JP6194851B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載される乗物用シートに関する。より詳しくは、シェルタイプのフレームを有する乗物用シートに関する。
従来、シェルタイプのフレームには、ガラスファイバやカーボンファイバを用いて製織された織物を、所定の形状の型内に複数枚積層した状態で配置し、型内に液状のエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂をマトリクス樹脂として注入して、含浸硬化させる事によって成形されるものがある。かかるシェルタイプのフレームにおいて、強度もしくは剛性を部分的に高めるためには、強度もしくは剛性を高めたい部分に積層する織物の積層枚数を部分的に増やす手段が採られるのが一般であった。特許文献1には、かかる従来技術のシェルタイプのフレームが開示されている。
特開平9−121973号公報
シェルタイプのフレームにおいて、強度もしくは剛性を高めたい部分において、部分的に織物の積層枚数を増やした成形品とした場合、パッチ状の小片織物が部分的に積み重ねられてマトリクス樹脂により層間が接着されて固められた状態となっている。かかるシェルタイプのフレームに大きな荷重が印加された場合、各パッチ状の小片織物は、強度もしくは剛性を高めたい部分にのみ存在し、その回りの一般部に存在する織物とは連続していないので、各小片織物の層間に過大なせん断応力が集中し層間剥離を発生させるおそれがあった。また、部分的に積層する小片織物の枚数が増えると成形時に層間へのマトリクス樹脂のまわりが悪くなってさらに層間剥離しやすくなったりする問題もあった。
かかる問題に鑑み本発明の課題は、シェルタイプのフレームにおいて、強度もしくは剛性を部分的に高めるに当たって、積層する織物の層間剥離のおそれを抑制した乗物用シートを提供することにある。
本発明の第1発明は、シートの外形をなして乗員を支持するシートパッドと、前記シートパッドの裏面側において骨格をなすシェルとを備えた乗物用シートにおいて、前記シェルは、経糸と緯糸とが交差して織られる織物と、前記織物に含浸固化して成形される樹脂とを含み、前記織物は、連続的に織られた第一織組織部と第二織組織部とに分けられ、前記織物の経糸もしくは緯糸を構成する繊維の太さ、前記織物の経糸もしくは緯糸を構成する繊維の本数、前記織物の経糸もしくは緯糸の織り密度、のうちの少なくとも1つが、前記第一織組織部に対して前記第二織組織部が、単位面積当たりに含まれる前記繊維の体積が大きくなるように異なり、前記シェルにおいて、前記第二織組織部が前記第一織組織部より高強度もしくは高剛性を必要とする部分に配置して成形されていることを特徴とする。
第1発明によれば、シェルは、第一織組織部と、第二織組織部とを備える織物が、含浸した樹脂によって固められて成形されている。ここで、第二織組織部は、第一織組織部に比べて、経糸もしくは緯糸を構成する繊維の太さが太い、経糸もしくは緯糸を構成する繊維の本数が多い、経糸もしくは緯糸の織り密度が高い、の少なくとも1つにより単位面積当たりに含まれる繊維の体積が大きくなっている。繊維強化樹脂製であるシェルの強度もしくは剛性は、単位面積当たりに含まれる繊維の体積が大きくなるほど高められる。これによって、シェルにおいて強度もしくは剛性を部分的に高めたい場合に、高めたい部分に織物の第二織組織部を位置させることにより、第一織組織部が位置する部分より単位面積当たりに含まれる前記繊維の体積を大きくして、高めたい部分の強度もしくは剛性を高めることができる。このとき、織物はシェルの強度もしくは剛性を高めたい部分に位置する第二織組織部からその他の部分である第一織組織部に連続的に織られているので、強度もしくは剛性を高めたい部分に積層された織物層間にせん断応力が集中し難く、織物の層間剥離を発生することを抑制できる。また、強度もしくは剛性を高めたい部分にパッチ状の小片織物を複数枚積層する必要がなく、一枚の織物中で部分的に単位面積当たりに含まれる繊維の体積を増やすだけであるので、増加させる繊維の体積総量が少なくて済み、重量の増加を抑制できる。なお、連続的に織られるとは、経糸や緯糸が直接つながっているか、いずれか一方の糸同士が交差して連結されていることを意味する。
本発明の第2発明は、シートの外形をなして乗員を支持するシートパッドと、前記シートパッドの裏面側において骨格をなすシェルとを備えた乗物用シートにおいて、前記シェルは、経糸と緯糸とが交差して織られる織物と、前記織物に含浸固化して成形される樹脂とを含み、前記織物は、連続的に織られた第一織組織部と第二織組織部とに分けられ、前記織物の経糸もしくは緯糸の織状態における、前記織物の面と垂直方向の屈曲の程度が、前記第一織組織部に対して前記第二織組織部が小さくなるように異なり、前記シェルにおいて、前記第二織組織部が前記第一織組織部より高強度もしくは高剛性を必要とする部分に配置して成形されていることを特徴とする。
