JP6158656B2 - 鍛造装置 - Google Patents

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Description

この発明は、型鍛造によって鍛造品を製造するようにした鍛造装置およびその関連技術に関する。
電気モータ駆動のカーエアコン用コンプレッサ部品として周知の電動スクロールは、可動スクロールと、固定スクロールとがある。この電動スクロールは例えば図12に示すように、背板部101と、背板部101の一面側(正面側)に形成された渦巻き形状の羽根部(インボリュート)102と、背板部101の他面側(背面側)に形成された凸部103とを一体に備えている。従来、このような電動スクロール100を型鍛造によって製作する技術が開発されている。
例えば特許文献1に示す電動スクロールの鍛造方法においては図13に示すように、ワーク設置孔202を有するダイとしての下型(下金型)201と、下型201の上方に配置されたパンチとしての上型(上金型)205とを備えている。下型201のワーク設置孔202の一部(下部)は、背板部成形凹部203として形成されるとともに、下型201には、上端がワーク設置孔202の底面において開口する羽根部成形凹部204が形成されている。さらに上型205には、上端が上型205の下面(押圧面)において開口する凸部成形凹部206が形成されている。そして、下型203のワーク設置孔202に鍛造素材Wが設置された状態で、ワーク設置孔202に上型205が打ち込まれることにより、鍛造素材Wが加圧されて塑性流動して、鍛造素材Wを構成するメタル(金属材料)が、背板部成形凹部203、羽根部成形凹部204および凸部成形凹部206に流れ込み、電動スクロール100としての鍛造品が成形されるようになっている。
特開平6−114489号公報
ところで近年においては、自動車の軽量化、高性能化に伴い、自動車部品の小型軽量化が強く求められている。当然のことながら、自動車の一部品である電動スクロール100も小型軽量化が求められるが、例えば電動スクロール100の背板部101を単純に薄肉化して小型軽量化を図ることは困難である。
すなわち上記特許文献1等に示す従来の鍛造方法において、鍛造時の電動スクロール100の各部位の成形手順を細かく分析すると、鍛造加工開始直後には、電動スクロール100の背板部101が最初に成形され、次いで、メタルが前方押し出しや後方押し出しされて、羽根部102や背面の凸部103が成形されていく。つまり、背板部101から羽根部102にメタルが流れ込んで羽根部102が成形される。このため仮に、背板部101の厚さを薄く設定しておくと、ヒケ等の凹部欠陥(鍛造欠陥)が背板部101の背面における羽根部102に対応する位置に表出され、鍛造品としての電動スクロール100の品質が低下してしまう。
従って従来においては、鍛造による電動スクロール100では、背板部101の板厚(肉厚)を厚くして、ヒケ等の鍛造欠陥が発生しないようにする必要があり、上記の小型軽量化の要望に応じることが困難であるという課題があった。
<課題解決のための対応策の検討>
本願発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意努力し、綿密な実験、研究を繰り返し行い、以下の対応策を見出した。
その対応策は、鍛造品としての電動スクロールを、1次成形(予備成形)および2次成形(本成形)の2回の鍛造によって製造する方法である。
この鍛造方法において、1次成形で前方押し出しによって背板部101と羽根部102を成形し、2次成形で後方押し出しによって背面側の凸部103を成形する。
すなわちこの鍛造方法を行うに際して、図14Aに示す1次成形用の金型と図14Bに示す2次成形用の金型との2つの金型(ダイセット)を準備する。下型201は、1次および2次成形用金型共に、上記図13に示す従来の金型の下型と同様、ワーク設置孔202、背板部成形凹部203および羽根部成形凹部204が形成されている。上型205は、1次成形用金型(図14A)では、下面(押圧面)がフラットで凸部成形凹部が形成されておらず、2次成形用金型(図14B)では、凸部成形凹部206が形成されている。
そして1次成形用金型(図14A)の下型201におけるワーク設置孔202に鍛造素材をセットして、上型205を打ち込むことにより、鍛造素材を加圧して、メタルを背板部成形凹部203から羽根部成形凹部204内に流し込んで、背板部101および羽根部102を成形して1次成形品W1を得る。
次にこの1次成形品W1を2次成形用金型(図14B)の下型201におけるワーク設置孔202に移載して、上型205を打ち込むことにより、1次成形品W1を加圧して、メタルを背板部101の部分から凸部成形凹部206内に流し込んで凸部103を成形して、2次成形品としての電動スクロールを得る。
この鍛造方法において、1次成形では、ヒケが発生しないように背板部101を厚く形成しておき、2次成形で、背板部101を薄く成形することができる。また仮に1次成形で、ヒケが少し発生したとしても、2次成形により、背板部101の背面側を成形しているため、ヒケを消失させることができる。従ってこの鍛造方法においては、ヒケ等の鍛造欠陥がない高品質で、背板部101が薄くて軽量な鍛造品(電動スクロール)を製作することができる。
