JP6162161B2 - 電気めっきセル及び金属皮膜の製造方法 - Google Patents

電気めっきセル及び金属皮膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、電気めっきセル及び金属皮膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、陰極(被めっき物)表面に簡便に金属皮膜を形成することが可能な電気めっきセル及びこれを用いた金属皮膜の製造方法に関する。
導電性基体上に簡便な方法で金属皮膜からなるパターン(以下、「金属パターン」ともいう)を形成する技術が求められている。従来は、金属パターン以外の部分をマスクして湿式電気めっきを行うことが最も一般的であった。ただし、マスク形成工程及びマスク除去工程が必要であり、めっき液の管理や廃液処理コストが高いという課題がある。
近年ではこのような課題の無い物理蒸着、スパッタリング等の「物理的方法」で金属皮膜を形成した後にマスキング部を除去する方法が採られつつある。ただし、これらの物理的金属皮膜形成方法は、一般に成膜スピードが遅く、真空系が必要であり、経済的な高速生産システムとは言い難い。
一方、マスキングが不要な別な方法として、導電性微粉とバインダーとを混合したインクをスクリーン印刷、インクジェット等の「印刷法」で塗布した後、バインダーを焼成除去する方法も行われている。しかしながら、これらの「印刷法」で体積比抵抗の小さな回路を形成することは、たとえ揮発性又は昇華性のバインダーを採用したとしても困難である。
ところで近年、電気めっきにおいては、所望部以外の電析を阻止し、マスキング不要な回路形成をなす試みとして、ゲル状電解質(特許文献1)やカチオン交換膜(特許文献2、3)を利用する試みがなされている。
これらの隔膜を用いた場合、例えば水溶液からの電析が比較的容易なCuめっきにおいては、室温で10mA/cm2程度の電流密度が得られる。しかしながら、更なる高速成膜(高電流密度電析)を行うためには、金属イオン濃度を高め、かつ温度を上げる操作をしなければならず、高コストとなっていた。
特に、電析反応(還元析出反応)が水素イオンの放電反応(水素発生反応)と競合する金属のイオン(例えば、ニッケルイオン、亜鉛イオン、すずイオン等の析出電位が卑な金属のイオン)を、水素イオン濃度の高い酸性〜弱酸性の水溶液から隔膜を用いて電析することは困難であった。
その理由の詳細は不明であるが、次の(1)〜(3)に示す理由によるものと思われる。
(1)電析部で水素が発生し、欠陥(ボイド)が形成される。
(2)析出過電圧が小さすぎて微粉状あるいは塊状に電析する。そのため、隔膜と陰極とを密着させて電析を行った場合には、隔膜と電析物とが噛み込む。
(3)水素発生に伴う陰極界面でのpH増加が原因で電析部に水酸化物が生成し、不働態化(浴電圧増加)が進行する。
隔膜を用いて電析した場合、陽極室液の水素イオンが隔膜の存在で遮られ、陰極界面でpHが上昇しやすい。そのため、上記課題が特に顕著となる。特に、隔膜と陰極とが密着している電気めっきセル(陰極室液なし)、あるいは陰極室液の量がごく少量の電気めっきセルでは、水素発生反応により生ずる水素量がごく少量である場合であっても、上記(1)〜(3)の影響により正常な電析が困難であった。そのため、ごく微量の水素発生しかしていないはずの貴金属イオンからの電析(例えば、Cuの電析)でも、その限界電流密度(成膜速度)は、陰極室液を有する通常の電気めっきセルに比べて格段に低いことが問題視されていた。
上記のように隔膜を用いた際に高速の電析が困難な根本的な原因としては、膜内のイオン及び同伴する水の移動性が十分でないこと、すなわち親水部にあるイオン導電パスの発達が不十分であることが考えられる。そのため、電析速度の高速化には、イオン導電パスの発達を促すことが有効と考えられる。
例えば、特許文献4には、電気めっき用の隔膜ではないが、微細空隙形成成分、マトリックス成分、及びイオン性重合体成分を含む溶液を成膜し、得られた膜から微細空隙形成成分のみを溶解除去することにより得られる電気透析(イオンの濃縮、分離)用のイオン性膜が開示されている。
同文献には、このような方法により、イオン性膜内の微細含水構造を発達させることができる点が記載されている。但し、上記方法は、成膜後に膜から微細空隙形成成分を除去する必要があるため、煩雑で経済的ではないプロセスである。
特許文献5には、電気めっき用の隔膜ではないが、フッ素系重合体材料からなる膜を水又は水に可溶な有機溶剤により100℃以上で膨潤処理することにより得られるプロトン交換膜型燃料電池用イオン交換膜が開示されている。
同文献には、高温で膨潤処理すると、イオン交換膜の含水率が、膨潤処理以前の状態に戻りにくくなる点が記載されている。但し、同文献に例示されている方法は、ナトリウム型のイオン交換膜に対して膨潤処理を行い、次いで酸体に戻すための酸処理(硫酸処理)を行う必要があるという課題がある。
特許文献6には、含フッ素高分子を骨格とするイオン交換膜を水溶性有機溶剤に浸漬膨潤後圧延もしくは延伸し、膜厚を減少させるイオン交換膜の加工方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、イオン交換膜の膜抵抗を低減させることができる点が記載されている。但し、この方法も、圧延工程が必要なだけでなく、更に汚染物除去のための酸洗浄を必要とする煩雑な方法である。
特許文献7には、イオン交換膜に水を保持させ、水を保持したイオン交換膜の形状を固定したまま乾燥させるイオン交換膜の製造方法が開示されている。
また、特許文献8には、陽イオン交換膜を有機溶媒で膨潤させ、次いで膜を強固な枠に取り付けて膜から溶媒を除去する方法が開示されている。
特許文献7、8に記載の方法は、寸法変化の低減を目的としたものである。特許文献7、8には、これらの方法により親水構造が発達して、含水率又はイオン導電性が大きく向上したという記述はない。
さらに、特許文献9には、溶液流延法により有機ポリマーを製膜する工程と、製膜により得られた膜を、水に可溶で沸点が100℃以上の有機化合物の水溶液中に浸漬して、平衡膨潤させる工程と、加熱処理により水を蒸発させて乾燥する工程とを備えたプロトン伝導膜の製造方法が開示されている。
同文献に記載の方法は、加熱工程が加えられているため、せっかく発達した親水構造が破壊され、高いイオン伝導性が得られないという問題がある。
次に問題となることは、上記の公知の方法で得られた隔膜が、必ずしも再現性良く高イオン導電性及び良好な電析性能を示さないことである。また、隔膜の親水部構造の良否を的確に判別する方法が提案された例は、従来にはない。
特開2005−248319号公報 特開2012−219362号公報 国際公開WO2013/125643号 特開2001−070768号公報 特開平6−342665号公報 特開平5−255522号公報 特開2014−086205号公報 特開昭57−023086号公報 特開2004−079378号公報
本発明が解決しようとする課題は、簡便に金属皮膜を形成することが可能な電気めっきセル及びこれを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、水素発生しやすい金属イオンを含むめっき液を用いて、マスクレスでパターン電析することが可能な電気めっきセル及びこれを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、再現性良く高速電析が可能であり、しかも、そのために隔膜の乾燥工程、酸処理工程、圧延工程などの煩雑なプロセスを必要としない電気めっきセル及びこれを用いた金属皮膜の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、隔膜の親水部構造の良否を的確に判別する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電気めっきセルは、
陽極室液を保持するための陽極室と、
前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜と
を備え、
前記隔膜は、小角X線散乱法により室温の水中で測定した散乱スペクトルにおいて、親水部構造に由来するピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)以下であるものからなる。
また、本発明に係る金属皮膜の製造方法は、本発明に係る電気めっきセルを用いて前記陰極の表面に金属皮膜を形成することを要旨ととする。
通常の方法を用いて成膜された隔膜に対して特殊な処理を施し、あるいは、特殊な条件下で隔膜を成膜すると、隔膜内の親水部構造が変化する。この親水部構造の良否は、小角X線散乱(SAXS)スペクトルの解析により的確に判別することができる。具体的には、SAXSスペクトルに現れる親水部構造に由来するピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)以下である場合、その隔膜は、親水部構造(イオンチャンネル)が十分に発達していることを示している。
