JP6171572B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

この発明は、低温起動時に燃料電池を暖機する燃料電池システムに関する。
燃料電池にカソードガス及びアノードガスを供給し、負荷に応じて燃料電池を発電させる燃料電池システムが知られている。この燃料電池については、一般的に70℃前後が発電に適した温度域とされている。そのため、燃料電池システムを起動してから発電に適した温度域に燃料電池を早く昇温させることが望ましい。
特許文献1には、燃料電池自身を発電させることで発生する自己発熱を利用して燃料電池の暖機時間を短くする燃料電池システムが開示されている。
特開2009−4243号公報
ところで、車両に搭載される燃料電池システムは、車両の使用環境によっては、例えばマイナス30℃の零下で起動される場合があり、この場合、現在開発中のシステムでは次のような不都合を生じる可能性を発明者らが見出した。
現在開発中のシステムでは、燃料電池に供給されるカソードガスの圧力を調整するための調圧弁をカソードガス排出通路に設け、この調圧弁については、燃料電池を冷却する冷却水の一部を利用して暖機を行っている。
このようなシステムにおいて、燃料電池の暖機が開始されると、発電に伴って生成水量が増加する。そして、生成水量が電解質膜で保水できる保水量を上回ると、電解質膜から溢れ出した生成水が、カソードガスと共にカソードガス排出通路へ排出される。このとき、カソードガス排出通路に設けられた調圧弁が未だに0℃以下の状態では、カソードガス排出通路に流れてきた生成水が調圧弁で凍結し、調圧弁を制御できなくなることが懸念される。
上記の問題は、特に、燃料電池から駆動モータへの発電が許可されて、燃料電池が多量に発電している状況で起こりやすい。このような状況では、燃料電池の発電量が増えるので、暖機が促進される一方、早期に生成水量が電解質膜の保水量を上回るため、冷却水によって暖機される調圧弁にとっては生成水が到達するまでの時間が短くなる。このため、調圧弁の温度が0℃を超えないうちに、生成水が排出通路に流れてきて調圧弁が凍結する可能性がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、零下起動時において燃料電池の排出通路に設けられる部品の凍結を防止する燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。
本発明による燃料電池システムは、燃料電池にアノードガスとカソードガスを供給すると共に負荷に応じて発電する。燃料電池システムは、前記燃料電池から排出されるいずれかのガスを通す排出通路に設けられ、前記燃料電池の状態を制御するための部品と、を含む。そして燃料電池システムは、前記燃料電池を冷却するための冷却水通路から分岐して前記部品を通り、前記冷却水通路を流れる冷却水によって前記部品を暖機する分岐通路と、前記燃料電池への要求電力に基づいて前記負荷を調整する負荷調整部と、を含む。さらに燃料電池システムは、前記燃料電池の暖機中に、前記部品の温度が氷点温度よりも低いときには、発電に伴う生成水量、又は、前記部品と前記燃料電池の温度差に基づいて前記負荷調整部が調整する負荷を制限する制限部と、を含むことを特徴とする。
まず、燃料電池の暖機中において、負荷に供給される発電電力が大きいときには、発熱量が多くなると共に発電に伴う生成水が多量に発生するため、早期に生成水量が電解質膜の保水量を上回る。その結果、排出通路に設けられた部品の暖機時間は短くなるので、部品の温度が0℃よりも低い状態で生成水が排出通路に排出されて部品が凍結する可能性がある。
本発明の態様によれば、排出通路に設けられた部品が暖機中に氷点温度よりも低いときには、燃料電池の生成水量、又は、燃料電池と部品との温度差の少なくとも一方をモニターする。このため、生成水量が電解質膜の保水量を早期に上回り、部品が氷点温度まで上昇する前に生成水が排出通路に流れてきて部品が凍結するという状況を適切に把握できる。
このような状況では、燃料電池システムの補機や駆動モータなどの負荷に対する発電電力の供給量を制限することにより、生成水の増加量や、冷却水による部品への放熱量などを調整できるので、上記の不都合を抑制することができる。すなわち、燃料電池の零下起動時において排出通路に設けられる部品の凍結を防止することができる。
本発明の実施形態、本発明の利点については、添付された図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における燃料電池システムの構成を示す図である。 図2は、コントローラーの機能構成を示すブロック図である。 図3は、スタック発電制限部の詳細を示すブロック図である。 図4は、燃料電池の保水量を示すマップ図である。 図5は、発電電流の上限値を示すマップ図である。 図6は、冷却水ポンプ制限部の詳細を示すブロック図である。 図7は、ポンプ回転数の下限値を示すマップを示す図である。 図8は、ヒーター制限部の詳細を示すブロック図である。 図9は、ヒーター発熱量の下限値を示すマップ図である。 図10は、暖機制限部による凍結防止手法を示す図である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態における燃料電池システム100の構成を示す図である。
燃料電池システム100は、燃料電池に対して外部から発電に必要な燃料ガスを供給し、負荷に応じて発電する電源システムである。本実施形態では、車両を駆動する駆動モータなどに電力を供給する。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック110と、カソードガス給排装置120と、アノードガス給排装置130と、スタック冷却装置140と、内部抵抗測定装置150と、コントローラー160と、を備える。なお、カソードガス給排装置120、アノードガス給排装置130、及びスタック冷却装置140は、燃料電池システム100の補機である。
燃料電池スタック110は、例えば数百V(ボルト)の電圧を発電する。燃料電池スタック110は、駆動モータや補機に接続される。燃料電池スタック110は、数百枚の燃料電池(電池セル)を積層したものである。
燃料電池は、アノード電極(燃料極)と、カソード電極(酸化剤極)と、アノード電極及びカソード電極で挟まれる電解質膜と、により構成される。燃料電池は、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)と、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)とを用いて電解質膜で電気化学反応(発電反応)を起こす。アノード電極及びカソード電極の両電極では、以下の電気化学反応が進行する。
アノード電極 : 2H2 → 4H+ + 4e- ・・・(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- + O2 → 2H2O ・・・(2)
燃料電池では、上記(1)及び(2)の電気化学反応によって起電力が生じると共に水が生成される。燃料電池は互いに直列に接続されているため、燃料電池スタック110では、各燃料電池に生じるセル電圧の総和が出力電圧となる。
燃料電池スタック110は、カソードガス給排装置120からカソードガスが供給され、アノードガス給排装置130からアノードガスが供給される。
カソードガス給排装置120は、燃料電池スタック110にカソードガスを供給すると共に、燃料電池スタック110から排出されるカソードオフガスを大気に排出する装置である。
カソードガス給排装置120は、カソードガス供給通路21と、フィルター22と、カソードコンプレッサー23と、カソード圧力センサー24と、カソードガス排出通路25と、カソード調圧弁26と、を備える。
カソードガス供給通路21は、燃料電池スタック110にカソードガスを供給するための通路である。カソードガス供給通路21の一端は、外気から酸素を取り込む通路と連通し、他端はカソードガス入口孔121に接続される。
フィルター22は、カソードガス供給通路21に設けられ、カソードガスに含まれる異物を除去する。
カソードコンプレッサー23は、フィルター22よりも下流に位置するカソードガス供給通路21に設けられる。カソードコンプレッサー23は、外気からカソードガス供給通路21に酸素を取り込み、カソードガスとして燃料電池スタック110に供給する。
カソード圧力センサー24は、カソードコンプレッサー23とカソードガス入口孔121との間のカソードガス供給通路21に設けられる。カソード圧力センサー24は、カソードガスの圧力を検出する。カソード圧力センサー24は、検出した値をコントローラー160に出力する。カソード圧力センサー24の検出値は、例えばカソード調圧弁26の開度の調整に用いられる。
カソードガス排出通路25は、燃料電池スタック110からカソードオフガスを排出するための通路である。カソードガス排出通路25の一端はカソードガス出口孔122に接続され、他端は開口している。
