JP6135206B2 - フィルム状口腔用組成物 - Google Patents
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また、近年、携帯用の電動歯ブラシの売れ行きが好調であり、外出先でもオーラルケアを行う人が増加しているが、この場合、使用する歯磨剤は従来型の130g入り程度のものを使用している人が多く、このような歯磨剤は、製剤形態として持ち運びや置き場所に困るオフィスに最適とは言い難かった。
特許文献4(特許第5014712号公報)には、水難溶性成分と水溶性高分子とを含有し、特定の非イオン性界面活性剤を配合した口腔内溶解フィルムが提案されている。この特許文献4は、水難溶性成分が水溶性高分子中に良好に分散し均一性が高い口腔内溶解フィルムを与える技術である。
従って、口腔内での溶解性と製剤の取り扱い性とが両立した口腔用フィルム製剤を与えることが、本発明の技術課題である。
なお、ポリビニルアルコールは、フィルム基材として、口腔内での適度な分散性や溶解性が必要となる口腔分野へは適用し難いものであったが、本発明では、意外にも、(A)〜(C)成分の併用系で、溶解性と取り扱い性を両立できた。また、口腔用組成物には通常、清涼感を与えるl−メントールが配合され、口腔用フィルム製剤にも配合され得るが、本発明では、(A)、(B)、(C)成分を配合すると清涼感付与効果が25℃で1ヶ月保存後に低下するという新たな課題が生じた。本発明では、(D)成分が清涼感付与効果の安定化に寄与してかかる課題も解消し、上記格別の作用効果を付与できた。
(A)2質量%水溶液の20℃における粘度が2〜6mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース 30〜60質量%
(B)4質量%水溶液の20℃における粘度が3〜6mPa・sであるポリビニルアルコール 2〜8質量%
(C)糖アルコール及び/又は多価アルコール 4〜20質量%
及び
(D)非イオン性界面活性剤 1〜5質量%
を含有し、(A)成分と(B)成分との配合割合を示す(A)/(B)が質量比として5〜25であることを特徴とするフィルム状口腔用組成物。
なお、本発明において各成分の配合量は、組成物全体に対する配合量として記載するが、これは乾燥後のフィルム製剤全体に対する乾燥質量を意味する(以下、同様。)。
なお、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、B型粘度計(東機産業(株)製、型番:TVB−10、ローターL/Adpを使用、回転数60rpm、測定時間3分間)による測定値である(以下、同様。)。
なお、ポリビニルアルコールの粘度は、B型粘度計(東機産業(株)製、型番:TVB−10、ローターL/Adpを使用、回転数60rpm、測定時間3分間)による測定値である(以下、同様。)。
測定法について詳述すると、ピリジン中で無水フタル酸と反応させてフタル酸エステルとし、過剰量の無水フタル酸を加水分解して水酸化ナトリウムで滴定することにより平均分子量を求める。
このようなフィルム製剤は、フィルム状の歯磨剤、口中清涼剤、洗口剤等として使用し得る。特に、歯磨剤として好適であり、口腔内適用後すぐに通常の方法で歯磨きすることで歯磨剤として使用し得る。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、中でも発泡性に優れるラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩が好適に配合され、これにより泡立ちが優れる製剤を与えることができる。
これら界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.001〜5%が好ましく、(D)非イオン性界面活性剤を含めた界面活性剤の総配合量が組成物全体の10%以下となる範囲が好ましい。
また、配合量は特に限定されないが、これらの香料素材は、l−メントールと合わせて組成物中に6〜15%使用するのが好ましい。
また、離型シートとしては、例えば、表面にマット処理を施したポリプロピレンなどの樹脂フィルムが使用できる。フィルム形成用スラリー液の塗工には、ハンドコーターなどの公知のコーターを使用できる。塗工後の乾燥温度は適宜設定できるが、65〜120℃が好ましい。
また、フィルム製剤の大きさ(面積)は、好ましくは1〜5cm2、より好ましくは2〜4cm2であり、得られた薄膜状フィルムをこのような大きさに裁断することが好ましい。
なお、本発明において、フィルム製剤を収容する容器は、特に限定はなく、適宜な枚数の製剤を積み重ねて収容可能で、携帯し易く、また使用時にフィルム製剤を取り出し易い形態のプラスチック製容器等を好適に使用できる。
表1〜3に示す成分を含有する口腔内溶解フィルム(フィルム状歯磨剤組成物)を下記方法で調製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
口腔内溶解フィルムは、フィルム状歯磨剤組成物に配合される各成分を含有するフィルム形成用スラリー液を調製し、このフィルム形成用スラリー液を、離型シート(20×50cm、表面にマット処理を施したポリプロピレン)の上にハンドコーターを用いて下記の厚みになるように常法で塗工後に乾燥し、薄膜状のフィルムを離型シート上に形成させ、その後、離型シートを剥離し、得られた薄膜状フィルムを裁断することにより製造した。このようにして形成された口腔内溶解フィルムは、厚み50μmであり、2.0×1.5cmに裁断し、プラスチックケース(3×2.5cm)に複数枚を積み重ねて入れた。
なお、フィルム形成用スラリー液の調製方法は以下の通りである。
