JP6165960B1 - 紙のお香 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、タール分の問題を解決しつつ、香りを素早く拡散させ、長期の薫煙持続を可能とすることができるお香を提供することにある。【解決手段】マーセル化針葉樹パルプを原料とし0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体に、香料、及び0.5〜5重量%の助燃剤を含侵させてなる紙のお香。【選択図】図1

Description

本発明は、紙のお香に関する。より詳細には、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体に、香料及び助燃剤を含させてなるお香に関する。
近年、室内で香りを楽しんだり、気持ちなどを和らげたりする目的で、古くから仏事に用いられるお香のほか、各種室内用フレグランスが使用されている。
お香としては、スティック(棒状)、コーン(三角錐)、渦巻状のインセンスや線香、粉末状の焼香や抹香、さらには身体に塗る塗香など、その種類は多種にのぼる。しかし、上記のような古くから用いられるお香は、草木粉末その他の天然基材を主成分として使用しているため、木質基材由来のタール分が煙と共に運ばれて壁に付着し、壁を汚し、特有の刺激臭がするという問題があった。このような問題に対処するために、本出願人は、基材として木炭の粉末を使用した線香や(特許文献1)、基材の一部を炭素粉末(炭粉末)に置き換えた線香(特許文献2、特許文献3)、基材として活性アルミナを用いた線香(特許文献4)を提供している。
一方で、従来のお香は、着火しにくいという問題や、木材臭いものや漢方薬臭いものが多く香りが洗練されていないという問題や、粉末原料を混練して製造するために曲がりやすい或いは折れやすいことから保管に適さないという問題など、現代の暮らしにマッチしない面も多々あった。最近では、香木を使用しない固形やゲル状の室内用フレグランスや、液体香料をスプレーで噴霧するタイプ、液体香料を蒸散させるタイプなど、伝統的なお香とは異なる室内用フレグランスも存在する。しかし、室内用フレグランスは、拡散が遅いこと、拡散が部分的であること、価格が高いこと、香りが不満であることなど、消費者を満足させるのに充分とはいえなかった。
また、紙に香料を染みこませた場合には火を付けた後に吹き消すと火種も消えてしまい、燃焼を継続することができず、お香として使用することができないという課題を解決するために、線香やインセンスの粉砕物に紙原料となる植物性繊維を加えて製造したシート状香が提案されている(特許文献5)。しかし、線香やインセンスの粉砕物と植物性繊維とを原料として抄紙を行う(紙すき)場合、抄紙工程で粉砕物を繊維に固着させるには熟練した抄紙技術や抄紙製造設備が必要であり、さらに、抄紙の際の製造機器や製造現場への移り香のために他の紙製品の製造に支障を来し、抄紙工程を実施するための設備を特別に設けるなどの対策が必要になることもあり、実用化されていない。
また、無炎燃焼による発香機能を付与するために、無炎燃焼継続剤及びサイズ剤を紙に含乾燥させた後、香料溶液を含浸乾燥させることにより、無炎燃焼による発香機能を付与した紙や(特許文献6)、香料、酸化剤及び水を含有するアルコール溶液を基材シートに含浸させて得られる香料含有シート(特許文献7)も提案されている。しかし、安定した薫煙持続効果と十分な量の香料成分の拡散効果を両立させることはできず、実用化されていない。
特開昭50−58245号公報 特開平9−136820号公報 特開2004−75581号公報 特開2015−113333号公報 特開2004−196774号公報 実用新案登録第3166743号公報 特開2016−150902号公報
したがって、本発明の目的は、タール分の問題を解決しつつ、従来提案されている紙のお香とは異なり、安定した薫煙持続効果と香りの拡散効果を備えるお香を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明者は、嵩高で多孔性の紙製担体を用いることにより、抄紙工程で粉砕物を繊維に固着させる必要なく、お香を燃焼させた時に、お香の担体内に空気の流れが形成され、燻煙を安定的に持続できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、嵩高で多孔性の紙製担体として、ポロサニアパルプなどのマーセル化針葉樹パルプから製造した紙製担体に、後加工で薫煙持続機能の付与と香りづけを行うことにより、お香成分を紙製担体に含浸させやすく、さらには粉末基材を用いる必要がなく、少ない工程で容易に製造することができ、取扱いも容易である紙製のお香が提供される。
本発明の具体的態様は以下のとおりであるが、これらに限定されるものではない。
[1]マーセル化針葉樹パルプを原料とする0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体に、香料及び0.5〜5重量%の助燃剤を含させてなる、紙のお香。
[2]前記紙製担体は、アクリル繊維をさらに含む、[1]に記載の紙のお香。
[3]前記紙製担体は、バインダ繊維をさらに含む、[1]又は[2]に記載の紙のお香。
[4]前記助燃剤が、金属硝酸塩である、[1]〜[3]のいずれかに記載の紙のお香。
[5]前記金属硝酸塩が、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムである、[4]に記載の紙のお香。
[6]前記紙製担体は、マーセル化針葉樹パルプ15〜40重量%、マーセル化針葉樹パルプ以外の針葉樹パルプ20〜28重量%、バインダ繊維15〜35重量%、アクリル繊維3〜15重量%及びレーヨン繊維1〜7重量%を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の紙のお香。
