以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明では、物流管理システム、端末装置、物流管理方法およびプログラムの一例として、集配計画および該集配計画を構成する各荷役作業にかかる荷物情報を管理する物流管理サーバ116と、それぞれ移動車輌132,142に付帯され、集配計画に沿った作業の実行を管理する複数のモバイル端末130,140とを含む、物流支援システム100を用いて説明する。
図1は、本実施形態による物流支援システム100の概略図である。物流支援システム100は、ネットワーク110を介して接続される、発注端末112と、物流端末114と、物流管理サーバ116と、移動車輌132,142に付帯される複数のモバイル端末130,140とを含み構成される。物流支援システム100は、荷主が遠隔的に荷物の集配を依頼し、物流業者が荷主から依頼された荷物の集配作業を各移動車輌に遠隔的に割り当て、その実績を管理することを可能としている。
発注端末112は、荷主サイトに設置され、荷主は、配送するべき荷物を設定して物流管理サーバ116に登録することにより、荷物の集配を依頼することができる。物流端末114は、物流者サイトに設置され、物流管理サーバ116に対し、発注端末112からの新規な荷物の集配の依頼の有無を問い合わせ、発注端末112により依頼された荷物を集配するための運行管理および要員管理などを依頼している。
物流管理サーバ116は、物流者サイトやインターネット上に設置され、それぞれ発注端末112および物流端末114からの発注要求または運行管理要求を受領し、発注要求に基づいた集配計画の作成を支援する。物流管理サーバ116は、さらに、モバイル端末130,140から、それぞれの移動車輌132,142の集配状況を、無線ネットワーク150を介した通信により取得し、略リアルタイムで集配状況の更新を行っている。物流管理サーバ116は、物流管理データベース(以下、DBと参照する。)120を管理しており、受注管理、各移動車輌の集配状況の管理、および、集配計画作成支援を行っている。
移動車輌132,142は、トラックなどの車両の他、バイク、モータ付自転車などの荷物の集配を行うことができる車両を含む。各移動車輌132,142には、モバイル端末130,140が付帯されており、モバイル端末130,140は、GPS(Global Positioning System)などを利用して位置情報を取得し、また移動車両の運転者からの入力情報を取得し、物流管理サーバ116に送信することができる。
本実施形態における発注端末112および物流端末114は、パーソナルコンピュータやワークステーション、またはサーバコンピュータとして構成することができ、中央処理装置(CPU)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを実装し、適切なオペレーティングシステム(OS)の制御の下で、各種プログラムを実行し、各種処理を実行するための機能手段を提供する。本実施形態における物流管理サーバ116も同様に、パーソナルコンピュータやワークステーション、サーバコンピュータから構成することができ、同様なハードウェアを実装し、適切なOSの制御下で動作するサーバプログラムを実装している。
本実施形態におけるモバイル端末130,140は、これまで知られた如何なる端末、例えばカーナビ装置、携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)、ミニノートコンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータを利用して実装することができる。モバイル端末130,140も、同様のハードウェアを実装し、適切なOSの下で各種プログラムを実行し、各種処理を実行するための機能手段を提供する。
本実施形態におけるネットワーク110は、インターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークであり、無線ネットワーク150は、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.xなどの規格で規定される無線通信、ハイスピードFOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access)、PHS(Personal Handy-phone System)、LTE(Long Term Evolution)などの無線通信方式またはその他の移動体通信方式を利用して構成することができる。
図2は、本実施形態による物流管理サーバ116の機能ブロックを示す図である。物流管理サーバ116は、WEBサーバ機能やFTP(File Transfer Protocol)サーバ機能を実装しており、ネットワーク・インタフェース210を介して、ネットワーク110から各種情報および要求を受領し、処理するよう構成されている。
