以下、この発明による位置指示器の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図4は、この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。図2は、この第1の実施形態の位置指示器1を用いる電子機器200の一例を示すものである。この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの下部(裏側)に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
この例の電子機器200の筐体は、ペン形状の位置指示器1を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている位置指示器1を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dで位置指示操作を行う。
電子機器200においては、表示画面200D上で、ペン形状の位置指示器1により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏側に設けられた位置検出装置202が、位置指示器1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
図1は、この第1の実施形態の位置指示器1の全体の概要を示すものである。図1(A)は、説明のために、位置指示器1のケース2(筐体)のケース本体2aのみを破断して、その内部を示したものである。また、図1(B)は、この第1の実施形態の位置指示器1を、芯体4側から軸芯方向に見た図である。
図1(A)に示すように、位置指示器1は、軸芯方向に細長であって、一方が閉じられた有底の円筒状の筐体を構成するケース2を備える。このケース2は、例えば樹脂などからなるもので、内部に中空部を有する円筒形状のケース本体2aと、このケース本体2aと結合されるケースキャップ2bとにより構成されている。ケース本体2aの中空部内には、基板ホルダー3に、芯体4と、コイル5が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア6とが結合されて収納される。フェライトコア6は、この例では、円柱状形状を備える。
基板ホルダー3は、例えば樹脂により構成され、ケース本体2aの中空部内に収納されたときに、位置指示器1の軸芯方向となる長手方向に、感圧用部品ホルダー部3aと、プリント基板載置台部3bとが連続するように構成されている。感圧用部品ホルダー部3aには、感圧用部品(筆圧検出用の複数個の部品)7が収納され、プリント基板載置台部3bには、プリント基板8が載置され、保持される。以下、説明の簡単のため、感圧用部品ホルダー部3aは、ホルダー部3aと略称する。ホルダー部3aは、基板ホルダー3において、最も芯体4側に形成されており、このホルダー部3aに芯体4及びフェライトコア6が結合される。
図3(A)は、図1(B)のX−X線断面図であり、これは、位置指示器1の軸芯位置を通り、かつ、プリント基板8の基板面(導体パターンが印刷形成されていて回路部品が載置される面)8aに平行な方向に位置指示器1を切断した要部の断面図である。また、図3(B)は、図1(B)のY−Y線断面図であり、これは、位置指示器1の軸芯位置を通り、かつ、プリント基板8の基板面8aに垂直な方向に位置指示器1を切断した要部の断面図である。さらに、図3(C)は、基板ホルダー3の特にホルダー部3aに注目した斜視図である。
また、図4(B)は、基板ホルダー3と芯体4及びフェライトコア6とが結合した状態を示す図である。また、図4(A)は、基板ホルダー3のホルダー部3a及び感圧用部品7を説明するための分解斜視図である。また、図4(C)は、図4(A)におけるA−A線断面図であり、これは、基板ホルダー3のホルダー部3aの縦断面図である。
図4(B)に示すように、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bには、プリント基板8が載置される。プリント基板8は、ケース本体2aの内径よりも狭い幅を有し、長手方向に所定の長さを有する細長の矩形形状とされている。プリント基板載置台部3bの基板載置平面の長手方向の長さは、プリント基板8の長手方向の長さとほぼ等しい、あるいは、僅かに大きい長さとされている。また、プリント基板載置台部3bの基板載置平面の幅方向の長さは、プリント基板8の幅よりも若干大きく選定されている。
図示は省略するが、コイル5の一端及び他端は、基板ホルダー3とケース本体2aとの間の隙間を利用してプリント基板8まで延長されており、このプリント基板8に形成されている導電パターンに、例えば半田付けされる。図4(B)の例では、基板ホルダー3の長手方向の一部に切り欠き部31が形成されて、プリント基板8の基板面8aとは反対側の裏面側において、コイル5の一端及び他端が半田付けされ、スルーホールを介して基板面8aの導体パターンに接続される。
このプリント基板8には、押下されたときにオンとなり、押下を停止するとオフに戻るプッシュスイッチ(サイドスイッチ)11が設けられていると共に、コイル5と共振回路を構成するコンデンサ12,13が設けられている。コンデンサ12は、この例では、静電容量の調整が可能なトリマーコンデンサである。更に、プリント基板8には、この第1の実施形態では、IC14が設けられていると共に、図示を省略するその他の回路部品及び導体パターンが形成される。
そして、この例では、位置指示器1のケース本体2aの側周面の、サイドスイッチ11に対応する位置には貫通孔15(図2参照)が穿かれており、サイドスイッチ11の押下操作子16が、この貫通孔15を通じて当該サイドスイッチ11を押下することができるように露呈するようにされている。この場合、押下操作子16によるサイドスイッチ11の押下操作に対しては、位置検出装置202を備える電子機器200側で所定の機能が割り当て設定される。例えば、この例の電子機器2においては、押下操作子16によるサイドスイッチ11の押下操作は、マウスなどのポインティングデバイスにおけるクリック操作と同様の操作として割り当て設定が可能である。
共振回路の一部を構成するコンデンサ12,13、また、IC14は、この例ではチップ部品としてプリント基板8に配設される。そして、この実施形態では、トリマーコンデンサ12の静電容量が調整されることで、共振回路の共振周波数が調整される。
この例の場合、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bの長手方向の両端部には、プリント基板8の長手方向の両端部において当該プリント基板8の厚さ方向を挟むことで、プリント基板8をプリント基板載置台部3bに係止させる係止部32,33が形成されている。図1(A)に示すように、プリント基板載置台部3bに載置されて係止部32,33により係止されている状態では、プリント基板8は、ケース本体2aの内壁面とは接触せずにケース本体2aとは離間している状態となっている。
なお、基板ホルダー3のホルダー部3aのうちの後述する開口部35を除く部分の大部分と、プリント基板載置台部3bの裏側部分及び基板ホルダー3とケースキャップ2bとの結合部3cとは、ケース本体2aの内壁に接触することで、基板ホルダー3が、ケース本体2aの中空部内で軸芯方向と直交する方向にがたつかないように構成されている。
そして、基板ホルダー3のホルダー部3aには、図1(A)、図3及び図4(A)に示すような複数個の部品からなる感圧用部品7が収納される。このようにホルダー部3aに感圧用部品7が収納されることで、筆圧検出用モジュールが構成される。この筆圧検出用モジュールに、芯体4の芯体本体42が結合されることで、芯体4の突出部材41に印加される筆圧が筆圧検出用モジュールの感圧用部品7で検出される。この筆圧検出用モジュールの感圧用部品7の構成及び感圧用部品7のホルダー部3aへの収納については、後で詳述する。
なお、基板ホルダー3においては、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の、開口部35とは軸芯位置を介して対向する側及びプリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面とは反対側には、軸芯方向に沿う方向の平面3pn(図4(A)参照)が形成されている。この場合、詳細な図示は省略するが、この平面3pnは、ホルダー部3aまたは、ホルダー部3aからプリント基板載置台部3bに亘って軸芯方向に沿う方向において、面一の平面となっている。
基板ホルダー3は、この平面3pnにより、所定の作業台平面上において、転がることなく、安定した状態で載置される。そして、基板ホルダー3が当該作業台平面上に載置された状態では、ホルダー部3aの開口部35は、前記所定の作業台平面に対して直交する方向を向く開口を有すると共に、プリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面は、前記所定の作業台平面に平行な面となる。したがって、作業台平面上に載置された基板ホルダー3のホルダー部3aに、感圧用部品7を、開口部35を通じて収納する作業を確実に行うことができると共に、プリント基板載置台部3bの載置平面に、プリント基板8を確実に載置して、係止させるようにすることができる。
図4(B)に示すように、この例では、基板ホルダー3は、プリント基板載置台部3bの長手方向のホルダー部3aとは反対側の端部の結合部3cにおいてケースキャップ2bと結合されており、ケースキャップ2bと基板ホルダー3とは一体のものとして扱うことができるように構成されている。
したがって、この例においては、後述するように、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bにプリント基板8を載置して固定し、また、ホルダー部3aに感圧用部品7を収納すると共に、コイル5が巻回されたフェライトコア6及び芯体4を基板ホルダー3に結合させたものを、一つのモジュール部品として扱うことができる。そして、そのモジュール部品を、ケース本体2aの中空部内に収納させることで、位置指示器1を完成させることができる。このとき、基板ホルダー3は、ホルダー部3aの軸芯方向の中心線位置が、筒状のケース本体2aの軸芯方向の中心線位置と一致するような状態で、ケース本体2a内に係止されるように、ケースキャップ2bに結合されている。
図1(A)及び図3(A)に示すように、ケース本体2aの軸芯方向の一端側がペン形状の位置指示器1のペン先側とされており、このケース本体2aのペン先側には、貫通孔21(開口)を備える。
芯体4は、この例では、ケース本体2aの貫通孔21から外部に突出する突出部材(ペン先部材)41と芯体本体42とで構成されている。芯体4は、突出部材41が操作面に当接して使用される場合の摩擦に対する耐性を考慮して、ポリアセタール樹脂(ジュラコン)等の合成樹脂製とされている。
芯体本体42は、突出部材41の径よりも小径の円柱形の棒状体である。そして、この例では、フェライトコア6には、その軸芯方向に、芯体本体42の径よりも大きい内径の貫通孔6aが形成されている。芯体4の芯体本体42は、フェライトコア6の貫通孔6aを挿通して、後述するように、感圧用部品7を構成する複数個の部品の一つに結合するように構成されている。
また、フェライトコア6は、その軸芯方向の一端側(芯体4の突出部材41側とは反対側)が、この例では、弾性を有する材料、例えばシリコンゴムからなる落下対策用部材9を介して、基板ホルダー3のホルダー部3aと結合される。
そして、図4(B)に示した基板ホルダー3と芯体4及びコイル5が巻回されたフェライトコア6とを結合して一体としたモジュール部品を、ケース本体2aの中空部内に挿入して、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合させたときには、図1(A)及び図3(A)に示すように、フェライトコア6の軸芯方向の他端側は、ケース本体2aの貫通孔21に形成されている段部22と衝合する。これにより、コイル5が巻回されたフェライトコア6は、基板ホルダー3のホルダー部3aとケース本体2aの段部22との間で固定される。
[筆圧検出用モジュールの構成例]
次に、筆圧検出用モジュールを構成する基板ホルダー3のホルダー部3a及び感圧用部品7、さらに、感圧用部品7のホルダー部3aへの収納について、以下に説明する。この例の筆圧検出用モジュールは、冒頭で特許文献1を用いて説明したものと同様に、芯体に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。
この例の感圧用部品7は、図4(A)に示すように、誘電体71と、端子部材72と、保持部材73と、導電部材74と、弾性部材75との複数個の部品からなる。端子部材72は、感圧用部品7で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材74と弾性部材75とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
一方、基板ホルダー3のホルダー部3aは、図3(C)及び図4(A)に示すように、中空部を備える筒状体34により構成され、感圧用部品7を、その中空部内において軸芯方向に並べて収納する構成とされている。
上記のような複数個の部品からなる感圧用部品7のうち、筒状体34からなるホルダー部3a内で、軸芯方向に移動しない部品である誘電体71と、端子部材72は、図4(A)に示すように、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の一部に形成された、軸芯方向に直交する方向を向く開口を有する開口部35を通じて、当該筒状体34の軸芯方向に直交する、プリント基板8の基板面8aに垂直な方向から挿入されて、図3(C)及び図4(B)に示すように収納される。
図4に示すように、開口部35は、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の、プリント基板載置台部3b側の端部に形成される。この開口部35は、軸芯方向に直交する方向を向き、かつ、プリント基板載置台部3bに載置されたプリント基板8の基板面8aに垂直な方向を向く開口を有する開口部である。この開口部35は、軸芯方向に所定の長さd1(図4(C)参照)を有し、軸芯方向に直交する方向に所定の長さd2(図示は省略)を有する。
長さd1は、誘電体71と端子部材72とを軸芯方向に重ねたときの軸芯方向の長さ(厚さ)よりも大きく選定されている。長さd2は、誘電体71と端子部材72のうちの、軸芯方向に直交する方向の長さが大きい方の当該長さよりも若干大きく選定されている。このように長さd1及びd2の寸法を選定することで、軸芯方向に重ねた誘電体71と端子部材72とを、開口部35を通じて、ホルダー部3a内に収納することができるようにしている。
また、ホルダー部3aを構成する筒状体34は、内径がd3(図4(C)参照)とされると共に、その軸芯方向の芯体4側は開口36aとされている。この軸芯方向の芯体4側に開口36aを有する部分36では、側周面には開口を有さない。この実施形態では、筒状体34の側周面の開口部35の軸芯方向に直交する方向の長さd2は、筒状体34の内径d3と等しく選定されているが、後述する凹溝39の部分では、この凹溝39の深さ分だけ大きく選定されている。
そして、ホルダー部3aを構成する筒状体34のプリント基板載置台部3b側は、壁部37により閉塞されている。この壁部37には、プリント基板載置台部3b側に突出するようにして、前述した係止部32が形成されている。開口部35は、この壁部37を外部に露呈するように形成されている。すなわち、開口部35は、筒状体34の側周面において、壁部37から軸芯方向に前記長さd1の開口が形成されるように穿かれている。
そして、筒状体34の側周面の壁部37との連結部には、軸芯方向に、端子部材72の厚さより若干大きい所定の幅を有するスリット38a、38bが形成されている。そして、筒状体34の内壁には、このスリット38a,38bと軸芯方向に隣り合う位置において、筒状体34の開口部35が形成されている部分の内径d2よりも大きい内径の凹溝39(図3(A)及び図4(C)参照)が形成されている。
誘電体71は、凹溝39に嵌合する外形を有し、凹溝39の軸芯方向の幅に対応した厚さを有する板状体の構成とされている。したがって、誘電体71は、開口部35を通じて筒状体34の凹溝39に挿入して嵌合させることができ、嵌合状態では、誘電体71は、凹溝39により筒状体34内で軸芯方向には移動しないようにされる。なお、この第1の実施形態においては、後述するように、誘電体71は、導電部材74により押圧偏倚されて壁部37側に押し付けられるので、この凹溝39は、設けなくてもよい。