カソード調圧弁26は、カソードガス排出通路25に設けられる。カソード調圧弁26は、コントローラー160によって開閉制御される。この開閉制御によって、カソード調圧弁26よりも上流側の通路を流れるカソードガスの圧力が所望の圧力に調節される。
アノードガス給排装置130は、燃料電池スタック110にアノードガスを供給すると共に、燃料電池スタック110から排出されるアノードオフガスに含まれる不純物を除去して燃料電池スタック110に循環させる装置である。
アノードガス給排装置130は、高圧タンク31と、アノードガス供給通路32と、アノード調圧弁33と、アノード圧力センサー34と、を備える。さらにアノードガス給排装置130は、アノードガス循環通路35と、気液分離装置36と、パージ弁37及びパージ弁38と、循環ポンプ39と、排出通路351及び排出通路352と、を備える。
高圧タンク31は、燃料電池スタック110に供給するアノードガスを高圧状態に保って貯蔵する。
アノードガス供給通路32は、高圧タンク31から燃料電池スタック110にアノードガスを供給するための通路である。アノードガス供給通路32の一端は、高圧タンク31に接続され、他端は、アノードガス入口孔131に接続される。
アノード調圧弁33は、アノードガス供給通路32に設けられる。アノード調圧弁33は、コントローラー160によって開閉制御される。この開閉制御によって、アノードガス供給通路32から燃料電池スタック110に供給するアノードガスの圧力が調節される。
アノード圧力センサー34は、アノード調圧弁33とアノードガス入口孔131との間のアノードガス供給通路32に設けられる。アノード圧力センサー34は、アノードガスの圧力を検出する。アノード圧力センサー34は、検出した値をコントローラー160に出力する。アノード圧力センサー34の検出値は、例えばアノード調圧弁33の開度の調整に用いられる。
アノードガス循環通路35は、燃料電池スタック110から排出されるアノードガスをアノードガス供給通路32に循環させる通路である。アノードガス循環通路35の一端は、燃料電池スタック110のアノードガス出口孔132に接続され、他端は、アノード調圧弁33とアノード圧力センサー34との間のアノードガス供給通路32に合流する。
循環ポンプ39は、アノードガス循環通路35に設けられる。循環ポンプ39は、気液分離装置36を通過したアノードガスを燃料電池スタック110に循環させる。
気液分離装置36は、アノードガス循環通路35に設けられる。アノードガス循環通路35には、燃料電池スタック110からアノードオフガスが排出される。アノードオフガスには、発電反応に使用されなかった余剰のアノードガスと共に、カソードガスに含まれる不活性ガスの窒素や、発電反応によって生成される水などの不純物が含まれている。
気液分離装置36は、アノードオフガスに含まれる水や窒素ガスなどの不純物を余剰のアノードガスから分離する。気液分離装置36は、例えば、アノードオフガスを一時的に蓄えるバッファタンクであり、アノードオフガス中の水蒸気を凝縮して液水にする。気液分離装置36で不純物が除去されたアノードガスは、アノードガス循環通路35を通り再び燃料電池スタック110に供給される。また、気液分離装置36の下部には排出通路351が設けられている。
排出通路351は、気液分離装置36によって分離された不純物を排出するための通路である。排出通路351の一端は、気液分離装置36の排出孔に接続され、他端は、カソード調圧弁26よりも下流のカソードガス排出通路25に合流する。
パージ弁37は、排出通路351に設けられる。パージ弁37は、コントローラー160によって開閉制御される。この開閉制御によって、窒素ガスや液水などの不純物がカソードガス排出通路25へ排出される。
排出通路352は、循環ポンプ39の下流でアノードガス循環通路35から分岐して、カソード調圧弁26よりも下流のカソードガス排出通路25と合流する。
パージ弁38は、排出通路352に設けられる。パージ弁38は、アノードガスをカソードガス排出通路25へ排出する。パージ弁38は、コントローラー160によって開閉制御される。
スタック冷却装置140は、冷媒である冷却水を用いて燃料電池スタック110を冷却して燃料電池スタック110を発電に適した温度に調整する。また、スタック冷却装置140は、燃料電池システム100が零下で起動されたときには、冷却水を加熱して燃料電池スタック110を暖機する。
さらにスタック冷却装置140は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38についても冷却水を利用して暖機する。なお、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38のことを以下では「排出バルブ」ともいう。
スタック冷却装置140は、冷却水循環通路41と、ラジエーター42と、バイパス通路43と、サーモスタット44と、冷却水ポンプ45と、ヒーター46と、水温センサー47と、水温センサー48と、分岐通路51と、水温センサー52と、を備える。
冷却水循環通路41は、燃料電池スタック110に冷却水を循環させる通路である。
ラジエーター42は、冷却水循環通路41に設けられる。ラジエーター42は、燃料電池スタック110で温められた冷却水を冷却する。
バイパス通路43は、ラジエーター42をバイパスする通路である。バイパス通路43の一端は、冷却水循環通路41に接続され、他端は、サーモスタット44に接続される。
サーモスタット44は、バイパス通路43が冷却水循環通路41に合流する部分に設けられる。サーモスタット44は開閉弁である。サーモスタット44は、内部を流れる冷却水の温度によって自動的に開閉する。
例えば、サーモスタット44は、内部を流れる冷却水の温度が所定の開弁温度よりも低いときには閉じた状態となり、バイパス通路43を経由してきた冷却水のみを燃料電池スタック110に供給する。これにより、燃料電池スタック110には相対的に高温の冷却水が流れる。
一方、サーモスタット44は、内部を流れる冷却水の温度が開弁温度以上になると、徐々に開き始める。そしてサーモスタット44は、バイパス通路43を経由してきた冷却水と、ラジエーター42を経由してきた冷却水と、を内部で混合して燃料電池スタック110に供給する。これにより、燃料電池スタック110には相対的に低温の冷却水が流れる。
冷却水ポンプ45は、サーモスタット44と燃料電池スタック110の入口孔との間の冷却水循環通路41に設けられる。冷却水ポンプ45は、燃料電池スタック110を流れる冷却水を循環させる。冷却水ポンプ45の吐出流量は、コントローラー160によって制御される。
ヒーター46は、サーモスタット44と冷却水ポンプ45との間の冷却水循環通路41に設けられる。ヒーター46は、燃料電池スタック110の暖機時に通電され、冷却水を温める。ヒーター46の発熱量は、燃料電池スタック110からの供給電力が大きくなるほど多くなる。ヒーター46としては、例えばPTCヒーターが使用される。
水温センサー47は、燃料電池スタック110の流入口近傍の冷却水循環通路41に設けられる。水温センサー47は、燃料電池スタック110に流入する冷却水の温度(以下「スタック入口水温」という。)を検出する。水温センサー47は、検出したスタック入口水温をコントローラー160に出力する。
水温センサー48は、燃料電池スタック110の流出口付近の冷却水循環通路41に設けられる。水温センサー48は、燃料電池スタック110から排出された冷却水の温度(以下「スタック出口水温」という。)を検出する。水温センサー48は、検出したスタック出口温度をコントローラー160に出力する。
分岐通路51は、冷却水ポンプ45の下流の冷却水循環通路41から分岐して、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38をそれぞれ通過し、冷却水ポンプ45の上流の冷却水循環通路41に合流する。カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38は、燃料電池スタック110の発電状態を良好に維持するために用いられる部品である。
分岐通路51によってパージ弁37及びパージ弁38よりも先にカソード調圧弁26に冷却水を通過させる理由は、発電に伴う生成水はカソード側で発生するので、生成水は、カソードガス排出通路25から先に排出されやすい。そのため、ヒーター46で加熱された冷却水をカソード調圧弁26から先に通すことにより、パージ弁37及びパージ弁38よりもカソード調圧弁26の暖機を優先して行うことができる。
水温センサー52は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の下流の分岐通路51に設けられる。水温センサー52は、パージ弁38を通過した冷却水の温度(以下「パージ弁出口水温」という。)を検出する。水温センサー52は、検出したパージ弁出口水温をコントローラー160に出力する。