物流管理サーバ116は、より詳細には、物流管理部220と、データアクセス部230と、ストレージ・インタフェース232とを備えている。物流管理部220は、本実施形態においては、フロントエンドサーバの機能を有しており、発注端末112からの発注要求を受領し、物流管理DB120に荷物の集配の依頼を登録する。物流管理部220は、さらに、物流端末114からのアクセスに応じて、発注端末から受領した荷物の集配の依頼に対応し、物流者の集配資源情報を参照して集配計画作成を支援し、作成された集配計画を物流管理DB120に登録する。
物流管理部220は、さらに、移動車輌132、142に搭載されるモバイル端末130,140から送付された位置情報、時刻情報、作業内容の入力情報などを受領して、物流管理DB120内の特定の移動車輌の現在情報を更新する。物流管理部220は、発注端末112からの荷物の現状問い合わせ要求を受領すると、問い合わせを受けた発注者の荷物を搬送している運搬車輌の最新の荷物配送状況を物流管理DB120で検索し、発注端末112に対して最新の荷物配送状況を提供することができる。
データアクセス部230は、データベースに対するデータの登録や検索、検索結果の作成などを行う処理部であり、SQLなどのパーザを含んで実装され、作成されたクエリ文を解析し、各データベースに対するデータ追加、検索結果生成、データ削除、データ更新などの処理を可能としている。データは、データアクセス部230およびストレージ・インタフェース232を介してハードディスク装置(図示せず)などにデータベースのデータとして格納される。
なお、図2に示した物流管理サーバ116の機能は、サーバプログラムの実行により単一内でのサーバの機能手段として実装することができる。あるいは、他の実施形態では、分離された各機能(例えば、運行、動態および発注の各機能)に専用化したサーバとして実装し、複数のサーバ各々をネットワーク相互接続したサーバネットワークとして構成することもできる。さらに、クラウド・コンピューティング基盤など、複数のコンピュータ・システムから構成されるコンピューティング基盤上に上記機能を構成してもよい。
図3は、本実施形態による(A)モバイル端末130,140および(B)物流端末114の機能ブロック図である。以下、図3(A)において、モバイル端末130を代表で参照して説明する。図3に示すモバイル端末130は、無線ネットワーク・インタフェース242を備えており、適切な通信方式およびプロトコルの下で、無線ネットワーク150およびインターネット110を介して、物流管理サーバ116の物流管理部220との間でデータ送受信を行っている。
モバイル端末130は、割り当てられた集配計画に沿った作業の実行を管理するためのアプリケーション244と、GPSアプリケーション246と、GPSモジュール248とを含んでいる。アプリケーション244は、定期的にGPSモジュール248を起動して、緯度、経度といった位置情報を取得し、取得した時刻を時刻情報として物流管理サーバ116に送信する。これを受けて、物流管理部220は、モバイル端末IDが割り当てられた移動車輌を識別し、該当する移動車輌の現在情報の値を更新する。
モバイル端末130は、さらに、API(Application Program Interface)250およびOS252を備えており、OS252や外付け機器(図示せず)からの割り込み要求に対応している。モバイル端末130は、さらに、デバイスドライバ254を備えており、ハードウェア層(HDW)256に対する制御を可能としている。モバイル端末130は、それ自体が通信機能を備えていても良いし、USBなどのバスを介して無線通信手段が接続されていてもよい。
図3(B)を参照すると、物流端末114は、ネットワーク・インタフェース260と、GUI制御部262と、ブラウザ264とを含んでいる。さらに、物流端末114は、OS266と、デバイスドライバ268と、ハードウェア(HDW)270とを含み、各部の制御および外付け装置の制御などを可能としている。
物流端末114は、物流管理サーバ116に対し、集配計画の作成支援を依頼する。物流管理サーバ116は、当該物流端末114からの集配計画作成支援の依頼を受領すると、物流者のアクセス権限を認証し、認証後、物流者が利用可能な移動車輌や運転者などの資源を割り当てるためのウェブページを物流端末114に送付し、集配計画作成を支援する。物流端末114から集配計画を受領すると、物流管理サーバ116は、受領した集配計画を物流管理DB120に登録する。そして、物流管理サーバ116は、適切なタイミングで特定のモバイル端末130のための集配計画に基づく運行ルートデータを作成し、該当するモバイル端末130に対し、作成された運行ルートデータを送付し、移動車輌および運転者によるモバイル端末130を利用した集配業務を可能としている。