また、端子部材72は、筒状体34のスリット38a及び38bの軸芯方向の幅よりも若干小さい厚さを有すると共に、筒状体34の内径d3に対応する外径を有する円板状の導電部材、例えば導電性金属の板状体で構成される。そして、この端子部材72は、図4(A)に示すように、筒状体34のスリット38a,38bに嵌合する張り出し部72a,72bを備える。したがって、端子部材72は、開口部35を通じて筒状体34の壁部37に接するように挿入することができ、その挿入により、張り出し部72a,72bが、筒状体34のスリット38a,38bに嵌合して、軸芯方向には移動しないように筒状体34に係止される。
また、端子部材72の誘電体71側の板面の中央部には、誘電体71側に膨出する膨出部72cが形成されている。この膨出部72cは、誘電体71と端子部材72とが筒状体34内に収納されたときに、誘電体71と端子部材72とを確実に接触させる役割を果たす。
この端子部材72は、容量可変コンデンサの第1の電極の役割を果たすもので、ホルダー部3a内に収納されたときにこの端子部材72の開口部35側の上端となる端面からは、筒状体34の壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aのランド部8b(図3(C)参照)に半田付け接続されるリード部72dが形成されている。
さらに、端子部材72には、ホルダー部3a内に収納されたときに、開口部35側の上端となる端面のほぼ中央に、リード部72dとは反対側に突出するL字状突起72eが形成されている。誘電体71と端子部材72とがホルダー部3a内に収納されたときに、この端子部材72のL字状突起72eにより、誘電体71の開口側端部が押さえられるようにされる。端子部材72のリード部72dが、プリント基板8の基板面8aのランド部8b(図3(C)参照)に半田付け接続されて固定されたときには、誘電体71は、このL字状突起72eにより、開口部35から離脱することが無い。
保持部材73は、その軸芯方向の芯体4側となる側に、芯体4の芯体本体42を圧入嵌合させる凹穴73bが設けられている円柱状形状部73aと、凹穴73b側とは軸芯方向の反対側に、導電部材74を嵌合する凹穴73dが設けられているリング状突部73cとを備えている。この場合において、凹穴73bの中心腺(軸芯位置)と、凹穴73dの中心腺(軸芯位置)とが、1本の直線上に存在するように、これら凹穴73b及び凹穴73dが形成されている。
保持部材73の円柱状形状部73aの外径(周方向の一部)は、筒状体34の内径d3より若干小さく選定されている。また、保持部材73のリング状突部73cの外径は、円柱状形状部73aの外径よりも小さく、かつ、後述する弾性部材75を構成するコイルバネの内径よりも小さく選定されている。この場合、リング状突部73cと円柱状形状部73aとの間で段部を構成するようにされる。この段部は、後述する弾性部材75としてのバネの端部を係止させるためのものである。
そして、この実施形態では、円柱状形状部73a及びリング状突部73cには、凹穴73b及び凹穴73dを横断するようにスリット73e及び73fが形成されている。このスリット73e及び73fの存在により、円柱状形状部73a及びリング状突部73cは、軸芯方向に直交する方向に弾性偏倚可能に構成されている。そして、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面には、円柱状形状部73aの軸芯位置を挟んで対向する位置に、係合突部73g及び73hが形成されている。
一方、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面には、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面に形成されている係合突部73g及び73hが係合する係合孔34a及び34b(図3(B)及び図4(C)参照)が形成されている。
この係合孔34a及び34bの軸芯方向の長さd4(図4(C)参照)は、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面に形成されている係合突部73g及び73hの軸芯方向の長さよりも長くされている。これにより、保持部材73は、筒状体34の中空部内に収納されて、係合突部73g及び73hが係合孔34a及び34bに係合されている状態においても、筒状体34の中空部内を、その軸芯方向に移動可能とされている。なお、長さd4は、後述するように、筒状体34の中空部内に感圧用部品7の全てが収納された状態で、導電部材74が、軸芯方向に移動して誘電体71に衝合し、さらに弾性変形することができるような値に選定されている。
次に、導電部材74は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされており、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴムにより構成される。この導電部材74は、外径が保持部材73のリング状突部73cの外径に等しい円柱状部からなる径大部74aと、外径がリング状突部73cの凹穴73dの径にほぼ等しい円柱状部からなる径小部74bを備える。径大部74a及び径小部74bの中心線位置は、同一とされる。そして、径大部74aの径小部74bとは反対側の端面は、図3(A),(B)に示すように、砲弾型に膨出する曲面部を有するように構成されている。さらに、導電部材74の径小部74bの高さは、保持部材73のリング状突部73cに形成されている凹穴73dの深さにほぼ等しく選定されている。
また、弾性部材75は、例えば導電性を有するコイルバネで構成され、弾性を有する巻回部75aと、この巻回部75aの一端部に端子片75bを有し、巻回部75aの他端部に接続部75cを有している。弾性部材75を構成するコイルバネの巻回部75aは、その巻回部75a内に、導電部材74を接触することなく収納することができる径であって、かつ、保持部材73の円柱状形状部73aの径よりも小さい径とされる。
弾性部材75の接続部75cは、保持部材73のリング状突部73cのスリット部からリング状突部73cに形成されている凹穴73dの底部に挿入するようにされる(図3(A)及び図3(B)参照)。したがって導電部材74の径小部74bが保持部材73のリング状突部73cに圧入嵌合されたときには、導電部材74の径小部74bの端面が、導電性を有する弾性部材75の接続部75cと接触して、電気的に接続される状態となる。
そして、弾性部材75の端子片75bは、誘電体71、端子部材72及び壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aの導電パターンに、半田付け接続されるように構成されている。
[感圧用部品7のホルダー部3aへの収納方法]
まず、作業台平面上に、基板ホルダー3を、平面3pnが作業台平面を向くようにして載置する。この状態では、基板ホルダー3は、開口部35の開口が作業台平面に対して直交する上方に向くと共に、プリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面が作業台平面に平行になるように位置決めされて、作業台平面上に係止される。
次に、感圧用部品7のうちの誘電体71及び端子部材72を、開口部35を通じて、ホルダー部3aを構成する筒状体34の中空部内に収納する。このとき、端子部材72のL字状突起72eにより、筒状体34の中空部内に収納された誘電体71の開口側端部を押さえるようにする状態で、誘電体71及び端子部材72を筒状体34の中空部内に収納する。また、このとき、誘電体71は、筒状体34の内壁に形成されている凹溝39内に収納すると共に、端子部材72の張り出し部72a及び72bを、ホルダー部3aのスリット38a及び38bに嵌合するようにする。
次に、この例においては、保持部材73のリング状突部73cの凹穴73dに導電部材74の径小部74bを圧入嵌合させると共、弾性部材75の巻回部75aを、リング状突部73c及び導電部材74の周囲に持ち来たすように配する。このとき、弾性部材75の接続部75cは、導電部材74の径小部74bの上端面とリング状突部73cの凹穴73dの底部との間に挟持させて、弾性部材75の接続部75cと導電部材74とを電気的に接続させる。
次に、この保持部材73と導電部材74と弾性部材75のコイルバネとを組み合わせたものを、導電部材74側から、筒状体34の開口36aを通じて、軸芯方向に筒状体34の中空部内に挿入する。そして、保持部材73の円柱状形状部73aに形成されている係合突部73g及び73hが、筒状体34の側周面に形成されている係合孔34a及び34bに嵌合するまで、軸芯方向に挿入する。このとき、保持部材73の円柱状形状部73aは、係合突起73g及び73hの存在にもかかわらず、スリット73eが形成されていることにより、軸芯方向に直交する方向に弾性的に変形して筒状体34の中空部内に挿入される。
保持部材73の円柱状形状部73aに形成されている係合突部73g及び73hが、ホルダー部3aの筒状体34の側周面に形成されている係合孔34a及び34bに嵌合する状態になると、弾性部材75の軸芯方向の偏倚力にかかわらず、保持部材73は、ホルダー部3aの筒状体34の開口36aから離脱することなく、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に係止する。また、この状態では、弾性部材75の軸芯方向の偏倚力により、誘電体71及び端子部材72が壁部37側に押し付けられる。これにより、誘電体71及び端子部材72が、筒状体34の開口部35から離脱してしまうことが防止される。
すなわち、筒状体34に形成されている係合孔34a及び34bと、保持部材73の円柱状形状部73aの係合突部73g及び73hとの係合と、導電部材75の偏倚力とにより、感圧用部品7の一部を構成する誘電体71と端子部材72とが、軸芯方向に直交する方向に変位することを阻止する係止手段が形成される。
次に、以上のようにして、感圧用部品7を構成する複数個の部品の全体を、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に収納させて係止させた状態において、端子部材72のリード部72dを、プリント基板8のランド部8bに半田付けすると共に、弾性部材75としてのコイルバネの端子片75bを、プリント基板8に半田付けする。
この端子部材72のリード部72d及び弾性部材75の端子片75bのプリント基板8への半田付け固定により、端子部材72がホルダー部3aの開口部35を通じて離脱してしまうことを、より確実に、阻止することができる。そして、この例においては、端子部材72のL字状突起72eにより、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に収納された誘電体71の開口側端部が押さえられているので、誘電体71のホルダー部3aの筒状体34の開口部35からの離脱が、この端子部材72のプリント基板8への半田付け固定により、より確実に阻止される。
一方、導電部材74が嵌合された保持部材73は、係合突部73g及び73hが筒状体34の係合孔34a及び34bに係合されて、軸芯方向の芯体4側への移動が阻止されている状態であるが、筒状体34の中空部内で軸芯方向の誘電体71側に移動可能となっている。そして、筆圧が印加されていないときには、弾性部材75の偏倚力により、導電部材74と誘電体71との間に空隙が生じる状態となっている。
以上のようにして感圧用部品7を、ホルダー部3aを構成する筒状体34内に収納した後、筒状体34の開口36aには、図3(A)及び(B)ならびに図4(B)に示すように、落下対策用部材9を圧入嵌合する。この落下対策用部材9は、図3(A)及び(B)に示すように、軸芯方向に芯体4の芯体本体42を挿通する貫通孔9aを有すると共に、筒状体34の開口36a側の部分36の内径にほぼ等しい、あるいは若干小さい外径の円柱状部9bを備える。そして、落下対策用部材9は、その円柱状部9bを、筒状体34の開口36a側の部分36内に圧入嵌合することで、ホルダー部3aに結合する。
また、落下対策用部材9には、軸芯方向において、円柱状部9bの反対側に、フェライトコア6の外径に内径がほぼ等しい凹部9cが形成されている。フェライトコア6は、その芯体4の突出部材41側とは反対側の端部が、この落下対策用部材9の凹部9c内に圧入嵌合されることで、基板ホルダー3のホルダー部3aに、落下対策用部材9を介して結合する。
前述したように、落下対策用部材9は、弾性を有する材料、例えばシリコンゴムで構成されている。このため、この落下対策用部材9を介してフェライトコア6が基板ホルダー3のホルダー部3aに結合されることにより、もしも、位置指示器1を落下させて大きな加速度がフェライトコア6とホルダー部3aとの間の結合部にかかったとしても、フェライトコア6が損傷してしまうことを防止できる。
次に、以上のように基板ホルダー3にフェライトコア6を結合した状態において、芯体4の芯体本体42を、フェライトコア6の貫通孔6aに挿通させる。そして、芯体4の芯体本体42の端部を、ホルダー部3aに収納されている保持部材73の円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合する。この場合に、芯体4を円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合させた状態においても、芯体4の芯体本体42は、図3(A)及び図4(B)に示すように、フェライトコア6の芯体4の突出部材41側にも露呈する状態とされていて、芯体4の突出部材41に印加される圧力(筆圧)によって、芯体4が、弾性部材75の偏倚力に抗して、軸芯方向にケースキャップ2b側に変位可能とされている。
以上のようにして、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bにプリント基板8が載置され、ホルダー部3aに感圧用部品7が収納され、さらに、ホルダー部3aにフェライトコア6が結合されると共に、芯体4が結合されることで、図4(B)に示したような、モジュール部品が形成される。
次に、このモジュール部品を、芯体4の突出部材41がケース本体2aの貫通孔21から外部に突出するようにして、ケース本体2aの中空部内に挿入する。そして、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合することで、位置指示器1が完成となる。
この位置指示器1において、芯体4の突出部材41に圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体4は、軸芯方向にケース本体2a内の方向に変位する。そして、この芯体4の変位により、芯体本体42が結合されているホルダー部3a内の保持部材73が弾性部材75の弾性偏倚力に抗して、誘電体71側に変位する。その結果、保持部材73に嵌合されている導電部材74が、誘電体71側に変位し、導電部材74と誘電体71との間の距離、さらには、導電部材74と誘電体71との接触面積が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。
これにより、第1の電極を構成する端子部材72と、第2の電極を構成する導電部材74との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、位置指示器1から位置検出装置202に伝達されることで、位置検出装置202では、位置指示器1の芯体4に印加される筆圧を検出する。
[第1の実施形態における位置検出および筆圧検出のための回路構成]
図5は、この第1の実施形態の位置指示器1の等価回路と、位置指示器1と電磁誘導結合により位置検出及び筆圧検出を行う位置検出装置202の回路構成例を示す図である。
この図5の例の位置検出装置202においては、X軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とが積層された位置検出コイル210が形成されていると共に、2つのループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択する選択回路213が設けられている。
第1の実施形態の位置指示器1は、IC14で構成される信号制御回路を備えていると共に、このIC14を駆動するための駆動電圧を、位置検出装置202に備えられた励磁コイル214から送信された励磁信号から取得するように構成されている。なお、図5では、一例として、位置検出装置202のループコイル群211,212は位置指示器1からの電磁結合信号の受信にのみ用いられるものとして説明するが、位置指示器1との間で電磁結合することで、励磁コイル214に代えて位置指示器1に備えられた信号制御回路を駆動することを排除するものではない。また、位置指示器1に備えられた信号制御回路に対して所定の制御データなどの信号を送信することを排除するものでもない。
