JP6194289B2 - 樹脂製スラストワッシャー - Google Patents

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Description

本発明は、回転体の軸部に装着する樹脂製スラストワッシャーであり、高度な寸法精度でかつ低コストで製造されるようにした一体形状からなる樹脂製スラストワッシャーに関するものである。
スラストワッシャーは、機械装置における回転体の軸部の周りに、その保護部品として設けられるものである。
図10は、このようなスラストワッシャーとして、自動車ギア内部の二つの相対回転をする回転体61、62における一方の回転体に装着された例を示したものである。
スラストワッシャー63は、ドーナツ状の環状体(以下、ドーナツ状環状体という)64として樹脂で成形され、内部に内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の導入空間65を有し、さらに導入空間65から背面の外側に抜ける管状突起66を有している。その内部(スラストワッシャー63や管状突起66等の内部)は、潤滑油がスラストワッシャー63の内部等を循環することができるように循環路が構成されている。そして、スラストワッシャー63は、その管状突起66を回転体62の軸部(図示せず)の周りに設けられた嵌合孔70に挿入することにより、その回転体62に対して同心状に支持されている。
回転体62が回転すると、遠心力により潤滑油がスラストワッシャー63の半径方向に流動して導入空間65に流入し、その導入空間65から管状突起66、嵌合孔70等を経て流動して回転体の表面等を潤滑する。また、潤滑油は環状体64と他方の回転体61との隙間にも流入し、2つの回転体61、62を潤滑する。
こうした外部と内部の構造を有するスラストワッシャーを樹脂で製造するには、一般的には、一工程で全体が成形できて製造されることが種々の理由で求められるものの、特に内部の構造の特異さからそうした製造はうまく行うことができなかった。そのため、一部の形状を成す部材を別々に射出成形法などで製造し、その後に、それら 複数の部材を接着剤等により接合して完成品としてのスラストワッシャーを製造することが通常であった。図10で、8が溶着や接着剤による接合部の例を示したものである。
そうした方法の一つとして、特許文献1には、ドーナツ状環状体を該環状体の中心軸に直交する面で前記環状導入空間を二分した形状を有する二つの半割部材から構成し、その二つの半割部材を外周部で互いに接着などによって接合して樹脂製スラストワッシャーを構成するという提案がされている。
しかし、この特許文献1記載の接合スラストワッシャーのように、接合した構造を有するスラストワッシャーの場合には、例えば自動車ギア内部に使用された際は、低温状態や低圧条件、舗装されたアスファルト道路などでは長期間安定して使用ができても、近年のオートマチック自動車のギア構造は、4段変速から8段変速までになるなど段数が増えたことに伴って非常に複雑となり、接着接合を十二分にできない方向になってきたこと、また、悪路や極低温状態、高温多湿環境で走行する4輪駆動車などでは、高温下の長年の使用や自動車の上下左右の振動を受けることにより接合部が剥離することがあるという問題が生じてきた。
また、二つの半割部材を外周部で互いに接着接合するために、接着接合が十分にされているか確認の試験を多く行わなければならず、特に、外観上では接着が十分に行われたかが判断しにくく、そのため、破壊剥離試験を数多くする必要がある。また、そうした検査の結果から、不良品だけすべて摘出するのは非常に困難であった。
したがって、ひとたび不良品が検知されると、そのロットのもの全部を破棄することとせざるを得なく、コストや歩留まり、生産効率等に与える影響は非常に大きかった。また、接着・接合装置等の維持管理を正しく行うためには、多方面での高度な工程管理、作業者の熟練が必要であり、それらを万全に維持していくことは至難でもあった。
前述した図10で要部を示した従来の代表的な樹脂製スラストワッシャーの全体図を、図3(A)に示した。二つの半割部材10、11を接合する手段としては、代表的には溶着で行われていた。溶着手段としては、超音波溶着、振動溶着、レーザー溶着またはスピン溶着などを使用することが行われ、また、溶着手段によらず接着剤による接着接合も行われていた。
また、RV車などレクリエーションの目的や海外へ輸出される自動車においては、通常想定されるレベルを超えての悪路や極低温状態または高温多湿や水没道路を走る場合もあり、さらには4輪駆動車においては高温下による長年の使用と、自動車の上下左右の振動により、通常以上の負荷がスラストワッシャーに掛かり接合部が剥離するという問題が発生したのである。