物流支援システム100の上述した機能により、集配業務の効率化が図られているものの、荷物の誤配や集配漏れなどの可能性が懸念される。そこで、本実施形態による物流支援システム100では、無線タグリーダによる荷物の検品処理に基づき、上記作成された集配計画に沿った作業の進行を管理する、作業進行管理機能を備える。以下、図4〜図11を参照しながら、本実施形態による作業進行管理機能について説明する。
図4は、本実施形態による物流支援システム100における作業進行管理機能に関連する詳細な機能ブロック図である。図4に示す機能ブロックは、物流管理サーバ116の物流管理部220が備える機能部222,224と、モバイル端末130が備える機能部280〜290とを含み構成される。
物流管理サーバ116の機能部についてまず説明すると、物流管理部220は、伝票管理部222と、集配計画・実績管理部224とを含み構成される。伝票管理部222および集配計画・実績管理部224は、それぞれ、データアクセス部230を介して物流管理DB120に接続されている。伝票管理部222は、発注端末112から受領された集配伝票を、物流管理DB120上で管理する。集配計画・実績管理部224は、物流端末114から受領した、発注要求に基づいて作成された移動車輌(運転者)毎の集配計画を、物流管理DB120上で、実績とともに管理しており、集配計画を構成する各荷役作業にかかる集配伝票との関連付けも管理している。
本実施形態において集配計画は、集配業務における出発地から1以上の経由地を経て目的地までを結んだ経路上の各現場で行われる一連の作業から構成される。各現場に対しては、荷役作業、休憩、業務開始、業務終了などの作業が関連付けられる。以下、荷物を積み込む場所を積込地と参照し、最終的に荷物を荷下ろす場所を納品先と参照する。荷役作業としては、積込地で荷物を積み込む積み込み作業、中間地点で荷物を下ろす中間荷下ろし作業、中間地点で荷物の積み込む中間積み込み作業、納品先で荷物を下ろす納品作業などが含まれる。ここで、中間荷下ろし作業および中間積み込み作業は、物流者の集配業務の全体最適化を図るために計画される荷物の積み替えにかかる荷下ろし作業および積み込み作業をいう。上述した集配計画は、例えば荷主からの受注状況や物流者の集配資源の状況に応じて、動的に変更され得る。
上記伝票管理部222により管理される集配伝票は、積込日、積込地、積込地の住所、納品日、納品地、納品地の住所、荷役の対象となる1または複数の荷物の情報を含み構成される。この集配伝票により、上記荷役作業各々には、荷役の対象となる1または複数の荷物が関連付けられる。なお、上述したように、中間積み替えが行われ得るため、荷物の積み込みから納品までを通して、必ずしも単一の移動車両で配送が行われない場合もある。
移動車輌および運転者は、自身に割り当てられた集配計画に基づき、経路上の各現場を巡行し、各現場において所定作業を実施する。また運転者は、現場への到着、作業の開始、作業の終了、現場からの次の現場への出発といった、各現場での作業状況が変わる毎に、モバイル端末130を操作して、作業状況の変更を物流管理サーバ116に報告する。これにより、物流管理サーバ116において、運転者および移動車輌の集配計画に沿った作業の実績が記録される。また、運行ルートに沿った移動中の任意のタイミングで、モバイル端末130から、移動車輌の現在位置情報および時刻情報が物流管理サーバ116に伝達されるよう構成されてもよい。
モバイル端末130の機能部について説明を続けると、図4に示すモバイル端末130は、操作部280と、表示部282と、作業状態管理部284と、荷物情報取得部286と、検品照合部288と、端末DB290とを含み構成される。
表示部282は、モバイル端末130が備えるディスプレイ・パネルを含み構成され、モバイル端末130の操作者(つまり運転者)からの各種操作を受け付けるためのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)部品を含む操作画面を表示する。操作部280は、上記ディスプレイ・パネルに設置されるタッチスクリーンや、ハードキーなどの入力装置を含み構成され、上記操作画面におけるGUI部品に対する操作者からの操作を受け付ける。
作業状態管理部284は、上記集配計画に沿って進められる作業状況を管理するとともに、作業状況に応じて操作画面の表示態様を変更する制御を実行する。作業状態管理部284のはたらきにより、その作業状況に応じた適切な操作画面が表示部282に表示され、操作部280によりその作業状況に応じた適切な操作が受け付け可能となる。
本実施形態による作業状態管理部284は、運転者に対し、無線タグリーダ134を用いた2段階の検品処理を求める。第1段階目の検品処理は、荷役作業の対象となる荷物群の検品処理である。第2段階目の検品処理は、荷役作業完了時点あるいは出発前時点における移動車両132の荷室132a内の荷物群の検品処理である。作業状態管理部284は、作業の進捗に応じて上記表示部282による操作画面の表示態様を変更し、これによって、上述した2段階の検品処理の実施を運転者に対し誘導する。
