JP6168546B2 - 水溶性又は水分散性高分子を利用した放射性物質含有土壌の固定化溶液及び該固定化溶液を用いた放射性物質除染方法 - Google Patents

水溶性又は水分散性高分子を利用した放射性物質含有土壌の固定化溶液及び該固定化溶液を用いた放射性物質除染方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性物質が付着した土壌又は放射線物質を含有する土壌だけを固定化して除去するための放射性物質含有土壌の固定化溶液及び該固定化溶液を用いた放射線物質除染方法に係わり、特に、原子力発電関連施設及びその周辺に存在する放射線物質含有土壌の除染を実施するものである。
従来から、廃棄物のひとつとして保管又は貯蔵される汚染土壌に対しては、有害物質の飛散や流出を防止したり、悪臭や有害ガスの拡散を抑制するために、被覆層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。前記特許文献1〜3に記載の被覆層は、水溶性又は水分散性の高分子、クレー又は石膏、及び水を含有する組成物から構成されるものである。また、前記特許文献4には、水性エマルジョン樹脂と、木粉等の水に不溶の粒状物とを含む代替覆土材料が開示されている。
汚染土壌としては、重金属、揮発性有機化合物又は農薬等の汚染物質により汚染されるものだけではなく、原子力発電関連施設内及び何らかの原因で原子力発電関連施設から外部へ漏れたり飛散したりする放射性物質の付着によって汚染される土壌も含まれる。放射性物質の主成分はセシウムであるが、セシウムは土壌の粘土に吸着される性質があるため土中への浸透は粘土によって抑制されており、汚染直後から6ヶ月以上経過してもセシウム汚染は土壌表面の数センチ以内に局在している。そのため、土壌がセシウム等の放射性物質によって汚染される場合は、人体に対して甚大な悪影響を与えることが予想される。
このような最悪の場合に備えて、土壌表面及びその近くに局在する放射性物質の量を人体に影響が出ないレベルまで低減できるように、迅速、且つ効率的で効果的な放射性物質含有土壌の除染方法が従来から求められている。除染方法としては表面土壌を剥離して除染することが有効であるとされており、従来から、(I)大型機械を用いて表面を削る方法、(II)高圧洗浄機を用いて水洗する方法、(III)ポリイオンコンプレックスを用いて土壌を固化して除染する方法、(IV)酸化マグネシウム系土壌固化剤を用いて土壌を固化し除染する方法、等が知られている。
また、上記の除染方法によって捕集された放射性廃棄物は、厳重に梱包された後、廃棄物処理施設に隔離して長期間にわたって保管、保存する方法が一般的にとられている。例えば、特許文献5及び6には、放射性廃棄物を固化したものを金属製の容器に鋳込んで地層内に埋め込む放射性廃棄物地層処分において、ベントナイト等の粘土質材料によってバリアを構築する方法が開示されている。
特開平4−500697号公報 特開2003−117515号公報 特開2005−28319号公報 特開2002−186928号公報 特開2007−51506号公報 特開2006−313074号公報
上記特許文献1〜4に記載の発明は、被覆層としての使用が記載又は示唆されているだけで、放射性物質含有土壌の除染方法としての適用は全く認識されていない。特に、放射性物質が付着した土壌の表面に被覆層を塗布して乾燥した後に、該被覆層の剥離によって汚染部分である土壌表面だけを除去するという除染方法には適用することができない。上記特許文献1に記載の被覆層は、水溶性又は水分散性のポリマーの含有量が低く、逆にクレーの含有量が高い組成物から構成されている。そのため、汚染土壌の表面に塗布して乾燥した後に、前記の被覆層を剥離除去することは機械的強度の点から困難であり、効率的で効果的な除染を行うことができない。同様に、上記特許文献2に記載の被覆層についても、放射性物質が付着して汚染した土壌の表面を剥離除去する用途に対しては機械的強度の点から不適である。
また、上記特許文献3及び4に記載の発明は放射性物質含有土壌の除染方法に係るものではなく、土壌表面に被覆層を形成するための組成が開示されているだけである。これらの被覆層を形成する溶液は、粘度をそれぞれ5000〜20000cps(mPa・s)及び10000〜20000cps(mPa・s)と高めに設定することが記載されており、汚染部分である土壌表面の数センチ以内に十分に浸透させることが難しい。
さらに、上記特許文献1〜4に記載の被覆層を構成する組成物及は、セシウム等の放射性物質に対して何ら選択的吸着性を有しない成分である石膏、紙又は木粉等を含む構成であり、放射性物質除染のために汚染土壌の固定化溶液として適用できるものなのか否かが不明である。
一方、従来の放射性物質含有土壌の除染方法として挙げた上記の(I)の方法は、機械が大型であり、通常の住宅の犬走り等の幅の狭い区域で除染を行うことが難しく、機械の重量が大きいため不安定な地盤上に存在する土壌の除染は不可能である。加えて、粉塵による二次汚染を抑制するための新たな措置が必要となる。上記の(II)の方法では、洗浄に使用される水が汚染を拡大することが懸念されるだけでなく、除染個所が土壌の最表面に限定されるため十分な除染効果が得られない。上記の(III)の方法は、ポリイオンコンプレックスが土壌を固化する機能だけではなく、土壌の乾燥による飛散を防ぐために保湿機能を有しているため、この保湿機能によって乾燥の際に高温又は長時間が必要となり、土壌を固定後直ちに除染作業を行う際に大きな障害となっている。例えば、除染地域における実証試験において、塗布後1週間を経て剥離試験を行う場合もある。このように、ポリイオンコンプレックスを用いた土壌剥離には、天候と気温にも左右されるが、4〜7日の乾燥期間が必要とされている。また、上記の(IV)の方法は、土壌の固化が土壌表面層に限られるため、土壌の表面から数センチの深さまで存在する放射性物質の除染に適した方法とは言えない。さらに、上記の(III)及び(IV)の方法では、原子力発電施設周辺の汚染源となるセシウム等の放射性物質を選択的に捕捉して回収することが考慮されておらず、除染後の処理方法によっては汚染が拡大する可能性も残されている。
上記特許文献5及び6に記載の発明は、除染方法によって捕集された放射性廃棄物の保管、保存方法に係るものであり、放射性物質含有土壌そのものの除去又は捕集するための除染方法としての適用は全く認識されていない。さらに、被覆層を形成する溶液を汚染部分である土壌表面及びその近傍に十分に浸透させた後、汚染土壌の表面から数センチ以内の土壌を固定化して除去するために使用する固定化溶液の組成又は構成については何ら記載も示唆もされていない。
