〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照しつつ、本発明に係る虚像表示装置の第1実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。
虚像表示装置100は、主な外観を構成する本体2と、本体2の裏側に配置される補助装着部材3と、本体2の表側に配置されるカバー部材4とを備える。これらのうち、本体2は、虚像表示装置100にとって必須の光学的要素を備える部分であり、仮想線で示す補助装着部材3とカバー部材4とは、任意のアクセサリーとして本体2に対して随時着脱可能になっている。
虚像表示装置100のうち本体2は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2光学部材101a,101bと、両光学部材101a,101bを支持する枠部102と、枠部102の左右両端から後方のテンプル部(つる部分)104にかけての部分に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備える。ここで、図面上で左側の第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。
図2(A)は、虚像表示装置100の表側の外観を説明する斜視図であり、図2(B)は、虚像表示装置100の裏側の外観を説明する斜視図であり、図2(C)は、虚像表示装置100の裏面図である。図3(A)及び3(B)は、虚像表示装置100を部分的に分解した表側を示す斜視図及び正面図であり、図3(C)及び3(D)は、虚像表示装置100を部分的に分解した裏側を示す分解斜視図及び裏面図である。図4は、像表示装置100の平面視した断面図である。
図示のように、虚像表示装置100の本体2に設けた枠部102は、上側に配置される桁部としてのフレーム107と下側に配置されるプロテクター108とを備える。枠部102のうち、図2(A)等に示す上側のフレーム(桁部)107は、XZ面内でU字状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、左右の横方向(X方向)に延びる正面部107aと、前後の奥行き方向(Z方向)に延びる一対の側面部107b,107cとを備える。フレーム107、すなわち正面部107aと側面部107b,107cとは、アルミダイカストその他の各種金属材料で形成された金属製の一体部品である。正面部107aの奥行き方向(Z方向)の幅は、第1及び第2光学部材101a,101bに対応する導光装置20の厚み又は幅よりも十分に厚いものとなっている。フレーム107の左側方、具体的には正面部107aにおける向かって左端部から側面部107bにかけての部分である側方端部65aには、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとがアライメントされネジ止めによって直接固定されることにより、支持されている。また、フレーム107の右側方、具体的には正面部107aにおける向かって右端部から側面部107cにかけての部分である側方端部65bには、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとがアライメントされネジ止めによって直接固定されることにより、支持されている。なお、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとは、嵌合によって互いにアライメントされ、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとは、嵌合によって互いにアライメントされる。
図2(C)等に示すプロテクター108は、アンダーリム状の部材であり、フレーム107の下方に配置されて固定されている。プロテクター108の中央部CR1(図3(B)参照)は、フレーム107の中央部107g(図2(A)等参照)に嵌合及びネジ止めによって固定される接続領域にある接続部108gを有する。プロテクター108は、2段のクランク状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、金属材料又は樹脂材料から一体的に形成されている。プロテクター108の接続部(接続領域)108gは、逆V字状の外形を有するので、接続部108gとフレーム107の正面部107aとの間に一対の逆三角の隅部6が形成される(図1参照)。この隅部6は、後に詳述するが、補助装着部材3及びカバー部材4を着脱可能に固定する支持部8として利用することができる。プロテクター108の奥行き方向(Z方向)の幅は、導光装置20の厚み又は幅程度となっている。プロテクター108の第1先端部108iは、第1像形成本体部105aに対して嵌合によって固定され、プロテクター108の第2先端部108jは、第2像形成本体部105bに対して嵌合によって固定される。より具体的には、図2(C)に示すように、プロテクター108の第1先端部108iは、第1像形成本体部105aを覆うカバー状の外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105iに嵌合した状態で固定される。また、プロテクター108の第2先端部108jは、第2像形成本体部105bを覆うカバー状の外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105jに嵌合した状態で固定される。