この図5の例の位置検出装置202においては、位置検出コイル210を取り囲むようにして、励磁コイル214が配設されている。図5においては、励磁コイル214は、2ターンとなっているが、実際的には、より多くのターン数、例えば8〜10ターンとされている。図5に示すように、励磁コイル214は、ドライブ回路222に接続され、ドライブ回路222は、周波数foで発振する発振回路221に接続されている。
ドライブ回路222は、マイクロコンピュータで構成される処理制御部220により制御される。処理制御部220は、ドライブ回路222を制御して、発振回路221からの周波数foの発振信号の、励磁コイル214への供給を制御して、励磁コイル214からの位置指示器1への信号送信を制御する。
選択回路213は、処理制御部220により選択制御されて一つのループコイルを選択する。この選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、受信アンプ223にて増幅され、バンドパスフィルタ224に供給され、周波数foの成分のみが抽出される。バンドパスフィルタ224は、その抽出した成分を検波回路225に供給する。
検波回路225は、周波数foの成分を検出し、その検出した周波数foの成分に応じた直流信号をサンプルホールド回路226に供給する。サンプルホールド回路226は、検波回路225の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路227へ送出する。A/D変換回路227は、サンプルホールド回路226のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部220に出力する。処理制御部220は、前記所定のタイミングの信号をサンプルホールド回路226に供給する。
そして、処理制御部220は、A/D変換回路227からのディジタル信号が所定のスレッショールド値を超えた値であるか否かを判定して、選択回路213で選択されているループコイルが位置指示器1で位置指示された位置のループコイルであるか否かを判定する。
処理制御部220は、また、後述するように、位置指示器1による指示位置の検出とは別に、位置指示器1からの信号の断続を、数ビット例えば8ビットのディジタル信号として検出して、筆圧を検出するようにする。
位置指示器1の回路構成は、図5において点線で囲んで示すようなものとなっている。すなわち、インダクタンス素子としてのコイル5に並列にコンデンサ12が接続されると共に、コンデンサ13とサイドスイッチ11とが直列に接続され、そのコンデンサ13とサイドスイッチ11との直列回路が、コイル5に並列に接続されて、共振回路301が構成される。そして、この共振回路301に並列に、スイッチ302が接続されている。このスイッチ302は、IC14によりオン・オフ制御されるように構成されている。
そして、IC14は、共振回路301にて位置検出装置202から電磁誘導により受信した交流信号を、ダイオード303及びコンデンサ304からなる整流回路(電源供給回路)305にて整流して得られる電源Vccにより動作するように構成されている。IC14は、共振回路301とはコンデンサ306を介して接続されており、共振回路301の動作状況をモニターしている。共振回路301の動作状況をモニターすることで、位置検出装置202の励磁コイル214との電磁結合状況、あるいは、この例では説明を省略するが、2つのループコイル群211,212を使用して位置検出装置202から送信された制御データなどの信号をIC14で検出し、所望の動作制御を行うことができるようになっている。
更に、IC14には、感圧用部品7により構成される容量可変コンデンサ(静電容量Cv)が接続されており、IC14は筆圧に応じた静電容量Cvを検出することができるように構成されている。IC14は、静電容量Cvの値から位置指示器1における筆圧を検出する。そして、検出した筆圧を、例えば8ビットのディジタル信号に変換し、その筆圧に対応するディジタル信号により、スイッチ302を制御する。以上の回路構成においては、感圧用部品7により構成される容量可変コンデンサは共振回路301を構成する必要はない。また、コイル5と、感圧用部品7により構成される容量可変コンデンサの他は、全て、プリント基板8上に配設されている。
以上のように構成された位置指示器1及び位置検出装置202の位置検出動作及び筆圧検出動作について説明する。
処理制御部220は、先ず、ドライブ回路222を駆動して励磁コイル214から、所定時間、信号を位置指示器1に送信する。次に、処理制御部220は、選択回路213をX軸方向ループコイル群211のうちの一つのループコイルを順次に選択するように制御し、位置指示器1により指示された位置のX座標値を求める。
次に、処理制御部220は、ドライブ回路222を駆動して励磁コイル214から、所定時間、信号を位置指示器1に送信する。次に、処理制御部220は、選択回路213をY軸方向ループコイル群212のうちの一つのループコイルを順次に選択して、位置指示器1により指示された位置のY座標値を求める。
以上のようにして、位置指示器1の指示位置を検出したら、処理制御部220は、位置指示器1からの8ビットの筆圧情報を検出するため、励磁コイル214から所定時間以上継続した送信を行った後、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を8回継続して行う。このとき、選択回路213では、検出した座標値に従い、位置指示器1から最も近いループコイル(X軸方向ループコイル,Y軸方向ループコイルのどちらでもよい)を選択して信号を受信する。
一方、位置指示器1のIC14は、感圧用部品7により構成される容量可変コンデンサの静電容量Cvに対応して得られた筆圧を8ビットのディジタル信号に変換し、その8ビットのディジタル信号により、位置検出装置202からの信号の送受信に同期してスイッチ302をオン・オフ制御する。スイッチ302がオフであるときには、共振回路301は、位置検出装置202から送信された信号を位置検出装置202に返送することができるので、位置検出装置202のループコイルはこの信号を受信する。これに対して、スイッチ302がオンであるときには共振回路301は動作が禁止された状態にあり、このために、共振回路301から位置検出装置202に信号は返送されず、位置検出装置202のループコイルは信号を受信しない。
位置検出装置202の処理制御部220は、受信信号の有無の判別を8回行うことにより、筆圧に応じた8ビットのディジタル信号を受信し、位置指示器1からの筆圧情報を検出することができる。
[第1の実施形態の効果]
感圧用部品7のうち、特に芯体4からの筆圧の印加にもかかわらず軸芯方向に移動しない一部の部品は、ホルダー部3a内の軸芯方向の、予め定められた所定位置に所定の状態で配置されるのが望ましい。上述した第1の実施形態によれば、感圧用部品7のうち、軸芯方向に移動しない一部の部品である誘電体71と端子部材72とは、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面に設けた、軸芯方向に直交する方向に開口を有する開口部35を介して、軸芯方向に直交する方向から、ホルダー部3a内に収納される。
したがって、軸芯方向に移動しない部品(固定部品)である誘電体71及び端子部材72は、筒状体34の中空部内の軸芯方向の所定位置に所定の状態で確実に収納配置することができる。しかも、第1の実施形態によれば、それらの一部の部品の収納状態は、開口部35を介して容易に視認して確認することができる。
そして、第1の実施形態においては、以上のようにしてホルダー部3a内の所定位置に所定の状態で収納配置された部品に対して、感圧用部品7のうち芯体4からの筆圧の印加に応じて軸芯方向に移動するその他の部品(可動部品)である保持部材73、導電部材74、弾性部材75のみを、筒状体34の軸芯方向の開口36aからホルダー部3aの筒状体34の中空部内に収納するようにすればよい。
したがって、感圧用部品についての軸芯方向および軸芯方向に直交する方向の位置合わせを考慮しながらホルダーに収納して、筆圧検出用モジュールを作成する際の作業および工数を、従来に比べて簡略化することができる。そのため、筆圧検出用モジュールを、より簡単に製造することができるようになり、位置指示器の製造上の作業効率がよくなり、量産に適するという効果を奏する。
そして、上述の第1の実施形態によれば、筒状体34の中空部に収納された状態では、弾性部材75の偏倚力により、誘電体71及び端子部材72が軸芯方向に壁部37側に押圧されることにより、これら誘電体71及び端子部材72が軸芯方向に直交する方向には移動しないように係止される。このため、これら誘電体71及び端子部材72が開口部35から離脱してしまう(飛び出してしまう)ことが阻止される。
さらに、第1の実施形態では、端子部材72のリード部72dがプリント基板8に半田付けされて固定されると共に、端子部材72のL字状突起72eにより誘電体71の開口側端部が押さえられるので、誘電体71と端子部材72のホルダー部3aの筒状体34の開口部35からの離脱は、より確実に阻止できる。
また、上述の第1の実施形態においては、芯体4に印加される圧力は、全て、基板ホルダー3のホルダー部3aで受ける構成となっている。すなわち、芯体4に印加される圧力により、導電部材74と誘電体71とが接触して、誘電体71に圧力がかかる場合においても、この誘電体71に軸芯方向にかかる圧力は、端子部材72を介して、ホルダー部3aを構成する筒状体34の壁部37で受ける構成となっている。
このため、第1の実施形態の位置指示器1においては、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bに載置されているプリント基板8には、芯体4に印加される圧力は、全く印加されない。したがって、第1の実施形態によれば、筆圧による圧力がプリント基板8にかかることによる、プリント基板8の変形などの恐れはなく、プリント基板における接触不良や回路特性に変動が生じるなどという不具合は発生しないという効果がある。
また、芯体4に印加される圧力は、全て、基板ホルダー3のホルダー部3aで受ける構成となっていると共に、基板ホルダー3は、ケース本体2aの内壁には一部接触しているが、全体としてケース本体2a内に固着されずに収納されているだけである。このため、芯体4に印加される圧力がケース本体2aに直接的に加わることはない。したがって、もしも、位置指示器1が高温状態などの過酷な状態に置かれていても、また、長年の使用後であっても、基板ホルダー3を通じてケース本体2aに弾性的な偏倚力が加わり続けることがないので、ケース本体2aが湾曲してしまったりすることはない。
さらに、上述の第1の実施形態では、プリント基板8は、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bに載置されて係止されており、しかも、プリント基板8は、プリント基板載置台部3bの載置平面よりも小さいものとされているので、基板ホルダー3からはみ出すことはなく、収納される状態となっている。したがって、プリント基板8は、ケース本体2aとは離間されて非接触の状態となっている。
このため、位置指示器1を落下させてしまった場合に、ケース本体2aに衝撃が加わっても、その衝撃は、プリント基板8には直接的には加わらない。また、ケース本体2aに対して、ケースキャップ側からの軸芯方向の力や、軸芯方向に交差する方向の力が加わっても、そのケース本体2aに加わる力が、直接的にプリント基板8に加わることはない。すなわち、プリント基板8は、ケース本体2aに加わる力に対して、いわゆるフリーの状態になる。
このため、プリント基板8に余分な力が加わることがないので、プリント基板8における接触不良や回路特性に変動が生じるなどという不具合は発生しないという効果がある。また、基板ホルダー3に収納したプリント基板8上の部品は、ケース本体2a内に収納する前に調整した後、ケース本体2a内に収納したときにも、その再調整の必要はない。
また、上述した第1の実施形態においては、筆圧検出用モジュールは、プリント基板載置台部3bを有する基板ホルダー3のホルダー部3aを用いて具現化している。そして、基板ホルダー3のホルダー部3aにコイル5が巻回されたフェライトコア6と、芯体4とを結合することにより、位置指示器1のケース本体2a内に収納する部品の全てを一塊としたモジュール部品として扱うことができるようにしている。
このため、第1の実施形態によれば、このモジュール部品を、ケース本体2a内に収納するだけで、位置指示器1を製造することが可能になるので、ケース本体2a内に、複数個の部品を軸芯方向に順次に並べて収納する場合に比べて、製造工程が簡単になり、位置指示器の量産化に適するという効果がある。また、プリント基板8や感圧用部品7は、基板ホルダー3に収納されている状態なので、基板ホルダー3の結合部3c側から力が加わっても、プリント基板や感圧用部品には影響しない。よって、このモジュール部品を、いわゆるボールペン等の替え芯と同様に扱うことも可能である。なお、感圧用部品の大きさを小さくすることにより、このモジュール部品を細型にすることは容易である。
また、上述した第1の実施形態においては、芯体4は、芯体本体42が、フェライトコア6の貫通孔6aを通してホルダー部3内の感圧用部品7のうちの保持部材73に嵌合される構成であるので、芯体4は、交換可能である。
また、図19を用いて説明した従来の容量可変コンデンサを感圧用部品として用いる場合と比較すると、第1の実施形態によれば、次のような効果が得られる。すなわち、図19の例の従来の容量可変コンデンサ100においては、誘電体103を、弾性を有する構成とされた端子部材104により弾性的に抑えて、ホルダー102に固定したため、位置指示器1が落下するなどの理由で生じる芯体101からの強い衝撃により、ホルダーの係止爪部102b,102cが破壊され、端子部材104がホルダー102から外れてしまい、誘電体103を挟む2個の電極の一方の電極が接触不良となることがあった。
これに対して、上述の第1の実施形態によれば、端子部材72は、誘電体71の面と接触させた状態で、ホルダー部3aを構成する筒状体34内に、軸芯方向に直交する方向から開口部35を通じて挿入することで、筒状体34に形成されたスリット38a,38bに嵌合させることができて、これによりホルダー部3aに係止される。したがって、位置指示器1が落下するなどしても、端子部材72がホルダー部3aから外れることはなく、接触不良は生じない。
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1の実施形態では、開口部35を通じて収納される端子部材72には、張り出し部72a及び72bを設けると共に、ホルダー部3aの筒状体34には、張り出し部72a及び72bが嵌合するスリット38a及び38bを設けるようにした。また、筒状体34には、誘電体71が嵌まり込む凹溝39を形成するようにした。
しかし、端子部材72の構成とホルダー部3aの筒状体34の構成とを図6に示すように構成することにより、筒状体34のスリット38a,38b及び凹溝39は省略することができる。
図6は、感圧用部品7と基板ホルダー3のホルダー部3aとの部分を示す図である。この図6の例においては、図4の例の端子部材72が端子部材72´に変わると共に、図4の例のホルダー部3aを構成する筒状体34が筒状体34´に変わる。その他の部品の構成は、図4に示したものと全く同様である。
すなわち、図6の例においては、端子部材72´は、図4の例の端子部材72とほぼ同様の構成であるが、張り出し部72a及び72bを有しない構成である。そして、端子部材72´の開口部35´側とは反対側となる下端部の、L字状突起72eと膨出部72cを挟んで対向する位置に、リード部72dとは反対側に突出するL字状突起72fが形成されている。L字状突起72eとL字状突起72fとの間の距離は、誘電体71の大きさに応じたものとされ、L字状突起72eとL字状突起72fとの間に誘電体71を挟んで係止することができるようにされている。
一方、ホルダー部3aの筒状体34´は、スリット38a及び38bを有しないと共に、凹溝39も有しない。また、図4の例の筒状体34では、筒状体34の厚さ分だけ削り取ることで、開口部35を形成していると共に、壁部37も筒状体34も削り取られた厚さの分だけ低いものとしていたが、図6の例では、開口部35に対応する開口部35´は、筒状体34´の側周面を、軸芯方向に直交する方向に切れ目を入れることで形成し、壁部37に対応する壁部37´の高さは、壁部37よりも高いものとして構成されている。
このため、端子部材72のリード部72dは、そのままでは、壁部37´を跨ぐことができないが、図6の例では、壁部37´に、リード部72dが丁度嵌合する凹溝37aを縦方向(軸芯方向に直交する方向)に形成する。
そして、この図6の例においては、端子部材72´のL字状突起72eとL字状突起72fとの間に誘電体71を挟んで位置決めしたものを、開口部35´を通じて、軸芯方向に直交する方向から、筒状体34´の中空部内に挿入して収納するようにする。このとき、端子部材72´のリード部72dは、壁部37´の凹溝37aに嵌合して、その端部がプリント基板8側になるようにされる。
