JP6197016B2 - 浄水処理方法及び浄水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子凝集剤を使用した好適な浄水処理方法及び装置に関するものであり、より詳しくは高分子凝集剤を使用した場合に起こるろ過閉塞を防止することができ、高分子凝集剤を使用する凝集沈殿工程において優れた凝集処理効果を得ることができる方法及び装置に関するものである。
従来より、浄水処理においては、懸濁物質を含有する被処理水(以下「原水」ともいう)に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム(PAC)等の無機凝集剤を注入し、懸濁物質を取り込んだ凝集フロックを形成させ、この凝集フロックを沈降分離させることによって、懸濁物質を除去していた。
しかしながら、近年、湖沼や河川の富栄養化が進み藻類が増殖するようになった。これらの藻類は凝集性が悪く、砂ろ過処理にも悪影響を与える。増殖した藻類を凝集させるには多量の無機凝集剤を必要とし、無機凝集剤を多量に注入することにより処理水が酸性になるため、飲料水としては適さなくなる。また無機凝集剤に由来する汚泥の発生量も増加し、この汚泥の処理に費用が増大する問題も生じている。
浄水処理において無機凝集剤による凝集フロックの沈降性を改良するために、アニオン系高分子凝集剤を併用することが検討されているが、次のような問題点が指摘されている。即ち、浄水処理において注入された高分子凝集剤は、生成フロックとともに固液分離され大部分は取り除かれるが、一部が微細フロックとともに処理水側に残存する。この残存した高分子凝集剤が後工程の砂ろ過塔内のろ材に吸着し、ろ過閉塞を起こしてしまう恐れがある。
高分子凝集剤による閉塞を防止する手段としては、凝集薬封鎖剤を注入する方法、フロック形成槽内の流動電流を測定し、測定した流動電流に基づいて凝集剤の余剰量あるいは不足量を求め、凝集剤の注入量を制御する方法等がある。
特開2003-340208 特開2007-61718
しかしながら、上記方法にも以下のような問題点がある。凝集薬封鎖剤を注入する方法は、処理コストの上昇を招く恐れがある。フロック形成槽内の流動電流を測定し、測定した流動電流に基づいて、凝集剤の注入量を制御する方法では、懸濁物質と凝集剤が過不足なく反応し、電気的に中性になるように凝集剤量をコントロールすることを目的としているが、浄水処理においては、電気的に中和となる点が必ずしも良好な処理結果が得られるわけではなく、特許文献1公報には処理水濁度やろ過への影響については何ら示唆されていない。
そこで、本発明者らは上述の問題点に鑑み、高分子凝集剤について種々検討した結果、特定の高分子凝集剤を使用した場合に低濁度時においても優れた濁度除去効果が得られ、かつ高分子凝集剤を使用した場合に起り得るろ過閉塞の問題を解消し、安定的な浄水処理が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明の浄水処理方法は以下の構成とすることができる。
(1)本発明の浄水処理方法では、被処理水に無機凝集剤を注入した後に、高分子凝集剤を注入する方法であって、高分子凝集剤として、0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであり、かつ、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩を用いる。このコロイド当量の単位はmeq/gである。
なお、ポリ(メタ)アクリル酸塩は、ポリアクリル酸塩とポリメタアクリル酸塩のいずれか一方又は両方を含む概念である。
(2)好ましくは、無機凝集剤の注入量を被処理水1L当たり10〜200mg(10mg/L〜200mg/L)にする。また、ポリ(メタ)アクリル酸塩の注入量は、無機凝集剤を注入後の前記被処理水1L当たり0.05〜20mg(0.05mg/L〜20mg/L)が好ましい。
(3)ポリ(メタ)アクリル酸塩の注入を開始するタイミングは特に限定されないが、好ましくは、無機凝集剤注入後、被処理水中の凝集フロックの径が0.1mm以上になった時点を注入開始のタイミングと判断し、その時点又はその時点よりも後にポリ(メタ)アクリル酸塩の注入を開始する。
