Aは、例えば、カバーガラス120、レンズ群130、すなわちレンズL1、レンズL2、レンズL3、もしくはレンズL4として用いられる。言い換えれば、IRCF10の光学多層膜12は、従来の撮像装置のカバーガラスやレンズ群を透明基板11とし、この透明基板11の表面に設けられる。
撮像装置100のカバーガラス120やレンズ群130にIRCF10,10Aを適用することで、入射角度依存性を抑制しつつ、可視域の透過帯ならびに紫外域および近赤外域の阻止帯を拡張でき、その特性を向上することができる。
(その他の実施形態)
以上のように、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
次に実施例を参照して具体的に説明する。
実施例1〜11および比較例1〜3に係る近赤外線カットフィルタ(IRCF)は、透明基板(白板ガラス)と、透明基板の一方の面に設けられた光学多層膜とを備える。これらのIRCFについて、発明者らは、高屈折率膜の材料として、酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)を用い、低屈折率膜の材料として、酸化シリコン(SiO)を用いた場合について、図2、3を参照して説明した光学多層膜12の0°入射条件(光学多層膜12の主面に対して光が垂直に入射する条件)及び30°入射条件(光学多層膜12の主面に対して光が垂直から30°傾いた状態で入射する条件)における分光特性を調べた。なお、すべての実施例及び比較例において、膜条件に記載されている層数1の膜が透明基板側であり、層数の値が大きな膜が空気側となるように透明基板上に積層されている。
なお、分光特性は、光学薄膜シミュレーションソフト(TFCalc、Software Spectra社製)を用いて検証した。また、本願では波長500nmにおける各膜の屈折率を代表値として使用しているが、シミュレーション上は屈折率の波長依存性を考慮してシミュレーションを行った。
屈折率には、分散などと呼ばれる波長依存性がある。例えば、300〜1300nmの波長範囲において、本出願が対象とする膜物質などでは、波長が短いほど屈折率が大きく、波長が長くなると屈折率は小さくなる傾向がある。これら波長−屈折率の関係は線形関係ではなく、一般的にはHartmann、Sellmeierなどの近似式を用いて表されることが多い。また、膜物質の屈折率(分散)は、各種成膜条件によって変わる。そのため、蒸着法、イオンアシスト蒸着法、スパッタ法などで実際に成膜を行い、得られた各膜の屈折率の分散データを以下のシミュレーションにて用いた。
(実施例1〜4)
初めに、実施例1〜4について説明する。実施例1〜4では、高屈折率膜の材料として、酸化チタン(TiO)を使用し、低屈折率膜の材料として、酸化シリコン(SiO)を使用した。なお、酸化チタン(TiO)の波長500nmにおける屈折率を、2.47とし、酸化シリコン(SiO)の波長500nmにおける屈折率を1.48として分光特性をシミュレーションした。以下、実施例1〜4の膜条件を表1〜4に、実施例1〜4のシミュレーション結果を図6〜9に示す。なお、表1〜4中の「膜厚」は、物理膜厚である。また、「係数の値」は、物理膜厚がQWOTの何倍になるかを示した係数である。
(実施例1)
Figure 0006206410
表1に示すように、実施例1の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、54層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。なお、53層及び54層は、リップル調整用の層であるため、53層及び54層は、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dの算出から除外した。
A=1.870
B=0.423
C=0.373
D=0.497
(B+C+D)/3=0.431
Average(max(b/d、d/b)=1.591
上記のように、実施例1の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図6は、表1に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図6は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図6には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が20.6nm、紫外(UV)側が9.0nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、273nmであった。透過帯は、423nm〜682nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、693nm、紫外側の半値波長は、420nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、125nm、紫外側の阻止帯の幅は 15nmであり、阻止帯中の小さなリップルを無視する場合においては25nmであった。
(実施例1の考察)
以上のように、表1に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例2)
Figure 0006206410
表2に示すように、実施例2の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=1.839
B=0.346
C=0.415
D=0.486
(B+C+D)/3=0.416
Average(max(b/d、d/b)=1.405