その他の構成は、上述した第1の実施形態と全く同様である。この図6の例においては、端子部材72´のL字状突起72eとL字状突起72fとの間に誘電体71を挟むことで位置決めでき、その位置決めした状態で、筒状体34´内に、開口部35´を通じて収納することができて、便利である。また、筒状体34´には、スリット38a、38bや凹溝39を形成する必要がないので、構成が簡単になる。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態においては、筆圧検出用モジュールを構成する複数個の部品を、筒状のホルダー内に、その軸芯方向から挿入する際に、保持部材は、ホルダー部内に部品を圧入する必要がある。このため、その部品に形成された係合部と、ホルダーや筐体の係合部との接触部が削れてしまう恐れがある。このような場合、筆圧検出用モジュールを構成する複数個の部品をホルダーや位置指示器の筐体に組み込んだ後の部品の位置が、位置指示器毎に異なってしまう恐れがある。すると、位置指示器毎に、筆圧検出用モジュールの各部品間の位置関係が一定ではなくなるので、筆圧検出の特性が、異なってしまう恐れがあった。
この場合に、ホルダー内における筆圧検出用モジュールの各部品間の位置関係を確認することができればよいが、従来は、筒状のホルダー内に、部品をその軸芯方向に挿入するものであるので、その確認が困難であった。第2の実施形態は、この問題を解決したものである。
図7〜図9は、この発明による位置指示器の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。この第2の実施形態の位置指示器1Aも、第1の実施形態と同様に、電子機器200に設けられる位置検出装置202と共に使用される場合の例である。そして、この第2の実施形態の位置指示器1Aは、感圧用部品を構成する複数の部品の一部の部品の構成と、基板ホルダー3のホルダー部3aに対応する部分の構成が、第1の実施形態と異なるのみで、その他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。そこで、この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいて、第1の実施形態の位置指示器1と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は、省略するようにする。
図7は、この第2の実施形態の位置指示器1Aの全体の概要を示すものである。図7(A)は、図1(A)と同様に、説明のために、位置指示器1Aのケース2(筐体)のケース本体2aのみを破断して、その内部を示したものである。また、図7(B)は、この第2の実施形態の位置指示器1Aを、芯体4側から軸芯方向に見た図である。
図8(A)は、図7(B)のX´−X´線断面図であり、これは、位置指示器1Aの軸芯位置を通り、かつ、プリント基板8の基板面(導体パターンが印刷形成されていて回路部品が載置される面)8aに平行な方向に位置指示器1Aを切断した要部の断面図である。また、図8(B)は、図7(B)のY´−Y´線断面図であり、これは、位置指示器1Aの軸芯位置を通り、かつ、プリント基板8の基板面8aに垂直な方向に位置指示器1Aを切断した要部の断面図である。さらに、図8(C)は、この第2の実施形態の基板ホルダー3Aの特にホルダー部3Aaに注目した斜視図である。
この第2の実施形態の基板ホルダー3Aは、第1の実施形態と同様に、ホルダー部3Aaとプリント基板載置台部3Abとを備える。図9(B)は、基板ホルダー3Aと芯体4及びフェライトコア6とが結合した状態を示す図である。また、図9(A)は、基板ホルダー3Aのホルダー部3Aa及び感圧用部品7Aを説明するための分解斜視図である。
なお、基板ホルダー3Aは、ホルダー部3Aaの構成が第1の実施形態のホルダー部3aと異なるのみで、プリント基板載置台部3Abは、図9(B)に示すように、第1の実施形態の基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bと全く同様に構成されている。
この例においても、基板ホルダー3Aにおいては、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの側周面の、後述する開口部35Aとは軸芯位置を介して対向する側及びプリント基板載置台部3Abのプリント基板の載置平面とは反対側には、軸芯方向に沿う方向の平面3Apnが形成されている。この場合、この平面3Apnは、ホルダー部3Aaまたは、ホルダー部3Aaからプリント基板載置台部3Abに亘って軸芯方向に沿う方向において、面一の平面となっている。
[筆圧検出用モジュールの構成例]
次に、筆圧検出用モジュールを構成する基板ホルダー3Aのホルダー部3Aa及び感圧用部品7A、さらに、感圧用部品7Aのホルダー部3Aaへの収納について、以下に説明する。この例の筆圧検出用モジュールは、第1の実施形態と同様に、芯体に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。
この例の感圧用部品7Aは、図9(A)に示すように、誘電体71と、端子部材72と、保持部材73Aと、導電部材74と、弾性部材75との複数個の部品からなる。すなわち、感圧用部品7Aは、保持部材73Aが第1の実施形態の保持部材73と構成が異なることを除いて、第1の実施形態と同様の構成を備える。
一方、基板ホルダー3Aのホルダー部3Aaは、図8(C)及び図9(A)に示すように、中空部を備える筒状体34Aにより構成され、感圧用部品7Aを、その中空部内において軸芯方向に並べて収納する構成とされている。
この第2の実施形態においては、感圧用部品7Aのすべては、図9(A)に示すように、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの側周面の一部に形成された軸芯方向に直交する方向を開口とする開口部35Aを通じて、当該筒状体34Aの軸芯方向に直交する、プリント基板8の基板面8aに垂直な方向から挿入されて、図8に示すように収納される。
図9(C)は、図9(A)のホルダー部3Aaを構成する筒状体34AにおけるB−B
線断面図であり、筒状体34Aの軸芯方向の中ほどの開口部35Aの部分を、軸芯方向に直交する方向に破断した断面図である。また、図9(D)は、図9(A)のホルダー部3
Aaを構成する筒状体34AにおけるC−C線断面図であり、筒状体34Aをその軸芯方向に破断した断面図である。
図9に示すように、筒状体34Aの側周面の一部に形成された開口部35Aは、軸芯方向に直交する方向の開口であって、かつ、プリント基板載置台部3Abに載置されたプリント基板8の基板面8aに垂直な方向を開口とする開口部である。この開口部35Aは、軸芯方向に所定の長さd5(図9(D)参照)を有し、軸芯方向に直交する方向に所定の長さd6(図9(C)参照)を有する。
長さd5は、感圧用部品7Aを軸芯方向に並べたものの全体を、弾性部材75の偏倚力に抗して軸芯方向に縮めたときの長さよりも若干大きく選定されている。長さd6は、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品のうちの、軸芯方向に直交する方向の長さがもっとも大きいものの当該長さよりも若干大きく選定されている。
また、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aは、その軸芯方向の芯体4側は、内径がd7(図9(D)参照)の開口36Aaを有し、側周面に開口を有さないリング状係止部36Aの構成とされている。このリング状係止部36Aの内径d7は、筒状体34Aの開口部35Aが形成されている中ほどの部分の内径d6よりも小さく(d7<d6)、選定されている。したがって、筒状体34Aの中空部においては、リング状係止部36Aと、筒状体34Aの開口部35Aが形成されている内径d6の部分との間で段差部34Acが形成される。
そして、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aのプリント基板載置台部3Ab側は、壁部37Aにより閉塞されている。この壁部37Aには、プリント基板載置台部3Ab側に、係止部32が形成されている。そして、筒状体34Aの側周面の壁部37Aとの連結部には、軸芯方向に所定の幅を有するスリット38Aa、38Abが形成されている。そして、筒状体34Aの内壁には、このスリット38Aa,38Abと軸芯方向に隣り合う位置には、筒状体34Aの開口部35Aが形成されている部分の内径d6よりも大きい内径の凹溝39Aが形成されている。
この第2の実施形態においては、感圧用部品7Aのうちの誘電体71は、凹溝39Aに嵌合する外形を有し、凹溝39Aの軸芯方向の幅に対応した厚さを有する板状体の構成とされている。したがって、誘電体71は、開口部35Aを通じて筒状体34Aの凹溝39Aに挿入して嵌合させることができ、嵌合状態では、誘電体71は、凹溝39Aにより筒状体34A内で軸芯方向には移動しないようにされる。
また、端子部材72は、この第2の実施形態においては、筒状体34Aのスリット38Aa及び38Abの軸芯方向の幅と同じ厚さを有すると共に、内径d6に対応する外径を有する円板状の導電部材、例えば導電性金属の板状体で構成される。そして、この端子部材72は、図9(A)に示すように、筒状体34Aのスリット38Aa,38Abに嵌合する張り出し部72Aa,72Abを備える。したがって、端子部材72は、開口部35Aを通じて筒状体34Aの壁部37Aに接するように挿入することができ、その挿入により、張り出し部72Aa,72Abが、筒状体34Aのスリット38Aa,38Abに嵌合して、筒状体34Aに係止される。さらに、端子部材72の誘電体71側の板面の中央部には、誘電体71側に膨出する膨出部72cが形成されている。この膨出部72cは、誘電体71と端子部材72とが筒状体34A内に収納されたときに、誘電体71と端子部材72とを確実に接触させる役割を果たす。
そして、端子部材72には、筒状体34Aの壁部37Aを跨いで、プリント基板載置台部3Ab上に載置されているプリント基板8の基板面8aのランド部8b(図8(C)参照)に半田付け接続されるリード部72dが設けられている。
保持部材73Aは、側周面の周方向の一部にリング状膨出部73Aiを備える円柱状形状を有し、その軸芯方向の芯体4側となる側に、芯体4の芯体本体42を圧入嵌合させる凹穴73Abが設けられている円柱状形状部73Aaと、凹穴73Ab側とは軸芯方向の反対側に、導電部材74を嵌合する凹穴73Adが設けられているリング状突部73Acとを備えている。この場合において、リング状膨出部73Ai、円柱状形状部73Aa及びリング状突部73Acの中心線位置は、円柱状形状の保持部材73Aの中心線位置と同一とされているとともに、凹穴73Abの中心腺(軸芯位置)と、凹穴73Adの中心腺(軸芯位置)とが、1本の直線上に存在するように、これら凹穴73Ab及び凹穴73Adが形成されている。
保持部材73Aのリング状膨出部73Aiの外径(周方向の一部)は、筒状体34Aの開口部35Aの内側部分の内径d6に等しく選定されている。また、保持部材73Aの円柱状形状部73Aaの外径は、筒状体34Aのリング状係止部36Aの内径より若干小さく選定されている。また、円柱状形状部73Aaの凹穴73Abの径は、芯体4の芯体本体42の径より若干小さく選定されている。そして、円柱状形状部73Aaの軸芯方向の長さ(高さ)は、筒状体34Aのリング状係止部36Aの軸芯方向の長さよりも短く、この例では、約1/2程度とされている。
また、保持部材73Aのリング状突部73Acの外径は、筒状体34Aの開口部35Aの内側の径d6よりも小さく、かつ、弾性部材75を構成するコイルバネの内径よりも小さく選定されている。また、リング状突部73Acの内径は、導電部材74の径小部74bの外径とほぼ等しく選定されている。
そして、この実施形態では、円柱状形状部73Aa及びリング状突部73Acには、凹穴73Ab及び凹穴73Adを横断するようにスリット73Ae及び73Afが形成されている。このスリット73Ae及び73Afの存在により、円柱状形状部73Aa及びリング状突部73Acは、軸芯方向に直交する方向に弾性偏倚可能に構成されている。したがって芯体本体42及び導電部材74が、円柱状形状部73Aa及びリング状突部73Acの凹穴73Ab及び凹穴73Ad内に圧入嵌合され易い構成とされている。
保持部材73Aは、以上のような構成を有しているので、この保持部材73Aを、開口部35Aを通じて筒状体34Aの中空部に収納したときには、円柱状形状部73Aaは、筒状体34Aのリング状係止部36A内に収納されるが、リング状膨出部73Aiの端面が、筒状体34Aのリング状係止部36Aの端面に衝合することにより、保持部材73Aの芯体4側への移動が阻止されるようにされる。つまり、保持部材73Aは、筒状体34Aの段差部34Acにより、芯体4側への軸芯方向の移動が阻止される。
導電部材74は、第1の実施形態と同様のもので、この第2の実施形態では、径大部74aの外径は、保持部材73Aのリング状突部73Acの外径に等しく選定され、径小部74bの外径は、保持部材73Aのリング状突部73Acの凹穴73Adの径にほぼ等しく選定される。
また、弾性部材75を構成する導電性を有するコイルバネの巻回部75aは、その巻回部75a内に、導電部材74及び保持部材73Aのリング状突部73Acと接触することなく収納することができる径であって、かつ、保持部材73Aの円柱状形状部73Aaの外径よりも小さい径とされる。
弾性部材75の接続部75cは、第2の実施形態においても、保持部材73Aのリング状突部73Acの切り欠き部からリング状突部73Acの内部に挿入するようにされる(図8(A)及び図8(B)参照)。したがって導電部材74の径小部74bが保持部材73Aのリング状突部73Acの凹穴73Adに圧入嵌合されたときには、導電部材74の径小部74bの上端面が、導電性を有する弾性部材75の接続部75cと接触して、電気的に接続される状態となる。
そして、弾性部材75の端子片75bは、誘電体71、端子部材72及び壁部37Aを跨いで、プリント基板載置台部3Ab上に載置されているプリント基板8の基板面8aの導電パターンに、半田付け接続されるように構成されている。
[感圧用部品7Aのホルダー部3Aaへの収納方法]
まず、作業台平面上に、基板ホルダー3Aを、平面3Apnが作業台平面を向くようにして載置する。この状態では、基板ホルダー3Aは、開口部35Aの開口が作業台平面に対して直交する上方に向くと共に、プリント基板載置台部3Abのプリント基板の載置平面が作業台平面に平行になるように位置決めされて、作業台平面上に係止される。
次に、感圧用部品7Aを、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの中空部内に、開口部35Aを介して収納するに先立ち、まず、保持部材73Aのリング状突部73Ac内に、導電部材74の径小部74bを圧入嵌合させると共に、弾性部材75の巻回部75aを、リング状突部73c及び導電部材74の周囲に持ち来たすように配する。このとき、弾性部材75の接続部75cは、導電部材74の径小部74bの上端面とリング状突部73Acで囲まれる保持部材73Aの底部との間に挟持させて、弾性部材75の接続部75cと導電部材74とを電気的に接続させる。
次に、導電部材74の砲弾型の曲面に対向させて誘電体71を配設し、さらに、誘電体71に重ねて、端子部材72を配設することで、保持部材73A、導電部材74及び弾性部材75、誘電体71、端子部材72の順に、軸芯方向に並べる。そして、保持部材73Aの円柱状形状部73Aaの端面と、端子部材72の誘電体71とは反対側の端面との間で、感圧用部品7Aの全体を挟持するようにする。このとき、弾性部材75を軸芯方向に縮ませるように偏倚させて、感圧用部品7Aの全体を挟持するようにする。この挟持のためには、専用の治具を用いることができる。なお、このようにして、治具により感圧用部品7Aの全体を挟持したときの軸芯方向の長さは、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの開口部35Aの軸芯方向の長さd5よりもわずかに短くなる。
そして、治具により全体を挟持した感圧用部品7Aの全体を、端子部材72の張り出し部72Aa,72Abが筒状体34Aのスリット38Aa,38Abに嵌合し、かつ、誘電体71が凹溝39Aに嵌合するようにして、筒状体34Aの開口部35Aを通じて、軸芯方向に直交する方向から筒状体34A内に収納し、治具のみを外す。すると、弾性部材75が軸芯方向に伸びる偏倚をする。誘電体71及び端子部材72は、筒状体34A内で軸芯方向に移動しないように嵌合されているため、この弾性部材75による軸芯方向の偏倚は、導電部材74が圧入嵌合されている保持部材73Aのみに印加される。その結果、保持部材73Aのリング状突部73Aaが筒状体34Aのリング状係止部36A内に挿入嵌合されると共に、保持部材73Aのリング状膨出部73Aiが筒状体34Aの段差部34Acに係合して、保持部材73Aの筒状体34A内における軸芯方向の芯体4への移動を阻止する状態になる。