しかしながら、この鍛造方法では、1次成形において渦巻き状の羽根部102のような複雑な形状を有する1次成形品W1を成形するものであるため、その複雑形状の1次成形品W1を、1次成形用金型(図14A)から2次成形用金型(図14B)に移載する際の位置合わせが困難である。例えば1次成形品W1の渦巻き状の羽根部102を、2次成形用の下型201における渦巻き状の羽根部成形凹部204内に精度良く対応させて適合状態に嵌め込むように、1次成形品W1を2次成形用金型にセットする必要があり、高精度の位置合わせ作業が必要である。この作業は、自動搬送では困難で手動搬送となり、慎重かつ綿密な位置調整を何度も繰り返しつつ行わねばならず、作業効率が低く、生産性の低下を来してしまう。また1次成形品W1の2次成形用金型への位置合わせが不十分な場合には、2次成形を精度良く行うことができず、鍛造不良が発生するおそれがある。
さらに1次成形品W1を2次成形用金型に設置(移載)することを考慮すると、例えば1次成形品の羽根部102と、2次成形用金型(図14B)の羽根部成形凹部204の内周面との間にクリアランスを設定する必要があり、2次成形において、クリアランス分のメタルの塑性流動(メタルフロー)が生じる。そうすると、羽根部102の端面に欠肉(鍛造欠陥)が生じたり、羽根部102の側面への巻き込み等の鍛造欠陥が生じ、この点からも鍛造不良が発生して、品質の低下を来してしまうおそれがある。
その上さらに鍛造装置としての金型(ダイセット)が2つ(2セット)必要となり、装置全体の大型化も来すという課題も発生する。
このように上記対応策による鍛造方法では、種々の課題を抱えており、現状の技術では、これらの課題を有効に解決することは困難であると考えられる。従って上記対応策の採用は見合わせるのが良いという結論に至った。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、鍛造欠陥や鍛造不良の発生を防止しつつ、小型軽量かつ高品質の電動スクロール等の鍛造品を効率良く確実に製造することができる鍛造装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1]鍛造素材が設置される一方型と、
前記一方型と型合わせ可能な1次成形用他方型と、
前記一方型と型合わせ可能な2次成形用他方型とを備え、
前記1次成形用他方型および前記一方型が型合わせされることによって、前記一方型に設置された鍛造素材における前記一方型側である一面側が成形されて1次成形品が形成され、
1次成形品が前記一方型に残存したまま、前記2次成形用他方型および前記一方型が型合わせされることによって、1次成形品における前記2次成形用他方型側である他面側が成形されて2次成形品が形成されるようにしたことを特徴とする鍛造装置。
[2]前記1次成形用他方型を前記一方型に対向する位置とその位置から退避する位置との間で移動自在に支持する一方、前記2次成形用他方型を前記一方型に対向する位置とその位置から退避する位置との間で移動自在に支持する移動手段を備える前項1に記載の鍛造装置。
[3]前記1次成形用他方型として機能する1次成形用状態と、前記2次成形用他方型として機能する2次成形用状態との間で状態変化可能な1次/2次共用他方型を備え、
前記1次/2次共用他方型が、前記1次成形用他方型および前記2次成形用他方型を兼用している前項1に記載の鍛造装置。
[4]前記一方型は、鍛造素材が設置されるワーク設置孔を有する下型によって構成され、
前記1次成形用他方型および前記2次成形用他方型は、前記ワーク設置孔にそれぞれ打ち込まれる1次成形用上型および2次成形用上型によって構成されている前項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造装置。
[5]前記2次成形用上型に、1次成形品の他面側に後方押し出し部を成形するための後方押し出し部成形凹部が形成されている前項4に記載の鍛造装置。
[6]前記下型に、鍛造素材の一面側に前方押し出し部を成形するための前方押し出し部成形凹部が形成されている前項4または5に記載の鍛造装置。
[7]2次成形品によって、一面側に前記前方押し出し部として羽根部を有する電動スクロールが構成され、
前記下型に、前記前方押し出し部成形凹部として羽根部成形凹部が形成されている前項6に記載の鍛造装置。
[8]鍛造素材が設置される一方型と、前記一方型と型合わせ可能な1次成形用他方型と、前記一方型と型合わせ可能な2次成形用他方型とを用いた鍛造方法であって、
前記1次成形用他方型および前記一方型を型合わせすることによって、前記一方型に設置された鍛造素材における前記一方型側である一面側を成形して1次成形品を形成し、
1次成形品を前記一方型に残存させたまま、前記2次成形用他方型および前記一方型を型合わせすることによって、1次成形品における前記2次成形用他方型側である他面側を成形して2次成形品を形成するようにしたことを特徴とする鍛造方法。
[9]2次成形品として、一面側に羽根部を有する電動スクロールを製造するようにした前項8に記載の鍛造方法。
[10]前項8または9に記載の鍛造方法によって製造されたことを特徴とする鍛造品。
発明[1]〜[7]の鍛造装置によれば、1次成形および2次成形の2回の鍛造を行うものであるため、例えば電動スクロールを作製するような場合には、1次成形で背板部を厚く形成しつつ羽根部を成形し、2次成形で背板部を薄く成形することによって、ヒケ等の鍛造欠陥がなくて高品質で、背板部が薄くて軽量コンパクトな電動スクロールを製造することができる。
