JP6140566B2 - コイル装着方法及びコイル装着治具 - Google Patents
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Description
特許文献1においては、固定子コアにおける複数のティースに、矩形断面の平角導体を曲げ加工して形成された複数の台形コイルを挿入するモータ固定子の製造装置が開示されている。この製造装置は、台形コイルをクランプするクランプ爪と、台形コイルを斜め変形状態に規制するコイル形状規制部材とを有している。そして、クランプ爪及びコイル形状規制部材によって巻きひねりを防止した状態で、台形コイルをティースに挿入している。
特許文献1においては、クランプ爪とコイル形状規制部材とによって、台形コイルの径方向の形状変化と、台形コイルの軸方向(ステータコアの軸方向)の形状変化とを規制している。一方、特許文献2においては、複数の保持部によって、台形コイルの全てのターン部の動きを拘束している。そのため、台形コイルの動きが必要以上に拘束され、コイルの装着を円滑にするための弊害となっている。
上記コイルは、平角線が略四角形状に巻回された巻回部が、上記ステータコアの径方向に3段以上に重なり、かつ径方向外周側に位置する上記巻回部ほど、上記ステータコアの周方向に向けられる幅が大きくなるよう形成されており、
上記複数の巻回部を上記径方向に挟持するとともに、上記複数の巻回部のうち最も径方向内周側に配置される最内周巻回部と、上記複数の巻回部のうち最も径方向外周側に配置される最外周巻回部とを周方向に拘束し、上記最内周巻回部と上記最外周巻回部とを上記周方向において互いに逆になる方向に相対的に移動させて、上記コイルを変形させて上記ティースに装着することを特徴とするコイル装着方法にある。
上記コイルは、平角線が略四角形状に巻回された巻回部が、上記ステータコアの径方向に3段以上に重なり、かつ径方向外周側に位置する上記巻回部ほど、上記ステータコアの周方向に向けられる幅が大きくなるよう形成されており、
上記複数の巻回部のうち最も径方向内周側に位置する最内周巻回部を支持する内周側支持部と、
上記複数の巻回部のうち最も径方向外周側に位置する最外周巻回部を支持する外周側支持部と、
上記内周側支持部と上記外周側支持部とを上記周方向において互いに逆になる方向に相対的に移動させるコイル変形機構と、を備え、
上記内周側支持部と上記外周側支持部とは、上記複数の巻回部を上記径方向に挟持するとともに、上記最内周巻回部と上記最外周巻回部とを周方向に拘束するよう構成されており、
上記コイル変形機構は、上記内周側支持部と上記外周側支持部とを相対的に移動させることにより、該内周側支持部及び該外周側支持部に支持する上記コイルを、上記ティースに装着する際に変形させるよう構成されていることを特徴とするコイル装着治具にある。
具体的には、コイルをティースに装着するに当たっては、複数の巻回部を径方向に挟持するとともに、複数の巻回部のうち最も径方向内周側に配置される最内周巻回部と、複数の巻回部のうち最も径方向外周側に配置される最外周巻回部とを周方向に拘束する。このコイルの支持の仕方により、複数の巻回部のうち最内周巻回部と最外周巻回部とを除く残りの中間巻回部が、周方向に自由に動くことができる状態が形成される。
また、このコイルの装着を行う際には、複数の巻回部を径方向に挟持する力を緩めることができる。これにより、中間巻回部が、より位置ずれしやすい状態を形成することができる。このとき、最内周巻回部と最外周巻回部とが周方向に拘束されていることにより、コイルの全体が不必要に位置ずれしてしまうことを防止することができる。
それ故、上記コイル装着方法によれば、ステータコアのティースへのコイルの装着をより柔軟かつ円滑に行うことができる。
それ故、上記コイル装着治具によれば、ステータコアのティースへのコイルの装着をより柔軟かつ円滑に行うことができる。
上記コイル装着方法においては、上記略四角形状の上記最内周巻回部における4つの角部を上記ステータコアの周方向及び上記ステータコアの軸方向に拘束し、かつ、上記略四角形状の上記最外周巻回部における少なくとも2つの角部を上記周方向及び上記軸方向に拘束してもよい。上記コイル装着治具においては、上記内周側支持部は、上記略四角形状の上記最内周巻回部における4つの角部を上記ステータコアの周方向及び上記ステータコアの軸方向に拘束するよう構成されており、上記外周側支持部は、上記略四角形状の上記最外周巻回部における少なくとも2つの角部を上記周方向及び上記軸方向に拘束するよう構成されていてもよい。
これらの場合には、ティースの奥側(径方向外周側)に配置される最外周巻回部の周方向への拘束は、ティースの手前側(径方向内周側)に配置される最内周巻回部の周方向への拘束よりも緩くする。これにより、ティースへのコイルの装着を、さらに柔軟かつ円滑に行うことができる。
これらの場合には、ティースへのコイルの装着を、さらに柔軟かつ円滑に行うことができる。