このような隔膜を用いて電析を行うと、隔膜内におけるイオンの輸送がスムーズに行われる。その結果、高速電析が可能となり、かつ、電析時に金属水酸化物の沈殿が生成しにくくなる。また、水素発生しやすい金属イオンを含むめっき液を用いて、マスクレスパターン電析を高速で行うことができる。例えば、従来では高速成膜が困難であったニッケル等の金属パターンを導電性基体上に簡便に形成することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図である。 種々の条件下で成膜された隔膜の小角X線散乱(SAXS)プロファイルである。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 隔膜]
本発明に係る電気めっきセルは、陽極室液を保持するための陽極室と、前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜とを備えている。電気めっきセルは、陰極室液を保持するための陰極室をさらに備えていても良い。
本発明において、隔膜は、小角X線散乱法により室温の水中で測定した散乱スペクトルにおいて、親水部構造に由来するピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)以下であるものからなる。この点が、従来とは異なる。
[1.1. 隔膜の材料]
隔膜が備える必要条件として、以下の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)めっきする金属イオンに電圧を加えた場合に、金属イオンを陽極室から陰極室(又は、陰極の表面)に移動させることができる。
(2)非電子導電性である(隔膜上に、金属皮膜が析出しない)。
(3)めっき浴中で安定である(陽極室液又は陰極室液に溶解せず、十分な機械的強度を保持する)。
(4)陽極として可溶性陽極を用いた場合、可溶性陽極で生成した微粒子(陽極スラッジ)の陰極室への拡散を防止できる(アノードバックとして働く)。
これらの条件を満たす限りにおいて、隔膜は、イオンを透過可能な細孔を有する中性の材料からなる膜(微多孔膜)でも良い。しかし、高速成膜を可能とするためには、隔膜の材料は、目的とする電析イオンの透過性を有する固体高分子電解質が好ましい。
電析すべき金属イオンがカチオンである場合、隔膜には、陽イオン交換基(カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基など)を有するカチオン交換膜を用いる。
一方、電析すべき金属イオンがアニオン(例えば、亜鉛酸イオン、すず酸イオン等の酸素酸アニオン、シアンイオン錯体など)である場合、隔膜には、陰イオン交換基(例えば、四級アンモニウム基)を有するアニオン交換膜を用いる。
カチオン交換膜の材料としては、例えば、
(1)カルボキシル基含有アクリル系樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂、カルボキシル基含有ポリアミド系樹脂、ポリアミド酸系樹脂(ポリアミック酸系樹脂)などのカルボキシル基含有樹脂、
(2)パーフルオロスルホン酸樹脂などのスルホン酸基含有樹脂、
(3)ホスホン酸基含有樹脂、
などがある。
耐熱性、耐薬品性、及び機械的強度が大きい観点から、カチオン交換膜は、フッ素系カチオン交換膜が好ましく、特にパーフルオロスルホン酸樹脂膜などのパーフルオロ系電解質膜が好ましい。
隔膜は、1種類の材料からなるものでも良く、あるいは、2種以上の材料からなるものでも良い。また、隔膜は、2種以上の材料の接合体、ポリマーアロイ、積層体、又は複合体であっても良い。さらに、隔膜は、アルミナ、シリカ等を固体高分子電解質に分散させた有機/無機ハイブリッド膜でも良い。
[1.2. 固体高分子電解質膜の利点]
以下に、隔膜として、固体高分子電解質膜が特に好ましい理由を記す。これは、原理的に固体高分子電解質膜を利用すると、中性隔膜(微多孔膜)を用いた場合に比べ、高速めっきが可能となるためである。
限界電流密度IL(最大電析速度)は、金属イオンの拡散定数D、価数z、電析イオン濃度C、電析面での拡散層厚さδ、電析イオンの輸率αとにより(1)式で表される(「ニッケルめっきの限界電流密度について」、星野重夫他、金属表面技術、vol.23、No.5、1972、p263)。
L=DzFC/(δ(1−α)) ・・・(1)
(1)式より、めっきの高速化には、電析イオンの輸率αをできるだけ大きくすることが有効であることがわかる。
中性の隔膜を用いた電気めっきでは、隔膜中の金属イオンの輸率αは、α=0.5前後である。一方、固体高分子電解質膜はイオンの輸率が大きく、カチオン交換膜ではαが1に近いものが存在する。そのため、(1)式より、大きな限界電流密度ILが得られることが理解される。
ところで、固体高分子電解質にあっては、αの値が1よりかなり小さいものが存在する。この場合、対イオンとして本来動かないはずのイオンが膜を透過し、漏洩する。例えば、カチオン交換膜を隔膜として中間に置き、純水と陽極室液とを隔てた場合、外部電場がない場合でも次第にアニオンが陽極室液から純水側に漏洩してくる。特に、アニオンの中でも水酸化物イオンOH-は、拡散速度が他のアニオンに比べて著しく大きく、漏洩しやすい。
また、このOH-の漏洩量は、陽極室液のpHが高く、高温で長時間放置する場合に多くなる。これは、pHが高い高温の陽極室液で長時間電析した場合、陰極や膜内で金属水酸化物が沈殿しやすくなることを示唆している。
なお、上記のようにα<1の場合、電気的中性を保つために、カチオンもアニオンと対になり、電析面に漏洩してくる。例えば、緩衝剤成分又は不純物成分として陽極室液中に一般的に含まれているNa+、K+等のアルカリ金属イオンは、水和イオン半径が小さく、膜中の拡散速度が大きいため、OH-と対になって漏洩しやすい。即ち、陽極室液及び隔膜中にアルカリ金属イオン成分を含んだ状態において、隔膜の金属イオンの輸率が小さくなると、電析界面にアルカリ(NaOH、KOH等)が透過し、金属水酸化物が沈殿しやすくなることが理解される。
これらの理由で、目的イオンの輸率(電析イオンがカチオンの場合はカチオンの輸率、電析イオンがアニオンの場合はアニオンの輸率)が、できるだけ1に近い隔膜を用いるのが好ましい。以下、本発明の取り組みについて、さらに詳しく述べる。
[1.3. 水酸化物生成の抑制作用]
本発明において、固体高分子電解質は、金属イオンから金属水酸化物が生成するのを抑制する作用を持つ。例えば、電析物としてNiを、金属水酸化物としてNi(OH)2を考えると、その沈殿生成反応は、次の(2)式及び(3)式の平衡が成立しているとして理解される。
Ni2+ + 2OH- ⇔ Ni(OH)2 ・・・(2)
sp=[Ni2+]・[OH-]2=5.47×10-16
OH- + H+ ⇔ H2O ・・・(3)
w=[H+]・[OH-]=1.0×10-14
即ち、金属水酸化物の溶解度積Ksp、及び水のイオン積Kwから、ニッケルイオンを水酸化物として沈殿させないニッケルイオン濃度=[Ni2+]、及びpHが計算される。(2)式から明らかなように、水酸化物を生成させないためには、電析面でのNi2+イオン濃度をできるだけ減らし、かつOH-濃度を減らす(水素イオン濃度を増やす)ことが必要である。
本発明で用いる固体高分子電解質は、イオンを透過させる親水構造が発達しているため、Ni2+イオンを安定化させ、遊離のNi2+イオン濃度(活量)を減らし、上記(2)式の平衡を左に偏らせることにより、金属水酸化物の沈殿を抑制する。これらの効果について、以下にまとめて説明する。
[1.4. 小角X線散乱(SAXS)スペクトル]
本発明においては、隔膜内の親水部構造の良否をSAXSスペクトルにより解析する。一般に、固体高分子電解質の親水部構造の良否は、(A)含水率、及び(B)含水状態でのイオン導電率、で議論される。しかし、(A)及び(B)のみでは、膜が電析用途に適しているかの優劣は議論できない。
例えば、炭化水素系電解質膜においては、パーフルオロ系電解質膜よりも高い含水率及びイオン導電率(酸基割合、又はイオン交換容量に対応)を保持しているものが多い。ところが、実際に陰極室液が無い状態で電析を行うと、炭化水素系電解質膜は、パーフルオロ系電解質膜に比べてその限界電流密度が小さいことが多い。
一方、パーフルオロ系電解質膜の中でも、種類及び含水処理条件によって、その限界電流密度の値が大きく異なること、及び、その値は(2)式及び(3)式に必ずしも対応していないこと、が判明した。
そこで、これらの膜の親水部構造をSAXS法で解析したところ、解析方法を適正化することでこれらの膜の良否を判別できることを確認した。
