JP2015227963A - 光学フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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小太郎 若林
明則 伊東
Akinori Ito
明則 伊東
輝 斉藤
Teru Saito
輝 斉藤
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Abstract

【課題】第一の透過波長帯及び第二の透過波長帯を持つ光学フィルタを実現するとともに、層数を抑制しつつ、透過帯域における曇りやリップルの発生を低減して高い透過率を得る光学フィルタ等を提供する。【解決手段】光学フィルタ10は、基板11と、基板上に複数の層が形成された光学薄膜部20とを備えている。光学薄膜部20は、基板11に近い側から順に、低屈折率材料からなる低屈折率層13と高屈折率材料からなる高屈折率層12とを交互に積層して構成される第一のSWPF22と、低屈折率層13と高屈折率層12とを第一のSWPF22のそれらと異なる膜厚で交互に積層して構成される第二のSWPF23とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つ光学フィルタ及びその製造方法に関し、特に低コストで製造でき、かつ透過率の高い光学フィルタ等に関する。
特許文献1、2には、昼夜兼用の監視カメラが開示されている。この監視カメラでは、昼間は赤外線カットフィルタを光軸に入れることにより赤外線を除いて撮影し、夜間は赤外線カットフィルタを光軸から出すことにより赤外線も含めて撮影する。つまり、昼間は赤外線をカットして可視光による自然な画像を取得し、夜間は赤外線を照射してその反射光による画像を取得する。
また、特許文献3には、可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つ光学フィルタが提案されている(下記公報段落0047、図3(B)及び図6(C)参照)。この光学フィルタは、誘電体多層膜からなり、可視光と同じように赤外光を検出するため、可視光の透過率を赤外光の透過率の約半分に設定するものである。
一方、デジタルカメラなどの撮像装置において、ローパスフィルタ及び光学吸収フィルタを有する光学フィルタが使用されている。その場合、被写体の空間周波数が撮像素子の画素ピッチに近い場合に干渉が発生し、この干渉が偽色や色モアレなどの原因となる。また、撮像素子の前面での光の反射が、赤ゴーストの原因となる。そのような画質の低下を低減するため、撮像素子の前面に、紫外線(UV)及び赤外線(IR)をカットする光学フィルタを配置していることが一般的である。
例えば特許文献4に記載された光学フィルタは、IRカットガラス上にTiO2(二酸化チタン)及びSiO2(二酸化ケイ素)を交互に成膜したUV−IRカットコートを形成し、紫外線と赤外線の両方を反射させる構造としている。かつ、それらのIRカットガラスとUV−IRカットコートとを合わせた分光透過率を、人間の視感度に近似したものとしている。
また、特許文献5、6には、TiO2及びSiO2を交互に多層成膜することによって構成されたIRカットフィルタが記載されている。特許文献5には合計40層、特許文献6には合計48層又は60層を積層した例が記載されている。非特許文献1(p199、5.5章)には、ロングウェーブパスフィルタ(LWPF)とショートウェーブパスフィルタ(SWPF)とを用いた42層のUV−IRカットフィルタの設計例が示されている。
特許3861241号公報 特開2012−159658号公報 特開2013−085215号公報 特開2013−130886号公報 特許3937823号公報 特許5126089号公報
小檜山光信、「光学薄膜フィルタデザイン」、株式会社オプトロニクス社、2006年
前述の昼夜兼用の監視カメラでは、赤外線カットフィルタを光軸に出し入れする機構が必要であるため、小型化及び低価格化が難しい。また、前述の第一の透過波長帯及び第二の透過波長帯を持つ光学フィルタは、膜構成の具体例が開示されていないため、実際に実現できるか否かは不明である。
一方、前述のように、TiO2などの高屈折率材料とSiO2などの低屈折率材料とを交互に成膜した構造の光学フィルタは既に公知であるが、そのような光学フィルタにおいては、透過帯域における光透過率の細かい変動(いわゆるリップル)を除去するために、高屈折率材料及び低屈折率材料とを交互に成膜する層数を多くすることが一般的に行われている。
特許文献4にはその層数などについては特に規定されていないが、一般的には少なくとも40層以上を積層しないと実用に耐えるものとはならないとされており、実際特許文献5には40層、特許文献6には48層又は60層、非特許文献1には42層の設計例が各々記載されている。
しかしながら、層数が多くなると、それだけ成膜に多くの時間を要することとなり、また各工程における管理も困難となる。特に、膜層数が多いと膜表面が粗くなることによる散乱や、高屈折率材料としてTiO2を使用した場合にTiO2の結晶粒が大きくなることによる散乱が発生する。これを、光学薄膜の曇り(ヘイズ)という。この光学薄膜の曇りを抑制することが困難となり、これも製造コストに大きく影響する。
