JP6143080B2 - 飛散状態評価用模擬粉体を含有するスプレー剤、及び粉体の飛散状態の評価方法 - Google Patents

飛散状態評価用模擬粉体を含有するスプレー剤、及び粉体の飛散状態の評価方法 Download PDF

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本発明は、飛散状態評価用模擬粉体を含有するスプレー剤、粉体の飛散状態の評価方法、及び粉体取扱い施設に関する。より詳しくは、本発明は、例えば、高薬理活性医薬品などの人体に影響を及ぼす粉体の製造設備や研究開発設備等の粉体取扱い施設における粉体の飛散状態を評価するために用いる、飛散状態評価用模擬粉体を含有するスプレー剤、そのスプレー剤を用いて粉体の飛散状態を評価する方法、及びその評価方法により粉体の飛散状態を評価した粉体取扱い施設に関する。
高薬理活性医薬品とは、抗がん剤やホルモン剤に代表される、少量で人体に強い薬効作用を与える医薬品である。例えば、1μg/m以下の気中濃度で人体に何らかの生理活性作用をもたらす高薬理活性医薬品もある。このような医薬品の取扱い施設においては、製品の品質管理(コンタミネーション防止)、作業者の健康被害の防止、環境汚染の防止の観点から、製造装置と設備における医薬品粉体の飛散防止(医薬品粉体の封じ込め)対策が重要である。一般には、アイソレータ等の物理的に囲われた封じ込め装置内で作業が行われる。しかしながら、医薬品製造のコストダウンや柔軟な生産体制が求められており、クリーンブースのようなセミオープンな設備(半密閉設備)において医薬品粉体を取り扱うニーズも高い。
製造、研究開発の現場では、医薬品粉体の飛散性を把握し、現場環境での封じ込め状態を測定・解析する技術が不可欠である。そして、医薬品粉体が現場環境に飛散した場合の飛散性評価や封じ込め評価(医薬品粉体の飛散状態評価)を行う際に、薬理活性の高い医薬品そのものを使用すると、皮膚への付着や吸引などによって作業者に悪影響が及ぶことが懸念される。このため、医薬品粉体を使用する代わりに、安全性の高い模擬粉体を使用して、その飛散状態を評価することが多い。
非特許文献1では、模擬粉体としてラクトース(乳糖)の粉体を用いることが推奨されている。ラクトース粉体は、人体に無害であり、水に溶けやすく、安定性が良好であるため汎用されている。しかし、測定対象の施設内に飛散させたラクトース粉体を定量分析するためには高価で大がかりな装置と煩雑な作業が必要である。具体的には、フィルターや拭き取りにより、測定対象施設内に飛散した粉体のサンプリングを行い、これを分析施設に搬送して、高速液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフ等の装置で分析・評価することが行われている。このため、結果を得るまでに数日から1週間程度を要する場合も多く、測定対象の施設内で短時間に評価を行うことが困難である。
特許文献1には、粉体の飛散状態評価を行うにあたり、特定粒径のアデノシン5’−三リン酸(ATP)粉体を模擬粉体として利用する発明が開示されている。この発明では、測定対象の施設内にサンプリング用のシートを設置し、ATP粉体を飛散させて、シートに付着したATP粉体を定量分析する。ATP粉体の定量分析には、現場に持ち込み可能な検出装置を用いて行うことができるため、その場で評価結果を得ることができる。簡易な装置で高感度に定量できるATP粉体を模擬粉体として用いることにより、定量測定にかかる手間と時間は改善されつつあるが、サンプリングから分析結果の判明までに要する時間の更なる短縮が望まれていた。
本願の発明者らは以前に、粉体の飛散状態を高精度かつリアルタイムで効率よく評価する方法を開示している(特許文献2)。この発明は、ラクトースなどの粉体に微量の蛍光発光物質を付着させて複合化した模擬粉体を使用し、測定対象の施設内に飛散させ、蛍光検出装置により計測し、それを飛散時の気中濃度に換算する方法である。この発明によれば、非特許文献1及び特許文献1に開示された方法に比べて、測定現場でより短時間に評価結果を得ることができる。
ISPE(The International Society for Pharmaceutical Engineering Inc.)Good Practice Guide 製薬機器の粒子封じ込め(コンテイメント)性能評価ガイドライン、SMEPAC委員会編、ISBN 1−931879−51−6
特開2010−276468号公報 特開2013−50345号公報