また、特に、二つの半割部材を外周部で互いに接着するために、接着が十分にされているかの確認の試験を多く行わなければならず、そのため多くの時間と作業者を破壊剥離試験にあたらせて、かつ数多くしなければならず、また、外観だけの検査の結果から不良品を摘出するのが非常に困難であった。その結果、特に、不良品が摘出されるとそのロットを全部破棄することもあった。また、接着機においても正しく接着機能を維持管理するためには、数多くの定期的なメンテンナンス、資材を充実させる必要があるばかりか、作業者の教育を徹底しなければならず、高精度でかつ高強度のスラストワッシャーを安定して生産することは非常に困難であった。さらに接着部の強度を高めるために例えば超音波接着にかける時間を長くしたり、超音波の強度を強くすると、製品表面が溶融し外観不良となり、別の問題を招く。
さらには、繊維で強化された繊維強化熱可塑性樹脂を用いた二つの半割部材を接着したスラストワッシャーの場合には、繊維がその接合部の境界面を通貫して二つの部材に跨って配置されておらず、接合面は樹脂のみでの接合となっているので、その界面ではせっかくの繊維強化された樹脂を使用した本来の強力向上という特徴を生かすことができなかった。
また、特許文献2には、嵌合部を有するスラストワッシャーが提案されており、同じように環状の空間からなる凹構造を有するものであるが、この部分を射出成形で得るためには、一般的にコラプシブルコアやスライドコアが用いられるが、コラプシブルコアを用いる場合では、環状導入空間の奥行きがコラプシブルコアの構造上、4mm以下にならざるを得なかった。また、通常使用されるシンプルなスライドコアではスライドするコアの影響でドーナツ状環状体の内径を大きく取る必要があるため、結果として、必要とされる潤滑油が循環するための環状導入空間を大きく取ることは難しかった。その結果、環状導入空間は小さくなり、スラストワッシャーとしての機能が十分果たせないものであり、用途的にも制限を受けるものであった。
なお、以上のような点により、一体成形品として製造するという考えもあるが(特許文献1、段落0005)、従来の一体成形では、金型の入れ子抜き構造では、環状体の中心軸方向からみて、外周縁形状が半径方向外側に膨らむ複数の円弧状を組合せてなる形状を呈した潤滑油の環状導入空間を形成したスラストワッシャーでは、その構造の複雑さゆえに該環状導入空間が小さいものにせざるを得なかった。製品によっては該環状導入空間が4mm以下となり、十分な潤滑油の循環ができないばかりが、長年の使用により潤滑油内部に発生したカスなどの異物により詰まるなどの原因となり、実用面での問題があった。
このような点から、従来の樹脂製は、上記したような二つの半割部材を外周部で互いに接着したものが使われることが通常であり、そうしたものは、前述したように通常使用では問題はほぼないものの、特殊な条件下では十分な機能を発揮させるために、更に改善が要請されることがあった。
特開2003−343549号公報 特開2008−95720号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点などに鑑み、大きな環状導入空間を有し、高度な寸法精度を有し、射出成形による一体形状として成形されて、内部に接合部分を有さない樹脂製スラストワッシャーを提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の樹脂製スラストワッシャーは、以下の(1)の構成からなる。
(1)ドーナツ状環状体を成している樹脂製スラストワッシャーにおいて、該樹脂が、平均繊維長0.1mm〜5mmのガラス繊維または炭素繊維を、下記(a),(b)に記載した混合率の条件を満足して補強繊維に使用した繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂であり、かつ、前記ドーナツ状環状体の内部に、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の環状導入空間が形成され、かつ、該ドーナツ状環状体が内部に接合部分を有さない一体形状からなると共に、前記ドーナツ状環状体を成している環状体の内径をR(mm)、前記環状導入空間の幅をU(mm)としたとき、4(mm)<U(mm)+1(mm)<R(mm)の関係を満たし、前記環状導入空間の幅Uが16mm以上であることを特徴とする樹脂製スラストワッシャー。
(a)ガラス繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)が5%〜60%、
(b)炭素繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)が5%〜40%
さらに、かかる(1)記載の本発明の樹脂製スラストワッシャーにおいて、下記の(2)〜(4)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(2)前記熱可塑性ポリアミド樹脂が、ナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂であることを特徴とする上記(1)に記載の樹脂製スラストワッシャー。
(3)前記環状導入空間の外周縁形状が、前記ドーナツ状環状体の中心軸方向からみて半径方向外側に膨らむ複数の円弧状を組合せてなる形状であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の樹脂製スラストワッシャー。
