JP6199599B2 - 熱融着性フィルム、積層体及び包装体 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記提案されている組成物を用いても、耐ブロッキング性の改良は未だ不十分な場合があることが判った。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)と、
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)と、の混合物
からなるプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルムであって、
前記プロピレン重合体組成物は、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.900未満(g/cm3)であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であり、
(5)プロピレン重合体成分(A)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が1.5〜2.5dl/gの範囲であり、
基材層と共に包装体を形成する用途に供される熱融着性フィルムに係る。
本発明のプロピレン重合体組成物の主成分であるプロピレン重合体成分(A)は、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと10重量%以下、好ましくは5重量%以下のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンであって、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテンを挙げることができる。これらの重合体の中でもプロピレン単独重合体を用いると、耐熱性に優れたフィルムを得ることができるので好ましい。
本発明に係るプロピレン重合体成分(A)は、二種以上用いてもよい。
本発明に係るプロピレン重合体成分(A)は、通常、デカリン溶媒中、135℃で測定した極限粘度[η]が、通常1.5〜2.5dl/g、好ましくは1.8〜2.3dl/gの範囲にある。
本発明のプロピレン重合体組成物の成分の一つであるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、プロピレンと前記したと同じプロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、エラストマー的な性状を有している。α−オレフィンとしては、特にエチレンが好ましい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満、好ましくは58〜68重量%、α−オレフィン単位の含有量が30重量%を超え50重量%未満、好ましくは32〜42重量%の範囲にある。プロピレン単位の含有量が前記の範囲にあると、この共重合体成分を含む組成物から耐低温衝撃強度及び低温ヒートシール性に優れ、また熱処理後においても高いシール強度を保持するフィルムを成形することができる。なお、プロピレン単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析によって測定することができる。
共重合体(B)の割合={(a−b)/a}×100(重量%)
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度[η]は、2〜3.8dl/g、好ましくは2.5〜3.7dl/gである。極限粘度[η]が前記の範囲にあると、それを含む組成物からは、フィッシュアイの発生を抑制しながら、耐ブロッキング性に優れたフィルムを製造することができる。
なお、極限粘度[η]は、前記の分別操作によって分離したデカン可溶部に過剰のアセトンを加えて溶解物を析出させ、回収した析出物についてデカリン溶媒中、135℃で測定した粘度から求めることができる。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、二種以上を用いてもよい。
本発明のプロピレン重合体組成物の成分の一つであるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンと炭素数4以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの具体例として、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンを挙げることができる。これらの中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。これらα−オレフィンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて含有していてもよい。また、異なるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体どうしの混合物であってもよい。
好ましい共重合体(C)の具体例としては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体を挙げることができる。
共重合体(C)中のエチレン単位の含有量は、好ましくは70〜95モル%、より好ましくは80〜93モル%、α−オレフィン単位の含有量は、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは7〜20モル%の範囲にある。
(1)ASTM D 1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート値が、好ましくは0.01〜5g/10分、より好ましくは0.1〜3g/10分である。
(2)X線回折法によって測定される結晶化度が、好ましくは5〜40%、より好ましくは7〜30%である。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
(4)示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分での条件で測定した吸熱曲線から求めた融点が、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは60〜90℃である。
本発明のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体成分(A)、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)を含み、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5、好ましくは84/16〜88/12の範囲にあって、
(2)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)の含有量が、プロピレン重合体組成物中に2〜15重量%、好ましくは、4〜12重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%、好ましくは8〜13重量%の範囲にある。
本発明のプロピレン重合体組成物は、ASTM D 1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは2〜10g/10分、より好ましくは2.5〜8g/10分の範囲にある。そのようなメルトフローレートを有する組成物は、フィルム成形性が良好であると共に、耐低温衝撃強度に優れたフィルムを製造することができる。