(4)ポリ(メタ)アクリル酸塩のような高分子凝集剤を注入すると凝集フロックが成長し、巨大化する。この巨大化したフロックを、高分子凝集剤を注入する前の被処理水に返送することも有効である。
また、本発明の浄水処理装置は以下の構成とすることができる。
(5)供給源から被処理水を導入する凝集混和槽と、当該凝集混和槽に無機凝集剤を注入する供給手段と、無機凝集剤を注入後の被処理水を導入するフロック形成槽と、当該フロック形成槽に高分子凝集剤を注入する供給手段とを浄水処理装置に設け、当該供給手段は、高分子凝集剤として、0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであり、かつ、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩を注入する。
(6)これら供給手段は、必要に応じて注入量を制御可能であり、例えば、無機凝集剤用の供給手段は、無機凝集剤を被処理水1リットル当たり10〜200mg注入し、高分子凝集剤用の供給手段は、高分子凝集剤を被処理水1リットル当たり0.05〜20mg注入する。
(7)浄水処理装置には返送手段を設けることが好ましい。この返送手段は、高分子凝集剤注入後の被処理水と、当該被処理水の沈殿物のいずれか一方又は両方を返送するものであって、凝集混和槽と、それよりも上流側の1以上の装置に接続されている。すなわち、凝集混和槽と、凝集混和槽と供給源との間のいずれか一か所以上を返送場所とし、被処理水と、沈殿物のいずれか一方又は両方を返送する。
本発明によれば、浄水処理装置の連続運転可能時間が長くなる上、濁度の低い浄水が得られる。高分子凝集剤は、重合成分としてアクリルアミドを含まないので、人体への影響が少ない。
本発明の浄水処理装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
本発明は、被処理水に無機凝集剤を注入して凝集フロックを形成した後に、更に、特定の高分子凝集剤を注入して凝集フロックに成長させる手段及び工程を有する。以下に、本発明に用いる無機凝集剤と高分子凝集剤の具体例を説明する。
[無機凝集剤]
本発明に用いる無機凝集剤は特に限定されず、浄水処理に通常使用される無機凝集剤を使用することができる。具体的には、鉄系凝集剤とアルミニウム系凝集剤のいずれか一方又は両方を使用可能であり、より具体的には、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)、塩化第二鉄及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることができる。
[高分子凝集剤]
高分子凝集剤は、0.1%塩粘度が2〜5mPa・s、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩を含有するものであれば特に限定されないが、そのポリ(メタ)アクリル酸塩の含有量が少なくとも50質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に好ましくは99質量%以上であって、実質的に上記ポリ(メタ)アクリル酸塩からなるものである
ここで、ポリ(メタ)アクリル酸塩は特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸アンモニウムからなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることが可能であり、好ましくはポリアクリル酸ナトリウムである。
ポリ(メタ)アクリル酸塩はホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、好ましくは、(メタ)アクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、ビニルスルホン酸又はその塩等を重合単位として含むコポリマー又はホモポリマーである。コポリマーの場合、共重合成分としてアクリルアミドを使用することもできるが、アクリルアミドを使用しないことがより好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸塩は、単独又は混合物として用いることができる。ポリ(メタ)アクリル酸塩の混合物を用いる場合は、混合物全体の0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであることが好ましい。