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、放射性物質が付着して汚染された土壌表面及び該表面から数センチまでの土壌だけを固定化して除去することによって、該放射性物質の量を人体に影響が出ないレベルまで、迅速、且つ効率的で効果的に低減するために利用できる放射性物質含有土壌の固定化溶液及び該固定化溶液を用いた放射性物質除染方法を提供することを目的とする。
本発明者は、放射性物質の付着によって汚染された放射線含有土壌の表面及び該表面から数センチ以内の土壌だけを容易に、且つ確実に固定化して剥離除去できるように、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を形成することに着目するとともに、前記高分子を含有する固定化溶液の構成と組成を最適化することによって上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
(1)本発明は、(a)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びエチレンービニルアルコール共重合体から選ばれる少なくともいずれか1種の水溶性又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体を含有し、前記の(a)水溶性又は水分散性高分子を前記の(b)水を主成分とする水系媒体に溶解又は分散したときの溶液の粘度が、4〜30℃において1.6〜600mPa・sになるように調整し、且つ、前記の(a)水溶液又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分の含有量が3〜30質量%であることを特徴とする放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
(2)本発明は、前記の(a)水溶性又は水分散性高分子を前記の(b)水を主成分とする水系媒体に溶解又は分散したときの溶液の粘度が、4〜30℃において2.5〜50mPa・sになるように調整したことを特徴とする前記(1)に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記の(a)水溶性又は水分散性高分子は、ポリ酢酸ビニル又はポリ酢酸ビニルを主成分として含有する高分子であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記の(a)水溶性又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体に、さらに(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有することを特徴とする前記(1)〜()の何れかに記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記の(c)無機系の放射性物質吸着剤がベントナイトであることを特徴とする前記()に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記の(a)水溶性又は水分散性高分子、(b)水を主成分とする水系媒体、及び(c)無機系の放射性物質吸着剤の各成分の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分及び(c)成分の含有量はそれぞれ3〜30質量%及び0.01〜5質量%であり、残余は前記の(b)成分で構成されており、且つ、前記の(c)成分は前記の(a)成分よりも少ない含有量で配合されることを特徴とする前記()又は()に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記の(a)、(b)及び(c)の各成分の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分及び(c)成分の含有量はそれぞれ5〜21質量%及び0.1〜2質量%であり、残余は前記の(b)成分で構成されていることを特徴とする前記()に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液を提供する。
)本発明は、前記(1)〜()の何れかに記載の固定化溶液を用いて、該固定化溶液を放射性物質含有土壌の表面に塗布又は散布する工程、前記の固定化溶液を乾燥することによって、前記の(b)水を主成分とする水系媒体を揮散させて、前記の(a)成分で固定された汚染土壌、若しくは汚染土壌と前記の(c)成分とからなる連続層を形成する工程、及び前記の放射性物質含有土壌の表面から前記の連続層を剥離又は除去する工程、を含む放射性物質除染方法を提供する。
)本発明は、前記の放射性物質を含有する土壌の表面層は、厚さが5〜40mmであることを特徴とする前記()に記載の放射性物質除染方法を提供する。
[発明の効果]
本発明の固定化溶液は、放射性物質が付着して汚染された土壌表面に塗布した後、土壌表面から数センチ以内の深さ方向に短時間で確実に浸透するだけでなく、塗布後に乾燥して固化するまでの時間を最短1日程度に削減できる。また、水系媒体に溶解または分散する高分子を含むため、除染処理工程において取扱いが容易となり、且つ、有機溶剤等の使用による環境への負荷を考慮する必要がないため安全性に優れる。加えて、固定化溶液に含まれる高分子、特にポリ酢酸ビニルによって汚染土壌を強固に固定できる連続層が形成される。この連続層は強度と適度の弾性を有するため、前記の連続層の剥離が容易となる。さらに、この連続層は、除染時の放射性物質の飛散を防ぎ、作業者の内部被爆を軽減できるという効果を奏する。それによって、本発明による放射性物質除染方法は、表面及びそれから数センチ以内の汚染土壌のみの剥離を行うことができるようになり、除染作業を迅速、且つ効率的で効果的に進めることができる。
本発明では、固定化溶液に、さらにベントナイト等の無機系の放射性物質吸着剤を含有することによって、上記の連続層の形成において該放射性物質吸着剤が乾燥するときに、周辺の水分を吸収する効果(サンクション効果)が起こり、セシウム等の放射性物質の前記吸着剤への吸着が促進される。吸着された放射性物質は前記吸着剤の層間や孔内に固定され、安定的に保持される。そのため、土壌を汚染する放射性物質は、土壌内での移動速度が低下し、確実に、且つ安定的に除染される。その結果、除染時の放射性物質の飛散防止及び作業者の内部被爆の軽減を一層図ることができる。
本発明による固定化溶液を用いた放射性物質除染方法の工程を示す図である。