そして、保持部材73Aの円柱状形状部73Aaが、筒状体34Aのリング状係止部36A内に嵌合することにより、保持部材73Aは軸芯方向に直交する方向にも移動しない状態となる。さらに、この状態においては、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品の全体には、弾性部材75により軸芯方向の偏倚力が印加されている状態となっている。このため、感圧用部品7Aの全体が、開口部35Aから軸芯方向に変位して離脱してしまうことが阻止される。すなわち、筒状体34Aのリング状係止部36Aと、保持部材73Aの円柱状形状部73Aaとの係合と、弾性部材75の偏倚力とにより、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品の全体が軸芯方向に直交する方向に変位することを阻止する係止手段が形成される。
以上のようにして、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品の全体を、筒状体34Aからなるホルダー部3Aa内に収納させて係止させた状態において、端子部材72のリード部72dを、プリント基板8のランド部8bに半田付けすると共に、弾性部材75の端子片75bを、プリント基板8に半田付けする。
この端子部材72のリード部72d及び弾性部材75の端子片75bのプリント基板8への半田付け固定により、前記係止手段と相俟って、より確実に、開口部35Aからの感圧用部品7Aの離脱を阻止することができる。
この場合に、筒状体34Aの中空部内には、誘電体71及び端子部材72は、軸芯方向に移動できない状態で収納されている。一方、導電部材74が嵌合された保持部材73Aは、筒状体34Aの中空部内で軸芯方向に移動可能となっているが、筆圧が印加されていないときには、弾性部材75の偏倚力により、導電部材74と誘電体71との間に空隙が生じる状態で、筒状体34Aのリング状係止部36A側に偏倚されている。
以上のようにして感圧用部品7Aを、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34A内に収納した後、筒状体34Aのリング状係止部36Aには、図8(A)及び(B)ならびに図9(B)に示すように、落下対策用部材9を圧入嵌合する。落下対策用部材9は、その円柱状部9bを、筒状体34Aのリング状係止部36A内に圧入嵌合することで、ホルダー部3Aaに結合する。
そして、フェライトコア6を、基板ホルダー3Aのホルダー部3Aaに、落下対策用部材9を介して結合する。次に、芯体4の芯体本体42を、フェライトコア6の貫通孔6aに挿通させ、芯体4の芯体本体42の端部を、ホルダー部3Aaに収納されている保持部材73Aの円柱状形状部73Aaの凹穴73Abに圧入嵌合する。この場合に、芯体4を円柱状形状部73Aaの凹穴73bに圧入嵌合させた状態においても、芯体4の芯体本体42は、図8(A)及び図9(B)に示すように、フェライトコア6の芯体4の突出部材41側にも露呈する状態とされていて、芯体4の突出部材41に印加される圧力(筆圧)によって、芯体4が、弾性部材75の偏倚力に抗して、軸芯方向にケースキャップ2b側に変位可能とされている。
以上のようにして、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3Aのプリント基板載置台部3Abにプリント基板8が載置され、ホルダー部3Aaに感圧用部品7Aが収納され、さらに、ホルダー部3Aaにフェライトコア6が結合されると共に、芯体4が結合されることで、図9(B)に示したような、モジュール部品が形成される。
次に、このモジュール部品を、芯体4の突出部材41がケース本体2aの貫通孔21から外部に突出するようにして、ケース本体2aの中空部内に挿入する。そして、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合することで、位置指示器1Aが完成となる。
この位置指示器1Aにおける筆圧検出動作は、上述の第1の実施形態と全く同様であるので、ここではその説明を省略する。
[第2の実施形態の効果]
上述した第2の実施形態によれば、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品の全てを、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの側周面に設けた、軸芯方向に直交する方向に開口を有する開口部35Aを介して、軸芯方向に直交する方向から、ホルダー部3Aa内に収納することで筆圧検出用モジュールを作成することができる。この場合に、上述したように、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品の全てを軸芯方向に並べたものを一塊として、その一塊の部品を、その軸芯方向の両側から挟持する状態で、開口部35Aを通じて、ホルダー部3Aa内に軸芯方向に直交する方向から収納することができる。そして、ホルダー部3Aa内には、部品を軸芯方向に沿って、単に並べて配置するように収納することで、ケース2の中心線位置と感圧用部品の中心線位置とを一致させた状態で保持することができる。したがって、位置指示器の製造上の作業効率がよくなる。
そして、上述の第2の実施形態によれば、筒状体34Aの中空部に収納された状態では、感圧用部品7Aのうちの保持部材73Aが弾性部材75により軸芯方向に芯体4側に移動して、リング状係止部36Aに係合し、軸芯方向に直交する方向には移動しないように係止される。このため、ホルダー部3Aa内に感圧用部品7Aが収納されたときには、前記保持部材73Aとリング状係止部36Aとによる軸芯方向に直交する方向の移動に対する係止と、弾性部材75による感圧用部品7Aの全てに印加される軸芯方向の偏倚力とが相俟って、感圧用部品7Aが開口部35Aから離脱してしまう(飛び出してしまう)ことが阻止される。
したがって、第2の実施形態によれば、従来のように、感圧用部品のそれぞれを軸芯方向に結合して筆圧検出用モジュールを組み立てる必要はないので、筆圧検出用モジュールを、より簡単に製造することができるようになり、位置指示器の製造上の作業効率がよくなり、量産にも適している。
その他、この第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、特に、この第2の実施形態によれば、図19を用いて説明した従来の容量可変コンデンサを感圧用部品として用いる場合と比較すると、次のような効果が得られる。
すなわち、従来の容量可変コンデンサ100においては、保持部材105をホルダー102の中空部内に圧入するようにするが、その際に、保持部材105に設けられている係合突部105d,105eと接触するホルダー102の係合穴102d,102eの部分が削れ、組み立て後の保持部材105のホルダー102に対する軸芯方向の位置がばらついてしまうおそれがあった。そして、このようなばらつきが生じると、導電部材106と誘電体103とが接触するまでの距離にばらつきが生じてしまい、容量可変コンデンサの特性が、位置指示器毎にばらついてしまう恐れがあった。
これに対して、第2の実施形態においては、保持部材73Aは、開口部35Aを介して軸芯方向に直交する方向からホルダー部3Aaを構成する筒状体34A内に挿入させるだけで、弾性部材75の偏倚力により、リング状係止部36Aに係合するようになる。このため、保持部材73Aのホルダー部3Aaに対する位置に関し、図19の従来例の保持部材105の軸芯方向の位置のばらつきは生じず、容量可変コンデンサの特性が位置指示器毎にばらつくことはない。
また、図19で説明した従来の容量可変コンデンサにおいては、端子部材104は誘電体103を弾性的に抑えてホルダー102に固定する必要があるため、誘電体103の径よりも大きな形状とする必要がある。このため、従来の容量可変コンデンサは、大型になってしまい、細型にし難いという問題があった。
これに対して、第2の実施形態の位置指示器1Aで用いる感圧用部品7Aで構成される容量可変コンデンサにおいては、感圧用部品7Aは、開口部35Aを通じて軸芯方向に直交する方向からホルダー部3Aa内に収納して、軸芯方向に並べるだけの構成であって、端子部材72もほぼ誘電体71と同形とすることができる。このため、感圧用部品7Aを構成する複数個の部品のそれぞれを、位置指示器の細型化に対応するように小型にすることで、容易に位置指示器を細型化することができる。
なお、上述した第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にして、端子部材72に、ホルダー部3Aaに収納された誘電体71の開口部35A側端部を軸芯方向に直交する方向に押さえるようにするL字状突起を設けることにより、誘電体71のホルダー部3Aaの開口部35Aからの離脱を、より確実に阻止することができる。
[第3の実施形態]
次に、この発明による位置指示器の第3の実施形態を、図10〜図14を参照して説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態の位置指示器1及び1Aは、筆圧検出用として容量可変コンデンサを用いた場合であるが、この第3の実施形態の位置指示器1Bは、筆圧検出のために、共振回路を構成するコイルのインダクタンス値の変化を検出する場合である。
この第3の実施形態の位置指示器1Bも、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、図2に示した電子機器200に搭載されている位置検出装置202Bと共に使用されるものである。ただし、この第3の実施形態の位置指示器1Bが、筆圧検出を、共振回路のコイルのインダクタンス値の変化を利用することに対応して、位置検出装置202Bは、位置検出装置202とは、筆圧検出の方法が異なる。位置指示器1Bの回路及び位置検出装置202Bの回路構成については後述する。なお、この第3の実施形態の説明において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、第3の実施形態において、第1の実施形態及び第2の実施形態の各部と対応する各部には、同一参照符号にサフィックスBを付加して示す。
図10は、この第3の実施形態の位置指示器1Bの全体の概要を示すものである。この図10は、説明のために、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態の場合の図1(A)及び図7(A)と同様に、位置指示器1Bのケース2Bのケース本体2Baのみを破断して、その内部を示したものである。
そして、この第3の実施形態においては、ケース本体2Baの中空部内に、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、芯体4Bと、感圧用部品(筆圧検出用部品)7Bと、プリント基板8Bとを保持した、例えば樹脂により構成される基板ホルダー3Bが収納される。基板ホルダー3Bの長手方向の端部は、第1の実施形態及び第2の実施形態の基板ホルダー3及び3Aと同様に、基板ホルダー3Bの結合部3Bcにおいてケースキャップ2Bbに結合されている。
この第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、芯体4Bは、突出部材(ペン先部材)41Bとフェライトコア6Bとで構成されている。また、感圧用部品7Bは、フェライトチップ701と、コイルバネ702と、弾性体、この例ではシリコンゴム703とで構成されている。なお、フェライトコア6Bは、第1の磁性体の一例であり、フェライトチップ701は、第2の磁性体の一例である。
そして、位置指示器1Bのケース本体2Ba内のペン先側においては、図10に示すように、芯体4Bの突出部材41Bを、その一部が貫通孔21Bを通じて突出させる状態で収納させる。突出部材41Bは鍔部41Baを備え、この鍔部41Baがケース本体2Baの貫通孔21Bの部分に形成されている段部22Bに係合して、突出部材41Bが、貫通孔21Bから離脱してしまわないようにしている。なお、突出部材41Bは、操作面に当接して使用される場合の摩擦に対する耐性を考慮して、ポリアセタール樹脂(ジュラコン)等の合成樹脂製である。
そして、ケース本体2Ba内の、この突出部材41Bの突出側とは反対側には、インダクタンス素子の一例としてのコイル5Bが巻回された、磁性材料の一例としてのフェライトコア6Bが配設される。フェライトコア6Bは、この例では、貫通孔のない円柱状形状を備える。
芯体4Bの一部を構成するフェライトコア6Bは、コイル5Bの巻回部分よりも径が大きい鍔部6Baを、突出部材41B側とは反対側に備え、この鍔部6Baの部分が基板ホルダー3Bの後述する感圧用部品ホルダー部3Ba(以下、ホルダー部3Baと略称する)で係止されることにより、基板ホルダー3Bに対して係止されて保持される。
基板ホルダー3Bは、第1の実施形態及び第2の実施形態の基板ホルダー3及び3Aと同様に、芯体4B側にホルダー部3Baを備えると共に、芯体4B側とは反対側において、このホルダー部3Baに連続するように形成されているプリント基板載置台部3Bbを備える。
そして、ホルダー部3Baには、感圧用部品7Bを構成するフェライトチップ701、コイルバネ702及びシリコンゴム703が、プリント基板載置台部3Bb側から芯体4B側に向かう方向に沿う軸線方向に、順次並べられて保持される。更に、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbには、プリント基板8Bが載置される。
この第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、プリント基板8Bの基板面8Baには、サイドスイッチ11と、コンデンサ12及び13と、その他の部品及び導体パターンが、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合と同様にして設けられている。しかし、この第3の実施形態においては、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なり、プリント基板8Bには、IC14及びその周辺回路は設けられない。なお、図10に示すように、この第3の実施形態においても、プリント基板載置台部3Bbに載置されて係止されている状態では、プリント基板8Bは、ケース本体2Baの内壁面とは接触せずに離間している状態となっている。
[基板ホルダー3B及び感圧用部品7Bの構成]
図11は、位置指示器1Bのケース本体2Baの内部に収納される部分の構成を説明するための図である。すなわち、図11(B)は、基板ホルダー3Bの斜視図であり、また、図11(A)は、基板ホルダー3Bに保持される部品を、ケース本体2Baの軸芯方向に並べて示した図であり、更に、図11(C)は、基板ホルダー3Bに、フェライトコア6B、感圧用部品7Bを収納及び保持し、プリント基板8Bを配設して、係止させている状態を示す図である。
図11(A)に示すように、基板ホルダー3Bのホルダー部3Baに保持される部品は、芯体4Bのうちのフェライトコア6B(コイル5Bが巻回されている)の鍔部6Baと、感圧用部品7Bを構成する複数個の部品の全てであり、プリント基板8Bは、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbに載置される。
感圧用部品7Bは、芯体4Bの突出部材41B側から軸芯方向に、シリコンゴム703、コイルバネ702、フェライトチップ701の順に配置される。なお、図11(A)において、フェライトチップ701の次に軸芯方向に配置される棒状部材704は、後述するように、感圧用部品7Bのフェライトチップ701を、当該フェライトチップ701の中心線位置と、ホルダー部3Baの中心線位置とが一致する状態で、ホルダー部3Baに係止させるための係止用部材である。
ホルダー部3Baは、図11(B)に示すように、第2の実施形態のホルダー部3Aaと同様にして、ケース本体2Baの中空部に対応した円筒状の筒状体34Bの側周面を、軸芯方向に沿って、全体的に切り欠いて開口部35Bを設けた形状を備える。開口部35Bは、第2の実施形態と同様に、筒状体34Bの軸芯方向に直交する方向であって、かつ、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbのプリント基板8Bの載置平面に直交する方向に開口を有するものである。
そして、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの芯体4B側となる端部に、芯体係止部36Bが形成される。また、この芯体係止部36Bと連続するようにして、感圧用部品7Bを配置するための部品配置部320が、ホルダー部3Baに形成される。
