JP6150680B2 - 可撓性ホース及び可撓性ホース用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

可撓性ホース及び可撓性ホース用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、可撓性に優れた合成樹脂製の可撓性ホース、特に柔軟性を有する熱可塑性樹脂組成物によりホース壁が形成され、螺旋状補強体が一体化された可撓性ホースに関するものである。
合成樹脂製の可撓性ホースは、例えば、電気掃除機の本体と手元操作部との間に接続される掃除機用ホース(いわゆるクリーナホース)として、あるいは、吸引・圧送に用いられる産業用可撓性ホースとして用いられている。典型的には、これらの可撓性ホースは、柔軟性を有する略円筒状のホース壁と、螺旋状補強体が一体化されて構成される。ホース壁を構成する熱可塑性樹脂としては、典型的には軟質塩化ビニル樹脂などが用いられる。軟質塩化ビニル樹脂でホース壁を構成すると、ホースの強度や柔軟性等の性能をバランスよく達成でき、かつ、ホースを安価なものとできる。
また、特許文献1には、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)によりホース壁を構成することが開示され、ホースの柔軟性を維持しながらホースを軽量化し、脱塩ビを図る技術が開示されている。
また、特許文献2には、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂をホース内層として、接着性中間樹脂層を介して、硬質合成樹脂製の螺旋補強体や軟質合成樹脂製の外層に接着する技術が開示され、接着性中間樹脂層をポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂のブレンド樹脂で構成することが開示されている。当該技術によれば、外層や補強体の樹脂とTPU製の内層との接着性が向上する。
特開2005−95668号公報 特開平10−160062号公報
発明者らは、コストパフォーマンスに優れる塩化ビニル樹脂をベースに柔軟なホース壁を形成し、より諸特性に優れた可撓性ホースを得る検討を行った。
可撓性ホースのホース壁の強度には、ホースそのものを引っ張る際の引っ張り強度や、ホースを踏みつけた際につぶれないような耐つぶれ強度や、ホースの伸縮や屈曲を繰り返した際にホース壁が破断しないような伸縮強度や屈曲強度、内圧がかかった際の耐圧強度などがあるが、この中でも、伸縮強度や屈曲強度を高めることが難しい。特に、可撓性ホースのホース壁に螺旋状補強体が一体化されている場合には、ホースの伸縮や屈曲に伴って、螺旋状補強体の近くでホース壁が大きな変形を受ける傾向にあり、ホース壁の破断等が生じやすくなる。
本発明の目的は、塩化ビニル樹脂を含むホース壁を有する可撓性ホースにおいて、ホース壁の強度、特にホースの伸縮強度や屈曲強度を高めることにある。
発明者は、鋭意検討の結果、ホース壁を構成する熱可塑性樹脂組成物を、特定のポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂のブレンド樹脂とすると、これら樹脂を組み合わせることにより、ブレンドされた熱可塑性樹脂組成物の耐折り曲げ特性が顕著に改善されて、ホースの伸縮強度や屈曲強度が向上することを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、略円筒状のホース壁と、螺旋状補強体とが一体化された可撓性ホースであって、前記ホース壁は単層のホース壁であって、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物により前記ホース壁が形成された可撓性ホースである(第1発明)。
また、本発明は、略円筒状のホース壁と、螺旋状補強体とが一体化された可撓性ホースであって、前記ホース壁は複数の層が積層されたホース壁であり、積層される層のうち少なくとも1つの層が、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物により形成された層である可撓性ホースである(第2発明)。
本発明において、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、熱可塑性ポリウレタンを重合する際のイソシアネート成分の主体として、脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートを用いて重合された熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
第1発明や第2発明においては、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂が、脂肪族系ジイソシアネートをイソシアネート成分の主体として重合されたポリウレタン樹脂であることが好ましい(第3発明)。さらに、第3発明においては、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂が5〜20重量部ブレンドされることが好ましい(第4発明)。また、第3発明においては、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂がポリエステル系のポリウレタン樹脂であることが好ましい(第5発明)。また、本発明は、軟質塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂5〜20重量部をブレンドした、可撓性ホース用の熱可塑性樹脂組成物である(第6発明)。