なお、塩粘度は、1Nの塩化ナトリウム水溶液に、ポリ(メタ)アクリル酸塩をその濃度が0.1質量%になるよう溶解した試料を、B型粘度計にて25℃の条件で測定した値であり、単位はmPa・sである。
0.1%塩粘度が2mPa・s未満では、凝集フロックが然程大きくならず沈降性の改善が望めない、一方、0.1%塩粘度が5mPa・sを超えると注入後のフロック形成槽での拡散が遅くなり、フロック形成槽内の攪拌速度を速くする必要があるので、フロックを破壊する危険がある。
コロイド当量は以下の測定法で求めることができる値であって、単位はmeq/gである。ポリ(メタ)アクリル酸塩0.1%水溶液を調整し、メチルグリコールキトサン溶液(N/200)を5ml添加し、攪拌後、トイジンブルー指示薬を2〜3滴添加し、ポリビニル硫酸カリウム溶液(PVSK,N/400)で滴定し、変色して10秒以上保持する時点を終点とする。同上の操作で試料を添加せずにブランク試験を行い、下記式によりコロイド当量Cvを算出する。
コロイド当量(Av)[meq/g] =
(ブランク滴定量ml−サンプル滴定量ml)×1/2×PVSKの力価
ポリ(メタ)アクリル酸の混合物を用いる場合、その混合物のコロイド当量値を直接測定してもよいが、各ポリ(メタ)アクリル酸塩のコロイド当量値(Av)[meq/g]が既知の場合は、個別のポリ(メタ)アクリル酸塩のコロイド当量(Av)に、そのポリ(メタ)アクリル酸塩が混合物全体に占める質量割合(個別質量/合計質量)を乗じた値を合算し、混合物全体のコロイド当量とする。
コロイド当量が−9.0以下であることが好ましく、より好ましいコロイド当量は−11.0〜−9.0である。コロイド当量がこの範囲を超えると凝集フロックが大きく成長せず処理水の濁度が高くなる傾向となり、この範囲より低いと処理水のろ過抵抗が高くなる傾向になる。
一般に、コロイド当量(meq/g)が−7以下の高分子凝集剤は高アニオン性であり、コロイド当量が−2.8以下で−7.0を超える高分子凝集剤は中アニオン性であり、コロイド当量が−0.7以下で−2.8を超える高分子凝集剤は低アニオン性である。本発明に用いるポリ(メタ)アクリル酸塩は、コロイド当量が−9.0以下、すなわち、高アニオン性凝集剤の中でもアニオン性がより高いことを特徴とする。
次に、上記の無機凝集剤と高分子凝集剤を用いた、本発明の処理装置と処理方法について説明する。
[浄水処理装置]
本発明が適用できる浄水処理設備(浄水処理装置)は特に限定されず、実用化されている通常の設備を全て採用することが可能であり、例えば横流式沈殿設備を有する浄水施設、高速凝集沈殿設備を有する浄水設備が挙げられる。高速凝集沈殿設備としてはスラリー循環型、スラッジ・ブランケット型いずれも適用可能である。
横流式沈殿設備を有する浄水処理装置10の模式図を図1に示す。この浄水処理装置10は、凝集混和槽31と、凝集混和槽31に接続されたフロック形成槽41と、フロック形成槽41に直接又は他の装置(沈澱池51等)を介して接続されたろ過手段55とを有している。
凝集混和槽31とフロック形成槽41は1台ずつ設置してもよいし、いずれか一方又は両方を複数台設置してもよい。これらの槽31、41を複数台設置する場合は、同じ種類の槽31、41を直列又は並列、より好ましくは直列に接続し、被処理水が複数の槽を通過して、次の処理工程に送られるように設計する。
凝集混和槽31とフロック形成槽41を通過する被処理水には、供給手段35、45から、或いは手作業により、上述した無機凝集剤と高分子凝集剤が直接又は間接的に注入される。
例えば、無機凝集剤の供給手段35は、1台又は複数台の凝集混和槽31と、凝集混和槽31よりも上流側の装置(供給源1、配管21、着水井等)のうち、いずれか1台以上に接続されており、無機凝集剤は、被処理水とは別に凝集混和槽31に直接注入されるか、被処理水と一緒に上流側の装置から凝集混和槽31に間接的に注入される。
凝集混和槽31には、攪拌羽、攪拌ポンプなどの攪拌手段が設置されている。この攪拌手段は、所定の撹拌エネルギーを付与する撹拌速度(回転数)が設定され、無機凝集剤が注入された被処理水を急速撹拌する。撹拌エネルギーの指標は特に限定されないが、その一例はG値(単位時間単位体積あたりの仕事量Pから被処理水の粘性係数μを除した値の平方根、日本水道協会水道施設設計指針2000、P188より)である。