内部抵抗測定装置150は、燃料電池スタック110の湿潤度を推定するために、燃料電池スタック110の内部抵抗(インピーダンス)を測定する。電解質膜の湿潤度が小さいほど(電解質膜中の水分が少なく乾き気味であるほど)インピーダンスが大きくなり、電解質膜の湿潤度が大きいほど(電解質膜中の水分が多く濡れ気味であるほど)インピーダンスが小さくなる。
内部抵抗測定装置150は、例えば、燃料電池スタック110の内部抵抗(HFR:High Frequency Resistance)を測定する。内部抵抗測定装置150は、燃料電池スタック110の電圧端子119に交流電流を供給し、交流電流によって電圧端子119に生じる電圧の振幅を検出する。内部抵抗測定装置150は、検出した振幅を交流電流の振幅で除算して内部抵抗値を算出する。内部抵抗測定装置150は、内部抵抗値をコントローラー160に出力する。
コントローラー160は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピューターで構成される。
コントローラー160には、水温センサー47からスタック入口水温が入力され、水温センサー48からスタック出口水温が入力され、内部抵抗測定装置150から燃料電池スタック110の内部抵抗値が入力される。
コントローラー160は、スタック入口水温、スタック出口水温や、内部抵抗値などの測定値に基づいて、カソードコンプレッサー23、カソード調圧弁26、アノード調圧弁33、パージ弁37及びパージ弁38を制御する。これにより、燃料電池スタック110に供給するカソードガス及びアノードガスの流量が発電要求に応じて調整できるので、燃料電池スタック110の発電状態が良好に維持される。
またコントローラー160は、燃料電池システム100の起動時においては、燃料電池スタック110を発電に適した発電温度(例えば60℃)まで暖機する制御(以下「暖機促進運転」という)を実行する。
暖機促進運転では、コントローラー160は、燃料電池スタック110を補機に電気的に接続し、補機の駆動に必要な電力を燃料電池スタック110で発電させる。これにより、発電に伴う発熱によって燃料電池スタック110自体が暖機される。燃料電池スタック110で発電した電力は、カソードコンプレッサー23、冷却水ポンプ45や、ヒーター46などの補機に供給される。
さらに、コントローラー160は、冷却水ポンプ45の回転数を可変範囲の上限値に設定すると共に、ヒーター46の発熱量を可変範囲の上限値に設定する。これにより、冷却水によって燃料電池スタック110が暖機される。また、冷却水ポンプ45及びヒーター46で消費される発電電力が大きくなるため、燃料電池スタック110の自己発熱量が増加する。このため、燃料電池スタック110を起動してから暖機が完了するまでの暖機時間を短縮することができる。
このような燃料電池システムでは、燃料電池の発電によって生成される生成水が、電解質膜で保水できる保水量を上回ると、電解質膜から溢れ出した生成水は、カソードガス排出通路やアノードガス循環通路の排出通路に排出される。このとき、カソード調圧弁やパージ弁が未だに0℃以下の状態では、排出された生成水がカソード調圧弁やパージ弁で凍結し、コントローラーがカソード調圧弁やパージ弁を制御できなくなることが懸念される。
上記の問題は、特に、燃料電池スタックから駆動モータへの発電が許可されて、燃料電池スタックで多量に発電している状況で起こりやすい。
このような状況では、燃料電池スタックの発熱量が多くなるため、燃料電池スタックの暖機時間を短縮できるものの、発電に伴う生成水の増加量が多くなるので、早期に生成水量が電解質膜の保水量を上回ることになる。その結果、カソード調圧弁やパージ弁に生成水の到達する時期が早まる。
カソード調圧弁やパージ弁は、冷却水によって徐々に温められるので、生成水の到達する時期が早まると、カソード調圧弁やパージ弁の温度が0℃に達していない状態で生成水が到達して凍結することが懸念される。
そこで、本発明では、排出通路に設けられたカソード調圧弁やパージ弁などの排出バルブの温度と、燃料電池スタックの温度又は生成水量と、をモニターし、必要に応じて燃料電池スタックから負荷に供給される電力を制限する。
図2は、本発明の実施形態におけるコントローラー160の機能構成を示す図である。
暖機制御部161は、零下起動時に、カソードガス給排装置120、アノードガス給排装置130、及びスタック冷却装置140を制御して、燃料電池スタック110を暖機する。
暖機制御部161は、圧力センサー24及び34と、水温センサー47及び48と、水温センサー52と、温度センサー261、371及び381とを用いて、燃料電池スタック110の発電状態、及び、冷却水の温度状態を監視する。そして暖機制御部161は、カソードコンプレッサー23、カソード調圧弁26、アノード調圧弁33、パージ弁37及びパージ弁38、サーモスタット44、冷却水ポンプ45及びヒーター46を制御する。
暖機制御部161は、バルブ凍結防止用暖機制限部(以下、単に「暖機制限部」という)200と、負荷調整部300と、指令部400と、を備える。
暖機制限部200は、排出バルブの凍結対策として、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度が、氷点温度よりも低い場合には、燃料電池スタック110から負荷に供給する全体の発電電力を制限する。これにより、単位時間あたりの生成水の増加量を抑制する。なお、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度を以下では「排出バルブ温度」という。
例えば、暖機制限部200は、内部抵抗測定装置150で測定された内部抵抗値と、燃料電池スタック110から駆動モータ及び補機などの負荷へ出力される出力電流と、に基づいて、燃料電池スタック110の生成水量を推定する。そして暖機制限部200は、生成水量に基づいて、燃料電池スタック110の発電電流の上限値を凍結防止用の制限値として負荷調整部300に設定する。
また、暖機制限部200は、排出バルブの凍結対策として、排出バルブ温度が氷点温度よりも低い場合には、冷却水ポンプ45及びヒーター46への供給電力を高く制限する。
例えば、暖機制限部200は、燃料電池スタック110の温度と排出バルブ温度との温度差に基づいて、冷却水ポンプ45及びヒーター46への供給電力の下限値を、凍結防止用の制限値として負荷調整部300に設定する。これにより、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機を促進する。
本実施形態では、燃料電池スタック110の温度として、スタック入口水温及びスタック出口水温の平均値が用いられ、排出バルブ温度として、水温センサー52で検出されるパージ弁出口水温が用いられる。
これにより、燃料電池スタック110、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38に温度センサーを設けることなく、スタック温度と排出バルブ温度との温度差を簡易に推定することができる。
さらにパージ弁出口水温は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の実際の温度よりも低いので、パージ弁出口水温を排出バルブ温度として用いることにより、安全サイドで凍結対策を実施することができる。
また、水温センサー52は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38のうち最も温度上昇が遅いパージ弁38近傍であって、パージ弁38よりも下流側の分岐通路51に設けられている。このため、全ての排出バルブが0℃に達するまで確実に凍結対策を実施することができる。
負荷調整部300は、暖機に必要な発電電力の要求値が、凍結対策用の制限値を超えないように、駆動モータ、カソードコンプレッサー23、冷却水ポンプ45及びヒーター46のそれぞれに対する供給電力の目標値を調整する。なお、要求値は、零下時の燃料電池スタック110の基準特性(IV特性)によって予め定められた値である。
指令部400は、負荷調整部300で調整された目標値に基づいて、カソードガス給排装置120、アノードガス給排装置130、及びスタック冷却装置140を駆動する。
次に暖機制御部161の詳細構成について図3から図5までの図面を参照して説明する。図3から図5には、それぞれ、燃料電池スタック110の発電電流、冷却水ポンプ45の回転数、及び、ヒーター46の発熱量を制限する構成が示される。
図3は、暖機制限部200を構成するスタック発電制限部201の詳細を示す機能ブロック図である。図3では、スタック発電制限部201の他に、負荷調整部300を構成する目標電流設定部301及び暖機要求電流演算部310が示されている。