本発明の固定化溶液は、(a)水溶性又は水分散性高分、及び(b)水を主成分とする水系媒体を含有し、且つ、4〜30℃における粘度が1.6〜600mPa・sの範囲に調整されるものであり、放射性物質が付着して汚染された土壌表面に、吹き付け法、流し込み法又は刷毛塗り法等によって塗布した後、乾燥することによって高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を形成し、該連続層を剥離除去する工程からなる放射性物質含有土壌の除染方法に適用する。
上記でも述べたように、放射性物質は土壌表面から深さ方向に数センチ以内に局在している。そのため、上記の(a)成分で固定された汚染土壌からなる連続層は厚さが数センチ以内であれば、放射性物質の除染機能を十分に果たすことができる。本発明では、前記の連続層の厚さとして50mm以下であれば本発明の効果を奏することから、50mmを厚さの具体的な上限値とする。厚さが50mmを超える場合には、固定化溶液の浸透時間が長くなって迅速な除染作業ができなくなる。また、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の形成が困難になって、汚染土壌の固定化が不十分になる場合がある。さらに、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の強度又は弾性が低下する傾向にあるため、剥離時に前記の連続層の破断や亀裂が発生して効率的で効果的な除染ができない。一方、前記の連続層の厚さが数mm以下であると、汚染土壌が完全に除去できなくなり、固定化溶液の塗布又は散布及び乾燥の工程を何度も繰り返す必要が出てくるため好ましくない。前記の連続層の厚さが具体的に4mm未満であると、汚染土壌の剥離残りが出てくるようになる。このように、本発明においては、放射性物質が残存する土壌の深さを考慮しながら、除染作業を迅速、且つ効率的で効果的に行うために、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の形成と剥離を簡便に行う必要があり、前記の連続層の厚さは表面から4mm〜50mmの範囲にする。さらに、汚染土壌のより確実な除染を行うためには前記の連続層の厚さは5mm以上であり、一方、除染作業の一層の迅速化、効率化を図るためには50mmより薄い40mm以下であることが好ましい。
前記の(a)及び(b)の各成分は、本発明の目的を達成するために、次のような機能を発揮する。すなわち、(a)水溶性又は水分散性高分子を(b)水を主成分とする水系媒体に溶解又は分散する構成は、前記の(a)成分が汚染土壌粒子間の接着剤としての機能を果すことによって、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を形成するとともに、(b)成分によって、固定化溶液の取扱いを容易にし、さらに環境への負荷を小さくするためのものである。そして、(a)及び(b)の各成分を含有する固定化溶液の粘度範囲は、汚染土壌への浸透性の向上、乾燥後に形成される前記の連続層の厚さの最適化、及び前記連続層において様々な剥離条件に十分に耐え得る強度と適度の弾性の実現、の条件をすべて満たすように規定される。特に、本発明の固定化溶液は、土壌への浸透性の向上及び前記連続層の厚さの最適化を図るために、上記の特許文献3及び4に記載の被覆層とは全く異なる技術思想に基づいて、粘度を低めに規定することに特徴を有する。
本発明において、(a)水溶性又は水分散性高分子としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、セルロース、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸とその塩、及び水酸基を含有するポリアクリル酸エステル等の水溶性高分子、又はエチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンービニルアルコール共重合体、スチレンーアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体等の水分散性高分子の1種又は2種以上を使用することができる。それらの中で、汚染土壌を強く固定する連続層を形成することができ、加えて、前記連続層として様々な剥離条件に十分に耐え得る強度と適当な弾性を発現できるだけでなく、高い安全性、水媒体による取扱い性の容易さ、長期保管時の環境への負荷の低減、及び低価格等の点から、本発明はポリ酢酸ビニル又はポリ酢酸ビニルを主成分として含有する高分子が好適である。本発明において、ポリ酢酸ビニルを主成分として含有する高分子とは、ポリ酢酸ビニルを50質量%以上、好ましくは70重量%以上を含有する高分子を意味する。
本発明の(a)成分として好適なポリ酢酸ビニルは、分子量が20,000〜300,000であることが好ましい。分子量が20,000未満では前記の汚染土壌の固定が弱くなって上記の連続層の強度低下がみられるようになり、300,000を超えると水への溶解性が低下したり、水溶液の粘度が高くなって土壌固定化溶液としての操作性や施工性が低下する傾向にある。
本発明において使用される(b)水を主成分とする水系媒体は、水が80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上を占める媒体である。本発明の放射性物質除染溶液は、土壌の除染を対象としているため、取扱い性や作業性並びに周辺への環境負荷の低減を考慮すると、水を主成分とする水系媒体を使用する必要がある。水以外には、例えば、水溶性のメチルアルコール、エチルアルコール、2プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類又はアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類の溶媒を少量配合して使用してもよい。これらの溶媒は、本発明の放射性物質除染溶液に対して粘度を調整したり、必要に応じて上記の(a)以外の成分を溶解させる必要がある場合に使用される。これらの溶媒の中で、人体に対する影響と環境負荷を少なくするためにエチルアルコールが好ましい。
