以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置及び貨幣処理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、汚損した貨幣や旧貨幣等の特殊貨幣を取り扱う装置と、機械的に真偽判定することのできる貨幣を取り扱う貨幣処理装置とを含む現金処理装置に本発明を適用した場合を例に説明する。また、本発明は、銀行等の金融機関の他、大型店舗等の商業施設においても利用可能な技術であるが、以下の実施例では、銀行を例に説明を行う。
まず、本実施例に係る特殊貨幣の処理について説明する。本実施例に係る現金処理装置1は、汚損した貨幣、磨耗や破損した貨幣や旧貨幣等の特殊貨幣を受け付けると、その表面を撮像し、得られた画像を表示する。このとき、少なくとも記番号が視認可能となるように表示する。
操作者は、特殊貨幣の額面を示す金種や新旧(つまり、発行された年代)を示す券種を貨幣情報として入力するとともに、表示された記番号等を確認する。その後、現金処理装置1は、図1に示すように、特殊貨幣に対して特定情報の印字を行う。特定情報として印字されるのは、処理日時、券種別連番、支店名、担当者等である。また、上下の記番号にはその一致を確認したことを示す下線を特定情報として印字する。なお、ここでは下線を用いる場合を例示したが、チェックマークや丸印等の記号、確認済を示す文字列等、任意の特定情報を記番号の一致を示す情報として用いることができる。
現金処理装置1は、印字を行った特殊貨幣を再び撮像し、表示する。また、印字前に撮像した印字前画像と、印字後に撮像した印字後画像と、入力された貨幣情報と、印字した特定情報とを関連付けて記憶部に格納する。その後、特殊貨幣は、入力された貨幣情報により定まる適切な収納部に搬送される。
このように、特殊貨幣が取り込まれた時点で特定情報の印字を自動的に行うことにより、その作業負担を大きく軽減することができる。また、特定情報と貨幣情報を関連付けて管理することで、特殊貨幣の管理を効率的に行うことができる。
なお、特殊貨幣への印字に使用するインクは任意のものを用いることができるが、可視領域において透明な不可視のインクを用いてもよい。不可視のインクを用いれば、印字された特定情報を確認する際には対応する装置が必要となり、特定情報に対する不正を防止することができるためである。
また、特殊貨幣がキャリアシートに被覆されている場合には、特殊貨幣自体に印字することができないため、印字を行わない。キャリアシートは、一部が接合された一対の透明シートから構成されており、この一対の透明シートの間に特殊貨幣を挟み込めるようになっている。特殊貨幣をキャリアシートに挟んで被覆することにより、そのままでは正常に搬送できないほど損傷した貨幣であっても搬送が可能となる。
キャリアシートに挟まれて搬送され、収納された特殊貨幣は、その後、取り出されて補修され、再び取り込まれる。この補修後の特殊貨幣に対して、特定情報の印字を行う。
次に、現金処理装置の外観について説明する。図2は、現金処理装置の外観図である。現金処理装置1では、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200から成る紙幣処理装置10と、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400から成る硬貨処理装置20との間に、損券処理装置600が配置され、損券処理装置600の上面に損貨処理装置500が配置されている。紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20の上面には、それぞれ表示操作部40及びプリンタ50が配置され、それぞれの装置で作業する操作員は、各装置の前から移動することなく表示操作部40の操作や表示情報の確認を行えるようになっている。
バラ紙幣処理部100は、筐体前面に、入金されるバラ紙幣を受け入れるためのバラ紙幣入金口110とリジェクトされたバラ紙幣を投出するための入金リジェクト部120を有し、筐体上面に、出金されるバラ紙幣を排出するためのバラ紙幣出金口152を有している。束紙幣処理部200は、筐体前面上部に、束紙幣を排出するための帯封紙幣出金口218を有し、筐体前面下部に、束紙幣を機外へ投出するための帯封紙幣投出口221を有している。
バラ硬貨処理部300は、筐体上面に、入金されるバラ硬貨を受け入れるためのバラ硬貨入金口310を有し、筐体前面に、出金されるバラ硬貨を排出するためのバラ硬貨出金口370、リジェクトされたバラ硬貨を投出するための入金リジェクト口322、硬貨袋を取り付けて該硬貨袋内にバラ硬貨を回収できるように形成された袋取シュート部324、入金処理途中に処理がキャンセルされたバラ硬貨を排出するための返却回収箱326を有している。包装硬貨処理部400は、筐体前面上部に、包装硬貨を排出するための包装硬貨出金口480を有し、その下に、大量の包装硬貨を一括回収するための包装硬貨一括箱460と包装硬貨を機外へ投出するための包装硬貨投出口470とを有している。
