以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお以下の例では、素子(水晶片)を実装部材(パッケージ)に実装して水晶振動子を製造する組立装置について、説明する。
<第1実施形態>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る組立装置1の全体構成について説明する。図1(a)は組立装置の主要部を示す上面図である。図1(b)は、素子供給装置2の一部をY方向(図1(a)下方側)から視た正面図であり、図1(c)は、素子供給装置2の一部をX方向(図1(a)左方側)から視た側面図である。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
図1に示すように、組立装置1は、電子部品(ここでは、水晶振動子)の素子(ここでは、水晶片)10を供給する素子供給装置2と、電子部品を搬送する搬送装置3と、実装部材(ここでは、上部が開放された箱状のセラミックパッケージ)20を供給する実装部材供給装置5と、素子10に導電性接着材Nを塗布(供給)する塗布装置6と、実装部材20の姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段11と、解析ユニット12と、位置調整ユニット13とを有し、素子10を実装部材20に実装して電子部品を組み立てる装置である。また、図示および詳細な説明は省略するが、組立装置1は、組立装置1全体を制御する中央制御装置、組立中および組立後の素子10、実装部材20および組立後の電子部品の状態を検査する各種検査装置、各種検査装置で不良と判定された電子部品を廃棄する廃棄手段を備えている。
なお、本実施形態の素子10は、平面のサイズが1mm角以下(1mm以下×1mm以下)であり、実装部材20は、実装面のサイズが1mm角以下(1mm以下×1mm以下)である。
実装部材供給装置5は、実装前の複数の実装部材20が配置される実装部材用トレー51から実装部材20を一つずつ取り出して、搬送装置3に供給する。なお、実装部材供給装置5から搬送装置3への実装部材20の移送は、搬送装置3に進入および退出する(図1(a)のY方向に移動する)搬送アーム51Aによって行われる。また、この例に限らず、実装部材20が整列配置された整列トレーを用いて、実装部材20を供給したり、テーブル上に自由に実装部材20がばらまかれた状態の供給テーブルから、画像認識によって、個々の実装部材20をピックアップするような構造であっても良い。
搬送装置3は、鉛直軸(図1のZ方向の軸)回りに回転する円盤状の回転テーブル(ターレット)31と、その外周に周方向に配置される部品保持機構32を有する。回転テーブル31にはその周方向に沿って、実装部材20が供給される供給領域311と、実装部材20の姿勢情報を取得する姿勢情報取得領域312と、素子10を実装部材20に実装する搭載(実装)領域313と、組立後の電子部品(素子10と実装部材20)を回収する回収領域314とが設定されており、供給領域311において実装部材供給装置5から1個ずつ供給される実装部材20を搭載領域313まで搬送し、搭載領域313において素子10を実装部材20に実装して組立後の電子部品を回収領域314で回収する。
部品保持機構32は例えば不図示の吸着ノズルを有しており、吸着ノズルの先端部には負圧発生孔321が形成されており、吸着ノズルは、この負圧発生孔321に印加される負圧により、供給領域311において実装部材供給装置5から供給された実装部材20を吸引保持する。回転テーブル31は、不図示のモータによって回転自在となっており、これにより、回転テーブル31に配置される部品保持機構32の回転移動が可能になっている。本実施形態では、回転テーブル31に対して、周方向に16個の部品保持機構32が配置されているが、少なくとも3つ以上備えることが好ましい。より望ましくは5つ以上備えるようにする。
なお、本実施形態では、搬送装置3の構造として、回転テーブル31によるターレット機構を例示するが、本発明はこれに限定されず、例えば直動レール上を往復運動するような直動機構を利用しても良い。
姿勢情報取得手段11は、実装部材20の搬送経路上の、姿勢情報取得領域312のZ方向上方に配置されたカメラであり、実装前の実装部材20を撮像する。解析ユニット12は、姿勢情報取得手段(カメラ)11の撮像結果に基づいて、搬送装置3で搬送される実装部材20と、当該実装部材20に実装されるべく素子保持機構21で保持される素子10との相対位置ずれ量を導出する。また位置調整ユニット13は、解析ユニット12の導出結果に基づいて、素子保持機構21で保持される素子10の位置を調整する。
素子供給装置2は、素子保持機構21と、素子保持機構駆動部24を有し、実装前の複数の素子10が配置される素子用トレー22から素子10を取り出して(ピックアップして)、搭載領域313に搬送された実装部材20の上方に供給し、実装部材20と素子10を接着する。
素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を同図(a)、(b)に示すように、鉛直軸方向(Z方向)、水平軸方向(X,Y方向)に移動自在に保持する。素子保持機構21は、同図(c)に示すようにX方向に伸びる回転軸Rを中心として回動可能であるとともに鉛直軸周りに(θ方向に)回動可能な吸着ノズル25と、吸着ノズル25と共にX、Y、Z方向に移動可能なカメラ26を備える。吸着ノズル25およびカメラ26も素子保持機構駆動部24によって駆動される。
塗布装置6は、素子保持機構21の移動経路に並んで回転テーブル31の搭載領域313の近傍に配置され、素子保持機構21が保持する素子10に導電性接着材(例えば、銀ペーストなど)を直接、塗布する。
図2は、素子供給装置2の動作を示す図であり、同図(a)が素子供給装置2の全体の上面図であり、同図では移動する1つの素子保持機構21の4つのタイミングにおける位置を示している。また同図(b)が第1の領域201における素子保持機構21を図2(a)の下方側のY方向から視た正面図であり、同図(c)左図が第2の領域202における素子保持機構21および固定カメラ23を図2(a)の左方側のX方向から視た側面図であり、同図(c)右図が図2(a)の下方側のY方向から視た正面図である。また、同図(d)左図が第3の領域203における素子保持機構21および塗布装置6を図2(a)の下方側のY方向から視た正面図であり、同図(d)右図が図2(a)の左方側のX方向から視た側面図である。また同図(e)が第4の領域204における素子保持機構21および部品保持機構32を図2(a)の下方側のY方向から視た正面図である。
同図(a)に示すように、素子供給装置2はX方向の移動経路に沿って、素子10をピックアップする素子保持領域(第1の領域)201と、素子10の姿勢情報を取得する素子姿勢情報取得領域(第2の領域)202と、素子10に導電性接着材を塗布する塗布領域(第3の領域)203と、素子10を実装部材20に実装する搭載(実装)領域(第4の領域)204とが設定されている。なお、素子供給装置2における搭載領域204は、搬送装置2における搭載領域313と一致する。
同図(b)に示すように、素子保持領域201において素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を水平方向(図2(a)のX,Y方向)に移動して、カメラ26によって保持対象の素子10を特定する(左図)。その後、素子保持機構21を水平方向に僅かに移動し、吸着ノズル25を保持対象の素子10の上方に配置する。さらに素子保持機構駆動部24は、吸着ノズル25を鉛直方向(図2(a)のZ方向)に移動させ、また鉛直軸周りのθ方向に回転させて、実装前の複数の素子10が配置される素子用トレー22から素子10を1個ずつ取り出す(右図)。