また本発明の鍛造装置では、1次成形後に他方型だけを変更して、1次成形品を一方型から取り出さずに残存したままで2次成形を行っているため、1次成形品を他の金型に移載する必要がない。このため本発明では、その移載に伴う不具合の発生、例えば移載持の位置ずれに起因する鍛造不良の発生を防止しつつ、面倒な移載作業を省略できて生産効率の向上を図ることができる。さらに一方型の設置数も少なくでき、コストの削減を図ることができるとともに、装置全体の小型コンパクト化を図ることができる。
発明[8][9]によれば、上記と同様に同様の効果を奏する鍛造方法を提供することができる。
発明[10]によれば、上記と同様に、高品質かつ軽量な電動スクロール等の鍛造品を得ることができる。
図1はこの発明の第1実施形態である1次成形態勢の鍛造装置を型開き状態で示す正面断面図である。 図2は第1実施形態である1次成形態勢の鍛造装置の成形部を型閉じ状態で示す拡大断面図である。 図3は第1実施形態である2次成形態勢の鍛造装置を型開き状態で示す正面断面図である。 図4は第1実施形態である2次成形態勢の鍛造装置の成形部を型閉じ状態で示す拡大断面図である。 図5は第1実施形態の鍛造装置に用いられた鍛造素材を示す斜視図である。 図6は第1実施形態の鍛造装置によって得られた1次成形品を示す図であって、図(a)は正面側(下面側)から見た斜視図、図(b)は背面側(上面側)から見た斜視図である。 図7は第1実施形態の鍛造装置によって得られた2次成形品を示す図であって、図(a)は正面側(下面側)から見た斜視図、図(b)は背面側(上面側)から見た斜視図である。 図8Aはこの発明の第1変形例である鍛造装置を示す概略平面図である。 図8Bはこの発明の第2変形例である鍛造装置を示す概略平面図である。 図8Cはこの発明の第3変形例である鍛造装置を示す概略平面図である。 図8Dは上記第1変形例である鍛造装置を説明するための平面図である。 図9Aはこの発明の第2実施形態である鍛造装置の要部を示す正面断面図である。 図9Bは第2実施形態の鍛造装置における上型を2次成形中の状態で示す正面断面図である。 図10はこの発明の鍛造方法に適した他の鍛造品を示す断面図である。 図11はこの発明の鍛造方法に適した別の鍛造品を示す断面図である。 図12は従来の鍛造装置によって得られた鍛造品を示す斜視図である。 図13は従来の鍛造装置を示す正面断面図である。 図14Aは提案例としての鍛造装置における1次成形用金型を示す正面断面図である。 図14Bは提案例の鍛造装置における2次成形用金型を示す正面断面図である。
以下、本発明の実施形態の例を説明する。
<第1実施形態>
図1〜図4はこの発明の第1実施形態である鍛造装置を示す正面断面図である。これらの図に示すように、本実施形態の鍛造装置は、1つの下型(下金型)5と、下型5に対しそれぞれ型合わせ可能な2つの上型(上金型)1,2とを備え、後に詳述するように、1次成形用上型1および下型5によって1次成形を行うとともに、2次成形用上型2および下型5によって2次成形を行うようにしている。
本実施形態の鍛造装置は、図5に示すように円盤状の鍛造素材Wに対し1次成形を行って図6に示す1次成形品W1を作製するとともに、その1次成形品W1に対し2次成形を行って図7に示す2次成形品W2を作製するものである。
図5に示す鍛造素材W1としては、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)製の連続鋳造材を所定長さに切断する等の方法によって製作されたものや、アルミニウムの粉末をビレット状に圧縮成形した後、熱間押出によって丸棒状に成形し、その押出材を所定長さに切断する等の方法によって製作されたもの、さらには押出材からなるものや、圧延材からなるもの等も使用することができる。
図6に示すように1次成形品W1は、円盤状ないし円板状の背板部91と、背板部91の一面側(前面側)に一体に形成され、渦巻き形状に形成される羽根部(インボリュート)92とを備えている。この1次成形品W1において、背板部91の他面側(背面側)は平坦面に形成されている。
ここで、背板部91の他面側(背面側)の形状は、ヒケ等の凹部欠陥(鍛造欠陥)が発生しない位置(羽根部92に対応しない位置)であれば、背板部91の厚みを薄くすることができるので、平坦面でなくとも良い。
図7に示すように2次成形品W2は、背板部91の背面側に突出するように一体に形成され、かつ内周側および外周側の2重に配置された円環状の環状凸部93を備えている。この2次成形品W2の前面側に形成された羽根部92の形状は、上記1次成形品W1の羽根部92の形状と実質的に同じである。背板部91の厚さは特に制限されないが、2次成形品W2の背板部91の厚みは、1次成形品W1の背板部91の厚みよりも薄く形成されている場合に、本発明は好適である。
本実施形態において、2次成形品Wは、電気モータ駆動のカーエアコン用コンプレッサ部品としての電動スクロール(鍛造品)を構成するものである。
なお、本実施形態において、2次成形品W2の背板部91には、図7の想像線に示すように、回転時のバランス調整を行うために、必要に応じて、周方向の一部にブッシュ状の凸部94a、凹部や孔部(図示省略)が形成されることにより、非対称的な断面形状に形成される場合もある。
図1〜図4に示すようにこの電動スクロールを製造する本実施形態の鍛造装置は、既述したように、ダイを構成する1つの下型5と、それぞれパンチを構成する2つの上型1,2を備えている。
下型5は、その上端面に開口を有するワーク設置孔50を有している。ワーク設置孔50の下側部分は、成形品W1,W2の背板部91を成形するための背板部成形凹部51として機能する。