スタック発電制限部201は、排出バルブ温度が氷点温度よりも低い場合には、排出バルブの凍結防止のために、燃料電池スタック110の発電電流の上限値を演算する。
スタック発電制限部201は、水温センサー52からのパージ弁出口水温、水温センサー47からのスタック入口水温、及び、水温センサー48からのスタック出口水温をそれぞれ取得する。そしてスタック発電制限部201は、スタック入口水温とスタック出口水温との平均値をスタック温度として算出する。また、スタック発電制限部201は、内部抵抗測定装置150から内部抵抗値を取得する。
また、スタック発電制限部201には、燃料電池スタック110の前回停止時に測定された内部抵抗値及びスタック温度が共に保持されている。一般に零下起動時では、燃料電池スタック110の凍結などが原因で、燃料電池の保水量と内部抵抗値との相関関係にズレが生じるため、実際の内部抵抗値よりも測定値が高くなることがある。このため、保水量の推定誤差が大きくなる。
一方、燃料電池システム100の停止時には、通常、スタック温度は発電に適した温度付近に保たれているため、相関関係のズレが比較的小さいと考えられる。そのため、前回停止時のスタック温度及び内部抵抗値を用いることで、起動時の保水量の推定精度を高めることができる。
スタック発電制限部201は、生成水量推定部210と、上限電流演算部221と、制限解除情報保持部228と、制限切替部231と、を備える。
生成水量推定部210は、電解質膜の起動時の保水量と、発電に伴う発電生成水量とを加算して、電解質膜全体の積算生成水量を推定する。
生成水量推定部210は、起動時保水量演算部211と、発電生成水量演算部212と、演算周期乗算部213と、生成水量積算部214と、生成水量保持部215と、を備える。
起動時保水量演算部211は、車両のイグニッションキーがONに設定されて燃料電池システム100が起動命令を受けると、前回停止時のスタック温度及び内部抵抗値に基づいて、電解質膜に含まれている生成水量、すなわち起動時の保水量を算出する。
本実施形態では、起動時保水量演算部211には、燃料電池スタック110のスタック温度ごとに、燃料電池スタック110の内部抵抗値と保水量との関係を示す保水量マップが予め記憶されている。保水量マップについては図4を参照して後述する。
起動時保水量演算部211は、起動命令を受けると、図4に示した保水量マップを参照して、前回停止時のスタック温度と内部抵抗値とで特定される保水量を、生成水量保持部215に生成水量の初期値として記録する。
なお、図4に示した保水量マップの代わりに、スタック温度に応じて内部抵抗値を補正する補正データと、内部抵抗値と保水量との関係を示す保水量データと、を別々に起動時保水量演算部211に記録しておいても良い。そして起動時保水量演算部211は、起動時に補正データを参照して前回停止時の内部抵抗値を補正し、補正後の内部抵抗値によって保水量データから前回停止時の保水量を取得する。
発電生成水量演算部212は、燃料電池スタック110の発電状態に基づいて、単位時間あたりの発電生成水量を演算する。
本実施形態では発電生成水量演算部212は、例えば100ms(ミリセカンド)の演算周期ごとに、燃料電池スタック110の出力電流を取得する。なお、燃料電池スタック110の出力電流としては、例えば、燃料電池スタック110に設けられた電流センサーで検出された検出値を用いても良く、あるいは前回設定した発電電流の目標値を用いても良い。
発電生成水量演算部212は、次式のとおり、出力電流I[A]と、ファラデー定数F[C/mol]と、反応物1モル当たりに生成(消費)する電子の数nと、電池セルの枚数Nc[cell]と、水の分子量Mw[g/mol]とで、発電生成水量Wv[g/sec]を演算する。
Figure 0006171572
なお、ファラデー定数F[C/mol]、電子の数n、電池セルの枚数Nc[cell]、及び、水の分子量Mw[g/mol]は、あらかじめ発電生成水量演算部212に記憶されている。
発電生成水量演算部212は、単位時間あたりの発電生成水量Wvを演算周期乗算部213に出力する。
演算周期乗算部213は、発電生成水量Wvに演算周期の時間Δtを乗算して、演算周期中に生成される発電生成水量を生成水量積算部214に算出する。
生成水量積算部214は、生成水量保持部215に保持された生成水量に、演算周期乗算部213からの発電生成水量を積算して積算生成水量を算出する。また、積算生成水量は、上限電流演算部221に供給されると共に生成水量保持部215に記録される。
生成水量保持部215には、演算周期ごとに、生成水量積算部112による前回の演算結果が保持される。すなわち、生成水量保持部215には1周期前の積算生成水量が保持されている。
上記以外の方法でも、例えば起動時保水量演算部211が、図4に示した保水量マップを参照して、演算周期Δtごとに取得したスタック温度及び内部抵抗値で特定される保水量を積算生成水量として算出しても良い。
上限電流演算部221は、排出バルブの凍結防止のために燃料電池スタック110の発電電流を制限する制限値を演算する。具体的には上限電流演算部221は、生成水量積算部214からの積算生成水量と、水温センサー48で検出されるスタック出口水温と、に基づいて、発電電流の上限値を算出する。
上限電流演算部221には、積算生成水量ごとに、スタック出口水温に応じた発電電流の上限値を示す上限電流マップが、あらかじめ記憶されている。上限電流マップの詳細については図5を参照して後述する。
上限電流演算部221は、積算生成水量が多くなるほど、電解質膜で保水できる保水量が少なくなるため、発電電流の上限値を小さく設定する。これにより、発電に伴う単位時間あたりの生成水量が減少するので、電解質膜から生成水が溢れ出すまでの時間を遅らせることができる。
さらに上限電流演算部221は、スタック出口水温が高くなるほど、積算生成水量が多くなるため、発電電流の上限値を小さく設定する。これによっても、単位時間あたりの生成水量を減らして電解質膜から生成水が溢れ出すまでの時間を遅らせることができる。
上限電流演算部221は、演算周期ごとに、図5に示した上限電流マップを参照して積算生成水量とスタック出口水温とで特定される発電電流の上限値を制限切替部231に出力する。
制限解除情報保持部228は、発電電流の制限を解除するための解除値を保持する。解除値は、暖機要求電流演算部310から出力される値よりも常に大きい値が設定される。例えば、解除値は、無限大に設定される。
制限切替部231は、水温センサー52で検出されたパージ弁出口水温、すなわち排出バルブ温度に基づいて、上限電流演算部221から出力される発電電流の上限値を目標電流設定部301に設定する。
制限切替部231は、パージ弁出口水温が0℃(もしくは氷点温度)以下である場合には、上限電流演算部221から発電電流の上限値を目標電流設定部301に出力する。一方、制限切替部231は、パージ弁出口水温が0℃よりも高い場合には、出力値を制限解除情報保持部228に保持された解除値に切り替える。
暖機要求電流演算部310は、暖機に必要な燃料電池スタック110に対する要求電力に基づいて、駆動モータを動作させるのに必要な発電電流の要求値を目標電流設定部301に出力する。
目標電流設定部301は、暖機要求電流演算部310からの要求値と、制限切替部231から出力される制限値と、のうち小さい方の値を目標電流として指令部400に設定する。
目標電流設定部301は、パージ弁出口水温が0℃よりも低い場合には、制限切替部231からの発電電流の上限値と、要求値とのうち小さい方の値を選択し、選択した値を指令部400に出力する。
すなわち、目標電流設定部301は、パージ弁出口水温が0℃よりも低い温度環境では、上限電流演算部221で演算された上限値を超えないように燃料電池スタック110の目標電流を制限する。
一方、目標電流設定部301は、排出バルブ温度が0℃以上である場合には、制限切替部231から出力される解除値よりも小さな要求値を選択し、発電電流の要求値を指令部400に出力する。すなわち、排出バルブ温度が0℃よりも高い温度環境では、目標電流の制限が解除される。
このように、スタック発電制限部201は、排出バルブ温度が0℃よりも低い場合には、積算生成水量に応じて発電電流の上限値を小さく設定する。
このように、排出バルブ温度が0℃を超えるまでは、積算生成水量に応じて単位時間あたりの生成水量を減らすことにより、燃料電池スタック110から生成水が排出される時期を、排出バルブ温度が0℃を超えるまで遅らせることができる。よって、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38などの部品の凍結を防止することができる。
図4は、起動時保水量演算部211に保持される保水量マップを示す図である。図4では、横軸が燃料電池スタック110の内部抵抗値であり、縦軸が燃料電池スタック110の保水量である。
保水量マップには、スタック出口水温ごとに、燃料電池スタック110の内部抵抗値と保水量とが互いに対応付けられている。