損貨処理装置500は、硬貨処理装置20では受け付けられない硬貨を受け入れるための損貨入金口510と、受け付けた硬貨を分類して収納するための流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544と、返却する硬貨を収納するための返却硬貨収納部542とを有している。受け付けた硬貨のうち、流通硬貨の損貨が流通硬貨収納部540に収納され、記念硬貨の正貨及び損貨が記念硬貨収納部544に収納される。
損券処理装置600は、筐体上面前部に、紙幣処理装置10では受け付けられない損券や、小切手、手形等の紙葉類を受け入れるための紙葉類入金口610を有し、筐体前面に、損券等の紙葉類を排出するための紙葉類出金口680と損券等を投入して保管するポスト670とを有している。
次に、現金処理装置1の機能構成について説明する。図3は、現金処理装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、現金処理装置1は、バラ紙幣及び束紙幣を処理する紙幣処理装置10と、バラ硬貨及び包装硬貨を処理する硬貨処理装置20と、紙幣処理装置10による機械受付ができない汚損紙幣、損傷紙幣などの損券や発行された年代が古い旧券を処理する損券処理装置600と、硬貨処理装置20による機械受付ができない汚損硬貨、損傷硬貨、変形硬貨などの損貨や発行された年代が古い旧貨及び記念硬貨を処理する損貨処理装置500と、これらの装置に接続されて各装置の機能及び動作を制御する管理制御部30と、該管理制御部30を操作するための表示操作部40と、収納された貨幣の明細情報等を印刷するためのプリンタ50とを有する。
管理制御部30は、その内部に紙幣処理制御部31、硬貨処理制御部32、特殊媒体処理制御部33及び表示操作処理部34を有する。紙幣処理制御部31は、紙幣処理装置10の動作を制御する処理部であり、バラ入出金処理部31a、束入出金処理部31b、結束処理部31c及び精査処理部31dを有する。
バラ入出金処理部31aは、紙幣処理装置10によるバラ紙幣の入出金を制御する処理部である。束入出金処理部31bは、紙幣処理装置10による束紙幣の入出金を制御する処理部である。結束処理部31cは、バラ紙幣を結束し、束紙幣にする処理を制御する処理部である。精査処理部31dは、紙幣処理装置10の内部におけるバラ紙幣や束紙幣を計数し、その在高を確認して更新する処理部である。
硬貨処理制御部32は、硬貨処理装置20の動作を制御する処理部であり、バラ入出金処理部32a、棒金入出金処理部32b、包装処理部32c及び精査処理部32dを有する。
バラ入出金処理部32aは、硬貨処理装置20によるバラ硬貨の入出金を制御する処理部である。棒金入出金処理部32bは、硬貨処理装置20による包装硬貨(いわゆる棒金)の入出金を制御する処理部である。包装処理部32cは、バラ硬貨を包装し、包装硬貨にする処理を制御する処理部である。精査処理部32dは、硬貨処理装置20の内部におけるバラ硬貨や包装硬貨を計数し、その在高を確認して更新する処理部である。
特殊媒体処理制御部33は、損貨処理装置500及び損券処理装置600の動作を制御する処理部であり、受付処理部33a、払出処理部33b、印字処理部33c及び特殊媒体データ管理部33dを有する。
受付処理部33aは、特殊貨幣、記念硬貨などの特殊貨幣と手形、小切手などの受付を制御する処理部である。具体的には、受付処理部33aは、特殊貨幣が投入された場合に、その画像を撮像し、種類、金種及び券種等の入力を受け付ける。そして、種類、金種及び券種等に対応する収納部に各特殊媒体を収納する。
払出処理部33bは、特殊媒体の払出を制御する処理部である。払出処理部33bは、収納された特殊媒体の払出を求める操作を受け付けた場合に、対応する収納部から特殊媒体を払い出させる。
印字処理部33cは、受付処理部33aが特殊貨幣を受け付けた場合に、特定情報の印字を行う処理部である。受付処理部33aが特殊貨幣を受け付け、その表面が撮像され、貨幣情報が入力されると、印字処理部33cは、特殊貨幣に特定情報を印字する。印字処理部33cによる印字が行われた場合には、受付処理部33aは、印字を行った特殊貨幣を再び撮像し、その後、特殊貨幣を搬送して所定の収納部に収納する。
特殊媒体データ管理部33dは、損貨処理装置500及び損券処理装置600に収納された特殊媒体を管理する処理部である。特に、特殊媒体データ管理部33dは、特殊貨幣について、印字前画像、印字後画像、貨幣情報及び特定情報を関連付けたデータを保持している。
表示操作処理部34は、表示操作部40に対する表示制御と、表示操作部40に対する操作の受付とを行う処理部である。表示操作処理部34は、紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600の操作に関与する。
特に、受付処理部33aが特殊貨幣を受け付け、その表面が撮像された場合には、表示操作処理部34は、特殊貨幣の画像を表示操作部40に表示する。このとき、少なくとも記番号が視認可能となるように表示する。また、印字後の特殊貨幣を撮像した画像についても表示操作部40に表示可能である。