本発明のプロピレン重合体組成物は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)前記プロピレン重合体成分(A)、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)の各々を予め製造しておき、その後各成分を所定の配合割合で混合する方法。
(2)前記プロピレン重合体成分(A)と前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物を予め調製し、その後、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)を所定の配合割合で混合する方法。
プロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)との混合物は、前記の重合工程を経ずに、予め製造したプロピレン重合体成分(A)及びプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とを溶融混練することによっても得られる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等を挙げることができる。アンチブロッキング剤としては、酸化アルミニウム、微粉末シリカ、ポリメチルメタアクリレート粉末、シリコン樹脂等を挙げることができる。
スリップ剤としては、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等を挙げることができる。滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等を挙げることができる。核剤としては、ジベンジリデンソルビトール、ロジン酸の部分金属塩等のロジン系核剤、アルミニウム系核剤、タルク等を挙げることができる。
本発明の熱融着性フィルムは、前記本発明のプロピレン重合体組成物からなフィルムである。フィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく、通常採用されている方法によって行うことができる。例えば、1軸または2軸の押出機を用いて前記プロピレン重合体組成物のペレットまたはパウダーを溶融し、押出機の先端に設けられたTダイもしくは環状のダイから溶融樹脂をフィルム状に押出すことによって製造することができる。押出機中の溶融樹脂温度は、通常、200〜300℃、好ましくは200〜280℃の範囲である。
溶融樹脂をTダイから押出した場合には、押し出されたフィルムは、水または他の媒体で一定温度に設定したロールに接触させて冷却・固化させ、その後巻き取られる。環状ダイから押出した場合には、環状フィルムの外部及び/または内部を冷却媒体、例えば冷却された空気あるいは水等で冷却し、その後フィルムをスリットしてから、あるいはそのままの状態で巻き取って目的のフィルムを製造する。このようにして得られたフィルムは、その厚みが、通常20〜1000μm、好ましくは30〜200μm、より好ましくは40〜100μmの範囲が望ましい。
また、本発明の熱融着性フィルムは、熱融着層に本発明のプロピレン重合体組成物からなるフィルム層を有する限り、熱融着層に前記プロピレン重合体成分(A)、あるいはプロピレン重合体組成物などのプロピレン系重合体を含む層を積層した多層フィルム構造であってもよい。
本発明の熱融着性積層体は、前記した本発明の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている積層体である。基材層としては、包装材料として使用可能なものであれば特に制限されず、その形状はシート、フィルム、トレー、容器等々いずれであってもよいが、フィルムであることが好ましい。
使用可能な基材層の材料例として、アルミニウム、紙、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、及びポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられる。基材層の形態としては熱可塑性樹脂フィルムやシート、シートを熱成形したトレーやカップ状容器、あるいはアルミニウム箔や紙から形成した同様の形状物を挙げることができる。フィルムの例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドのフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルクロライドフィルム、ポリビニリデンクロライドフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを挙げることができる。
基材層の表面に本発明に係わる熱融着性フィルム層を形成させて積層フィルムを成形する方法としては、一般に行われる積層方法をそのまま採用することができ、その際両層の中間に接着層を設けることができる。例えば、基材層にウレタン系やイソシアネート系のアンカーコート剤を塗布してからその上に熱融着性フィルムをドライラミネートしたり、あるいはプロピレン重合体組成物を直接基材層上へ押し出してラミネートないし押出しコーティングする方法で製造することもできる。また基材層が熱可塑性樹脂から形成される場合には、共押出し法によって両樹脂から直接積層フィルムへと成形することもできる。なお、レトルト食品等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装用積層フィルムの場合には、通常熱融着性フィルムの一方の面に基材層を積層するが、別の包装材として利用する場合には、熱融着性フィルムの一方の面とは限らず両面に基材層を積層することもある。
また基材層の種類によっては高いガスバリヤー性や機械的強度等がさらに付与されることから、レトルト食品包装を含む広い用途分野で利用可能である。また、この積層体は、フィルム形状のままで使用したり、あるいはトレーや容器の形状に変えてから包装材として使用することもできる。
本発明に係わるレトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体は、基材層に前記の特性を有する熱融着性フィルムを積層した積層フィルムを少なくとも一つの包装材料として用い、その熱融着性フィルム層を内表面側に位置するように配置し、内容物になるレトルト食品等を被包装物として充填ないし包装し、熱融着性フィルム層をヒートシールすることによって被包装物が包装されているものである。
包装材としては、熱融着性フィルム単層であってもよいが、前記した熱融着性積層フィルムの方が基材層の持つ諸特性を利用できるので好ましい。その熱融着性積層フィルムをレトルト食品等の包装体の製造に使用する場合、積層フィルムの具体例として次に記す基材層と熱融着性フィルム層との組み合わせを挙げることができる。
ポリエステル層/熱融着性フィルム、ポリアミド層/熱融着性フィルム、ポリエステル層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム、ポリエステル層/ポリアミド層/アルミニウム箔/熱融着性フィルム、ポリアミド層/ポリ塩化ビニリデン層/ポリエステル層/熱融着性フィルムなど。
包装体では、熱融着性フィルム層が最内層に位置するように配置されてからヒートシールが行われるので、ヒートシール部のヒートシール強度は高く、また加熱処理後においても高いヒートシール強度が保持されている。
従って、被加熱・殺菌処理が必要な被包装物の包装体として用いる場合は、輸送時あるいは店頭や家庭等での取扱いに際しても、内容物であるレトルト食品等の被加熱・殺菌処理が必要な被包装物が漏れ出すおそれが少なく、常温あるいは冷蔵・冷凍下で長期間保存しても、内容物は変質しにくい。