第2発明によれば、シェルは、第一織組織部と、第二織組織部とを備える織物が、含浸した樹脂によって固められて成形されている。ここで、第二織組織部は、第一織組織部に
比べて、経糸もしくは緯糸の織状態における、織物の面と垂直方向の屈曲の程度が小さくより直線に近い状態となっている。繊維強化樹脂製であるシェルの強度もしくは剛性は、含まれる織物を構成する糸が、織りによる織物の面と垂直方向の屈曲が少なくより直線的な状態であるほど高められる。これによって、シェルにおいて強度もしくは剛性を部分的に高めたい場合に、高めたい部分に織物の第二織組織部を位置させることにより、第一織組織部が位置する部分より経糸もしくは緯糸の織状態における、織物の面と垂直方向の屈曲の程度を小さくして、高めたい部分の強度もしくは剛性を高めることができる。このとき、織物はシェルの強度もしくは剛性を高めたい部分に位置する第二織組織部からその他の部分である第一織組織部に連続的に織られているので、強度もしくは剛性を高めたい部分に積層された織物層間にせん断応力が集中し難く、織物の層間剥離を発生することを抑制できる。また、強度もしくは剛性を高めたい部分にパッチ状の小片織物を複数枚積層する必要がなく、一枚の織物中で部分的に織組織を変更するだけであるので、繊維の体積総量を増やすことがなく、重量の増加を抑制できる。
本発明の第1実施形態の乗物用シートを着座側から見た斜視図である。 乗物用シートを裏面側から見た斜視図である。 バックパンを着座側から見た斜視図である。 バックパンに適用される織物の平面図である。 本発明の第2実施形態のバックパンに適用される織物の平面図である。 本発明の第3実施形態のバックパンに適用される織物の平面図である。 円形断面の繊維を使用した糸の断面図である。 扁平断面の繊維を使用した糸の断面図である。 円形断面の繊維を使用した糸の変形例の断面図である。 扁平断面の繊維を使用した糸の変形例の断面図である。
図1〜4は、本発明の第1実施形態を示す。本実施形態の乗物用シート2は、図1及び図2に示されるように、座面となるシートクッション4、背もたれとなるシートバック6を備えている。シートクッション4は、鉄製のクッションフレームの上に載置された、表皮で被覆されたクッションパッドで着座者の荷重を弾性的に支持するものである。シートバック6は、シェルタイプのバックフレームの上に載置された、表皮で被覆されたバックパッドで着座者の背面を支持するものである。各図中、矢印により乗物用シートを取り付けた時の乗物の各方向を示す。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
シートクッション4は、スライドレール5を介してフロアFに取り付けられている。スライドレール5は、フロアFに固定されたロアレール5aに対してアッパレール5bが前後方向に摺動可能に組み付けられている。アッパレール5bにはロアアーム4aが取り付けられ、ロアアーム4aに図示しないクッションフレームが取り付けられている。クッションフレームの上にはクッション材であるウレタン発泡体製のクッションパッド(図示せず)が載置されその上に表皮であるクッションカバー4bが被せられてシートクッション4を構成している。
シートバック6は、シェルタイプのバックパン60と、その上に載置されたバックパッド6aと、その上に被せられたバックカバー6bとを備えている。バックパッド6aは、ウレタン発泡体製のクッション材であるが、ポリエステル繊維等の繊維弾性体を使用してもよいし、他の樹脂の発泡体を使用してもよい。バックカバー6bは、ポリエステル繊維製のファブリックであるが、他の合成繊維製ファブリックや合成皮革、本革等を使用してもよい。ロアアーム4aに対しリクライナ10を介して取り付けられたアッパアーム6cにバックパン60がボルト、ナットで取り付けられる。リクライナ10の働きによりシートクッション4に対してシートバック6の傾き調整が可能となっている。バックパン60が特許請求の範囲の「シェル」に相当し、バックパッド6aが特許請求の範囲の「シートパッド」に相当する。