次に、特殊媒体データ管理部33dが管理するデータについて説明する。図4は、特殊媒体データ管理部33dが管理するデータについて説明するための説明図である。図4に示すように、特殊貨幣を印字前に撮像した印字前画像と、印字後に撮影した印字後画像と、貨幣情報と、特定情報とが関連付けられている。貨幣情報には、金種、券種および特殊貨幣の価値を含み、特定情報には処理日時、券種別連番、支店名及び担当者を含む。
図4では、印字前画像が「F00001a.jpg」であり、印字後画像が「F00001b.jpg」であり、金種が「10000」であり、券種が「E」であり、処理日時が「2013/09/12 12:13:14」であり、券種別連番が584−00017」であり、支店名が「XX」であり、担当者が「OO」である状態を示している。
次に、特殊貨幣の受付に係る処理手順について説明する。図5は、特殊貨幣の受付に係る処理手順を示すフローチャートである。まず、紙葉類入金口610に投入された特殊貨幣を受け付けると(ステップS101)、特殊媒体処理制御部33の受付処理部33aは、損券処理装置600に特殊貨幣を撮像させる(ステップS102)。表示操作処理部34は、撮像により得られた特殊貨幣の画像を表示操作部40に表示する(ステップS103。
その後、特殊貨幣の金種、券種及び特殊貨幣の価値等の貨幣情報の入力を受け付け(ステップS104)、記番号の一致等の確認が完了したか否かを判定する(ステップS105)。確認が完了していなければ(ステップS105;No)、ステップS104に移行する。そして、確認が完了したならば(ステップS105;Yes)、印字処理部33cは、特殊貨幣がキャリアシートに被覆されているか否かを判定する(ステップS106)。
キャリアシートに被覆されていなければ(ステップS106;No)、印字処理部33cは、特殊貨幣に対して特定情報の印字を行う(ステップS107)。受付処理部33aは、印字を行った特殊貨幣を再び撮像させる(ステップS108)。表示操作処理部34は、撮像により得られた印字後の特殊貨幣の画像を表示操作部40に表示する(ステップS109)。
特殊媒体データ管理部33dは、ステップS102で撮像した印字前画像と、ステップS108で撮像した印字後画像と、ステップS104で受け付けた貨幣情報と、ステップS107で印字した特定情報とを関連付けて格納する(ステップS110)。ステップS110の後、若しくは特殊貨幣がキャリアシートに被覆されている場合(ステップS106;Yes)、受付処理部33aは、特殊貨幣を収納部に搬送させて(ステップS111)、処理を終了する。
次に、紙幣処理装置10を構成するバラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200について説明する。図6はバラ紙幣処理部100の構成を示すブロック図であり、図7は束紙幣処理部200の構成を示すブロック図である。図2に示したように、バラ紙幣処理部100及び束紙幣処理部200を左右に配置して紙幣処理装置10が構成されている。
図6に示すように、バラ紙幣処理部100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するためのバラ紙幣入金口110及び筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣出金口152が設けられている。バラ紙幣入金口110の紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送される。入金搬送部114に設けられた入金識別部116により、搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。また、入金識別部116の紙幣搬送方向下流側には表裏反転部118が設けられ、入金識別部116により識別された紙幣の表裏が揃えられるようになっている。また、入金識別部116により、正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金リジェクト部120からリジェクトされる。
入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数の金種別一時保留部132とが接続されている。一括一時保留部130には複数金種の紙幣が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留される。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられ、各金種別一時保留部132に対応して金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納され、金種別紙幣収納庫142には対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納される。また、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142の紙幣を1枚ずつ繰り出せるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損券や各金種別紙幣収納庫142が満杯となって収納できなかった紙幣等が、金種混合状態で収納される。