[7](A1):香料及び0.2〜6重量%の助燃剤を含有する配合液を調製する工程;
及び
(A2):前記配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、香料及び助燃剤を前記紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
を含む、紙のお香の製造方法。
[8](B1):香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液と、を調製する工程;
(B2):前記第1の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし、0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び
(B3):前記第2の配合液に、香料を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
を含む紙のお香の製造方法。
[9](C1):香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液とを調製する工程;
(C2):前記第2の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び
(C3):前記第1の配合液に、助燃剤を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
を含む紙のお香の製造方法。
[10][1]〜[6]のいずれかに記載の紙のお香の大きさを調節し、お香の燻煙の蒸散時間を調整する方法。
本発明のお香は、従来提案されている紙製担体を用いるお香とは異なり、紙製担体の中心部を含む全体にお香成分が均一に含浸されており、安定した状態で燻煙を持続できる。また、タール分の発生を低減し、煙による香りの素早い拡散を維持することができる。
さらに、本発明の紙のお香は、担体が紙であるため着火しやすく、助燃剤を均一に含有するため持続的に薫煙し、壊れにくく持ち運びも容易なシート状形状のため、取扱いが容易であり、部屋の広さや所望の匂いの強さにあわせて紙のお香の大きさを調節できるなど、従来のお香や室内フレグランスよりも使用場面が広がる点でも有利である。
本発明の製造方法は、特許文献5に開示されている製法とは異なり、嵩高で多孔性の紙製担体に、香料成分を含む配合液を含浸させる簡単な方法で燃焼、香り、色などの様々な機能を後加工で容易に且つ自在に付与できる。本発明の製造方法は、粉末基材を用いず、香料を紙製担体に含浸させる際に抄紙工程を要しないため、熟練の技術や特別な装備も不要であり、労働力も確保しやすく、製造単価も低く抑えられる。
図1は、本発明の紙のお香を示す写真である。 図2は、紙のお香(実施例1)の使用(燻煙)状態を時系列で示す写真である。 図3は、紙製担体のみ(比較例1)を燃焼させた状態を時系列で示す写真である。 図4は、本発明の紙のお香と、特許文献6に記載の方法で作製した和紙のお香(比較例2)との燻煙状態の比較を時系列で示す写真である。 図5は、本発明の紙のお香と、香料を含むが助燃剤を含まない紙のお香との燻煙状態の比較を時系列で示す写真である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の紙のお香は、従来の草木粉末(樹皮粉末など)や炭粉末を基材とするお香とは異なり、特定の原料から製造される紙を基材とすることを特徴とする。
本発明の一態様は、マーセル化針葉樹パルプを原料とする0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体に、香料及び0.5〜5重量%の助燃剤を含させてなることを特徴とする紙のお香である。
本発明の紙のお香は、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体を用いることを特徴とする。
マーセル化針葉樹パルプとは、針葉樹パルプをクラフト法でパルプ化した後にマーセル化処理を施して得られるものをいう。パルプのマーセル化は、パルプに含まれるセルロースを水酸化ナトリウム等のアルカリで処理することにより行われる。マーセル化は公知の方法により行うことができ、例えば原料パルプをアルカリ水溶液に浸漬する方法や、噴霧等でアルカリ水溶液を原料パルプに含浸させる方法により行われ、アルカリ水溶液としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム等の塩(水酸化物、酸化物、炭酸化物等)やアンモニア水等を用いることができる。マーセル化針葉樹パルプとしては、例えば、ポロサニアパルプ(商品名:Porosanier-J‐HP、レオニア社製)やウルトラニアパルプ(商品名:Ultranier-J、レオニア社製)として市販されているものを用いることができ、ポロサニアパルプを用いることが特に好ましい。マーセル化処理によって単繊維強度が増加し、繊維間の水素結合が形成されにくくなるため、マーセル化パルプを使用した紙は、強度が高く剛直で、嵩高な低密度の紙となる。特にマーセル化針葉樹パルプは繊維が長く比較的嵩高いため、空気や液体の通過性及び浸透性に優れ、多孔性に富んだ嵩高い紙を製造できる。このような特性により、紙製担体の中心部に至るまで、全体にお香成分を均一に含させることができることに加え、燃焼時には担体内で空気の流れが形成されることから、お香の燻煙を安定的に持続させることができる。また、和紙に似た独特の風合いや肌触りの紙製担体とすることで、高級感のあるお香製品を提供することもできる。紙製担体に含まれるマーセル化針葉樹パルプの含有量は特に限定されないが、紙製担体全体量に対して、通常15〜40重量%であり、好ましくは20〜38重量%、さらに好ましくは25〜35重量%である。この範囲とすることにより、空気の通気性が低下することなく、安定した薫煙持続効果が得られ、香料成分の含浸に最適な嵩高さを実現することができる。本発明で用いることができるマーセル化針葉樹パルプの長さ加重平均繊維長は、通常1.5mm以上であり、好ましくは1.7mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上である。この範囲とすることにより、強度が増加し、配合液への浸漬・乾燥工程を経ても、紙の腰強度や風合いを残すことができる。本発明で用いることができるマーセル化針葉樹パルプの密度は、通常0.7g/cm未満であり、好ましくは0.6g/cm未満、さらに好ましくは0.5g/cm未満である。この範囲とすることにより、マーセル化針葉樹パルプを使用した紙が嵩高い低密度な紙となる。