例えば、SAXS法による固体高分子電解質膜の親水部構造については、橋本ら(高分子論文集、Vol.63、No.3、p166(2006))に記載されているように、ある親水クラスターモデルを仮定し、実測散乱スペクトルデータを近似してクラスター径やクラスター密度を計算し、それを議論することが行われている。また、国際公開WO2013/100079には、そのような解析で得られた親水部構造パラメータの値を限定したレドックスフロー電池用固体電解質膜が提案されている。
一方、Hauboldらは、実測散乱スペクトルにおいて、ピーク値(qpeak)に基づいて親水部クラスター間の距離を比較的簡単な方法で計算し、親水部クラスターの発達度合いを議論している(H.G.Haubold et al., Electrochimica Acta, vol.66(15)1559(2001))。しかしながら、これらの解析手法は煩雑であり、モデルの妥当性及び実測散乱スペクトルとモデル曲線との近似エラーが大きいことが問題である。
本発明では、複雑な解析にたよらず、計算の任意性が入らないように、Hauboldらが指摘しているピーク値(qpeak)が0.15Å-1(1.5nm-1)近傍にある材料に見られる親水部構造に着目し、膜の親水部の発達状況を検討した。その結果、このピーク値(qpeak)が室温含水状態で0.14Å-1(1.4nm-1)以下、特に好ましくは0.11Å-1(1.1nm-1)以下であると、電析において膜強度を保ったまま、限界電流密度を著しく大きくできることを見出した。
一方、ピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)を超えると、親水部の発達が不十分となる。そのため、膜内で水酸化物が生成し易くなり、高い電流密度で電析することが困難となる。
なお、通常の成膜工程で得られた隔膜のSAXSスペクトルおいては、0.15Å-1(1.5nm-1)近傍にピークが現れる。一方、後述する方法を用いて隔膜を処理すると、ピーク値(qpeak)が0.08Å-1(0.8nm-1)未満となるか、あるいは、明瞭なピークが見られなくなる場合がある。この場合、親水部が過度に発達した膨潤状態となるため、固体高分子電解質のみからなる膜では膜強度を保てないおそれが生じる。
このような場合、後述するように、固体高分子電解質は、膜補強構造体(支持材料)と複合化して用いることが好ましい。
隔膜としては、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度が大きい観点から、パーフルオロスルホン酸樹脂などからなるパーフルオロ系電解質膜が好ましいことを先に述べた。固体高分子電解質膜の中でも、パーフルオロ系電解質膜は、適切な処理を施すことによって、ピーク値(qpeak)が上述した範囲内となる。
一方、炭化水素系電解質膜の中には、未処理のまま、及び、後述する処理後において、親水部構造に基づく0.15Å-1(1.5nm-1)近傍の明瞭なピークを持たないものがある。これは、成膜後においてイオンチャンネルの形成が不十分であり、かつ、後述する処理を行っても構造変化がほとんど生じないことを示している。このような材料は、本発明の目的には不適当であると判断される。
[1.5. キャスト成型]
隔膜の製造方法としては、
(a)隔膜を構成する材料を有機溶媒に溶解又は分散させてキャスト溶液とし、これをガラス容器等に塗布し、その後加熱して有機溶媒を揮発させる方法(キャスト成型法)、
(b)隔膜を構成する材料を高温で溶融させ、押し出し成型機で膜化する方法(溶融押し出し成型法)、
などがある。
これらの内、キャスト成型法により得られた膜は、溶融押し出し成型法により得られた膜に比べて、ピーク値(qpeak)を0.14Å-1(1.4nm-1)以下の範囲に抑え易い。そのため、キャスト成型法は、隔膜の製造方法として好ましいことが判明した。
キャスト成型法が好ましい理由の詳細は、不明である。キャスト成型は、一般に押し出し成型に比べて成型(焼成)温度が低く、親水部構造を押しつぶさずに形成できるが、この点がピーク値(qpeak)に関係していると思われる。
また、キャスト成型においては、
(a)有機溶媒の種類、
(b)親水部を発達させる溶媒としての水と、親水部の過度の発達を防ぐ貧溶媒(極性の低い溶媒)との溶媒比(すなわち、キャスト溶媒中の水含有比率)、
(c)脱溶媒乾燥時の昇温の仕方、
(d)最高乾燥温度、
等により、親水部の発達を望ましい形にコントロールできると言われている。
これらの条件を最適化してキャスト成型し、あるいは、キャスト成型後に後述する処理を施すことで、電析時(含水時)に固体高分子電解質が水に相溶しなくなる。その結果、膜強度を維持したまま、高い限界電流密度が達成されたと考えられる。
キャスト成型においては、一般に、水と、アルコール、グリコール、セロソルブ(グリコールエーテル)等からなる親水性有機溶媒との混合溶媒が用いられる。親水部を発達させるためには、後述するように、水−セロソルブ系、又は、水−t−ブチルアルコール系の混合溶媒が好ましい。
キャスト成型時の乾燥最高温度は、120℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは130〜150℃である。乾燥温度が120℃未満では、焼成不足となり、含水状態での膜強度の低下が甚だしい。乾燥温度が180℃を超えると、酸基の脱離が始まり、膜のイオン導電性が低下するため、好ましくない。
キャスト成型後の膜に自立可能な程度の強度を持たせるためには、ある程度の乾燥が必要である。この時、乾燥条件を最適化すると、ピーク値(qpeak)を上述した範囲とすることができる。
一方、高強度の隔膜を得るためには、キャスト成型後に隔膜を十分に乾燥させる必要がある。しかし、過度の乾燥は親水部構造に悪影響を及ぼすことがある。このような場合には、キャスト成型後に、後述する処理を施すのが好ましい。キャスト成型と後述する処理とを組み合わせると、強固なイオンチャンネルの形成と高い膜強度とを両立させることができる。
[1.6. 膜補強構造体]
隔膜は、膜強度を維持し、かつ含水時の寸法変化を抑えるために、膜補強構造体をさらに含んでいても良い。
本発明において、膜補強構造体の材料や構造は、特に限定されない。
膜補強構造体としては、例えば、
(a)ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等からなる不織布、織布、又はメッシュ、
(b)延伸多孔化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔膜、
などがある。
特に、PTFE多孔膜は、隔膜の寸法変化を抑制し、かつ電解質との濡れ性が良好であるため、膜補強構造体として好適である。また、この多孔膜の成型条件を最適化することにより、含水時における隔膜の水平方向への寸法変化が抑えられ、かつ、垂直方向(膜厚方向)への膨潤が許容される。そのため、含水した状態において、親水部の導電パスの屈曲率が下がり、電析をスムーズに行うことができる。
[1.7. めっき用添加剤]
[A. めっき用有機添加剤の概要]
本発明において、隔膜は、めっき用添加剤をさらに含んでいても良い。
「めっき用添加剤」とは、析出皮膜の平滑性(光沢)向上や、ピット(マクロな欠陥)生成防止機能を持つ有機化合物をいう。
めっき用添加剤は、イオン性化合物でも良く、あるいは、非イオン性化合物でも良い。また、めっき用添加剤は、水溶性の化合物でも良く、あるいは、水に対して難溶性の化合物でも良い。
ここで、「イオン性化合物」とは、酸、塩基、及び、これらの塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のようなイオン結合性の化合物をいう。
「非イオン性化合物」とは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのように電荷を持たない共有結合性の化合物をいう。
「水溶性」とは、室温での水への溶解度が1g/Lを超えることをいう。
「水に対して難溶性」とは、室温での水への溶解度が1g/L以下であることをいう。
ニッケルめっきの場合、めっき用添加剤としては、具体的には、
(1)めっき皮膜の結晶を微細化し、光沢を付与する一次光沢剤(例えば、ベンゼンスルホン酸、サッカリンなど)、
(2)めっき皮膜の平滑化機能を持つ二次光沢剤(例えば、ホルムアルデヒド、ブチンジオールなど)、
(3)めっき浴の表面張力を下げて濡れ性を改善し、ピットを防止する界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、
(4)析出金属イオンに強く配位子て水酸化物の沈殿生成を防止する錯化剤(例えば、有機酸、アミノカルボン酸、ポリエチレンイミン、ポリアミンなど)、
が挙げられる。
その他の添加剤としては、チオ尿素、ベンゾチアゾール、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ボロン酸、プロパギルアルコール、クマリン等が挙げられる。これらは、いずれも平滑性を付与する有機添加剤(二次光沢剤)である。