各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣が下部搬送部146により1枚ずつ搬送される。下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されている。出金搬送部150には、バラ紙幣出金口152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出される紙幣はバラ紙幣出金口152に送られて、バラ紙幣出金口152内部に集積される。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は、出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られる。出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣は、バラ紙幣処理部100の筐体102に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、束紙幣処理部200により結束される紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。
入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所にはそれぞれ分岐部材170が設けられており、これらの分岐部材170により、分岐箇所における紙幣の搬送先が制御されるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣を検出する紙幣検出センサ180が複数設けられており分岐部材170による紙幣の搬送先制御のタイミングを決定するために利用されている。
図7に示すように、束紙幣処理部200には、バラ紙幣処理部100内の整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210によって取り出された紙幣の束を帯封(結束)するための帯封部212とが設けられている。アーム部210は、例えば、上下一対のアーム(上アーム及び下アーム)から構成されており、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を、上下一対のアームで上下方向から挟んで整理一時保留部160から取り出すようになっている。帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封部212に送られた帯封紙によって、帯封部212において、例えば100枚の紙幣の束が帯封される。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された束紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣出金口218に搬送される。帯封紙幣出金口218は束紙幣処理部200の筐体202外部からアクセス可能となっており、操作員はこの帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣を筐体202外から取り出せるようになっている。
また、帯封紙幣出金口218には帯封紙幣収納出金部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、帯封紙幣出金口218から帯封紙幣収納出金部220に送られた束紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封紙幣出金口218により筐体202の外部に投出されない束紙幣が各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納される。各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、各帯封紙幣収納カセット230に収納された束紙幣が帯封紙幣収納出金部220に戻されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金部220に戻された束紙幣は帯封紙幣出金口218に送られて、筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣はリフト部224により上下方向に搬送可能となっている。リフト部224の下部には束紙幣回収用の帯封紙幣投出口221が設けられており、ここから束紙幣を筐体202の外部に投出することも可能である。
次に、硬貨処理装置20を構成するバラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400について説明する。図8はバラ硬貨処理部300の構成を示すブロック図であり、図9は包装硬貨処理部400の構成を示すブロック図である。図2に示したように、バラ硬貨処理部300及び包装硬貨処理部400を左右に配置して硬貨処理装置20が構成されている。