(4)前記環状導入空間の、前記複数の円弧状を組合せてなる形状である外周縁の近傍の内側に、前記環状導入空間からワッシャーの背面外側へ向けて前記潤滑油を流動させる流路を内部に有する管状突起を、前記環状の周方向に間欠的に設けたことを特徴とする上記(3)に記載の樹脂製スラストワッシャー
本発明によれば、大きな環状導入空間を有し、高度な寸法精度を有し、射出成形による一体形状として成形されて、内部に接合部分を有さず強度が大きい樹脂製スラストワッシャーが提供される。
本発明のスラストワッシャーの一実施態様を示した側面図であり、図2におけるX-X矢視断面図である。 図1に示したスラストワッシャーの右側面図である。 従来の接合部を有するスラストワッシャーの半割部材を分離した状態を示す説明図である。 従来の接合部を有するスラストワッシャーを示し、図3Aに示した半割部材どおしを接合した状態を示したものであり、図4におけるY-Y矢視断面図である。 図3Bに示した従来の接合部を有するスラストワッシャーの一部を切り欠いて示した右側面図である。 図1に示したスラストワッシャーの左側面図である。 図5に示したスラストワッシャーの底面図である。 実施例に用いた、射出成形の樹脂充填時の金型固定側の入れ子の位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 図7Aに示した射出成形の樹脂充填時の金型固定側の入れ子の位置を示した金型の右側面図である。 実施例に用いた、射出成形の樹脂充填後の金型固定側の入れ子の移動位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 図7Cに示した射出成形の樹脂充填後の金型固定側の入れ子の移動位置を示した金型の右側面図である。 実施例に用いた、射出成形の製品取り出し時の金型固定側の入れ子の移動位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 実施例に用いた、射出成形の樹脂充填時の金型可動側の入れ子位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 図8Aに示した射出成形の樹脂充填時の金型可動側の入れ子の位置を示した金型の底面図である。 実施例に用いた、射出成形の樹脂充填後の金型可動側の入れ子の移動位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 図8Cに示した射出成形の樹脂充填後の金型可動側の入れ子の移動位置を示した金型の底面図である。 実施例に用いた、射出成形の製品取り出し時の金型可動側の入れ子の移動位置を示した金型のモデル図(正面図)である。 本発明のスラストワッシャーの使用状態の要部を示す説明図である。 従来のスラストワッシャーの使用状態の要部を示す説明図である。
以下、更に詳しく本発明の樹脂製スラストワッシャーについて、図面に望ましい実施の形態等を示しながら説明する。
本発明の樹脂製スラストワッシャーは、図1に示したように、ドーナツ状の環状体(以下、ドーナツ状環状体という)1を本体として構成されている。環状体1には、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の導入空間2が形成されている。潤滑油の導入空間2は、図1、図2に示したように環状に形成されている。該樹脂製スラストワッシャーは、接合部を有さない、射出成形による一体形状のものとして成形されていることが特徴である。
本発明にかかる樹脂製スラストワッシャーは、さらに潤滑油の導入空間2から背面の外側へ抜ける管状突起3が形成されている。管状突起3は複数本が設けられ、かつ中心軸Aを中心に環状体1の周方向に略等角度に設けられている。また、反対の表側表面の外縁部には、図5に示したように、放射方向に延びる多数の凹溝4が周方向に等間隔に設けられている。
このような構成により、潤滑油は、たとえば、環状の導入空間2に導入された後、図10を用いて説明したように、回転体62の回転とともに回転する該スラストワッシャーの回転時の遠心力によって、該ドーナツ状環状体の内周側から(導入空間2側から)ワッシャーの背面外側へ向いた潤滑油の流動が管状突起3内の流路で生じるものであり、該突起3の管先端を経て潤滑油は嵌合孔70等に流れさらに所要部に流れていくように構成される。
潤滑油の環状導入空間2は、そうした遠心力による潤滑油の流動が効果的に生ずるように、その外周縁形状は、たとえば、図2に1例を示したように、環状体1の中心軸方向からみて、該空間2の外周縁線形状が半径方向外側に膨らんだ形状、具体的には複数の円弧状が組合わされた形状を呈して形成されている。
環状導入空間2の外周縁形状は、1例として、図2に示した例では、中心軸Aを中心にした4つの円弧部Bと、それよりも更に外側に膨らんだ4つの円弧部C(空間では12)によって、構成されている。該4つの円弧部Bよりも更に外側に膨らんだ4つの円弧部Cにより形成される空間12は、図1の断面図でも示されている通りである。