ニッケルめっき以外のめっきにおいても、通常用いられる有機添加剤を隔膜に添加して用いることができる。また、銅めっき等の他のめっきにおいても、一般的に用いられている添加剤を同様に用いることができる。
めっき用添加剤は、通常の電気めっきにおいては、めっき浴に適量添加され、その消耗量を管理する必要がある。しかし、添加剤の消耗量の管理は、一般に煩雑なものである。
本発明においては、必要最小限量の添加剤が隔膜に添加される。そのため、陰極室液がある場合には、隔膜から添加剤が徐々に溶出するため、効果を長期間発揮できる。また、陰極室液が無い場合でも、隔膜に固定された添加剤は、析出金属表面と強力な相互作用を発揮し、析出金属の物性及び平滑性を改善することができる。
すなわち、添加剤が対極(陽極)で酸化分解したり、被めっき物(陰極)で還元されて消耗する速度を極めて小さくすることができる。従って、添加剤の濃度管理は不要である。また、添加剤をめっき浴へ過剰に添加した場合に起きる電析効率の低下や、電極で分解した生成物がめっき浴中に濃縮したことにより起きる皮膜の柔軟性の低下やはんだ付け性の低下が起きることがない。
めっき用添加剤は、電気めっきにおいて通常一般的に用いられている水溶性の化合物が好ましいが、水に難溶性の化合物でも良い。例えば、サッカリンは、比較的水に難溶性であるが、有機溶媒には良く溶ける。そこで、サッカリンを有機溶媒に溶かして隔膜に含浸させ添加すれば、そこから添加剤が陰極室液に徐々に溶け出す。その結果、光沢作用を長期間発揮できる。これは、水に易溶のサッカリンナトリウム(Na塩)を浴に添加した場合には、成し得ない利点である。
特にニッケルめっきにおいては、添加剤は、サッカリンのようなN又はPを含む有機化合物が好ましい。これは、このような有機化合物は、皮膜の平滑性及び物性を向上させる作用が大きいためである。
ニッケルめっき用の添加剤であって、Nを含む有機化合物としては、アミン、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、アミド、アミノカルボン酸、ベタイン、これらの塩(化合物)が挙げられる。アンモニウムは、特に、カチオン部として四級アンモニウムを持つ化合物が好ましい。これは、四級アンモニウム化合物は、皮膜の平滑性を上げる作用が大きいためである。
ニッケルめっき用の添加剤であって、Pを含む有機化合物としては、例えば、ホスホニウム化合物が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、添加剤は、めっき液の表面張力を下げて、
(1)陰極から発生する水素ガス、又は、
(2)不溶性電極(陽極)から発生する酸素ガス
の脱泡を促す作用が大きい物質(いわゆる「界面活性剤」)でも良い。
隔膜としてカチオン交換膜を用いた場合において、添加剤として界面活性剤を用いる時には、界面活性剤は、カチオン界面活性剤又は両面界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、カチオン交換膜の酸基との静電的相互作用があるため、カチオン交換膜に固定されやすい。
一方、隔膜としてアニオン交換膜を用いる場合において、添加材として界面活性剤を用いる時には、界面活性剤は、アニオン界面活性剤又は両性界面活性剤が好ましい。
特に、隔膜としてカチオン交換膜を用い、添加材としてカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤を用いるのが好ましい。
[B. 添加剤の添加量]
通常の電気めっきで使用される添加剤の量は、数100ppm〜数1000ppmである。
これに対し、添加剤をめっき浴に添加して隔膜に含浸吸着させる場合(後述の「直接法」)、良好な金属皮膜を得るために必要な添加剤の量は、通常の電気めっき法に比べて大幅に少ない。この点は、隔膜に予め添加剤を添加する場合も同様である。
めっき用添加剤の量は、膜のイオン交換容量の0.1〜50%と結合(イオン交換)する量が好ましい。添加剤の量が0.1%未満では、添加剤の効果が見られない。一方、添加剤の量が50%を超えると、膜のイオン導電性が低下し、浴電圧が増加する。
例えば、膜厚:25μm、大きさ:30mm×30mm、イオン交換容量:1mEq/gであるイオン交換膜と、70gのめっき浴とが接する場合を考える。分子量:300程度の添加剤が膜のイオン交換基と1:1にイオン結合する場合、膜のイオン交換容量の0.1〜50%と結合(イオン交換)する添加剤の量は、
(1)70gのめっき浴重量に対して重量割合で0.2ppm〜90ppmに、また、
(2)膜重量に対して0.004wt%〜2wt%に、
それぞれ相当する。
めっき用添加剤を添加した隔膜を使用すると、従来法に比べてめっき用添加剤の使用量を低減することができる。これは、以下の理由による。
(1)隔膜を用いて電析すれば、添加剤が陽極室に移動し、酸化分解により消耗することが妨げられる。
(2)隔膜に添加剤を固定すれば、そこから電析中に徐々に添加剤が陰極室に移行し、必要量が補充される。
(3)隔膜を用いて電析すれば、陰極室液の量をゼロか、極めて少なくすることができる。析出金属表面での添加剤濃度を高められるので、添加剤の必要量は、極めて少量で良い。
[C. めっき用添加剤の添加方法]
めっき用添加剤の添加方法としては、具体的には、以下のような方法がある。
(a)めっき浴に必要量の添加剤を溶解させ、このめっき浴と隔膜とを接触させ、隔膜に添加剤を含浸吸着させる方法(直接法)。
(b)添加剤が水溶性である場合、添加剤を水に溶かして処理液とし、この処理液と隔膜とを接触させ、イオン交換により添加剤を隔膜に固定する方法(イオン交換処理法)。
(c)添加剤が水に対して難溶性である場合、添加剤を有機溶媒に溶かして処理液とし、隔膜と処理液とを接触させ、隔膜内に添加剤を固定する方法(有機溶媒含浸法)。
(d)隔膜の材料を有機溶媒に溶解させた溶液に添加剤を溶解又は分散させ、この溶液を基板表面にキャストし、溶媒を乾燥除去する方法(キャスト成型法)。
(e)隔膜が溶融可能な材料からなる場合、隔膜の材料と添加剤とを加熱混練し、混練物を押し出し成型してフィルム化する方法(溶融押し出し法)。
上述した方法の中でも、イオン交換処理法は、簡便で、かつ、最も経済的な方法である。イオン交換処理法によれば、添加剤を隔膜に均一に添加することができ、含水処理も容易に行うことができ、かつ、特別の処理装置も必要としない。なお、添加剤は、主に電析面側で作用する。そのため、膜の両面(全面)を処理液と接触させるのではなく、膜の片側(電析面側)のみを処理液と接触させて添加剤を付与しても良い。
イオン交換処理法を用いた添加は、後述する隔膜の含水処理と同時に行うことも可能である。同様に、有機溶媒含浸法を用いた添加は、後述する隔膜の膨潤処理と同時に行うことも可能である。
[D. 隔膜にめっき用添加剤を添加する利点]
めっき用添加剤の濃度管理、及び添加剤に由来する老廃物の除去は、通常の電気めっきでも大きな課題である。
これに対し、本発明に係る方法によれば、極めて少量の添加剤を隔膜に添加するだけで良いので、めっき液の濃度管理無しで電析が可能である。また、添加剤の酸化・還元に由来する老廃物の除去も実質的に不要となり、隔膜は繰り返し使用できる。さらに、隔膜内の添加剤の消耗が激しい場合には、通電電気量を考慮して隔膜への添加剤の添加量を調整したり、あるいは、定期的に隔膜に添加剤を再添加することができる。
[1.8. 隔膜の厚み]
隔膜の厚みは、電気めっきが円滑に行われる限りにおいて、特に限定されない。隔膜の厚みは、具体的には、0.01μm〜200μmが好ましく、さらに好ましくは、10μm〜100μmである。
[1.9. 金属イオン]
隔膜は、めっき用添加剤に加えて、又は、これに代えて、金属イオン(例えば、金属皮膜を構成する金属イオン)をさらに含んでいても良い。
後述する陽極室液でのNa+、K+、Cs+イオンの制限と同様の考え方から、隔膜内でのNa+、K+、Cs+イオンの重量含有率は、1%以下(酸基交換率50%以下)が好ましい。一般に、カチオン交換膜としては、酸基の100%がNa+等のアルカリイオンで交換されたもの(Na体)が市販されている。しかしながら、このような隔膜を用いて電析すると、アルカリ金属イオンは、電析面へ漏洩し易いため、金属水酸化物の生成を助長し、好ましくない。
従って、Na+で交換されていないカチオン交換膜(H体)、又は酸基の50%以下がアルカリイオンで交換されているカチオン交換膜を用いるのが好ましい。また、カチオン交換膜は、電析の前に、膜を硫酸、硝酸、塩酸等の強酸で予め酸洗浄しておくことが、金属水酸化物の生成を抑制するために更に好ましい。
[2. 隔膜の製造方法]
本発明に係る隔膜は、
(1)成膜直後の膜(以下、「前駆体膜」という)に膨潤処理を施す方法、
(2)前駆体膜に含水処理を施す方法、
(3)前駆体膜に膨潤処理を施した後、さらに含水処理を施す方法、
などにより製造することができる。
