JP6142415B2 - カーボンブラック分散液およびその利用 - Google Patents
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Description
<カーボンブラック>
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボンブラック、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
<ビニルアルコール骨格含有樹脂>
本発明には、分散剤としてビニルアルコール骨格含有樹脂を用いる。すなわちビニルアルコール骨格含有樹脂をバインダーとしてではなく分散剤として使用する。本発明で用いるビニルアルコール骨格含有樹脂の製造方法については特に制限はないが、以下、ポリ酢酸ビニルを原料とし、これをけん化することによって得られたポリビニルアルコール樹脂、および、ポリビニルアルコール樹脂を原料としてホルマール化反応またはアセタール化反応することによって得られたポリビニルホルマール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂、について記述する。
<アミン系化合物>
本発明には、アミン系化合物を用いる。アミン系化合物としては、主に第1アミン(1級アミン)、第2アミン(2級アミン)、第3アミン(3級アミン)が用いられ、アンモニアや第4級アンモニウム化合物は含まない。アミン系化合物は、モノアミン以外にも、分子内に複数のアミノ基を有するジアミン、トリアミン、テトラミン、ポリアミンといったアミン系化合物を用いることができる。また、上記以外のものとして、アミノ酸や脂環式含窒素複素環化合物等も使用することができる。なお、本明細書中のアミノ基は1級、2級または3級の官能基である。
<N−メチル−2−ピロリドン>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、リチウムイオン二次電池の電極製造に用いられている。本発明では、ビニルアルコール骨格含有樹脂の分散剤としての性能、電池性能を損なわない範囲で、他の溶剤を1種類以上併用しても良いが、本発明の想定する産業上の利用可能性から、NMPを単独で用いることが好ましい。
<カーボンブラック分散液の製造方法>
本発明の分散液は、ビニルアルコール骨格含有樹脂を分散剤として、アミン系化合物を添加剤または分散剤として用いてカーボンブラックをNMP中に分散したものである。この場合、ビニルアルコール骨格含有樹脂とカーボンブラックを同時、または順次添加し、混合することで、ビニルアルコール骨格含有樹脂をカーボンブラックに作用(吸着)させつつ分散する。但し、カーボンブラック分散液の製造をより容易に行うためには、ビニルアルコール骨格含有樹脂をNMP中に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中にカーボンブラックを添加し、混合することでビニルアルコール骨格含有樹脂をカーボンブラックに作用(吸着)させることが、より好ましい。また、カーボンブラック以外の粉体として、例えば二次電池用電極活物質等を添加して、電極合材液として使用する場合、NMP中にビニルアルコール骨格含有樹脂とカーボンブラックと電極活物質とを同時に仕込み分散処理を行っても良い。
<活物質>
本発明の分散液を電池電極合材層に用いる場合は、さらに、正極活物質または負極活物質を含有させることができる。
<カーボンブラック分散液の用途>
本発明のカーボンブラック分散液の利用分野としては、特に制限はないが、遮光性、導電性、耐久性、漆黒性等が要求される分野、例えば、グラビアインキ、オフセットインキ、磁気記録媒体用バックコート、静電トナー、インクジェット、自動車塗料、繊維・プラスチック形成材料、電池用電極、電子写真用シームレスベルトにおいて、安定かつ均一な組成物を提供し得るものである。中でも、NMPを使用すること、ポリフッ化ビニリデンやポリイミド前駆体などと相溶すること、および形成される塗膜や成型物の強度、柔軟性が良好なことから、リチウムイオン二次電池用電極、電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極、電子写真用シームレスベルトなどに好適に用いられる。
<カーボンブラック>
・#30(三菱化学社製):ファーネスブラック、一次粒子径30nm、比表面積74m2/g、以下#30と略記する。
・#5(三菱化学社製):ファーネスブラック、平均一次粒子径76nm、比表面積29m2/g、以下#5と略記する。
・MA77(三菱化学社製):酸化処理カーボンブラック、一次粒子径23nm、比表面積130m2/g、以下MA77と略記する。
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):アセチレンブラック、一次粒子径48nm、比表面積39m2/g、以下HS−100と略記する。
・デンカブラック粒状品(電気化学工業社製):アセチレンブラック、一次粒子径35nm、比表面積69m2/g、以下粒状品と略記する。
・EC−300J(アクゾ社製):ケッチェンブラック、一次粒子径40nm、比表面積800m2/g、以下300Jと略記する。
(カーボンブラックの平均一次粒子径の測定方法)