図11(B)に示すように、この第3の実施形態では、開口部35Bは、芯体係止部36B及び部品配置部320に亘って形成されている。また、このホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの芯体4B側は、開口36Baとされると共に、筒状体34Bのプリント基板載置台部3Bb側の端部には、筒状体34Bの中空部を閉塞するような壁部37Bが形成されている。
そして、後述するように、フェライトコア6Bの鍔部6Baと、感圧用部品7Bを構成するシリコンゴム703、コイルバネ702、フェライトチップ701が、軸芯方向に並べられて、開口部35Bを介して、ホルダー部3Baの芯体係止部36B及び部品配置部320に収納される。
基板ホルダー3Bの軸芯方向のケースキャップ2Bb側の端部である結合部3Bcと、ホルダー部3Baの壁部37Bとの間に、プリント基板載置台部3Bbが形成される。このプリント基板載置台部3Bbには、ケース本体2Baの内径よりも幅が狭い細長のプリント基板8Bが載置される。そして、プリント基板載置台部3Bbのケースキャップ2Bb側には、第1の実施形態と同様に、プリント基板8Bの長手方向の端部を、その厚さ方向に挟んで挟持することでプリント基板8Bをプリント基板載置台部3Bbに係止させるための係止部33Bが形成されている。
なお、この第3の実施形態では、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bのプリント基板載置台部3Bb側の壁部37Bには、係止部は形成されていない。その代わりに、前述した棒状部材704がプリント基板載置台部3Bb側に一部が位置することで、プリント基板8Bの端部の厚さ部分をプリント基板載置台部3Bbの載置平面との間で挟持することで係止部の役割をも兼用するようにしている。
図12は、基板ホルダー3Bの構成例を示す図である。図12(A)は、基板ホルダー3Bを、プリント基板載置台部3Bbの載置平面に直交する方向から見た上面図、図12(B)は、プリント基板載置台部3Bbの載置平面に平行な方向から見た側面図、図12(C)は、図12(A)におけるD−D線断面図、図12(D)は、図12(C)におけるE−E線断面図である。
また、図13は、基板ホルダー3Bのホルダー部3Baの芯体係止部36B及び部品配置部320におけるフェライトコア6B及び感圧用部品7Bの収納保持状態を説明するための図である。図13は、説明のために、ホルダー部3Baは、図12(C)に示した断面図の状態としている。
この第3の実施形態の基板ホルダー3Bにおいても、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの側周面の、開口部35Bとは軸芯位置を介して対向する側及びプリント基板載置台部3Bbのプリント基板の載置平面とは反対側には、軸芯方向に沿う方向の平面3Bpnが形成されている。この場合、詳細な図示は省略するが、この平面3Bpnは、ホルダー部3Baまたは、ホルダー部3Baからプリント基板載置台部3Bbに亘って軸芯方向に沿う方向において、面一の平面となっている。
図11、図12及び図13に示すように、芯体係止部36Bの内径は、コイル5Bが巻回されるフェライトコア6Bの部分の径より若干大きく選定されている。そして、この芯体係止部36Bと連続的に部品配置部320が形成されるが、部品配置部320の芯体係止部36Bとの連結部分は、フェライトコア6Bの鍔部6Baの外径よりも若干大きな内径を有するように構成されて、芯体係止部36Bと部品配置部320との連結部分に、段差部34Bcが形成される。
フェライトコア6Bは、図13に示すように、その鍔部6Baが、芯体係止部36Bよりも部品配置部320側に配置されることで、段差部34Bcにより、ホルダー部3Baから芯体4Bが軸芯方向に抜けないように係止されている。また、部品配置部320においては、フェライトコア6Bの鍔部6Baも、その内部に挿入可能となるように切り欠かれているが、芯体係止部36Bでは、フェライトコア6Bの鍔部6Baの、180度角間隔よりも大きい角範囲分を保持するように形成されている。このため、フェライトコア6Bは、その中心線位置が、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの中心線位置と一致する状態で、軸芯方向に直交する方向にも、芯体係止部36Bから離脱しないように保持される。
感圧用部品7Bのうちのシリコンゴム703は、図11(A)に示すように、突部703aを備える。一方、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面には、図13に示すように、シリコンゴム703の突部703aが嵌合される凹孔6Bbを備える。シリコンゴム703は、その突部703aを、フェライトコア6Bの鍔部6Baの凹孔6Bbに圧入嵌合することにより、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面に装着される。このシリコンゴム703の外径は、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面の径よりも小さく選定されている。
部品配置部320では、コイルバネ702により、フェライトチップ701の端面がフェライトコア6Bの鍔部6Baの端面に装着されたシリコンゴム703との間に所定の空隙Arを形成するような状態で、感圧用部品7Bが保持される。
このため、部品配置部320は、図11、図12及び図13に示すように、フェライトチップ701の鍔部701aの端面が衝合する壁部37Bを備え、フェライトチップ701が軸芯方向のプリント基板載置台部3Bb側に移動しないようにされる。この壁部37Bの、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの中心位置に対応する位置には、棒状部材704が挿通される貫通孔320eが形成されている。
また、部品配置部320には、この壁部37Bから芯体係止部36B側に向かう方向において、フェライトチップ701の鍔部701aの厚さ分の距離だけ、当該鍔部701aの外径に等しい内径、あるいは若干大きい内径の嵌合凹部320aが形成されている。
そして、この嵌合凹部320aよりも芯体係止部36B側には、フェライトチップ701の鍔部701aを除く径小部の外径に等しい、あるいは若干大きい内径の段部320bが形成されている。この段部320bよりも更に芯体係止部36B側の部分は、段差部34Bcを形成するために内径がフェライトコア6Bの鍔部6Baより若干大きくされた部分と等しい内径とされたコイル配置部320cとされる。
このコイル配置部320cの軸芯方向の長さは、芯体係止部36Bとの段差部34Bcの位置から、当該コイル配置部320cと段部320bとの間で形成される段差部320dの位置までの間の長さとなる。そして、このコイル配置部320cの軸芯方向の長さは、前述したように、フェライトチップ701の鍔部701aとは軸芯方向に反対側の端面が、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面に装着されたシリコンゴム703との間に所定の空隙Arを形成するような状態で、感圧用部品7Bを保持することができる長さとされる。
図13に示すように、このコイル配置部320cの芯体係止部36B側には、シリコンゴム703が、鍔部6Baの端面に装着されたフェライトコア6Bが配置される。また、部品配置部320の嵌合凹部320aに、フェライトチップ701の鍔部701aが、壁部37Bに衝合する状態で嵌合される。鍔部701aは、嵌合凹部320aと段部320bとにより形成される段差部により、軸芯方向の移動が不可となる。
コイルバネ702は、シリコンゴム703の外径よりも大きい巻径を有するものとされており、このため、コイルバネ702の弾性偏倚方向の一端側は、図10及び図13に示すように、シリコンゴム703をその巻径内に収納する状態で、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面に衝合する。一方、コイルバネ702の弾性偏倚方向の他端側は、段部320bとコイル配置部320cとの間で形成される段差部320dに衝合する。このコイルバネ702により、フェライトコア6Bは、常時、ペン先側に弾性的に偏倚されて、芯体係止部36Bに係止保持される状態となる。
なお、実際的には、フェライトコア6Bにシリコンゴム703を嵌合して装着した後、コイルバネ702をフェライトチップ701の径小部に装着し、更にコイルバネ702の巻径の中にシリコンゴム703を入れるようにして、フェライトコア6Bに装着されたシリコンゴム703とフェライトチップ701の端面とを仮に連結させた状態の一塊とし、その一塊の部品を、軸芯方向に治具により挟持する。この場合、フェライトコア6Bの鍔部6Baとフェライトコア6B本体との間の段部と、フェライトチップ701の鍔部701aの登頂部との間を治具で挟持するようにする。
そのように複数個の部品を挟持した状態で治具を、軸芯方向に直交する方向から開口部35Bを通して、ホルダー部3Baの部品配置部320に挿入し、治具を外して、前記一塊の部品を部品配置部320に残すようにする。この場合に、フェライトチップ701の鍔部701aは、嵌合凹部320a内に嵌合し、且つ、コイルバネ702が、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面と、段部320bとコイル配置部320cとの間で形成される段差部320dに衝合するように挿入する。
すると、部品配置部320内に、それらの一塊の部品が挿入された状態では、コイルバネ702により、フェライトコア6Bが常時、芯体係止部36B側に弾性的に偏倚される状態となり、図10及び図13に示すように、シリコンゴム703と、フェライトチップ701の径小部の端部との間に、空隙Arが生じる状態で、保持される。
そして、フェライトチップ701の鍔部701aの端面の中心位置には、図10及び図13に示すように、凹孔701bが形成されており、棒状部材704が、壁部37Bの貫通孔320eを通じてこの凹孔701b内に嵌合される。これにより、フェライトチップ701は、その中心線位置が、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの中心線位置に一致するように保持される。
そして、フェライトコア6Bの鍔部6Baは、コイルバネ702による偏倚力により、芯体係止部36B側に変位して鍔部6Baの一部が、芯体係止部36Bの内壁面と係合する状態となる。これにより、フェライトコア6Bは、軸芯方向に直交する方向には移動しないように係止される。そして、コイルバネ702による弾性偏倚力により、フェライトチップ701も軸芯方向に移動しないように係止される。
前述したように、フェライトコア6Bは、芯体係止部36Bにより、その中心線位置が、ホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの中心線位置に一致するように保持されているので、部品配置部320に配置された各部品の中心線位置は、全てホルダー部3Baを構成する筒状体34Bの中心線位置に一致するように保持される。
そして、プリント基板8Bは、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbの載置平面に載置されるとともに、その長手方向のケースキャップ2Bb側の端縁が、係止部33Bとプリント基板載置台部3Bbの載置平面とにより挟持されて係止されると共に、プリント基板8Bの部品配置部320側の長手方向の端縁は、棒状部材704とプリント基板載置台部3Bbの載置平面とで挟持されるようにされて係止される。
以上のようにして、コイル5Bが巻回されたフェライトコア6B及び感圧用部品7Bが基板ホルダー3Bのホルダー部3Baに保持され、また、プリント基板8Bがプリント基板載置台部3Bbに載置及び係止された状態において、更にフェライトコア6Bの先端に突出部材41Bを装着する。
すると、この第3の実施形態においても、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbにプリント基板8Bを載置して係止させ、また、ホルダー部3Baに感圧用部品7Bを収納すると共に、コイル5Bが巻回されたフェライトコア6Bの一部を収納し、かつ突出部材41Bをフェライトコア6Bに結合させたものを、一つのモジュール部品として扱うことができる。
そして、その基板ホルダー3Bを中心としたモジュール部品を、ケース本体2Baの中空部内に挿入し、ケース本体2Baとケースキャップ2Bbとを結合する。以上により、第3の実施形態の位置指示器1Bを完成させることができる。
そして、位置指示器1Bの使用者により、ペン先を構成する突出部材41Bに押圧力(筆圧)が印加されると、その押圧力に応じて、突出部材41Bが結合されているフェライトコア6Bの鍔部6Baの端面が、コイルバネ702の偏倚力に抗して、フェライトチップ701側に変位して接近する。すると、これに応じてコイル5Bのインダクタンスが変化し、共振回路のコイル5Bから送信される電波の位相(共振周波数)が変化する。
そして、更に、押圧力が大きくなると、フェライトチップ701の端面が、シリコンゴム703に当接し、このシリコンゴム703を弾性変位させる。これにより、シリコンゴム703の弾性係数に応じた変化特性で、コイル5Bのインダクタンスが変化し、共振回路のコイル5Bから送信される電波の位相(共振周波数)が変化する。
なお、この第3の実施形態において、コイルバネ702は、シリコンゴム703よりも弾性係数の小さなものとされている。すなわち、コイルバネ702の弾性係数をk1とし、シリコンゴム703の弾性係数をk2とすると、k1<k2という関係になっている。したがって、コイルバネ702の方が小さな押圧力で弾性変形し、シリコンゴム703はコイルバネ702よりも大きな押圧力を加えないと弾性変形しない。
[第3の実施形態における位置検出装置202Bによる位置検出及び筆圧検出のための回路構成]
次に、上述の第3の実施形態の位置指示器1Bを用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う電子機器200の位置検出装置202Bにおける回路構成例について、図14を参照して説明する。図14は、位置指示器1B及び電子機器200が備える位置検出装置202Bの回路構成例を示すブロック図である。
位置指示器1Bは、コイル5Bとコンデンサ12,13とからなる共振回路を備える。この共振回路は、図14に示すように、インダクタンス素子としてのコイル5Bと、チップ部品により構成されるトリマーコンデンサ12とが互いに並列に接続されると共に、サイドスイッチ11とチップ部品からなるコンデンサ13との直列回路が、さらに並列に接続されて構成される。
この場合、サイドスイッチ11のオン・オフに応じて、コンデンサ13の、並列共振回路への接続が制御され、共振周波数が変化する。また、フェライトチップ701と、フェライトコア6Bとの間の、印加された筆圧に応じた距離関係により、コイル5Bのインダクタンスが変化するので、筆圧に応じて、共振周波数が変化する。位置検出装置202Bでは、後述するように、位置指示器1Bからの信号の位相変化を検出することより周波数変化を検出して、サイドスイッチ11が押されたか否かと、位置指示器1Bの芯体4Bに印加された筆圧を検出するようにする。
電子機器200の位置検出装置202Bには、第1の実施形態における位置検出装置202と同様にX軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とが積層されて位置検出コイル210が形成されている。
また、位置検出装置202Bには、X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212が接続される選択回路213が設けられている。この選択回路213は、2つのループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、位置検出装置202Bには、発振器231と、電流ドライバ232と、切り替え接続回路233と、受信アンプ234と、検波器235と、ローパスフィルタ236と、サンプルホールド回路237と、A/D変換回路238と、同期検波器239と、ローパスフィルタ240と、サンプルホールド回路241と、A/D変換回路242と、処理制御部243とが設けられている。処理制御部243は、マイクロコンピュータにより構成されている。
発振器231は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器231は、発生した交流信号を、電流ドライバ232と同期検波器239に供給する。電流ドライバ232は、発振器231から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路233へ送出する。切り替え接続回路233は、処理制御部243からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ232が、受信側端子Rには受信アンプ234が、それぞれ接続されている。