保水量マップでは、内部抵抗値が大きくなるほど、保水量は小さくなる。また、同一の内部抵抗値において、スタック出口水温が低いほど、保水量は大きくなる。燃料電池スタック110の温度が低くなると、凍結によって内部抵抗測定装置150の測定値が本来の内部抵抗よりも大きく見積もられてしまう。この対策として保水量マップには、スタック出口水温ごとに、内部抵抗値と保水量との関係が示されている。
図5は、上限電流演算部221に保持される上限電流マップを示す図である。図5では、横軸が燃料電池スタック110のスタック出口水温Tであり、縦軸が発電電流の上限値である。最大値MAXは、暖機に必要な発電電流であり、最小値MINは、ドライアウトなどのシステム異常を防止するために定められている。
上限電流マップには、燃料電池スタック110の生成水量Wごとに、スタック出口水温と発電電流の上限値とが互いに対応付けられている。発電電流の上限値は、例えば、実験データに基づいて設定される。ここでは、生成水量W1〜W3のそれぞれについて、水タック出口水温と発電電流の上限値との関係が示されている。
上限電流マップでは、スタック出口温度が高くなるほど、発電電流の上限値は小さくなる。また、同一のスタック出口水温において、生成水量が多くなるほど、発電電流の上限値が低くなる。
次に冷却水ポンプ45の回転数の下限値を高く制限して排出バルブの凍結を防止する例について説明する。
図6は、暖機制限部200を構成する冷却水ポンプ制限部202の詳細を示す機能ブロック図である。図6では、冷却水ポンプ制限部202の他に、負荷調整部300を構成する目標回転数設定部302及び暖機要求回転数演算部320が示されている。
冷却水ポンプ制限部202は、排出バルブの凍結防止のために冷却水ポンプ45の回転数の下限値を演算する。
冷却水ポンプ制限部202は、水温センサー48からスタック出口水温を取得し、水温センサー52からパージ弁出口水温を排出バルブ温度として取得する。
冷却水ポンプ制限部202は、温度差算出部216と、下限回転数演算部222と、制限解除情報保持部229と、制限切替部232と、を備える。
温度差算出部216は、スタック出口水温からパージ弁出口水温を減算して温度差を算出する。温度差算出部216は、算出した温度差を下限回転数演算部222に出力する。
下限回転数演算部222は、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差に応じて、冷却水ポンプ45の回転数を制限する下限値を演算する。
本実施形態では、下限回転数演算部222には、ポンプ回転数マップがあらかじめ記憶されている。ポンプ回転数マップには、スタック出口水温ごとに、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差と、ポンプ回転数の下限値との関係が示されている。ポンプ回転数マップについては図7を参照して後述する。
下限回転数演算部222は、温度差算出部216で算出された温度差を取得すると、ポンプ回転数マップを参照して、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差とパージ弁出口水温とで特定されるポンプ回転数の下限値を算出する。
下限回転数演算部222は、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差が大きくなるほど、冷却水から排出バルブへの放熱量が高くなるため、ポンプ回転数の下限値を大きくする。
これにより、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が促進されるので、燃料電池スタック110から生成水が排出される前に、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度を0℃に到達させることが可能になる。
また、下限回転数演算部222は、同一の温度差において、スタック出口水温が高いほど、冷却水からカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38への放熱量が高くなるため、ポンプ回転数の下限値を大きくする。
これによっても、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が促進されるので、燃料電池スタック110から生成水が排出される前に、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度を0℃に到達させることが可能になる。
下限回転数演算部222は、演算周期ごとに、ポンプ回転数マップを参照してスタック温度及び排出バルブ温度の温度差とスタック出口水温とで特定されるポンプ回転数の下限値を制限切替部232に出力する。
制限解除情報保持部229は、ポンプ回転数の制限を解除するための解除値を保持する。解除値は、暖機要求回転数演算部320から出力される値よりも常に小さい値に設定される。例えば、解除値は、0(ゼロ)に設定される。
制限切替部232は、水温センサー52で検出されたパージ弁出口水温、すなわち排出バルブ温度に基づいて、下限回転数演算部222から出力されるポンプ回転数の下限値を目標回転数設定部302に設定する。
制限切替部232は、排出バルブ温度が0℃以下である場合には、下限回転数演算部222からポンプ回転数の下限値を目標回転数設定部302に出力する。一方、制限切替部232は、排出バルブ温度が0℃よりも高い場合には、制限解除情報保持部229に保持された解除値に切り替える。
暖機要求回転数演算部320は、燃料電池スタック110に対する要求電力に基づいて、冷却水ポンプ45を駆動するのに必要なポンプ回転数の要求値を目標回転数設定部302に出力する。
目標回転数設定部302は、暖機要求回転数演算部320から出力される要求値と、制限切替部232から出力される制限値と、のうち小さい方の値を目標回転数として指令部400に設定する。
目標回転数設定部302は、パージ弁出口水温が0℃よりも低い場合には、制限切替部232からのポンプ回転数の下限値と要求値とのうち小さい方の値を選択し、選択した値を指令部400に出力する。すなわち、目標回転数設定部302は、排出バルブ温度が0℃よりも低い温度環境では、下限回転数演算部222で演算された下限値よりも低くならないように冷却水ポンプ45の目標回転数を高く制限する。
一方、目標回転数設定部302は、排出バルブ温度が0℃以上である場合には、制限切替部232から出力される解除値よりも大きな要求値を選択し、その要求値を指令部400に出力する。すなわち、排出バルブ温度が0℃よりも高い温度環境では、冷却水ポンプ45に対する制限が解除される。
このように冷却水ポンプ制限部202は、排出バルブ温度が0℃よりも低い場合には、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差に応じてポンプ回転数の下限値を小さくする。このため、排出バルブ温度が0℃を超えるまでは、冷却水から排出バルブへの放熱量が大きくなるほど、冷却水ポンプ45の回転数を高くする。
これにより、パージ弁出口水温が0℃に到達する時期を早めることができる。よって、燃料電池スタック110から生成水が排出される前にカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が完了するのでこれらの部品の凍結を防止することができる。
図7は、下限回転数演算部222に保持されるポンプ回転数マップを示す図である。図7では、横軸がスタック出口水温とパージ弁出口水温との温度差ΔTであり、縦軸が冷却水ポンプ45の回転数の下限値である。
ポンプ回転数マップには、スタック出口水温Tごとに、温度差ΔTとポンプ回転数の下限値が互いに対応付けられている。ポンプ回転数の下限値は、例えば、実験データに基づいて設定される。ここでは、スタック出口水温T1及びT3のそれぞれについて温度差ΔTとポンプ回転数の下限値との関係が示されている。
ポンプ回転数マップでは、温度差ΔTが大きくなるほど、ポンプ回転数の下限値は小さくなる。また、同一の温度差ΔT1において、スタック出口水温Tが高くなるほど、ポンプ回転数の下限値は大きくなる。
次にヒーター46の発熱量の下限値を高く制限して排出バルブの凍結を防止する例について説明する。
図8は、暖機制限部200を構成するヒーター制限部203の詳細を示す機能ブロック図である。図8では、ヒーター制限部203の他に、負荷調整部300を構成する目標発熱量設定部303及び暖機要求発熱量演算部330が示されている。
ヒーター制限部203は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の凍結防止のために、ヒーター46の発熱量の下限値を演算する。
ヒーター制限部203は、図6に示した冷却水ポンプ制限部202と同様に、スタック出口水温とパージ弁出口水温をそれぞれ取得する。
ヒーター制限部203は、温度差算出部217と、下限発熱量演算部223と、制限解除情報保持部229と、制限切替部233と、を備える。