上述した特許文献2において、短時間で飛散状態の評価結果を得ることができるようになってきたが、さらに、高薬理活性医薬品等の粉体に代わる模擬粉体を評価対象の施設内に飛散させて、その飛散状態を評価するために、模擬粉体の分解や凝集を引き起こさずに安定した状態で、当該施設内に再現性よく簡便に飛散させる方法が求められている。
本発明は、上記事情に鑑み、施設内に再現性よく簡便に模擬粉体を飛散させることができる飛散状態評価用模擬粉体を含有するスプレー剤、そのスプレー剤を用いた粉体の飛散状態の評価方法、及びその評価方法により粉体の飛散状態を評価した粉体取扱い施設を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のスプレー剤は、粉体の飛散状態を評価するために前記粉体の代わりに用いる模擬粉体及び前記模擬粉体を分散する分散溶媒を含有する組成物と、噴射剤とが、スプレー容器に充填されており、前記模擬粉体は糖類の粒子によって構成され、前記分散溶媒は、エタノール、水添ポリイソブテン、シクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジアルキル、又はイソプロピルアルコールであり、前記模擬粉体は前記組成物中において前記分散媒に溶解していないことを特徴とする。
前記模擬粉体を構成する粒子の粒径は0.5μm〜30μmであることが好ましい。
前記粒子は標識物質が複合した複合化粒子であってもよい。
本発明の粉体飛散状態評価方法は、粉体の代わりに模擬粉体を用いて前記粉体の飛散状態を評価する粉体飛散状態評価方法であって、前記スプレー剤を噴射し、評価対象の空間中に前記模擬粉体を飛散させるステップを有することを特徴とする。
前記粉体飛散状態評価方法は、前記評価対象の空間中に飛散させた前記模擬粉体を蛍光発光させて、その蛍光発光量を検出装置によって計測するステップと、予め作成した検量線と計測した前記蛍光発光量とを対比して、前記模擬粉体の気中濃度を求めるステップを有することが好ましい。
本発明に関連する粉体取扱い施設は、粉体を取り扱う空間を備えた粉体取扱い施設であって、前記粉体飛散状態評価方法により、前記空間における前記粉体の飛散状態が評価されたことを特徴とする。




本発明のスプレー剤によれば、評価対象の空間中に高薬理活性医薬品等の粉体に代わる模擬粉体を簡便に飛散させることができる。更に、模擬粉体の分解や凝集を引き起こさずに安定した状態で噴射可能であるため、評価対象の空間中に所定量の模擬粉体を再現性よく噴射することができる。
また、模擬粉体の粒径が0.5μm〜30μmであると、その模擬粉体が高薬理活性医薬品などの実際の粉体に近い粒度分布や密度を付与することが容易であるため、より正確な評価が可能になる。
本発明の粉体の飛散状態の評価方法によれば、スプレー剤を用いることにより、評価対象の空間中に模擬粉体を飛散させるステップ(操作)を簡便に再現性良く行うことができる。この結果、粉体の飛散状態の評価結果を迅速に得ることが可能になる。
また、評価対象の空間中に飛散させた模擬粉体を蛍光発光させて、その蛍光発光量を検出装置によって計測し、予め作成した検量線と計測した蛍光発光量を対比して、模擬粉体の気中濃度を求めるステップを行うことにより、測定現場でリアルタイムに粉体の飛散性評価を行い、評価対象の空間を備えた施設、設備及び装置における粉体の飛散性及び封じ込め性能の評価を行うことが可能になる。
さらに、粉体取扱い施設が備える空間において、粉体が飛散した場合の飛散状態や封じ込め状態を模擬粉体を用いて予め評価することにより、所定の基準を満たすことを確認し、その粉体取扱い施設が粉体を取り扱うことに適しているか否かを判断することができる。
実施例のスプレー剤から噴射されたラクトース粒子のSEM像(×500倍)である。 実施例のスプレー剤から噴射されたラクトース粒子のSEM像(×1000倍)である。
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
《スプレー剤》
本実施形態のスプレー剤は、粉体(以下、「対象粉体」という)の飛散状態を評価するために対象粉体の代わりに用いる模擬粉体及び前記模擬粉体を分散する分散溶媒を含有する組成物と、噴射剤とが、スプレー容器に充填されてなる。
スプレー剤は、例えば、医薬品の製造施設や研究開発施設などの高薬理活性を有する対象粉体の取扱い施設において、この対象粉体が飛散した際の飛散性や封じ込め性などの飛散状態を評価する目的で用いられる。なお、このスプレー剤は、高薬理活性医薬品の対象粉体に限らず、あらゆる粉体の飛散状態を評価するために適用可能である。