急速撹拌の結果、被処理水中の濁質が凝集して微細フロック(マイクロフロック)として成長し、微細フロックを含む被処理水がフロック形成槽41に供給される。
このフロックの凝集状態は、目視で観察するほか、浄水処理装置10に測定手段37を設けてもよい。いずれの場合も、観察(測定)したフロック成長度を、高分子凝集剤を注入するタイミングの判断に利用可能である。
高分子凝集剤の供給手段45は、1台又は複数台のフロック形成槽41と、フロック形成槽41よりも上流側の装置(凝集混和槽31、配管22等)のうち、いずれか1台以上に接続されており、上述した高分子凝集剤は、被処理水とは別にフロック形成槽41に直接注入されるか、被処理水と一緒に上流側の装置からフロック形成槽41に間接的に注入される。
凝集混和槽31と同様に、フロック形成槽41には、攪拌羽、攪拌ポンプなどの攪拌手段が設置されている。この撹拌手段は、凝集混和槽31の撹拌手段よりも低攪拌エネルギー(例えば、G値10〜80秒−1)を付与するように撹拌速度が設定され、高分子凝集剤が注入された被処理水を緩速撹拌し、微細フロックを巨大化させる。
巨大フロック分離のため、好ましくは、フロック形成槽41とろ過手段55との間には沈殿手段(沈殿池51)を設置し、巨大フロックを含む被処理水をフロック形成槽41から沈澱池51へ送る。
沈澱池51の構造は特に限定されないが、一般的にその内部には、傾斜板又は傾斜管が設けられており、フロック形成槽41からの被処理水は、この沈澱池51で巨大フロックを主に含む沈殿物(汚泥)と、巨大フロックが分離された液相とに分離される。
この分離の後又は分離の前に、巨大フロックの一部又は全部を上流側の装置に返送することも可能である。具体的には、フロック形成槽41と、沈澱池51と、それらの間の配管23のうち1以上に返送手段59を接続し、分離した沈殿物と巨大フロックのいずれか一方又は両方を含む被処理水を、凝集混和槽31と、それよりも上流側の装置(配管21、着水井等)のうち、いずれか一カ所以上の返送場所に返送する。返送手段59は特に限定されないが、一般にフロックを返送する返送管29を有し、必要であれば送水ポンプ、切替バルブ、貯蔵タンク等の他の部材をも有する。
他方、巨大フロックを分離後の液相は、沈澱池51からろ過手段55に送られ、過剰な高分子凝集剤や残留フロック等の残留汚染物質が除去され、浄水6となる。ろ過手段55は特に限定されず、ろ過塔、ろ過膜(フィルター)などを使用することができるが、特に好ましくはろ材が充填されたろ過塔である。このろ材は、特に限定されず、粒子状ろ材、繊維状ろ材の一方又は両方を使用できるが、特に粒子状ろ材が好ましい。
粒子状ろ材は、例えば、ろ過砂(珪砂)(有効径0.35〜1.0mm、均等係数1.7以下、比重2.57〜2.67)、アンスラサイト(有効径0.7〜4.0mm、均等係数1.4以下、比重1.4〜1.6)、ガーネット(有効径約0.3mm、均等係数1.5以下、比重3.8〜4.1)、マンガン砂(有効径0.35〜0.60mm、均等係数1.5以下、比重2.58〜2.65)、セラミック(有効径0.3〜2.0mm、比重1.0〜1.2)のうち、1種以上を用いることができるが、上水道用途の場合は、珪砂とアンスラサイトのいずれか一方又は両方を含むものが最も好ましく、これらのろ過材に他のろ過材を更に組み合わせることも可能である。ろ過材は単層又は多層構造とし、これらろ過材とフィルターとを組み合わせることも可能である。
従来技術では、上記のようなろ過材は詰まりなどの問題があったが、本発明の浄水処理装置10と浄水処理方法はこの問題を劇的に改善した。
次に、上記浄水処理装置10を用いた本発明の浄水処理方法を具体的に説明する。
[浄水処理方法]
本発明で処理する被処理水として特に適しているのは河川水、湖沼水、貯水地水、雨水、伏流水、地下水、井水である。これらの被処理水(原水)を水源から直接又は前処理部(着水井等)を介して凝集混和槽31に供給する。
必要であれば、被処理水の水質をジャーテストなどで予め調べ、水質に合わせて無機凝集剤の注入量を予め設定しておき、供給手段35から或いは作業者の手作業により、被処理水1リットルあたり5〜200mg、好ましくは10〜100mgの範囲内で無機凝集剤を注入する。無機凝集剤が注入された被処理水を急速撹拌し、被処理水中の濁質分を凝集させる。