成膜条件を最適化すると、成膜直後の段階で、目的とする親水部構造が形成される場合もある。しかしながら、一般に、親水部構造と膜強度とを両立させることは難しい。これに対し、成膜後の隔膜に上述した処理を施すと、目的とする親水部構造を再現性良く形成することができるだけでなく、高い膜強度も得られる。
[2.1. 膨潤処理]
[2.1.1. 定義]
「膨潤処理」とは、前駆体膜を親水性有機溶媒又は水と親水性有機溶媒との混合溶媒に浸漬する処理をいう。処理液には、上述しためっき用添加剤が含まれていても良い。
前駆体膜を所定温度の親水性有機溶媒又はその混合溶媒に所定の条件下で浸漬すると、前駆体膜が膨潤する。その際、膨潤条件を最適化すると、イオン導電パスが発達し、上述した親水部構造を備えた隔膜が得られる。このようにして得られた隔膜を用いて電析を行うと、膜内での金属水酸化物の生成を抑制することができる。
この場合、結果的に電析イオンの輸率が向上するので、電析界面(隔膜/陰極)の連続性が良好となり、電気浸透水によって隔膜が十分に含水する。そのため、陰極上で水素が副生成した場合であっても、界面空隙が生じにくくなり、膜渇きによる電析不良を防ぐことができる。
有機溶媒で膨潤処理を行った後、膜内に有機溶媒が多量に残留していると、イオン伝導性を阻害する。そのため、膨潤処理に用いる有機溶媒は、水への溶解度が大きいもの(すなわち、親水性有機溶媒)が好ましい。有機溶媒は、特に、水と完全相溶するものが好ましい。親水性有機溶媒は、膨潤処理後の水置換が容易であるので、膨潤処理用の有機溶媒として好適である。
また、親水性有機溶媒のみで膨潤処理を行うと、前駆体膜が過度に膨潤し、ピーク値(qpeak)が小さくなりすぎる場合がある。このような場合には、親水性有機溶媒と水との混合溶媒を用いて、膨潤度合いを調節するのが好ましい。
[2.1.2. 親水性有機溶媒の具体例]
親水性有機溶媒としては、例えば、低分子量のアルコール、グリコール、ケトン、エーテル、グリコールエーテル、ニトリル、アミド、スルホキシド、含N有機溶媒、含S有機溶媒、有機酸等が挙げられる。これらの親水性有機溶媒は、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
親水性有機溶媒の中でも、水と任意の割合で混じり合う(相溶する)ものとしては、
(a)メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール、
(b)エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子量グリコール、
などが挙げられる。
ケトンとしては、アセトンが挙げられる。
エーテルとしては、THF、1,2−ジメトキシエタン(モノグリム、ジメチルセロソルブ)、1,3−ジオキサンが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)、ブチルセロソルブ(2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル)が挙げられる。
含N有機溶媒としては、アセトニトリル、DMF(ジメチルフォルムアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)が挙げられる。
含S有機溶媒としては、DMSO(ジメチルスルホキシド)が挙げられる。
有機酸としては、ギ酸、酢酸が挙げられる。
上記溶媒の中でも、前記親水性有機溶媒は、エタノール、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、及びブチルセロソルブからなる群から選ばれるいずれか1以上が好ましい。その中でも、ブチルセロソルブは、ピーク値(qpeak)を小さくする作用が大きいため、特に好ましい。
[2.1.3. 処理条件]
膨潤処理は、室温で行っても良く、あるいは、加温下で行っても良い。一般に、膨潤処理の温度が高くなるほど、イオン導電パスが発達しやすくなる。膨潤処理時間を短縮するためには、膨潤処理の温度は、40℃以上が好ましい。
一方、膨潤処理温度が高すぎると、過度に膨潤が進行し、膜強度の低下を引き起こす。また、隔膜中のイオン交換基が脱落するおそれもある。従って、膨潤処理温度は、180℃以下が好ましい。
膨潤処理の時間は、膨潤処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、膨潤処理温度が高くなるほど、短時間で目的とするイオン導電パスを発達させることができる。
さらに、膨潤処理は、常圧下で行っても良く、あるいは、加圧容器中において加圧下で行っても良い。
膨潤処理後、必要に応じて、隔膜の乾燥を行う。この場合、乾燥温度が高すぎると、乾燥時に親水部構造が壊れたり、あるいは、イオン交換基が脱離するおそれがある。従って、乾燥を行う場合には、乾燥温度は、160℃未満が好ましい。
また、膨潤処理後に、後述する含水処理をさらに行っても良い。この場合、膨潤処理後の膜を乾燥させることなく、そのまま含水処理を行うのが好ましい。膨潤状態を維持したまま含水処理を行うと、親水部構造がさらに発達し、電析イオンの導電性及び輸率が向上する。
キャスト成型法及び溶融押し出し法で形成された隔膜には、一般的に親水性有機溶媒が検出可能なレベルで残留する事はない。そのため、隔膜を用いた電気めっきセルにおいて、隔膜から親水性有機溶媒が検出された場合には、本発明で処理した隔膜を使用したものと推定する事が出来る。
[2.2. 含水処理]
[2.2.1. 定義]
「含水処理」とは、前駆体膜又は膨潤処理後の膜を水又は水蒸気と接触させる処理をいう。含水処理は、具体的には、前駆体膜又は膨潤処理後の膜を水に浸漬し、又は、前駆体膜又は膨潤処理後の膜を水蒸気に曝すことにより行う。含水処理用の水には、上述しためっき用添加剤が含まれていも良い。
前駆体膜に対して、直接、含水処理を施しても良い。含水処理のみであっても、条件を最適化することにより、親水部構造を発達させることができる。しかしながら、膨潤処理後の膜に対して含水処理を施すと、親水部構造がさらに発達すると同時に、膜中の親水性有機溶媒の全部又は一部を水に置換することができる。
膨潤処理後の膜に対して含水処理を行う場合、必ずしも親水性有機溶媒の100%を水で置換する必要はない。但し、多量の有機溶媒が残留している隔膜を用いて電析を行うと、電析浴の汚染、臭気、可燃性等の問題が生じるおそれがある。従って、有機溶媒の残留量が膜重量に対して10%以下となるように、含水処理を行うのが好ましい。
[2.2.2. 処理条件]
含水処理は、室温で行っても良く、あるいは、加温下で行っても良い。一般に、含水処理の温度が高くなるほど、イオン導電パスが発達しやすくなる。含水処理時間を短縮するためには、含水処理の温度は、40℃以上が好ましい。含水処理の温度は、さらに好ましくは100℃以上である。すなわち、含水処理は、膜を沸騰水中に浸漬し、あるいは、膜を水蒸気に曝すことにより行うのが好ましい。
一方、含水処理温度が高すぎると、過度に膨潤が進行し、膜強度の低下を引き起こす。また、隔膜中のイオン交換基が脱落するおそれもある。従って、含水処理温度は、180℃以下が好ましい。
含水処理の時間は、含水処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、含水処理温度が高くなるほど、短時間で目的とするイオン導電パスを発達させることができる。
また、膨潤処理後に含水処理を行う場合、含水処理温度が高くなるほど、短時間で有機溶媒を水で置換することができる。また、水を用いて含水処理をする場合、含水処理時に超音波を照射すると、溶媒脱離時間を短縮することができる。
[3. 電気めっきセル(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図を示す。
図1において、電気めっきセル10は、陽極室12と、陰極室14と、隔膜16とを備えている。陽極室12には、陽極室液20が充填され、陽極室液20中には、陽極22が浸漬されている。さらに、陽極22は、電源24のプラス極に接続されている。
陰極室14には、陰極室液24が充填され、陰極室液24中には、陰極26が浸漬されている。さらに、陰極26は、電源24のマイナス極に接続されている。この電気めっきセル10を用いてめっきを行うと、陰極26の表面に金属皮膜28が析出する。
陽極室12は、陽極室液20を保持するためのものである。同様に、陰極室14は、陰極室液24を保持するためのものである。陽極室12及び陰極室14の大きさ、形状、これらを構成する材料等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。なお、陰極室14及び陰極室液24は、必ずしも必要ではなく、省略することもできる。
陽極室12には、所定の組成を有する陽極室液20が充填される。同様に、陰極室14には、所定の組成を有する陰極室液24が充填される。陽極室液20及び陰極室液24の量は、特に限定されるものではなく、それぞれ、目的に応じて最適な量を選択することができる。なお、陽極室液20及び陰極室液24の詳細については、後述する。