ワーク設置孔50の底壁には、成形品W1,W2の羽根部92を成形するための羽根部成形孔52が形成されている。この羽根部成形孔52は、上端がワーク設置孔50の底面において開放されるとともに、下端が下型5の下面において開放されている。言うまでもなく、この羽根部成形孔52は、平面視においては、羽根部92に対応する渦巻き形状に形成されている。
羽根部成形孔52内には、ワーク設置孔50の軸心方向(上下方向)に沿ってスライド自在に摺動型53が適合状態に収容されている。この摺動型53も、羽根部92に対応する渦巻き形状に形成されている。
下型5は、下型ホルダー(ダイホルダー)61に下型プレート(ダイプレート)62を介して支持されている。
ダイプレート62は、ワーク設置孔50に対応して上下に貫通する中空部が形成されており、この中空部内に支持板63が上下方向にスライド自在に収容されている。一方、下型5の羽根部成形孔52内には、支持ピン64の上側部が上下方向にスライド自在に収容されるとともに、その支持ピン64の下側部が羽根部成形孔52の下方から引き出されて配置されている。この支持ピン64の下端が支持板63に支持されるとともに、支持ピン64の上端によって、上記摺動型53が支持されている。これにより、摺動型53、支持ピン64および支持板63が一体となって上下方向にスライドできるようになっている。
支持板63は、エアシリンダ、圧縮バネ等によって構成される背圧付与手段65(図1等参照)によって支持されており、背圧付与手段65の蓄勢力によって支持板63、支持ピン64および摺動型53が上方に付勢されている。
背圧付与手段65は成形時において、鍛造素材Wを構成する金属材料(メタル)が羽根部成形孔52に流入する際に、そのメタルに対し摺動型53を介して上型1,2の押圧方向とは逆方向(上方向)の圧力(背圧)を付与するものである。よって本実施形態の鍛造装置は、いわゆる背圧鍛造を行うものである。
背圧付与手段65は、例えば成形品W2の羽根部92の高さが低いような場合、すなわち羽根部成形孔52の深さが浅いような場合には、省略することができる。
1次成形用上型1および2次成形用上型2を支持するための上型ホルダー(パンチホルダー)71は、下型5の上方において、水平方向の一方向(左右方向)に延びるように形成されており、左右方向に沿ったレール部材としても機能する。この上型ホルダー71には、1次成形用上型1および2次成形用上型2がそれぞれ上型プレート(パンチプレート)72を介して、左右方向にスライド自在に支持されている。そして図示しない水平駆動手段の駆動によって、各上型1,2がそれぞれ上型プレート72と共に、上型ホルダー71に対し左右方向に移動するようになっている。これにより図1に示すように、2次成形用上型2が下型5と対向する位置から水平方向に退避するとともに、1次成形用上型1が下型5に対向して互いの軸心を一致させた状態(1次成形態勢)と、図3に示すように1次成形用上型1が下型5と対向する位置から水平方向に退避するとともに、2次成形用上型2が下型5に対向して互いの軸心を一致させた状態(2次成形態勢)との間で、上型1,2が下型5に対し移動するようになっている。なお、2つの上型1,2は、連動(同期)して移動させるようにしても良いし、それぞれ個別に移動させるようにしても良い。
本実施形態においては、上型1,2を水平方向に移動するための水平駆動手段、上型ホルダー71および上型プレート72によって、移動手段が構成されている。
また上型ホルダー71は上型プレート72および上型1,2と共に、上下方向にスライドに自在に支持されており、図示しない昇降駆動手段の駆動によって上下に移動できるようになっている。これにより後述するように、上型1,2を降下させて所定の荷重で下型5に打ち込むことができるようになっている。
1次成形用上型1の下端面(押圧面)は、平坦面に形成されており、その下端面によって1次成形品W1における背面側が拘束されて成形されるようになっている。
2次成形用上型2の下端面(押圧面)には、2次成形品W2の環状凸部93を成形するための環状凸部成形凹部21が形成されている。
ここで、本実施形態においては、下型5によって一方型が構成される。さらに1次成形用上型1によって1次成形用他方型が構成されるとともに、2次成形用上型2によって2次成形用他方型が構成されている。
次に本第1実施形態の鍛造装置によって電動スクロールを成形する際の動作手順について説明する。
図1に示すように1次成形態勢で型開きの状態としておき、1次成形用上型1および下型5に潤滑剤を塗布する。なお、下型5における摺動型53の先端面(成形面)は、ワーク設置孔50の底面に対応する位置か、またはその底面から少し後退(没入)した位置に配置されている。
次に下型5のワーク設置孔50内に鍛造素材Wを投入してセットする。その状態で図2に示すように型閉じ(型合わせ)を行う。すなわち上型1,2を降下させて1次成形用上型1を下型5のワーク設置孔50に打ち込む。これにより、鍛造素材Wが加圧されて鍛造素材Wを構成するメタル(金属材料)が塑性流動して、ワーク設置孔50の背板部成形凹部51内に充填されて背板部91が成形される。さらにメタルは、摺動型53を背圧に抗して下方に押し込みつつ、羽根部成形孔52内に流れ込んでいく。そして摺動型53が所定量後退した位置で固定されて、その位置までメタルが羽根部成形孔52内に充填されて羽根部92が成形される。
こうして1次成形品W1(図6参照)が製作される。この1次成形品W1において、背板部91は、その背面側における羽根部92に対応する位置にヒケが発生しない程度に、肉厚が厚く形成されている。なおこの1次成形で、背板部91の背面にヒケが少し発生したとしても、後述の2次成形により、背板部91の背面側を成形できるため、ヒケを消失させることができる。