上記のように、実施例2の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図7は、表2に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図7は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図7には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が20.2nm、紫外(UV)側が9.8nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、261nmであった。透過帯は、426nm〜678nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、685nm、紫外側の半値波長は、424nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、114nm、紫外側の阻止帯の幅は、6nmであった。
(実施例2の考察)
以上のように、表2に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例3)
Figure 0006206410
表3に示すように、実施例3の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=2.000
B=0.526
C=0.295
D=0.316
(B+C+D)/3=0.379
Average(max(b/d、d/b)=1.665
上記のように、実施例3の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図8は、表3に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図8は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図8には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が19.8nm、紫外(UV)側が8.7nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、262nmであった。透過帯は、434nm〜682nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、687nm、紫外側の半値波長は、425nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、136nm、紫外側の阻止帯の幅は、13nmであった。
(実施例3の考察)
以上のように、表3に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例4)
Figure 0006206410
表4に示すように、実施例4の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=1.700
B=0.436
C=0.495
D=0.436
(B+C+D)/3=0.456
Average(max(b/d、d/b)=1.000
上記のように、実施例4の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(7)式を満たしていることが分かる。
図9は、表4に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図9は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図9には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が20.9nm、紫外(UV)側が11.6nmであった。なお、紫外(UV)側は、リップル発生のため、T40%(透過率40%)におけるシフト量を記載している。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、258nmであった。透過帯は、430nm〜680nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、687nm、紫外側の半値波長は、429nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、97nm、紫外側の阻止帯の幅は、27nmであった。
(実施例4の考察)
以上のように、表4に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例5〜8)
次に、実施例5〜8について説明する。実施例5〜8では、高屈折率膜の材料として、酸化ニオブ(Nb)を使用し、低屈折率膜の材料として、酸化シリコン(SiO)を使用した、なお、酸化ニオブ(Nb)の波長500nmにおける屈折率を、2.38とし、酸化シリコン(SiO)の波長500nmにおける屈折率を1.48として分光特性をシミュレーションした。以下、実施例5〜8の膜条件及びシミュレーション結果を、それぞれ以下の表5〜8及び図10〜13に示す。なお、表5〜8中の「膜厚」は、物理膜厚である。また、「係数の値」は、物理膜厚がQWOTの何倍になるかを示した係数である。
(実施例5)
Figure 0006206410
表5に示すように、実施例5の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、54層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。なお、53層及び54層は、リップル調整用の層であるため、53層及び54層は、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dの算出から除外した。
A=1.780
B=0.455
C=0.424
D=0.446
(B+C+D)/3=0.442
Average(max(b/d、d/b)=1.363