そこで、本発明は、可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つ光学フィルタを実現することを目的とし、かつ、層数を抑制しつつ、透過帯域における曇りやリップルの発生を低減して高い透過率を達成し得る光学フィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る光学フィルタは、可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つ光学フィルタであって、
基板と、前記基板上に複数の層が形成された光学薄膜部とを備えており、
前記光学薄膜部が、前記基板に近い側から順に、
屈折率の異なる二種類の材料である低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に積層して構成される第一のショートウェーブパスフィルタと、
前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらと異なる膜厚で交互に積層して構成される第二のショートウェーブパスフィルタとを有する、
ことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る光学フィルタの製造方法は、本発明に係る光学フィルタを製造する方法であって、
前記基板上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを交互に積層して前記第一のショートウェーブパスフィルタを形成し、
この第一のショートウェーブパスフィルタの上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらと異なる膜厚で交互に積層して第二のショートウェーブパスフィルタを形成する、
ことを特徴とする。
本発明に係る光学フィルタ及びその製造方法によれば、第一及び第二のショートウェーブパスフィルタを異なる膜厚で形成したことによって、可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つフィルタ特性を実現できるとともに、層数を抑制しつつ、透過帯域における曇りやリップルの発生を低減して高い透過率を達成できる。
実施形態1の光学フィルタの概略構成について示す説明図である。 実施形態1の光学フィルタの屈折率プロファイルを示すグラフである。 実施形態1の光学フィルタにおける、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである。 比較例の光学フィルタにおける、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである(その1)。 比較例の光学フィルタにおける、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである(その2)。 比較例の光学フィルタにおける、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである(その3)。 実施形態1の光学フィルタの各部及び全体における、入射光の波長に対する透過率を概略的に示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いる。図面に描かれた形状は、当業者が理解しやすいように描かれているため、実際の寸法及び比率とは必ずしも一致していない。以下の説明及び図面では、「ショートウェーブパスフィルタ」を「SWPF」と略称する。また、「フィルタ特性」及びその略称である「特性」とは、光学フィルタにおける入射光の波長と透過率との関係をいうものとする。
本発明の実施形態1の構成について図1乃至図3に基づいて説明する。
本実施形態1の光学フィルタ10は、基板11と、基板上に複数の層が形成された光学薄膜部20とを備えている。光学薄膜部20は、基板11に近い側から順に、低屈折率材料からなる低屈折率層13と高屈折率材料からなる高屈折率層12とを交互に積層して構成される第一のSWPF22と、低屈折率層13と高屈折率層12とを第一のSWPF22のそれらと異なる膜厚で交互に積層して構成される第二のSWPF23とを有する。
ここで、Lを低屈折率層13の1/4光学膜厚、Hを高屈折率層12の1/4光学膜厚、m,nを膜の繰り返し回数、M,N,Xを係数と各々定義する。このとき、
第一のSWPF22の膜構成は
[M{(0.5±0.05)L+(1±0.05)H+(0.5±0.05)L}]m、
第二のSWPF23の膜構成は
[N{(0.7±0.1)L+(1.4±0.2)H+(0.7±0.1)L}]n、
かつ、
M=1/{(1.033±0.005)X}、
N=(1.033±0.005)X、
X=1.0〜1.10、
とすることが望ましい。更に望ましくは、1/4光学膜厚の設計波長を800nm、繰り返し回数であるm,nをm=7、n=8とする。