1次成形が完了した後、上型1,2を上昇させて1次成形用上型1を下型5から抜き取る。
こうして型開きが行われた後、図3に示すように上記移動手段によって上型1,2を水平方向(同図の左方向)に移動させて、1次成形用上型1を下型5の上空から退避させるとともに、2次成形用上型2を下型5の上空まで移動させて2次成形態勢とする。なおこの状態では、下型5のワーク設置孔50内に1次成形品W1が残存している。
続いて、必要に応じて2次成形用上型2および/または下金型5内に潤滑剤を塗布する。ここで、下型5に残存する1次成形品W1に対しては潤滑剤を塗布する必要がないので、下型5への潤滑剤の塗布を省略するのが好ましい。
その後、図4に示すように型閉じ(型合わせ)を行う。すなわち上型1,2を降下させて2次成形用上型2を下型5のワーク設置孔50に打ち込んで1次成形品W1の背板部91の背面側(上面側)を加圧する。これにより背板部91の背面側のメタルが塑性流動して、上型2の環状凸部成形凹部21内に流れ込み、環状凸部93が成形される。
こうして2次成形品(電動スクロール)W2が形成される。この2次成形品W2は、既述したように背板部91が薄く形成されているものの、背板部91の背面にヒケが形成されることはない。
その後、上型1,2が上昇して2次成形用上型2が下型5から抜き取られる。こうして型開きが行われた後、下型5に設けられたノックアウトピン(図示省略)によって2次成形品W2が突き上げられる。
突き上げによって型離れした2次成形品W2は、下型5のワーク設置孔50から取り出されて次工程に送り出される。
ここで、本実施形態においては、2次成形品W2における羽根部92が前方押し出し部として構成され、下型5における羽根部成形孔52が羽根部成形凹部または前方押し出し部成形凹部として構成されている。さらに2次成形品Wにおける環状凸部93が後方押し出し部として構成され、2次成形用上型2における環状凸部成形凹部21が後方押し出し部成形凹部として構成されている。
以上のように、この実施形態の鍛造装置によれば、1次成形の前方押し出しによって厚肉の背板部91と羽根部92を形成した後、2次成形の後方押し出しによって背板部91を薄くしつつ環状凸部93を形成しているため、背板部91が薄いにもかかわらず背板部91の背面にヒケ等の鍛造欠陥が発生するのを防止することができる。従って、軽量かつ高品質の2次成形品(電動スクロール)W2を製造することができる。
また本実施形態の鍛造装置においては、1次成形後に上型だけを入れ替えて2次成形を行っているため、1次成形された1次成形品W1を下型5から取り出さずに残存したままで2次成形を行うことができる。このため、上記図14Aおよび図14Bに示す従来の対応策の鍛造金型のように、2セットの金型(ダイセット)を用いる場合等と比較して、1次成形品W1を他の金型に移載する必要がなく、その移載に伴う不具合を確実に防止することができる。例えば移載持の位置ずれがなく、その位置ずれによる鍛造不良の発生を防止することができる。さらに移載作業自体が不要であるため、その分、生産効率を向上させることができる。さらに下型5は一つで良いため、下型を2つ使用する場合と比較して、型設計時における設計者の負担を軽減できるとともに、型製作費も削減することができる。さらに1次成形品を1次成形用の下型から他の金型(2次成形用の下型)に移載する際には、2次成形用の下型に羽根部のクリアランスを設定する必要があるが、そのクリアランスに起因する欠肉や巻き込み等の鍛造欠陥が発生するのも確実に防止することができる。さらに1次成形品W1を他の金型へ移載するための装置等も必要なく、一層コストを削減することができる。
さらに本実施形態の鍛造装置は、2つの上型1,2と1つの下型5とで構成されているため、上型および下型を2つずつ2セットで構成する場合と比較して、下型を1つ減らす分、小型軽量化を図ることができ、省スペース化およびコストの削減を図ることができる。その上さらに、上型に比べて下型は大きいため、その大きい方の下型を1つ省略でき、この点においても、より一層省スペース化および軽量化を図ることができる。さらに鍛造装置の中央に下型5を配置することにより、装置中央で1次成形および2次成形を共に行うことができるため、偏荷重を防止することができる。このため、偏荷重特性を考慮する必要がなく、設計の自由度が増し、汎用性を向上させることができる。
また本実施形態の鍛造装置において、1次成形用上型1および2次成形用上型2はその成形面に型分割部(分割ライン)が存在しないように形成できるため、上型1,2の成形面(下面)に型分割部が配置される場合と比較して、その型分割部に起因する不具合の発生を低減することができる。例えば、型分割部に浸入するメタルによってバリが形成されるのを低減することができる。また言うまでもなく、本実施形態ではバリの発生自体を低減できるため、バリ除去工程を省略することもでき、工程数の増加によって生産性を低下させることなく、高い生産効率を維持することができる。
また上型1,2は、成形面を部分的に可動させるような可動型部(摺動型)を設けずに構成することができる。この場合、可動型部(摺動型)を駆動する駆動装置が不要であり、装置の小型軽量化およびコスト削減を図ることができる。その上、型分割部の摺動型を摺動させるタイミング等の成形条件の管理も不要であり、製造が容易となる。
もっとも本第1実施形態においては、上型1,2に、可動型部(摺動型)を設置することを排除するものではない。