図8に示すように、バラ硬貨処理部300の筐体302上部には、バラ硬貨を外部から受け入れるバラ硬貨入金口310と、このバラ硬貨入金口310から、装置内で硬貨を搬送する搬送路上に1枚ずつ硬貨を繰り出す硬貨繰出部312と、搬送路を搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等を識別する入金識別部314が配置されている。入金識別部314により識別された硬貨は、硬貨選別部320に搬送されて、ここで識別結果に基づいて選別される。正常な硬貨ではないと識別された硬貨、すなわちリジェクト硬貨は、入金リジェクト口322からリジェクトされる。
硬貨選別部320には1つの一括一時保留部330と、複数の金種別一時保留部332とがそれぞれ接続されている。一括一時保留部330には複数金種の硬貨が混合状態で一時的に保留され、各金種別一時保留部332にはそれぞれ特定の金種の硬貨が一時的に保留される。また、一括一時保留部330に対応して1つの一括硬貨収納庫340が設けられ、各金種別一時保留部332に対応して金種別硬貨収納庫342が設けられている。
入金処理時に、入金硬貨を識別して一時保留した状態で入金が確定されると、一括一時保留部330内の硬貨は一括硬貨収納庫340へ収納され、金種別一時保留部332内の硬貨は金種別硬貨収納庫342へ収納される。入金処理がキャンセルされた場合には、一括一時保留部330及び金種別一時保留部332内の硬貨は、返却回収箱326から返却される。なお、一括硬貨収納庫340は、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損貨や各金種別硬貨収納庫342が満杯となって収納できなかった硬貨等が、金種混合状態で収納される。
一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342にはそれぞれ硬貨繰出部344が設けられており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342の硬貨を1枚ずつ繰り出せるようになっている。各硬貨繰出部344にはバラ硬貨搬送部350が接続されており、一括硬貨収納庫340及び各金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨がバラ硬貨搬送部350により搬送される。
バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨を袋取シュート部324から回収する場合には、バラ硬貨搬送部350から入金識別部314へ向けて硬貨が搬送される。袋取シュート部324には硬貨袋を取り付けられるようになっており、入金識別部314により枚数計数された硬貨が、硬貨選別部320から袋取シュート部324へ送られて、硬貨袋内へ回収される。
一方、バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨をバラ硬貨出金口370から出金する場合には、バラ硬貨搬送部350から出金識別部352へ向けて硬貨が搬送される。出金識別部352では、バラ硬貨搬送部350から搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。出金識別部352には出金一時保留部354が接続されており、出金識別部352により識別された硬貨は出金一時保留部354に搬送される。出金一時保留部354には出金リジェクト箱356及び出金箱360が接続されており、出金識別部352による識別結果に基づいて、出金対象となる硬貨は出金箱360へ収納され、リジェクト硬貨は出金リジェクト箱356へ収納される。出金箱360は上下に移動可能に設けられており、出金対象となる全ての硬貨が収納された後、上方へ移動してバラ硬貨出金口370から硬貨を出金する。出金リジェクト箱356内のリジェクト硬貨は、筐体302に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
金種別硬貨収納庫342に収納された硬貨により包装硬貨を作成する場合には、硬貨繰出部344によって金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨が、受渡バラ硬貨収納部380に収納される。
図9に示すように、包装硬貨処理部400では、受渡バラ硬貨収納部380に収納された硬貨が硬貨繰出部410によって繰り出されて硬貨包装部420へ搬送され、ここで所定枚数(例えば50枚)の硬貨を包装した包装硬貨が作成される。硬貨包装部420では、硬貨繰出部410によって繰り出された硬貨が所定枚数に達しなかった場合、作成した包装硬貨の長さが所定値を超えるために異常であると判断された場合に、これらが端数箱430へ収納される。端数箱430に収納された硬貨は、筐体402に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
所定枚数の硬貨を包装して正常に包装硬貨が作成された場合には、この包装硬貨が硬貨包装部420から包装硬貨搬送部440へと送られる。そして、包装硬貨は、包装硬貨搬送部440により、包装硬貨の金種に対応する金種別包装硬貨収納庫450へ収納される。また、硬貨包装部420によって作成した包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470を利用して外部に排出することもできる。