カーボンブラックの平均一次粒子径(MV)は、以下に示す方法により測定(算出)した。カーボンブラックの粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、樹脂型分散剤としてDisperbyk−161を少量添加し、超音波洗浄機の水浴中で1分間分散処理して測定用試料を調製した。この試料を測定用ターゲットに塗布、乾燥し、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製透過型電子顕微鏡H−7650)により、100個以上のカーボンブラックの一次粒子が観察出来る写真を撮影した。撮影された画像にて、カーボンブラック粒子の任意の100個を選び、その一次粒子の短軸径と長軸径の平均値を粒子径(d)とし、次いで個々のカーボンブラックを、求めた粒子径(d)を有する球とみなして、それぞれの粒子の体積(V)を求め、この作業を100個のカーボンブラック粒子について行い、そこから下記式(1)を用いて算出した。
式(1) MV=Σ(V・d)/Σ(V)
<ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂>
・エスレックBL−10(積水化学工業社製): ポリビニルブチラール樹脂、水酸基28mol%、ブチラール化度71mol%、計算分子量15000。以下BL−10と略記する。
・エスレックBX−5(積水化学工業社製): ポリビニルアセタール樹脂、水酸基33mol%、アセタール化度66mol%、計算分子量130000。以下BX−1と略記する。
・エスレックKS−10(積水化学工業社製): ポリビニルアセタール樹脂、水酸基25mol%、アセタール化度74mol%、計算分子量17000。以下KS−10と略記する。
・モビタール B30HH(クラレ社製): ポリビニルブチラール樹脂、水酸基11%。以下B30HH と略記する。
<ポリビニルホルマール樹脂>
・ビニレックK(JNC社製): ポリビニルホルマール樹脂。以下ビニレックと略記する。
<ポリビニルアルコール樹脂>
・クラレポバール PVA−405(クラレ社製): ポリビニルアルコール樹脂、けん化度82mol%、平均重合度500、以下、PVA−405と略記する。
・クラレポバール C−506(クラレ社製):カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂、けん化度76mol%、平均重合度600、以下C−506と略記する。
<分散剤>
[界面活性剤]
・エマルゲンA−60(花王社製):ノニオン性の界面活性剤(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)、以下、EmA−60と略記する。
・デモールN(花王社製):アニオン性の界面活性剤(β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩)、以下、DemNと略記する。
・アジスパーPB−821(味の素ファインテクノ社製):塩基性官能基含有共重合物、以下PB−821と略記する。
<アミン系化合物>
・エチルアミン: 脂肪族1級アミン。分子式C2H7N。分子量45。
・n−オクチルアミン: 脂肪族1級アミン。分子式C8H17NH2。分子量129。以下、オクチルアミンと略記する。
・ステアリルアミン: 脂肪族1級アミン。分子式C18H37NH2。分子量269.5。
・ジステアリルアミン: 脂肪族2級アミン。分子式C36H75N。
・ジメチルオクチルアミン: 脂肪族3級アミン。分子式C10H23N。分子量157。
・ジメチルヘキサデシルアミン: 脂肪族3級アミン。分子式C18H39N。分子量269.5。
・トリ−n−オクチルアミン: 脂肪族3級アミン。分子式C24H51N。分子量354。以下、トリオクチルアミンと略記する。
・トリエタノールアミン: アルカノールアミン系3級アミン。分子式C6H15NO3。pKa=7.6。
・ジエタノールアミン: アルカノールアミン系2級アミン。分子式C4H11NO2。pKa=8.9。
・N,N−ジメチル−2−アミノエタノール: アミノエタノール系3級アミン。分子式C4H11NO。pKa=9.8。以下、DMAEと略記する。
・アミート102(花王社製): ポリオキシエチレンドデシルアミン(平均EO=2モル付加、3級アミン)。
・アミート105(花王社製): ポリオキシエチレンドデシルアミン(平均EO=5モル付加、3級アミン)。
・アミート302(花王社製): ポリオキシエチレンオクタデシルアミン(平均EO=2モル付加、3級アミン)。
・アミート320(花王社製): ポリオキシエチレンオクタデシルアミン(平均EO=20モル付加、3級アミン)。
・ポリエチレンイミン 1200(純正化学社製): 分子量1200、アミン価19。以下、PEI1200と略記する。
・ポリエチレンイミン 1800(純正化学社製): 分子量1800、アミン価19。以下、PEI1800と略記する。
・ポリエチレンイミン 10000(純正化学社製): 分子量10000、アミン価18。以下、PEI10000と略記する。
・ヘキサメチレンテトラミン: 脂環式含窒素複素環化合物(3級アミン)。分子式C6H12N4。
・L(+)−アルギニン: 塩基性アミノ酸。分子式C6H14N4O2。以下、アルギニンと略記する。
・L−アスパラギン酸: 酸性アミノ酸。分子式C4H7NO2。以下、アスパラギン酸と略記する。
・L−アスパラギン1水和物: 中性アミノ酸。分子式C4H8N2O3。以下、アスパラギンと略記する。
<その他の含窒素化合物>
・アクリルアミド: アミド系化合物。分子式C3H5NO。
・アセトニトリル: ニトリル系化合物。分子式C2H3N。
<バインダー>