以上の構成を備えることにより、この光学フィルタ10は、図3に示す可視光域の第一の透過波長帯31及び赤外光域の第二の透過波長帯32を持つフィルタ特性を実現できるとともに、層数を40層以内に抑制しつつ、透過帯域における曇りやリップルの発生を低減して高い透過率を得ることが可能なものとなる。
また、基板11と第一のSWPF22との間に、高屈折率材料と低屈折率材料とを第一のSWPF22のそれらよりも薄い膜厚で各々二層ずつ交互に積層して構成される反射防止膜21を介装している。そして、この反射防止膜21の膜構成が
[0.191H+0.293L+0.331H+0.795L]
である。反射防止膜21の膜構成として四層を示しているが、四層以外の構成であっても反射防止膜の機能を有していればよい。このような反射防止膜21を備えることにより、さらに高い透過率を得ることができる。
以下、これをより詳細に説明する。
図1は、本実施形態1の光学フィルタ10の概略構成について示す説明図である。光学フィルタ10は、二酸化ケイ素の結晶(水晶)又はガラス製の基板11上に相対的な低屈折率を有する低屈折率層13と相対的な高屈折率を有する高屈折率層12とを交互に積層して構成されている。
典型的には、高屈折率層12の材料としては例えばTiO2(二酸化チタン、屈折率n=2.30〜2.40)、低屈折率層13の材料としては例えばSiO2(二酸化ケイ素、屈折率n=1.46)を利用することができるが、必ずしもこの例に従う必要はない。
交互に積層される低屈折率層13と高屈折率層12とにより、基板11上に光学薄膜部20が構成される。この光学薄膜部20は、基板11側から順に、リップルを抑制するための反射防止膜21、第一のSWPF22、第二のSWPF23といった各部によって構成されている。
各部の構成は、以下のように表される。ここで、低屈折率層13及び高屈折率層12の各々の材料の1/4光学膜厚(設計波長λの1/4)を各々L及びH、各係数をM,N,Xと定義する。
反射防止膜21… [0.191H+0.293L+0.331H+0.795L]
第一のSWPF22…[M{(0.5±0.05)L+(1±0.05)H+(0.5±0.05)L}]m
第二のSWPF23…[N{(0.7±0.1)L+(1.4±0.2)H+(0.7±0.1)L}]n
M=1/{(1.033±0.005)X}
N=(1.033±0.005)X
X=1.0〜1.10
ここで、m,nは[]内の膜の繰り返し回数であり、実験によって確かめられた最善の条件ではm=7、n=8である。以上の構成で、膜の層数は34層である。すなわち、40層以上を積層している特許文献4〜6に記載の既存技術と比べて、層数を削減することに成功している。なお、図1では本発明の概念を平易に示すことを優先しているため、層数はこの最善の条件と一致していない。
なお、上式において例えば「0.5±0.05」における「±0.05」とは製造時に生じる最大誤差であり、「0.5±0.05」とは「0.45〜0.55」の意味である。また、例えば「M{(0.5±0.05)L+・・・」とは、「(0.5±0.05)×L×M」の膜厚の層と「(1±0.05)×H×M」の膜厚の層と「(0.5±0.05)×L×M」の膜厚の層との三層構造を意味する。
図2は、光学フィルタ10の屈折率プロファイルを示すグラフである。図2の横軸は基板11側(左端側)を0とした場合の厚さ方向位置(nm)を示し、その縦軸はその位置における材料の屈折率を示す。基板11の屈折率は約1.55、高屈折率層12の屈折率は約2.30、低屈折率層13の屈折率は約1.46である。図2の右端は空気であり、その屈折率は1である。また、設計波長λ=800nmである。
図3は、光学フィルタ10における、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである。図3の横軸は入射光の波長(nm)を示し、縦軸はその波長の入射光に対する透過率(%)を示す。入射角度は0度、すなわち光学フィルタ10に対して垂直に入射した場合の数値である。
光学フィルタ10の透過率は、波長が430〜640nm(第一の透過波長帯31)で95〜100%となり、640〜750nmで急激に低下し、750nm以上でほぼ0となり、850〜930nmで再び上昇し、930〜940nm(第二の透過波長帯32)で90〜100%となり、940〜980nmで再び低下し、980nm以上で再びほぼ0となる。そして、波長が430〜640nmの領域においては、透過率は100〜95%の範囲内での変動であり、リップルの発生が少ないことがわかる。また、曇り(ヘイズ)についても、ヘイズメータで測定したところ、0.08(無単位量)程度の良好な値が得られた。
この光学フィルタ10の製造工程は、基板11上に低屈折率層13と高屈折率層12とを、膜厚を変えながら交互に成膜していくことによって、基板11側から順に反射防止膜21、第一のSWPF22、第二のSWPF23を、一層当たりの膜厚をこの順に厚くしていきながら図2に示したような屈折率プロファイルで形成していくのみでよい。
したがって、既存の光学フィルタと比べて特別な製造設備は必要とはされない。それでいて、より少ない層数で、曇りやリップルの発生を少なくした光学フィルタ10を得ることができる。かつ、層数を40層以下に抑制したので、成膜時間が短縮され、低コストで製造することが可能となる。