例えば、2次成形用上型2の環状凸部成形凹部(孔部)21にスライド自在な摺動型を配置しておき、その摺動型をエアシリンダや圧縮バネ等の付勢手段によって下方に付勢するように構成する(後述の第2実施形態参照)。これにより、2次成形品W2における環状凸部93を背圧鍛造によって成形することができる。このように環状凸部93を背圧鍛造によって形成する場合には、上型2の成形凹部21内へのメタルの流入をスムーズに行うことができ、環状凸部93を精度良く成形することができる。従って環状凸部93の高さの不揃い等による不具合を確実に防止できて、より高品質の鍛造製品を製造することができる。
特に図7の想像線に示すように、2次成形品W2に上記非対称の凸部94a等を形成するに際して、その凸部94aを成形するための上型2の凹部(孔部)に、背圧を付与できる摺動型を配置しておき、非対称の凸部94aを背圧鍛造によって成形するようにした場合には、非対称による体積バランスが悪い形状であっても、凸部94aを精度良く成形することができる。
また2次成形用上型2に摺動型を設けた場合、既述したようにバリの発生が懸念されるが、このバリは除去してしまえば何ら問題はない。
なお、上記第1実施形態においては、2つの上型1,2を水平方向の一方向に移動するようにしているが、本発明において、上型1,2の移動方法は限定されるものではない。例えば図8Aに示すように、金型を平面視でV字型に配置するようにしても良い。すなわち図8Aの紙面に向かって下方を「前方」、上方を「後方」とし、左右方向を「左右方向」としたとき、固定された下型5に対応する位置と、下型5に対し右後の位置との間で移動自在に1次成形用上型1を設けるとともに、下型5に対応する位置と、下型5に対し左後の位置との間で移動自在に2次成形用上型2を設けるようにしても良い。
さらに上記実施形態においては、上型1,2を2つ設ける場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、上型を3つ以上設けて、3回以上成形(鍛造)するようにしても良い。例えば3回成形する場合には図8Bに示すように、金型を平面視でT字状に配置するようにしても良い。すなわち固定された下型5に対応する位置と、下型5に対し左側の位置との間で移動自在に1回目の成形を行うための1次成形用上型1を設け、下金5に対応する位置と、下型5の右側の位置との間で移動自在に2回目の成形を行うための2次成形用上型2を設け、下型5に対応する位置と、下型5の前側の位置との間で移動自在に3回目の成形を行うための3次成形用上型3を設けるようにしても良い。
さらに上型を4つ設けるようにしても良い。この場合には例えば金型を平面視で十字型に配置する。すなわち図8Bに示すT字型配置の金型に加えて、下型5に対応する位置と、下型5の後側の位置との間で移動自在な4次成形用上型をさらに追加するようにすれば良い。
また複数の上型を円環経路上に沿って並べて配置することもできる。例えば図8Cに示すように、下型5の上空を通過する円環経路R上に上型1,2…を順次配置しておき、各上型1,2…を円環経路R上に沿って所定量に移動させることにより、各上型1,2…を順次下型5の上空に対応する位置に配置させるようにすれば良い。この場合には、5つ以上の上型も配置することができる。
参考までに、本発明の鍛造装置において、金型を平面視でV字状に配置した場合の具体例を図8Dに示す。同図に示すように、下型5の上空において、下型5に対応する位置と、下型5の右後の位置との間に1次側レール部材15を敷設するとともに、そのレール部材15に沿って移動自在に上型プレート72を介して1次成形用上型1を支持する。さらに下型5に対応する位置と、下型5の左後の位置との間に2次側レール部材25を敷設するとともに、そのレール部材25に沿って移動自在に上型プレート72を介して2次成形用上型2を支持する。そして、2次成形用上型2を2次側レール部材25の後端位置、つまり下型5の上空から退避させた状態で、1次成形用上型2を1次側レール部材15に沿って移動させて下型5の上空に配置した状態(1次成形態勢)とする。続いて、1次成形用上型1を下型5に打ち込んで1次成形を行う。続いて1次成形用上型1を上昇させてから、1次側レール部材15に沿って後退させて、下型5の上空から退避させる。次に2次成形用上型2を2次側レール部材25に沿って移動させて下型5の上空に配置した状態(2次成形態勢)とする。続いて、2次成形用上型2を下型5に打ち込んで2次成形を行う。その後、2次成形用上型2を上昇させてから、2次側レール部材25に沿って後退させる。これにより上記実施形態と同様に、1つの下型5と、2つの上型1,2とを有する鍛造装置において、1次成形および2次成形を行うことができる。
図8Dに示す鍛造装置においては、下型5の上空には、ダイクランパ16が設けられている。このダイクランパ16は、下型5に対応する位置に上型1,2が配置された際に閉じた状態となって、上型1,2をその位置に固定する。さらにダイクランパ16は、上型1,2が下型5の上空に対し進入または後退(退避)する際には、開いた状態となって、その進入移動または後退移動を許容するようになっている。さらに上型1,2には前端部には、位置決め凹部17,27が形成されるとともに、下型5の上空には、位置決め部材18,28が設けられている。そして上型1,2が下型5の上空に移動した際には、位置決め凹部17,27内に位置決め部材18,28が係止することによって、上型1,2の下型5に対する位置決めが図られるようになっている。