作業状態管理部284は、まず、所定の現場に到着し、荷役作業の開始が受け付けられたことに応答して、上記表示部282に対し現在の荷役作業の対象となる荷物群の検品を促す表示を行わせるとともに、操作部280を、荷役の対象となる荷物群の検品の指示を受け付ける作業対象検品指示受付手段として動作させる。作業状態管理部284は、さらに、現在の荷役作業の完了操作を受付可能とする前に、上記表示部282に対し移動車両132の荷室132a内の荷物群の検品を促す表示を行わせるとともに、操作部280を、荷室内の荷物群の検品の指示を受け付ける荷室検品指示受付手段として動作させる。
荷物情報取得部286は、無線タグリーダ134により、上述した2段階の各検品処理プロセスにおける荷物群に付された無線タグを読み取り、その読み取り結果を取得して、端末DB290に格納する。第1段階目の検品処理では、無線タグリーダ134により、荷役の対象となる荷物群200の各荷物に付された無線タグ202が読み取られる。第2段階目の検品処理では、無線タグリーダ134により、荷室132a内の全荷物群210の各荷物に付された無線タグ212が読み取られる。端末DB290は、上記無線タグリーダ134に読み取られた荷物情報を一時的に格納するデータベースである。
モバイル端末132と無線タグリーダ134との間の接続は、典型的には、Bluetooth(登録商標)やワイヤレスUSBなどの無線通信インタフェースを介して行われる。あるいは、モバイル端末132自体がNFC(近距離無線通信技術)リーダを備える他の実施形態では、モバイル端末132が備えるNFCリーダを用いてもよい。また、集配業務にかかる荷物には、特に断らない限り、無線タグが付されているものとする。
また、無線タグリーダの故障、無線タグがはがれてしまった場合、無線タグが付されていない荷物が混在する場合などに対応して、無線タグリーダによる読み取りを代替して、荷物の情報の入力を受け付ける代替入力受付手段を設けてもよい。代替入力方法は、例えば、黙視に基づくタッチパネルを介した手動入力であってもよいし、あるいはバーコードリーダや二次元コードリーダによるコード読み取りや、物品の写真を添付するといった入力方法であってもよい。無線タグが付されていない荷物が混在し得る場合は、上述した集配伝票の各荷物の情報に対し、無線タグが付されているか否かを示すフラグが設定される。
代替入力受付手段が用いられる場合は、安易な代替入力を避け、上述した誤配や集配ミスを防止する観点から、代替入力としたことの要因の入力を求めたり、代替入力であることやその理由を記録したりするなどの制限が付加されることが好ましい。あるいは、不測の事態に対応して検品処理自体をスキップする方法を設けることもできるが、その場合は、誤配および集配漏れを防止する観点から、上長の承認を要するように構成したり、検品処理が意図的にキャンセルされた旨の履歴を記録するように構成することが好ましい。
検品照合部288は、上述した2段階の各検品処理プロセスにおいて、各荷物に付された無線タグ202,212から無線タグリーダ134により読み取られた荷物群200,210の情報を端末DB290から読み出し、物流管理サーバ116が管理する荷物情報と照合する。なお、照合は、読み取った荷物群の情報を物流管理サーバ116に送信し、物流管理サーバ116側で行われた照合結果を受信することによって行ってもよいし、あるいは、物流管理サーバ116から必要な荷物情報を取得して、モバイル端末130側で、取得した荷物情報と照らし合わせることによって行ってもよい。説明する実施形態では、検品照合部288は、端末DB290から読み出した荷物群200,210の情報を物流管理サーバ116に送信することにより、検品処理にかかる照合の依頼を行う。そして、検品照合部288は、照合の依頼に応答して返却される検品処理結果を受信し、その結果を作業状態管理部284に通知する。
また、上記照合では、モバイル端末130を付帯する移動車輌132およびその運転者に割り当てられた最新の集配計画の集配伝票(積込荷物にかかる伝票および納品荷物にかかる伝票を含む。)と、積み込み、納品、中間荷下ろしおよび中間積み込みなどの作業実績とに基づいて、移動車両132の荷室132a内に存在すべき荷物群が特定される。より具体的には、積み込み済みの伝票の荷物から、中間荷下ろし済みおよび納品済みの伝票の荷物を差し引いて、さらに、当該現在の荷役作業の対象である荷物群を加えて(積み込み時)、あるいは差し引いて(納品時)、荷室132a内に存在すべき荷物群が特定される。また、前日以前から持ち越されている荷物の伝票がある場合は、それも考慮される。また、荷物以外の移動車両に備え付けの無線タグ付きの備品があれば、その備品も考慮することができる。