図4乃至図6は、各比較例の光学フィルタにおける、入射光の波長に対する透過率を示すグラフである。各比較例の光学フィルタでは、係数M、N、Xを前述の範囲外とし、それ以外の構成を光学フィルタ10と同じにしている。
図4は、M=1、N=1の場合、すなわち
M=1>1/{(1.033±0.05)X}、
N=1<(1.033±0.005)X
となる場合である。この場合は、第二(長波長側)の透過波長帯が消滅するので、通常のUV−IRカットフィルタの特性となる。
図5[A]は、M、Nの最大誤差が下限値−0.05を下回り、かつXが下限値1.0を下回る場合、すなわち
M=1/(1.027X)=1/{(1.033−0.06)X}、
N=1.027X=(1.033−0.006)X、
X=0.99<1.0
となる場合である。この場合は、第二(長波長側)の透過波長帯の透過率が90%以下となる。
図5[B]は、M、Nの最大誤差が上限値+0.05を上回り、かつXが下限値1.0を下回る場合、すなわち
M=1/(1.039X)=1/{(1.033+0.06)X}、
N=1.039X=(1.033+0.006)X、
X=0.99<1.0
となる場合である。この場合は、第二(長波長側)の透過波長帯の透過率が90%以下となる。
図6[A]は、M、Nの最大誤差が下限値−0.05を下回り、かつXが上限値1.10を上回る場合、すなわち
M=1/(1.027X)=1/{(1.033−0.06)X}、
N=1.027X=(1.033−0.006)X、
X=1.11>1.10
となる場合である。この場合は、第二(長波長側)の透過波長帯の透過率が90%以下となる。
図6[B]は、M、Nの最大誤差が上限値+0.05を上回り、かつXが上限値1.10を上回る場合、すなわち
M=1/(1.039X)=1/{(1.033+0.06)X}、
N=1.039X=(1.033+0.006)X、
X=1.11>1.10
となる場合である。この場合は、第二(長波長側)の透過波長帯の透過率が90%以下となる。
以上のように、M=1、N=1の場合は第二(長波長側)の透過波長帯が消滅し、その他のいずれの場合も第二(長波長側)の透過波長帯の透過率が90%以下となる。したがって、係数M、N、Xは前述の範囲内とすることが望ましい。換言すると、係数M、N、Xを前述の範囲内とすることにより、可視光域の透過波長帯の透過率を95%以上、かつ、赤外光域の透過波長帯の透過率を90%以上、とすることができる。
図7は、本実施形態1の光学フィルタの各部及び全体における、入射光の波長に対する透過率を概略的に示すグラフである。
図7[A]は反射防止膜21を単独の光学フィルタとして用いた場合のグラフである。反射防止膜21は、最も短波長側の透過率を低下させている。
図7[B]は第一のSWPF22を単独の光学フィルタとして用いた場合のグラフである。第一のSWPF22のフィルタ特性は、中心波長λ1の短波長側の透過波長帯22aと、中心波長λ1の長波長側の透過波長帯22bとからなる。中心波長λ1は前述の設計波長λである。そして、係数Mを各層の膜厚にかけることによって、フィルタ特性を長波長側へシフトさせている。係数Mを大きくするほど、フィルタ特性はより長波長側へシフトする。
図7[C]は第二のSWPF23を単独の光学フィルタとして用いた場合のグラフである。第二のSWPF23のフィルタ特性は、中心波長λ2の短波長側の透過波長帯23aと、中心波長λ2の長波長側の透過波長帯(図示せず)とからなる。中心波長λ2は前述の設計波長λ×1.4である。そして、係数Nを各層の膜厚にかけることによって、フィルタ特性を短波長側へシフトさせている。係数Nを小さくするほど、フィルタ特性はより短波長側へシフトする。
図7[D]は、図7[A]から図7[C]までに示す特性を有する反射防止膜21、第一のSWPF22及び第二のSWPF23を積層した、光学フィルタ10のグラフである。第一の透過波長帯31は、透過波長帯22aと透過波長帯23aとの重なる部分からなる。第二の透過波長帯32は、透過波長帯22bと透過波長帯23aとの重なる部分からなる。光学フィルタ10は反射防止膜21、第一のSWPF22及び第二のSWPF23が積層されたものであるから、ある波長において、図7[D]での透過率は図7[A]から図7[C]までの透過率の積に概ね等しい。
本実施形態1では、通常のUV−IRカットフィルタ(図4)の膜構成において、第一のSWPF22の各層に係数Mをかけて第一のSWPF22の特性を長波長側へシフトさせる(図7[B])とともに、第二のSWPF23の各層に係数Nをかけて第二のSWPF23の特性を短波長側へシフトさせる(図7[C])。このとき、係数M,Nを最適化することにより、透過波長帯22bと透過波長帯23aとの重なる部分からなる第二の透過波長帯31(図7[D])を生じさせる。
したがって、全体の膜設計を変更しなくても係数M,Nの変更だけで、通常のUV−IRカットフィルタに第二の透過波長帯32を追加できるので、赤外光域にBPF(Band Pass Filter)機能を有する光学フィルタ10を容易に実現できる。すなわち、通常のUV−IRカットフィルタに対して膜設計上の差異が小さいため。UV−IRカットフィルタの条件出しが完了している成膜装置を用いて、直ちに高歩留りで光学フィルタ10を生産できる。