図3に示されるように、バックパン60は着座者の上半身外形に適合するように着座面側から見て凹面形状に形成されている。バックパン60には、着座者の腰部を両側から支持するサイド立ち壁部60d、その前方端末部で両側に若干開いた形状のサイド拡開部60e、着座者の肩部を支持すべく両側外方向に延びた肩部支持部60f、着座者の頭部を支持すべく上方向に延びた頭部支持部60gが形成されている。また、バックパン60には、着座者の両肩上部に該当する位置に貫通孔60hが2個あけられている。貫通孔60hは、スポーツタイプのシートであることを醸し出す意匠性付与のためのものである。図3に示されるように、バックパン60の端末部には下部を除いて全周に折り返し部60jが形成されている。折り返し部60jと本体(専らサイド拡開部60e)との間で形成される狭窄部(不図示)にバックカバー6b端末を挿入して固定するためのものである。
バックパン60は、例えば、カーボンファイバ製の織物61を、エポキシ樹脂をマトリクス樹脂として複合化したものである。図3に示すように、着座者の肩口中央部分に位置する肩部中央部60Aと、着座者の腰部に位置する腰部60Bと、アッパアーム6cに対して取り付けられるサイド立ち壁部60dとは、織物61がその他の部分とは異なる性状に織られて配置されている。バックパン60の成形の仕方は、上下型を閉じたときに、その間にバックパン60と同形状のキャビティを形成する型のキャビティ内に織物61を所定の位置に配置し、そこに液状の硬化前エポキシ樹脂を注入して反応硬化させて脱型するというものである。エポキシ樹脂中に配置された織物61の、肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに相当する部分がその他の部分とは異なる性状に織られていることに起因して、成形されたバックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dはその他の部分に比べて高強度もしくは高剛性に形成される。以下、かかる織物61について詳述する。なお、上記強度もしくは剛性は、例えばJIS−D4610に準拠して測定できる。
図4に示すように、織物61は、経糸を紙面上下方向に、緯糸を紙面左右方向に配置して製織した織物である。本実施形態では、経糸として、繊維の直径が6〜8μmのカーボンファイバ72を6000本程度束ねた糸(以下、「糸6K」という)と、繊維の直径が6〜8μmのカーボンファイバ72を12000本程度束ねた糸(以下、「糸12K」という)とを使用できる。また、緯糸としても経糸と同じく糸6Kと糸12Kを使用する。糸6K及び糸12Kの断面は、図7にその概略を示すように、円形断面のカーボンファイバ72が複数本束ねられ、束ねられた糸70の外形も略円形断面となっている。カーボンファイバ72が、特許請求の範囲の「繊維」に相当する。
経糸の配置は、次のようにされる(図4を参照)。強化糸である糸12Kは、中央強化領域T11と側部強化領域T12に配置される。また、通常糸である糸6Kは、中央サイド通常領域T21と側部通常領域T22に配置される。各領域は、中央強化領域T11から両サイドに向かって、中央サイド通常領域T21、側部強化領域T12、側部通常領域T22の順で紙面左右方向に並んでいる。緯糸の配置は、次のようにされる。強化糸である糸12Kは、下部強化領域Y11と上部強化領域Y12に配置される。また、通常糸である糸6Kは、下部通常領域Y21と中央通常領域Y22と上部通常領域Y23に配置される。各領域は、下部通常領域Y21から上方向に向かって、下部強化領域Y11、中央通常領域Y22、上部強化領域Y12、上部通常領域Y23の順で紙面上下方向に並んでいる。
そして、本実施形態では、経糸の各強化領域と緯糸の各強化領域の交差する部分に強化部が形成される。すなわち、中央強化領域T11と上部強化領域Y12の交差する部分である強化部61Aの部分と、側部強化領域T12と上部強化領域Y12の交差する部分である強化部61A1の部分と、中央強化領域T11と下部強化領域Y11の交差する部分である強化部61Bの部分と、側部強化領域T12と下部強化領域Y11の交差する部分である強化部61Cの部分とが、経糸緯糸ともが強化糸である糸12Kで織られた第二織組織部として形成される。第二織組織部以外の部分は、経糸緯糸の少なくともいずれかが、通常糸である糸6Kで織られた第一織組織部61Xである。すなわち、第二織組織部である強化部61A、61A1、61B、61Cは第一織組織部61Xに比べて単位面積当たりに含まれる前記繊維の体積が大きくなっている。なお、経糸緯糸とも、糸6K及び糸12Kの織密度(1インチ当たりに配置する糸の数)は、1インチ当たり6〜12本である。