第1発明や第2発明の可撓性ホースや第6発明の可撓性ホース用熱可塑性樹脂組成物によれば、ホース壁を構成する熱可塑性樹脂組成物の耐折り曲げ特性を改善し、可撓性ホースの伸縮強度や屈曲強度、より具体的には伸縮や屈曲に対する耐久強度を改善できる。
さらに、第3発明のように、脂肪族系ジイソシアネートを主体として重合したポリウレタンをブレンドした場合には、特に特性改善効果が高い。また、第4発明によれば、伸縮強度や屈曲強度が改善された可撓性ホースの低コスト化が図れる。また、第5発明によれば、可撓性ホースの伸縮強度や屈曲強度をより効果的に改善できる。
第1実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図。 第2実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図。 第3実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図。 耐折試験の試験内容を示す模式図。
以下図面を参照しながら、電気掃除機用ホースを例として、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
図1は、第1実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。図の上側半分を断面図で、下側半分を外観図で示している。第1実施形態の可撓性ホース1は、電気掃除機用ホース、いわゆるクリーナーホースである。電気掃除機用ホースは、掃除機本体と手元操作部の間を接続し、掃除機の吸引ノズルから吸引された空気を掃除機本体に送る役割を果たす。
可撓性ホース1は、略円筒状に形成された柔軟なホース壁2と螺旋状補強体3とが一体化されたホースである。螺旋状補強体3は、ホースの可撓性を維持しながらホースの管状形態を維持する働きをする。本実施形態においては、螺旋状補強体3は、硬鋼線31を硬質塩化ビニル樹脂で被覆した被覆層32を備える被覆鋼線で構成されており、ホース壁の内周面に融着されている。螺旋補強体3の材料や具体的構成や条数や一体化の手段等は、適宜変更しても良い。
ホース壁2は、軟質塩化ビニル樹脂を含むホース壁であり、略円筒状に形成されている。本実施形態においては、ホース壁2は、螺旋状補強体3に対応する凸条を有する蛇腹状に形成されている。又、ホース壁2は、内層21と外層22が積層一体化された、積層構造を有するホース壁である。
ホース壁2の内層21は、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物により形成された層である。後述するように、内層21がホースの伸縮強度や屈曲強度の向上に寄与する。ホース壁2の外層22は、軟質塩化ビニル樹脂により形成された層である。内層21と外層22とは、ホース成形時に互いに積層され融着一体化している。
可撓性ホース1は、公知のホース製造方法、例えば、いわゆるスパイラル成形法を応用して製造することができる。
内層21を構成する樹脂組成物、即ち、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物について、詳細に説明する。両者のブレンドは、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)が5〜20重量部ブレンドされることが好ましく、TPUが7〜15重量部ブレンドされることが特に好ましい。TPUの配合量が5重量部よりも少ないと、ブレンドされた樹脂組成物の折り曲げ強度の改善効果が乏しくなる。また、TPUの配合量を20部を超えて行なっても良いが、特性改善のコストパフォーマンスが低下していく。また、両者がブレンドされた熱可塑性樹脂組成物には、他の熱可塑性樹脂、補強材や充填材、染料や顔料、安定剤や可塑剤、滑剤、界面活性剤などを追加配合しても良い。
内層21を構成する熱可塑性樹脂組成物にブレンドされる塩化ビニル樹脂としては、典型的には、硬度(HDA)55〜70程度の軟質塩化ビニル樹脂が使用できる。なお、外層22にも同様の軟質塩化ビニル樹脂が使用できる。
内層21を構成する熱可塑性樹脂組成物にブレンドされる無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂について説明する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、ポリオール成分(長鎖ジオール成分)と、鎖伸長剤(短鎖ジオール成分)と、ジイソシアネート成分という3成分を反応させて、水酸基とイソシアネート基をウレタン結合させて重合した、熱可塑性樹脂である。ポリオール部分がいわゆるソフトセグメントとなり、短鎖ジオール成分がいわゆるハードセグメントとなる。ソフトセグメントとハードセグメントの比率を調整することにより、ポリウレタン樹脂の硬度を調整できることが知られている。短鎖ジオール成分を配合せずに、主にポリオール成分とジイソシアネート成分だけで熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることもできる。