<模擬粉体>
スプレー剤を構成する模擬粉体は、対象粉体に類似する粉体であることが好ましい。具体的には、模擬粉体の粒径、形状、密度等の物性が、対象粉体に近いことが好ましい。
模擬粉体を構成する粒子の粒径(模擬粉体の粒径)は特に制限されないが、例えば0.01μm〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、0.5μm〜30μmがさらに好ましい。模擬粉体の粒径が上記範囲であると、一般的な医薬品製造施設等で使用される対象粉体の粒径を模して、対象粉体の飛散状態をより精度良く評価することができる。前記粒径は、一次粒径であってもよいし、二次粒径であってもよい。スプレー容器に充填される模擬粉体の粒径は、模擬粉体が気中に飛散する際の粒径と同等であることが好ましい。つまり、スプレー容器に充填される組成物を調製する際、原料として使用する模擬粉体の粒径は、0.01μm〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、0.5μm〜30μmがさらに好ましい。また、スプレー剤から噴射されるエアゾール中に含まれる模擬粉体の粒径も、0.01μm〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、0.5μm〜30μmがさらに好ましい。
ここでの粒子の粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置により計測された体積平均径である。
模擬粉体を構成する粒子の粒度分布は特に制限されず、実際の対象粉体の粒度分布に合わせて適宜調整すればよい。例えば、分級によって模擬粉体の粒度分布を調整することができる。粒度分布幅の広い模擬粉体を分級することによって、その粒度分布幅を狭くしてもよい。逆に、粒度分布幅の狭い模擬粉体を複数混合し、粒度分布幅の広い模擬粉体を調製してもよい。
模擬粉体を構成する粒子の形状は特に制限されず、例えば、種々の多面体、球体又は楕円回転体に近似可能な形状が挙げられる。
模擬粉体を構成する粒子の密度は特に制限されず、例えば、公知のラクトース粉体を構成するラクトース粒子の密度と同程度でよい。
模擬粉体は、同一の物性を有する粒子のみから構成されていてもよいし、異なる物性を有する複数種類の粒子によって構成されていてもよい。
模擬粉体を構成する粒子の原材料は、スプレー剤を構成する分散溶媒と噴射剤に溶解し難いものであれば特に制限されない。この原材料は、仮に当該粒子が作業者に吸引される又は付着したとしても、実質的な害を及ぼさない原材料であることが好ましい。
また、模擬粉体を構成する粒子は有機粒子であってもよいし、無機粒子であってもよい。有機粒子としては、ラクトース等の糖類からなる粒子、合成樹脂からなる粒子、セルロース等の高分子化合物からなる粒子等が挙げられる。無機粒子としては、セラミックスからなる粒子、金属からなる粒子、半導体からなる粒子、酸化物半導体からなる粒子等が挙げられる。
さらに、模擬粉体を構成する粒子は、複数の材料が複合してなる粒子であってもよい。例えば、有機粒子又は無機粒子からなる核粒子(基本骨格を形成する粒子)に、高感度検出を可能とする標識物質が複合した複合化粒子が挙げられる。
標識物質としては、リボフラビン(ビタミンB2)等の蛍光物質や、その他の生体由来物質が挙げられる。生体由来物質としては、公知の生体由来物質のうち、仮に人体に吸収されても実質的な害を及ぼさない観点から選ばれることが好ましい。
模擬粉体の飛散性は、粒子の密度によって大きく影響される。このため、模擬粉体と実際の対象粉体との密度を近くすることが必要である。この観点から、模擬粉体を構成する粒子として、例えば、中空や多孔質などの粒子密度の小さい粒子、又は、金属酸化物粒子などの粒子密度の大きな粒子を使用することが考えられる。これらの粒子を核粒子として、その表面に蛍光発光物質を付着させて、複合化した模擬粉体を形成してもよい。これにより、実際の対象粉体に近い密度を持ち、且つ蛍光発光による検出が可能な模擬粉体が得られる。
<分散溶媒>
スプレー剤を構成する分散溶媒は、模擬粉体を分散可能であり、模擬粉体を溶解し難いものであれば特に制限されず、公知のスプレー剤に用いられる分散溶媒が適用可能である。具体的には、模擬粉体の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、水、水添ポリイソブテン、シクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジアルキル(C14,15)等の溶媒が挙げられる。