織物61は、図3及び図4に示すように、バックパン60の肩部中央部60Aに強化部61Aが、腰部60Bに強化部61Bが、サイド立ち壁部60dに強化部61Cが対応するように型内に配置されて液状の硬化前エポキシ樹脂が注入され、反応硬化させて一体化される。これによって、バックパン60の肩部中央部60Aと腰部60Bとサイド立ち壁部60dは、経糸緯糸ともが強化糸である糸12Kで織られた第二織組織部である織物の一部で強化され、他の部分である第一織組織部に比べて高強度もしくは高剛性となる。なお、織物61の強化部61A1は、バックパン60の性能上、特に高強度もしくは高剛性とする必要性のある部位に対応して設けられるものではないが、製織の関係上形成される部分である。強化部61A1は、バックパン60の肩部支持部60fに位置して成形される。
以上のように構成される第1実施形態は、次のような作用効果を奏する。織物61の強化部61A、強化部61B、強化部61Cは、経糸緯糸ともが強化糸である糸12Kで織られ他の部分より単位面積当たりに含まれる繊維の体積が大きくなっている。織物61の強化部61A、強化部61B、強化部61Cが、それぞれ、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに対応するよう配置されてエポキシ樹脂中に鋳込まれている。繊維強化樹脂製であるシェルの強度もしくは剛性は、単位面積当たりに含まれる繊維の体積が多くなるほど高められる。これによって、バックパン60の強度もしくは剛性を高めたい部分である肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dはその他の部分に対して高強度もしくは高剛性とされる。このとき、織物61はバックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに位置する織物61の強化部61A、強化部61B、強化部61Cからその他の部分に連続的につながって織られている。したがって、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに積層された織物61の層間にせん断応力が集中し難く、織物61の層間剥離を発生することを抑制できる。また、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dにパッチ状の小片織物を複数枚積層する必要がなく、織物61の中で部分的に単位面積当たりに含まれる繊維の体積を増やすだけであるので、増加させる繊維の体積総量が少なくて済み、重量の増加を抑制できる。
なお、本実施形態においては、図7に示すように、円形断面のカーボンファイバ72を繊維として使用して糸70としたが、これに限らず、図8に示す扁平断面のカーボンファイバ82を繊維として使用して糸70とすることもできる。また、繊維としてカーボンファイバを使用したが、これに限らず、ガラスファイバやアラミド樹脂からなるファイバを、単体あるいは複合させて使用してもよい。さらに、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂を用いたが不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等を使用することもできる。さらに、織物61は複数枚を積層して使用してもよいし、1枚で使用してもよい。積層枚数を少なくするほど織物61間の層間剥離は発生し難くなる。
図3及び図5に本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態との違いは使用するカーボンファイバ製の織物として、図5に示す織物62を適用する点である。織物62は、経糸を紙面上下方向に、緯糸を紙面左右方向に配置して製織した織物である。経糸として、糸6Kを使用し、緯糸として糸6Kと糸12Kを使用する。糸6K及び糸12Kの断面は、図7にその概略を示すように、円形断面のカーボンファイバ72が複数本束ねられ、束ねられた外形も略円形断面となっている。経糸の配置は、図5に示すように、次のようにされる。通常糸である糸6Kが、中央強化領域T11と側部強化領域T12においては1インチ当たり10〜12本配置される。また、通常糸である糸6Kが、中央サイド通常領域T21と側部通常領域T22においては1インチ当たり6〜8本配置される。各領域の配置は、第1実施形態(図4)と同じである。緯糸の配置は、次のようにされる。強化糸である糸12Kが、下部強化領域Y11と上部強化領域Y12においては1インチ当たり10〜12本配置される。また、通常糸である糸6Kが、下部通常領域Y21と中央通常領域Y22と上部通常領域Y23においては1インチ当たり6〜8本配置される。ここで言う糸の配置が織密度(1インチ当たりに配置する糸の数)のことである。