高分子凝集剤を注入する時点(タイミング)を決定するため、微細フロックの成長度を定期的又は連続して測定する。フロック成長度は、測定手段37により機械的に、あるいは作業者が目視(肉眼、顕微鏡)により測定可能であり、また、フロック成長度としては、フロック径、被処理水濁度など多様な指標を採用することが可能であるが、好ましくはフロック径を測定する。
一般に、作業者が肉眼で認識可能なフロック径(直径)が0.1mm以上と言われており、フロック径(好ましくは平均粒径)が0.1mm以上、好ましくは1mm〜2mmの範囲にある時点を注入可能のタイミングと判断し、供給手段45から或いは作業者の手作業により、高分子凝集剤の注入を開始する。
高分子凝集剤、すなわち、上述したポリ(メタ)アクリル酸塩の注入量は、原水の水質により適宜変更可能ではあるが、好ましくは被処理水1リットル当たり0.05〜20mgの範囲内で設定する。
ポリ(メタ)アクリル酸塩は、ポリアクリルアミド系等のアニオン性高分子凝集剤とは異なり、その共重合成分としてアクリルアミドを含まないので浄水中にアクリルアミドモノマーが混入しない。従って、このポリ(メタ)アクリル酸塩を1mg/リットルを超えて多量に使用しても、人体への健康問題は生じないが、上水用の被処理水に対しては、注入量が20mg/リットルを超えると過剰のポリマーが有する粘性によりろ過池の閉塞などの問題を発生させる可能性があるので、注入量の上限は20mg/リットルが好ましい。
この高分子凝集剤が注入された被処理水を緩速攪拌してフロックを成長させ、その一部又は全部を沈澱池51で固液分離し、分離された液相がろ過手段55を通る間に、フロックで補足されなかった濁質分や、固液分離されなかった遊離フロックなどの残留汚染物質が被処理水から除去される。
この遊離フロックの表面には高分子凝集剤が付着しており、公知のアクリルアミド系高分子凝集剤を用いた場合はろ過閉塞を起こすことがあった。
被処理水を無機凝集剤で処理した後、0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであり、かつ、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩で処理した場合には、このろ過閉塞が起こり難く、仮にろ過閉塞が起こっても通常の逆洗処理により容易に回復する。
なお、ろ過閉塞は、高分子凝集剤の種類だけではなく、他の要因でも起こりうる。例えば、原水の濁度が低く、フロックの核となる濁質分が少なすぎる場合は、フロックが十分に成長されないため、フロック成長に寄与できない残留高分子凝集剤が増加する。このような場合は、高分子凝集剤を無機凝集剤と併用しても濁度低減の効果が見られない上、残留高分子凝集剤や遊離フロックの増加によりろ過閉塞が起こりやすくなる。
従って、本発明の他の実施形態では、上記高分子凝集剤の使用に加え、返送手段59を使用して、フロック形成槽41と沈澱池51のいずれか一方又は両方からフロックを上流側へ返送する。
具体的には、原水の濁度、無機凝集剤注入後のフロック成長度、高分子凝集剤注入後のフロック成長度のうち、いずれか1以上を測定し、測定値が予め設定した値に達しないときは、測定値に応じた量のフロックを上流側に返送し、高分子凝集剤注入前の被処理水と混合する。
フロックの返送場所は、凝集混和槽31またはそれよりも上流側の装置(配管21等)であれば特に限定されず、これら返送場所のうち、1又は2箇所以上に返送することが可能であるが、測定値に応じて返送場所の切り替えも可能であり、具体的には、原水濁度が低い場合は、凝集混和槽31よりも上流側で被処理水(原水)に返送する。
返送されたフロックには、表面に高分子凝集剤が付着し、それ自体が凝集能力を有するので、フロックを返送しない場合と比較して、フロック相互が衝突してより巨大なフロックを形成する。その結果、フロックの巨大化により固液分離が促進され、凝集フロックによるろ過手段55の詰まりが防止される上、高分子凝集剤の注入量も低減可能になる。
返送するフロックは特に限定されないが、沈澱池51からフロックを返送する場合には、沈殿池51で完全に沈殿・濃縮された沈殿フロックの返送は避けることが好ましい。完全に沈殿・濃縮した沈殿フロックでは返送の際に目的濁質濃度に調整することが困難で、かえって無機凝集剤や高分子凝集剤の必要量が多くなることがある。また、濃縮により、沈殿フロック表面に露出する高分子凝集剤の吸着部位(活性基)が減少し、フロック形成能力が極端に低下してしまう。