また、金種別包装硬貨収納庫450に収納された包装硬貨は包装硬貨搬送部440へ繰り出せるようになっており、金種別包装硬貨収納庫450から繰り出された包装硬貨を、包装硬貨搬送部440によって搬送し、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470から外部に排出することもできる。
次に、損貨処理装置500及び損券処理装置600について説明する。図10は損貨処理装置500の構成を示すブロック図であり、図11は損券処理装置600の構成を示すブロック図である。
図10に示す損貨処理装置500では、損貨入金口510から硬貨(損貨又は記念硬貨)が入金されると、画像取得部520により硬貨の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の表示操作部40に表示される。画像取得部520によって画像が取得された硬貨は、損貨搬送部530により一時保留部535へ搬送されて一時的に収納される。
硬貨が一時保留部535内に収納された状態で、操作員が、表示操作部40に表示された画像を確認しながら表示操作部40を操作して、硬貨の種類等の情報を入力する。具体的には、この硬貨が、流通硬貨の損貨、記念硬貨の正貨又は損貨のいずれであるかを示す情報と、金種等を示す情報とを入力する。こうして硬貨の種類が決定されると、一時保留部535内の硬貨が繰り出され、損貨搬送部530によって搬送されて、硬貨の種類に応じて、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544へ収納される。流通硬貨収納部540には流通硬貨の損貨が収納され、記念硬貨収納部544には記念硬貨の正貨及び損貨が収納される。
硬貨(損貨又は記念硬貨)の出金時には、流通硬貨収納部540又は記念硬貨収納部544から出金対象となる硬貨が繰り出されて、損貨搬送部530によって搬送されて、返却硬貨収納部542へ収納される。図2に示した流通硬貨収納部540、返却硬貨収納部542及び記念硬貨収納部544はそれぞれが独立した箱形形状を有しており、筐体502前部から手前へ引き出せるように構成されている。これにより、返却硬貨収納部542に出金された硬貨を、手前に引き出した返却硬貨収納部542から取り出すことができる。ただし、流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544から硬貨を出金する方法が、これに限定されるものではない。流通硬貨収納部540及び記念硬貨収納部544は、筐体から手前に引き出して内部に収納された硬貨を取り出し可能な構造を有しているので、これらの収納部を引き出して硬貨の出金や回収を行う態様であっても構わない。
図11に示す損券処理装置600では、紙葉類入金口610から損券が入金されると、この損券は紙葉類繰出部612によって装置内に繰り出される。そして、画像取得部620により損券の画像が取得され、この画像が現金処理装置1の表示操作部40に表示される。画像取得部620によって画像が取得された損券は、印字部621に搬送される。
印字部621は、印字済ではなく、且つキャリアシートに挟まれていない損券については特定情報を印字した上で、画像取得部620に戻す。画像取得部620は、印字済の損券の画像を取得し、表示操作部40に表示させる。その後、画像取得部620は、印字済の損券を再び印字部621に搬送する。印字部621は、印字済か、又はキャリアシートに挟まれている損券については、紙葉類搬送部630により一時保留部640に搬送し、一時保留部640内に一時的に収納する。
損券が一時保留部640内に収納された状態で、操作員が、表示操作部40に表示された画像を確認しながら表示操作部40を操作して、損券の種類等の情報を入力する。具体的には、損券の金種情報と、損券の券種を示す情報と、損券の価値を示す情報とを入力する。券種とは、紙幣の新旧に関する種類を特定するもので、例えば、金種が同じ一万円の紙幣が、券種では、紙幣の発行された年代によってD一万円券やE一万円券というように区別される。また、価値とは、損券の貨幣価値を示すもので、例えば、日本銀行では、損券が、一部が破れて欠損した紙幣である場合には、紙幣全体の面積に対する損券の残存面積の割合が2/3以上の場合は金種の全額の価値、2/5以上かつ2/3未満の場合は当該紙幣の金種の半額の価値、2/5未満の場合は価値がないと規定されている。表示操作部40には、損券の券種や価値を判断するための参考となる券種のサンプル画像等の補助情報が表示され、操作員は、損券画像と補助情報とを確認しながら損券の券種及び価値を判断して入力できるようになっている。
こうして損券の種類が決定されると、一時保留部640内の損券が繰り出され、紙葉類搬送部630によって搬送されて、損券収納部(第1収納部)652又は損券収納繰出部(第2収納部)654に収納される。損券収納部652は損券を集積して収納する集積方式の収納部であり、キャリアシートを利用して装置内に繰り出された損券は損券収納部652へ収納される。一方、キャリアシートを利用することなく装置内に繰り出された損券はテープ式の損券収納繰出部654へ収納される。損券収納繰出部654は、ドラムによって巻き取られる2枚のテープの間に損券を挟み込んで収納するテープ式の収納部である。損券収納繰出部654では、損券をドラムに巻き取って収納することに加えて、ドラムを逆回転させてテープの間に挟み込んだ損券を紙葉類搬送部630に繰り出せるようになっている。