なお、本発明の包装体の被包装物として、一般の食品は勿論のこと、レトルト食品、医薬品、医療用器具、ペットフード等の加熱・殺菌処理を必要とする被包装物全般が対象となる。
なお、重合体および重合体組成物の性状を示す物性値、およびフィルムや積層フィルムを評価するための物性値は、次に記す試験方法によって各々測定した。
<エチレン含有量>
赤外線吸収スペクトルを用いて720cm−1の吸光度を測定し、その値から算出した。
<極限粘度[η]>
ウベローデ型粘度計を用い、重合体サンプルをデカリンに溶解させ、その溶液の粘度測定を135℃で行い、その測定値から極限粘度を求めた。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D 1238に準拠して、190℃または230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
<デカン可溶分量>
組成物サンプルをデカンに完全に溶解させ、その後23℃で24時間放置した。さらに遠心分離によって析出物を分離し、サンプル重量からその析出物の重量を減じて算出した。
<耐ブロッキング性(N/5.2cm2)>
予め、基材層として厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムを用い、当該基材層のコロナ面と厚さ70μmの熱融着性フィルムのコロナ面とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートして、熱融着性積層フィルムを得た。
上記積層フィルムから、20×150mmの試験片を切り出し、2枚の試験片の熱融着性フィルム/熱融着性フィルム面,Ny/熱融着性フィルム面を重ね合わせ、5.2cm2の面積に4kg荷重下、50℃,60℃,70℃で3日間放置した後、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度300(mm/分)で剥離強度を測定した。
<ヒートシール強度(N/15mm)>
上記積層フィルムの、熱融着性フィルム層面どうしを重ね合わせ、テスター産業社製ヒートシーラーTP-701-Bを用いて、幅5mmのシールバーで、シール温度195℃および200℃、圧力0.2MPa、時間1秒の条件下でヒートシールを行った。
作成したヒートシール部(縦:サイド部)から15mm幅の試験片を切り取り、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度500(mm/分)でヒートシール部を剥離し、その時の剥離強度をレトルト殺菌処理前のヒートシール強度(N/15mm)とした。
一方、レトルト殺菌処理した後のヒートシール強度の測定は、次の方法で行った。すなわち、熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し、自然乾燥後、前記と同じ方法でヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
<インパクト強度(KJ/m)>
熱融着性フィルムから、100×100mmの試験片を切り出し、東洋精機社製恒温相付フィルムインパクトテスターを用いて、測定温度−20℃、ハンマーの先端径を1/2インチとし測定を行った。
<耐屈曲白化性>
熱融着性フィルムをA4サイズにカットし、そのフィルムの両端を両手で持ち、30回もみほぐした後、フィルムの屈曲した部分が白化しているか否かを調べた。
<ヘーズ(%)>
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH-300A)を使用して、熱融着性
フィルム1枚の曇り度をJIS
K 7105に準拠して測定した。
<表面粗さ(μm)>
非接触3次元表面形状粗さ計(WYKO)にて、Ra(平均粗さ),Rz(10点平均高さ)を測定した。
<耐ブロッキング性(N/5.2cm2)>
予め、基材層として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と、厚さ7μmのアルミニウム箔(AL)とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートした積層体のアルミニウム箔面に、厚さ70μmの熱融着性フィルムのコロナ面とを、ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートして積層体を得た。
上記積層フィルムから、20×150mmの試験片を切り出し、2枚の試験片の熱融着性フィルム/熱融着性フィルム面,PET/熱融着性フィルム面を重ね合わせ、5.2cm2の面積に4kg荷重下、50℃,60℃,70℃で3日間放置した後、オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTM−100を用いて、クロスヘッド速度300(mm/分)で剥離強度を測定した。
<製袋品ヒートシール強度(N/15mm)>
前記熱融着性フィルム積層体の製袋加工を行い、袋サイズ125mm×175mmの
三方シール袋を得た。前記製袋品の、横ヒートシール部(サイド部)、底ヒートシール部(ボトム部)から、15mm幅の試験片を切り取り、クロスヘッド速度500(mm/分)でヒートシール部を剥離し、その時の剥離強度をレトルト殺菌処理前のヒートシール強度(N/15mm)とした。レトルト殺菌処理後のヒートシール強度の測定は、前記記載方法とした。
<落下破袋強度(回)>
作成した三方シール袋に水200CC充填し、上記、テスター産業社製ヒートシーラーTP-701-Bを用いて、幅10mmシールバー、シール温度200℃、圧力0.2MPa、時間2秒の条件下でヒートシールを行った。また、熱水シャワー式の高圧高温殺菌処理装置に入れて121℃で30分間処理し自然乾燥後、5℃雰囲気下で保管し、同条件下で、高さ40cm、重り1.0kgを資料の上に添えて破袋するまで平面落下させて、破袋した時の落下回数をカウントした。
(1)プロピレン重合体組成物−1(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:(P-1)
メルトフローレート(230℃):2.5g/10分。
・プロピレン重合体成分(a1−1):72質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(a2−1):13質量%
エチレン単位の含量:22質量%、極限粘度〔η〕:3.2dl/g
・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(a3−1):15質量%
密度:0.885g/cm3、エチレン単位の含量:79質量%
(2)プロピレン重合体組成物−2(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:(P−2)
メルトフローレート(230℃):3.2g/10分。
・プロピレン重合体成分(b1−1):85質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(b2−1):15質量%
エチレン単位の含量:22質量%、極限粘度〔η〕:3.2dl/g
(3)プロピレン重合体組成物−3(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
:P−3)
メルトフローレート(230℃):8.5g/10分
・プロピレン重合体成分(c1−1):87.5質量%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体成分(c2−1):12.5質量%
エチレン単位の含量:43質量%、極限粘度〔η〕:3.6dl/g