・KFポリマーW1100(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下、PVDFと略記する。
・KFポリマーW7300(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下、#7300と略記する。
<活物質>
・HLC−22(本荘ケミカル社製):正極活物質コバルト酸リチウム(LiCoO2)、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m2/g、以下、LCOと略記する。
・人造黒鉛:負極活物質、平均粒径18μm、以下、黒鉛と略記する。
<カーボンブラック分散液の評価>
実施例、比較例で得られたカーボンブラック分散液の評価は、粘度、分散後平均粒径を測定することにより行った。
<カーボンブラック分散液の調製>
(ポリビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂と、各種アミン系化合物とを用いたカーボンブラック分散液)
[実施例1−1〜実施例1−17]
表1に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPとポリビニルブチラール樹脂またはポリビニルアセタール樹脂と各種アミン系化合物を仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、各種カーボンブラックを加え、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。いずれも低粘度かつD50値が小さく、貯蔵安定性も良好であった。
[比較例1−1〜比較例1−4]
表1に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、BX−5または各種分散剤とを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、各種カーボンブラックを加え、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散した。しかし、得られた分散液は、いずれも高粘度な状態、あるいは著しく高粘度な状態であるか、または、D50値が大きいことから、カーボンブラックを十分に分散する事が出来ていないことがわかる。この結果から、各種ビニルアルコール骨格含有樹脂を分散剤として単独で用いた場合、または従来公知の分散剤を用いた場合には、所望とする高濃度かつ低粘度のカーボンブラック分散液を得る事ができないことが明らかとなった。
<バインダーを含むカーボンブラック分散液の調製>
[実施例2−1〜実施例2−31]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと各種ビニルアルコール骨格含有樹脂と各種アミン系化合物と各種バインダーを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、各種カーボンブラックを加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。いずれも粗大粒子がなく、かつ低粘度であり、貯蔵安定性も良好であった。
[実施例2−39]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPとBL−10とオクチルアミンを仕込み、充分に混合溶解した。次いで、粒状品とPVDFとを均質に混合した粉体混合品を調製し、これを事前に調製したBL−10とオクチルアミンのNMP溶液に添加した。その後、ホモジナイザーで1時間分散し、カーボンブラック分散液を得た。粗大粒子がなく、かつ低粘度であり、貯蔵安定性も良好であった。
[実施例2−40]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶に実施例1−1のカーボンブラック分散液を65部、PVDFを6.5部、NMPを28.5部加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。粗大粒子がなく、かつ低粘度であり、貯蔵安定性も良好であった。
[比較例2−1〜比較例2−3]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと各種ビニルアルコール骨格含有樹脂とPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、粒状品を加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。しかし、得られた分散液の粘度は、バインダーを添加せずに調製した場合と同様に高粘度であり、カーボンブラックおよびバインダー濃度のさらなる向上はできないことが明らかとなった。
[比較例2−4〜比較例2−5]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、BL−10と各種添加剤とPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、粒状品を加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。しかし、得られた分散液の粘度は、各種ビニルアルコール骨格含有樹脂を単独で分散剤として用いた場合と同様に高粘度であり、カーボンブラックおよびバインダー濃度のさらなる向上はできないことが明らかとなった。