温度差算出部217は、スタック出口水温からパージ弁出口水温を減算して温度差を算出する。温度差算出部217は、算出した温度差を下限発熱量演算部223に出力する。
下限発熱量演算部223は、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差に応じて、ヒーター46の発熱量を制限する下限値を演算する。
本実施形態では、下限発熱量演算部223には、ヒーター発熱量マップがあらかじめ記憶されている。ヒーター発熱量マップには、スタック温度ごとに、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差と、ヒーター発熱量の下限値との関係が示されている。ヒーター発熱量マップについては図9を参照して後述する。
下限発熱量演算部223は、温度差算出部217で算出された温度差を取得すると、ヒーター発熱量マップを参照して、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差とスタック出口水温とで特定される発熱量の下限値を算出する。
下限発熱量演算部223は、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差が大きくなるほど、冷却水から排出バルブへの放熱量が高くなるため、発熱量の下限値を大きく設定する。
これにより、冷却水によるカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が促進されるので、燃料電池スタック110から生成水が排出される前に、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度を0℃に到達させることが可能になる。
さらに下限発熱量演算部223は、同一の温度差においてスタック出口水温が高くなるほど、冷却水から排出バルブへの放熱量が高くなるため、ヒーター発熱量の下限値を大きくする。
これによっても、冷却水によるカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が促進されるので、燃料電池スタック110から生成水が排出される前に、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の温度を0℃に到達させることが可能になる。
下限発熱量演算部223は、演算周期ごとに、ヒーター発熱量マップを参照してスタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差とスタック出口水温とで特定される発熱量の下限値を制限切替部233に出力する。
制限解除情報保持部229は、ヒーター46の発熱量の制限を解除するための解除値を保持する。解除値は、暖機要求発熱量演算部330から出力される値よりも常に小さい値に設定される。例えば、解除値は、0(ゼロ)に設定される。
制限切替部233は、水温センサー52で検出されたパージ弁出口水温、すなわち排出バルブ温度に基づいて、下限発熱量演算部223から出力される発熱量の下限値を目標発熱量設定部303に設定する。
制限切替部233は、排出バルブ温度が0℃以下である場合には、下限発熱量演算部223から発熱量の下限値を目標回転数設定部302に出力する。一方、制限切替部232は、排出バルブ温度が0℃よりも高い場合には、出力値を制限解除情報保持部229に保持された解除値に切り替える。
暖機要求発熱量演算部330は、燃料電池スタック110に対する要求電力に基づいて、冷却水を加熱するのに必要なヒーター46の発熱量の要求値を目標発熱量設定部303に出力する。
目標発熱量設定部303は、暖機要求発熱量演算部330から出力される要求値と、制限切替部233から出力される制限値と、のうち小さい方の値を目標発熱量として指令部400に設定する。
目標発熱量設定部303は、排出バルブ温度が0℃よりも低い場合には、制限切替部233からのヒーター発熱量の下限値と要求値とのうち小さい方の値を選択し、選択した値を指令部400に出力する。すなわち、目標発熱量設定部303は、排出バルブ温度が0℃よりも低い温度環境では、下限発熱量演算部223で演算された下限値よりも低くならないようにヒーター46の目標発熱量を高く制限する。
一方、目標発熱量設定部303は、排出バルブ温度が0℃以上である場合には、制限切替部233から出力される解除値よりも大きな要求値を選択し、ヒーター発熱量の要求値を指令部400に出力する。すなわち、排出バルブ温度が0℃よりも高い温度環境では、ヒーター46に対する制限が解除される。
このようにヒーター制限部203は、排出バルブ温度が0℃よりも低い場合には、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差に応じてヒーター発熱量の下限値を小さく設定する。このため、排出バルブ温度が0℃を超えるまでは、冷却水から排出バルブへの放熱量が大きくなるほど、ヒーター46の発熱量を高くする。
これにより、パージ弁出口水温が0℃に到達する時期を早めることができる。よって、燃料電池スタック110から生成水が排出される前にカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が完了するのでこれらの部品の凍結を防止することができる。
図9は、下限発熱量演算部223に保持されるヒーター発熱量マップを示す図である。図9では、横軸がスタック出口水温とパージ弁出口水温との温度差ΔTであり、縦軸がヒーター46の発熱量の下限値である。
ヒーター発熱量マップには、スタック出口水温Tごとに、温度差ΔTとヒーター発熱量の下限値が互いに対応付けられている。ヒーター発熱量の下限値は、例えば、実験データに基づいて設定される。ここでは、スタック出口水温T2及びT3のそれぞれについて温度差ΔTとヒーター発熱量の下限値との関係が示されている。
ヒーター発熱量マップでは、スタック出口温度が高くなるほど、ヒーター発熱量の下限値は小さくなる。また、同一の温度差ΔT2において、スタック出口水温Tが高くなるほど、ヒーター発熱量の下限値は大きくなる。
また、本実施形態のヒーター発熱量マップでは、ヒーター発熱量よりも先に、ポンプ回転数を高くするように下限値が設定されている。これにより、ヒーター46の消費電力を抑えている。
次に暖機制限部200による暖機促進運転を制限する例について図面を参照して説明する。
図10は、暖機制限部200による燃料電池システム100の状態変化を示すタイムチャートである。
図10(a)は、スタック出口水温の変化を示す図である。図10(b)は、積算生成水量の変化を示す図である。図10(c)は、冷却水ポンプ45の回転数の変化を示す図である。図10(d)は、ヒーター46の発熱量の変化を示す図である。図10(e)は、燃料電池スタック110の発電電流の変化を示す図である。
図10(a)〜図10(e)には、燃料電池システム100の状態の変化が実線によって示され、暖機制限部200により設定された制限値の変化が一点鎖線によって示されている。また、横軸は互いに共通の時間軸である。
時刻t0では、図10(a)に示すように燃料電池システム100が零下で起動され、スタック出口水温とパージ弁出口水温とが共に0℃以下である。
燃料電池システム100の起動により、スタック発電制限部201は、図4に示した保水量マップを参照して、前回停止時の内部抵抗値とスタック出口水温とで特定される起動時保水量W0を取得する。
また、冷却水ポンプ制限部202は、図7に示したポンプ回転数制限マップを参照して、スタック出口水温及びパージ弁出口水温の温度差ΔTとスタック出口水温Tとで特定されるポンプ回転数の下限値を設定する。ヒーター制限部203は、図9に示したヒーター発熱量制限マップを参照して、温度差ΔTとスタック出口水温Tとで特定されるヒーター発熱量の下限値を設定する。
さらに、スタック発電制限部201は、演算周期ごとに、スタック出力電流に基づく発電生成水量を積算し、積算した生成水量を起動時保水量W0に加算して積算生成水量Wを算出する。そしてスタック発電制限部201は、図5に示した上限電流マップを参照して、積算生成水量Wとスタック出口水温Tとで特定される発電電流の上限値を設定する。
そして冷却水を利用して燃料電池スタック110を暖機するために、暖機制御部161は、図10(c)に示すように冷却水ポンプ45の回転数を可変範囲の上限値MAXに設定した後、図10(d)に示すようにヒーター46の発熱量を可変範囲の上限値MAXに設定する。
さらに燃料電池スタック110の発電に伴う自己発熱を利用して暖機するために、暖機制御部161は、冷却水ポンプ45やヒーター46などの補機を燃料電池スタック110と接続し、補機の駆動に必要な電力を燃料電池スタック110に発電させる。