また上記第1実施形態等においては、複数の上型を移動させて、各上型を下型に対応する位置にそれぞれ移動させるようにしてるが、それだけに限られず、本発明においては、複数の上型を固定した状態に配置しておき、下型を移動させることにより、下型を各上型に対応する位置にそれぞれ配置するようにしても良い。さらに上型および下型の双方を移動させて、各上型を下型に対応する位置にそれぞれ移動させるようにしても良い。要は、上型および下型を相対的に移動させて、下型を各上型に対応する位置にそれぞれ移動できるように構成していれば良い。
もっとも下型は、上型よりも高重量大型であるため、下型を移動させるよりも、上型を移動させる方が、移動機構の小型コンパクト化を図ることができ、ひいては装置全体として小型コンパクト化を図ることができる。
<第2実施形態>
図9Aおよび図9Bはこの発明の第2実施形態である鍛造装置を説明するための正面断面図である。両図に示すように、この第2実施形態の鍛造装置は、上型として、1次/2次共用他方型としての1次/2次共用上型4が1つだけ備えられている。そして、この上型4が、1次成形用上型(1次成形用他方型)および2次成形用上型(2次成形用他方型)の2つの型を兼用するものであり、この上型4によって、1次成形と、2次成形の2つの成形を行うものである。
すなわちこの第2実施形態対応策で用いられる1次/2次共用上型4は、その下端面である成形面に開口し、かつ上下方向に延びる凸部成形孔(凸部成形凹部)41が形成されており、その孔41内に上下方向にスライド自在に摺動型(可動型部)42が収容されている。そして摺動型42の先端面(下端面)を上型4の下端面に一致させて固定した状態(1次成形用状態)と、摺動型42を上昇(後退)可能とさせて、凸部成形孔41を出現可能な状態(2次成形用状態)との間で状態変化可能に構成されている。ここで、本第2実施形態では、1次成形用状態の共用上型4は、上記第1実施形態の1次成形用上型1と同様な型として機能し、2次成形用状態の共用上型4は、上記第1実施形態の2次成形用上型2と同様な型として機能するようになっている。
ここで本実施形態においては、上型4の凸部成形孔41が後方押し出し部成形凹部を構成するものである。
また1次/2次共用上型4は、図示しない昇降駆動手段によって上下方向に昇降できるようになっている。
この第2実施形態の鍛造装置において、他の構成は、上記第1実施形態の鍛造装置と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
この鍛造装置においては、下型5のワーク設置孔50内に鍛造素材を設置する一方、図9Aに示すように1次/2次共用上型4の摺動型42の先端面を上型4の下端面(押圧面)に一致させて固定した1次成形用状態でその上型4を下型5に打ち込んで、1次成形品W1を成形する。その直後に、下型5内に1次成形品W1を残存させたままの状態で、図9Bに示すように1次/2次共用上型4を摺動型42を後退可能な2次成形用状態としておいてその上型4を下型5に打ち込む。これにより1次成形品W1が加圧されてメタルが摺動型42を後退させつつ凸部成形孔41内に塑性流動して2次成形品(電動スクロール)が成形される。こうして得られた2次成形品は、その底板部の背面中央に、凸部成形孔41内に流入したメタルによって円柱状の凸部が形成されることとなる。
なおこの第2実施形態においては、2次成形時に共用上型4の摺動型42に、メタルの凸部成形孔41内への流入方向に対し反対方向(下向き)に背圧を付与しておくのが好ましい。この場合には、メタルを凸部成形孔41内により一層スムーズに流入させることができ、2次成形品に凸部を寸法精度良く形成することができる。特に図7の想像線に示すように、非対称の凸部94aを形成するような場合には、上記したように背圧を付与することによって、非対称による体積バランスが悪くとも、凸部94aを精度良く成形することができる。
またこの第2実施形態においては、2次成形時に、摺動型42をメタルの圧力によって後退させるようにしているが、それだけに限られず、2次成形直前に、摺動型42を予め後退させておいて、凸部成形孔41を出現させた状態で2次成形を行うようにしても良い。さらに2次成形直前に、少しだけ摺動型42を後退させておき、2次成形中に摺動型42をメタルによってさらに後退させるようにしても良い。
この第2実施形態の鍛造装置によっても、上記第1実施形態の鍛造装置と同様に同様の効果を得ることができる。
例えば本第2実施形態においては、1次成形および2次成形の2回の成形で電動スクロールとしての2次成形品Wを製造しているため、上記第1実施形態と同様に、背板部91を薄く形成してもヒケ等の鍛造欠陥が発生するのを防止できて、軽量かつ高品質の鍛造製品を得ることができる。
さらに1次成形後に1次成形品を下型5内に残存させたままで2次成形を行っているため、1次成形品の移載に伴う上記の不具合を確実に防止することができる。
しかも本第2実施形態の鍛造装置においては、1次/2次共用上型4によって、1次成形用上型および2次成形用上型の2つの上型を兼用できるため、設置スペースをさらに小さくできて、小型コンパクト化を確実に図ることができる。
<他の変形例>