そして、該円弧状の外周縁B〜Cの近傍の内側には、管状突起3が環状導入空間2の周方向に間欠的に配置されて設けられている。遠心力により、導入空間の最外周縁に向いて潤滑油が流動していくからである。前述のように、図2に示した例では、外周縁の形状は、4つの径方向に膨出した円弧部Cと、環状体の中心軸と共通な中心をもって径方向に膨出した同心の4つの円弧部Bから形成され、管状突起3は、それら計8つの円弧部B〜Cのそれぞれにおいて、外周縁線B〜Cの直近内側でかつ各管状突起3内の流路が該空間2に開口する位置関係を呈して合計8個が設けられている。
本発明に係る樹脂製スラストワッシャーの特徴は、接合部を有さない、射出成形による一体形状のものとして成形されていることにあり、該スラストワッシャーの製造方法は、射出成形において固定側の図7A〜図7Eに示した入れ子21の動きと、可動側の図8A〜図8Eに示した入れ子22の動きによって、結合部を有することなく熱塑性樹脂により射出成形で一体に成形される。これらの図に示したように、射出成形に使用した入れ子を、成形後、型から取り出しできることが重要である。
図5は、本発明の係る接合部を有さない一体で射出成形された熱塑性樹脂からなるスラストワッシャーの右側面図である。図6は図5に示したスラストワッシャーの底面図である。
本発明で用いられる樹脂は熱可塑性ポリアミド樹脂であることが重要であり、30%以下の熱硬化性樹脂が混合されていてもよい。
特に、本発明で用いられる樹脂は、繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂であることが、最適で重要である。本発明で用いられるポリアミド樹脂に含有する繊維は、ガラス繊維、炭素繊維あるいはフッ素繊維であることが重要であり、さらにはガラス繊維または炭素繊維がより好ましい。特に、炭素繊維は軽量かつ高剛性であることから好ましい。
より詳細には、繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂に含有される繊維が、ガラス繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)は好ましくは5%〜60%であり、さらに好ましくは15%〜35%である。繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂に含有される強化繊維が、炭素繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)は、好ましくは5%〜40%が好ましくさらに好ましくは20%〜35%である。繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂に含有される強化繊維が、フッ素繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)は、好ましくは10%〜50%であり、さらに好ましくは15%〜30%である。
繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂に含有される繊維の平均繊維長は、0.1mm〜5mmとすることが重要であり、好ましくは0.5mm〜2mmとすることである。このような短繊維(チョップドファィバー)を補強繊維として使用することにより、一体成形されたスラストワッシャーの全体に補強繊維が行き渡り、補強効果を全体として発揮することができる。半割部品を接合させた構造のものでは、たとえ、それぞれの半割部品に補強繊維を混合したとしても、境界面を貫通した補強繊維は存在しないのであり、そうした全体の補強効果は得られない。
本発明で用いられる繊維強化熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性ポリアミド樹脂(マトリックス樹脂)は、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン、またはそれらの熱可塑性ポリアミド樹脂の誘導体、またはその共重合体またはその混合物でもよい。
特に好ましくは、ナイロン6、ナイロン66の誘導体、またはその共重合体またはその混合物であり、中でも最も好ましいのは、射出成形の操業性が特に良好でかつ物性等の理由から、ナイロン6、ナイロン66である。
本発明で用いられる繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂の強化繊維と、熱可塑性ポリアミド樹脂の組み合わせで最も好ましいのは、ナイロン6またはナイロン66と、ガラス繊維または炭素繊維の組み合わせであり、それらの組み合わせは特に物性の点で優れている。
本発明によれば、上述したように一体成形されたスラストワッシャーでかつ潤滑油の環状導入空間を大きく取ることができる。その樹脂製スラストワッシャーを射出成形による得る際に、ドーナツ状の中央に入れ子21、22が移動する構造を有することから入れ子同士の干渉を防ぐために、図7および図8のドーナツ状の環状体を成している内径R(mm)が、該ドーナツ状環状体の内部に、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の環状導入空間の幅U(mm)との関係で、4mm<U+1mm<Rmmであることが好ましい。