作業状態管理部284は、検品の指示に基づく検品照合部288による照合の結果、荷役にかかる荷物群、あるいは荷室内132aの荷物群210が物流管理サーバ116で管理される状態と一致しなかった場合には、現在の荷役作業を完了状態へ遷移させることを制限する。完了状態への遷移が制限されると、集配計画に沿った次の作業へ進めることが制限され、現在の荷役作業を完了させて次の現場に向かうことができなくなる。これにより、誤った荷物を積み込んだり、誤った荷物を納品したり、荷物を納品先ではない現場に置き忘れてしまったりすることが防止される。
作業状態管理部284は、照合の結果、読み取られた荷物群が、物流管理サーバ116で管理されている現在の荷役作業の対象である荷物群に対し過不足があった場合には、上記表示部282を、作業対象の荷物の検品エラーを通知する作業対象検品エラー通知手段として動作させる。作業状態管理部284は、また、荷室132a内の荷物群が物流管理サーバ116で管理される状態と一致しなかった場合には、上記表示部282を、荷室132a内の荷物の検品エラーを通知する荷室内検品エラー通知手段として動作させる。これにより、誤った荷物を積み込んだり、納品したり、荷物を納品先ではない現場に置き忘れてしまったりした場合に、運転者が、どの荷物に過不足があるかを認識し易くなる。
図5は、本実施形態によるモバイル端末130が実行する、作業進行管理処理を示すフローチャートである。図6は、本実施形態によるモバイル端末130の表示部282で表示される操作画面を例示する図である。図7は、本実施形態によるモバイル端末130の表示部282で表示される操作画面のGUI部品の状態遷移を説明するテーブルである。図8は、本実施形態によるモバイル端末130の表示部282で表示される検品エラー画面を例示する図である。なお、以下、運転者および移動車両に対して、所定の集配計画が割り当てられているものとして説明する。
図6に示す操作画面300は、現在の荷役作業の詳細な情報を示すものである。図6に示す操作画面300は、現在の荷役作業の現場に関する情報を表示する現場情報エリア302と、現在の荷役作業の予定を表示し、実績を入力するための計画実績エリア304と、現在の荷役作業の現場に関連して地図表示を行う地図エリア306と、メインボタン308と、案内開始ボタン310とを含み構成される。
メインボタン308は、作業状況を遷移させるユーザ操作を受け付ける作業状態遷移ボタンであり、案内開始ボタン310は、自身の集配計画に沿った次の現場への案内を開始させる操作を受け付ける次現場案内開始ボタンである。メインボタン308および案内開始ボタン310は、作業状況に応じて図7に示すテーブルで説明されるように表示状態が遷移する。
まず、前の現場での作業が完了した状態を検討する。このとき、表示されている次の現場への案内開始ボタン310が押下されると、『案内開始操作後』の作業状態に遷移し、図7に示すテーブルで示すように、案内開始ボタン310が非表示となるとともに、メインボタン308のラベルが『現場到着』に変化し、現場到着操作が受け付け可能となる。ナビゲーションに従い、現在の現場に到着すると、運転者は、メインボタン『現場到着』308を押下し、これによりの作業状態が『現場到着操作後』となる。図5は、作業状態が『現場到着操作後』となった以降の処理を説明する。
図5に示す処理は、上述したメインボタン『現場到着』308が押下され、作業状態が『現場到着操作後』となったことに応答して、ステップS100から開始される。ステップS101では、作業状態管理部284は、図7に示すテーブルで表すように、メインボタン308のラベルの表示状態を『検品処理』に変更することにより、運転者に対し、荷役作業の対象となる荷物群のタグの読み取りを指示する。このとき、運転者は、納品直前のまたは積み込み直前の荷物群200に付された無線タグ202を無線タグリーダ134で読み取る。ステップS102では、荷物情報取得部286は、無線タグリーダ134から、荷役作業の対象となる荷物群の情報を取得し、端末DB290に書き込む。
ステップS103では、操作部280は、メインボタン『検品処理』308が押下されるまで待ち受けて、処理をループさせる。運転者が、無線タグリーダ134により荷物群の無線タグを読み取らせた後、メインボタン『検品処理』308が押下されると、ステップS103で、メインボタン『検品処理』308の押下を検出して、ステップS104へ処理が分岐される。
ステップS104では、検品照合部288が、端末DB290から荷物群の情報を読み出し、物流管理サーバ116に送信し、照会する。ステップS105では、検品照合部288が、物流管理サーバ116から照会結果を受信し、作業状態管理部284に渡す。ステップS106では、作業状態管理部284は、荷役作業にかかる荷物群が、物流管理サーバ116で管理されている状態と比較して過不足が無いかを判定する。ステップS106で、過不足があると判定された場合(NO)は、ステップS107へ処理を分岐させる。ステップS107では、作業状態管理部284は、表示部282に対し、荷役対象の荷物における検品エラーの通知を行わせて、ステップS102へ処理を分岐させる。これにより、無線タグリーダ134による再度の読み取りが促される。