<組成物>
模擬粉体と分散溶媒を含む組成物において、各成分の濃度(配合割合)は各成分の種類に応じて適宜調整すればよい。模擬粉体の濃度が高過ぎると粒子同士が凝集したり、スプレー容器の噴射口を詰まらせたりする原因になることがある。一方、模擬粉体の濃度が低過ぎると、スプレー容器から噴射されるエアゾールに含まれる模擬粉体の濃度が低くなるため、効率よく模擬粉体を飛散させることが困難になる。このような観点から、組成物における模擬粉体と分散溶媒の重量比(模擬粉体:分散溶媒)は、1:1〜1:15が好ましく、1:1.5〜1:10がより好ましく、1:1.8〜1:5が更に好ましい。また、組成物の総質量に対する模擬粉体の含有量は5〜35重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましい。さらに、組成物の総質量に対する分散溶媒の含有量は65〜95重量%が好ましく、65〜90重量%がより好ましく、65〜85重量%がさらに好ましい。ただし、これらに限定されるものではない。
<噴射剤>
スプレー容器に充填される噴射剤は、組成物をスプレー容器からエアゾールとして噴射することが可能であれば特に制限されず、公知のスプレー剤に用いられる噴射剤が適用可能である。噴射剤は、組成物に含まれる模擬粉体および分散溶媒を分解させ難い噴射剤であることが好ましい。
具体的には、模擬粉体および分散溶媒の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、HFO−1234ze、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)等の液化ガス、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素等の圧縮ガスが挙げられる。
組成物と噴射剤とを混合する重量比(組成物:噴射剤)は、スプレー容器中に適切に充填され、且つ必要に応じて組成物がエアゾール(エアロゾル)としてスプレー容器から噴射されることができるのであれば特に制限されない。その重量比は、例えば、1:2〜1:25が好ましく、1:5〜1:20がより好ましく、1:8〜1:20が更に好ましい。ただし、これらに限定されるものではない。
<スプレー容器>
模擬粉体および分散溶媒を含む組成物と噴射剤とが充填されるスプレー容器は、噴射剤の充填圧(内圧)に耐えられる耐圧性と組成物が漏れない気密性を有するスプレー容器であることが好ましい。このようなスプレー容器として、公知のエアゾール製品に使用されるスプレー容器、例えば、噴射剤のガスの力によって組成物を弁から放出させる構造を備える公知のスプレー容器が適用できる。
スプレー容器の内部構造は、組成物と噴射剤を同一空間に充填する構造であってもよいし、組成物と噴射剤をそれぞれ隔離された異なる空間に充填し、噴射する際に組成物と噴射剤とを混合する二重構造であってもよい。
スプレー容器に組成物および噴射剤を充填する方法は特に制限されず、公知の方法で行われる。
《粉体飛散状態評価方法》
本実施形態の粉体飛散状態評価方法は、対象粉体の代わりに模擬粉体を用いて対象粉体の飛散状態を評価する粉体飛散状態評価方法であって、スプレー剤を噴射し、評価対象の空間に模擬粉体を飛散させるステップ(粉体飛散ステップ)を有する。この評価方法は、粉体飛散ステップ以外の他のステップを有していてもよい。他のステップとしては、飛散させた模擬粉体を検出するステップ(検出ステップ)、検出した模擬粉体を定量するステップ(定量ステップ)、評価対象の空間中における模擬粉体の飛散状態を評価するステップ(評価ステップ)が挙げられる。検出ステップ、定量ステップ、評価ステップは公知の方法が適用可能である。
以下に、粉体飛散ステップについて、具体的に二つの方法について説明する。
<粉体飛散ステップの第一の方法>
粉体飛散ステップにおいて、まず、スプレー剤を噴射することにより模擬粉体を含むエアゾールを評価対象の空間に発生させて、評価対象の空間中に浮遊している模擬粉体を構成する粒子を検出して、その模擬粉体の飛散状態を評価する。空間中に浮遊している粒子を検出する方法は特に制限されず、例えば後述する蛍光検出法が挙げられる。
<粉体飛散ステップの第二の方法>