また、入れ子の動きは、固定側と可動側が干渉しないように図7A、図7Bの固定側入れ子21が、図7C、図7Dに示すように中央に移動し、図7Eに示すように固定側にさらに移動する。その後、図8A、図8Bの可動側入れ子22が図8C、図8Dに示すように中央に移動し、図8Eに示すように可動側にさらに移動する。なお、図7A、図7B、図7C、図7D、図7Eでは、構造を理解しやすくするため、固定側の入れ子構造のみを示している。また、図8A、図8B、図8C、図8D、図8Eでは、構造を理解しやすくするため、可動側の入れ子構造のみを示している。
また、入れ子21、22の移動は電動でも、油圧でも、アンギュラピンでもよい。
上記のように2段階以上に分けて移動しないと、固定側入れ子21と可動側入れ子22が干渉して動くことができないので、一体成形で一回の工程で本発明のスラストワッシャーを製造することが難しくなる。
さらに固定側また可動側のどちらか一方のみで入れ子をすべて配置すると、入れ子同士が干渉し、さらに残りの入れ子の製品に当たり、移動ができないので、制限のある製品しか得ることができなくなるので望ましくない。
さらに、本発明においては、射出成形による一体性成形による製品となるので強度も向上し、さらには、繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂であって、接合面がないのでスラストワッシャー全体を繊維で強化することができる。さらに溶着工程における溶着不足や、過溶着による外観不良による収率低下もない。したがって、さらにその要員も削減でき、安定した生産がより可能となる。
また、射出成形後のバリが少なく、修正後加工の少ない成形品にすることができる。
これらの理由により、高強度かつ寸法精度に優れ、より低コストで、スラストワッシャーを製造することができる。
本発明にかかるスラストワッシャーは、機械装置における歯車やホイール等の回転体の軸部周りの保護部品として使用される。例えば、 図9に示すように二つの相対回転する回転体の間や、回転体と静止体との間などに使用される。したがって、高強度でかつ寸法精度に優れていることは、機械装置において特に大きな意味を持つものである。
実施例1
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例2以降の各実施例、比較例において、特に記載しないものは、実施例1に記載した条件と同じである。
マトリクス樹脂はナイロン6を使用し、それに繊維長3.1mmのガラス繊維を重量で20%含有したものである。
また破壊強度の測定に使用したものはJIS規格 K 7161を応用しテンシロン引っ張り試験機 RTF−1350を使用した。
図7A〜図7Dに示したスラストワッシャーの固定側においては、スラストワッシャーのドーナツ外半径50mm、ドーナツ状の環状体を成している内径R(mm)が25mmで、該ドーナツ状環状体の内部に、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の環状導入空間の幅U(mm)が16mmである。
図8A〜図8Dに示したスラストワッシャーの可動側においては、スラストワッシャーのドーナツ外半径50mm、ドーナツ状の環状体を成している内径Rが25mmで、該ドーナツ状環状体の内部に、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の環状導入空間の幅Uが20mmである。
また該環状導入空間とドーナツ外半径との幅Oは5mmであった。
収率は99.8%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で642Nであった。
実施例2
マトリクス樹脂としてナイロン66を使用し、繊維長1.1mmのガラス繊維を重量で30%含有させたものを用いた。
収率は99.7%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で、883Nであった。
実施例3
マトリクス樹脂としてナイロン6を使用し、それに繊維長0.3mmの炭素繊維を重量で15%含有させたものを用いた。
収率は99.5%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で956Nであった。
実施例4
マトリクス樹脂としてナイロン66を使用し、繊維長0.7mmの炭素繊維を重量で35%含有させたものを用いた。
収率は99.6%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で1735Nであった。
参考例1
マトリクス樹脂としてナイロン6を使用し、強化繊維は不使用とした。
収率は99.5%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で491Nであった。
比較例1
以下に記載した以外は、実施例1と同様とした。
図3に記載した二つの半割部材を射出成形する金型として単純構造でありスライドする入れ子は使用していないものを用いた。