フレーム107は、第1及び第2像形成本体部105a,105bを支持するだけでなく、外装部材105dと協働して第1及び第2像形成本体部105a,105bの内部を保護する役割を有する。フレーム107は、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される第1及び第2光学部材101a,101b又は導光装置20の上辺部を保護する役割も有する。プロテクター108は、各光学部材101a,101b又は導光装置20の側辺部や下辺部を保護する役割を有する。具体的には、プロテクター108は、像形成本体部105a,105bの根元部分(又は図5に示す長円状又は導光装置20)の周囲部分A0のうち、鼻に近い内側の側辺部と下側の下辺部とを使用環境下にある周囲の様々な物体から保護する。つまり、フレーム107やプロテクター108が十分な強度を有すれば、虚像表示装置100が周囲の他の物体と衝突等しても、第1及び第2像形成本体部105a,105bや第1及び第2光学部材101a,101b、特に露出する導光装置20において、損傷や位置ずれが発生する可能性を低減できる。さらに、虚像表示装置100を落下させた場合のようにランダムな方向からの強い衝撃に対しても虚像表示装置100の耐久性を高めることができる。
プロテクター108は、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される根元側を除いた導光装置20の長円状の周囲部分A0と離間するか又は緩く接している。なお、導光装置20の周囲部分A0は、フレーム(桁部)107の正面部107aとも離間するか又は緩く接している。このように、第1及び第2光学部材101a,101b又は導光装置20は、根元側を除いたC字状の周囲部分A0でフレーム107及びプロテクター108に近接するが、フレーム107及びプロテクター108に固定されていない。このため、中央の導光装置20と、フレーム107及びプロテクター108を含む枠部102との間に熱膨張率の差があっても、枠部102内での導光装置20の膨張が許容され、導光装置20に歪み、変形、破損が生じることを防止できる。
図5に示すように、第1表示装置100Aは、投影用の光学系である投射透視装置70と、映像光を形成する画像表示装置80とを備えると見ることができる。投射透視装置70は、第1像形成本体部105aによって形成された画像を虚像として観察者の眼に投射する役割を有する。投射透視装置70は、導光及び透視用の導光部材10と、透視用の光透過部材50と、結像用の投射レンズ30とを備える。つまり、第1光学部材101a又は導光装置20は、導光部材10と光透過部材50とで構成され、第1像形成本体部105aは、画像表示装置80と投射レンズ30とで構成される。
以下、図6(A)、7等を参照して、枠部102のフレーム(桁部)107に付随して設けられている鼻受部40について説明する。鼻受部40は、フレーム107に固定されており、観察者の鼻に当接することによって枠部102を支持する役割を有する。つまり、枠部102は、鼻に支持される鼻受部40と耳に支持される一対のテンプル部104とによって、観察者の顔前に配置されることになる。これらの枠部102と鼻受部40とテンプル部104とを組み合わせたものは、眼鏡フレームに外観的に類似するものとなり、眼鏡と類似した装着感を達成できる。
鼻受部40は、枠部102の上側を構成するフレーム107の正面部107aの中央部107gにねじ止めによって固定されて、下方に延びている。鼻受部40は、中央上部の被固定部43と、上下に延びる一対の長さ調整部材41と、調整部材41の先端に形成されたパッド部42とを有する。被固定部43は、鼻受部40をフレーム107に安定して固定するための部分となっている。被固定部43において部分的に露出する芯金40aは、フレーム107の中央部107gとプロテクター108に設けた接続部(接続領域)108gの頂部CHとの間に挟まれ、正面部107aのねじ孔107rにねじ込まれたねじ107sによって共締めされて固定されている。長さ調整部材41は、パッド部42の間隔、高さ位置等を調整する役割を有する。一対の長さ調整部材41は、先端側に向かって角度θ1で拡がっており(図2(C)等参照)、一対のパッド部42の間隔を規定している。また、長さ調整部材41の軸は、先端が観察者側に突出しており、鉛直のZ方向に対して角度θ2の傾きを有している。パッド部42は、観察者の鼻NOに当接する部分であり、鼻NOの側面に略沿った方向に扁平に拡がって鼻NOとの接触面積を最大限にできるようになっている。
鼻受部40は、可撓性を有する板金である芯金40aと、芯金40aを被覆する樹脂部40bとを備える。芯金40aは、塑性変形可能な金属材料(例えばSUS)で形成されている。これにより、鼻受部40の長さ調整部材41を湾曲させることなどによってその形状を恒常的に変形させることができ、観察者の鼻の高さや形状に合わせることができる。具体的には、角度θ1を変化させて一対のパッド部42の間隔を調整することで、鼻受部40に対する観察者の鼻NOの嵌まり込み状態を調整することができる。また、パッド部42を捻るように変形させることで、鼻NOに対するフィット感を向上させることもできる。さらに、鼻受部40のパッド部42は、樹脂部40bが若干の弾性を有し、芯金40aが有する若干の弾性によって横方向に微小変位するので、観察者の鼻NOにソフトに当たるものとなっており装用感を向上させている。このように、長さ調整部材41の変形等によって鼻受部40の形状や接触状態を調整できるようにしたことにより、フレーム107又は導光装置20の眼EYに対する高さや距離を装着感を含めて微調整することができるので、観察者の好みに合わせて虚像表示装置100を装着できるようになる。
なお、鼻受部40は、ねじ107sを緩めることで交換することもできる。長さ調整部材41による調整にも限界があり、鼻受部40を交換することにより、鼻受部40の調整範囲を広げることができる。
鼻受部40のパッド部42は、観察者の鼻NOの鼻骨NBに十分な広さで支持されており、導光装置20の支持を安定したものとでき、鼻NOへの負担を低減したものとなっている。つまり、虚像表示装置100の装着が上記構造の鼻受部40によって比較的快適になる。ただし、鼻受部40のパッド部42は、鼻骨NBの下部に相当する位置に支持されており、眉間に近い鼻骨NBの上部に支持される眼鏡鼻パッド9dとの干渉を避けたものとなっており、眼鏡鼻パッド9dを備える眼鏡9との共存を可能にしている。