損券収納部652に集積された損券を回収する際には、筐体602の扉を開いて損券収納部652内の損券をキャリアシートごと取り出して回収する。損券収納繰出部654に収納された損券を回収する際には、損券収納繰出部654から紙葉類搬送部630に繰り出して、紙葉類出金口680へ排出してから回収する。
なお、ここでは損券の入金及び回収についてのみ説明するが、損券処理装置600は、損券以外に小切手等の紙葉類の入金処理と新券(市場流通していない完封券)の出金処理とを行えるようになっている。具体的には、小切手入金時には、損券の場合と同様に、紙葉類入金口610から入金された小切手は、画像取得部620によって画像が取得された後、紙葉類搬送部630によって搬送されて小切手収納部650に収納される。また、新券出金時には、新券収納部660に収納されている新券が繰り出されて新券判別部662により金種のみを識別する簡易識別が行われた後、紙葉類搬送部630によって搬送されて紙葉類出金口680から出金される。なお、ここでは単一の画像取得部620で印字前後の画像を取得する構成を例示したが、画像取得部は複数設けてもよい。画像取得部を複数設ける構成では、例えば、取り込んだ損券画像を第1の画像取得部で取得し、貨幣情報が入力され、特定情報がオペレータに確認された後、印字部で特定情報を印字し、その後、第2の画像取得部で印字後の損券画像を取得すればよい。
現金処理装置1では、管理制御部30が、上述した紙幣処理装置10、硬貨処理装置20、損貨処理装置500及び損券処理装置600で行われる各処理を監視して、各装置内部に収納されている貨幣の金額、枚数、正損の状態、形態等を管理している。また、管理制御部30は、損券処理装置600で撮像した特殊貨幣の画像を表示する際に、特殊貨幣の全体を示す全体画像や特殊貨幣の特定部分を拡大した部分画像を表示することができる。また、管理制御部30は、全体画像と部分画像を同時に並べて表示する、全体画像と部分画像を個別に表示する等の表示態様を任意に切替えることが可能である。
次に、特殊貨幣のデータの利用について説明する。特殊貨幣については、印字前後の画像、貨幣情報及び特定情報を関連付けてデータ管理を行っているが、このデータは、現金処理装置1が設置された支店内で利用することができる他、支店外のセンタ等でも利用可能である。
まず、支店内で利用する場合、特殊貨幣のデータを参照することで、収納されている特殊貨幣を確認することが可能である。また、収納された特殊貨幣を取り出し、再度取り込ませて精査を行う場合には、精査時に印字済の特殊貨幣から特定情報を読み取り、事前に格納していたデータの特定情報と比較し、不一致の場合に報知を行うことができる。
また、特殊貨幣のデータを外部のセンタに送信することもできる。図12は、センタで特殊貨幣のデータを利用する場合について説明するための説明図である。図12に示すように支店B1に設けられた現金処理装置1と、センタM1内のセンタ端末M1aとはネットワークを介して通信可能に接続されている。
現金処理装置1は、ネットワークを介して特殊貨幣のデータをセンタ端末M1aに送信することが可能である。このため、センタ端末M1aで特定情報の確認が可能となる。また、センタ端末M1aは、読取装置M1bと接続されている。この読取装置M1bは、支店B1から輸送された印字済の特殊貨幣から特定情報を読み取る装置である。読取装置M1bが印字済の特殊貨幣から読み取った特定情報と、センタ端末M1aが現金処理装置1から受信した特定情報とを比較することにより、特定情報に対する不正を検知することが可能である。
上述してきたように、本実施例にかかる現金処理装置1は、特殊貨幣が取り込まれた時点で特定情報の印字を自動的に行うことにより、その作業負担を大きく軽減することができる。また、特定情報と貨幣情報を関連付けて管理するので、特殊貨幣の管理を効率的に行うことができる。
なお、本実施例に示した特定情報及び貨幣情報はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。例えば、貨幣の金種と破損の程度により定まる貨幣価値を貨幣情報に含めてもよい。また、特定情報の項目、内容、印字の箇所についても任意に設定可能である。さらに、貨幣の汚れや破損の位置に応じて、特定情報の印字位置を選択可能としてもよい。
さらに、本実施例では、操作者が入力した貨幣情報を受け付ける場合を例示したが、画像処理等により貨幣情報の一部又は全てを自動取得するように構成してもよい。また、特殊貨幣の記番号を読み取って比較し、その一致を自動で判定するように構成してもよい。
また、本実施例に開示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。また、貨幣処理装置、特に、損券処理装置は、本実施例に示したように金融機関の店舗に設置する以外に、各店舗の貨幣を収集するセンタに設置してもよい。