ところで上記実施形態においては、電動スクロールを製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明の鍛造方法は、電動スクロール以外の鍛造品も製造することができる。特に本発明の鍛造方法に適した鍛造品形状としては、前方押し出しおよび後方押し出しを行う複合押し出しを行って成形される形状に適しており、中でも特に、前方押し出しされるメタル量(前方へのメタルフローの体積)が多く、そのフローに伴う鍛造欠陥(ヒケ)が発生する可能性が高い形状に適している。この場合上記実施形態と同様に、1次成形時には、前方押し出し鍛造を行って、1次成形品に鍛造欠陥(ヒケ)が発生しない程度の厚さを有する板部を成形し、2次成形時には、上型のみを入れ替えて、後方押し出し鍛造を行って、鍛造品を製造するものである。
電動スクロール以外に、本発明に適した形状の鍛造品としては、自動車用部品のカップリングハウジング、ヨーク等を例示することができる。具体的には、図10に示すように、底板部95の一面側中央に前方押し出し(1次成形)による軸状部96が成形されるとともに、底壁部95の他面側外周に後方押し出し(2次成形)による外周壁97が成形された鍛造品W21を例示することができる。同図の例では、軸状部96が前方押し出し部を構成するとともに、外周壁97が後方押し出し部を構成するものである。なおこの鍛造品W21においても、上記図7と同様に、必要に応じて、底板部95における周方向の一部に凸部94aや凹部(図示省略)を形成して、非対称的な断面形状に形成する場合もある(図11の鍛造品W22においても同じ)。
また本発明の鍛造方法は、図11に示すように、1回の鍛造では潤滑切れが発生する可能性が高い深底カップ形状のような鍛造品W22も製造可能である。この鍛造品W22を製造する場合には、1次成形時にカップ底壁下面側と共に上面側外周に低い周壁部を後方押し出しにより成形する。その後、2次成形時には、周壁部を後方押し出しにより高く成形するようにしている。この鍛造方法では、上型の入れ替えによって、新たな潤滑剤を塗布した状態で2次成形を行えるため、潤滑切れの発生を防止でき、効率良く生産することができる。
この発明の鍛造装置は、例えばカーエアコン用コンプレッサ部品としての電動スクロール等の鍛造品を製造する際に利用することができる。
1:1次成形用上型(1次成形用他方型)
2:2次成形用上型(2次成形用他方型)
21:環状凸部成形凹部(後方押し出し部成形凹部)
4:1次/2次共用上型(1次2次共用他方型)
41:凸部成形凹部(後方押し出し部成形凹部)
5:下型(一方型)
52:羽根部成形孔(羽根部成形凹部、前方押し出し部成形凹部)
91:背板部
92:羽根部(前方押し出し部)
93:環状凸部(後方押し出し部)
96:軸状部(前方押し出し部)
97:外周壁(後方押し出し部)
W:鍛造素材
W1:1次成形品
W2:2次成形品
W21:鍛造品
W22:鍛造品

Claims (5)

  1. 鍛造素材が設置される一方型と、
    前記一方型と型合わせ可能な1次成形用他方型と、
    前記一方型と型合わせ可能な2次成形用他方型とを備え、
    前記1次成形用他方型および前記一方型が型合わせされることによって、前記一方型に設置された鍛造素材における前記一方型側である一面側が成形されて1次成形品が形成され、
    1次成形品が前記一方型に残存したまま、前記2次成形用他方型および前記一方型が型合わせされることによって、1次成形品における前記2次成形用他方型側である他面側が成形されて2次成形品が形成されるように構成され、
    前記一方型は、鍛造素材が設置されるワーク設置孔を有する下型によって構成され、
    前記1次成形用他方型および前記2次成形用他方型は、前記ワーク設置孔にそれぞれ打ち込まれる1次成形用上型および2次成形用上型によって構成され、
    前記下型に、鍛造素材の一面側に前方押し出し部を成形するための前方押し出し部成形凹部が形成され、
    2次成形品によって、一面側に前記前方押し出し部として羽根部を有する電動スクロールが構成され、
    前記下型に、前記前方押し出し部成形凹部として羽根部成形凹部が形成されていることを特徴とする鍛造装置。
  2. 前記1次成形用他方型を前記一方型に対向する位置とその位置から退避する位置との間で移動自在に支持する一方、前記2次成形用他方型を前記一方型に対向する位置とその位置から退避する位置との間で移動自在に支持する移動手段を備える請求項1に記載の鍛造装置。
  3. 前記1次成形用他方型として機能する1次成形用状態と、前記2次成形用他方型として機能する2次成形用状態との間で状態変化可能な1次/2次共用他方型を備え、
    前記1次/2次共用他方型が、前記1次成形用他方型および前記2次成形用他方型を兼用している請求項1に記載の鍛造装置。
  4. 前記2次成形用上型に、1次成形品の他面側に後方押し出し部を成形するための後方押し出し部成形凹部が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造装置。
  5. 鍛造素材が設置される一方型と、前記一方型と型合わせ可能な1次成形用他方型と、前記一方型と型合わせ可能な2次成形用他方型とを用いた鍛造方法であって、
    前記1次成形用他方型および前記一方型を型合わせすることによって、前記一方型に設置された鍛造素材における前記一方型側である一面側を成形して1次成形品を形成し、
    1次成形品を前記一方型に残存させたまま、前記2次成形用他方型および前記一方型を型合わせすることによって、1次成形品における前記2次成形用他方型側である他面側を成形して2次成形品を形成するものとし、
    2次成形品として、一面側に羽根部を有する電動スクロールを製造するようにしたことを特徴とする鍛造方法。
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