無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、重合の際のジイソシアネート成分として、芳香環を含まないジイソシアネートを主体として、ウレタン重合させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂のことである。より具体的には、ジイソシアネート成分として、脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネートを主体として、ウレタン重合させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂のことである。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が例示できる。脂環族ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が例示できる。
本発明に用いられる無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂のウレタン重合においては、あくまでもジイソシアネート成分の主体が脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネートであれば良く、比較的少量であれば他のジイソシアネート(例えば芳香族ジイソシアネート)が添加されていても良い。芳香族ジイソシアネートが添加されると、ウレタン重合の速度が速くなり、熱可塑性ポリウレタン樹脂の生産性が高められる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などが例示できる。
本実施形態においては、脂肪族ジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をジイソシアネート成分の主体とし、若干の芳香族ジイソシアネートを追加して、ウレタン重合させている。
本発明に用いられる無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリエーテル系ポリウレタンであっても良いし、ポリエステル系ポリウレタンであってもよい。ポリエステル系ポリウレタンを用いると、塩化ビニル樹脂との親和性が高く、樹脂のブレンドがより良好となり、樹脂組成物の折り曲げ強度やホース壁の強度の更なる向上に寄与する。
ポリエステル系ポリウレタンの重合に用いられるポリオールは、数種のカルボン酸と多価アルコールを脱水縮合して製造される。カルボン酸としてはアジピン酸、フタル酸等が、多価アルコールとしてはエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が使用される。ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートが例示される。
ポリエーテル系ポリウレタンの重合に用いられるポリオールは、塩基性触媒の存在下、開始剤(多価アルコールやアミン)にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合させて製造される。ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレントリオールが例示される。
本発明の作用および効果について説明する。
塩化ビニル樹脂と無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物は、シート状に形成した際の折り曲げ強度が顕著に向上する。無黄変タイプでは無い熱可塑性ポリウレタンを塩化ビニル樹脂にブレンドしても、このような顕著な折り曲げ強度の向上は見られない。無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂の中でも、特に、イソシアネート成分として脂肪族系ジイソシアネートを主体として重合されたポリウレタン樹脂が、折り曲げ強度の向上に効果的である。
ここで、樹脂シートの折り曲げ強度とは、樹脂シートの所定の箇所に繰り返し折り曲げ変形を与えた際の耐久強度のことであり、後述する耐折試験によりシートが破断するまでの回数として測定される。なお、樹脂組成物の物性としての強度(引っ張り強度)が高いからと言って、折り曲げ強度が高くなるわけではない。
発明者らは、ホースの伸縮強度や屈曲強度(特に耐久強度)を高めるためには、ホース壁を構成する樹脂組成物の強度(引っ張り強度)よりもむしろ折り曲げ強度を高めることが重要であることを発見した。
そして、熱可塑性樹脂組成物をシート状に形成した際の折り曲げ強度が向上すれば、可撓性ホースの伸縮や屈曲に伴う変形にホース壁が耐えるようになり、ホースの伸縮強度や屈曲強度、特に屈曲や伸縮に対する耐久強度が向上する。
塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂が5〜20重量部ブレンドされるようにすれば、ホースの伸縮強度や屈曲強度を高めつつ、高価なポリウレタン樹脂の使用量を抑え、ホースの低コスト化に寄与する。なお、塩化ビニル樹脂に対し熱可塑性ポリウレタン樹脂を配合して樹脂特性の改善を図る場合、通常は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し熱可塑性ポリウレタン樹脂を40〜100重量部程度、大量に配合しなければ、十分な特性改善ができない。ところが、本発明のように無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタンを塩化ビニル樹脂に配合すると、驚くべきことに少量配合でも樹脂組成物の折り曲げ強度が改善されるのである。
また、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂がポリエステル系のポリウレタン樹脂であるようにすると、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂の親和性がよくなって、両者がよりよく混じりあい、樹脂組成物の折り曲げ強度がより効果的に改善される。