また、光学フィルタ10を昼夜兼用の監視カメラに用いた場合は、光学フィルタ10を光軸に入れたままにできるので、光学フィルタ10を光軸に出し入れする機構が不要になるため、小型化及び低価格化を達成できる。なぜなら、係数M,Nを最適化することによって第二の透過波長帯32の帯域幅を最小限に設定できるので、昼間の撮影に影響する赤外線を最小化できるからである。
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
光学フィルタを含む機器一般において幅広く利用することが可能であるが、特に撮像装置、その中でも小型軽量や低コストであることが要求される用途の撮像装置における利用に適している。より具体的には、前述のような昼夜兼用の監視カメラなどに搭載される光学フィルタなどである。
10 光学フィルタ
11 基板
12 高屈折率層
13 低屈折率層
20 光学薄膜部
21 反射防止膜
22 第一のSWPF
22a 短波長側の透過波長帯
22b 長波長側の透過波長帯
23 第二のSWPF
23a 短波長側の透過波長帯
31 第一の透過波長帯
32 第二の透過波長帯

Claims (6)

  1. 可視光域の第一の透過波長帯及び赤外光域の第二の透過波長帯を持つ光学フィルタであって、
    基板と、前記基板上に複数の層が形成された光学薄膜部とを備えており、
    前記光学薄膜部が、前記基板に近い側から順に、
    屈折率の異なる二種類の材料である低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に積層して構成される第一のショートウェーブパスフィルタと、
    前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらと異なる膜厚で交互に積層して構成される第二のショートウェーブパスフィルタとを有する、
    ことを特徴とする光学フィルタ。
  2. Lを前記低屈折率材料の1/4光学膜厚、Hを前記高屈折率材料の1/4光学膜厚、m,nを膜の繰り返し回数、M,N,Xを係数と各々定義すると、
    前記第一のショートウェーブパスフィルタの膜構成が
    [M{(0.5±0.05)L+(1±0.05)H+(0.5±0.05)L}]m、
    前記第二のショートウェーブパスフィルタの膜構成が
    [N{(0.7±0.1)L+(1.4±0.2)H+(0.7±0.1)L}]n、
    かつ、
    M=1/{(1.033±0.005)X}、
    N=(1.033±0.005)X、
    X=1.0〜1.10
    である、
    請求項1記載の光学フィルタ。
  3. 前記1/4光学膜厚の設計波長を800nm、前記繰り返し回数であるm,nをm=7、n=8とした、
    請求項2記載の光学フィルタ。
  4. 前記基板と前記第一のショートウェーブパスフィルタとの間に、前記高屈折率材料と前記低屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらよりも薄い膜厚で各々二層ずつ交互に積層して構成される反射防止膜を介装すると共に、
    前記反射防止膜の膜構成が
    [0.191H+0.293L+0.331H+0.795L]
    である、
    請求項3記載の光学フィルタ。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の光学フィルタを製造する方法であって、
    前記基板上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを交互に積層して前記第一のショートウェーブパスフィルタを形成し、
    この第一のショートウェーブパスフィルタの上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらと異なる膜厚で交互に積層して第二のショートウェーブパスフィルタを形成する、
    ことを特徴とする光学フィルタの製造方法。
  6. 請求項4記載の光学フィルタを製造する方法であって、
    前記基板上に、前記高屈折率材料と前記低屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらよりも薄い膜厚で各々二層ずつ交互に積層し前記反射防止膜を形成し、
    この反射防止膜の上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを交互に積層して前記第一のショートウェーブパスフィルタを形成し、
    この第一のショートウェーブパスフィルタの上に、前記低屈折率材料と前記高屈折率材料とを前記第一のショートウェーブパスフィルタのそれらと異なる膜厚で交互に積層して第二のショートウェーブパスフィルタを形成する、
    ことを特徴とする光学フィルタの製造方法。
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