紙製担体は、マーセル化針葉樹パルプに加えて、「マーセル化針葉樹パルプ以外の他の針葉樹パルプ以下「N材」と略す。)を原料として含んでいてもよい。N材は繊維が長く、より丈夫な紙を製造できる。マーセル化針葉樹パルプ以外の他の針葉樹パルプ(N材)の含有量は特に限定されないが、紙製担体全体量に対して、10〜35重量%、好ましくは15〜33重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。
紙製担体は、さらに、バインダ繊維を含んでいてもよい。バインダ繊維とは、繊維間を連結(例えば、融着による連結)させるバインダの役割を果たす短繊維をいう。バインダ繊維としては、単繊維、又は芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型などの複合繊維を用いることができる。本発明に用いられるバインダ繊維は特に限定されないが、芯鞘型の複合繊維が好ましく用いられる。芯鞘型複合繊維としては、ポリエステル系共重合樹脂−ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂−ポリエステル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂−ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂−ポリプロピレン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂などの組み合わせが挙げられ、ポリエステル複合繊維を用いることが好ましい。これらは市販のものであってもよく、例えば、ポリエステル複合繊維ソフィットN720 2.2×5(株式会社クラレ)として市販されているものを用いることができる。バインダ繊維を用いることにより、紙の強度(クラーク剛度)が向上する。紙製担体に含まれるバインダ繊維の含有量は特に限定されないが、通常15〜40重量%であり、好ましくは20〜38重量%、さらに好ましくは25〜35重量%である。この範囲とすることにより、強度が不足して腰折れすることもなく適切な硬さの紙製担体が得られ、また燃焼時に化学臭を発生させることもない。
紙製担体は、さらに、アクリル繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維などの化学繊維、天然繊維などを含んでいてもよい。これらの繊維を含むことで、これらの繊維に由来する特性も併せてもたせることができる。
化学繊維としては、アクリル、レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィンなどが挙げられ、これらは市販のものであってもよい。化学繊維としては、アクリルを用いることが好ましく、アクリル及びレーヨンを組み合わせて用いることがより好ましい。アクリルは嵩高性に富み、湿潤時の強度や寸法安定性に優れていることから、含侵乾燥に耐える強度を与えて伸縮を防止し、かつ製品に寸法安定性を与えることができる。市販のアクリル繊維としては、例えば、ボンネルMVP(三菱レイヨン社)を用いることができる。アクリル繊維の含有量は特に限定されないが、紙製担体全体量に対して、通常3〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%、さらに好ましくは7〜13重量%である。この範囲とすることにより燃焼時に化学臭が発生したり、乾燥時に伸縮が発生したりすることを防止できる。レーヨンを用いることで、紙をさらに補強するとともに、柔らかさを付与し、光沢があり手触りのよい紙を得ることができる。レーヨン繊維の含有量も特に限定されないが、紙製担体全体量に対して、通常1〜10重量%であり、好ましくは3〜7重量%である。天然繊維としては、楮、ミツマタ、ケナフ、竹、***、亜麻、マニラ麻、苧麻、ジュート、木綿、木材パルプ(L材)、古紙などが挙げられる。L材を原料として含む場合、その含有量は特に限定されないが、紙製担体全体量に対して、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下であり、L材を含まないことが特に好ましい。紙製担体は、例えば、マーセル化針葉樹パルプに、アクリル、レーヨン、ポリエステル複合繊維、及びN材から選ばれる1種又は2種以上の繊維を組み合わせて原料とすることが好ましい。紙製担体の製造に用いる原料の比率は特に限定されないが、例えば、マーセル化針葉樹パルプ15〜40重量%に、N材20〜28重量%、アクリル繊維3〜15重量%、レーヨン繊維1〜7重量%、バインダ繊維としてポリエステル複合繊維15〜35重量%の比率が望ましい。
紙製担体は、これら繊維に加えて、紙の製造に一般的に用いられるその他の成分、例えば、填料、染料などを1種類又は2種類以上さらに含有することができる。
本発明で用いる紙製担体は、上記の繊維を原料として、通常の抄紙工程に従って製造することができる。ただし、本発明に用いる紙製担体に合紙は含まれない。接着剤により複数の紙を貼り合わせて合紙した場合、含工程や乾燥工程において紙の接着状態を維持することが難しく、お香の燃焼時に接着剤成分が揮発することにより不快臭を発する。