燃料電池スタック110の自己発熱、及び、ヒーター46による冷却水の加熱によって、図10(a)に示すようにスタック出口水温は徐々に上昇する。これに対しパージ弁出口水温は、僅かに上昇する程度である。また図10(b)に示すように燃料電池スタック110の発電に伴い生成水量も徐々に上昇する。
時刻t1では、スタック出口水温が0℃まで上昇するため、燃料電池スタック110に駆動モータが接続され、燃料電池スタック110による駆動モータへの発電が許可される。これにより、図10(e)に示すように、燃料電池スタック110の発電電流は、車両の走行に必要な要求値まで高く設定される。
一方、冷却水ポンプ45及びヒーター46については、燃料電池スタック110の余熱によっても冷却水が温められるので、図10(c)及び図10(d)に示すように設定値を徐々に下げる。これにより、補機による不要な電力消費が抑えられ、駆動モータへの電力供給を優先させることができる。特にヒーター46については、暖機が進むにつれて冷却水による燃料電池スタック110への加熱効果が徐々に下がるため、下限値を徐々に下げることにより、効率的に電力消費を低減することができる。
時刻t2を経過すると、図10(a)に示すようにスタック出口水温とパージ弁出口水温との温度差ΔTが大きくなるため、冷却水ポンプ制限部202は、図10(c)に示すように、ポンプ回転数の下限値を高くする。
具体的には、図7に示したポンプ回転数マップにより、温度差ΔT1とスタック出口水温T1とで特定されるポンプ回転数の下限値は、スタック出口水温T1が上昇するに従って、0(ゼロ)よりも大きな値に設定される。そしてポンプ回転数の下限値が、冷却水の循環に最低限必要な回転数よりも大きくなると、冷却水ポンプ制限部202は、ポンプ回転数マップに従って、冷却水ポンプ45の目標回転数を設定範囲の上限値MAXまで大きくする。
これにより、冷却水の循環による排出バルブへの放熱量が大きくなるので、図10(a)に示すようにパージ弁出口水温の昇温速度が大きくなる。
時刻t3を経過しても、図10(a)に示すように温度差ΔT1が小さくならないため、ヒーター制限部203は、図10(d)に示すようにヒーター発熱量の下限値を大きくする。
具体的には、図9に示したヒーター発熱量マップにより、温度差ΔT2とスタック出口水温T2とで特定されるポンプ回転数の下限値は、スタック出口水温T2が上昇するに従って、ゼロよりも大きな値に設定される。そしてヒーター発熱量マップの下限値がヒーター46の設定値よりも大きくなると、冷却水ポンプ制限部202は、ヒーター発熱量マップに従って、ヒーター46の目標発熱量を設定範囲の上限値MAXまで大きくする。
これにより、冷却水の加熱による排出バルブへの放熱量がさらに大きくなるので、排出バルブ温度の昇温速度がより速くなる。
時刻t4を経過すると、積算生成水量W3が電解質膜で保水可能な保水量に近づくため、スタック発電制限部201は、図10(e)に示すように、発電電流の上限値をスタック昇温速度の制限値MAXよりも下げる。
具体的には、図4に示した発電電流制限マップにより、スタック出口水温T3と積算生成水量W3とで特定される発電電流の上限値は、積算生成水量がW3よりも上昇するに従って、昇温速度制限値MAXよりも小さな値に設定される。そして発電電流制限マップの上限値が、燃料電池スタック110の発電電流よりも小さくなると、スタック発電制限部201は、発電電流制限マップに従って、燃料電池スタック110の目標電流を暖機に必要な最低限の電流値に制限する。
これにより、図(b)に示すように積算生成水量の増加量が少なくなるので、電解質膜から溢れ出した生成水が燃料電池スタック110から排出される時期を遅らせることができる。
その後、時刻t5では、図10(a)の破線に示すようにパージ弁出口水温が0℃に達するため、冷却水ポンプ制限部202、ヒーター制限部203及びスタック発電制限部201は、図10(c)〜図10(e)に示すように、凍結防止のための制限値をそれぞれ解除する。
これにより、排出バルブ温度が0℃まで昇温した後に、燃料電池スタック110から生成水が排出されることになるので、生成水による排出バルブの凍結を防止することができる。
本発明の燃料電池システム100には、燃料電池スタック110の状態を制御するためにカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の部品が設けられる。具体的には、カソード調圧弁26は、燃料電池スタック110からカソードガスを排出するカソードガス排出通路25に設けられ、パージ弁37は、気液分離装置36でアノードガスかた分離された液水などの不純物を排出する排出通路351に設けられる。さらにパージ弁38は、気液分離装置36で不純物が除去されたアノードガスを排出する排出通路352に設けられる。
さらに燃料電池システム100には、冷却水循環通路41から分岐してカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38を通る分岐通路51が設けられる。これにより、分岐通路51を流れる冷却水によってカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の排出バルブを暖機する。暖機に必要な燃料電池スタック110への要求電力に基づいて、負荷調整部300は、冷却水ポンプ45、ヒーター46や、駆動モータなどの負荷に供給する発電電力を調整する。
このため、燃料電池スタック110の暖機中において、燃料電池スタック110に要求される発電量が大きいときには、発熱量が多くなると共に多量の生成水が発生するため、早期に生成水量が電解質膜の保水量を上回る。その結果、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38の暖機が間に合わず、排出バルブ温度が未だに0℃以下の状態で、燃料電池スタック110から生成水が排出される。この場合には、生成水によってカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38が凍結してしまう。
本発明の態様によれば、暖機制限部200が、燃料電池スタック110の暖機中に、排出バルブ温度が氷点温度よりも低い場合には、発電に伴う生成水量に基づいて、負荷に供給する発電電力を制限する。
このように、燃料電池スタック110の生成水量と排出バルブ温度とをモニターしているので、排出バルブ温度が0℃まで昇温する前に燃料電池スタック110から生成水が排出されるという状況を適切に把握できる。
このような状況で、暖機制限部200は、暖機のための発電要求に基づく負荷を制限することにより、生成水の発生量を抑制できるので、排出通路に設けられた部品の凍結を防止することができる。
具体的には、暖機制限部200は、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38が氷点温度よりも低いと判断したときは、積算生成水量に基づいて燃料電池スタック110の発電電流に上限値を設定する。
これにより、発電に伴う単位時間あたりの生成水量が少なくなるので、燃料電池スタック110から生成水が排出されるタイミングを遅らせることができる。このため、分岐通路51を流れる冷却水によってカソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38を暖機する時間が長くなるので、排出バルブ温度が0℃に到達した後に生成水を燃料電池スタック110から排出させることができる。
また、本実施形態では、暖機制限部200は、積算生成水量が多くなるほど、電解質膜で保水できる生成水の量が少なくなるため、発電電流の上限値を小さくする。
これにより、積算生成水量が少ないときには上限値を高くして発電による暖機を促進し、積算生成水量が保水量の上限に近づくにつれて上限値を低くして電解質膜から生成水が溢れ出す時期を遅らせることができる。したがって、排出バルブの凍結を抑制しつつ、迅速に暖機を完了させることができる。
また、本実施形態では、暖機制限部200は、燃料電池スタック110のスタック温度が高くなるほど、発熱量が大きく単位時間あたりの生成水量が多くなるため、発電電流の上限値を小さくする。
これにより、スタック温度が低いときには上限値を高くして発電による暖機を促進し、スタック温度が高くなると上限値を低くして電解質膜から生成水が溢れ出す時期を遅らせることができる。したがって、生成水量の増加量に合わせて排出バルブの凍結を抑制しつつ、迅速に暖機を完了させることができる。
また、本実施形態では、暖機制限部200は、生成水量推定部210と、上限電流演算部221と、を備える。そして生成水量推定部210は、燃料電池スタック110の保水量と発電電流とに基づいて生成水量を推定し、上限電流演算部221は、図5に示した上限電流マップを参照して、生成水量及びスタック温度に対応付けられた発電電流の上限値を演算する。
上限電流マップを用いることにより、発電電流の上限値を演算する処理を迅速かつ簡易にすることができる。