各領域の配置は、第1実施形態(図4)と同じである。ここで、中央強化領域T11と上部強化領域Y12の交差する部分である強化部62Aの部分と、側部強化領域T12と上部強化領域Y12の交差する部分である強化部62A1の部分と、中央強化領域T11と下部強化領域Y11の交差する部分である強化部62Bの部分と、側部強化領域T12と下部強化領域Y11の交差する部分である強化部62Cの部分とが、経糸は通常糸である糸6Kが適用されるとともに織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)、緯糸は強化糸である糸12Kが適用されるとともに織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)織られた第二織組織部である。第二織組織部以外の部分は、経糸緯糸の少なくともいずれかが、低織密度(1インチ当たり6〜8本)で織られた第一織組織部62Xである。すなわち、第二織組織部である強化部62A、62A1、62B、62Cは第一織組織部62Xに比べて単位面積当たりに含まれる前記繊維の体積が大きくなっている。
織物62は、図3及び図5に示すように、バックパン60の肩部中央部60Aに強化部62Aが、腰部60Bに強化部62Bが、サイド立ち壁部60dに強化部62Cが対応するように型内に配置されて液状の硬化前エポキシ樹脂が注入され、反応硬化させて一体化される。これによって、バックパン60の肩部中央部60Aと腰部60Bとサイド立ち壁部60dは、経糸は通常糸である糸6Kで織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)、緯糸は強化糸である糸12Kで織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)織られた第二織組織部である織物の一部で強化され、他の部分である第一織組織部に比べて高強度もしくは高剛性となる。なお、織物62の強化部62A1は、バックパン60の性能上、特に高強度もしくは高剛性とする必要性のある部位に対応して設けられるものではないが、製織の関係上形成される部分である。強化部62A1は、バックパン60の肩部支持部60fに位置して成形される。
以上のように構成される第2実施形態は、次のような作用効果を奏する。織物62の強化部62A、強化部62B、強化部62Cは、経糸は通常糸である糸6Kで織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)、緯糸は強化糸である糸12Kが適用されるとともに織密度が高く(1インチ当たり10〜12本)織られ、他の部分より単位面積当たりに含まれる繊維の体積が大きくなっている。織物62の強化部62A、強化部62B、強化部62Cが、それぞれ、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに対応するよう配置されてエポキシ樹脂中に設けられている。繊維強化樹脂製であるシェルの強度もしくは剛性は、単位面積当たりに含まれる繊維の体積が多くなるほど高められる。これによって、バックパン60の強度もしくは剛性を高めたい部分である肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dはその他の部分に対して高強度もしくは高剛性とされる。このとき、織物62はバックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに位置する織物62の強化部62A、強化部62B、強化部62Cからその他の部分に連続的につながって織られている。したがって、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに積層された織物62の層間にせん断応力が集中し難く、織物62の層間剥離を発生することを抑制できる。また、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dにパッチ状の小片織物を複数枚積層する必要がなく、織物62の中で部分的に単位面積当たりに含まれる繊維の体積を増やすだけであるので、増加させる繊維の体積総量が少なくて済み、重量の増加を抑制できる。