上記のように、実施例5の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図10は、表5に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図10は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図10には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が21.9nm、紫外(UV)側が11.3nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、275nmであった。透過帯は、423nm〜681nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、694nm、紫外側の半値波長は、419nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、98nm、紫外側の阻止帯の幅は、16nmであった。
(実施例5の考察)
以上のように、表5に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例6)
Figure 0006206410
表6に示すように、実施例6の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=1.839
B=0.586
C=0.345
D=0.326
(B+C+D)/3=0.419
Average(max(b/d、d/b)=1.797
上記のように、実施例6の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図11は、表6に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図11は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図11には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が21.7nm、紫外(UV)側が10.7nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、266nmであった。透過帯は、424nm〜682nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、687nm、紫外側の半値波長は、421nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、130nm、紫外側の阻止帯の幅は、12nmであった。
(実施例6の考察)
以上のように、表6に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例7)
Figure 0006206410
表7に示すように、実施例7の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=2.000
B=0.567
C=0.305
D=0.226
(B+C+D)/3=0.369
Average(max(b/d、d/b)=2.549
上記のように、実施例7の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(7)式を満たしていることが分かる。
図12は、表7に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図12は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図12には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が20.6nm、紫外(UV)側が9.6nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、264nmであった。透過帯は、433nm〜683nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、688m、紫外側の半値波長は、425nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、129nm、紫外側の阻止帯の幅は、24nmであった。
(実施例7の考察)
以上のように、表7に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例8)
Figure 0006206410
表8に示すように、実施例8の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、56層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。
A=1.700
B=0.606
C=0.385
D=0.406
(B+C+D)/3=0.466
Average(max(b/d、d/b)=1.492
上記のように、実施例8の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図13は、表8に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図13は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図13には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が22.9nm、紫外(UV)側が12.4nmであった。なお、紫外(UV)側は、リップル発生のため、T40%におけるシフト量を記載している。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、264nmであった。透過帯は、428nm〜686nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、691nm、紫外側の半値波長は、426nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、126nm、紫外側の阻止帯の幅は、23nmであった。
(実施例8の考察)
以上のように、表8に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(実施例9)