陽極22は、少なくともその表面が導電性を有する材料からなるものであれば良い。陽極22は、全体が導電性を有する材料からなるものでも良く、あるいは、表面のみが導電性を有する材料からなるものでも良い。さらに、陽極22は、不溶性電極でも良く、あるいは、可溶性電極でも良い。
陰極26は、被めっき物である。陰極26は、少なくともその表面が導電性を有する材料からなるものであれば良い。陰極26は、全体が導電性を有する材料からなるものでも良く、あるいは、表面のみが導電性を有する材料からなるものでも良い。
隔膜16は、陰極26(被めっき物)を陽極室12から隔離するためのものである。陰極室14を備えた電気めっきセル10の場合、隔膜16は、陽極室12と陰極室14の境界に設けられる。一方、陰極室14が無い場合、隔膜16は、陰極26の表面に接するように設けられる。隔膜16の詳細については、上述した通りであるので説明を省略する。
さらに、電源24は、特に限定されるものではなく、陽極22−陰極26間に所定の電圧を印加できるものであればよい。
[4. 電気めっきセル(1)を用いた金属皮膜の製造方法]
[4.1. 陽極室液の調製]
まず、陰極(被めっき物)26上に析出させる金属のイオンを含む陽極室液20を調製する。陽極室液20は、析出させる金属元素を含む水溶性金属化合物を水に溶解させたものからなる。陽極室液20は、さらに必要に応じて、
(1)水溶性有機溶媒(アルコール類等)、
(2)pH調整剤(塩基、例えばエチレンジアミン等のアミン類;酸、例えば塩酸等)、
(3)緩衝剤(例えば、有機酸など)
などが含まれていても良い。
[4.1.1. 水溶性金属化合物]
本発明において、析出させる金属は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。析出させる金属としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、すず、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル等が挙げられる。
これらの中でも、析出させる金属は、銀、銅、金、ニッケル、すず、白金、パラジウムが好ましい。これらの金属は、いずれも水溶液からの電析が可能で、かつ、金属皮膜の比抵抗も小さいためである。
また、Niは、通常、電気めっきの際に陰極26表面から水素が発生しやすく、水酸化物も生成しやすい金属である。しかしながら、Niめっきに対して本発明を適用すると、水素の発生や水酸化物の生成を抑制することができる。
水溶性金属化合物としては、例えば、
(1)塩化物などのハロゲン化物、
(2)硫酸塩(例えば、硫酸銅、硫酸ニッケルなど)、硝酸塩(例えば、硝酸銀など)などの無機酸塩、
(3)酢酸塩などの有機酸塩、
などがある。材料コストの点から、無機酸塩が好ましい。
陽極室液20には、これらのいずれか1種の水溶性金属化合物が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
陽極室液20に含まれる水溶性金属化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、水溶性金属化合物の種類などに応じて最適な値を選択する。陽極室液20中の金属イオン濃度は、0.001M/L〜2M/L、好ましくは、0.05M/L〜1M/Lである。
陽極室液20は、塩基性が大で、水和イオン半径が小さく隔膜16を透過しやすいイオン(例えば、Na+、K+、Cs+)を実質的に含まないのが好ましい。我々が確認したところでは、陽極室液20の成分としてこれらのイオンを0.1M/Lを超えて含むと、隔膜16界面で金属水酸化物の生成が起きやすいことが判明した。すなわち、陽極室液20中に含まれる電析イオン以外のイオン(特に、Na+、K+、Cs+)の濃度は、0.1M/L以下に制限することが望ましい。これらの理由で、界面活性剤を浴に添加する場合には、アルカリ金属イオンを含まない界面活性剤を用いるのが好ましい。
一方、アルカリ金属イオンの中でも、Li+イオンは、水和イオン半径が比較的大きく、隔膜16を透過し難い。そのため、陽極室液20の成分として、0.1M/Lを超えて含んでいても良い。
[4.1.2. pH調整剤]
陽極室液20には、必要に応じてpH調整剤が添加される。陽極室液20のpHは、特に限定されるものではなく、水溶性金属化合物の種類などに応じて最適な値を選択する。
pHが小さくなりすぎると、陰極26上での還元反応は、水素発生反応が主体となる。そのため、電析効率が大幅に低下し、経済的ではない。従って、pHは、1以上が好ましい。
一方、pHが大きくなりすぎると、電析面では金属水酸化物を巻き込みやすくなり、平滑性が低下する。従って、pHは、6以下が好ましい。
[4.1.3. 緩衝剤]
pH緩衝作用、浴電圧低下のための導電性向上、つき周り性の改善などを目的として、電析に必要な金属イオン以外のカチオン成分を陽極室液20中に添加する場合がある。その場合には、Na+、K+、Cs+イオンを含む化合物の代わりに、水和イオン半径が大きく、隔膜を透過し難いLi+イオンや、塩基性の弱いMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Al3+イオンを含む無機化合物を陽極室液20中に添加すると、金属水酸化物の抑制に効果的である。
また、金属水酸化物生成能の弱いアンモニウム、アミン、イミン、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、モルホリニウム等の弱塩基性イオンを含む有機化合物の添加も有効である。
但し、陽極室液20中の電析金属イオン濃度と、隔膜16中の金属イオン濃度とは、平衡関係にある。従って、隔膜16中の金属イオン濃度の輸率が大幅に低下しないように、これらの化合物の濃度は、できる限り低濃度が好ましい。具体的には、これらの化合物の濃度は、好ましくは0.1M/L以下とし、隔膜16中(特に、カチオン交換膜中)のこれらのカチオンの占有率(酸基交換率)が50%以下となるようにするのが好ましい。例えば、1meq/g(EW=1000)の酸基を持つカチオン交換膜では、Na+イオンの交換率50%は、膜重量含有率として約1.2%に相当する。
[4.1.4. 陽極室液の量]
陽極室液20の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
[4.2. 陰極室液の調製]
[4.2.1. 陰極室液の組成]
次に、陰極室液24を調製する。陰極室液24の組成については、陽極室液20と同様であるので説明を省略する。
[4.2.2. 陰極室液の量]
陰極室液24の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
なお、本発明において、陰極室液24の量は、少量でも良い。具体的には、陰極室液24の量は、陰極26の単位面積当たり100μL/cm2以下でも良い。また、陰極室14及び陰極室液24を省略すること、すなわち、隔膜16と陰極26とを密着させることもできる。
実質的に陰極室液24が無い状態でも、電気浸透現象により隔膜16から電析面(陰極26の表面)に極微量の水が輸送される。そのため、隔膜16−陰極26間に連続的界面が形成され、電気化学反応(電析)を行うことができる。隔膜16と陰極26の表面との密着性を改善するため、必要に応じて加圧機構を用いて両者を加圧した状態で電析を行うのが好ましい。
このように実質的に陰極室液24が無く、かつ、隔膜16を用いた電気めっきセルを用いて、水素発生しやすい金属を水溶液中から高速で電析する方法は、知られていない。実質的に陰極室液24が無い状態で電気めっきを行えば、陽極12の形状を被めっき物に転写することができ、マスクレスでの金属パターンの形成が容易に行える。また、陰極室液24が無いので、被めっき物へのめっき液の付着・持ち出しをなくすことが可能となり、電析後の水洗工程及び廃水処理工程を大幅に簡略化できる。
[4.3. 電析]
所定量の陽極室液20及び陰極室液24を、それぞれ、陽極室12及び陰極室14に入れる。次いで、電源24を用いて、隔膜16を挟んで配置された陽極22−陰極26間に電圧を印加する。これにより、陰極室液24内の金属イオンが還元され、陰極26上に金属皮膜28が析出する。
金属皮膜28の析出が進行すると、陰極室液24の金属イオン濃度が低下する。その結果、陰極室液24と陽極室液20との間で金属イオンの濃度勾配が発生する。この濃度勾配を駆動力として、陽極室液20内の金属イオンが隔膜16を通って陰極室液24に拡散する。
電極間に与える電圧、電析時のめっき浴の温度、及び電析時間は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。