以下、図3(A)〜3(D)等を参照して、本体2に対して着脱可能に固定された補助装着部材3について説明する。補助装着部材3は、枠部102又はフレーム(桁部)107と観察者の顔との間に形成される内側空間IS(図4参照)に配置される。補助装着部材3は、一対の光学部材101a,101bを組み合わせた輪郭に対応する枠状のインナーフレーム3zを備える。インナーフレーム3zは、樹脂材料で形成され、眼鏡に類似する外形を有する。インナーフレーム3zは、一対の環状のリム部3aと、両リム部3aを連結するブリッジ部3bとを備える。インナーフレーム3zは、左右対称な形状を有しており、インナーフレーム3zの中央部CR2に配置されたブリッジ部3bには、プロテクター108に設けた支持部8と嵌合するスナップフィット型の連結部3hが設けられている。連結部3hは、一対の突起3eを有し、各突起3eの先端には、内向きの爪3fが形成されている。連結部3hの一対の爪3fは、プロテクター108に設けた接続部108gの隙間PQ(図1参照)側に形成された一対の溝状の凹部8vと係合している。ここで、一対の爪3fを先端に支持する一対の突起3eは、材料に起因して可撓性を有し、適当な応力を与えることで両爪3fの横方向の間隔を増減させて、爪3fを凹部8vから外すことができる。この結果、インナーフレーム3zの連結部3hをプロテクター108の支持部8と位置合わせしてブリッジ部3bを支持部8側に押し付けることで、隙間PQに連結部3hの突起3eが入り込み連結部3hによって支持部8を挟むようにして両者が嵌合し、インナーフレーム3zがプロテクター108に固定される。逆に、インナーフレーム3zのブリッジ部3bを支持部8から引き離すように引っ張ることで、連結部3hが支持部8から外れ、インナーフレーム3zの固定が解除されプロテクター108から分離される。つまり、インナーフレーム3z又は補助装着部材3を手で自在に着脱することができる。
補助装着部材3又はインナーフレーム3zは、比較的軽量であり、中央の連結部3hにおいて鼻NOの上方空間に配置された支持部8によって吊り下げられるように支持されるので、補助装着部材3を左右にバランスさせつつ安定した状態で固定することができる。また、インナーフレーム3zは、枠部102に沿って配置されるので、本体2との一体感が高まり、スマートな外観を確保することができる。さらに、インナーフレーム3zに設けた連結部3hは、前後から見てブリッジ部3bの輪郭内に収まっており、フレーム107の接続部108gに沿ったものとなっているため、本体2の正面から見ても目立たないものとなっている。また、補助装着部材3を取り除いても、接続部108gに設けた支持部8は外観上目立たないものとなっている。
インナーフレーム3zのリム部3aには、視力矯正レンズ3dが固定されている。視力矯正レンズ3dは、観察者の視力に適合したものとすることができ、観察者は、視力矯正によってピントの合ったシャープな画像を観察することができる。なお、本実施形態の場合、第1及び第2像形成本体部105a,105bによって形成される虚像は、無限遠に存在するものであり、近視の観察者は、補助装着部材3の視力矯正レンズ3d等越しにピントの合った画像を観察することができる。補助装着部材3を複数準備し補助装着部材3を交換することで、虚像表示装置100を視力の異なる複数の観察者に適合させることができる。特に、一対の視力矯正レンズ3dの光軸間隔は、第1及び第2像形成本体部105a,105bの光軸間隔に合わせるものに限らず、インナーフレーム3zに固定する際に眼鏡と同様に使用者の眼幅又は瞳孔間隔に合わせることができるので、良好な映像や外界像の観察が可能になる。このように、顧客の個人的な処方せんによる視力矯正を行うことで、映像の視聴が安全なものとなる。なお、一対の視力矯正レンズ3dの光軸間隔と、第1及び第2像形成本体部105a,105bの光軸間隔との差は、一般的には10mm以下とすることが望ましい。
インナーフレーム3zに固定される視力矯正レンズ3dには、紫外線カット、ブルーライトカットのほか、減光、着色等のサングラス機能を追加することもできる。視力矯正レンズ3dは、視度の無い光透過性の平板に置換することができる。この場合、補助装着部材3は、外界光に対して単純なサングラス等として機能する。また、視力矯正レンズ3dは、動的に度数調整が可能なレンズとすることもできる。この場合、複数の顧客が虚像表示装置100を共有する場合であっても、簡易に良好な画像を観察することができる。
なお、補助装着部材3は、枠部102よりも内側に配置される。このため、光学部材101a,101bと観察者の眼EYとの間には、一定以上の間隔が形成されている必要がある。つまり、虚像表示装置100を着用した装着状態において、光学部材101a,101b又は枠部102と観察者の眼EYとの間に、補助装着部材3を配置するための内側空間ISが形成される(図4参照)。この内側空間ISは、光学部材101a,101bに沿って層状に広がる。内側空間ISを広く確保することで、補助装着部材3を挿入する空間に余裕をもたせることができるが、一方で眼EYと光学部材101a,101bとの間隔が広がると虚像表示の視野角が狭くなり光学部材101a,101bを重く感じる傾向が生じる。このため、内側空間ISについては、補助装着部材3の配置空間を確保しつつ前後のZ方向に関する厚みを可能な限り薄くすることが望ましい。内側空間ISは、図8(C)に示すように、補助装着部材3に代えて眼鏡9を配置するための空間とすることもできる。つまり、眼鏡9を着用した観察者は、補助装着部材3を虚像表示装置100から取り外すことで眼鏡9を着用したままで虚像表示装置100を装着することができる。この場合、内側空間ISは、比較的多様な眼鏡形状を収納できるような厚み又はサイズとする。なお、眼鏡9を外した観察者は、補助装着部材3を取り付けた虚像表示装置100を装着することになる。