フロックを返送する場合、1種以上の添加剤、例えば、カオリン等の粘土質無機微粒子や微細砂を一緒に返送してもよく、これら添加剤によりフロックがより強固でかつ重量を有するものになるので、除濁効果がより発揮される。
これら添加剤を返送フロックと混合する場所は特に限定されないが、フロックを返送する経路の途中、例えば、フロックの返送管29が好ましく、より好ましくは、フロックを被処理水と混合する直前(原水導入用の配管21や凝集混和槽31に到達する直前)が好ましい。また、返送管29ではなく、原水導入用の配管21や凝集混和槽31に返送する地点に、別途、粘土質無機微粒子や微細砂を注入する手段を設けることも可能である。
なお、フロックの返送や、高分子凝集剤添加は、いずれの工程でも工程開始の判断にはフロック成長度の測定結果を利用するが、その測定方法は特に限定されない。
例えば、作業者が肉眼でフロックを観察し、高分子凝集剤の注入開始を判断する場合、目視でフロックが確認でき(すなわちフロック径0.1mm以上)、かつ、確認できる最大フロックの径が2mm以下の場合を、高分子凝集剤の注入開始のタイミングとする。濁度を作業者が目視で測定する場合は、比色管等を用いることができる(視覚濁度)。
フロック成長度を測定手段37で機械的に測定する場合は、通常使用される測定装置を広く使用することができる。例えば、測定手段37は光学センサーを有し、被処理水の透過率、吸光度、散乱光等の光学データを取得し、その光学データからフロック径、濁度を測定する。測定手段37で測定される濁度は、例えば、散乱光濁度、積分球濁度、又は透光度濁度であり、フロック径は、例えば吸光度変動解析法による平均粒径である。
なお、本発明の処理装置10及び処理方法は、上記以外のいかなる変更も可能であり、例えば、pH調整剤、凝集補助剤、殺菌剤等の通常浄水処理に使用される添加剤や、他の高分子凝集剤を被処理水に添加可能であり、その添加のタイミングや添加手段も特に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
図1の浄水処理装置10を用いて下記実験条件で浄水試験を行った。
‐原水:流量100m3/日、河川水、濁度15〜25度、pH7.0〜7.4
‐無機凝集剤:ポリ塩化アルミニウム(PAC)
‐高分子凝集剤:ポリアクリル酸ナトリウム、
0.1%塩粘度3.5mPa・s、コロイド当量−9.4meq/g
‐凝集混和槽:有効容積200リットル×2槽(周辺速度1.5m/s)
‐フロック形成槽:有効容積1200リットル×2槽沈殿池(周辺速度0.5m/s)
‐ろ過速度100m/日、
‐ろ材:2層構成(アンスラサイト層高400mm、珪砂層高400mm)
<実施例1>
図1の装置10で、PACを20mg/リットルを凝集混和槽31に注入し、急速攪拌を行い、マイクロフロックを形成した。凝集混和槽31の被処理水をメスシリンダに採取し、肉眼によりフロック径が1〜2mmになったことを確認してから、フロック形成槽41に流入直前(配管22)の被処理水に、高分子凝集剤を1.0mg/リットル注入して緩速撹拌し、高分子凝集剤注入後の凝集フロック径を肉眼で測定した。この被処理水を更に沈殿池51とろ過手段55で処理し、沈澱池51で分離後の液相(凝集沈殿処理水)と、ろ過手段55を通過後の浄水6(ろ過水)について、日本電色工業社製の濁度計「WA 6000」を用いて濁度を測定した。
更に、処理装置10での浄水処理を連続して行い、閉塞がおこらずに正常にろ過処理が可能な時間も測定した。
<実施例2、3>
高分子凝集剤注入量を1.5mg/リットル、0.3mg/リットルとした以外は実施例1と同様に浄水試験を実施した。
<実施例4>
高分子凝集剤の注入場所をフロック形成槽41の2槽目とした以外は実施例1と同様に浄水試験を実施した。
<実施例5>
高分子凝集剤をポリアクリル酸ナトリウム(0.1%塩粘度が4.4mPa・s、コロイド当量が−9.8meq/g)に変更した以外は、実施例3と同じ条件で試験を行った。
<実施例6>
高分子凝集剤をポリアクリル酸ナトリウム(0.1%塩粘度が2.7mPa・s、コロイド当量が−9.5meq/g)に変えた以外は、実施例1と同じ条件で試験を行った。