同図(c)に示すように、素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を素子姿勢情報取得領域(第2の領域)202に移動させながら、吸着ノズル25の向きを鉛直方向の上下に反転させる。すなわち、同図(c)左図の破線で示すように先端が鉛直方向の下方を向いている吸着ノズル25を回転軸Rを中心としてα方向に回転し、先端が鉛直方向の上方に向くように略180°反転させる。
素子10は、同図(b)の素子保持領域201においては実装時の上面が上方となるように素子用トレー22に配置されており、素子保持機構21は、吸着ノズル25によって素子10を上方(実装時の上面側)から吸着保持する。そして同図(c)に示す素子姿勢情報取得領域202では、素子10の実装時の下面側が鉛直方向上方に向いた状態で保持される。
素子姿勢情報取得領域202には、固定カメラ23が配置されており、素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を固定カメラ23の直下まで移動する。そして固定カメラ23によって素子10の姿勢情報を取得する。素子10の姿勢情報と、搬送装置3の実装部材20の姿勢情報に基づき両者の相対位置ずれ量が導出され、その導出結果に基づいて素子保持機構21の位置が調整される(同図(c)右図)。
同図(d)に示すように、塗布領域203では、素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を移動させて同図(b)と同様に素子保持機構21のカメラ26によって塗布装置6の供給ノズル61との位置合わせを行い(左図)、塗布装置6によって素子10に導電性接着材を塗布する。その後、素子保持機構駆動部24は、吸着ノズル25を回転軸Rを中心としてβ方向に回転し、素子10の上下を再び略180°回転させる(右図)。
同図(e)に示すように、搭載領域204では、素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21を移動し、カメラ26によって部品保持機構32が保持する実装部材20との位置合わせを行い(左図)、吸着ノズル25を上下左右に移動させて実装部材20と素子10を接着し、実装する(右図)。
素子保持機構21(吸着ノズル25)の移動構造には様々なものが採用できるが、例えば、上下左右方向はエアーシリンダ等によって移動させることができ、また、回転方向はモータ等を利用することができる。この他にも例えば、上下、左右方向は、ねじ軸とナットによるボールねじ機構やラックアンドピニオン機構を用いても良い。
図3を参照して、塗布装置6および導電性接着材Nの塗布位置について説明する。図3(a)は塗布装置6の主要部を示す側面図であり、図3(b)、(c)は、導電性接着材Nの塗布位置を示す、素子10の下面図である。
塗布装置6は、導電性接着材Nを所定量供給可能な供給ノズル61を備えたディスペンサーであり、素子10の上方から、素子10の実装時の下面側に導電性接着材Nを直接塗布する。塗布装置6は、素子10上に形成された2つの電極11,12と供給ノズル61との位置合わせをそれぞれ行い、供給ノズル61を下降させて素子10に導電性接着材Nを塗布(供給)する。本実施形態では、塗布装置6は固定されており、素子10を保持する吸着ノズル25が、素子保持機構駆動部24によってX方向、Y方向、Z方向(およびθ方向)に移動されて塗布装置6との位置合わせを行う構成であるが、塗布装置6(供給ノズル61)が駆動手段によって破線矢印の如く、X方向、Y方向、Z方向(およびθ方向)に移動可能である構成としてもよい。
同図(b)、(c)に示すように、本実施形態の素子10は水晶振動子を構成する水晶片であり、その表面には薄膜金属層による電極11,12が形成されている。電極11、12は、同図(b)に示すように素子(水晶片)10の1辺の両端に形成される場合と、同図(c)に示すように素子(水晶片)10の対向する2辺の略中央部にそれぞれ1つずつ形成される場合がある。導電性接着材Nは、2つの電極11,12上にそれぞれ1箇所ずつ塗布される。なお、二点鎖線は実装部材20を示す。
<組立装置の動作>
次に、組立装置1の動作について再び図1から図3を参照して説明する。
まず、実装部材供給装置5は、実装前の複数の実装部材20が配置される実装部材用トレー51(図1参照)から搬送アーム51Aによって一つずつ実装部材20を取り出して、搬送装置3の供給領域311において部品保持機構32に供給する。本実施形態の実装部材20は上方が開口された箱状体であり、開口部が上方となるように、部品保持機構32に供給される。部品保持機構32は、吸着孔321によって実装部材20を吸引、保持する。
回転テーブル31の回転に伴って、部品保持機構32で保持された実装部材20は、ここでは反時計回りに回転搬送される。実装部材20は、姿勢情報取得領域(以下、撮像領域)312においてカメラ11によって撮像される。撮像結果は、実装部材20の姿勢及び位置情報として解析ユニット12に送信される。
素子用トレー22には、実装時の上面が上方になるように複数の素子10が配置されている。素子供給装置2の素子保持機構駆動部24は、素子保持領域201に素子保持機構21(吸着ノズル25)を移動させ(図2(a))、カメラ26により位置合わせを行い、素子10の上方から素子10をピックアップする(図2(b))。
その後、素子保持機構駆動部24は、吸着ノズル25の上下を反転させながら、素子姿勢情報取得領域202に素子保持機構21(吸着ノズル25)を移動させ(図2(a))、固定カメラ23によって素子10の姿勢情報を取得する(図2(c))。素子10の姿勢情報10は、解析ユニット12(図1(a)参照)に送信され、対応する実装部材20との相対位置ずれ量が導出される。その導出結果に基づき、位置調整ユニット13が素子保持機構駆動部24を制御し、吸着ノズル25をX、Y、Z、θ方向に移動させて素子10の位置および姿勢を調整する。
その後、素子保持機構駆動部24は、塗布領域203に素子保持機構21(吸着ノズル25)を移動させる(図2(a))。塗布領域203では、素子保持機構21のカメラ26によって、素子10の電極11と塗布装置6(供給ノズル61)との位置合わせを行い、供給ノズル61の直下に素子10を近接させて素子10の電極11に導電性接着材Nを塗布(供給)する(図2(d)、図3)。引き続き、素子10の電極12と供給ノズル61との位置合わせを行い、素子10の電極12に導電性接着材Nを塗布(供給)する。
導電性接着材Nが塗布されると、素子保持機構駆動部24は、素子保持機構21をさらにX方向((図2(a)ではX方向右側)に移動させる。また、素子保持機構駆動部24は、搭載領域204に進入する以前に、吸着ノズル25を再び上下反転させる。より詳細には、図2(d)右図のようにβ方向に回転させる。なお、β方向に略90°回転させた位置(図2(d)右図の破線で示す位置)で、塗布量検出ユニット120によって、導電性接着材Nの塗布量の検出が行われ(図2(a)参照)、塗布量に異常があった場合は、不良素子として廃棄される。塗布量が正常の場合には、吸着ノズル25が更にβ方向に略90°回転する。この吸着ノズル25の回転によって、吸着ノズル25で保持される素子10は、その上下が反転する。すなわち、塗布装置6の下方では、実装時の下面が上方となるように吸着ノズル25に保持されていた素子10は、搭載領域204に進入する以前に、実装時の上面が上方となるように吸着ノズル25に保持される。
その後、素子保持機構駆動部24は、搭載領域204に素子保持機構21(吸着ノズル25)を移動させる(図2(a))。搭載領域204(搭載領域313)では、搬送装置3によって搬送された実装部材20が待機している。素子保持機構駆動部24はカメラ26で実装部材20の位置を撮影し、必要に応じて位置調整ユニット13で位置調整を行い、吸着ノズル25を移動させて素子10を実装部材20の内部に収容するとともに、実装部材20の内側底面に素子10を接着し、これを実装する(図1(a)、図2(e))。
部品保持機構32は、接着後の実装部材20と素子10(電子部品)を回収領域314まで搬送し、回収領域314において電子部品(水晶振動子)が回収される(図1(a)参照)。