収率は二つの部材ともに99.8%であり、それらを超音波接着により接合させた。超音波接着の収率は98.1%であり、合計収率は97.7%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で211Nであった。
比較例2
以下に記載した以外は、実施例2と同様とした。
図3に記載の二つの半割部材を射出成形する金型として単純構造であり、スライドする入れ子は使用していないものを用いた。
収率は、二つの部材がそれぞれ99.6%と99.7%であり、それらを超音波接着により接合させた。超音波接着による収率は97.2%であり、合計で収率96.5%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で223Nである。
比較例3
以下に記載した以外は、実施例3と同様とした。
図3に記載の二つの半割部材を射出成形する金型として単純構造であり、スライドする入れ子は使用していないものを用いた。
収率は、二つの部材がそれぞれ98.0%と97.7%であり、それらを超音波接着により接合させた。超音波接着による収率は96.2%であり、合計で収率92.1%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で247Nである。
比較例4
以下に記載した以外は、実施例4と同様とした。
図3に記載の二つの半割部材を射出成形する金型として単純構造であり、スライドする入れ子は使用していないものを用いた。
収率は、二つの部材がそれぞれ98.1%と98.7%であり、それらを超音波接着により接合させた。超音波接着による収率は96.0%であり、合計で収率93.0%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で249Nである。
比較例5
以下に記載した以外は、実施例5と同様とした。
図3に記載の二つの半割部材を射出成形する金型として単純構造であり、スライドする入れ子は使用していないものを用いた。
収率は、二つの部材がそれぞれ99.1%と99.3%であり、それらを超音波接着により接合させた。超音波接着による収率は98.1%であり、合計で収率96.5%であり、引張強力は水分0.1%以下の絶乾状態で、n数=10で198Nである。
表1に実施例1〜4、参考例1の接合部を有さない射出成形による一体形状の樹脂製スラストワッシャー、表2に比較例1〜5の半割部材を溶着した樹脂製スラストワッシャーについて、それぞれの評価データを示す。
Figure 0006194289
Figure 0006194289
1:環状体
2:導入空間
3:管状突起
4:凹溝
8:溶着部
9 溶着環状体
10、11:半割部材
12:円弧部Bよりも外側に膨らんだ円弧部Cにより形成される空間
21:固定側入れ子
22:可動側入れ子
61、62:回転体
63:スラストワッシャー
64:環状体
65:導入空間
66:管状突起
70:嵌合孔
A:中心軸
B:中心軸Aを中心にした円弧部
C:円弧部Bよりも更に外側に膨らんだ円弧部
R:ドーナツ状の環状体を成している内径
U:潤滑油の環状導入空間の幅
O:環状導入空間とドーナツ外径との幅

Claims (4)

  1. ドーナツ状環状体を成している樹脂製スラストワッシャーにおいて、該樹脂が、平均繊維長0.1mm〜5mmのガラス繊維または炭素繊維を、下記(a),(b)に記載した混合率の条件を満足して補強繊維に使用した繊維強化熱可塑性ポリアミド樹脂であり、かつ、前記ドーナツ状環状体の内部に、内周側から半径方向外側へ延びる潤滑油の環状導入空間が形成され、かつ、該ドーナツ状環状体が内部に接合部分を有さない一体形状からなると共に、
    前記ドーナツ状環状体を成している環状体の内径をR(mm)、前記環状導入空間の幅をU(mm)としたとき、4(mm)<U(mm)+1(mm)<R(mm)の関係を満たし、前記環状導入空間の幅Uが16mm以上であることを特徴とする樹脂製スラストワッシャー。
    (a)ガラス繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)が5%〜60%、
    (b)炭素繊維の場合は、その混合率(重量%)(対製品全体の重量)が5%〜40%
  2. 前記熱可塑性ポリアミド樹脂が、ナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製スラストワッシャー。
  3. 前記環状導入空間の外周縁形状が、前記ドーナツ状環状体の中心軸方向からみて半径方向外側に膨らむ複数の円弧状を組合せてなる形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製スラストワッシャー。
  4. 前記環状導入空間の、前記複数の円弧状を組合せてなる形状である外周縁の近傍の内側に、前記環状導入空間からワッシャーの背面外側へ向けて前記潤滑油を流動させる流路を内部に有する管状突起を、前記環状の周方向に間欠的に設けたことを特徴とする請求項3に記載の樹脂製スラストワッシャー。
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