無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂を塩化ビニルに配合した際の折り曲げ強度等の改善効果の試験結果を以下に示す。
(実施例の配合)
表1に示す配合で、実施例や各比較例の熱可塑性樹脂組成物を準備した。軟質塩化ビニル樹脂は共通の樹脂である。実施例の配合では、イソシアネート成分として脂肪族ジイソシアネート(HDI)を主体として重合したエステル系の無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタンを、軟質塩化ビニル樹脂90重量部に対し、10重量部配合した。
(比較例の配合)
比較例1は、塩化ビニル樹脂のみの配合である。実施例と比較例1を対比すると、ベース樹脂である塩化ビニル樹脂に対する特性改善効果がわかる。比較例2、3では、実施例に対し、配合する熱可塑性ポリウレタンを黄変タイプのものに変更している。具体的には、比較例2、3の配合では、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネート(MDIやTDI、XDIなど)を主体として重合した黄変タイプの熱可塑性ポリウレタンを、軟質塩化ビニル樹脂90重量部に対し、10重量部配合している。そして、比較例2はエステル系の黄変タイプポリウレタン樹脂を、比較例3はエーテル系の黄変タイプポリウレタン樹脂を配合している。実施例と比較例2,3の対比により、無黄変タイプのポリウレタンか黄変タイプのポリウレタンかで、どのように特性改善効果が異なるかがわかる。また、比較例2と比較例3とを比較すると、エステル系のポリウレタンとエーテル系のポリウレタンで、どのように特性改善効果が異なるかの傾向がわかる。
Figure 0006150680
(特性試験)
得られたそれぞれの樹脂組成物を、練り温度170℃の熱ロールで練り加工し、180℃でプレス加工して、特性測定用のシート状の試験片を製作し、特性測定を行なった。なお、比重、硬度、強度、伸び、100%モジュラスについては、軟質樹脂材料について通常測定される特性であり、試験方法等はJISに準拠して測定した。
各樹脂組成物をシート状にした際の折り曲げ強度の測定には、以下に説明するような耐折試験を行った。耐折試験とは、JIS P−8115「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準じた試験であり、テープ状の試験片TPに張力をかけながら、試験片の所定箇所に折り曲げ変形を繰り返し与え、破断するまでの回数を求める試験である。試験片としては、厚さ1mm、幅10mm、長さ150mmの短冊状の試験片を準備する。図4に示すように、上記試験片をMIT試験機にセットする。試験片の下端は、回転変位を与えうる治具に固定され、回転治具の回転中心軸に対応する位置で、短冊状の試験片TPに折り曲げ変形が繰り返し与えられる。試験片TPの上端は、引張り荷重を制御できる治具に固定される。耐折試験は、試験片TPに所定の荷重T(例えば引張り荷重1kgf)をかけながら、所定の雰囲気温度(例えば0℃)のもとに、所定の速度(例えば175回/分)、所定の振り幅(例えばθ=135°で両振り)で交互に繰り返して折り曲げ変形を与え、試験片TPが破断するまで試験を続行して、破断するまでの折り曲げ回数で、樹脂シートの折り曲げ強度を評価する試験である。
特性の測定結果を表2に示す。
実施例においては、比較例1に対し、耐折試験の回数が倍増近く向上している。強度や伸び等の他の特性の改善に対し、耐折試験の特性改善が突出している。
また、無黄変タイプのポリウレタンを配合した実施例は、黄変タイプのポリウレタンを配合した比較例2、比較例3に対しても、耐折試験の特性改善効果が突出している。むしろ、比較例2では、樹脂組成物の強度の改善効果は大きいものの、耐折試験の耐久回数は、比較例1(TPU配合なし)よりも悪化する傾向を示している。即ち、実施例の配合により、樹脂シートの折り曲げ強度を効果的に向上させることができた。また、比較例2の試験結果が示すように、樹脂の強度の強弱が、必ずしも耐折試験の折り曲げ耐久性能とは単純に対応するものではない。
黄変タイプではなく無黄変タイプのポリウレタン樹脂の配合が、耐折試験の折り曲げ強度の向上効果が高い理由については、その理由は明らかとはなっていない。しかしながら、本発明に至るまでの試行錯誤や、ここに示していない他の実施例・比較例の配合とその特性から帰納的に推察すると、熱可塑性ポリウレタンのジイソシアネート成分における芳香環の多寡の寄与が大きいと推測された。
また、比較例2と比較例3を対比すると、比較例3の物性が全体に低くなっているが、これは、比較例3のようなエーテル系のポリウレタンを塩化ビニルに配合すると、エステル系ポリウレタンに比べ、塩化ビニルとの親和性が劣り、ブレンドされたポリマー同士の補強関係が弱まるためであると考えられる。即ち、配合するポリウレタン樹脂はエステル系ポリウレタン樹脂であることが好ましいことが確認された。
Figure 0006150680
上記実施例、比較例の樹脂組成物を用いて、第1実施形態の電気掃除機用ホースを製造し、ホースの屈曲耐久試験を行った。実施例の樹脂組成物を用いると、比較例のホースに比べ、ホースの屈曲強度(屈曲変形に対する耐久強度)が向上することが確認された。また、同じ水準の屈曲耐久性をホースに与えるために、どの程度のホース壁の厚さ必要となるかを、ホース壁の厚さを変更して試験したが、実施例の樹脂組成物を用いると、比較例と比べ、より薄いホース壁としても所定の水準の屈曲耐久性が得られ、ホースの低コスト化や軽量化にも寄与しうることがわかった。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施することもできる。