<比較例1>
高分子凝集剤を使用せず、PAC単独で処理した以外は実施例1と同じ条件で浄水試験を行った。
<比較例2、3>
高分子凝集剤として、市販の高分子凝集剤(中アニオン性のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体)を0.5mg/リットル(比較例2)、1.0mg/リットル(比較例3)注入して実施例1と同様に浄水試験を実施した。
上記実施例及び比較例の試験結果を、凝集剤の注入率と共に下記表1に記載する。
Figure 0006197016
上記表1から明らかなように、ポリアクリル酸ナトリウムの注入量を0.3mg/リットル1.0mg/リットル及び1.5mg/リットル注した実施例1〜6は、ろ過継続時間が40時間以上あり、高分子凝集剤を使用しない比較例1と比べても差異が少なく、ろ過手段55の状態は安定していた。
これに対してアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体を0.5mg/リットル、1.0mg/リットル注入した比較例2、3では、ろ過継続時間22時間、16時間と短くなった。また、1.0mg/リットル注入した比較例3では、処理水濁度も高くなった。
1 供給源
10 浄水処理装置
31 凝集混和槽
35 無機凝集剤の供給手段
37 測定手段
41 フロック形成槽
45 高分子凝集剤の供給手段
55 ろ過手段
59 返送手段

Claims (9)

  1. 被処理水に無機凝集剤を注入した後、
    0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであり、かつ、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩を注入することを特徴とする浄水処理方法。
  2. 前記無機凝集剤を、前記被処理水1L当たり10〜200mg注入し、
    前記ポリ(メタ)アクリル酸塩を、前記被処理水1L当たり0.05〜20mg注入する請求項1に記載の浄水処理方法。
  3. 前記無機凝集剤の注入により凝集したフロックの径が0.1mm以上になった後に、前記ポリ(メタ)アクリル酸塩の注入を開始する請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
  4. 前記ポリ(メタ)アクリル酸塩の注入により成長したフロックを、前記ポリ(メタ)アクリル酸塩を注入する前の前記被処理水に返送する請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
  5. 前記被処理水が、河川水、湖沼水、貯水地水、雨水、伏流水、地下水、井水からなる群より選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
  6. 供給源から被処理水が導入される凝集混和槽と、
    前記凝集混和槽に無機凝集剤を注入する無機凝集剤の供給手段と、
    前記無機凝集剤を注入後の被処理水が導入されるフロック形成槽と、
    前記フロック形成槽に、0.1%塩粘度が2〜5mPa・sであり、かつ、コロイド当量が−9.0以下のポリ(メタ)アクリル酸塩を注入する高分子凝集剤の供給手段と、を有することを特徴とする浄水処理装置。
  7. 前記無機凝集剤の供給手段は、前記無機凝集剤を被処理水1リットル当たり10〜200mg注入し、
    前記高分子凝集剤の供給手段は、前記ポリ(メタ)アクリル酸塩を被処理水1リットル当たり0.05〜20mg注入する請求項に記載の浄水処理装置。
  8. 前記ポリ(メタ)アクリル酸塩を注入後の被処理水と、当該被処理水の沈殿物のいずれか一方又は両方を返送する返送手段を更に有し、
    前記返送手段は、前記凝集混和槽と前記供給源の間のいずれか1か所以上の返送場所に、前記被処理水と前記沈殿物のいずれか一方又は両方を返送する請求項又はに記載の浄水処理装置。
  9. 河川水、湖沼水、貯水地水、雨水、伏流水、地下水、井水からなる群より選択される前記被処理水の浄水処理に用いられる請求項6〜8のいずれか1項に記載の浄水処理装置。
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