紙製担体の量は、特に限定されないが、紙のお香全体量に対して、例えば、70〜95重量%、好ましくは80〜90重量%、より好ましくは80〜85重量%とすることができる。また紙製担体の目付は通常140〜160g/mであり、145〜155g/mであることが好ましい。目付量が少ないほど紙製担体の厚さが薄くなる。紙製担体の厚さが薄くなりすぎると通気性が向上して燃焼効率も上昇することから着火から燃え尽きるまでの時間が短くなる。逆に、目付量が多いほど紙製担体の厚さが厚くなり、燃焼速度が遅くなる。紙製担体の厚さは、通常、0.1mm〜2mm、好ましくは0.2mm〜1mm、さらに好ましくは0.3mm〜0.7mmとすることができる。この範囲とすることにより、香料成分を十分に含浸させることができ、また香りを十分に拡散させるために十分な燃焼速度を達成し、安定した薫煙持続効果を得ることができる。
紙のお香は、紙製担体に香料及び助燃剤を含させてなる。また、その他の成分として、無機化合物、結着剤、着色剤などを含させていてもよく、芳香効果のほか、消臭・殺菌効果や、駆虫効果などを付与する場合は、さらなる機能性成分を含させることもできる。紙のお香は、例えば、有機溶剤及び水から選択される1種又は2種以上の溶剤に、香料、助燃剤、その他成分を溶解又は懸濁させた配合液を調製し、紙製担体を配合液に浸漬させることで各種成分を含浸させることにより製造することができる。
香料の種類は特に限定されないが、漢薬抽出エキス、液体香料、エッセンシャルオイルなどの香料を1種類又は2種類以上組み合わせて含有させることができる。漢薬抽出エキスの材料としては、木香、甘松香、白檀、カッ香、香附子香、冷陵香、安息香、乳香、桂皮、丁子、ウイキョウ、没薬、竜脳、貝香、唐木香、沈香、伽羅など公知のものを抽出したエキスを使用することができる。液体香料としては、天然香料及び合成香料があり、これらは市販のものを使用すればよい。また、植物などから抽出されるエッセンシャルオイルを使用しても良い。前記エッセンシャルオイルとしては、例えば、アニスシード、アーモンドビター、アミリス、アンジェリカルート、ウインターグリーン、エレミ、オールスパイスベリー、オレンジ、オニオン、オレンジマンダリン、オレンジスウィート、カジェプット、カラマスルート、カンファーホワイト、カルダモンシード、カモマイルジャーマン、カモマイルローマン、カモマイルワイルド、ガルバナム、ガーリック、キャロットシード、クローブバッズ、コリアンダーシード、クミンシード、バジルスウィート、ベンゾインアブソルート、ベルガモット、バーチスウィート、サイプレス、サンダルウッド、シナモンバーク、シダーリーフ、シダーアトラス、シダーウッドレッド、セロリーシード、シナモンバーク、シナモンリーフ、シトロネラ、スペアミント、スプルース、セイジクラリー、セイジダルマティアン、セイバリーサマー、バニラ、バーボン、ユーカリ、ユーカリレモン、フェンネルビター、フェンネルスウィート、ファーニードル、フランキンセンス、ジェラニューム、ジンジャー、グレープフルーツ、タイムレッド、タイムホワイト、トルーバルサム、ヘリクリサム、ホップフラワー、ヒソップ、ジャスミンアブソルート、ジュニパーベリー、ライム、ラバディン、ラベンダー、ラベンダーフラワー、ラベンダースパイク、レモン、レモングラス、ローレルリーフ、ロベジルート、マージョラムスウィート、マージョラムワイルド、マートル、ミラーガム、メリッサ、ネロリ、ナツメグ、パルマロサ、パチョリ、ペッパーブラック、ペパーミント、ペルーバルサム、ペティグレイン、パイン、ローズアブソルート、ローズオットー、ローズマリー、ローズウッド、マリーゴールド、タンジェリン、ティートゥリーなどが挙げられる。香料成分の含浸量(付香率)は、特に限定されないが、紙のお香全体量に対して、例えば、1〜45重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜37重量%とすることができる。香料を配合液に懸濁又は溶解させて用いる場合は、配合液全体量に対して、例えば、2〜30重量%の濃度、好ましくは3〜25重量%の濃度、より好ましくは5〜20重量%の濃度に調整することができる。配合液を2種以上用いる場合には、各配合液を100重量%とした場合の含有量を示す。この範囲とすることにより、紙のお香から香料成分がにじみ出ることもなく、お香の意匠を損なうことがない。
助燃剤としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウムなどの硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸塩などが挙げられる。香りが少ないこと、安全性が比較的高いこと、水溶性であることなどを考慮すると、硝酸塩を用いることが好ましく、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムを用いることがより好ましい。助燃剤の量は、所望の燃焼速度に応じて適宜設定すればよいが、紙のお香全体量に対して、0.5〜5重量%、好ましくは1〜4.5重量%、より好ましくは2〜4重量%とすることができる。助燃剤は、紙製担体に均一に分散させるために、通常液体に溶かしたものを用いることが好ましいが、粉末のままであってもよい。助燃剤を配合液に懸濁又は溶解させて用いる場合、配合液中の助燃剤の量は適宜設定すればよいが、配合液全体量に対して、例えば、0.2〜6重量%であり、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは2〜3重量%とすることができる。薫煙速度及び薫煙状態を最適な状態とするためには、配合液中の助燃剤の含有量を2〜3重量%、お香中の含有量を2〜4重量%とすることが特に好ましい。お香中の助燃剤の含有量が多すぎると線香花火のように火花がはじけることがある。