粉体飛散ステップにおいて、まず、スプレー剤を噴射することにより模擬粉体を含むエアゾールを評価対象の空間に発生させ、評価対象の空間中に飛散させた模擬粉体を構成する粒子が落下するのを一定時間待つ。その後、評価対象の空間を構成する地面や壁又は空間に設置された机等に付着した粒子を検出することにより、その模擬粉体の飛散状態を評価する。落下した模擬粉体を検出する方法は特に制限されず、例えば、予め評価対象の空間の地面、壁、机の上にサンプリング用のシートを設置しておき、当該シートに落下した模擬粉体を公知の検出方法により定量してもよい。
評価対象の空間において、スプレー剤から飛散させるエアゾール中の模擬粉体の濃度を調整するためには、スプレー剤を構成する組成物に含まれる模擬粉体の濃度、組成物と噴射剤との混合比率、スプレー容器の噴射口の径(噴口径)、噴射圧力(スプレー容器の内圧)、噴射時間などを適宜調整すればよい。また、複数回の噴射を行う場合、各回の噴射時間を同じにすれば、所定量の模擬粉体を再現性良く繰り返して噴射することができる。
評価対象の空間中に飛散させた模擬粉体の重量濃度は、その空間の容積に基づいて算出することができる。例えば、2秒間の噴射で9mgの模擬粉体を噴射できることが予め分かっているスプレー剤を使用し、50mの室内空間に2秒間噴射した場合、均一に拡散した状態における模擬粉体の重量濃度は180μg/mと算出される。また、このスプレー剤を構成する組成物に含まれる模擬粉体の含有量を1/50に減らし、この新たなスプレー剤の噴射時間を1/2に減らして、室内空間に噴射すれば、1.8μg/mの重量濃度で模擬粉体を飛散させることができる。
検出した模擬粉体を定量的又は定性的に分析することにより、評価対象の空間における模擬粉体の飛散状態を評価することができる。評価対象の空間で取り扱う実際の対象粉体の飛散性と模擬粉体の飛散性が類似していることを前提として、模擬粉体の飛散状態から実際の対象粉体の飛散状態を知り、実際の対象粉体の飛散状態を評価することができる。
<蛍光発光による定量>
本実施形態の粉体飛散状態評価方法は、前記粉体拡散ステップ以外の他のステップとして、評価対象の空間中に飛散させた模擬粉体を蛍光発光させて、その蛍光発光量を検出装置によって計測し、予め作成した検量線と計測した蛍光発光量を対比して、模擬粉体の気中濃度を求めるステップを有していてもよい。
蛍光発光可能な模擬粉体の材料として、例えば、蛍光発光物質であるリボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、蛍光ポリスチレンマイクロスフェア等が挙げられる。スプレー剤を噴射することにより評価対象の空間に蛍光発光物質を含む粒子を飛散させ、その蛍光発光量をオンサイトで検出可能な装置を利用する。この方法により、模擬粉体の飛散状態をリアルタイムで測定することができる。リボフラビンの蛍光発光量をオンサイトで検出できる検出装置としては、例えば、Bio Vigilant System社製のリアルタイム細菌ディテクタ、TSI社製のウルトラバイトレット空気動力学的パーティクルサイザーなどが挙げられる。
このような検出装置は、例えば粒径が0.5〜30μm程度の粒子(粉体)の評価対象空間中(空気中)の濃度を測定できる。同時に、蛍光発光物質を含む粒子に短波長レーザを照射することによって自家発光させ、その蛍光発光量を計測する。予め作成した検量線と計測した蛍光発光量を対比して、評価対象の空間中の粒子量および蛍光発光物質量を測定することができる。
また、評価対象の空間(第一空間)に隣接する空間(第二空間)に、模擬粒子が拡散しているか(漏出しているか)を評価してもよい。第一空間および第二空間に検出器を設置し、第一空間と第二空間における模擬粉体の気中濃度をモニターし、第二空間で検出された模擬粉体の量が、想定範囲内であるか否かを評価することができる。第二空間において模擬粉体が検出されない又は検出量が所定値よりも低ければ、第一空間における模擬粉体の封じ込め性が良好であると判断できる。
《粉体取扱い施設》
本実施形態の粉体取扱い施設は、粉体を取り扱う空間を備えた粉体取扱い施設であって、上述した粉体飛散状態評価方法により、空間における粉体の飛散状態が評価された粉体取扱い施設である。この施設に備えられた空間の大きさ(施設の規模)は特に制限されない。粉体取扱い施設としては、例えば、医薬品製造工場における粉体取扱い室、粉体取扱いブース、クリーンブース、グローブボックス、粉体保管室等が挙げられる。
薬理活性の特に高い医薬品の許容曝露管理量(OEL:Occupational Exposure Limits)は通例1μg/m以下とされているので、本実施形態の模擬粉体の飛散状態評価方法は、高薬理活性医薬品を対象とした施設(装置、設備)の評価に適用できる。