例えば、ニッケルめっきの場合、電圧は、0.01〜100Vが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜10Vである。めっき浴の温度は、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは、10〜25℃である。さらに、電析時間は、0.01〜100分が好ましく、さらに好ましくは、0.05〜5分である。
[5. 電気めっきセル(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルは、陽極室液を保持するための陽極室と、前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜とを備えている。また、前記隔膜は、前記陽極室液に含まれる金属イオンを選択的に透過させることが可能なものからなる。
すなわち、本実施の形態に係る電気めっきセルは、陰極室液を保持するための陰極室を備えていない。この点が、第1の実施の形態とは異なる。
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る電気めっきセルの概略図を示す。
図2において、電気めっきセル40は、陽極室12と、隔膜16と、陽極22と、陰極26と、電源24と、加圧装置42とを備えている。
陽極室12は、陽極室液20を保持するためのものである。陽極室12の上部には、陽極室液タンク(図示せず)から陽極室12内に陽極室液20を供給するための供給孔12aが設けられている。また、陽極室12の側面には、陽極室12から廃液タンク(図示せず)に陽極室液20を排出するための排出口12bが設けられている。
陽極室12の下端の開口部には、陽極22が勘合されている。さらに、陽極22の下面には、隔膜16が接合されている。
陽極室12の上面には、加圧装置42が設けられている。加圧装置42は、陽極室12、陽極22、及び隔膜16を鉛直方向に移動させるためのものである。
陽極室12の下方には、基台46が配置されている。基台46の上面には、陰極(被めっき物)26が配置されている。陰極26の上面の外周には、通電部48が設けられている。通電部48は、陰極26に電圧を印加するためのものであり、陰極26の表面の成膜領域を囲うように設けられている。図2に示す例において、通電部48は、リング状になっており、そのリング内に隔膜16の先端部分を挿入できるようになっている。さらに、陽極22及び通電部48(すなわち、陰極26)は、電源24に接続されている。
本実施の形態において、陽極22には、陽極室液20を隔膜16の表面に供給可能な電極が用いられる。陽極22としては、具体的には、陽極室液20を透過させることが可能な孔径を有する多孔質電極、所定の形状パターンを有するパターン電極などがある。
なお、連続的な金属皮膜28の成膜を行わない場合、陽極22内部に存在する空隙を陽極室として用いること、すなわち、陽極22に必要量の陽極室液を含浸させ、実質的に陽極室12を省略することもできる。
陽極室12、隔膜16、陽極22、陰極26、及び電源24に関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[6. 電気めっきセル(2)を用いた金属皮膜の製造方法]
まず、図2(a)に示すように、基台46と隔膜16とを離間させた状態で、基台46上に陰極26を配置し、陰極26の周囲に通電部48を配置する。また、供給孔12aを介して、陽極室12内に陽極室液20を供給する。陽極室液20は、陽極22内の空隙(図示せず)を通って隔膜16の表面まで供給される。
次に、図2(b)に示すように、加圧装置42を用いて陽極室12を下方に移動させ、隔膜16の下面と陰極26の上面とを接触させる。この時、加圧装置42の押圧力を調整し、隔膜16と陰極26との界面に適度な圧力を付与する。
この状態で電源24を用いて陽極22及び通電部48(すなわち、陰極26)に所定の電圧を印加すると、隔膜16と陰極26の界面に金属皮膜28が析出する。この時、必要に応じて、消耗した陽極室液20を排出口12bから排出しながら、供給孔12aを介して新たな陽極室液20を陽極室12内に補給すると、連続的にめっきを行うことができる。所定時間経過後、加圧装置42を用いて陽極室12を上昇させ、隔膜16と陰極26とを離間させる。
[7. 作用]
通常の方法を用いて成膜された隔膜に対して特殊な処理を施し、あるいは、特殊な条件下で隔膜を成膜すると、隔膜内の親水部構造が変化する。この親水部構造の良否は、小角X線散乱(SAXS)スペクトルの解析により的確に判別することができる。具体的には、SAXSプロファイルに現れる親水部構造に由来するピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)以下である場合、その隔膜は、親水部構造(イオンチャンネル)が十分に発達していることを示している。
このような隔膜を用いて電析を行うと、隔膜内におけるイオンの輸送がスムーズに行われる。その結果、高速電析が可能となり、かつ、電析時に金属水酸化物の沈殿が生成しにくくなる。また、水素発生しやすい金属イオンを含むめっき液を用いて、マスクレスパターン電析を高速で行うことができる。例えば、従来では高速成膜が困難であったニッケル等の金属パターンを導電性基体上に簡便に形成することができる。
(実施例1、比較例1)
[1. 隔膜の含水処理]
パーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜(厚さ:183μm、大きさ:30mm×30mm)に対して、含水処理を行った。含水処理条件は、
(a)80℃の純水中で2hr浸漬+室温の純水中で一晩浸漬(実施例1)、又は、
(b)室温の純水中で一晩浸漬(比較例1)、
とした。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. 小角X線散乱(SAXS)スペクトル]
カプトン(登録商標)製の袋で含水状態のまま膜を挟み、SAXS法で散乱スペクトルを測定した。図3に、実施例1及び比較例1で得られた隔膜のSAXSプロファイルを示す。なお、図3には、比較例1の乾燥大気中でのSAXSプロファイルも併せて示した。親水部構造に由来するピーク値(qpeak)は、それぞれ、0.14Å-1(1.4nm-1)(実施例1)、又は0.17Å-1(1.7nm-1)(比較例1)であった。
[2.2. Niの定電流電析]
開口部の膜面積が20mm×20mmである塩化ビニル製の2室セルに[1.]で作製した膜を挟み、上限電圧70Vの直流定電流電源を用いて、室温、200mA/cm2×30分の条件下でNiの定電流電析を行った。陽極及び試料極(陰極)には、それぞれ、大きさ:2cm×2cm、厚さ:300μmの白金板を用いた。めっき液(陽極室液及び陰極室液)には、1M/LのNiSO4と0.5M/LのCH3COOHとを含み、かつ、20wt%NaOH水溶液でpHを3.0に調整した液を用いた。めっき液中のNaOHの濃度は、0.08M/Lであった。陽極室液及び陰極室液の液量は、それぞれ、17.5gとした。また、陽極室及び陰極室ともに、無撹拌で電析した。
電析後、両室の液量を計測した。陰極室液の増加量速度(単位時間、単位断面積当たりの増加量)を求め、これを電気浸透による水移動速度とした。
陽極室液及び陰極室液のNi2+濃度を、それぞれ、共立理化学製の簡易吸光光度分析装置:デジタルパックテスト(DPM−NiD)で求めた。その濃度比C(陰極室液Ni2+濃度/陽極室液Ni2+濃度)を算出し、電析効率を補正してNi2+イオンの輸率(αNi2+)を計算した。
表1に、結果を示す。実施例1は、比較例1に比べてピーク値(qpeak)が低下していた。また、実施例1は、Ni2+イオンの輸率(αNi2+)と水移動速度が比較例1より大きく、親水部が発達していることが確認できた。
Figure 0006162161
[2.3. Niめっき試験]
図2に示す電気めっきセルを用いて、Niめっきを行った。陽極室液20には、[2.2.]で作製しためっき液を用いた。陰極26には、Auめっきを施したアルミニウム板を用いし、陽極22には、Pt/Ti多孔体を用いた。陽極22/隔膜/陰極26を積層し、0.5MPaで加圧した。この状態で、10mA/cm2×10分の条件下で定電流電析を行った。
実施例1の隔膜を用いた場合、正常なNi電析が可能であった。一方、比較例1の隔膜を用いた場合、水酸化ニッケルと思われる緑色の析出物が電析面に生成し、金属光沢のある皮膜が得られなかった。
(実施例2〜3)
[1. 隔膜の膨潤処理+含水処理(1)]
実施例1と同材質のカチオン交換膜に対して、膨潤処理を行った。親水性有機溶媒には、エタノール(実施例2)、又はブチルセロソルブ(実施例3)を用いた。膨潤処理条件は、室温、10分とした。さらに、膨潤処理後の未乾燥の膜に対して、80℃×2hrの含水処理を施した。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SAXSスペクトルの測定、及びNiの定電流電析]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、SAXSスペクトルの測定、及びNiの定電流電析を行った。図3に、実施例2、3で得られた隔膜のSAXSプロファイルを示す。また、表2に結果を示す。なお、表2には、比較例1の結果も併せて示した。