以下、図2(A)、図8(B)等を参照して、本体2に対して着脱可能に固定されるシェードとしてのカバー部材4について説明する。カバー部材(シェード)4は、一対の光学部材101a,101bを組み合わせた輪郭に対応する輪郭を有し、両光学部材101a,101bを前側から覆う。カバー部材4は、遮光性又は吸光性を有する樹脂材料等で形成され、度の入っていない一対のレンズ部4aと、両レンズ部4aを支持する中間部4bとを備える。カバー部材4の中央部に配置された中間部4bには、プロテクター108に設けた支持部8と嵌合するスナップフィット型の連結部4hが設けられている。連結部4hは、一対の突起4eを有し、各突起4eの先端には、内向きの爪4fが形成されている。連結部4hの一対の爪4fは、補助装着部材3の連結部3hと同様にプロテクター108に設けた接続部108gの隙間PQ側に形成された一対の溝状の凹部8vと係合している。ここで、一対の爪4fを先端に支持する一対の突起4eは、可撓性を有し、適当な応力を与えることで両爪4fの横方向の間隔を増減させて、爪4fを凹部4vから外すことができる。この結果、取付け前の状態のカバー部材4の連結部4hをプロテクター108の支持部8と位置合わせして中間部4bを支持部8側に押し付けることで、隙間PQに連結部4hの突起4eが入り込み連結部4hによって支持部8を挟むようにして両者が嵌合し、カバー部材4がプロテクター108に固定される。逆に、取付け後の状態のカバー部材4の中間部4bを支持部8から引き離すように引っ張ることで、連結部4hが支持部8から外れ、カバー部材4の固定が解除されプロテクター108から分離される。つまり、カバー部材4を手で自在に着脱することができる。
カバー部材4を本体2に取り付けた場合、外光を遮断又は減光することができ、観察者は、第1及び第2像形成本体部105a,105bによって形成される虚像をクリアーに観察することができる。なお、カバー部材4は、補助装着部材3から独立して着脱可能になっている。つまり、本体2に対してカバー部材4又は補助装着部材3のみを装着することができ、カバー部材4及び補助装着部材3の双方を装着することができる。
以下、図1の虚像表示装置100を構成する本体2とカバー部材4と補助装着部材3との配置関係について説明する。図8(A)のCC矢視断面に相当する図8(B)に示すように、本体2のプロテクター108には、カバー部材4と補助装着部材3とが干渉することなく固定されており、鼻受部40は、補助装着部材3に設けた連結部3hの前側を通って一対のリム部3a間に延びるように配置されている。図8(A)のDD矢視断面に相当する図8(C)に示すように、導光装置20又は光学部材101a,101bに隣接して内側に補助装着部材3が配置されている。つまり、調整部材41が細いため、補助装着部材3を配置しても鼻受部40と干渉しないようになっている。なお、既述のように、補助装着部材3の位置には、これに代えて図中点線で示すように眼鏡9を配置することができる。この際、一般的な眼鏡9のブリッジ部9a及びフレーム部9bは、導光装置20に隣接して内側に配置される。また、鼻受部40の長さ調整部材41等は、眼鏡9や眼鏡鼻パッド9dとの干渉を避けるように、これらより前側又は前方に配置されている。特に長さ調整部材41が細く、パッド部42を相対的に下側に配置しているため、眼鏡鼻パッド9dとの干渉を避けやすいものとなっている。図8(A)のEE矢視断面に相当する図8(D)に示すように、鼻受部40のパッド部42は、断面サイズが大きいが、インナーフレーム3z等の一対のリム部3aの内側に十分離れて配置されている。
図9に示すように、導光部材10と光透過部材50とは、互いに固定されて一体的な導光装置20を構成している。導光装置20は、映像の光を内部で反射させつつ観察者の眼に導く光透過性の光学ブロック状又はプリズム状の部材である。導光装置20のうち周囲部分に囲まれた本体部分は、長円状の輪郭を有する。ここで、光透過部材50は、導光部材10の先端側、すなわち射出側又は光射出側の第1導光部分11に連結するようにその延長方向に配置され、接着剤を利用した接合によって第1導光部分11に固定されている。導光部材10及び光透過部材50を組み合わせた導光装置20は、図1における第1光学部材101aに相当する。導光装置(光学部材)20の周囲部分のうち、フレーム107に近い上辺側には、図6(B)に示すようにフレーム107下面に設けられている制限部107nに嵌め込まれるリブ10nが形成されている。この第1のリブ10nの存在により、導光装置20の奥行き方向(Z方向)に関する変位が制限される。
以下、図10等を参照して、第1表示装置100Aのフレーム107への組付けについて説明する。第1像形成本体部105aを構成する投射レンズ30は、その鏡筒39に埋め込むように形成された取付部39gを利用してフレーム107の側方端部65aに設けた第1固定部61fに直接固定されている。このような固定の際、第1固定部61fの裏面68fと取付部39gの上端面等とが当接してアライメントが達成され、ネジ孔61sを介してネジ61tを取付部39gにねじ込むことで着脱可能で確実な固定が可能になる。この際、フレーム107のボス孔61xに鏡筒39に設けたボス39xが嵌合して鏡筒39の回転が規制され回転に関する位置決めも行われる。一方、第1光学部材101aである導光装置20は、そのネック部に形成された突起状の取付部10gを利用して、フレーム107の側方端部65aに設けた第2固定部61eに直接固定されている。取付部10gは、導光装置20の入射側又は光入射側の部分、具体的には第1導光部分11と第2導光部分12との境界周辺において周囲に拡張するように立設されている。このような固定の際、第2固定部61eの前側部分に設けた突当て面68eと取付部10gの裏面10kとが当接してアライメントが達成され、ネジ孔61uに対してネジ61vをネジ孔10u越しにねじ込むことで着脱可能で確実な固定が可能になる。なお、図5等に示す画像表示装置80は、投射レンズ30の鏡筒39の後端に嵌め込むようにして固定される。