また、本実施形態では、生成水量推定部210は、起動時保水量演算部211と、生成水量積算部214とを備える。起動時保水量演算部211は、燃料電池スタック110の起動時に内部抵抗値に基づいて保水量を算出し、生成水量積算部214は、演算周期ごとに発電電流に基づく発電生成水量を積算し、起動時の保水量に発電生成水量を加算して積算生成水量を算出する。
これにより、内部抵抗値に基づく積算生成水量を順次演算する処理に比べて、演算処理を軽減することができる。
また、本実施形態では、暖機制限部200は、スタック温度と排出バルブ温度との温度差に基づいて、冷却水ポンプ45及びヒーター46などの補機への供給電力を高く制限する。これにより、排出バルブ温度が早期に0℃に到達させることができる。
例えば、暖機制限部200は、温度差が大きくなるほど、冷却水ポンプ45に対する供給電力の下限値を、暖機に必要な要求電力に基づく目標電力よりも高くする。
具体的には、暖機制限部200は、温度差が所定の閾値よりも大きいと判断したときに、冷却水ポンプ45の回転数の下限値を目標回転数よりも高くする。なお、ポンプ回転数を大きくするほど、燃料電池スタック110から冷却水ポンプ45への供給電力は大きくなる。また目標回転数は、暖機に必要な要求電力に基づいて設定される。
これにより、温度差が小さいときには、冷却水による排出バルブへの放熱量が少ないため、上限値を低くして冷却水ポンプ45による無駄な電力消費を低減することができる。一方、温度差が大きいときには、冷却水による排出バルブへの放熱量が多くなるため、上限値を高くして暖機を促進させることができる。
このように、冷却水による排出バルブへの放熱量が比較的高い状況で、冷却水の循環を良くするので、効率よくかつ早期に排出バルブを暖機することができる。
また、暖機制限部200は、スタック温度と排出バルブ温度との温度差が大きくなるほど、ヒーター46への供給電力の下限値を、暖機に必要な要求電力に基づく目標電力よりも高くする。
例えば、暖機制限部200は、温度差が所定の閾値よりも大きいと判断したときは、ヒーター46の発熱量を目標発熱量よりも高くする。なお、ヒーター46の発熱量を多くするほど、ヒーター46への供給電力は大きくなる。また目標発熱量は、暖機に必要な要求電力に基づいて設定される。
これにより、温度差が小さいときには、冷却水による排出バルブへの放熱量が少ないため、上限値を低くしてヒーター46による無駄な電力消費を低減することができる。一方、温度差が大きいときには、冷却水による排出バルブへの放熱量が多くなるため、上限値を高くして暖機を促進させることができる。したがって、効率よくかつ早期に排出バルブを暖機することができる。
また本実施形態では、暖機制限部200は、冷却水ポンプ45に対する供給電力を目標電力よりも高くした後に、ヒーター46に対する供給電力を設定範囲の上限値まで高くする。
このようにヒーター46への供給電力を高く制限する前に、冷却水ポンプ45への供給電力を高くすることで、ヒーター46による電力消費を抑制することができる。
また本実施形態では、暖機制限部200は、スタック温度が氷点温度まで昇温したと判断したときは、補機への供給電力を目標電力に戻す。これにより、暖機中に冷却水ポンプ45及びヒーター46による無駄な発電電力の消費を抑えることができるので、燃費が向上する。
このように本発明によれば、燃料電池システム100の補機や駆動モータなどの負荷に対する発電電力の供給量を制限することにより、生成水の増加量や、冷却水による部品への放熱量などを調整できる。したがって、燃料電池の零下起動時において排出通路に設けられた部品の凍結を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、本実施形態では排出バルブ温度としてパージ弁出口水温を利用したが、カソード調圧弁26、パージ弁37及びパージ弁38のいずれかに温度センサーを設け、その検出値を排出バルブ温度として用いても良い。
なお、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
100 燃料電池システム
110 燃料電池スタック(燃料電池)
45 冷却水ポンプ(補機)
46 ヒーター(補機)
48 水温センサー(燃料電池の温度)
161 暖機制御部
200 暖機制御部
210 生成水量推定部(算出部)
221 上限電流演算部(保持部、上限値演算部)
300 負荷調整部

Claims (11)

  1. アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給すると共に負荷に応じて発電する燃料電池システムであって、
    前記燃料電池からいずれかのガスを排出する排出通路に設けられ、前記燃料電池の状態を制御するための部品と、
    前記燃料電池を冷却する冷却水を通す冷却水通路から分岐して前記部品を通り、前記冷却水によって前記部品を暖機する分岐通路と、
    前記燃料電池への要求電力に基づいて前記負荷を調整する負荷調整部と、
    前記燃料電池の暖機中に、前記部品の温度が氷点温度よりも低いときには、発電に伴う生成水量、又は、前記部品と前記燃料電池の温度差に基づいて前記負荷調整部が調整する負荷に制限値を設定する制限部と、を含む
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制限部は、前記部品が氷点温度よりも低いと判断したときには、前記生成水量に基づいて前記負荷に供給される発電電力の上限値を前記制限値として演算する、
    燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制限部は、前記燃料電池内の生成水量が多くなるほど、前記発電電力の上限値を小さくする、
    燃料電池システム。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制限部は、前記燃料電池の温度が高くなるほど、前記発電電力の上限値を小さくする、
    燃料電池システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制限部は、
    前記燃料電池内の生成水量ごとに、前記燃料電池の温度と前記燃料電池の発電電流の上限値とを互いに対応付けて保持する保持部と、
    前記燃料電池の保水量と発電電流とに基づいて生成水量を算出する算出部と、
    前記算出部により算出された生成水量と、前記燃料電池の出口水温とに基づいて、前記保持部に保持された発電電流の上限値を演算する上限値演算部と、を含む、
    燃料電池システム。
  6. 請求項5に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記算出部は、
    前記燃料電池の起動時に、前記燃料電池の抵抗値に基づいて前記保水量を算出する保水量演算部と、
    所定の演算周期ごとに前記燃料電池の発電電流に基づく発電生成水量を算出し、前記保水量に前記発電生成水量を加算して生成水量を算出する生成水量演算部と、を含む、
    燃料電池システム。
  7. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記負荷は、前記燃料電池を前記冷却水によって暖機する補機を含み、
    前記制限部は、前記温度差に基づいて前記補機への供給電力の下限値を前記制限値として演算する、
    燃料電池システム。
  8. 請求項7に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記補機は、前記冷却水を前記部品に循環させる冷却水ポンプであり、
    前記制限部は、前記温度差が大きくなるほど、前記冷却水ポンプへの供給電力の下限値を、前記要求電力に基づく目標電力よりも高くする、
    燃料電池システム。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記補機は、前記冷却水を温めるヒーターであり、
    前記制限部は、前記温度差が大きくなるほど、前記ヒーターへの供給電力の下限値を、前記要求電力に基づく目標電力よりも高くする、
    燃料電池システム。
  10. 請求項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記補機は、前記冷却水を温めるヒーターであり、
    前記制限部は、前記冷却水ポンプへの供給電力を目標電力よりも高くした後に前記ヒーターへの供給電力を設定範囲の上限値まで高くする、
    燃料電池システム。
  11. 請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制限部は、前記部品が氷点温度まで昇温したと判断したときには、前記負荷に供給される発電電力の制限を解除し、前記補機への供給電力を前記要求電力に基づく目標電力に設定する、
    燃料電池システム。
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