図8(A)は、ステップS107で、表示部282により表示される作業対象検品エラー通知画面を例示する。図8(A)に示す作業対象検品エラー通知画面では、荷役対象の荷物をリストアップした一覧表表示画面320上に、さらに、ダイアログボックス322が重ねて表示されている。ダイアログボックス322には、物流管理サーバ116で管理されている状態と比較した過不足の状況を示すエラーメッセージが示されている。図8(A)に示す状態において、OKボタン324が押下されると、再び無線タグリーダによる読み取り前の状態に戻される。
一方、ステップS106で、過不足が無いと判定された場合(YES)は、ステップS108へ処理が分岐される。これにより第1段階目の検品処理をパスして、作業状態が『作業対象の検品処理後』に切り替えられる。ステップS108では、作業状態管理部284は、図7に示すテーブルで表すように、メインボタン308のラベルの表示状態を『検品処理』から『出発前荷室読取』に変更し、これにより、運転者に対し、荷室132a内の荷物群のタグの読み取りを指示する。ステップS109では、荷物情報取得部286は、無線タグリーダ134から、荷室内とされる荷物群の情報を取得し、端末DB290に書き込む。
ステップS110では、操作部280は、メインボタン『出発前荷室読取』308が押下されるまで待ち受けて、処理をループさせる。運転者が、無線タグリーダ134により荷物群の無線タグを読み取らせた後、メインボタン『出発前荷室読取』308を押下すると、ステップS110で、メインボタン『出発前荷室読取』308の押下が検出され、ステップS111へ処理が分岐される。
ステップS111では、検品照合部288が、端末DB290から荷物群の情報を読み出し、物流管理サーバ116に送信し、照会する。ステップS112では、検品照合部288が、物流管理サーバ116から照会結果を受信し、作業状態管理部284に渡す。ステップS113では、作業状態管理部284は、荷室132a内とされる荷物群が、物流管理サーバ116で管理されている状態と比較して過不足が無いかを判定する。ステップS113で、過不足があると判定された場合(NO)は、ステップS114へ処理を分岐させる。ステップS114では、作業状態管理部284は、表示部282に対し、荷室内の荷物における検品エラーの通知を行わせて、ステップS109へ処理を分岐させる。これにより、無線タグリーダ134による再度の読み取りが促される。
図8(B)は、ステップS114で、表示部282により表示される荷室内検品エラー通知画面を例示する。図8(B)に示す荷室内検品エラー通知画面では、荷室内のすべての荷物をリストアップした一覧表表示画面330上に、さらに、ダイアログボックス332が重ねて表示されている。ダイアログボックス332には、物流管理サーバ116で管理されている状態と比較した過不足の状況を示すエラーメッセージが示されている。図8(B)に示す状態において、OKボタン334が押下されると、再び無線タグリーダによる読み取り前の状態に戻される。
一方、ステップS113で、過不足が無いと判定された場合(YES)は、ステップS115へ処理を分岐させる。これにより第2段階目の検品処理をパスして、作業状態が『出発前荷室読取処理後』に切り替えられる。ステップS115では、作業状態管理部284は、図7に示すテーブルで表すように、メインボタン308のラベルの表示状態を『出発前荷室読取』から『作業完了』に変更される。これにより、メインボタン308は、現在の荷役作業に対する完了操作を受け付ける状態に切り替えられる。ステップS116では、作業完了操作が受け付けられて、以降の処理へ進められる。
ステップS116以降の処理は、図5には示されていないが、図7に示したテーブルに表されるように、概ね以下のように行われる。運転者が、メインボタン『作業完了』308を押下すると、これにより作業状態が、『現場の作業完了操作後』に切り替えられ、メインボタン308のラベルが非表示に切り替えられるとともに、次ぎの現場への案内を開始させる案内開始ボタン310が表示される。これにより、案内開始ボタン310は、次の現場への案内を開始させる操作を受け付ける状態に切り替えられる。
続いて次の現場への案内開始ボタン310が押下されると、『案内開始操作後』の状態に遷移し、地図によるナビゲーションが開始し、案内開始ボタン310が非表示となるとともに、メインボタン308のラベルが『現場到着』に変化し、上述した処理の流れが繰り返される。