導光装置20は、導光部材10の第2導光部分12側の先端部12jが投射レンズ30の鏡筒39の前端側に設けられて開口する矩形枠状の係合部材39aに嵌合することで投射レンズ30に対して位置決めされた状態で係止される。つまり、導光装置20に設けた導光部材10をフレーム107の第2固定部61eに固定する際に、第2導光部分12側の先端部12jを鏡筒39の係合部材39a内に嵌合するように挿入する。この際、先端部12jの側面12mが係合部材39aの内面39mと当接してアライメントが達成される。その後、図6(A)、7等に示すようにフレーム107の中央部107gに設けたねじ孔107rやその周囲の座部107qを利用して、フレーム107にプロテクター108を固定する。この際、図7、11に示すように中央部107gと接続部108gとの間に鼻受部40の被固定部43を挟んで鼻受部40も固定する。以上の工程によって、フレーム107と投射透視装置70とプロテクター108とのアセンブリーを得ることができる(図3等参照)。
その後、図2(A)及び2(B)等に示すように、外装部材105dのうち外部材105eをフレーム107及び投射透視装置70のアセンブリーに固定する。外部材105eは、フレーム107や投射レンズ30との嵌合、投射レンズ30の取付部39gに対してのネジ締結等によって固定される。この際、フレーム107に既に固定されているプロテクター108の先端部108i,108jを外部材105eに形成された凹部105iに嵌合させて固定することになる。次に、内部材105fを外部材105eに嵌合させ、ネジ止めによって外部材105eに固定する。これにより、内部材105fと外部材105eとに挟まれた空間内に、第1像形成本体部105aを構成する投射レンズ30及び導光装置20の根元側と、画像表示装置80と、フレーム107の側面部107b,107cの一部とが収納される。
テンプル部104は、フレーム107に設けた一対の側面部107b,107cの先端に設けた孔107tに固定されている(図10(A)等参照)。テンプル部104と側面部107b,107cとの連結部は、ヒンジ構造を有するものとでき、この場合、テンプル部104の折畳みが可能になる。
なお、図1に示す第2表示装置100Bは、第1表示装置100Aと同様の構造を有し、第1表示装置100Aを左右対称に反転させただけであるので、第2表示装置100Bの構造、機能、組立て等についての説明は省略する。
図12を参照して、投射透視装置70等の機能、動作等の詳細について説明する。投射透視装置70のうち、導光装置20の一部である導光部材10は、平面視において顔面に沿うように湾曲した円弧状の部材である。導光部材10のうち、第1導光部分11は、鼻に近い中央側つまり光射出側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第1面S11と、第2面S12と、第3面S13とを有し、第2導光部分12は、鼻から離れた周辺側つまり光入射側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第4面S14と、第5面S15とを有する。このうち、第1面S11と第4面S14とが連続的に隣接し、第3面S13と第5面S15とが連続的に隣接する。また、第1面S11と第3面S13との間に第2面S12が配置され、第4面S14と第5面S15とは大きな角度を成して隣接している。
導光部材10において、第1面S11は、Z軸に平行な射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面であり、第2面S12は、XZ面に平行な基準面(図示の断面)に含まれZ軸に対して傾斜した光軸AX1を中心軸とする自由曲面であり、第3面S13は、射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面である。第4面S14は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX3,AX4の2等分線に対して僅かに傾いた平行な光軸AX5を中心軸とする自由曲面であり、第5面S15は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX4,AX5の2等分線を中心軸とする自由曲面である。なお、以上の第1〜第5面S11〜S15は、水平(又は横)に延びXZ面に平行で光軸AX1〜AX5等が通る基準面(図示の断面)を挟んで、鉛直(又は縦)のY軸方向に関して対称な形状を有している。
導光部材10のうち本体10sは、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されており、例えば金型内に熱可塑性樹脂を注入・固化させることにより成形する。なお、本体10sの材料としては、例えばシクロオレフィンポリマー等を用いることができる。本体10sは、一体形成品とされているが、導光部材10は、第1導光部分11と第2導光部分12とに分けて考えることができる。第1導光部分11は、映像光GLの導波及び射出を可能にするとともに、外界光HLの透視を可能にする。第2導光部分12は、映像光GLの入射及び導波を可能にする。
第1導光部分11において、第1面S11は、映像光GLを第1導光部分11外に射出させる屈折面として機能するとともに、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第1面S11は、眼EYの正面に配されるものであり、観察者に対し凹面形状を成している。なお、第1面S11は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2面S12は、本体10sの表面であり、当該表面にハーフミラー層15が付随している。このハーフミラー層15は、光透過性を有する反射膜(すなわち半透過反射膜)である。ハーフミラー層(半透過反射膜)15は、第2面S12の全体ではなく、第2面S12を主にY軸に沿った鉛直方向に関して狭めた部分領域PA上に形成されている(図9(A)参照)。ハーフミラー層15は、本体10sの下地面のうち部分領域PA上に、金属反射膜や誘電体多層膜を成膜することにより形成される。ハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光HLの観察を容易にする観点で、想定される映像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。具体的な実施例のハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、例えば20%に設定され、映像光GLに対する透過率は、例えば80%に設定される。