本発明の固定化溶液は、4〜30℃における粘度が1.6〜600mPa・sの範囲にあることが必要であり、好ましくは2.5〜50mPa・sである。施工作業は通年において4〜30℃の外部環境で行われるものであり、この粘度範囲は塗布や含浸による施工性、及び乾燥後に形成される前記の連続層を剥離する際の作業性のバランスから決められる。粘度が1.6mPa・s未満であると、固定化溶液の塗布と浸透性は優れるものの、乾燥後に形成される前記の連続層において高分子の含有量が非常に低いため、結果的に前記の連続層を厚く形成することができない。さらに、前記の連続層は強度の低下が顕著になり、破断や亀裂が発生して剥離が困難になる。また、粘度が600mPa・sを超える場合は、固定化溶液の操作性や施工性が低下するとともに、土壌への浸透性が劣り、結果的に上記の高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を4mm以上、好ましくは5mm以上と厚く形成することができず、汚染土壌の除去が不十分になる。加えて、乾燥後に形成される前記の連続層において、接着剤として機能する高分子の含有量が土壌表面に相当する上部では多く、土壌深部に相当する下部では少なくなるという組成の不均一化がおこるために、前記連続層の強度が低下する傾向にある。本発明においては、前記連続層の厚さを5〜40mmの範囲で調整でき、同時に、強度を大幅に向上させて剥離に十分に耐えるようにするため、4〜30℃における粘度は2.5〜50mPa・sの範囲に設定することが好ましい。
本発明において、前記の高分子で固定された汚染土壌からなる連続層は、剥離を迅速、且つ、簡便に行うとともに、剥離後に汚染土壌が残存しないようにするため、前記の連続層は土壌表面からの厚さを4mm〜50mm、好ましくは5〜40mmの範囲に設定するだけではなく、強度と弾性を両立させる必要がある。そのために、本発明の固定化溶液は、粘度だけではなく、汚染土壌粒子間の接着剤として機能する上記の(a)成分の含有量を最適化することが好ましい。本発明では、(a)水溶性又は水分散性高分子の含有量は、上記の(a)及び(b)の各成分の合計量を100質量部としたときに、3〜30質量%となる組成物の構成にすることが好ましい。
前記の(a)成分の含有量が3質量%未満であると、乾燥後に形成される前記の連続層において高分子の含有量が低くなるため、結果的に前記連続層を厚く形成することができない。加えて、前記連続層において接着剤として機能する成分の含有量が不足することから強度の低下が顕著になり、前記連続層の破断や亀裂が発生して剥離が困難になって、効率的な除染を行うことができない。なお、固定化溶液の(a)成分の含有量が3質量%未満であっても、該固定化溶液の塗布及び乾燥を複数回繰り返すことによって前記連続層を厚くすることもできるが、その場合は、除染作業が非常に煩雑になり本発明の目的に合致しない。また、(a)成分の含有量が30質量%を超えると、固定化溶液の粘度が高くなりすぎるため、吹き付けや流し込みの作業性が劣り、操作性や施工性が大幅に低下する。さらに、土壌への浸透性が劣り、結果的に上記の高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を4mm以上、好ましくは5mm以上と厚く形成することができず、汚染土壌の除去が不十分になる。加えて、乾燥後に形成される前記の連続層において、上記の高分子の含有量が土壌表面に相当する上部では多く、土壌深部に相当する下部では少なくなるという組成の不均一が生じるために、前記連続層の強度が低下する傾向にある。
本発明の固定化溶液は、さらに、(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有することが好ましい。前記の(c)成分は、放射性物質を選択的に吸着して、除染処理中に起きやすい放射性物質の外部への漏れや飛散を抑制するために有効な成分である。
本発明において、(c)無機系の放射性物質吸着剤としては、放射性物質を吸着する吸着能を有する無機粒子、例えば、ベントナイト、ゼオライト、雲母、バーミキュラライト、スメクタイト等が挙げられる。これらの無機粒子の平均粒径は0.01〜20μmの範囲にあるものが使用できるが、好ましくは1〜2μmである。また、これらの無機粒子の最大粒径は100μm以下、好ましくは50μm以下である。平均粒径が0.01μm未満であると、無機粒子の凝集が起こりやすく、放射性除染溶液の調整や塗布等における作業性の低下が顕著になる。また、20μmを超えると、前記の連続層中に大きな径を有する無機粒子が混在するようになるため、前記の連続層の機械強度が大きく低下して剥離が困難になる。さらに、前記の構造物の表面に存在する細かな溝や段差に付着する放射性物質の除染が確実にできなくなり、除染残りが発生しやすい。同じ理由から、これらの無機粒子の最大粒径は、100μm以下、好ましくは50μm以下である。
本発明では、上記の無機粒子の中で、放射性物質吸着剤としての実績、取扱い性及び低コスト等の点からベントナイトが好適である。さらに、ベントナイトは、上記で述べたサンクション効果が他の無機粒子よりも優れるため、特に有用である。ベントナイトは、ベントナイト鉱山で採掘した状態のものから粗粒分を除き、最大粒径を100μm以下、好ましくは50μm以下に調整したものをそのまま使用できるため、安価に入手できる。
上記の(c)成分を含有する本発明の固定化溶液において、上記の(a)及び(c)の各成分の含有量は、上記の(a)、(b)及び(c)の各成分の合計量を100質量部としたときに、それぞれ3〜30質量%及び0.01〜5質量%であり、残余が(b)成分となるような組成物の構成にすることが好ましい。上記の(a)及び(c)の各成分のより好ましい含有量は、それぞれ5〜21質量%及び0.1〜2質量%であり、残余が(b)成分によって占められる。特に、本発明においては、前記の特許文献1及び2に開示されているような被覆層を形成するための組成物とは異なり、前記の(a)成分の含有量が(c)成分よりも高い点に特徴を有する。これは、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層を確実に形成し、さらに該連続層の剥離を行う際に亀裂や破断が起こらないような強度と適当な弾性を付与して、汚染土壌中に存在する放射性物質をできるだけ短時間で簡便に、且つ確実に除去するためである。
上記の(a)成分の含有量は、上記で述べたように、汚染土壌への浸透性、乾燥後に形成される前記の連続層の厚さ、及び前記連続層において様々な剥離条件に十分に耐え得る強度と弾性の保持等の条件から、3〜30質量%とすることが好ましい。さらに、汚染土壌への浸透性を確保した状態で、乾燥後に形成される前記の連続層の厚さを本発明の除染方法の最適な範囲である5〜40mmに調整できるようにするために、(a)成分の含有量は5〜21質量%がより好ましい。