図3及び図6に本発明の第3実施形態を示す。第1実施形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態との違いは使用するカーボンファイバ製の織物として、図6に示す織物63を適用する点である。織物63は、経糸を紙面上下方向に、緯糸を紙面左右方向に配置して製織した織物である。経糸、緯糸とも通常糸である繊維の直径が6〜8μmのカーボンファイバを3000本程度を束ねた糸(以下、「糸3K」という)のみを使用する。糸3Kの断面は、図7にその概略を示すように、円形断面の繊維72が複数本束ねられ、束ねられた外形も略円形断面となっている。織物63は、第二織組織部が綾織で製織され、第一織組織部が平織で製織されている。平織とは、経糸と緯糸を交互に浮き沈みさせて織る最も単純な織組織である。また、綾織としては、複数の種類があるが、今回は、経糸が緯糸の上を2本、緯糸の下を2本交差させて織る織組織を採用した。図4と図6を対比させて、図4の強化部61Aに対応する位置に、綾織の強化部63Aが、強化部61Bに対応する位置に綾織の強化部63Bが、強化部61Cに対応する位置に綾織の強化部63Cがそれぞれ設けられ第二織組織部を構成している。その他の部分はすべて平織で製織された第一織組織部63Xである。
織物63は、図3及び図6に示すように、バックパン60の肩部中央部60Aに強化部63Aが、腰部60Bに強化部63Bが、サイド立ち壁部60dに強化部63Cが対応するように型内に配置されて液状の硬化前エポキシ樹脂が注入され、反応硬化させて一体化される。これによって、バックパン60の肩部中央部60Aと腰部60Bとサイド立ち壁部60dは、綾織の部分となり、その他の部分は平織の部分となる。ここで、繊維強化樹脂製であるシェルの強度もしくは剛性は、含まれる織物を構成する糸が、織物の面に垂直な方向に、屈曲が少なく直線に近い状態で織られてマトリクス樹脂内に配置されるほど、高くなることが知られている。綾織の部分は、平織の部分に比べて経糸、緯糸とも交差する回数が半分に減っているのでより直線に近い状態となっており、バックパン60内に配置された場合その部分を高強度もしくは高剛性にすることができる。これによって、バックパン60の肩部中央部60Aと腰部60Bとサイド立ち壁部60dは、その他の部分に比べて高強度もしくは高剛性となっている。なお、本実施形態の場合、第1実施形態の織物61の強化部61A1に対応する綾織の強化部は形成されない。これは、製織機の調整によって経糸と緯糸の交差する位置のあらゆる部分で平織と綾織を自由に製織することができることによる。したがって、本実施形態の場合、バックパン60の性能上、特に高強度もしくは高剛性とする必要性のないバックパン60の肩部支持部60fは平織の第一織組織部63Xが適用されて成形される。
以上のように構成される第3実施形態は、次のような作用効果を奏する。織物63の強化部63A、強化部63B、強化部63Cは、いずれも綾織で織られ、他の部分より織状態における経糸及び緯糸が、織物63の面に垂直な方向への屈曲の程度が小さく、より直線に近い状態となっている。織物63の強化部63A、強化部63B、強化部63Cが、それぞれ、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに対応するよう配置されてエポキシ樹脂中に設けられている。これによって、バックパン60の強度もしくは剛性を高めたい部分である肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dはその他の部分に対して高強度もしくは高剛性とされる。このとき、織物62はバックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに位置する織物63の強化部63A、強化部63B、強化部63Cからその他の部分に連続的につながって織られている。したがって、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dに積層された織物63の層間にせん断応力が集中し難く、織物63の層間剥離を発生することを抑制できる。また、バックパン60の肩部中央部60A、腰部60B、サイド立ち壁部60dにパッチ状の小片織物を複数枚積層する必要がなく、織物62の中で部分的に織組織を変更するだけであるので、繊維の体積総量を変えることがなく、重量の増加を抑制できる。