お香が含み得る無機化合物としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルクからなる群から選択される1種又は2種以上の無機化合物を用いることができる。これらの無機化合物は、燃焼を和らげて燃焼速度を調整したり、紙のお香に白色を与えて染色しやすくしたり、灰を白くするために用いられる。紙製担体の灰には色が付きやすいことから、灰を白くするため、好ましくは酸化チタンを用いる。無機化合物は、紙製担体に含させてもよく、紙製担体の原料として用いてもよく、香料成分の配合液に添加してもよい。これらの無機化合物の添加量は、所望の特性に応じて適宜変更することができるが、紙のお香全体量に対して、通常、0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%とすることができ、配合液全体量に対して、通常、0.5〜4重量%、好ましくは0.7〜2重量%とすることができる。これらの範囲とすることにより、燃焼が速くなり過ぎたり、燃焼が抑制され過ぎて立ち消えしたりなどの不安定な燃焼状態を回避することができ、また灰が固まり、まとまって落下して周囲を汚すことも防止できる。
結着剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;デンプングリコール酸ナトリウムやデンプンリン酸エステルナトリウムなどのデンプン誘導体;アルギン酸ナトリウムやアルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸誘導体;ならびにポリビニルアルコール、グアーガム、及びその誘導体などの有機系結着剤;からなる群から選択される1種又は2種以上の結着剤を含んでよい。結着剤の量は、特に限定されないが、紙のお香全体量に対して、通常、1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%とすることができ、配合液全体量に対して、通常、0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%とすることができる。これらの範囲とすることにより、お香を燃焼させたときの結着剤の臭いの発生を防止することができる。
自然色以外の色を紙のお香に付与するために、着色剤を添加してもよい。着色剤は、燃焼や香りに影響が出ない程度の量で用いることが好ましい。着色剤としては、例えば、食用色素(例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号)、無機顔料(酸化鉄、酸化チタン)、天然系色素(例えば、β−カロチン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム)、天然系色素誘導体(銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム)、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ウラニン、セダーウッドなどが挙げられる。着色剤の量は、紙のお香全体量に対して、通常、0.02〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%とすることができ、配合液全体量に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%とすることができる。
紙のお香には、消臭・殺菌成分の1種又は2種以上を組合せて含有させることができる。これら成分としては、例えば、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンなどのカテキン類、ケルセチン、アントシアニジン、イソフラボン、サンフラボンなどの植物抽出物などが挙げられる。消臭・殺菌成分の量は、紙のお香全体量に対して、通常、0.5〜4重量%、好ましくは1〜2重量%とすることができ、配合液全体量に対して、通常、2〜15重量%、好ましくは5〜10重量%とすることができる。
紙のお香には、駆虫成分の1種又は2種以上を組合せて含有させることもできる。これらの成分としては、除虫菊エキス、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルスリン、デルタメスリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フェンプロパスリン、エムペンスリン、シラフルオフェン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物;フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物;カルバリル、プロポクスル、メソミル、チオジカルブ等のカーバメート系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物;メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長制御化合物;クロルフェナピル等のピロール系化合物;ベンジルアルコール、ハッカ油等の殺虫性精油類;ディート、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、エチル−ブチルアセチルアミノプロピオネート、p−メンタン−3,8−ジオール、シトロネラ油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、ゲラニウム油、月桃油、蚊連草等の忌避剤などが挙げられる。これら成分の量は、紙のお香全体量に対して、通常、0.1〜8重量%、好ましくは2〜5重量%とすることができ、配合液全体量に対して、通常、2〜15重量%、好ましくは5〜10重量%とすることができる。