第3面S13は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第3面S13は、眼EYの正面に配されるものであり、第1面S11と同様に観察者に対し凹面形状を成しており、第1面S11と第3面S13とを通過させて外界光HLを見たときに、視度が略0になっている。なお、第3面S13は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2導光部分12において、第4面S14は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第4面S14は、映像光GLを第2導光部分12内に入射させる屈折面としても機能する。なお、第4面S14は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
第2導光部分12において、第5面S15は、本体10sの表面上に無機材料で形成される光反射膜RMを成膜することで形成され、反射面として機能する。
光透過部材50は、既述のように導光部材10と一体的に固定され1つの導光装置20となっている。光透過部材50は、導光部材10の透視機能を補助する部材(補助光学ブロック)であり、光学的な機能を有する側面として、第1透過面S51と、第2透過面S52と、第3透過面S53とを有する。ここで、第1透過面S51と第3透過面S53との間に第2透過面S52が配置されている。第1透過面S51は、導光部材10の第1面S11を延長した曲面上にあり、第2透過面S52は、当該第2面S12に対して接着層CCによって接合され一体化されている曲面であり、第3透過面S53は、導光部材10の第3面S13を延長した曲面上にある。このうち第2透過面S52と導光部材10の第2面S12とは、薄い接着層CCを介しての接合によって一体化されるため、略同じ曲率の形状を有する。
光透過部材(補助光学ブロック)50は、可視域で高い光透過性を示し、光透過部材50の本体部分は、導光部材10の本体10sと略同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂材料で形成されている。なお、光透過部材50は、本体部分を導光部材10の本体10sに接合した後、接合された状態で本体10sとともにハードコートによる成膜がなされて形成されるものである。つまり、光透過部材50は、導光部材10と同様、本体部分の表面にハードコート層27が施されたものとなっている。第1透過面S51と第3透過面S53とは、本体部分の表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
画像表示装置80は、照明光を射出する照明装置81と、透過型の空間光変調装置である映像表示素子82と、照明装置81及び映像表示素子82の動作を制御する駆動制御部84とを有する。
画像表示装置80の照明装置81は、赤、緑、青の3色を含む光を発生する光源(不図示)と、この光源からの光を拡散させて矩形断面の光束にするバックライト導光部81bとを有する。映像表示素子82は、例えば液晶表示デバイスで形成される映像素子であり、照明装置81からの照明光を空間的に変調して動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。駆動制御部84は、光源駆動回路84aと、液晶駆動回路84bとを備える。光源駆動回路84aは、照明装置81に電力を供給して安定した輝度の照明光を射出させる。液晶駆動回路84bは、映像表示素子(映像素子)82に対して画像信号又は駆動信号を出力することにより、透過率パターンとして動画や静止画の元になるカラーの映像光又は画像光を形成する。なお、液晶駆動回路84bに画像処理機能を持たせることができるが、外付けの制御回路に画像処理機能を持たせることもできる。
以下、虚像表示装置100における映像光GL等の光路について説明する。映像表示素子(映像素子)82から射出された映像光GLは、投射レンズ30によって収束されつつ、導光部材10に設けた正の屈折力(以後において、反射面のパワーを屈折面に置き換えて表現する)を有する第4面S14に入射する。
導光部材10の第4面S14を通過した映像光GLは、収束しつつ進み、第2導光部分12を経由する際に、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15で反射され、第4面S14に内側から再度入射して正の屈折力を受けつつ反射される。
第2導光部分12の第4面S14で反射された映像光GLは、第1導光部分11において、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13に入射して全反射され、比較的弱い負の屈折力を有する第1面S11に入射して全反射される。なお、映像光GLは、第3面S13を通過する前後において、導光部材10中に中間像を形成する。この中間像の像面IIは、映像表示素子82の像面OIに対応するものである。
第1面S11で全反射された映像光GLは、第2面S12に入射するが、特にハーフミラー層15に入射した映像光GLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されて第1面S11に再度入射して通過する。なお、ハーフミラー層15は、ここで反射される映像光GLに対して比較的強い正の屈折力を有するものとして作用する。また、第1面S11は、これを通過する映像光GLに対して負の屈折力を有するものとして作用する。
第1面S11を通過した映像光GLは、観察者の眼EYの瞳又はその等価位置に略平行光束として入射する。つまり、観察者は、虚像としての映像光GLにより、映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像を観察することになる。