このように上記動作を繰り返し、組立装置1は水晶振動子を高精度に組み立てる。すなわち、上記組立装置1による電子部品の組み立て方法は、素子用トレー22に、実装時の上面側を上方にして配置された素子10を、その上方から素子保持機構21によって1つずつ取り出し、素子10の上下を反転させて塗布装置6によって素子10の実装時の下面側に導電性接着材Nを直接塗布し、素子10と実装部材20の位置合わせを行い、素子10の上下を反転させて回転搬送される実装部材20に収納、接着して水晶振動子を高精度に組み立てるものである。
このような構成によれば、導電性接着材Nは、素子10に直接塗布され、実装部材(パッケージ)20には供給する必要がないため、素子10や実装部材20が極小化した場合であっても塗布装置6(ディスペンサー)の吸着ノズル61が実装部材20内壁に接触する恐れがなくなり、実装部材20に供給することによる供給位置のずれや、供給量(塗布量)のばらつきを抑制できる。これにより、素子10が極小の場合であっても、電極11、12間のショートを防ぎ、不良素子の増加を回避できる。
また、素子10に直接、導電性接着材Nを塗布するため、実装部材20の形状誤差に応じた塗布量の高精度な制御が不要となる。
また、搬送装置1の搭載領域313の近傍に塗布装置6を配置し、素子10に導電性接着材Nを塗布した直後に、搭載領域313において実装部材20に実装するため、塗布から実装部材20への接着までの時間を従来より短縮でき、導電性接着材Nが素子10の固着前に乾燥してしまう問題を回避できる。
また、搬送装置1の供給領域311から搭載領域313の間に撮像領域を設けることにより、撮像領域312において実装部材20の姿勢を撮像し、搭載領域313で待機する素子との位置合わせを行うことができる。すなわち、搭載領域313においては、素子10と実装部材20の位置合わせは完了しており(搭載領域313において位置合わせをする時間が短縮できるため)、塗布装置6において素子10に導電性接着材Nを塗布した後短時間で実装部材20に接着することができる。これにより、素子10に供給される導電性接着材Nが微量であっても、その乾燥を防いで実装部材20に接着することができる。
また、組立工程中において、塗布装置6で導電性接着材Nが塗布され、且つ実装部材20に実装する前の素子10は、素子保持機構21の吸着ノズル25で保持されるただ1つの素子10のみであるため、組立工程中にラインが長時間停止した場合であっても、塗布した導電性接着材の乾燥による廃棄素子を最小限(例えば、1個)に抑えることができる。
また、第1実施形態の組立装置1は、素子保持機構20が後付け可能であるので、従来の組立装置(実装部材に導電性接着材を供給して素子を接着する組立装置)を改良することで、比較的安価に極小の素子に対応した組立装置を実現することができる。
<第2実施形態>
次に、図4から図10を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、組立装置101の正面図である。図5は、組立装置101の左側面図である。図6は、組立装置101の平面図(上面図)である。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、第1実施形態と同一構成要素は同一符号で示し、その詳細な説明を省略する。
図4に示すように、組立装置101は、基台102と、基台102上面(図4では上面の左側)に配設された素子供給装置110と、基台102に揺動自在に配設されたアーム120と、アーム120に回転自在に配設された回転テーブル130と、回転テーブル130の外周面に周方向に沿って配設された複数(本実施形態では4つ)の素子保持ユニット140と、塗布ユニット116と、アーム120に配設された2つの外部付勢装置150と、回転テーブル130を回転させる回転テーブル駆動手段160と、基台102上面の右側に配設された姿勢情報取得手段180と、組立装置101全体を制御する中央制御装置190と、基台102上面(図4では上面の右側)に配設された実装部材供給装置170及び不図示の組立検査装置と、を備えている。
基台102は、略直方体状の部材である。基台102の内部には、中央制御装置190や、特に図示しない電源装置等が配設されている。基台102上面の奥側端部には柱部材102aが配設されており、この柱部材102aの上端にはアーム120を動作可能(揺動自在)に支持するアームブラケット102bが配設されている。
本実施形態では、基台102上面の一部分(図4では上面左側部分)に素子供給装置110から素子保持ユニット140に素子10を供給する素子供給領域103を設定している。また、基台102上面の一部分(図4では上面中央部分)に素子10に導電性接着材を塗布する塗布領域104を設定している。そして、基台102上面の一部分(図4では上面の右側部分)に、素子保持ユニット140が保持する素子10を、実装部材供給装置170に載置されている実装部材20に収納して接着する搭載(実装)領域105を設定している。また、搭載領域105の一部に、姿勢情報取得手段180が配設される姿勢情報取得領域106を設定している。さらに、基台102上面の中央奥側部分(揺動手段180側)に、不合格品を廃棄トレイ135に廃棄する廃棄領域135を設定している(図5参照)。
素子供給装置110は、複数の素子10を配置する。素子10はその姿勢をランダムに配置されてもよいし、姿勢を整えて複数の素子10がマトリクス状に配列されてもよい。具体的に、素子供給装置110は、素子10を載置する載置トレイ115と、X−Yテーブルから構成された載置トレイ移動手段119と、素子10を位置決めするために用いるカメラ(CMOSカメラやCCDカメラなど)117を備えて構成されている。載置トレイ115には、複数の素子10が載置されている。載置トレイ移動手段119は、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態における載置トレイ移動手段119は、鉛直方向および水平方向(図5における上下方向(X方向)及び左右方向(Y方向))に載置トレイ115を移動可能となっている。載置トレイ移動手段119は、カメラ117による素子10の撮影結果に基づいて、素子供給領域103にある素子保持ユニット140の吸着ノズル142の真下に対応するように、素子10を1つずつ順番に配置する。
アーム120は、アームブラケット102bから素子供給装置110の上方を手前に向けて伸びる腕状の部材である。アーム120には回転テーブル130が回転自在に保持されると共に、外部付勢装置150及び回転テーブル駆動手段160が配設されている。外部付勢装置150は、素子供給領域103及び搭載領域105側に対応して、それぞれの上方に設けられている。
回転テーブル130は、略円盤状の部材であり、外周面に4つの素子保持ユニット140が等間隔(本実施形態では略90°間隔)で配設されている。回転テーブル130は、図示する運転位置において、回転軸が上下方向(鉛直方向)となるようにアーム120に保持されている。そして、回転テーブル130は、時計回り又は反時計回りの1方向に回転し、全ての素子保持ユニット140は、素子供給領域103、塗布領域104、搭載領域105(姿勢情報取得領域106)及び廃棄領域135の上方を順番に通過するように構成されている。この例では、いずれかの素子保持ユニット140が素子供給領域103に対向する位置にある場合に、他の3つの素子保持ユニット140が、搭載領域105(姿勢情報取得領域106)及び廃棄領域135に対向する位置にあるように構成されている(図6参照)。
素子保持ユニット140は、吸着ノズル142を有しており、素子供給装置110上の素子10を1個ずつ取り出して(ピックアップして)保持する。また、素子保持ユニット140は不図示のノズル回転ユニットを備え、吸着ノズル142は、ノズル回転ユニットによって水平軸周りに吸着ノズル142の先端が上下反転するように(図4のα方向またはα方向と逆方向に)回転自在となっており、素子10の上下を反転させることができる。また、吸着ノズル142は鉛直軸周りに(図4のθ方向またはθ方向と逆方向に)回転自在となっており、素子10の姿勢を調整することができる。