また、紙製担体にこれら成分を含浸させるため、有機溶剤や水に溶解又は懸濁させて用いることができ、必要に応じて、乳化剤、抗菌剤などをさらに用いてもよい。有機溶剤としては、エタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。配合液中の溶剤の量は、配合液全体量に対して、通常、50〜80重量%、好ましくは60〜70重量%である。乳化剤としては、デンプン、アラビアガム、シクロデキストリンなどが挙げられる。配合液中の乳化剤の量は、配合液全体量に対して、通常、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%とすることができる。抗菌剤としては、安息香酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、デヒドロ酢酸及びその塩、パラオキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。配合液中の抗菌剤の量は、配合液全体量に対して、通常、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%とすることができる。
紙のお香は、燃焼させて使用する場合、部屋の広さや使用時間に合わせてシートの大きさを調節することができ、所望の大きさにカットしてから使用することもできる。また、紙製担体にミシン目を付し、消費者が容易にカットできるように加工したものでもよい。一方、紙製担体に香料成分を含浸させた紙のお香は、直接火を点けて燃焼させて燻煙により香りを拡散させることができるが、火をつけない場合にも香料成分が蒸散するため、香りを楽しむことができる。
紙のお香の形態としては、特に限定されるものではないが、シート状を好ましくあげることができる。シート状とは、厚みに対して二次元平面の面積(又は長さや幅)が大きい形状を意味する。紙製担体の厚さは、通常、0.1mm〜2mm、好ましくは0.2mm〜1mm、さらに好ましくは0.3mm〜0.7mmとすることができる。シート状の紙のお香の形状は特に限定されず、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形、多角形、その他所望の二次元形状などに加え、幅に対して長さが十分に長い長尺片としてもよい。シート状の紙のお香の大きさは使用態様に合わせて適宜設定することができる。例えば、横1mm〜1000mm×縦1mm〜1000mm、好ましくは横10mm〜100mm×縦10mm〜100mm、より好ましくは横70mm×縦80mmのシートとして、薫煙時間を調整することができる。あるいはシート状の紙のお香を消費者が所望の大きさにカットしてから使用することができるように、ミシン目を付してもよい。例えば、ミシン目によりカットすることができる幅を1mm〜50mm、好ましくは2mm〜20mm、より好ましくは5mm〜10mmとすることができる。また、シート状に限定されず、立体形状としてもよい。立体形状の紙のお香は、平面形状の紙のお香を立体形状に後加工してもよく、あるいは立体形状に予め加工した紙製担体に香料成分を含浸させてもよい。消費者がシート状の紙のお香を折り紙のように折って立体形状に加工できるように、折り線や折り順を示す数字などをシート状の紙のお香に印刷してもよい。立体形状は特に限定されないが、お香の用途に応じて、動物(鶴など)や花(バラ、菊など)の形状が挙げられる。
紙のお香は、(A1):適量の香料及び0.2〜6重量%の助燃剤を含有する配合液を調製する工程;及び(A2):前記配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体を浸漬させて、香料及び助燃剤を前記紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;を含む製造方法により製造することができる。あるいは、(B1):適量の香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液を調製する工程;(B2):前記第1の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び(B3):前記第2の配合液に、香料を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;を含む製造方法により製造することができる。あるいは、(C1):適量の香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液を調製する工程;(C2):前記第2の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び(C3):前記第1の配合液に、助燃剤を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;を含む製造方法により製造することができる。
紙製担体は、マーセル化針葉樹パルプを原料として通常の抄紙技術を用いて製造することができる。紙製担体の厚さは、0.1〜2mmとすることができる。上述の香料、助燃剤、必要に応じてその他原料を混合して1種の配合液を調製するか、上記原料の1種又は2種以上を別々に混合して2種以上の配合液を調製し、紙製担体を各配合液に浸漬させるか、紙製担体に各配合液を塗布して、配合液に含まれる原料を紙製担体に含浸させ、乾燥させることにより紙のお香を製造することができる。配合液は、有機溶剤および水から選択される1種又は2種以上の溶媒を含む。配合液には、必要に応じて、乳化剤、抗菌剤などを添加してもよい。配合液はたとえば、溶媒に各原料を添加し、必要に応じてホモジナイザーなどを用いて、通常、5〜30分間、好ましくは10〜20分間、均一に撹拌することにより調製することができる。次いで、通常、0.5〜2分間、好ましくは1〜1.5分間、紙製担体を配合液に浸漬させる。香料成分が含浸された紙製担体を配合液から引き上げて、通常、70〜80℃で1〜2分間、好ましくは50〜60℃で3〜4分間乾燥させる。この際、必要に応じて、金網などに挟みながら乾燥すると、しわの少ない紙のお香を製造することができる。乾燥後の紙のお香の形状は、製品の種類により適宜変更することができる。