本例のコイル装着方法は、ステータコア7のティース71にコイル8を装着して、回転電機用のステータを製造するための方法である。図8、図9に示すごとく、コイル8は、平角線801が略四角形状に巻回された巻回部82A,82B,82Cが、ステータコア7の径方向Rに3段以上に重なり、かつ径方向Rの外周側に位置する巻回部82A,82B,82Cほど、ステータコア7の周方向Cに向けられる幅が大きくなるよう形成されている。なお、巻回部82A,82B,82Cの径方向Rへの巻回段数は、例えば、3段以上10段以下とすることができる。
本例においては、ティース71にコイル8を装着する際に、内周側支持部62、外周側支持部61及びコイル変形機構60を備えたコイル装着治具1を用いる。図12に示すごとく、内周側支持部62は、複数の巻回部82A,82B,82Cのうち最も径方向Rの内周側に位置する最内周巻回部82Bを支持するよう構成されている。図11に示すごとく、外周側支持部61は、複数の巻回部82A,82B,82Cのうち最も径方向Rの外周側に位置する最外周巻回部82Aを支持するよう構成されている。図9、図10に示すごとく、コイル変形機構60は、内周側支持部62と外周側支持部61とを周方向Cにおいて互いに逆になる方向に相対的に移動させるよう構成されている。
外周側支持部61は、コイル8の最外周巻回部82Aの上下のコイル部を、上下に設けられたクランパ611によって支え、内周側支持部62との間にコイル8を挟持して支持するよう構成されている。内周側支持部62は、後述するW方向スライダー66に対して取り付けられている。外周側支持部61と内周側支持部62とは、コイル8を、巻回軸線方向C2に挟持するようにして支持する。
図11に示すごとく、外周側支持部61を構成する上下のクランパ611は、最外周巻回部82Aの軸方向Lの上側(又は軸方向Lの下側)のコイル部をガイドするガイド部612と、このガイド部612に対する周方向Cの一方側に形成され、最外周巻回部82Aの周方向Cに位置するコイル部をガイドするガイド部613とを有している。
図1〜図14において、移動平面内のY方向(Y)は、ステータコア7の径方向R、すなわちティース71の形成方向に平行になるよう設定されており、移動平面内のX方向(X)は、Y方向(Y)に直交する方向として設定されている。移動平面内のW方向は、外周側支持部61と内周側支持部62とが並ぶ方向に直交する方向として設定されている。上下方向Hは鉛直方向に向けられている。
ベース部2には、Y方向スライド部4を駆動する駆動源22が配設されている。この駆動源22は、モータ221と、モータ221の回転力を推力に変換するボールネジ222とを用いて構成されている。ベース部2には、Y方向スライド部4のスライド方向と平行に配設されたリニヤガイド223が設けられている。駆動源22によって駆動される駆動ベース220は、リニヤガイド223に沿ってスライド可能であるとともに、θ方向回転部5に係合している。
なお、駆動源22によって駆動される駆動ベース220は、Y方向スライド部4に係合していてもよい。
Y方向スライド部4は、レールと、レールに対してスライドするスライダーとを有するリニヤガイド42を用いて構成されている。このリニヤガイド42のレールはX方向ベース30に配設されており、このリニヤガイド42のスライダーには、Y方向ベース40が取り付けられている。
θ方向回転部5は、Y方向ベース40に配設されたθ方向軸部54に対して、ベアリング55を介してθ方向ベース50を回転可能に配設して構成されている。θ方向ベース50は、上下方向Hに延びて形成されており、コイル支持部6は、θ方向ベース50の上側部分に配設されている。
図3に示すごとく、θ方向回転部5には、コイル支持部6に支持するコイル8を変形させるか否かを切り換える変形切換部67が配設されている。変形切換部67は、同図に示すごとく、回転軸部63と従動回転軸部65とがギヤ631,651によって噛合し、かつ変形案内ローラ641が変形案内溝411に配置されるコイル変形位置B1と、図4に示すごとく、変形案内ローラ641を変形案内溝411から抜き出すコイル非変形位置B2とに切換可能である。
2つの移動案内プレート21は、ベース部2に配設されたレーン切換部23によって上下可能である。レーン切換部23は、レーン切換駆動源231によって、2つの移動案内プレート21の移動案内溝211のいずれに、移動カムプレート51の移動案内ローラ52を配置するかを切り換えるよう構成されている。
最終コイル8A及び最終コイル8A以外のコイル8Bは、周方向Cのいずれか一方側の部分から先行してスロット72に挿入され、他方側の部分が遅れてスロット72に挿入されるようにして、ティース71に装着される。
同図には、最終コイル8Aの外周側中心部が通る軌道によって、最終コイル8Aの装着経路Aを示す。コイル支持部6が原位置601にあるときの最終コイル8Aの外周側中心部の位置を符号P1で示し、コイル支持部6が装着位置602にあるときの最終コイル8Aの外周側中心部の位置を符号P2で示す。