一方、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも−X側に入射するものは、第1導光部分11の第3面S13と第1面S11とを通過するが、この際、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、導光部材10越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。同様に、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも+X側に入射するもの、つまり、光透過部材50に入射したものは、これに設けた第3透過面S53と第1透過面S51とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。さらに、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12に対応する光透過部材50に入射するものは、第3透過面S53と第1面S11とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。なお、導光部材10の第2面S12と光透過部材50の第2透過面S52とは、略同一の曲面形状をともに有し、略同一の屈折率をともに有し、両者の隙間が略同一の屈折率の接着層CCで充填されている。つまり、導光部材10の第2面S12や光透過部材50の第2透過面S52は、外界光HLに対して実質的な屈折面として作用しない。
ただし、ハーフミラー層15に入射した外界光HLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されるので、ハーフミラー層15に対応する方向からの外界光HLは、ハーフミラー層15の透過率に弱められる。その一方で、ハーフミラー層15に対応する方向からは、映像光GLが入射するので、観察者は、ハーフミラー層15の方向に映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像とともに外界像を観察することになる。
導光部材10内で伝搬されて第2面S12に入射した映像光GLのうち、ハーフミラー層15で反射されなかったものは、光透過部材50内に入射するが、光透過部材50に設けた不図示の反射防止部によって導光部材10に戻ることが防止される。つまり、第2面S12を通過した映像光GLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。また、光透過部材50側から入射してハーフミラー層15で反射された外界光HLは、光透過部材50に戻されるが、光透過部材50に設けた上述の不図示の反射防止部によって導光部材10に射出されることが防止される。つまり、ハーフミラー層15で反射された外界光HLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の虚像表示装置100によれば、支持用の鼻受部40が枠部102に固定されて眼鏡9に設けられた眼鏡鼻パッド9dと干渉しない位置に配置されるので、眼鏡9を着用した観察者がその上に虚像表示装置100を装着することができ、映像表示素子(映像素子)82による画像をボケなく良好に観察することができる。さらに、鼻受部40が芯金40aとこれを被覆する樹脂部芯金40bとを有することにより、鼻受部40の形状の自由度を高めつつその強度を高めることができるので、鼻受部40を省スペースで配置して眼鏡9との共存を確保することができる。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
鼻受部40のパッド部42は、分離可能な個別の部品とすることができる。この場合、パッド部42を交換してサイズや配置を変更することもできる。
鼻受部40は、単一のパッド部42で構成することもできる。この場合、単一のパッド部42は、鼻梁(具体的には鼻背から鼻根にかけての部分)とその両側面とに当てるようにして鼻に支持されるものとする。
鼻受部40の長さ調整部材41は、ロッド状に直線的に延びるものに限らず、他の部材等との干渉を避けて湾曲又は屈曲したものとできる。
鼻受部40の樹脂部40bは、鼻との接触によって接触箇所に大きな負荷がかからないいようになるべく大きな接触部を有する形状とする。樹脂部40bの材料としては、シリコンゴム、軟質のPVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)等を用いることができる。
補助装着部材3等を本体2に固定するための連結部3h,4hは、スナップフィット型に限らず、ばねを利用したクリップ止その他の様々な手法とできる。例えば個人のみが用いる場合、補助装着部材3の交換が頻繁でないことから枠部102へのねじ止め構造とすることができる。また、補助装着部材3をプロテクター108又はフレーム107に設けた溝その他の保持部によって支持することができ、或いは補助装着部材3をこれに設けたフック等の固定部材をプロテクター108又はフレーム107の対向適所に係合させることによって支持することができる。
上記実施形態では、フレーム107と投射レンズ30とが別体でネジ止めによって投射レンズ30をフレーム107に固定しているが、投射レンズ30の鏡筒39をフレーム107と一体成形することもできる。鏡筒39をフレーム107と一体成形する方法として、アウトサート成形、ダイカスト一体成形後の鏡筒部削り出し等の手法がある。
導光装置20又は投射レンズ30については、ネジ止めによる締結に限らず、様々な手法でフレーム107に固定することができる。
枠部102については、実施形態に例示した形状又は眼鏡のフレームに似た外観に限らず、投射レンズ30と導光装置20とを橋渡しすることができる様々な形状とできる。例えばプロテクター108を省略することができ、この場合、フレーム107が単独で支持用の枠部として機能する。また、プロテクター108側に、導光装置20等を保持する保持部又は支持部の機能を持たせることができる。この場合、プロテクター108が単独で支持用の枠部として機能する。