前記プロピレン重合体組成物−1:70質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:30質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−I)を調整した後、40mmφ押出機を備えた無延伸フィルム成形機を用い、250℃の押出温度で、270℃のTダイより押し出し、40℃のキャスティングロールで急冷し、片面をコロナ処理して厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:60質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:40質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−II)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:50質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:50質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−III)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:30質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−3:70質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−IV)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
実施例1で用いた組成物−Iに替えて、前記プロピレン重合体組成物−1:70質量%、及び前記プロピレン重合体組成物−2:30質量%を混合して、表1に記載の成分を有するプロピレン系重合体組成物(組成物−V)を用いる以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
表1に示すように、実施例の熱融着性フィルムではブロッキング性、レトルト処理前後で変化の少ないヒートシール性、低温衝撃性、屈曲白化性に優れていることがわかる。
実施例1で用いた組成物−Iを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例3で用いた組成物−IIIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
実施例4で用いた組成物-IVを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−2(P−2)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
(実施例10)
実施例2で用いた組成物−IIを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−3(P−3)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。
比較例1で用いた組成物−Vを熱融着層として、中間層,コロナ処理層に前記プロピレン重合体組成物−1(P−1)を積層する以外は、実施例1と同様に行ない、厚さ70μmの熱融着性フィルムを得た。得られた熱融着性フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。表2に示すように実施例の熱融着性積層積層体は、ブロッキング性、レトルト処理前後で変化の少ないヒートシール性、落下破袋強度に優れていることがわかる。
以下、参考形態の例を付記する。
<1> プロピレン重合体成分(A)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)及びエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)とからなるプロピレン重合体組成物であって、(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.910(g/cm3)であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
<2> <1>記載のプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルム。
<3> <1>記載のプロピレン重合体組成物を熱融着層に含む2層以上の多層構成である熱融着性フィルム。
<4> <2>または<3>のいずれかに記載の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されていることを特徴とする熱融着性積層体。
<5> <4>に記載の熱融着性積層体を用いた包装体。
Claims (5)
- プロピレン重合体成分(A)と、
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)と、
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体成分(C)と、の混合物からなるプロピレン重合体組成物からなる熱融着性フィルムであって、
前記プロピレン重合体組成物は、
(1)プロピレン重合体成分(A)とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)とは、(A)/(B)で表した重量比が、80/20〜95/5の範囲にあって、
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(B)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が2〜3.8dl/gの範囲であって、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え70重量%未満の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)であり、
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(C)は、その密度が0.865〜0.900未満(g/cm 3 )であって、組成物中に2〜15重量%〔但し、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。〕を占め、
(4)プロピレン重合体組成物のメルトフローレート(230℃)が2〜10(g/10分)であり、かつ、エチレン単位の含有量が5〜15重量%の範囲であり、
(5)プロピレン重合体成分(A)は、極限粘度(デカリン溶媒中、135℃)が1.5〜2.5dl/gの範囲であり、
基材層と共に包装体を形成する用途に供される熱融着性フィルム。 - レトルト食品の包装体に用いられる、請求項1に記載の熱融着性フィルム。
- 前記(3)において、成分(B)は、αオレフィン含有量が32〜42重量%であって、プロピレン単位の含有量が58重量%以上68重量%以下の範囲(但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100重量%とする。)である請求項1または2記載の熱融着性フィルム。
- 請求項1ないし3いずれか一項に記載の熱融着性フィルムの片面に基材層が積層されている、熱融着性積層体。
- 請求項4に記載の熱融着性積層体を用いた包装体。
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