コイル8をティース71に装着するに当たっては、図8〜図10に示すごとく、内周側支持部62及び外周側支持部61によって、複数の巻回部82A,82B,82Cを径方向Rに挟持するとともに、複数の巻回部82A,82B,82Cのうち最も径方向Rの内周側に配置される最内周巻回部82Bと、複数の巻回部82A,82B,82Cのうち最も径方向Rの外周側に配置される最外周巻回部82Aとを周方向Cに拘束する。このコイル8の支持の仕方により、複数の巻回部82A,82B,82Cのうち最内周巻回部82Bと最外周巻回部82Aとを除く残りの中間巻回部82Cが、周方向Cに自由に動くことができる状態が形成される。
それ故、本例のコイル装着方法及びコイル装着治具1によれば、ステータコア7のティース71へのコイル8の装着をより柔軟かつ円滑に行うことができる。
具体的には、ティース71に最終コイル8Aを装着するに当たっては、図3に示すごとく、変形切換部67をコイル変形位置B1にし、レーン切換部23によって、最終コイル8A用の移動案内溝211に移動案内ローラ52を配置しておく。そして、図5に示すごとく、コイル支持部6を原位置601にし、コイル支持部6に支持する最終コイル8Aをティース71に対向させる。このとき、変形リンク64における変形案内ローラ641が変形案内プレート41における変形案内溝411に案内されて、最終コイル8Aが、ティース71に対して傾斜する。また、移動カムプレート51における移動案内ローラ52が移動案内プレート21における移動案内溝211に案内されて、最終コイル8Aが菱形状に変形される。
2 ベース部
3 X方向スライド部
4 Y方向スライド部
5 θ方向回転部
6 コイル支持部
60 コイル変形機構
61 外周側支持部
62 内周側支持部
7 ステータコア
71 ティース
8 コイル
82A 最外周巻回部
82B 最内周巻回部
82C 中間巻回部
Claims (6)
- ステータコアのティースにコイルを装着して、回転電機用のステータを製造するためのコイル装着方法であって、
上記コイルは、平角線が略四角形状に巻回された巻回部が、上記ステータコアの径方向に3段以上に重なり、かつ径方向外周側に位置する上記巻回部ほど、上記ステータコアの周方向に向けられる幅が大きくなるよう形成されており、
上記複数の巻回部を上記径方向に挟持するとともに、上記複数の巻回部のうち最も径方向内周側に配置される最内周巻回部と、上記複数の巻回部のうち最も径方向外周側に配置される最外周巻回部とを周方向に拘束し、上記最内周巻回部と上記最外周巻回部とを上記周方向において互いに逆になる方向に相対的に移動させて、上記コイルを変形させて上記ティースに装着することを特徴とするコイル装着方法。 - 上記略四角形状の上記最内周巻回部における4つの角部を上記ステータコアの周方向及び上記ステータコアの軸方向に拘束し、かつ、上記略四角形状の上記最外周巻回部における少なくとも2つの角部を上記周方向及び上記軸方向に拘束することを特徴とする請求項1に記載のコイル装着方法。
- 上記ティースに装着する前の上記コイルを変形させ、上記ティースに装着を行う途中又は装着を行った後に、上記コイルの変形を復元させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル装着方法。
- ステータコアのティースにコイルを装着して、回転電機用のステータを製造するためのコイル装着治具であって、
上記コイルは、平角線が略四角形状に巻回された巻回部が、上記ステータコアの径方向に3段以上に重なり、かつ径方向外周側に位置する上記巻回部ほど、上記ステータコアの周方向に向けられる幅が大きくなるよう形成されており、
上記複数の巻回部のうち最も径方向内周側に位置する最内周巻回部を支持する内周側支持部と、
上記複数の巻回部のうち最も径方向外周側に位置する最外周巻回部を支持する外周側支持部と、
上記内周側支持部と上記外周側支持部とを上記周方向において互いに逆になる方向に相対的に移動させるコイル変形機構と、を備え、
上記内周側支持部と上記外周側支持部とは、上記複数の巻回部を上記径方向に挟持するとともに、上記最内周巻回部と上記最外周巻回部とを周方向に拘束するよう構成されており、
上記コイル変形機構は、上記内周側支持部と上記外周側支持部とを相対的に移動させることにより、該内周側支持部及び該外周側支持部に支持する上記コイルを、上記ティースに装着する際に変形させるよう構成されていることを特徴とするコイル装着治具。 - 上記内周側支持部は、上記略四角形状の上記最内周巻回部における4つの角部を上記ステータコアの周方向及び上記ステータコアの軸方向に拘束するよう構成されており、
上記外周側支持部は、上記略四角形状の上記最外周巻回部における少なくとも2つの角部を上記周方向及び上記軸方向に拘束するよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載のコイル装着治具。 - 上記コイル変形機構は、上記内周側支持部と上記外周側支持部とを相対的に移動させることにより、上記ティースに装着する前の上記コイルを変形させ、上記ティースに装着を行う途中又は装着を行った後に、上記コイルの変形を復元させるよう構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のコイル装着治具。
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