表2より、隔膜に対して膨潤処理及び含水処理を行うと、ピーク値(qpeak)がさらに小さくなること、並びに、Ni2+イオンの輸率(αNi2+)及び水移動速度がさらに向上することがわかる。
Figure 0006162161
[2.2. Niめっき試験]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、Niめっき試験を行った。但し、めっきは、100mA/cm2×10分の定電流電析で行った。
上述したように、比較例1の隔膜を用いた場合、水酸化ニッケルと思われる緑色の析出物が電析面に生成し、金属光沢のある皮膜が得られなかった。一方、実施例2、3の隔膜を用いた場合、正常なNi電析が可能であった。
(実施例4〜5、比較例2〜4)
[1. 隔膜の膨潤処理+含水処理(2)]
隔膜には、実施例1とは異なる材質のパーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜(膜厚:50μm)を用いた。この隔膜は、無補強のキャスト成型膜である。この隔膜に対して、膨潤処理を施した。親水性有機溶媒には、ブチルセロソルブを用いた。膨潤処理条件は、室温、10分とした。さらに、膨潤処理後の未乾燥の膜に対して、80℃×2hrの含水処理を施した(実施例4)。また、実施例4で用いた無補強膜に対して、比較例1と同一条件下で含水処理のみを施した(比較例2)。
隔膜として、実施例4と同一材質のパーフルオロスルホン酸系樹脂とPTFEからなる繊維構造体とを含むPTFE補強膜(膜厚:50μm)を用いた。この隔膜に対して、実施例4と同一条件下で膨潤処理及び含水処理を施した(実施例5)。また、実施例5で用いた補強膜に対して、比較例1と同一条件下で含水処理を施した(比較例3)。
さらに、炭化水素系のカチオン交換膜(膜厚:10μm)に対して、80℃×2hrの含水処理を施した(比較例4)。
[2. 試験方法]
[2.1. SAXSスペクトルの測定、及びCuの定電流電析]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、SAXSスペクトルの測定を行った。また、実施例1と同様にして、定電流電析を行った。但し、めっき浴には、1M CuSO4を用いた。また、Cuの電析条件は、200mA/cm2×10分とした。表3に結果を示す。
比較例4では、親水部構造に由来する0.17Å-1(1.7nm-1)近傍のピークは観察されなかった。これに対し、実施例4、5は、それぞれ比較例2、3に比べて、ピーク値(qpeak)が低下した。実施例4、5のCu2+イオンの輸率(αCu2+)及び水移動速度も、それぞれ比較例2、3に比べて大きくなっており、親水部が発達していることを確認できた。
Figure 0006162161
[2.2. Cuめっき試験]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にしてめっき試験を行った。但し、めっき液には、[2.1.]で作製したCuめっき液を用いた。また、めっきは、20mA/cm2×10分の定電流電析で行った。
実施例4、5の隔膜を用いた場合、正常なCu電析が可能であった。一方、比較例2、3の隔膜を用いた場合、膜と電析面とが噛み込み、密着して正常な電析が行えなかった。また、比較例4では、隔膜の含水率が大きいにもかかわらず、また、80℃×2hrで含水処理を施したにもかかわらず、膜と電析面とが噛み込み、密着して正常な電析が行えなかった。
(実施例6〜8、比較例5)
[1. 隔膜の膨潤処理+含水処理(3)]
実施例1と同材質のカチオン交換膜に対して、膨潤処理を行った。親水性有機溶媒には、(a)ブチルセロソルブ(実施例6)、(b)2wt%のサッカリンを含むブチルセロソルブ(実施例7)、又は、(c)膜酸基の10%相当を四級アンモニウム基で置換する量のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HDTMA)を添加したブチルセロソルブ(実施例8)、を用いた。膨潤処理条件は、室温、10分とした。さらに、膨潤処理後の未乾燥の膜に対して、80℃×2hrの含水処理を施した。
また、実施例1と同材質のカチオン交換膜に対して、実施例8と同量のHDTMAを添加した水溶液中で、室温で一晩のイオン交換処理を施した(比較例5)。
[2. 試験方法]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、SAXSスペクトルの測定、及びNiの定電流電析を行った。さらに、実施例1と同様にして、Niめっき試験を行った。但し、Niの電析条件は、100mA/cm2×10分とした。表4に結果を示す。
なお、表4には、比較例1の結果も併せて示した。また、表4中、「○」は、正常な金属光沢がある皮膜が得られたことを表す。また、「×」は、水酸化ニッケルと思われる緑色の析出物が生成し、金属光沢がある皮膜が得られなかったことを表す。
表4より、隔膜に対して膨潤処理及び含水処理を施す場合において、膨潤処理時にサッカリンやHDTMAを添加しても、良好な含水構造が維持されること、及び、電析界面での水酸化物の沈殿を生じさせることなく電析が可能であること、が示された。
Figure 0006162161
(実施例9、比較例6)
[1. 隔膜の膨潤処理+含水処理(4)]
実施例1と同材質のカチオン交換膜に対し、膨潤処理を施した。親水性有機溶媒には、t−ブチルアルコールを用いた。膨潤条件は、室温、10分間とした。次に、隔膜を乾燥させることなく、膨潤処理後の隔膜に対して80℃×2hrの含水処理を施した(実施例9)。
実施例9と同様にして膨潤処理を施した後、190℃×2hrの真空乾燥処理を行い、有機溶媒を除いた。次いで、実施例9と同様にして含水処理を施した(比較例6)。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SAXSスペクトルの測定、及びNiの定電流電析]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、SAXSスペクトルの測定、及びNiの定電流電析を行った。
実施例9の場合、qpeak=0.13Å-1(1.3nm-1)、水移動速度=16.7μg/cm2/minであった。一方、比較例6の場合、qpeak=0.17Å-1(1.7nm-1)、水移動速度=12.0μg/cm2/minとなり、親水部構造の発達は認められなかった。
[2.2. Niめっき試験]
得られた隔膜を用いて、実施例1と同様にして、Niめっき試験を行った。但し、めっきは、100mA/cm2×10分の定電流電析で行った。
実施例9の隔膜を用いた場合、金属光沢のある皮膜が得られた。一方、比較例6の隔膜を用いた場合、水酸化ニッケルと思われる緑色の析出物が電析面に生成し、金属光沢のある皮膜が得られなかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電気めっきセルは、各種金属皮膜の形成に用いることができる。
10 電気めっきセル
12 陽極室
14 陰極室
16 隔膜
20 陽極室液
22 陽極
24 陰極室液
26 陰極
28 金属皮膜

Claims (6)

  1. 陽極室液を保持するための陽極室と、
    前記陽極室と陰極とを隔離するための隔膜と
    を備え、
    前記隔膜は、
    パーフルオロスルホン酸系のカチオン交換膜からなり、かつ、
    角X線散乱法により室温の水中で測定した散乱スペクトルにおいて、親水部構造に由来するピーク値(qpeak)が0.14Å-1(1.4nm-1)以下であるものからなる電気めっきセル。
  2. 陰極室液を保持するための陰極室を備えていない請求項1に記載の電気めっきセル。
  3. 前記隔膜は、膜補強構造体を含む請求項1又は2に記載の電気めっきセル。
  4. 前記隔膜は、めっき用添加剤を含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の電気めっきセル。
  5. 前記隔膜は、前記ピーク値(q peak )が0.12Å -1 (1.2nm -1 )以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載の電気めっきセル。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気めっきセルを用いて前記陰極の表面に金属皮膜を形成する金属皮膜の製造方法。
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