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路233を介して受信アンプ234に送られる。受信アンプ234は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器235及び同期検波器239へ送出する。
検波器235は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、ローパスフィルタ236へ送出する。ローパスフィルタ236は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器235の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路237へ送出する。サンプルホールド回路237は、ローパスフィルタ236の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路238へ送出する。A/D変換回
路238は、サンプルホールド回路237のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部243に出力する。
一方、同期検波器239は、受信アンプ234の出力信号を発振器231からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号をローパスフィルタ240に送出する。このローパスフィルタ240は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器239の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路241に送出する。このサンプルホールド回路241は、ローパスフィルタ240の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路242
へ送出する。A/D変換回路242は、サンプルホールド回路241のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部243に出力する。
処理制御部243は、位置検出装置202Bの各部を制御する。すなわち、処理制御部243は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路233の切り替え、サンプルホールド回路237、241のタイミングを制御する。処理制御部243は、A/D変換回路238、242からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212から一定の送信継続時間の間電波を送信させる。
X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212の各ループコイルには、位置指示器1Bから送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理制御部243は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器1BのX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部243は、送信した電波と受信した電波との位相差に応じた信号のレベルに基づいて、サイドスイッチ11が押下されたか否かと筆圧を検出する。
このようにして、位置検出装置202Bでは、接近した位置指示器1Bの位置を処理制御部243で検出することができる。しかも、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、位置指示器1Bにおいて、サイドスイッチ11の押下操作子16が押下されたか否かを検出することができると共に、位置指示器1Bの芯体4Bに印加された筆圧を検出することができる。
[第3の実施形態の効果]
この第3の実施形態においても、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を奏する。また、この第3の実施形態によれば、さらに以下のような効果を奏する。
第3の実施形態の位置指示器1Bは、フェライトコア6Bとフェライトチップ701との間に、コイルバネ702とシリコンゴム703とが介在する。これにより、主にコイルバネ702の作用によって、フェライトコア6Bは、フェライトチップ701から引き離されるようにされているので、位置指示器1Bのペン先側を上に向けるようにしてもフェライトコア6Bとフェライトチップ701とが近づくことは無い。したがって、位置指示器1Bを、突出部材41Bを上に向くように扱っても、押圧力の誤検出を生じさせることが無い。
また、コイルバネ702とシリコンゴム703との作用により、突出部材41Bとフェライトコア6Bとからなる芯体にかけられた押圧力(筆圧)の検出レンジを広げることができる。しかも押圧力に応じて適切に位相(周波数)が変化する電波を位置検出装置202Bに送信し、押圧力(筆圧)の検出を適切に行えるようにすることができる。
なお、この第3の実施形態の上述の例では、芯体4Bの突出部材41Bは、鍔部41Baを備えていて、ケース本体2Ba内に係止するようにしているため、交換できない構成となっている。しかし、例えば、フェライトコア6Bの端部に、突出部材41Bに設けた突部や凹部に嵌合する凹部や突部を設けて、両者を嵌合させる構成とすることで、突出部材41Bを交換可能の構成とすることができる。
[第4の実施形態]
次に、この発明による位置指示器の第4の実施形態の要部を、図15を参照して説明する。この第4の実施形態の位置指示器1Cは、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、静電容量の変化により筆圧を検出する例であるが、特に、この第4の実施形態では、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる半導体デバイスにより、感圧用部品が構成される場合である。この第4の実施形態では、このMEMSを用いた感圧用の容量可変デバイスを、静電容量方式圧力センシング半導体デバイス(以下、圧力センシングデバイスという)と呼ぶ。
この第4の実施形態においても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、ケース本体2a内に、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3Cを収納することにより、位置指示器1Cを組み上げる構成である。
図15(A)は、この第4の実施形態における基板ホルダー3Cの特に感圧用部品ホルダー部3Ca(以下、ホルダー部3Caと略称する)の部分の斜視図及び感圧用部品7Cの分解斜視図を示すものである。また、図15(B)は、第4の実施形態の位置指示器1Cの部分断面図で、特にホルダー部3Ca近傍を示している。また、図15(C)は、この第4の実施形態で用いられる圧力センシングデバイスの構成を説明するための断面図であり、図15(A)におけるF−F線断面図である。
図15(A)に示すように、この第4の実施形態における感圧用部品7Cは、圧力センシングデバイス711と、コイルバネからなる弾性部材712と、保持部材713とからなる。
この例の圧力センシングデバイス711は、例えば、MEMS技術により製作されている半導体デバイスとして構成される圧力感知チップ800を、例えば立方体あるいは直方体の箱型のパッケージ810内に封止したものである(図15(A)、(C)参照)。
圧力感知チップ800は、印加される圧力を、静電容量の変化として検出するものであり、この例では、図15(C)に示すような構成を備える。
この例の圧力感知チップ800は、例えば縦及び横の長さが1.5mm、高さが0.5mmの直方体形状とされている。この例の圧力感知チップ800は、第1の電極801と、第2の電極802と、第1の電極801及び第2の電極802の間の絶縁層(誘電体層)803とからなる。第1の電極801および第2の電極802は、この例では、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。絶縁層803は、この例では酸化膜(SiO2)からなる。なお、絶縁層803は、酸化膜で構成する必要はなく、他の絶縁物で構成しても良い。
そして、この絶縁層803の第1の電極801と対向する面側には、この例では、当該面の中央位置を中心とする円形の凹部804が形成されている。この凹部804により、絶縁層803と、第1の電極801との間に空間805が形成される。この例では、凹部804の底面は平坦な面とされ、その半径は、例えば1mmとされている。また、凹部804の深さは、この例では、数十ミクロン〜百ミクロン程度とされている。
この例の圧力感知チップ800は、次のようにして半導体プロセスにより作成される。先ず、第2の電極802を構成する単結晶シリコン上に、酸化膜からなる絶縁層803を形成する。次に、当該酸化膜の絶縁層803に対して半径Rの円形のマスクを施して、エッチングを施すことにより、凹部804を形成する。そして、絶縁層803の上に、第1の電極801を構成する単結晶シリコンを被着する。これにより、第1の電極801の下方に、空間805を備える圧力感知チップ800が形成される。
この空間805の存在により、第1の電極801は、第2の電極802と対向する面とは反対側の面801a側から押圧されると、当該空間805の方向に撓む変位をすることが可能となる。第1の電極801の例としての単結晶シリコンの厚さtは、印加される圧力によって第1の電極801が撓むことが可能な厚さとされ、第2の電極802よりも薄くされている。この第1の電極801の厚さtは、印加される圧力に対する第1の電極801の撓み変位特性が、所望のものとなるように選定される。
以上のような構成の圧力感知チップ800においては、第1の電極801と第2の電極802との間に静電容量Cdが形成される。そして、第1の電極801の第2の電極802と対向する面とは反対側の上面801a側から第1の電極801に対して圧力が印加されると、第1の電極801は、空間805側に撓み、第1の電極801と、第2の電極802との間の距離が短くなり、静電容量Cdの値が大きくなるように変化する。第1の電極801の撓み量は、印加される圧力の大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cdは、圧力感知チップ800に印加される圧力の大きさに応じた可変容量となる。
なお、第1の電極801の例としての単結晶シリコンは、圧力により数ミクロンの撓みを生じ、その撓みに応じて、コンデンサCdの容量は、この程度の押圧力により0〜10pF(ピコファラッド)の変化を呈することが確かめられた。
この実施形態の圧力センシングデバイス711においては、以上のような構成を備える圧力感知チップ800は、圧力を受ける第1の電極801の面801aが、図15(A)及び(C)において、パッケージ810の上面810aに平行で、かつ、上面810aに対向する状態でパッケージ810内に収納されている。
パッケージ810は、この例では、薄板状形状部811と円柱状形状部812とが結合された形状を備えている。パッケージ810は、この例では、セラミック材料や樹脂材料等の電気絶縁性材料からなる。図15(C)に示すように、薄板状形状部811内に、圧力感知チップ800が収納される。円柱状形状部812内には、圧力感知チップ800の圧力を受ける面801a側に弾性部材813が設けられる。弾性部材813は、圧力伝達部材の一例である。
そして、この例では、パッケージ810の円柱状形状部812内の圧力感知チップ800で圧力を受ける第1の電極801の面801a側の上部には、圧力感知チップ800で圧力を受ける部分の面積をカバーするような凹部814が設けられており、この凹部814内に、弾性部材813が充填される。弾性部材813は、パッケージ810の円柱状形状部812内の凹部814内に、パッケージ810と一体的な構造となるようにされる。弾性部材813は、この例では、シリコン樹脂、特にシリコンゴムで構成されている。
そして、パッケージ810の円柱状形状部812には、上面810aから弾性部材813の一部にまで連通する連通穴815が形成されている。すなわち、円柱状形状部812内の弾性部材813には、連通穴815の先端部を構成する凹穴が設けられている。また、円柱状形状部812の連通穴815の開口部側(上面810a側)にはテーパー部816が形成されて、連通穴815の開口部は、ラッパ状形状とされている。
そして、図15(A)及び(C)に示すように、圧力感知チップ800の薄板状形状部811からは、圧力感知チップ800の第1の電極801と接続される第1のリード端子821が導出されると共に、圧力感知チップ800の第2の電極802と接続される第2のリード端子822が導出される。第1のリード端子821は、例えば金線823により第1の電極801と電気的に接続される。また、第2のリード端子822は、第2の電極802に接触した状態で導出されることにより第2の電極802と電気的に接続される。もっとも、第2のリード端子822と第2の電極802とも、金線などで電気的に接続しても勿論良い。
この例では、第1及び第2のリード端子821及び822は、導体金属で構成され、図示(図15(A))のように幅広とされている。そして、この例では、第1及び第2のリード端子821及び822は、薄板状形状部811の側面から導出された後、基板ホルダー3Cのプリント基板載置台部3Cbに載置されるプリント基板8Cの基板面において半田付けされるように折り曲げられている。
また、図15(B)に示すように、薄板状形状部811の底面には、後述するように、ホルダー部3Ca内に収納されたときに、圧力センシングデバイス711の軸芯方向に直交する方向の位置決めをするための突部817が形成されている。
弾性部材712は、圧力センシングデバイス711のパッケージ810の円柱状形状部812の径よりも大きい内径を有すると共に、弾性偏倚方向の長さが、円柱状形状部812の軸芯方向の長さ(高さ)よりも長いコイルバネで構成されている。そして、弾性部材712は、図15(B)の断面図に示すように、円柱状形状部812を、コイルバネの巻回部内に含むように取り付けられる。
保持部材713は、第2の実施形態の保持部材73に近似した形状を有するものであって、側周面にリング状膨出部713aを備える円柱状形状を有し、その軸芯方向の芯体4側となる側に、芯体4の芯体本体42を圧入嵌合させるリング状突部713bを備えていると共に、その軸芯方向の反対側には、圧力センシングデバイス711の連通穴815に挿通される棒状突部713cが設けられている。リング状膨出部713a、リング状突部713b及び棒状突部713cの中心線位置は、円柱状形状の保持部材713の中心線位置と同一とされている。棒状突部713cは、芯体4に印加される筆圧を、圧力センシングデバイス711のパッケージ810内の弾性部材813を通じて圧力感知チップ800の第1の電極に伝達するためのものである。
基板ホルダー3Cのホルダー部3Caは、第1の実施形態の基板ホルダー3のホルダー部3aにおいて端子部材72を収納するためのスリットを有しない点が異なるだけで、ホルダー部3aと近似した形状を有する。すなわち、このホルダー部3Caは、当該ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cの側周面の一部に形成された軸芯方向に直交する方向に開口を有する開口部35Cを備える。そして、ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cは、その軸芯方向の芯体4側は、リング状係止部36Cの構成とされている。
このリング状係止部36Cの内径は、保持部材713のリング状突部713bの外径よりも若干大きく選定されていると共に、保持部材713のリング状膨出部713aの外径よりは小さく選定されている。これにより、第1の実施形態と同様に、保持部材713は、ホルダー部3Ca内に収納されたときは、リング状係止部36Cにより、軸芯方向の芯体4側への移動が阻止されるように規制されるが、軸芯方向の芯体4側とは反対側へは移動可能とされる。