上記の(c)成分は、含有量が0.01質量%未満では放射性物質の吸着効果を十分に得ることができず、放射性物質の除染能力に不安が残り、除染処理中及び長期保管中に放射性物質の外部への漏れや飛散を避けることができない。また、放射性物質の吸着効果は(c)成分の含有量が5質量%を超えるとき飽和の傾向を示すだけであり、逆に、除染溶液そのものの粘度の急激な上昇によって吹き付けや流し込みの作業性や施工性の大幅な低下を招く。さらに、(c)成分は無機質であるために、その含有量が多くなるほど放射性物質含有土壌固定化溶液中での偏析が発生しやすくなるため、取扱い性が劣るだけでなく、前記の連続層の強度低下によって剥離時の亀裂や破断が顕著になる。上記で述べたように、本発明においては(c)成分としてベントナイトが好適であるが、ベントナイトは増粘剤や止水材として使用される場合が多い。そのため、ベントナイトを本発明の目的を奏する放射性物質含有土壌固定化溶液として適用する場合、その含有量が多くなると、粘度の急激な上昇がみられ塗布作業性が大幅に低下する。また、ベントナイトによる放射性物質の吸着を確実に行うためには、ある程度のベントナイト量が必要となる。したがって、(c)成分としてベントナイトを適用する場合、その含有量は0.1〜2質量%がより好ましく、さらに0.1〜1質量%が特に好ましい。
本発明において、上記の(a)、(b)及び(c)の各成分を含有する固定化溶液は、4〜30℃における粘度が、上記の(a)及び(b)の各成分を含有する固定化溶液と同じように、1.6〜600mPa・sの範囲にあることが必要であり、好ましくは2.5〜50mPa・sである。これは、通年において4〜30℃の外部環境で行われる施工作業において、塗布や含浸による施工性、及び乾燥後に形成される前記の連続層を剥離する際の作業性のバランスから決められる。上記の(a)、(b)及び(c)の各成分を含有する固定化溶液においても、施工作業において求められる粘度の範囲は、上記の(a)及び(b)の各成分を含有する固定化溶液の場合と同じである。
本発明においては、上記の(a)〜(c)成分の他に、必要に応じて、柔軟性を付与するための可塑剤、高分子と無機系の放射性物質吸収剤との分散性を向上させるための分散剤や界面活性剤、粘度調整のための増粘剤や粘度調整剤、防腐剤、着色剤、防臭剤等を加えることができる。特に、着色剤は、本発明の放射性物質除染溶液の塗布箇所を識別できるだけでなく、塗布乾燥後に形成される前記の汚染土壌が高分子で固定された連続層を剥離するときに見られる剥離残りをチェックするために使用できる添加剤であり、除染作業を効率的に行う際に有用である。
次に、本発明による固定化溶液を用いた放射性物質除染方法の工程を、図1を参照しながら説明する。
(1)固定化溶液の調整:
上記で説明したような含有量に基づいて(a)〜(c)の各成分を配合するとともに、塗布又は散布を行うために上記で説明したような範囲に規定した粘度を有する本発明の放射線物質含有土壌の固定化溶液を調整する。必要に応じて、(a)〜(c)の各成分の他にも、可塑剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、粘度調整剤、防腐剤、着色剤、又は防臭剤を配合する。
(2)固定化溶液の汚染土壌への塗布又は散布:
上記の(1)で調整した固定化溶液は、放射性物質が付着した土壌へ室温(通年で4〜30℃の範囲)で塗布又は散布される。塗布又は散布は、汚染土壌の場所や設置形態に応じて、吹き付け法、流し込み法又は刷毛塗り法等によって行われるが、広範囲の除染を行う場合にはスプレー等による吹き付け法が一般的に使用される。また、塗布又は散布において、本発明の固定化溶液をあらかじめ加温して粘度調整することができる。さらに、塗布又は散布のときに、加温できる塗布装置又はスプレー装置を用いても良い。
(3)乾燥:
上記の(2)の工程の後、本発明の固定化溶液を乾燥して(b)成分である水系媒体を揮散させる。乾燥は、外気温度で所定時間(通常は1時間〜1週間)行われるが、必要に応じて、塗布又は散布場所に熱風を加えて乾燥を速める方法を採用しても良い。本発明は、乾燥時間として通常、2〜3日あれば剥離を行うことができ、気温が高ければ、最短1日で剥離作業を開始することができる。
(4)高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の形成:
本発明の固定化溶液を乾燥後、上記の(a)成分である高分子によって固定された汚染土壌からなる連続層が土壌表面及びその近くに形成される。このとき、固定化溶液の乾燥は、上記の(b)成分が完全に除去される必要はなく、前記の連続層の剥離を容易に行うことができる程度の乾燥状態であれば良い。この工程で形成する連続層は、後の(5)の工程において最終的に剥離処理が行われる。本発明において、剥離処理に適する連続層の厚は数mm〜50mmの範囲である。さらに、前記の連続層の強度と弾性による柔軟性との両立を図るために、厚さは5〜40mmであることが好ましい。
(5)高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の剥離、除去:
上記の高分子で固定された汚染土壌からなる連続層は、薄膜であるために、手動で又は剥離装置を用いて容易に剥離することができる。剥離装置は、前記の連続層の片面を固定した後、この固定面又は固定点を起点にしてゆっくりと移動させながら剥離操作を行うものを用いても良い。本発明においては、前記の剥離層が剥離に十分に耐えうるような強度と適度の弾性を有するため、操作性と作業性に優れる。また、必要に応じて、前記の連続層の剥離部分に熱風又は寒風を当てながら剥離を行っても良い。熱風は、上記の(b)成分の揮散のため又は前記の連続層に柔軟性を持たせるために使用する。寒風は、逆に、前記の連続層をやや固くして、剥離時の強度を上げるときに使用する。
(6)高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の保管、保存:
上記の(5)の工程で剥離、除去された後、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層は放射性物質を含むため、放射性物質が外部へ飛散又は漏洩しないような処置が施された場所に集めて保管、保存される。この工程では、保管場所の問題から、除去後の土壌を水で洗浄後、分級し放射性物質濃度の高い粘土層のみを除去する減容化が必要とされている。放射性物質を除去後の土壌はもとの環境へ戻すことが可能である。この減容化において、従来の方法として上記(IV)で示した酸化マグネシウムで固化した土壌は、水を添加しても溶解しないために、分級による減容化は不可能である。
(7)高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の溶媒への浸漬、溶解:
この工程は、上記の(5)の工程において剥離された前記の連続層から放射性物質を含む汚染土壌だけを分離して集めた後、放射性物質が外部へ飛散又は漏洩しないような処置が施された場所に保管、保存するために、次の(8)の工程とともに行うものである。これによって、高分子で固定された汚染土壌からなる連続層の減容化を図るだけではなく、放射性物質含有土壌だけを保管、保存できることから、放射性廃棄物の管理が容易となる。上記の(5)の工程で剥離された前記の連続層は、本発明の(a)成分を溶解できる溶媒へ浸漬、溶解する。この溶媒は、水又は水を主成分とする水系溶媒が主に使用される。本工程の浸漬、溶解は、保管・保存場所の近くで行っても良いし、化学工場等の特殊な処理場所で行っても良い。後者の場合は、アルコール類、エーテル類又はアセトン類等の溶媒を使用できる作業環境が整備されているため、これらの溶媒を使用することができる。それによって、本工程の処理時間を短縮化できるだけではなく、より安全な処理を行うことができる。
(8)汚染土壌又は汚染土壌/無機系の放射性物質吸着剤の分離除去:
上記の(7)の工程で得られる前記の連続層を含有する溶液は、濾過又は遠心分離等による方法によって、汚染土壌だけが分離除去される。このようにして分離除去された汚染土壌は、後述の(9)の工程で、放射性物質が外部へ飛散又は漏洩しないような処置が施された場所に保管、保存される。また、本発明の固定化溶液において、上記の(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有する場合は、本工程において、前記の(c)成分が汚染土壌とともに分離除去される。さらに、上記の(6)の工程において、汚染土壌又は無機系の放射性物質吸着剤を含む汚染土壌を水で洗浄後、分級して放射性物質濃度の高い粘土層又は無機系の放射性物質吸着剤を含む粘土層を除去するときも、前記の土壌洗浄・分級の後に濾過又は遠心分離による処理が行われる。分離除去された放射性物質濃度の高い粘土層又は無機系の放射性物質吸着剤を含む粘土層は、後述の(9)の工程で保管、保存される。一方、分離除去後の汚染されていない砂等の土壌成分は環境へ戻される。
本工程において、前記の連続層だけが分離除去されて得られた溶液は、溶媒を抽出して、水溶性又は水分散性の高分子をごみ廃棄物として処理する。また、この溶液を図1に示すように再利用して、新たに所定量の(b)水を主成分とする水系媒体を配合したり、又は余分な水系媒体だけを除去することによって粘度を調整した後、図1に示す(1)の工程において固定化溶液として使用しても良い。さらに、本発明では、、(c)無機系の放射性物質吸着剤を配合することもできる。この溶液の再利用は、水溶性又は水分散性の高分子をごみとして廃棄する必要がなくなるため、ごみの減量化に貢献できる。
(9)汚染土壌又は汚染土壌/無機系の放射性物質吸着剤の保管、保存
上記の(8)の工程で分離除去された汚染土壌又は汚染土壌/無機系の放射性物質吸着剤は捕集された後、放射性廃棄物として、放射性物質が外部へ飛散又は漏洩しないような処置が施された場所に集めて保管、保存される。また、(8)の工程において、汚染土壌又は無機系の放射性物質を含む汚染土壌を洗浄・分級して放射性物質濃度の高い粘土層又は無機系の放射性物質を含む粘土層(おもに無機系の放射性物質吸着剤であるベントナイトを含む粘土・ベントナイト層)を除去する場合は、それらの粘土層のみが保管、保存される。最終的に、人体に全く影響が出ないレベルに放射線量の低減が確認される段階まで密閉状態で保管、保存された後、通常の土壌として戻されるか、又は産業廃棄物として廃棄される。
以上のように、本発明の放射性物質除染方法は、放射性物質が付着した土壌又は放射性物質を含有する土壌から放射線を迅速、且つ効率的で効果的に低減するだけではなく、放射性物質汚染物そのものの減容化を図るために、図1に示す(1)〜(9)の工程を有する。
本発明を実施例によって説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜10、比較例1〜3]
ポリ酢酸ビニル樹脂を42質量%、水を58質量%を含有する酢酸ビニル接着剤(商品名:ジョイフルボンドA−JH、アイカ工業株式会社)を用い、水媒体によって希釈を行って、下記の表1に示すように、ポリ酢酸ビニルの含有量及び粘度の異なる各種溶液を調整した。粘度は、スピンドルタイプ粘度計(トキメック社製 TV−20型)を用いて室温(18〜25℃)で測定した。
表1に示すポリ酢酸ビニル溶液の土壌への浸透性と、乾燥後に形成されるポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層の剥離性を調べるために、予備実験を行った。実験方法としては、12cm×16.5cmの容器に深さ5cmまで土壌(放射性物質を含まない土壌)をいれて、表1に示すポリ酢酸ビニル溶液を前記の容器に5リットル/m散布した後、乾燥器を用いて60℃で2〜3日間乾燥させた。ポリ酢酸ビニル溶液の土壌への浸透性は、乾燥後にポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層の厚さを目測や定規を用いて5点以上測定し、それらの平均値によって評価した。また、ポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層は土壌硬度計で5点の硬度測定を行い、それらの平均硬度を強度の目安として評価を行った。土壌硬度計は、「藤原 土壌硬度計 山中式 ポケット型」を使用した。ポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層の剥離性は、前記の平均硬度だけでなく、実際に手動による剥離を行い、その剥離程度(剥離の容易さ、該連続層の破断や亀裂の発生程度等)を定性的に判断することによって総合評価として表した。
実験結果を下記の表1に示す。表1に示す総合評価において、ポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層の剥離が破断や亀裂もなくスムーズに行えたものを(◎)、破断や亀裂は発生しなかったものの、やや注意しながら剥離を行ったものを(○)、剥離時に前記の連続層の周辺にやや亀裂が見られたものを(△)、また、剥離時に前記の連続層に破断や多数の亀裂が発生して、剥離が困難であったものを(×)で表した。
Figure 0006168546
表1から分かるように、固定化溶液の粘度を1.6〜600mPa・sの範囲に規定することによって、土壌への浸透性及びポリ酢酸ビニルで固定された土壌からなる連続層の剥離性に優れる土壌の固定化溶液が得られる。また、そのような粘度範囲を満たすためには、ポリ酢酸ビニルの含有量を3〜30質量%の範囲に規定する必要がある。さらに、固定化溶液の粘度が2.5〜50mPa・sの範囲にあれば、前記の連続層の剥離をより簡便で迅速に行うことができる。