<スプレー剤の調製>
体積100mlのエアゾール容器に粒子径が0.5〜30μmの模擬粉体と分散溶媒を下記表に示す規定量充填し、その容器にエアゾール用バルブを装着した後、当該エアゾール容器内に下記表に示す規定量の噴射剤を充填した。次にそのエアゾール容器にボタンを装着し、エアゾール容器を上下に20回振とうし、スプレー剤を作成した。尚、エアゾール用バルブとしては、ステムは孔径φ0.51mmが2つのタイプ、ハウジングは下孔径がφ1.58mm、横孔がφ0.76mmタイプを用いた。また、ボタンとしては、噴口径がφ0.51mmタイプを用いた。
表1の調製において、模擬粉体としてラクトース粒子を使用し、分散溶媒として99%エタノールを使用した。また、噴射材として、HFO-1234ze(E)、LPG又はDMEを使用した。
調製したスプレー剤を室温で2週間保存し、エアゾール容器(耐圧ガラス瓶)中における模擬粉体の分散性を評価した。その結果を表1に併記する。表1の評価において、「○」は均一に分散していることを示し、「×」は容器の底に模擬粉体が固まり、分散していないことを示す。
また、レーザー回折式粒度分布測定装置(スプレーテックRTS、レンズ100mm)を用い、レーザー光より15cmの位置で、調製したスプレー剤を噴射し、噴射された模擬粉体の粒子径を測定した。その結果を表1に併記する。
表1の調製例においては、分散溶媒として99%エタノールを使用したが、他の分散溶媒として、水添ポリイソブテン、シクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジアルキル、イソプロピルアルコールが使用可能であることを確認した。
<スプレー剤の使用>
スプレー缶から10cm離れた樹脂シート上に、上述と同様に調製したスプレー剤を2秒間噴射して、溶剤が揮発した後に樹脂シート上に付着したラクトース粒子の乾燥重量を測定した。同様の測定を合計12回行ったところ、表2に示すように、平均約9mgのラクトース粒子が噴射された。より詳しくは、12回噴射されたエアゾール中のラクトース粒子の平均値は9.0mgであり、標準偏差は0.78であり、変動係数は8.67%であった。変動係数が10%以下であり、安定した噴射が可能であった。
スプレー缶から電子顕微鏡観察用の小片紙に、調製したスプレー剤を噴射して乾燥させた後、SEM像を撮ったところ、ラクトース粒子の大きな凝集は観察されなかった(図1,2参照)。すなわち、原料として用いたラクトース粒子の状態を維持したまま噴射することができた。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。

Claims (5)

  1. 粉体の飛散状態を評価するために前記粉体の代わりに用いる模擬粉体、及び前記模擬粉体を分散する分散溶媒を含有する組成物と、噴射剤とが、スプレー容器に充填されており、
    前記模擬粉体は糖類の粒子によって構成され、
    前記分散溶媒は、エタノール、水添ポリイソブテン、シクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジアルキル、又はイソプロピルアルコールであり、
    前記模擬粉体は前記組成物中において前記分散溶媒に溶解していないことを特徴とするスプレー剤。
  2. 前記模擬粉体を構成する粒子の粒径が0.5μm〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のスプレー剤。
  3. 前記粒子は標識物質が複合した複合化粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプレー剤。
  4. 粉体の代わりに模擬粉体を用いて前記粉体の飛散状態を評価する粉体飛散状態評価方法であって、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のスプレー剤を噴射し、評価対象の空間中に前記模擬粉体を飛散させるステップを有することを特徴とする粉体飛散状態評価方法。
  5. 前記評価対象の空間中に飛散させた前記模擬粉体を蛍光発光させて、その蛍光発光量を検出装置によって計測するステップと、
    予め作成した検量線と計測した前記蛍光発光量とを対比して、前記模擬粉体の気中濃度を求めるステップを有することを特徴とする請求項に記載の粉体飛散状態評価方法。
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