[比較例2−6、比較例2−8、比較例2−10]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、各種ビニルアルコール骨格含有樹脂とオクチルアミンとPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、HS−100を加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。しかし、得られた分散液の粘度は、各種ビニルアルコール骨格含有樹脂を単独で分散剤として用いた場合と同様に高粘度であり、カーボンブラック100重量部に対するオクチルアミンの添加量が0.1重量部よりも小さい場合、カーボンブラックおよびバインダー濃度のさらなる向上はできないことが明らかとなった。
[比較例2−7、比較例2−9、比較例2−11]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、各種ビニルアルコール骨格含有樹脂とオクチルアミンとPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、粒状品を加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。粗大粒子がなく、かつ低粘度であったが、貯蔵安定性が良好では無かった。
[比較例2−12〜比較例2−13]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、BL−10とオクチルアミンとPVDFを仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、粒状品を加え、ホモジナイザーで1時間分散し、各カーボンブラック分散液を得た。得られた分散液は、いずれも著しく高粘度な状態であり、D50値が大きいことから、カーボンブラックを十分に分散する事が出来ていない状態であった。
<カーボンブラック以外の粉体として正極活物質または負極活物質を含むカーボンブラック分散液の調製>
[実施例3−1〜実施例3−7]
表3に示す組成に従い、実施例2−2〜2−4、実施例2−6、実施例2−8、実施例2−9、および実施例2−11で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、正極活物質であるLCOを仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。用いたカーボンブラック分散液が低粘度であるために、LCOを多量に添加することができ、また、得られた混合液も低粘度な状態であった。
[実施例3−8〜実施例3−10]
表3に示す組成に従い、実施例2−2、実施例2−4および実施例2−8で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、負極活物質である黒鉛を仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。用いたカーボンブラック分散液が低粘度であるために、黒鉛を多量に添加することができ、また、得られた混合液も低粘度な状態であった。
[比較例3−1〜比較例3−3]
表3に示す組成に従い、比較例2−1、比較例2−6および比較例2−7で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、正極活物質であるLCOを仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。いずれも、用いたカーボンブラック分散液の粘度値が高いことから、実施例3−1〜実施例3−7と比較して、LCOを添加した際の粘度値の上昇が大きく、また、安定性評価試験における粘度の上昇幅も大きかった。
[比較例3−4〜比較例3−6]
表3に示す組成に従い、比較例2−1、比較例2−6および比較例2−7で得た、バインダーを含有するカーボンブラック分散液に対し、負極活物質である黒鉛を仕込み、ディスパーにより充分に混合し、各混合液を得た。いずれも、用いたカーボンブラック分散液の粘度値が高いことから、実施例3−8〜実施例3−11と比較して、MFCを添加した際の粘度値の上昇が大きく、また、安定性評価試験における粘度の上昇幅も大きかった。
<電池電極合材層の作製>
上記の各実施例、比較例で得られた正極活物質または負極活物質を含むカーボンブラック分散液を電池電極合材液として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間乾燥し、乾燥後膜厚100μmの塗膜(電池電極合材層)を作製した。
[実施例4−1〜実施例4−7、比較例4−1〜比較例4−2]
正極合材液として、実施例3−1〜実施例3−7、比較例3−2〜比較例3−3で得た電池電極合材液を使用して、正極合材層(電池電極合材層)を作製した。評価結果を表4に示した。
[実施例4−8〜実施例4−10、比較例4−3〜比較例4−4]
負極合材液としては、実施例3−8〜実施例3−10、比較例3−5〜比較例3−6で得た電池電極合材液を使用して、負極合材層(電池電極合材層)を作製した。評価結果を表4に示した。
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
[実施例5−1〜実施例5−7、比較例5−1〜比較例5−2]