第3実施形態の変形例として、次のものがある。第3実施形態においては、糸3Kのとして、その断面が、図7にその概略を示すように、円形断面のカーボンファイバ72が複数本束ねられ、束ねられた外形も略円形断面となっている糸70を使用した。しかし、これに限らず図9に示すように円形断面のカーボンファイバ72を平板状に配置して糸71としたものとすることもできる。この場合、円形断面の糸70に比べて扁平断面の糸71は、製織したとき糸の厚みが薄い分、織物63の面に垂直な方向への屈曲の程度が小さく、より直線的な状態で織り込まれる。これによって、扁平断面の糸71を使用することにより、第3実施形態に比べてよりバックパン60を部分的に高強度もしくは高剛性にすることができる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態においては、乗物用シートのバックパン60に本発明を適用したが、これに限らず、乗物用シートのシェル構造のクッションパンに適用してもよいし、クッションとバックが一体となったフルバケットタイプのシェルフレームに適用してもよい。さらには、シートに限らず、繊維強化複合樹脂部品において部分的に強度や剛性を高めたい場合に応用が可能である。
2.上記実施形態においては、繊維として断面が円形のカーボンファイバ72を使用したが、これに限らず、図8及び図10に示すように、扁平断面形状のカーボンファイバ82を用いてもよい。扁平断面形状のカーボンファイバ82の場合、糸80や糸81にしたときに、円形断面の糸70、71より繊維の密集度を高められ、同一の単位面積当たりの繊維体積で、より細くもしくはより扁平に断面を形成できる。これによって、かかる糸を使用して製織したときに、織物の面に垂直な方向への糸の屈曲度を低められ、より直線的な状態で織りこまれるので、より高強度もしくは高剛性の達成が可能となる。
3.上記実施形態においては、経糸緯糸として直径が6〜8μmのカーボンファイバを束ねた糸3K、糸6K、糸12Kを使用したが、これに限らず、その他の直径、束ねる本数の糸を使用してもよい。この場合、直径が大きいカーボンファイバを使用するほど、また束ねる本数が多い糸を使用するほど、単位面積当たりの繊維体積は増加するのでより高強度化もしくは高剛性化が可能となる。
4.上記第3実施形態においては、織物63の強化部63A、強化部63B、強化部63Cを、いずれも綾織としたが、これに限らず、織り込まれた糸の、織物63の面に垂直な方向への屈曲の程度が小さくなる織り方であれば、朱子織等を採用してもよい。また、綾織においても交差する経糸と緯糸の数が異なる各種の綾織とすることもできる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
5 スライドレール
6 シートバック
6a バックパッド
6b バックカバー
60 バックパン
60d サイド立ち壁部
60A 肩部中央部
60B 腰部
61、62、63 織物
61A、61B、61C 強化部(第二織組織部)
62A、62B、62C 強化部(第二織組織部)
63A、63B、63C 強化部(第二織組織部)
61X、62X、63X 第一織組織部
72、82 カーボンファイバ(繊維)
70、71,80、81 糸
F フロア
T11 中央強化領域
T12 側部強化領域
T21 中央サイド通常領域
T22 側部通常領域
Y11 下部強化領域
Y12 上部強化領域
Y21 下部通常領域
Y22 中央通常領域
Y23 上部通常領域


Claims (2)

  1. シートの外形をなして乗員を支持するシートパッドと、前記シートパッドの裏面側において骨格をなすシェルとを備えた乗物用シートにおいて、前記シェルは、経糸と緯糸とが交差して織られる織物と、前記織物に含浸固化して成形される樹脂とを含み、
    前記織物は、連続的に織られた第一織組織部と第二織組織部とに分けられ、
    前記織物の経糸もしくは緯糸を構成する繊維の太さ、前記織物の経糸もしくは緯糸を構成する繊維の本数、前記織物の経糸もしくは緯糸の織り密度、のうちの少なくとも1つが、前記第一織組織部に対して前記第二織組織部が、単位面積当たりに含まれる前記繊維の体積が大きくなるように異なり、前記シェルにおいて、前記第二織組織部が前記第一織組織部より高強度もしくは高剛性を必要とする部分に配置して成形されている乗物用シート。
  2. シートの外形をなして乗員を支持するシートパッドと、前記シートパッドの裏面側において骨格をなすシェルとを備えた乗物用シートにおいて、前記シェルは、経糸と緯糸とが交差して織られる織物と、前記織物に含浸固化して成形される樹脂とを含み、
    前記織物は、連続的に織られた第一織組織部と第二織組織部とに分けられ、
    前記織物の経糸もしくは緯糸の織状態における、前記織物の面と垂直方向の屈曲の程度が、前記第一織組織部に対して前記第二織組織部が小さくなるように異なり、前記シェルにおいて、前記第二織組織部が前記第一織組織部より高強度もしくは高剛性を必要とする部分に配置して成形されている乗物用シート。

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