次に、実施例9について説明する。実施例9では、高屈折率膜の材料として、酸化タンタル(Ta)を使用し、低屈折率膜の材料として、酸化シリコン(SiO)を使用した、なお、酸化タンタル(Ta)の波長500nmにおける屈折率を、2.19とし、酸化シリコン(SiO)の波長500nmにおける屈折率を1.48として分光特性をシミュレーションした。以下、実施例9の膜条件及びシミュレーション結果を、それぞれ以下の表9及び図14に示す。なお、表9中の「膜厚」は、物理膜厚である。また、「係数の値」は、物理膜厚がQWOTの何倍になるかを示した係数である。
(実施例9)
Figure 0006206410
表9に示すように、実施例9の光学多層膜は、基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、54層である。また、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dは、以下の式を満たしている。なお、53層及び54層は、リップル調整用の層であるため、53層及び54層は、係数a、b、c、d及び平均値A〜Dの算出から除外した。
A=2.021
B=0.411
C=0.440
D=0.432
(B+C+D)/3=0.428
Average(max(b/d、d/b)=1.664
上記のように、実施例8の光学多層膜の係数a〜d及び平均値A〜Dは、上述した(5)式〜(8)式を満たしていることが分かる。
図14は、表9に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図14は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図14には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が24.1nm、紫外(UV)側が12.4nmであった。
また、0°入射条件における透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、277nmであった。透過帯は、424nm〜681nmであった。さらに、近赤外側の半値波長は、695nm、紫外側の半値波長は、418nmであった。近赤外側の阻止帯の幅は、90nm、紫外側の阻止帯の幅は、1nmであった。
(実施例9の考察)
以上のように、表9に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていることがわかった。
(比較例1)
次に、比較例1について説明する。比較例1では、高屈折率膜の材料として、酸化チタン(TiO)を使用し、低屈折率膜の材料として、酸化シリコン(SiO)を使用した、なお、酸化チタン(TiO)の波長500nmにおける屈折率を、2.47とし、酸化シリコン(SiO)の波長500nmにおける屈折率を1.48として分光特性をシミュレーションした。以下、比較例1の膜条件及びシミュレーション結果を、それぞれ以下の表10及び図15に示す。なお、表10中の「膜厚」は、物理膜厚である。また、「係数の値」は、物理膜厚がQWOTの何倍になるかを示した係数である。
Figure 0006206410
表10に示すように、実施例の光学多層膜は、基本単位(H、L)が繰り返し積層された構造を有する。積層された膜は、52層である。
図15は、表10に示す光学多層膜の分光特性のシミュレーション結果である。図15は、縦軸に透過率、横軸に波長をとっている。図15には、0°入射条件と30°入射条件とのシミュレーション結果を示している。シミュレーションの結果、表1に示す膜構成の場合、0°入射条件の場合と、30°入射条件の場合における半波長位置でのシフト量は、近赤外(IR)側が28.5nm、紫外(UV)側が7.7nmであった。また、透過帯は、424nm〜681nmであった。さらに、近赤外線側の阻止帯は、711nm〜943nmであった。
図15のシミュレーション結果からは、表10に示す光学多層膜の0°入射条件と30°入射条件とにおける光学多層膜の透過帯の半値波長位置でのシフト量が、紫外(UV)側で7.7nm、近赤外(IR)側で28.5nmであることがわかった。また、透過帯の紫外側の半値波長と近赤外側の半値波長との差は、278nmであることがわかった。以上のことから、表10に示す光学多層膜が、図2を参照して説明した分光特性を満たしていないことがわかった。
(実施例1〜9と比較例1との対比)
実施例及び比較例1のシミュレーション結果からは、紫外(UV)側の半値波長位置でのシフト量だけを見ると、比較例の方がシフト量が小さくなる。しかし、これは斜入射依存によるPS分離と、それによる波形変形及びリップルの発生などにより、透過率の高い部分におけるシフトが抑制されているためである。すなわち、比較例において、入射角度依存性が小さくなったわけでは無い。
例えば、実施例1と比較例1とを比較した場合、T20%(透過率20%)付近では、比較例のほうが、シフト量が非常に大きく、また、紫外(UV)カット波形は非常に歪んでいる。さらに、比較例では、透過帯域にも斜入射によるリップルが発生するなど、斜入射による影響は、実施例1よりも多くなっている。このことから、実施例1に比べて、比較例のほうが、画質等への悪影響が大きいであろうことは容易に類推することができる。
すなわち、紫外(UV)側の半値波長位置でのシフト量だけ見た場合、比較例1のほうが実施例1よりも優れているように見えるが、実際には、比較例1は、リップルの発生、特に透過率20%以下の領域において極端に大きな波長シフトが発生するため、補正フィルタとしての品質は、明らかに劣化する。
なお、上記説明では、実施例1の390nm以下の透過領域は、阻止層や、膜自体の紫外域吸収を用いて阻止されるため無視している。
以上のように、光学多層膜の構成を基本単位(a、b、c、d)が繰り返し積層した構造とし、以下の(5)式、(6)式を満たす構成とすることで、近赤外線カットフィルタ(IRCF)の入射角度依存性(波長シフト)を抑制できることがわかった。
1.5≦A≦2.5・・・(5)
(B+C+D)/3≦1.0・・・(6)
また、係数cの平均C値が、以下の(7)式を満たす構成とすることで、透過帯及び赤外(IR)側の阻止帯の幅を十分に確保できることがわかった。