以下、図9〜図11を参照しながら、具体的な集配計画に沿った運転者の動作と、モバイル端末130の動作と、物流管理サーバ116の動作との詳細について説明する。図9および図10は、具体的な集配計画に沿った運転者の動作と、モバイル端末130の動作と、物流管理サーバ116の動作とを示すシーケンス図である。なお、図9および図10では、運転者の動作を左側に、モバイル端末130の動作を中央に、物流管理サーバ116の動作を右側に示す。図11は、ここで参照する具体的な集配計画を示す(A)運行ルートデータおよび(B)伝票情報のデータ構造を示す図である。
図11(A)に示す集配計画の運行ルートデータでは、各レコードに、作業名のカラムと、現場名称のカラムと、開始予定時刻のカラムと、終了時刻のカラムと、開始時刻のカラムと、終了時刻のカラムと、当該作業に関連付けられる積み込み荷物の伝票番号と、荷下ろし荷物の伝票番号とが含まれている。図11(A)に示す集配計画の運行ルートデータは、5つのレコードから構成されている。すなわち、業務開始のレコードと、物流者側で計画された中間積み替えのレコードと、荷主から依頼された積み込み作業のレコードと、荷主から依頼された納品作業のレコードと、業務終了のレコードとが含まれている。
図11(A)には、業務開始時点では、移動車両132の荷室132a内に、伝票番号「100」「101」の荷物が積み込み済みであることが示されている。2番目の中間積み替えのレコードでは、新しく伝票番号「102」の荷物群が積み込まれ、そして、伝票番号「100」の荷物群が荷下ろしされることが計画されている。3番目のレコードでは、XXX社で、伝票番号「103」および「104」の積み込み作業が行われて、4番目のレコードでは、YYY社で、伝票番号「101」および「102」の納品作業が行われることが計画されている。したがって、5番目のレコードの業務終了時点では、伝票番号「103」および「104」の荷物が積み込まれた状態となる予定である。
なお、図11(B)には、伝票番号「102」の伝票情報の詳細なデータ構造が例示されている。図11(B)に示す伝票情報では、伝票番号のフィールドと、荷主識別子(ID)のフィールドと、積込日、積込地、その住所、納品日、納品地およびその住所と、詳細な荷物情報のテーブルとを含み構成される。詳細な荷物情報のテーブルは、荷物毎にレコードが設けられ、荷物の個別伝票番号のカラムと、品名のカラムと、数量のカラムと、重量のカラムとが含まれている。
上記運行データの集配計画に沿ったある移動車両の集配業務を図9および図10を参照して説明する。まず、1番目の業務開始レコードに対応した説明を行う。運転者は、車庫に到着し、自身に割り当てられた移動車輌に乗車する。モバイル端末130は、運転者からの物流支援システムに対するログイン処理を受け付け、物流管理サーバ116によるログイン認証を経て、配車データを受け取り、当日の集配計画を確認する。モバイル端末130は、運転者からの『業務開始』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその時刻を通知し、物流管理サーバ116は、その業務開始時間を記録する。運転者は、『業務開始』の指示を行った後、車輌の点検作業を行い、モバイル端末130上に表示されるチェックシートなどに入力を行って、点検内容を入力する。モバイル端末130は、点検内容および出発時の走行メータの値の登録の指示を受け取り、物流管理サーバ116に送信し、物流管理サーバ116は、点検内容および運行メータの値を記録する。
運転者は、車輌の点検作業に引き続いて、無線タグリーダ134による荷室内の荷物群の読み取りを行う。モバイル端末130は、運転者からの『出発前荷室読取』の操作を受け付け、物流管理サーバ116にその荷室内情報を送信し、照合を依頼する。物流管理サーバ116は、受信した荷室内情報と管理している当該移動車両の荷物の状態とを比較して検証する。ここで、前日以前から引き継がれている伝票番号「100」、「101」の荷物がすべて荷室内で確認することができれば、検証は通過する。検証を通過した場合は、物流管理サーバ116は、次の作業の開始を許可する。開始許可に応答して、メインボタンは、作業状態管理部284により、『出発前荷室読取』から『運行開始』へ切り替えられる。モバイル端末130は、運転者からの『運行開始』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその時刻を通知し、物流管理サーバ116は、その運行開始時間を記録する。モバイル端末130は、さらに、運転者からの『案内開始』の指示を受け付け、地図によるナビゲーションを開始する。運転者は、地図によるナビゲーションに従い、移動車両の発車を行い、次の現場へと向かう。