図2には、第2実施形態の電気掃除機用ホース4を示す。第1実施形態と異なっている点は、ホース壁5が単一の層からなる単層のホース壁である点、硬質塩化ビニル樹脂製の螺旋状補強体6がホース壁の外側に一体化されていてホース壁5はまっすぐな(ジャバラ状でない)円筒状に形成されている点、螺旋状補強体が、樹脂のみで構成されている点などが異なる。
本実施形態においても、単層のホース壁5を無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物で形成したので、第1実施形態のホースと同様に、可撓性ホースの伸縮強度や屈曲強度が向上できる。ホース壁の具体的形態は、第1実施形態のホースのように凹凸条を有する形態であってもよいし、第2実施形態のように、凹凸条がないまっすぐな円筒状に形成された形態であっても良く、要するに略円筒状であれば良い。また、螺旋状補強体がホース壁に対し一体化される位置は、ホース壁の内側でも良いしホース壁の外側でもよい。また、以下の第3実施形態に示されるように、ホース壁に埋入するように螺旋状補強体が一体化されていても良い。
図3には、第3実施形態の可撓性ホース7を示す。可撓性ホース7は、気体や液体等を移送するためのホース、いわゆるサクションホースやデリバリホースとして使用される産業用ホースである。このように、可撓性ホースの用途は、電気掃除機用ホースに限定されず、螺旋状補強体を有するホースであれば、本発明は広く応用できる。
第3実施形態の可撓性ホース7は、第1実施形態と比べ、ホース壁8の中間層83に、硬質塩化ビニル樹脂製の螺旋状補強体9が埋入されて一体化されている点、ホース壁8が、内層81、中間層83、外層82を順に積層した積層構造を有しており、内層81と外層82が無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物で形成され、中間層83は軟質塩化ビニル樹脂により形成されている点が異なっている。このように、可撓性ホースが積層構造のホース壁を有する場合、少なくともいずれか1つの層を無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物で形成するようにすれば、ホースの屈曲強度の向上効果が得られる。必要に応じ、積層される層のうち、複数の層を上記ブレンド樹脂組成物によって形成するようにしても良い。
螺旋状補強体とホース壁の一体化の手段については特に制限は無いが、例えば、熱融着、接着剤による接着、埋入(接着又は密着)といった手段が例示される。ホース壁と螺旋状補強体が互いに接着あるいは熱融着されていると、螺旋状補強体近傍でのホース壁の変形が大きくなる傾向があり、ホースの屈曲強度が低下しやすくなるため、本発明を適用してホースの屈曲強度を改善することが特に求められやすくなる。
また、本発明の可撓性ホースは、さらに保護層や、補強層、ホース壁内に埋入される繊維補強体や、断熱層、導電線などを備えるものであっても良い。
本発明のホースは電気掃除機用ホースとして使用でき、ホースの伸縮強度や屈曲強度が高められて産業上の利用価値が高い。
1 可撓性ホース
2 ホース壁
21 内層
22 外層
3 螺旋状補強体
31 硬鋼線
32 樹脂被覆
4,7 可撓性ホース
5,8 ホース壁
6,9 螺旋状補強体

Claims (6)

  1. 略円筒状のホース壁と、螺旋状補強体とが一体化された可撓性ホースであって、
    前記ホース壁は単層のホース壁であって、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物により前記ホース壁が形成された可撓性ホース。
  2. 略円筒状のホース壁と、螺旋状補強体とが一体化された可撓性ホースであって、
    前記ホース壁は複数の層が積層されたホース壁であり、積層される層のうち少なくとも1つの層が、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂と塩化ビニル樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物により形成された層である可撓性ホース。
  3. 無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂が、脂肪族系ジイソシアネートをイソシアネート成分の主体として重合されたポリウレタン樹脂である請求項1または請求項2に記載の可撓性ホース。
  4. 塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂が5〜20重量部ブレンドされた請求項3に記載の可撓性ホース。
  5. 無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂がポリエステル系のポリウレタン樹脂である請求項3に記載の可撓性ホース。
  6. 軟質塩化ビニル樹脂100重量部に対し、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂5〜20重量部をブレンドした、可撓性ホース用の熱可塑性樹脂組成物。
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