素子10を吸着保持した素子保持ユニット140は、回転テーブル130の鉛直軸周りの回転に伴って鉛直軸周りに回転する(図6参照)。また素子保持ユニット140は、鉛直軸周りの回転とともに、吸着ノズル142を鉛直方向の上下が反転するように水平軸周りに回転させる。吸着ノズル142の移動構造は例えば、モータ等を利用することができる。
ここで、素子10は、実装時の上面が上方となるように素子供給装置110に配置されている。つまり、素子保持ユニット140は、素子供給領域103において吸着ノズル142の先端で素子10を上方(実装時の上面側)から吸着保持し、素子保持ユニット140自身も鉛直軸周りに回転しながら、塗布領域104において吸着ノズル142の先端(素子10)が鉛直方向の上方に位置するように吸着ノズル142を略180°回転させる。なお、この例では、図4に破線で示したように、塗布領域104に到達する以前に吸着ノズル142の回転(上下反転)を完了させ、上方に位置するカメラ118で撮像して素子10の姿勢を取得し、塗布領域104における位置合わせを完了させる。
素子保持ユニット140は、引き続き鉛直軸中心に回転し、搭載領域105において再び、吸着ノズル142の先端(素子)が鉛直方向の下方に位置するように、吸着ノズル142を上下反転させ、吸着ノズル142の先端を下方に向けた状態で実装部材20が待機する搭載領域103上に移動する。
塗布ユニット(塗布装置)116は、第1実施形態と同様の供給ノズル156を鉛直方向の上下に移動可能なディスペンサー(図3参照)であり、素子供給領域103と、搭載領域105の間に配置され、素子保持ユニット140で保持、搬送される素子10に対して導電性接着材(例えば、銀ペーストなど)を塗布(供給)する。具体的には、塗布領域104において、上下が反転した吸着ノズル142によって、実装時の素子10の下面が上方に位置した素子10に対して、供給ノズル156を下降させ、素子10の上方から、所定の位置(電極11、12上)に所定量の導電性接着材を塗布する。
2つの外部付勢装置150における一方は、素子供給領域103の上方に配置されている。また、他方の外部付勢装置150は、搭載領域105の上方に配置されている。一方の外部付勢装置150は、素子供給領域103上に位置する素子保持ユニット140に外力を付加して、素子保持ユニット140の吸着ノズル142を、素子供給領域103に近接する方向(下方)に移動させる。他方の外部付勢装置150は、搭載領域105上に位置する素子保持ユニット140に外力を付加して、素子保持ユニット140の吸着ノズル142を搭載領域105に近接する方向(下方)に移動させる。
回転テーブル駆動手段160は、アーム120の下面に固定され、アーム120と回転テーブル130の間に位置している。本実施形態では、回転テーブル駆動手段160は、アーム120に固定されるステータ、及びステータの外周を回転する筒状のロータから構成される中空DD(ダイレクトドライブ)モータである。ステータの中心部には軸方向に貫通孔が形成されている。回転テーブル130は、この貫通孔内に中空軸(図示省略)を挿通した状態でロータに固定されている。
なお、塗布領域104と搭載領域105の間で、下側にカメラを配置して、導電性接着材の塗布量を検出する構成としてもよい。
姿勢情報取得手段180は、ここでは図示を省略するカメラ(CMOSカメラやCCDカメラなど)で構成され、姿勢情報取得領域106(搭載領域105の一部)に配置される。カメラは、姿勢情報取得領域106に位置する素子保持ユニット140の吸着ノズル142に保持された素子10を、真下から撮像するとともに、搭載領域105に供給されて待機する実装部品20を真上から撮像する。すなわち、カメラは、搭載領域105に向けて搬送されている素子10を待ち受けると共に、その素子10を下から撮像して、当該素子10の水平面内に関する傾斜情報を、画像情報として取得する。また、カメラは、搭載領域105で待機する実装部材20を上から撮像して、当該実装部材20の水平面内に関する傾斜情報を、画像情報として取得する。また、カメラは、中央制御装置190と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報を中央制御装置190に送信する。そして、カメラで取得した姿勢の画像情報に基づいて、素子10を接着する実装部材20の内部底面の高さを検出し、それに合わせて素子10の姿勢(位置、高さ)および/または実装部材20の姿勢(位置、高さ)を修正する。
中央制御装置190は、CPU、ROM及びRAM等を備えた制御装置であり、素子供給装置110、外部付勢装置150、回転テーブル駆動手段160、姿勢情報取得手段180、及び実装部材供給装置170等を直接制御する。この中央制御装置190は、姿勢情報取得手段(カメラ)180の撮像結果を比較して、実装部材20及び素子10の相対位置ずれ量Gを導出する解析ユニットとしても機能する。
実装部材供給装置170は、マトリクス状に配置された複数の凹部が上面に形成された整列トレイ121と、X−Yテーブルから構成された整列トレイ移動手段117を備えて構成されている。整列トレイ121の凹部には、組立前の実装部材20が載置されている。整列トレイ移動手段117は、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態における整列トレイ移動手段117は、図4における上下方向及び左右方向に整列トレイ101を移動可能となっている。
整列トレイ移動手段117は、搭載領域105にある素子保持ユニット140の吸着ノズル42の真下に対応するように、素子10が搬送されてくることに先立って、複数の実装部材20を1つずつ順番に搭載領域105に供給する。この整列トレイ移動手段117は、中央制御装置190が導出した相対位置ずれ量Gに基づいて、実装部材20の位置を調整する位置調整ユニットとして機能する。搭載領域105では、素子保持ユニット140が吸着保持した素子10を、実装部材20に収納しつつ接着する。この動作を繰り返すことで、整列トレイ121の凹部に載置されている全ての実装部材20に対して素子10を実装する。全ての実装部材20の組付けが完了したら、整列トレイ121は、次の工程に運ばれる。
図7から図9を参照して、姿勢情報取得手段180について更に説明する。図7は、姿勢情報取得手段180の構成を示す図であり、図8は、組立装置101における画像信号等の流れを説明する概略図である。図9(a)は、搭載領域105に搬送された素子10を撮像した画像を示す概略図である。同図(b)は、搭載領域105で待機する実装部材20を撮像した画像を示す概略図である。なお、図8においては図面を簡略化し、実装部材20を直方体形状に示しているが、実際には、実装部材20は上方が開口した箱状体のパッケージである。
図7に示されるように、姿勢情報取得手段180は、本実施形態では2台のカメラ180(実装部材用のカメラ181、素子用のカメラ182)と、導光ユニット183で構成され、姿勢情報取得領域106(搭載領域105の一部)に配置される。(実装部材用のカメラ181、素子用のカメラ182はそれぞれCMOSカメラやCCDカメラなどである。
カメラ181は、搭載領域105に供給された実装部材20を、素子10が搬送されてくることに先立って、導光ユニット183を介して真上から撮像する。すなわち、カメラ181は、搭載領域105に供給された実装部材20を撮像して、当該実装部材20の水平方向に関する位置情報を、画像情報として取得する。また、カメラ181は、中央制御装置190と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報を中央制御装置190に送信する。