続いて、2番目の中間積み替えレコードに対応した説明を行う。次の現場に到着すると、モバイル端末130は、運転者からの『現場到着』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその時刻を通知し、物流管理サーバ116は、その現場到着時間を記録する。ここでは、運転者により、積み込み作業がまず選択されるものとする。運転者は、『現場到着』の指示を行った後、予定された積み込み作業を実施し、その過程で、無線タグリーダ134により荷物の読み取りを行う。モバイル端末130は、運転者からの『検品処理』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその積み込み荷物の情報を送信し、照合を依頼する。物流管理サーバ116は、受信した積み込み荷物の情報と管理する状態とを比較して検証する。ここで、積み込みが予定されている伝票番号「102」の荷物がすべて確認することができれば、検証は通過する。検証を通過した場合は、物流管理サーバ116は、作業完了を許可する。作業完了許可に応答して、メインボタンのラベルは、『検品処理』から『作業完了』へ切り替えられる。
モバイル端末130は、運転者からの『作業完了』の指示を受け付け、運転者は、予定された荷下ろし作業を実施し、その過程で、荷下ろした荷物を無線タグリーダ134により読み取る。モバイル端末130は、運転者からの『検品処理』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその荷下ろし荷物の情報を送信し、照合を依頼する。物流管理サーバ116は、受信した荷下ろし荷物の情報と管理する状態とを比較して検証する。ここでは、荷下ろしが予定されている伝票番号「100」の荷物がすべて確認することができれば、検証は通過する。検証通過すれば、メインボタンは、『検品処理』から『出発前荷室読取』へ切り替えられる。
運転者は、引き続き、無線タグリーダ134による荷室132a内の荷物群の読み取りを行う。モバイル端末130は、運転者からの『出発前荷室読取』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその荷室内情報を送信し、照合を依頼する。物流管理サーバ116は、受信した荷室内情報と管理する状態とを比較して検証する。ここでは、伝票番号「101」,「102」の荷物がすべて確認することができれば、検証は通過する。
上述した荷下ろし荷物の検証と、本荷室内の検証との両方で検証通過すれば、作業の完了と次の作業の開始が許可される。開始許可に応答して、メインボタンは、『出発前荷室読取』から『作業完了』へ切り替えられる。モバイル端末130は、運転者からの『作業完了』の指示を受け付け、物流管理サーバ116にその時刻を通知し、物流管理サーバ116は、その作業完了時間を記録する。モバイル端末130は、さらに、運転者からの次現場への『案内開始』の指示を受け付け、地図によるナビゲーションを開始する。運転者は、地図によるナビゲーションに従い、移動車両の発車を行い、次の現場へと向かう。続く3〜5番目のレコードに対応した動作も同様に行われる。
上述したような流れで、運転者は、自身に割り当てられた集配計画にそって作業を遂行する。このとき、各荷役作業において、上述した2段階の検品処理が求められ、この検品処理の検証を通過しなければ、現在の荷役作業を完了させ、次の現場へ移動することが制限されることになる。このため、誤配や集配漏れが好適に防止される。
より具体的には、積み込みの荷物をまとめて確認作業を終了させた後、目を離した間に誰かが荷物を持って行ってしまう、あるいは、誰かが自分の荷物群の上にうっかり他の荷物を置いてしまい、気付かず車両に積んでしまうということがあった場合でも、荷室内の荷物の過不足が検証されるので、このような事態の発生が容易に把握される。あるいは、納品作業時に納品物を取り出すために、一旦他の荷物を降ろし、納品後、その荷物を積み忘れて出発してしまうことも好適に防止される。
すなわち、作業の特性上、積込および納品の荷物を確認するだけでは防ぎきれなかった種々の配送業務にかかるエラーが検出され、種々の態様の荷物の誤配、集配漏れなどを防止することができ、思い違いというヒューマンエラーをも防止することができる。
上述した実施形態により、集配業務の計画、計画に沿った作業の実行および実績が管理されたシステムにおいて、荷役作業の正確な完了を確実にならしめることができる物流管理システム、該物流管理システムを構成する端末装置、物流管理システムで実行される物流支援方法およびプログラムを提供することができる。
なお、上記機能部は、C、C++、C#、Java(登録商標)などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、ブルーレイディスク、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して、あるいは電気通信回線を通じて頒布することができる。
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。