上記実施形態では、導光部材10の光入射側に投射レンズ30を配置しているが、投射レンズ30を省略して、導光部材10自体に結像機能を持たせることができる。また、投射レンズ30に代えて結像機能を有する別の導光部材10を配置することもできる。
上記実施形態では、投射レンズ30の鏡筒39に導光装置20との係合部材39aを設けているが、導光装置20側に例えば鏡筒39を挟むように鏡筒39と嵌合する係合部材を設けることができる。
上記実施形態では、ハーフミラー層(半透過反射膜)15が横長の矩形領域に形成されるとしたが、ハーフミラー層15の輪郭は用途その他の仕様に応じて適宜変更することができる。また、ハーフミラー層15の透過率や反射率も用途その他に応じて変更することができる。
上記実施形態では、ハーフミラー層15が単なる半透過性の膜(例えば金属反射膜や誘電体多層膜)であるとしたが、ハーフミラー層15は、平面又は曲面のホログラム素子に置き換えることができる。
上記実施形態では、映像表示素子82における表示輝度の分布を特に調整していないが、位置によって輝度差が生じる場合等においては、表示輝度の分布を不均等に調整することができる。
上記実施形態では、画像表示装置80として、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82を用いているが、画像表示装置80としては、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶表示デバイスを用いた構成も可能であり、液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、画像表示装置80として、LEDアレイやOLED(有機EL)などに代表される自発光型素子を用いることができる。
上記実施形態では、透過型の液晶表示デバイス等からなる画像表示装置80を用いているが、これに代えて走査型の画像表示装置を用いることもできる。
具体的には図13に示すように、虚像表示装置としての第1表示装置100Aは、導光装置20と画像表示装置380とを備える。導光装置20は、既述のものと同一であり、ここでは説明を省略する。一方、画像表示装置380は、信号光形成部381と走査光学系282とを有する。信号光形成部381は、光源も備えており、信号光LLを形成し射出する。走査光学系282は、信号光形成部381の変調に併せて姿勢を変化させて光路を調整することにより、映像光GLとなるべき走査光TLを導光装置20に入射させるとともに第2面S12のうちハーフミラー層15が形成される部分領域の全体をスキャンさせる。図示の第1表示装置100Aの動作について説明すると、画像表示装置380のうち、信号光形成部GGから射出された信号光LLは、走査光学系282に入射する。走査光学系282は、信号光LLを、走査光TLとして導光装置20に向けて射出する。導光装置20は、第6面S16から入射した走査光TLを第1〜第5面S11〜S15での全反射等により内部で導光させ、ハーフミラー層15に到達させる。この際、ハーフミラー層15の面上において走査光TLが走査されることで、走査光Tlの軌跡としての画像光GLによって虚像が形成され、この虚像を装着者が眼EYで捉えることで、画像が認識される。なお、図示の場合では、導光装置20のうち光入射面である第6面S16は、走査光TLの光軸に対して垂直な平面となっている。また、第5面S15及び第4面S14も平面となっている。
上記の説明では、一対の表示装置100A,100Bを備える虚像表示装置100について説明しているが、単一の表示装置とできる。つまり、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ投射透視装置70及び画像表示装置80を設けるのではなく、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ投射透視装置70及び画像表示装置80を設け、画像を片眼視する構成にしてもよい。この場合、フレーム107やテンプル部104は、例えば図1等に示すままで左右対称に配置する形状とする。補助装着部材3やカバー部材4は、投射透視装置70等に対応させて片側にのみ設けることもできるが、両眼に設ける方が自然である。
上記の説明では、一対の表示装置100A,100BのX方向の間隔について説明していないが、両表示装置100A,100Bの間隔は固定に限らず、機械機構等によって間隔の調整が可能である。つまり、フレーム107に伸縮機構等を設けるならば、両表示装置100A,100BのX方向の間隔を、着用者の眼幅等に応じて調整することができる。
上記実施形態では、導光部材10の第1面S11及び第3面S13において、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により映像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明の虚像表示装置100における全反射については、第1面S11又は第3面S13上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、映像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、上記第1面S11又は第3面S13の全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての映像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの映像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1面S11又は第3面S13の全体又は一部がコートされていてもよい。
上記の説明では、導光部材10等が眼EYの並ぶ横方向に延びているが、導光部材10を縦方向に延びるように配置することもできる。この場合、導光部材10は、例えば上部での片持ち状態によって支持される。