カメラ182は、姿勢情報取得領域106においてノズル回転ユニットで姿勢を調整されてから搭載領域105に搬送された素子10を、導光ユニット183を介して真下から撮像する。すなわち、カメラ182は、搭載領域105に搬送された素子10を撮像して、当該素子10の水平方向に関する位置情報を、画像情報として取得する。また、カメラ182は、中央制御装置190と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報を中央制御装置190に送信する。中央制御装置190は、カメラ181,182の撮像結果に基づいて、実装部材20及び素子10の相対位置ずれ量Gを導出する。具体的に、図9(a)に示されるように、カメラ182によって、素子10が、例えば左上の領域に位置する撮像結果が得られると共に、図9(b)に示されるように、カメラ181によって、実装部材20が、例えば右下の領域に位置する撮像結果が得られる場合を想定する。この場合、相対位置ずれ量を、右下の領域から左上の領域を結ぶ矢印Gで示される量と導出する。中央制御装置190は、相対位置ずれ量Gに基づいて、整列トレイ移動手段(位置調整ユニット)117を動作させて、実装部材20の水平面内の位置が素子10の水平面内の位置と同じになるように、当該実装部材20の水平方向の位置を調整する。
なお、ここでは、X−Y平面方向の位置ずれ量Gのみを導出する場合を示したが、回転のずれ量を導出することも可能である。この場合は、X−Y平面方向の位置ずれ量Gを導出する前に、一度、上下のカメラ181、182によって撮像して回転のずれ量を中央制御装置190によって解析し、回転のずれ量が零に近づくように、吸着ノズル142を回動させて素子10の角度を調整する。その後、再度、素子10の保持姿勢を撮像して、X−Y平面方向の位置ずれ量Gを導出し、それが零に近づくように、実装部材20の水平方向の位置を調整する。吸着ノズル142に対して素子10が偏心状態で保持されていると、回転方向の位置決めを行う際に、素子10がX−Y平面方向に変位するからである。
導光ユニット183は、下側採光部183aからカメラ181に導光する実装部材側光路(図示省略)を備え当該カメラ181に実装部材20を撮像させると共に、上側採光部183bからカメラ182に導光する素子側光路(図示省略)を備え当該カメラ182に素子10を撮像させる。この導光ユニット183は、ミラー、レンズ、プリズム等の複数の光学系(光路)を内蔵するボックス型のユニットであり、10mm角程度の大きさを有する。導光ユニット183は進退ユニット(図示省略)によって駆動され、下側採光部183a及び上側採光部183bが必要に応じて搭載領域105に進退させられる。進退ユニットは、カメラ181が実装部材20を撮像するに先立って、搭載領域105で待機する実装部材20の真上に下側採光部183aを進入させている(図8参照)。また、進退ユニットは、カメラ182が素子10を撮像するに先立って、搭載領域105で待機する実装部材20と素子10との間に上側採光部183bを進入させている(図8参照)。なお、搭載領域105に到達する順序は、実装部材20が搭載領域105で待機させられた後、またはその待機動作と同時に、進退ユニットによって導光ユニット183が搭載領域105に進入させられ、その後、素子10が搭載領域105に搬送されてくる。
これにより、導光ユニット183は、カメラ181が実装部材20を撮像する際に、下側採光部183aが、搭載領域105で待機する実装部材20の真上に配置され、実装部材20の真上からの撮像を可能にする。また、導光ユニット183は、カメラ182が素子10を撮像する際に、上側採光部183bが、搭載領域105で待機する実装部材20と搭載領域105に搬送された素子10との間に配置され、素子10の真下からの撮像を可能にする。なお、導光ユニット183は、素子10と実装部材20との間に配置される部分の厚みtを小さくし、組立時のストロークを小さくすることが好ましい。このため、導光ユニット183の該当部分の厚みtは、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。この厚みtは、光学系を内蔵することから薄くすることに限界があり、現時点では8mmまで薄くすることができる。
なお、図7(a)、(b)に示される位置情報取得手段180は、2台のカメラ181,182が横向きに配置されているが、組立装置101の態様に応じて、図7(c)に示されるように、2台のカメラ181,182が1縦向きに配置されるようにしてもよい。
<組立装置の動作>
次に、第2実施形態の組立装置101の動作について説明する。図10(a)〜図10(f)は、組立装置101の作動を示す平面図である。なお、説明を容易にするため、4つの素子保持ユニット140に素子保持ユニット140A〜140Dの番号を付することにし、主として、素子保持ユニット140Aの動作について説明する。なお、他の素子保持ユニット140B〜140Dは、素子保持ユニット140Aと同じ動作となるので、説明を省略する。
まず、図10(a)に示されるように、素子供給装置110は、複数の素子10を、方向や姿勢を整えた状態で配置する。
素子供給装置110によって、複数の素子10が素子供給領域103に配置された後(又は略同時)に、回転テーブル130を反時計回りに略90°回転し、素子保持ユニット140Aの吸着ノズル142を素子供給領域103に配置された素子10に対向する位置まで移動させる(図10(b)参照)。
回転テーブル130は、同図(b)の状態で、所定の時間静止する。回転テーブル130が静止している間に、外部付勢装置150が素子保持ユニット140Aを押圧することにより、吸着ノズル142を素子供給領域103に配置された素子10に近接させる。そして、吸着ノズル142が素子10を吸着して保持する。その後、外部付勢装置150による押圧を解除する(又は押圧力を緩める)ことで、吸着ノズル142が上昇する。
次に、同図(c)に示すように回転テーブル130は、再び反時計回りに回転する。回転テーブル130が回転している途中では、素子保持ユニット140Aは吸着ノズル142を水平軸周りに回転させ、吸着ノズル142の先端およびそこで保持される素子10の上下を反転させる。そして、吸着ノズル142の上下反転が完了した後、カメラ118によって素子10の状態(姿勢)を画像認識する。
また、この間に、カメラ181によって搭載領域105(姿勢情報取得領域106)で待機する実装部材20の状態を画像認識する。なお、カメラ181による画像認識は、素子10が搭載領域105に到着する前に完了していればよく、このタイミングに限定されるものではない。また、導光ユニット183の搭載領域105への進入は、カメラ181による画像認識の前に完了している。
同図(d)に示すように、回転テーブル130はさらに反時計回りに回転し、素子保持ユニット140Aが同図(b)の位置から略90°回転すると素子保持ユニット140Aに保持された素子10は塗布領域106に搬送される。この位置においても素子保持ユニット140Aは吸着ノズル142の先端(素子10)が鉛直方向の上方に位置するように反転させて保持している。吸着ノズル142で保持されている素子10は、実装時の上面が上方に向いている状態(同図(b))から、実装時の下面が上方に向く状態に上下反転されて吸着ノズル142に保持される。つまり素子10は、下方(実装時の上面側)から保持される。そしてこの状態で、再び所定の時間静止する。
回転テーブル30が停止している間に、素子保持ユニット140Aのノズル回転ユニット(図示省略)が、カメラ118によって撮像された画像情報に基づいて素子保持ユニット140Aの吸着ノズル142を適切な角度だけθ方向に自転させ、吸着ノズル142に保持された素子10の姿勢を整える。
回転テーブル130が静止している間に、塗布ユニット116は、素子10の上方から供給ノズル156を下降させ、素子10の所定の領域(電極11,12(図3参照)上)に導電性接着材を塗布(供給)する。
なお、導電性接着材Nの塗布後に塗布量検出ユニット(不図示)によって、導電性接着材Nの塗布量の検出が行われる。塗布量に異常があった場合は、実装部材20に実装することなく、例えば、さらに略180°反時計回りに回転して、当該異常があった素子10を廃棄トレイ135に放出する(図10(f)参照)。