それに対して、粘度及びポリ酢酸ビニルの含有量が上記の範囲から外れる固定化溶液(比較例1〜3)は、乾燥後の剥離作業時に、前記の連続層に破断や多くの亀裂が見られるため、汚染土壌の固定化の用途に適さない。その中で、比較例3の固定化溶液は、高い平均硬度を有するものの、粘度が高いために土壌下部への浸透が十分でなく、前記の連続層の深さ方向における組成の不均一化によって、剥離時に破断や亀裂が発生したものと考えられる。
このように、本発明の効果を奏する固定化溶液は、塗布又は散布時の温度(通常は4〜30℃の温度範囲)における粘度、及びその粘度を達成するために前記(a)成分の含有量を所定の範囲に規定することによって得ることができる。
[実施例11〜13]
実施例4で使用したポリ酢酸ビニルの代わりに、重合度約2000のポリビニルアルコール(表2ではPVAと略す。)、分子量が15000である水分散性のエチレン−酢酸ビニル共重合体(表2ではE−PVAcと略す。)又は上記のジョイフルボンドに含まれるポリ酢酸ビニル80質量部と重合度約2000のポリビニルアルコールを20質量部との混合物(表2では、PVAc/PVAと略す。)を用いて、各高分子の含有量が10質量%となるように水媒体で溶解して固定化溶液を調整した。実施4と同じ方法で、粘度、各高分子で固定された土壌の連続層の厚さ、及び平均硬度を測定し、前記の連続層の剥離性について総合評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
Figure 0006168546
表2に示すように、本発明の(a)成分としては、ポリビニルアルコールやポリ酢酸ビニル等の水溶性の高分子だけでなく、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の水分散性の高分子を使用することができる。表1及び表2に示す総合評価結果から分かるように、ポリ酢酸ビニル(実施例4)及びポリ酢酸ビニルを主成分として含有する高分子(実施例13)は、他の高分子(実施例11及び12)よりも土壌が固定された連続層の平均硬度がやや高くなっており、土壌を強く固定する接着剤としての機能が高いことが分かる。それによって、前記の連続層の剥離性の総合評価において、より優れた結果が得られたものと考えられる。
なお、本発明における固定化溶液は、前記の(a)成分の含有量が同じであっても、高分子の種類に応じて、粘度がやや異なる。通常、固体化溶液の土壌への浸透性は、該固定化溶液の粘度によってほぼ決まる。したがって、本発明の固定化溶液は、まず、該固定化溶液を構成する成分及びその粘度の範囲を規定することによって、明確に特定される。
[実施例14〜28、比較例4〜6]
ポリ酢酸ビニル樹脂を42質量%、水を58質量%を含有する酢酸ビニル接着剤(商品名:ジョイフルボンド、アイカ工業株式会社)に無機系の放射性物質吸着剤を配合して、水媒体によって希釈を行って、下記の表3に示すように、ポリ酢酸ビニル及び無機系の放射性物質吸着剤の含有量及び粘度の異なる各種溶液を調整した。表3に示す各成分の含有量は、ポリ酢酸ビニル(表3ではPVAcと略す。)、無機系の放射性物質吸着剤及び水媒体からなる固定化溶液を100質量部としたときの含有量である。無機系の放射性物質吸着剤としては、ベントナイトドンミン((株)ボルクレイ・ジャパン製、表3ではベントナイトAと略す)、ベントナイトブラックヒルズ(American Colloid Company製、、表3ではベントナイトBと略す。)、又はゼオライトを使用した。実施例1〜13と同じ方法で、粘度、ポリ酢酸ビニルで固定された土壌の連続層の厚さ、及び平均硬度を測定し、前記の連続層の剥離性について総合評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。









Figure 0006168546
表3に示すように、本発明の固定化溶液は、(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有することによって粘度がやや高くなる。一方、平均硬度は、(a)成分であるポリ酢酸ビニルの含有量が少ない場合は高くなるが、ポリ酢酸ビニルの含有量が多い場合は、逆に低くなる傾向にある。これは、前者は無機質固体の配合による硬度の増大効果であり、後者は無機質固体との界面形成の影響でポリ酢酸ビニルの凝集力が低下したことによる硬度低下と考えられるが、詳細は不明である。
表3に示す剥離性に関する総合評価は、表1に示す総合評価とほぼ同じような結果が得られた。すなわち、ポリ酢酸ビニル(PVAc)の含有量が3〜30質量%の範囲において、PVAcで固定された土壌からなる連続層は剥離性が良くなり、剥離作業を簡便に行うことができる。さらに、PVAcの含有量が5〜21質量%の範囲において、特に剥離性が優れており、剥離作業の一層の迅速化を図ることができる。また、ベントナイト等の(c)無機系の放射性物質吸着剤の含有量についても、5質量%以下であれば、本発明の効果を奏する固定化溶液を得ることができる。それに対して、ベントナイト等の放射性物質吸着剤の含有量が5質量%を超える場合(比較例6)は、粘度が高くなって固定化溶液の浸透性が大きく劣るだけでなく、PVAcで固定された土壌からなる連続層の剥離性も大きな問題が生じるために、放射性物質含有土壌の固定化溶液として適用することができない。一方、前記の(c)成分の含有量の下限値としては、放射性物質の吸着効果が明確に現れる量の0.01質量%である。また、本発明において(c)成分の含有量は、表3に示す剥離性の総合評価結果において優れた結果を示した0.1〜2質量%の範囲が好適である。
[実施例29]
実施例4の固定化溶液を用いて、セシウム等の放射性物質で汚染された土壌の上に、室温(約20℃)においてスプレー装置によって5リットル/mの条件で均一に塗布し、室温で3日間放置してポリ酢酸ビニルで固定された汚染土壌からなる連続層を形成した後、剥離を行った。初期の汚染土壌表面と前記の連続層を剥離した後の土壌表面について、それぞれの放射線量を測定した結果、初期に対する剥離後の放射線量の割合は21%であり、除染率は79%であった。
[実施例30]
実施例21(ベントナイトAを0、5質量%含有)の固定化溶液を用いて、実施例29と同じ方法で、汚染土壌の上にポリ酢酸ビニルで固定された汚染土壌からなる連続層を形成した後、該連続層の剥離を行った。初期の汚染土壌表面と前記の連続層を剥離した後の土壌表面について、実施例29と同じ方法で放射線量を測定した結果、初期に対する剥離後の放射線量の割合は10%であり、除染率は90%であった。このように、無機系の放射性物質吸着剤を含有する本発明の固定溶液は、汚染土壌の除染率を高める効果のあることが確認された。
[比較例7]