先に調製した電池電極合材液(実施例3−1〜実施例3−7、比較例3−2、比較例3−3の正極合材液)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの正極合材層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製#2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池負極評価用セルの組み立て>
[実施例5−8〜実施例5−10、比較例5−3〜比較例5−4]
先に調製した電池電極合材(実施例3−8〜実施例3−10、比較例3−5、比較例3−6の負極合材液)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの負極合材層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製#2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを容量比1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝泉社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立ては、アルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池正極特性評価>
作製した正極評価用セルを25℃で、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を使用して、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、充放電を行った。評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観(50サイクル後の塗膜外観)を目視にて確認した。塗膜外観の評価基準は、剥がれが認められず外観に全く変化が無い場合を○(極めて良好)、剥がれてはいないが外観に変化が認められる場合を△(良好)、部分的に合材が集電体より剥がれが認められる場合を×(不良)とした。また、容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の百分率であり、数値が100%に近いものほど良好であることを示す。ショート等により正常な充放電曲線が得られず、容量が求められなかった場合は数値無し(−)とした。評価結果を表5に示した。
<リチウムイオン二次電池負極特性評価>
作製した負極評価用セルを25℃で、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を使用して、充電レート1.0Cの定電流定電圧充電(下限電圧0.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計50サイクル行い、充放電サイクルを行った。評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観(50サイクル後の塗膜外観)について、正極特性評価と同じ基準で評価した。また、容量維持率についても正極特性と同様に求めた。評価結果を表5に示した。
Claims (8)
- カーボンブラックと、ビニルアルコール骨格含有樹脂と、N−メチル−2−ピロリドンと、アミン系化合物とを含有し、カーボンブラック100重量部に対して、ビニルアルコール骨格含有樹脂を1重量部以上、15重量部以下含有し、かつアミン系化合物を0.1重量部以上、2.6重量部以下含有することを特徴とする、カーボンブラック分散液。
- カーボンブラック100重量部に対して、ビニルアルコール骨格含有樹脂を1重量部以上、8重量部以下含有し、かつアミン系化合物を0.2重量部以上、1.5重量部以下含有することを特徴とする、請求項1記載のカーボンブラック分散液。
- 上記アミン系化合物が、脂肪族1級アミン、脂肪族2級アミン、脂肪族3級アミン、アミノ酸、アルカノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリアミンおよび脂環式含窒素複素環化合物からなる群より選ばれた1種以上のアミン系化合物であることを特徴とする、請求項1または2いずれか記載のカーボンブラック分散液。
- アミン系化合物が、アミノ基を1つのみ有する、脂肪族1級アミン、脂肪族2級アミン、脂肪族3級アミン、アルカノールアミンおよびポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群より選ばれた1種以上のアミン系化合物であることを特徴とする、請求項3記載のカーボンブラック分散液。但し、アミノ基は1級、2級または3級の官能基である。
- ビニルアルコール骨格含有樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂からなる群より選ばれた1種以上のビニルアルコール骨格含有樹脂であることを特徴とする、請求項1ないし4いずれか記載のカーボンブラック分散液。
- 請求項1ないし5いずれか記載のカーボンブラック分散液に、さらに、正極活物質または負極活物質を含有してなる電池用カーボンブラック分散液。
- 請求項1ないし5いずれか記載のカーボンブラック分散液または請求項6記載の電池用カーボンブラック分散液を塗布してなる電池電極合材層。
- 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、請求項7記載の電池電極合材層を具備してなるリチウムイオン二次電池。
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