また回転テーブル30が回転している間には、上記同様に、素子供給装置110は、次の素子10を素子供給領域103の適切な箇所(素子保持ユニット140Bの吸着ノズル42の真下)に配置する。そして、回転テーブル130が静止している間には、上記同様に、素子供給領域103に対向する位置にある素子保持ユニット140Bの吸着ノズル142が、素子供給領域103に配置された素子10を吸着して保持する。
導電性接着材Nの塗布後、回転テーブル130が、反時計回りに略90°回転した後、再び所定の時間静止する(図10(e)参照)。これにより、素子保持ユニット140Aに保持されている素子10は、搭載領域105に到着する。また、回転テーブル130が回転している間に、素子保持ユニット140Aは、水平軸周りに吸着ノズル142を略180°回転(上下反転)させる。これにより、素子10は再び上下が反転し、すなわち実装時の上面が上方となるように、吸着ノズル142に保持される。
回転テーブル130が静止している間に、カメラ182によって姿勢情報取得領域106に搬送された素子10の状態を画像認識する。導光ユニット183は、カメラ182による撮像後に速やかに退避する。カメラ182による画像認識の結果は、中央制御装置190において、カメラ181による画像認識の結果と比較されて、実装部材20及び素子10の相対位置ずれ量Gが導出される。実装部材供給装置170の整列トレイ移動手段117は、相対位置ずれ量Gに基づいて、実装部材20をX−Y方向に移動して位置補正を行う。その後、外部付勢装置50が素子保持ユニット140Aを押圧する。これにより、素子保持ユニット140Aの吸着ノズル142が下降し、素子10を搭載領域105で待機する実装部材20内に収納するとともに接着し、電子部品(水晶振動子)を組み立てる。
なお、上記で素子10を実装部材20に実装した後、不図示の組立検査装置により素子10と実装部材20の組立状態を撮影し、組立状態の良否を判定するようにしても好ましい。つまり、組立検査装置で撮影した素子10と実装部材20の画像情報に基づいて、位置ずれなどにより組立状態を不良と判断した場合、搭載領域105に待機している素子保持ユニット140Aは、吸着ノズル142により、不良と判断された素子10と実装部材20を吸着する。そして、回転テーブル130が、さらに略90°反時計回りに回転し、不良と判断された素子10と実装部材20を廃棄トレイ135に放出する(図10(f)参照)。
なお、姿勢情報取得手段180又はカメラ182によって撮像された画像情報に基づいて、姿勢や位置の制御が不可能と判断される素子10については、搭載領域105において実装を行わず、この段階で素子10を廃棄トレイ135側に放出する(図10(f)参照)。
このように上記動作を繰り返し、組立装置101は水晶振動子を高精度に組み立てる。すなわち、上記組立装置101による電子部品の組み立て方法は、素子供給装置110に、実装時の上面が上方となるように配置された素子10を素子供給領域103において1つずつ取り出し、素子保持ユニット140で保持しつつ、鉛直軸周りに回転搬送するとともに水平軸周りに素子10の上下を反転させ、塗布領域104において塗布ユニット116によって素子10の実装時の下面側に上方から導電性接着材Nを直接塗布し、再び水平軸周りに素子10の上下を反転させて、搭載領域105にて素子10と実装部材20の位置合わせを行った後、実装部材20に収納、接着して水晶振動子を高精度に組み立てるものである。
このような構成によれば、導電性接着材Nは、素子10に直接塗布され、実装部材(パッケージ)20には供給する必要がないため、素子10や実装部材20が極小化した場合であっても塗布ユニット116(ディスペンサー)の供給ノズル156が実装部材(パッケージ)20内壁に接触する恐れがなくなり、実装部材20に供給することによる供給位置のずれや、供給量(塗布量)のばらつきを抑制できる。これにより、素子10が極小の場合であっても、電極11、12間のショートを防ぎ、不良素子の増加を回避できる。
また、素子10に直接、導電性接着材Nを塗布するため、実装部材20の形状誤差に応じた塗布量の高精度な制御が不要となる。
また、素子10は、塗布領域104で導電性接着材Nが塗布され、その直後に実装部材20に実装するため、塗布から(実装部材20への)接着までの時間を従来より短縮でき、供給する導電性接着材Nが微量であっても素子10の固着前に乾燥してしまう問題を回避できる。
また、素子保持ユニット140で保持される素子10のうち、導電性接着材Nが塗布されて実装部材20に実装されるまでの素子10の数を少なくできる。すなわち、図10に示すように素子保持ユニット140が4個の場合は、導電性接着材Nが塗布され、且つ実装部材20に実装されるまでの素子10の数は1個または2個である(素子保持ユニット140の数に応じて増加するが、多くても数個である)。従って、組立工程中にラインが長時間停止した場合であっても、導電性接着材Nが塗布され、且つ実装部材20に実装する前の素子10は少数であるため、塗布した導電性接着材Nの乾燥による廃棄素子を最小限に抑えることができる。
また、組立装置101は、ターレットの周方向に配置された素子10を保持する素子保持ユニット140が、吸着ノズル142を水平軸周りに略180度(または360度)回転させることが可能であるため、第1実施形態の水平方向に移動する素子保持機構21と比較して、組立装置101の(実作業を行う基台102の)省スペース化が図れる。
また、この組立装置101では、導光ユニット183を利用して搭載領域105で待機する実装部材20の大よその位置調整を、素子10が搬送されてくる前に行うため、無駄な待ち時間が発生しないようになっている。また、組立装置101では、吸着ノズル142に保持された素子10の姿勢の調整を回転テーブル130の回転移動中(移動軌跡の途中)に行うため、無駄な待ち時間が発生しないようになっている。さらに、組立装置101では、吸着ノズル142に保持された素子10の実装部材20との相対位置の最終調整を搭載領域105に搬送されてから行うため、搬送装置の機械的精度の影響を受けずに、正確で確実な調整を行うことができる。また、実装部材供給装置170の整列トレイ移動手段117を駆動するだけで、素子10と実装部材20との相対位置ずれをなくすことができるので、装置を複雑にする必要がない。
さらに、組立装置101は、吸着ノズル142を有する素子保持ユニット140が回転テーブル30の周方向に複数設けられている。したがって、第1の素子保持ユニット140が素子10を吸着保持する工程と、第2の素子保持ユニット140が素子10に導電性接着材を塗布する工程と、第3の素子保持ユニット140が素子10を実装部材20に接着して組み立てる工程等を同じ静止時間中に同時に行うことができる。
そして、組立装置101は、素子保持ユニット140が保持する素子10の姿勢情報、および搭載領域105で待機する実装部材20の姿勢情報をそれぞれ取得する姿勢情報取得手段180を備えている。姿勢情報取得手段180は、撮像領域の同じ位置で素子10を下方から撮像するカメラ181と、実装部材20を上方から撮影するカメラ182を備えており、両カメラ181、182の撮像結果に基づいて、実装部材20及び素子10の相対位置ずれ量Gを導出する。素子10および実装部材20の極小化に伴い、これらを組み立てる際の位置合わせも高い精度が要求されるが、本実施形態によれば、短時間、省スペースで素子10と実装部材20の位置合わせを高精度に行うことができる。
また、素子供給領域103、搭載領域105、廃棄領域135は、この順番で、素子保持ユニット140の1方向に回転する回転経路上に設けられている。したがって、組立装置101は、回転テーブル130を回転することで、素子保持ユニット140を素子供給領域103から廃棄領域135まで順番に搬送することができ、これらの工程を確実に行うことができる。