1種の配合液を用いる場合には、例えば、香料、助燃剤、その他の原料、必要に応じて乳化剤を、溶媒(例えば、水)に懸濁あるいは溶解させ、必要に応じてホモジナイザーで撹拌して配合液を調製する。次いで、配合液に紙製担体を浸漬させて、配合液に含まれる成分を紙製担体に含浸させ、乾燥し、必要に応じて定寸及び所定形状にカットすることにより紙製担体を製造する。1種の配合液を用いる方法は、1つのラインで含浸・乾燥工程を行うことができるため、工程数が少ない点で有利である。また、配合液への紙製担体の浸漬・乾燥工程において、配合液を含浸した紙製担体のしわを伸ばす作業など、設備や技術が必要となる工程も最小限に抑えられる点でも有利である。
2種の配合液を用いる場合には、例えば、香料と、その他の原料(例えば、結着剤など)を、溶媒(例えば、エタノール)に懸濁あるいは溶解させた第1の配合液と、助燃剤と、その他の原料(例えば、無機化合物、結着剤、着色剤、抗菌剤など)、必要に応じて乳化剤を、溶媒(例えば、水)に懸濁あるいは溶解させた第2の配合液を用いることができる。2種以上の配合液を用いる方法は、各原料が溶解しやすい溶媒を選択できるため、原料を紙製担体に含浸させやすいことや、原料の性質に応じて浸漬時間や乾燥時間をそれぞれ調整できる点で有利である。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:紙のお香の製造
[紙製担体の製造]
以下の表1に記載の配合比の原料を用い、常法に従って、湿式抄紙法により紙製担体(目付:140g/m、厚み:0.5mm〜0.55mm)を製造した。紙製担体の原料として用いたマーセル化針葉樹パルプは、2.4mmの長さ加重平均繊維長(LWAFL)、130ml/秒・cmのフラジール多孔度(Frazier porosity)、さらには表2に示す物理的特性を有していた。得られた紙製担体を70mm×80mmにカットした。
[紙のお香の製造]
以下の表3に記載の配合に従って、アラビアガム、硝酸カリウム、抗菌剤をそれぞれ秤量し、温水(40〜50℃)の中に加え、撹拌機にて2分間撹拌した後、香料及び着色剤をさらに加え、1分間撹拌し、配合液を調製した。上記で製造した紙製担体を配合液に30秒間浸漬した後、取り出して、乾燥網の上で2日間自然乾燥させ、紙のお香を製造した(図1)。紙のお香の重量に対する香料の重量(付香率)は35%であった。得られた紙のお香をさらに5mm×80mmにカットして、短冊状の紙のお香も製造した。
紙のお香に用いた紙製担体は純白性が高いことから、図1に示されるように着色も鮮やかであり、着色剤の色合いがそのまま反映されることが確認できた。また、お香成分を含侵した後も、紙製担体の腰強度や風合いが残されており、製品の美観も優れていた。
[燃焼評価・結果]
着色剤は食用黄色4号とした以外は上記で製造した本発明の短冊状の紙のお香(図2)、香料成分を含浸させない紙製担体のみ(対照1:図3)、特許文献6に記載の製法により作製した和紙のお香(対照2:図4)、助燃剤を含まない紙のお香(対照3:図5)の燻煙状態を比較した。
本発明の紙のお香と対照2種をそれぞれ不燃マットの上に置き、一方の端から火をつけた(図2〜4の写真(1))。いずれも着火は容易であったが、本発明の紙のお香は途中で立ち消えせずに8分間燃焼が持続し、紙のお香の形状を維持した灰が残ったのに対し、対照1の紙製担体のみでは炎を消すと火種も消え、その後の燃焼を維持することができなかった(図3の写真(2))。対照2の和紙のお香は燻煙を持続したがすべてが消失して灰が残らなかった(図4の写真(1)〜(6))。対照3の紙のお香は燻煙状態が持続しなかった(図5の写真)。本発明の紙のお香は、嵩高で多孔性の紙製担体及び適量の助燃剤を用いたことにより、お香を燃焼させた時に、お香の担体内に空気の流れが形成され、燻煙が安定的に持続したものと推察する。
本発明の紙のお香を8畳間で燻らすと、煙の効果により短時間(2〜3分)で香りがストレートに拡がり、ボリューム感のある香りが部屋全体で確認できた。紙製担体の吸香率は極めて高いことから、香料の含有量を増減させて香りの強弱を調節することにより、香料の種類や製品の特徴に合わせて多様な展開を行うことができる。
なお、本発明の紙のお香は従来の粉末担体を用いるお香のように原料臭を発することはなく、タール分も少ないことから壁を汚すなどの問題は発生しなかった。
実施例2:紙のお香の製造
[紙のお香の製造]
以下の表4に記載の配合に従って、α−シクロデキストリン、硝酸カリウム、抗菌剤をそれぞれ秤量し、温水(40〜50℃)の中に加え、撹拌機にて2分間撹拌した後、香料及び着色剤をさらに加え、1分間撹拌し、配合液を調製した。上記で製造した紙製担体を配合液に30秒間浸漬した後、取り出して、乾燥網の上で2日間自然乾燥させ、紙のお香を製造した。紙のお香の重量に対する香料の重量(付香率)は32%であった。得られた紙のお香をさらに5×80mmにカットして、短冊状の紙のお香も製造した。
実施例1で製造した紙のお香と同様に、着色も鮮やかであり、紙製担体の腰強度や風合いが残されていた。
[燃焼評価・結果]
上記で製造した短冊状の紙のお香に火をつけると、実施例1の紙のお香と同様に、着火は容易であり、途中で立ち消えせずに燃焼が持続した。香りの強さや拡がりも充分で、従来の粉末担体を用いるお香のように原料臭を発することもなかった。
実施例3:各種紙に対する吸着量の比較
[紙のお香の製造]
実施例1において用いた紙製担体と、対照として2種類の紙を準備し、エタノール溶液に30秒間浸漬した後、取り出した。
[結果]