そして、ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cの開口部35Cが形成されている部分の内径は、保持部材713のリング状膨出部713aの外径よりも若干大きく選定されている。そして、ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cのプリント基板載置台部3Cb側の端部には、壁部37Cが形成されていると共に、壁部37Cの内側には、圧力センシングデバイス711を収容するための凹溝38Cが設けられている。さらに、壁部37Cの凹溝38C側の平面には、図示は省略するが、圧力センシングデバイス711のパッケージ810の薄板状形状部811の底面に設けられた突部817と係合する位置決め用凹部が形成されている。
この第4の実施形態の基板ホルダー3Cにおいても、ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cの側周面の、開口部35Cとは軸芯位置を介して対向する側及びプリント基板載置台部3Cbのプリント基板の載置平面とは反対側には、軸芯方向に沿う方向の平面3Cpnが形成されている。この場合、詳細な図示は省略するが、この平面3Cpnは、ホルダー部3Caからプリント基板載置台部3Cbに亘って軸芯方向に沿う方向において、面一の平面となっている。
[感圧用部品7Cのホルダー部3Caへの収納方法]
まず、作業台平面上に、基板ホルダー3Cを、平面3Cpnが作業台平面を向くようにして載置する。この状態では、基板ホルダー3Cは、開口部35Cの開口が作業台平面に対して直交する上方に向くと共に、プリント基板載置台部3Cbのプリント基板の載置平面が作業台平面に平行になるように位置決めされて、作業台平面上に係止される。
次に、感圧用部品7Cを、ホルダー部3Caを構成する筒状体34Cの中空部内に、開口部35Cを介して収納するに先立ち、まず、圧力センシングデバイス711のパッケージ810の円柱状形状部812を、巻回部内に収納するような状態で、コイルバネからなる弾性部材712を装着する。次に、保持部材713の棒状突部713cを、圧力センシングデバイス711のパッケージ810の円柱状形状部812の連通穴815内に挿入するようにする。この状態では、弾性部材712により、圧力センシングデバイス711と保持部材713とを軸芯方向に引き離そうとする弾性偏倚力がかかる。
次に、弾性部材712の弾性偏倚力に抗するように、圧力センシングデバイス711の薄板状形状部811の底面側と、保持部材713のリング状突部713bとの間で、圧力センシングデバイス711、弾性部材712、保持部材713を、治具により軸芯方向に挟持することにより、一塊の部品として扱えるようにする。この状態で、当該一塊の部品として扱えるようにされた圧力センシングデバイス711、弾性部材712、保持部材713を、ホルダー部3Caを構成する筒状体34C内に、開口部35Cを通じて収納し、治具を外すようにする。このとき、圧力センシングデバイス711は、凹溝38C内に収納させ、かつ、薄板状形状部812の底面の突部817が、壁部37Cの凹部に嵌合するように、開口部35Cを通じて挿入する。
ホルダー部3Ca内に感圧用部品7Cが収納されると、弾性部材712による軸芯方向の弾性偏倚力により、保持部材713のリング状突部713bがホルダー部3Caのリング状係止部36C内に収納し、かつ、リング状係止部36Cとリング状膨出部713aとが衝合して、保持部材713の軸芯方向の芯体4方向への移動が阻止される。
この状態においては、感圧用部品7Cを構成する複数個の部品の全体には、弾性部材712により軸芯方向の偏倚力が印加されていると共に、保持部材713のリング状突部713bが筒状体34Cのリング状係止部36Cにより軸芯方向に直交する方向に変位するのが阻止される状態となっている。このため、感圧用部品7Cの全体が、開口部35Cから軸芯方向に変位して離脱してしまうことが阻止される。すなわち、筒状体34Cのリング状係止部36Cと、保持部材713のリング状突部713bとの係合により、感圧用部品7Cを構成する複数個の部品の全体が軸芯方向に直交する方向に変位することを阻止する係止手段が形成される。
以上のようにして、感圧用部品7Cを構成する複数個の部品の全体を、筒状体34Cからなるホルダー部3Ca内に収納させて係止させた状態において、圧力センシングデバイス711の第1のリード端子821及び第2のリード端子822を、プリント基板8Cに半田付けする。すると、この状態では、感圧用部品7Cを構成する複数個の部品の全体に、弾性部材712により軸芯方向の偏倚力が印加されている状態において、感圧用部品7Cの全体の軸芯方向の一端側は、保持部材713のリング状突部713bと筒状体34Cのリング状係止部36Cとからなる係止手段により係止されるとともに、軸芯方向の他端は、圧力センシングデバイス711の第1及び第2のリード端子821及び822がプリント基板8Cに半田付けされることで固定されることになる。したがって、この状態では、開口部35Cから感圧用部品7Cの全体が離脱してしまうことがない。
以上のようにして感圧用部品7Cを、ホルダー部3Caを構成する筒状体34C内に収納した後、筒状体34Cのリング状係止部36Cには、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様にして、落下対策用部材9が圧入嵌合される。そして、この落下対策用部材9に対してフェライトコア6の端部が圧入嵌合される。
次に、以上のように基板ホルダー3Cのホルダー部3Caにフェライトコア6を結合した状態において、芯体4の芯体本体42を、フェライトコア6の貫通孔6aに挿通させる。そして、芯体4の芯体本体42の端部を、ホルダー部3Caに収納されている保持部材713のリング状突部713bに圧入嵌合する。
以上のようにして、この第4の実施形態においても、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3Cのプリント基板載置台部3Cbにプリント基板8Cが載置され、ホルダー部3Caに感圧用部品7Cが収納され、さらに、ホルダー部3Caにフェライトコア6が結合されると共に、芯体4が結合されることで、図4(B)及び図9(B)に示したような、モジュール部品が形成できる。
次に、このモジュール部品を、芯体4の突出部材41がケース本体2aの貫通孔21から外部に突出するようにして、ケース本体2aの中空部内に挿入し、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合することで、位置指示器1Cが完成となる。
この位置指示器1Cにおいては、芯体4の突出部材41に圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体4は、軸芯方向にケース本体2a内の方向に変位する。そして、この芯体4の変位により、芯体本体42が結合されているホルダー部3Ca内の保持部材713が弾性部材712の弾性偏倚力に抗して、圧力センシングデバイス711側に変位する。すると、保持部材713の棒状突部713cにより、圧力センシングデバイス711内の圧力感知チップ800の第1の電極801が押下される。その結果、圧力感知チップ800の第1の電極801と第2の電極802との間の静電容量が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。
この場合に、押圧部材としての棒状突部713cにより直接的に圧力感知チップ800の圧力を受ける面側が押圧されるのではなく、棒状部材73cと圧力感知チップ800の圧力を受ける面側との間に弾性部材813が介在するので、圧力感知チップ800の圧力を受ける面側における耐圧性が向上し、当該面側が圧力により損壊されてしまうことを防止することができる。
また、棒状突部713cは、圧力感知チップ800のパッケージ810に設けられた連通穴815に差し込まれることにより位置決めされて、棒状突部713cにより印加される圧力は、弾性部材813を介して確実に圧力感知チップ800に印加される。
この例の圧力感知チップ800は、上述したように非常に小型であり、位置指示器の細型化が容易である。そして、この第4の実施形態は、構成が非常に簡単であるというメリットもある。
その他、この第4の実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第4の実施形態の位置指示器1Cの回路構成及びこの位置指示器1Cと共に使用する位置検出装置の回路構成は、第1の実施形態で説明した図5に示したものを用いることができる。
[他の実施形態]
上述の第1〜第4の実施形態においては、感圧用部品ホルダー部と、プリント基板載置台部とを併せ持つ基板ホルダーの構成を用いたが、感圧用部品ホルダー部に、プリント基板を、結合して組み合わせるようにしてもよい。
図16は、第2の実施形態において、そのように構成した場合の一例を示す図である。すなわち、この図16の例においては、前述した基板ホルダー3Aの感圧用部品ホルダー部30のみを独立した構成部品として構成する。図16では、便宜上、第2の実施形態のホルダー部3Aaと同一部分には、同一参照符号を付してある。
図16に示すように、この感圧用部品ホルダー部30は、前述のホルダー部3Aaと全く同様に構成する。そして、誘電体71、端子部材72、保持部材73A、導電部材74及び弾性部材75からなる感圧用部品7Aの全てを、第2の実施形態で説明したようにして、この感圧用部品ホルダー部30内に、開口部35Aを通じて、軸芯方向に直交する方向から収納する。
この例の場合においても、感圧用部品ホルダー部30を構成する筒状体34Aの側周面の、開口部35Aとは軸芯位置を介して対向する部分は、軸芯方向の平面30pnとされている。
この感圧用部品ホルダー部30には、プリント基板8Dを嵌合するための嵌合凹溝37Abを形成する。この嵌合凹溝37Abは、壁部37Aの筒状体34Aの内部側とは反対側の面に、プリント基板8Dの長手方向の一方の端部が嵌合されるように、プリント基板8Dの板厚に応じた幅で、プリント基板8Dの基板面に沿った方向に形成された凹溝である。
この図16の例では、プリント基板8Dの長手方向の一方の端部が、感圧用部品ホルダー部30の嵌合凹溝37Abに嵌合され、必要に応じて接着されて結合されるようにされる。この例では、上述の例のプリント基板載置台部は用いられず、プリント基板8Dの長手方向の他方の端部は、例えばケースキャップ2bに結合されて固定される。この例の場合にも、プリント基板8Dの幅(長手方向に直交する方向の長さ)は、ケース本体2aの内径よりも小さく選定され、プリント基板8Dがケース本体2Aaの内壁面とは接触することはないようにされている。
また、上述の第1〜第4の実施形態では、感圧用部品ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Caの開口部35,35A,35B,35Cの軸芯方向に直交する方向の長さdxは、図17(A)に示すように、感圧用部品7,7A,7B,7Cが、ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Ca内に、開口部35,35A,35B,35Cを通じて、そのまま収納できるようにする長さとされている。そのため、上述の第1〜第4の実施形態では、感圧用部品7,7A,7B,7Cの一部を軸芯方向に直交する方向に移動させないようにする係止手段を設けるようにした。
しかしながら、ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Caを構成する部材として、弾性変位可能な樹脂を用いる場合には、感圧用部品ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Caの開口部35,35A,35B,35Cの軸芯方向に直交する方向の長さを、図17(B)に示すように、前記長さdxよりも小さくdx´としてもよい。すなわち、図17(B)に示すように、開口部35,35A,35B,35Cを軸芯方向に直交する方向に介して互いに対向する対の壁部351,352の上辺部の間の距離を前記長さdx´とする。
このようにした場合には、感圧用部品7,7A,7B,7Cを、当該開口部35,35A,35B,35Cを通して、感圧用部品ホルダー部3a、3Aa,3Ba、3Ca内に収納するとき、感圧用部品7,7A,7B,7Cの少なくとも一部により、壁部351,352の開口部35,35A,35B,35Cの近傍の上辺部が、軸芯方向に直交する方向に弾性的に変位させられて、開口部35,35A,35B,35Cのその方向の長さが大きくさせられることにより、感圧用部品7,7A,7B,7Cの全てが、感圧用部品ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Ca内に収納される。
そして、感圧用部品ホルダー部3a、3Aa、3Ba、3Ca内に感圧用部品7,7A,7B,7Cの全てが収納された後には、壁部351,352は弾性復帰して、壁部351,352の開口部35,35A,35B,35Cの近傍の上辺部間の距離が、元の長さdx´に復帰する。これにより、感圧用部品7,7A,7B,7Cの少なくとも一部の部品の軸芯方向の移動が阻止されるので、上述の実施形態と同様にして、感圧用部品7,7A,7B,7Cを開口部35,35A,35B,35Cから離脱させないようにすることができる。
[上述の実施形態の変形例]
なお、上述の第1〜第4の実施形態では、感圧用部品は、感圧部品ホルダー部内に収納した状態においては、感圧用部品の一部を構成する弾性部材による軸芯方向の弾性偏倚力と、ホルダー部の係止部(リング状係止部、芯体係止部)とにより係止され、開口部から離脱してしまうのを阻止するようにした。しかし、感圧用部品ホルダー部に収納した感圧用部品の、開口部からの離脱を阻止する係止手段としては、上記の弾性偏倚力と係止部との組み合わせのみではなく、感圧用部品を感圧用部品ホルダー部に収納した後に、開口部を蓋部により覆うことで、感圧用部品を感圧用部品ホルダー部内に係止させて、開口部から離脱してしまうことを防止することも可能である。なお、感圧用部品が開口部から離脱してしまうのを阻止する係止手段としては、この蓋部のみで構成してもよいことはいうまでも無い。
図18は、第2の実施形態において、ホルダー部3Aaに、開口部35Aの蓋部401を設けた場合の構成例を示す図である。この例においては、蓋部401は、開口部35Aの軸芯方向に沿う方向の上端辺においてヒンジ部401aによりホルダー部3Aaに対して、当該ヒンジ部401aを回動軸位置として回動可能に形成されている。この蓋部401には、ヒンジ部401aとは対向する辺側に、係止用突起402が形成されている。
そして、ホルダー部3Aaを構成する筒状体34Aの側周面においては、蓋部401を、ヒンジ部401aを回転軸位置として回動させて、開口部35Aを蓋部401により覆うようにしたときに、蓋部401の係止用突起402が係合する位置に、係止用穴403が形成されている。この係止用穴403の形状は、係止用突起402の形状に応じた形状とされており、係止用突起402を、当該係止用穴403に嵌合させることにより、蓋部401は、開口部35Aを閉塞した状態でホルダー部3Aaに対して係止される。
この例によれば、ホルダー部3Aa内に収納された感圧用部品7Aは、感圧用部品の一部を構成する弾性部材75による軸芯方向の弾性偏倚力と、ホルダー部3Aaのリング状係止部36Aとに加えて、蓋部401によりホルダー部3Aa内に係止されて、当該感圧用部品7Aの開口部35Aからの離脱の阻止が、より確実になされる。
なお、図16の例及び図17の例においても、同様にして、感圧用部品ホルダー部の開口部を覆う蓋部を設けるようにしてもよいことはいうまでも無い。また、上述の全ての実施形態で用いた係止部の代わりに、感圧用部品が開口部から離脱してしまうのを阻止する係止手段として、蓋部を設けるようにしてもよい。
[その他の変形例]
なお、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、フェライトコアに貫通孔を設け、芯体本体を、この貫通孔を挿通させて感圧用部品の保持部材に嵌合する構成としたが、第1の実施形態及び第2の実施形態においても、第3の実施形態のように、芯体の突出部材をフェライトコアの一方の端部に結合させ、他方の端部に、保持部材に嵌合する押圧部材を結合するようにしてもよい。また、フェライトコアの他方の端部を押圧部材の形状に整形するようにしてもよい。その場合には、第2の実施形態と同様に、芯体は、突出部材とフェライトコアと押圧部材とからなる。
また、上述の第3の実施形態では、シリコンゴム703を、フェライトコア6Bの鍔部6Baの端面に設けるものとして説明したが、これに限るものではない。シリコンゴム703を、フェライトコア6Bの端面と対向するフェライトチップ701の端面に設けるようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、位置指示器の回路及び位置検出装置の回路構成は、図5に示したものとしたが、容量可変コンデンサの静電容量を、コイル5と並列に接続して共振回路の一部として用いることにより、第3の実施形態で用いた図14に示した回路構成とすることができる。第4の実施形態においても同様で、図5に示した回路構成としてもよいし、図14に示した回路構成としてもよい。