さらに、組立装置101は、素子供給領域103に次の素子10を配置する素子供給装置110と、搭載領域105に組立前の実装部材20を搬送する実装部材供給装置170と、をさらに備えている。したがって、回転テーブル130が回転して、任意の素子保持ユニット140が素子供給領域103に停止する前に、次の素子10を素子保持位置111に配置するようになっている。また、組立装置101は、回転テーブル130が回転して、素子保持ユニット140が搭載領域105に停止する前に、実装部材供給装置170が次の実装部材20を搭載領域105に移動させるようになっている。したがって、無駄な時間を排除し、動作を高速にすることができる。
なお、本実施形態に係る組立装置101は、4つの素子保持ユニット140を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の個数(例えば6個、8個、12個)の素子保持ユニット140を備えるようにしてもよい。
また、組立装置101は、回転テーブル130を、運転位置において回転の中心軸が上下方向(鉛直方向)となるように配設されているが、これに限定されるものではなく、運転位置における回転の中心軸が水平方向や斜め方向となるように配設されるものであってもよい。また、回転テーブル130は、本実施形態に示される形状以外の形状であってもよい。
さらに、組立装置101は、各部が中央制御装置190によって統括的に制御される構成であるが、これに限定されるものではなく、個別に専用の制御装置を設けるようにしてもよい。
そして、組立装置101は、アーム120は、基台102に配設されるものに限定されるものではなく、他の部材に配設されるものや、独立して配設されるものであってもよい。また、アーム120は、揺動以外の動作を可能に構成されるものであってもよい。例えば、上下方向のみの移動であってもよく、さらに、上下方向に直線移動した後に揺動するようにしてもよい。または、複数の異なる回転軸を中心に揺動もしくは回動するようにアーム120を構成してもよい。
また、素子供給領域103、姿勢情報取得領域106、搭載領域105及び廃棄領域135の位置は、本実施形態において示した位置に限定されるものではなく、他の位置に配置するようにしてもよい。さらに、部品の加工組立や検査等を行う領域を搬送途中に設けるようにしてもよい。
そして、回転テーブル130の回転は、90°回転するごとに静止する間欠回転に限定されるものではなく、素子保持ユニット140が、素子供給領域103、姿勢情報取得領域106、搭載領域105及び廃棄領域135のそれぞれに対向する位置にある場合にも、回転テーブル130を低速で回転させ続けるようにしてもよい。この場合、素子供給装置110と実装部材供給装置170は、素子供給領域103や搭載領域105において、回転テーブル130と同方向且つ同速度で移動するように回転する回転テーブルとすることが好ましい。つまり、素子供給領域103では、回転テーブル130に配置される吸着ノズル142は、自身と同方向且つ同速度で移動する素子供給装置110に供給される素子10を、回転中に吸着することができる。また、搭載領域105では、素子保持ユニット140は、吸着ノズル142に吸着している素子10を、素子10と同方向且つ同速度で移動する実装部材供給装置170に供給される実装部材20に、回転中に組み立てることができる。
<第3実施形態>
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、塗布装置206、306の他の例を示す側面図である。図11(a)は、転写により導電性接着材を素子10に塗布する塗布装置206を示し、図11(b)は、ディスペンサーである塗布装置306の他の例を示す。
同図(a)に示すように、塗布装置206は、膜状接着材MNが形成されるテーブル210と、テーブル210の下方から上方に向かって貫通する塗布針211と、スキージ212を有する。テーブル210には液状の導電性接着材が供給され、スキージ212によって膜状接着材MNが形成される。その後、塗布針211が、テーブル210の下方から上方に向かって鉛直方向に移動すると、テーブル210を貫通する際に塗布針211の先端に膜状接着材MNが付着する。膜状接着材MNが付着した塗布針211が素子10に接触することによって、素子10に膜状接着材MNが転写される。なお、ここではテーブル状を水平方向に移動するスキージ212を例に示したが、円形のテーブル210上で回転する複数の羽を有するスキージ212などであってもよい。
このような構成によれば、ディスペンサーの場合と比較して導電性接着材の塗布量が微量となってもその制御が比較的容易となる。
また、図11(b)に示すように、塗布装置306は、供給ノズル307の先端(のみ)が上方に曲折したディスペンサーであってもよい。
第3実施形態の塗布装置206、306を用いる場合、実装時の上面側を上方にして上方から素子10を保持し、実装時の下面側に(素子10の下方から)膜状接着材MN(導電性接着材N)を塗布(転写)することができる。すなわち、第1実施形態の素子保持機構21または第2実施形態の素子保持ユニット140のように、素子10を反転させる構成を備える必要が無くなり、組立装置1,101の構成を簡素化できる。
<第4実施形態>
図12から図16を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。図12は、従来の手法によって本実施形態の素子10に導電性接着材Nを供給する様子を示す図であり、同図(a)が実装時の下面を上方とした上面図であり、同図(b)が側面図である。また、図13および図14は、本実施形態における導電性接着材Nの供給方法を示す図であり、図13(a)が実装時の下面を上方とした上面図であり、図13(b)、(c)が側面図、図14が側面図である。図15は、供給ニードル71と本実施形態の供給ノズル(精密ノズル61)について説明する側面図であり、図16は、本実施形態の供給ノズル(精密ノズル61)の側断面図である。
上述のとおり、本実施形態の素子10は、平面のサイズが1mm角以下の極めて小さい素子であり、より詳細には短辺が例えば0.4mm以下であり、長辺が0.6mm以下である。このため、導電性接着材Nを塗布する塗布領域(すなわち電極11の一部と電極12)も微小なサイズ(例えば、0.1mm角程度)となる。また、塗布領域が微小なだけでなく、塗布領域(電極11,12)同士が非常に近接している。
例えば、図3に示したように、素子10の塗布領域に対して導電性接着材Nを直接塗布する場合、一般的には、素子10から導電性接着材Nが外側にはみ出さないように、あるいは少なくとも塗布領域の中心付近に導電性接着材Nが塗布されるように、供給ノズル61(の吐出孔)の中心位置を素子10の実装面の領域内(例えば、塗布領域の中心付近)に位置合わせして導電性接着材Nを吐出する。
しかしながら、本実施形態のような平面のサイズが1mm角以下の極めて小さい素子10の場合、素子10の実装面の領域内に供給ノズル61の吐出孔の中心位置を位置合わせした状態で、ペースト状、あるいは液状の導電性接着材Nを塗布すると、導電性接着材Nが塗布領域からはみ出し、電極11,12同士が接触することによるショートが発生してしまう問題がある。
図12を参照して具体的に説明すると、本実施形態の導電性接着材Nは、例えばガラスフリット(シリコン、シリカ)と30μm程度の銀フィラーをエポキシなどの樹脂に混入した銀ペーストであり、これを塗布装置6の供給ノズル61から吐出させて塗布する。ここで、供給ノズル61は、微量な導電性接着材Nを供給可能ないわゆる精密ノズルを使用した場合であっても、現状ではその、最小のノズル径(吐出孔61Aの径)は0.1mm〜0.2mm程度(詳細には、0.15mm〜0.2mm程度)であり、また1回の標準的な塗布量は1cc未満(例えば、0.3cc〜0.5cc程度)である。