実施例1で用いた紙製担体、対照4(手漉厚口和紙)の配合液に浸漬させる前後の重量を測定し、各種紙の重量に対するアルコールの重量を吸着率として計算した結果を、下記表5に示した。表5に示されるように、手漉和紙の吸着率が180%であるのに対して、実施例1で製造した紙製担体へのアルコールの吸着率は300%と非常に高かった。
以上の結果から、マーセル化針葉樹パルプを原料とする紙製担体を用いて製造された紙のお香は、十分な量の配合液成分を含させることができることが判明した。この吸着試験の結果から、本発明の紙のお香は香料及び助燃剤の吸着量が従来の紙と比較して増加することが理解できる。また、この吸着量の増加が、本発明の紙のお香の安定した薫煙持続効果と、香りの高い拡散効果に寄与していることが理解できる。
実施例4:助燃剤(硝酸カリウム)含有量の評価
[試料の調製]
硝酸カリウムを水に溶解させて、0.5重量%及び5重量%の硝酸カリウム配合液を調製した。紙製担体として実施例1において製造した紙(10cm×10cm)を用意し、調製した各配合液に、各5枚の紙製担体を1分間浸漬させた。その後取り出して、室温で3日間乾燥させ、助燃剤を含有する紙製試料を合計10枚製造した。
[結果]
0.5重量%硝酸カリウム配合液を用いて製造された紙製試料に含まれる硝酸カリウム含有量は、2.7〜3.5重量%であり、平均3.36重量%であった。また、5重量%硝酸カリウム配合液を用いて製造された紙製試料に含まれる硝酸カリウム含有量は、3.3〜3.5重量%であり、平均3.42重量%であった。0.5重量%硝酸カリウム配合液を用いた場合に各サンプル中の硝酸カリウム含有量に少しバラツキが確認されたものの、0.5重量%及び5重量%のサンプルの平均含有量は同程度あることが確認された。
以上の結果から、紙製試料に含まれる助燃剤の量は、配合液中の助燃剤の含有量に大きく左右されないが、配合液中の助燃剤の含有量が少ない場合、助燃剤が担体に均一に含浸せず、薫煙箇所にバラツキが出ることが判明した。その結果、紙のお香が立ち消え寸前の状態を繰り返しながら薫煙し、平均して薫煙しにくくなるなど薫煙状態に影響することも確認された。一方で、配合液中の助燃剤の含有量が多くなりすぎると、含有量が少ない場合と同様に助燃剤が担体に均一に含浸せず、助燃剤の濃度の高い箇所で線香花火のように火花がはじけやすくなることも判明した。
これらの結果から、薫煙速度及び薫煙状態を最適な状態とするためには、配合液中の助燃剤の含有量を2〜3重量%程度とすることが特に好ましいことが判明した。
紙製担体に、後加工で薫煙持続機能の付与と香りづけを行うことにより、タール分の発生がごく少なく、やさしい煙による香りの素早い拡散及び長期の薫煙持続が可能となり、さらには粉末基材を用いず工程が少ないため製造容易で取扱い容易とすることが可能となる。

Claims (10)

  1. マーセル化針葉樹パルプを原料とする0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体に、香料及び0.5〜5重量%の助燃剤を含浸させてなる、紙のお香。
  2. 前記紙製担体は、アクリル繊維をさらに含む、請求項1に記載の紙のお香。
  3. 前記紙製担体は、バインダ繊維をさらに含む、請求項1又は2に記載の紙のお香。
  4. 前記助燃剤が、金属硝酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙のお香。
  5. 前記金属硝酸塩が、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムである、請求項4に記載の紙のお香。
  6. 前記紙製担体は、マーセル化針葉樹パルプ15〜40重量%、マーセル化針葉樹パルプ以外の針葉樹パルプ20〜28重量%、バインダ繊維15〜35重量%、アクリル繊維3〜15重量%及びレーヨン繊維1〜7重量%を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙のお香。
  7. (A1):香料及び0.2〜6重量%の助燃剤を含有する配合液を調製する工程;及び
    (A2):前記配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、香料及び助燃剤を前記紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
    を含む、紙のお香の製造方法。
  8. (B1):香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液と、を調製する工程;
    (B2):前記第1の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし、0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び
    (B3):前記第2の配合液に、香料を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
    を含む紙のお香の製造方法。
  9. (C1):香料を含有する第1の配合液と、0.2〜6重量%の助燃剤を含有する第2の配合液とを調製する工程;
    (C2):前記第2の配合液に、マーセル化針葉樹パルプを原料とし0.1mm〜2mmの厚みを有する紙製担体を浸漬させて、助燃剤を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;及び
    (C3):前記第1の配合液に、助燃剤を含浸させた前記紙製担体を浸漬させて、香料を紙製担体に含浸させ、乾燥する工程;
    を含む紙のお香の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙のお香の大きさを調節し、お香の燻煙の蒸散時間を調整する方法。
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