0.2≦C≦0.5・・・(7)
さらに、係数b、dが以下の(8)式を満たす構成することで、紫外(UV)側の阻止帯についても、阻止帯の幅を十分に確保できることがわかった。
1.1≦Average(max(b/d、d/b))≦2.5・・・(8)
(実施例10)
次に、実施例10について説明する。実施例10では、透明基板として近赤外線カットフィルタガラス(AGCテクノグラス社製、NF−50シリーズ、板厚0.3mm)を用い、実施例1と同一の光学多層膜を一方の面に形成し、他方の面に表11に示す阻止帯拡張用光学多層膜を形成した。以下、実施例10の分光特性のシミュレーション結果を図16に示す。また、前記透明基板(AGCテクノグラス社製、NF−50シリーズ、板厚0.3mm、両面に反射防止膜(AR膜)有)のみの分光特性を図17に示す。また、表11中の「膜厚」は、物理膜厚である。また、「係数の値」は、物理膜厚がQWOTの何倍になるかを示した係数である。
Figure 0006206410
(比較例2)
次に、比較例2について説明する。比較例2では、実施例10と同一の透明基板及び阻止帯拡張用光学多層膜を用い、比較例1と同一の光学多層膜を形成した。図18に、比較例2の分光特性のシミュレーション結果を示す。
(実施例10と比較例2との対比)
実施例10の分光特性は、可視波長域の大半が透明基板の分光特性となっている。これは、実施例10で用いた光学多層膜の可視波長域の透過帯の幅が広いことによるものと考えられる。また、光の入射角度依存性も抑制されており、入射角度が0°と40°との比較においても、近赤外側の分光特性の変化が少ない。これに対し、比較例2の分光特性は、入射角度が0°と40°との比較において透過帯の近赤外側の波長シフト量が大きく、一部の可視波長域の透過率変化が大きくなっている。
これは、比較例2で用いた光学多層膜の入射角度依存性が高いことに起因している。なお、比較例2の様な一般的な(HL)^n繰り返し構成の設計で高屈折率成分を高くして波長シフトを小さく使用とした場合には透過帯が狭くなり、上述の用途に合わなくなる。
(実施例11)
次に、実施例11について説明する。実施例11では、透明基板として白板ガラスを用い、実施例1と同一の光学多層膜を一方の面に形成し、他方の面に表11に示す阻止帯拡張用光学多層膜を形成した。以下、実施例11の分光特性のシミュレーション結果を図19に示す。また、一方の面に表11に示す阻止帯拡張用光学多層膜のみを形成した前記透明基板の分光特性を図20に示す。
(比較例3)
次に、比較例3について説明する。比較例3では、実施例11と同一の透明基板及び阻止帯拡張用光学多層膜を用い、比較例1と同一の光学多層膜を形成した。図21に、比較例3の分光特性のシミュレーション結果を示す。
(実施例11と比較例3との対比)
実施例11の分光特性は、光の入射角度依存性が抑制されており、入射角度が0°と40°との比較において、近赤外側の分光特性の変化が少ない。これに対し、比較例3の分光特性は、入射角度が0°と40°との比較において透過帯の近赤外側の波長シフト量が大きく、一部の可視波長域の透過率変化が大きくなっている。
これは、比較例3で用いた光学多層膜の入射角度依存性が高いことに起因している。なお、比較例3の様な一般的な(HL)^n繰り返し構成の設計で高屈折率成分を高くして波長シフトを小さく使用とした場合には透過帯が狭くなり、上述の用途に合わなくなる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、入射角度依存性(波長シフト)を抑制することができる。また、透過帯及び赤外(IR)側の阻止帯の幅を十分に確保することができる。さらに、紫外(UV)側の阻止帯についても、阻止帯の幅を十分に確保することができる。このため、デジタルカメラやデジタルビデオ等の固体撮像素子(例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等)の分光補正に好適に使用できる。
10,10A:近赤外線カットフィルタ、11:透明基板、12:光学多層膜、13,13A,13B:阻止帯拡張用光学多層膜、100:撮像装置、110:固体撮像素子、120:カバーガラス、130:レンズ群、150:筐体、L1〜L4:レンズ

Claims (5)

  1. 透明基板と、前記透明基板の少なくとも一方の主面に設けられた光学多層膜とを備えた近赤外線カットフィルタであって、
    前記光学多層膜は、波長500nmにおける屈折率が2.0以上の高屈折率膜と、1.6以下の低屈折率膜とから構成され、
    前記光学多層膜は、
    高屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQ、低屈折率膜の波長500nmにおけるQWOTをQとしたときに、(a、b、c、d)^nの基本単位がn個積層された繰り返し構造(ここで、a 、b 、c 、d は、各基本単位における膜の物理膜厚がQWOTの何倍であるかを示す係数であり、またnは1以上の自然数を表す。)を有し、前記aの平均値は、1.5以上2.5以下であり、前記b,c のそれぞれの平均値を平均した値は、1.0以下であることを特徴とする近赤外線カットフィルタ。
  2. 前記cの平均値は、0.2以上0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
  3. 前記繰り返し積層された各基本単位のb/d及びd/bを算出し、前記算出したb/d及びd/bのうち値の大きいほうを平均した値が1.1以上2.5以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の近赤外線カットフィルタ。
  4. 前記nは、9以上25以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  5. 前記透明基板は、近赤外波長域の光に吸収を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタ。
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