固定化溶液として市販のポリイオンコンプレックスを用いて、実施29及び30と同じ方法で、該ポリイオンコンプレックスによって固定された汚染土壌の連続層の形成を行った。ポリイオンコンプレックスを使用する本比較例では、剥離可能な強度を得るまでの乾燥期間は少なくとも7日が必要であった。初期の汚染土壌表面と前記の連続層を剥離した後の土壌表面について、実施例29と同じ方法で放射線量を測定した結果、初期に対する剥離後の放射線量の割合は10%であり、除染率は90%であった。
以上のように、実施例29及び30の固定化溶液は、従来のポリイオンコンプレックスを用いたものと比べて、塗布後の乾燥時間を短縮化できるだけではなく、放射性物質の除染に対して優れた効果を有することが分かる。
実施例に示すように、本発明の放射性物質土壌の固定化溶液は、(a)水溶性又は水分散性高分子、及び(b)水を主成分とする水系媒体を含み、さらに該固定化溶液の粘度及び/又は各成分の含有量が最適化されているために、汚染土壌への浸透性に優れ、塗布又は散布後の乾燥工程も従来よりも短時間で行うことができる。また、乾燥工程後に形成される前記の(a)成分で固定された汚染土壌からなる連続層は、厚さを所定の範囲、具体的には5〜40mmに調整することが容易であり、加えて、様々な剥離条件に十分に耐え得る強度と適度の弾性を発現することができる。結果的に、前記の(a)成分で固定された汚染土壌からなる連続層は簡便に剥離除去できるようになる。さらに、(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有することによって、汚染土壌中の放射性物質は安定的に固定化され、除染処理中にその移動が大幅に抑制されるため、除染効果を一層高めることができる。それによって、本発明の放射性物質除染方法は、土壌中の放射線物質を十分に除染できる効果が得られる。
それに対して、従来のポリイオンコンプレックスによる除染方法は、乾燥時間が長いため、実施例と比べて作業性や施工性が悪くなり、除染効率が低下する。また、ポリイオンコンプレックスで固化させた土壌の強度は2.0〜3.9kg/cm程度であるのに対し、本方法で固定した土壌の強度は、5.8〜20.3kg/cmと高く、そのため除染の際の粉塵量が少なく、施工性も向上する。
以上のように、本発明の放射性物質含有土壌の固定化溶液は、汚染土壌が高分子で固定された連続層の形成と剥離を、迅速、且つ、容易に行うことができる構成を有する。それだけではなく、セシウムイオン等の放射性物質を安定的に保持できる無機系の放射性物質吸着剤を含有することによって、放射性物質の外部への飛散や漏れが防止され、前記構造物の除染を確実に、且つ安定的に行うことができる。したがって、このような特徴を有する固定溶液を用いた本発明の放射線除染方法は、放射性物質が付着した土壌又は放射線物質で汚染された土壌の除染を従来方法よりも迅速、且つ効率的で効果的に行うことができる。また、本発明の放射線除染方法は、放射性物質汚染物そのものの減容化に対しても有効な方法であり、有用性が極めて高い。

Claims (9)

  1. (a)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びエチレンービニルアルコール共重合体から選ばれる少なくともいずれか1種の水溶性又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体を含有し、
    前記の(a)水溶性又は水分散性高分子を前記の(b)水を主成分とする水系媒体に溶解又は分散したときの溶液の粘度が、4〜30℃において1.6〜600mPa・sになるように調整し、且つ、
    前記の(a)水溶液又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分の含有量が3〜30質量%であることを特徴とする放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  2. 前記の(a)水溶性又は水分散性高分子を前記の(b)水を主成分とする水系媒体に溶解又は分散したときの溶液の粘度が、4〜30℃において2.5〜50mPa・sになるように調整したことを特徴とする請求項1に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  3. 前記の(a)水溶性又は水分散性高分子は、ポリ酢酸ビニル又はポリ酢酸ビニルを主成分として含有する高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  4. 前記の(a)水溶性又は水分散性高分子及び(b)水を主成分とする水系媒体に、さらに(c)無機系の放射性物質吸着剤を含有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  5. 前記の(c)無機系の放射性物質吸着剤は、ベントナイトであることを特徴とする請求項に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  6. 前記の(a)水溶性又は水分散性高分子、(b)水を主成分とする水系媒体、及び(c)無機系の放射性物質吸着剤の各成分の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分及び(c)成分の含有量はそれぞれ3〜30質量%及び0.01〜5質量%であり、残余は前記の(b)成分で構成されており、且つ、前記の(c)成分は前記の(a)成分よりも少ない含有量で配合されることを特徴とする請求項4又は5に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  7. 前記の(a)、(b)及び(c)の各成分の合計量を100質量部としたときに、前記の(a)成分及び(c)成分の含有量はそれぞれ5〜21質量%及び0.1〜2質量%であり、残余は前記の(b)成分で構成されていることを特徴とする請求項に記載の放射性物質含有土壌の固定化溶液。
  8. 請求項1〜の何れかに記載の固定化溶液を用いて、該固定化溶液を放射性物質含有土壌の表面に塗布又は散布する工程、前記の固定化溶液を乾燥することによって、前記の(b)水を主成分とする水系媒体を揮散させて、前記の(a)成分で固定された汚染土壌、若しくは汚染土壌と前記の(c)成分からなる連続層を形成する工程、及び前記の放射性物質含有土壌の表面から前記の連続層を剥離又は除去する工程、を含む放射性物質除染方法。
  9. 前記の放射性物質を含有する土壌の表面層は、厚さが5〜40mmであることを特徴とする請求項に記載の放射性物質除染方法。
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