このため、同図に示すように、従来の一般的な方法と同様に、塗布領域(電極11,12)を覆うように、素子10の実装面の領域内に供給ノズル61の吐出孔61A(同図(a)では太破線で示す)の中心位置を位置合わせして導電性接着材Nを供給すると、塗布領域から大きくはみ出し、導電性接着材Nが互いに接触して電極11,12間のショートが発生してしまう問題がある。
一方、1回の塗布量を所定量(例えば、0.3cc〜0.5cc程度)より少なくすることも考えられるが、その場合は供給量にばらつきが生じ、また素子10の接着および支持が不安定となってしまう問題がある。
そこで、本実施形態の塗布装置6は、平面視において素子10の端部から導電性接着材Nの少なくとも一部が素子10よりも外側にはみ出すように、素子10に直接、導電性接着材Nを塗布することとした。
具体的には、図13に示すように、塗布装置6の供給ノズル61は、吐出孔61A付近の外形状がテーパー状で、吐出孔61Aの先端部分を極細形状に加工した既知の精密ノズルである。また、供給ノズル61の吐出孔61Aの径は、既述のように0.1mm〜0.2mm程度(詳細には、0.15mm〜0.2mm程度)で、1回の標準的な塗布量は1cc未満(例えば、0.3cc〜0.5cc程度)である。
ただし塗布装置6は、導電性接着材Nの塗布時に、平面視において供給ノズル61の吐出孔61A(同図(a)では太破線で示す)の径方向の一部が、素子10の端部(角部)からはみ出るように位置合わせを行い、その位置において素子10に導電性接着材Nを塗布する。同図(b)、(c)に示すように素子10は、実装時の下面が上方となるように吸着ノズル25に保持されており、塗布装置6は、素子10上に形成された2つの電極11,12の中心位置に対して供給ノズル61(吐出孔61A)の中心位置をずらし、吐出孔61Aの径方向の一部が、素子10の端部(角部)からはみ出るように位置合わせを行ったのち、素子10の上方から、供給ノズル61を下降させて素子10に導電性接着材Nを直接塗布する。
これにより、導電性接着材Nは、平面視において素子10の端部(素子10のエッジ(角部))から少なくとも一部がはみ出すように素子10に塗布される(同図(a))。あるいは、導電性接着材Nは素子10の端部からはみ出した部分が少なくとも素子10の側面に回り込み、素子10の実装時の下面側から側面側にわたって塗布される(同図(b)または同図(c)。
この状態で、図14(a)に示すように、吸着ノズル25を反転・移動させて素子10を実装部材20の内部に収容するとともに、実装部材20の内側底面に導電性接着材Nによって素子10を接着し、これを実装する。
なお、素子10を実装部材20に収容した後は、同図(a)に示すように、導電性接着材Nが固着する前に吸着ノズル25などによって押圧するとよい。これにより素子10の実装面からはみ出した余剰の導電性接着材Nが素子10の下面および側面に回り込むとともに、素子10の下面と実装部材20の間に隙間が生じていた場合であっても、素子10と実装部材20を密着させることができる。
また、同図(b)、(c)に示すように、素子10を実装部材20に収容する際、素子10の導電性接着材Nが塗布された部分が他方側に対して下がるように素子10を傾斜させ、素子10の下面の導電性接着材Nが実装部材20の底面に接触したタイミングで吸着ノズル25から素子10を開放するようにしてもよい。これにより、素子10を自重で沈み込ませ、素子10と実装部材20を密着させることができる。
このように本実施形態によれば、既存の供給ノズル(精密ノズル)61を用いても、素子10の塗布領域(電極11,12)のサイズに対して余剰な導電性接着材N(例えば、1回の塗布量の約4分の1の量(0.25cc程度)の導電性接着材N)を、素子10の外側に供給させることができる。従って、実装面上において塗布領域からはみ出した導電性接着材Nが互いに接触することを防止でき、電極11,12間のショートなどの不良の発生を防止できる。
一方、導電性接着材Nは塗布領域の略全面に供給されるため、十分な接着性を維持でき、素子10を安定して支持することが可能となる。さらに、余剰の導電性接着材Nが素子10と実装部材20の間に入り込み、さらに実装部材20の側面とも接触させることができるので、実装部材20に対して素子10を確実に接着させることができる。
ここで、図15を参照して、既知の供給ニードル70と本実施形態の精密ノズル61について更に説明する。同図は、供給ニードル70(同図(a))および精密ノズル61(同図(b))を用いて、本実施形態の素子10が実装される極小の実装部材20に導電性接着材Nを供給する様子を示す側面図である。
従来の技術においては、微小なパッケージ(実装部材20)に対して導電性接着材Nを供給する場合、吐出孔70A付近の外形状が細長の針形状である供給ニードル70を用いて、実装部材20の内壁(側壁および底面)に対して傾斜するように差し込んで塗布する方法が採用されていた(同図(a))。しかし、供給ニードル70はその細長の外形状ゆえに、強度を保つために吐出孔70Hの径を小さくするにも限界があった。つまり、現状では先端外形がテーパー状である精密ノズル61の方が外形状は大きくなるものの、吐出孔61Aの径を小さくすることが可能となっている。つまり、極小の実装部材20に対しては、供給ニードル70を斜めに差し込んだとしても微量な導電性接着材Nを供給することは非常に困難(不可能)となる。
一方で、先端外形がテーパー状である精密ノズル61は外形サイズが大きいため、極小の実装部材20に導電性接着材Nを供給する場合、精密ノズル1が実装部材20の側壁(側面)と干渉し、精密ノズル61を実装部材20内部の所定の塗布領域に近づけることは非常に困難である(同図(b))。
このように、本実施形態の素子10が実装されるような極小の実装部材20に対しては、供給ニードル70および精密ノズル61のいずれであっても導電性接着材Nを塗布することは非常に困難(あるいは不可能)といえる。
本実施形態では、実装部材20ではなく、素子10に直接、導電性接着材Nを供給するので、実装部材20と精密ノズル61とが干渉する問題は生じない。従って、先端外形のサイズが供給ニードル70に比べて大きい(一方で、吐出孔61Aは供給ニードル70のそれより小さい)供給ノズル(精密ノズル)61を採用できる。
なお、図16に示すように、本実施形態の供給ノズル61は、例えば外周部分に温度調節機構61Hを備えており、これにより、導電性接着材Nを常温(例えば、25℃程度)で保持することができる。温度調節機構61Hは例えば、ペルチェ素子を用いて加温/冷却を可能とした温度調節構であってもよいし、コイルなどによるヒーターと水流などによって加温/冷却を可能とした温度調節構であってもよい。
導電性接着材N(例えば、銀ペースト)は適量ずつ冷凍で保管され、使用時に解凍されて温度調節機構61Hによって常温に維持されて供給される。
また、供給ノズル(精密ノズル)61は、変形可能なチューブなどによって塗布装置6と接続されていてもよい。これにより、図11(b)に示すように供給ノズル61の先端が上方に向くようにチューブを変形して導電性接着材Nを供給することもできる。
以上、本実施形態の塗布装置(塗布ユニット)は、左右方向(X,Y方向)に移動して1つの素子に対して複数箇所(2箇所)に導電性接着材を塗布する場合を例に説明したが、例えば、第2実施形態の素子10の搬送経路上に、塗布装置を複数(2台)備えてもよい。この場合、第1の塗布装置によって第1の位置に塗布し、その後、素子を移動させて第2の塗布装置によって第2の位置に塗布する。このような構成によれば、素子10に対して供給ノズルを移動させる必要が無いので、高精度な位置合わせが可能となる。
なお、本実施形態において、素子10に塗布する導電性接着材の材料として導電ペーストを例示したが、これは特に限定されるものでない。例えば、後の加熱工程によって全て揮発するような化学材料でもよい。
また、繊維や砥石等によって形成される清掃面を有し、吸着ノズルの先端と当接して、付着した導電性接着材を定期的に拭き上げる清掃装置を備えても良い。
また、本発明の部品の搭載装置及び部品の搭載方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。