まず、水に(B)成分を加えて撹拌、分散させて90℃程度まで加温し、(B)成分を溶解させた。冷却した後、(C)、(D)成分を加えて溶解させ、その後に(A)成分、アルギン酸ナトリウムを順に加えて溶解させた。得られた混合溶液に、他の成分を加えて、フィルム形成用スラリー液とした。なお、比較例は上記方法に準じて調製した。
(A)ヒドロキシプロピルセルロース
HPC−1;セルニーSSL、粘度2.5mPa・s(日本曹達(株)製)
HPC−2;セルニーSL、粘度4.8mPa・s(日本曹達(株)製)
HPC−3(比較品);セルニーM、粘度200mPa・s(日本曹達(株)製)
(B)ポリビニルアルコール
PVA−1;ゴーセノールEG−05、粘度5.0mPa・s(日本合成化学(株)製)
PVA−2;ポバールJP05、粘度5.0mPa・s(日本酢ビ・ポバール(株)製)
PVA−3;(比較品)ゴーセノールEG−40、粘度43mPa・s(日本合成化学(株)製)
(C)糖アルコール及び/又は多価アルコール
PEG400;ポリエチレングリコール400(平均分子量400、三洋化成(株)製)
PEG4000;ポリエチレングリコール4000(平均分子量3,400、三洋化成(株)製)
グリセリン;濃グリセリン(阪本薬品工業(株)製))
ソルビトール;75%ソルビトール液(ロケット社製)
(D)非イオン性界面活性剤
ラウリン酸デカグリセリル;SY−グリスタ−ML−750(阪本薬品工業(株)製)
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油;BLAUNON PCW−20(青木油脂産業(株)製)
<口腔内での溶解性>
専門家の評価者10人を用いた官能試験により、下記方法で口腔内での溶解性を評価した。
口腔内溶解フィルム1枚を舌上にのせて適用して溶解状態を下記の評点基準に従って評価した。なお、この口腔内での溶解性とは、フィルム基材が口腔内で溶解するのに要する時間であり、研磨剤等の水不溶性成分は口腔内に分散する。
評点基準
4点:口腔内で6秒未満のうちに溶解する。
3点:口腔内で6秒以上10秒未満の範囲内で溶解する。
2点:口腔内で10秒以上30秒未満の範囲内で溶解する。
1点:口腔内での溶解に30秒以上かかる。
10名の評点結果を平均し、下記の基準により評価した。下記の基準で◎及び○の溶解性が確保されるものを、口腔内での溶解性が良好なフィルム製剤であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
評価者5人で、下記方法で離型シートからの剥離性を評価した。
離型シートにフィルム形成用スラリー液を塗工、乾燥後、得られた薄膜状のフィルムを離型シートから剥離する際の剥離性を下記の評点基準に従って評価した。
評点基準
4点:フィルムを抵抗なく剥離できる。
3点:フィルムを剥離するときに抵抗はあるが破れずに剥離できる。
2点:剥離するときにフィルムが破れる。
1点:フィルムを剥離することができない。
5名の評点結果を平均し、下記の基準により評価した。下記の基準で◎及び○の剥離性が確保されるものを、離型シートからの剥離性が良好であり、製造時の取り扱い性に優れるフィルム製剤であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
評価者5人で、手指への付着のなさを下記方法で評価した。
口腔内溶解フィルム1枚を素手で持った際の手指のベタツキ感について下記評点基準で評価した。
評点基準
4点:手指に全くベタツキを感じず、素手で非常に取り扱い易い。
3点:手指にベタツキを感じず、素手で取り扱い易い。
2点:手指にややベタツキを感じ、素手で取り扱うことがやや難しい。
1点:手指がベタツキ、素手で取り扱うことが難しい。
5名の評点結果を平均し、下記の基準により評価した。下記の基準で◎及び○のベタツキのなさが確保されるものを、手指への付着のなさが良好であり、使用時の取り扱い性に優れるフィルム製剤であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
専門家の評価者10人を用いた官能試験により、下記方法で評価した。
口腔内溶解フィルムを収容容器に収容した状態で、25℃で1ヶ月間保存した後、一枚を取り出して舌の上にのせて使用し、その際の清涼感付与効果について、以下の評点基準で評価した。
評点基準
4点:清涼感を強く感じる。
3点:清涼感を感じる。
2点:清涼感をわずかに感じる。
1点:清涼感を全く感じない。
10名の評点結果を平均し、下記の基準により評価した。下記の基準で◎及び○の清涼感が感じられるものを、清涼感付与効果の保存安定性が良好なフィルム製剤であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
HPC−1(セルニーSSL) 52.0%
PVA−1(ゴーセノールEG−05) 5.0
PEG400 5.0
PEG4000 10.0
ラウリン酸デカグリセリル 4.0
アルギン酸ナトリウム 4.0
塩化カルシウム 0.4
クロスポピドン 9.0
サッカリンナトリウム 0.4
l−メントール 5.1
香料 * 5.1
合計 100.0%
HPC−1(セルニーSSL) 48.9%
PVA−1(ゴーセノールEG−05) 5.2
PEG400 4.6
PEG4000 10.1
ラウリン酸デカグリセリル 3.5
アルギン酸ナトリウム 4.3
塩化カルシウム 0.4
クロスポピドン 8.6
ラウリル酸ナトリウム 2.0
サッカリンナトリウム 0.6
l−メントール 5.9
香料 * 5.9
合計 100.0%
HPC−1(セルニーSSL) 42.8%
PVA−1(ゴーセノールEG−05) 4.5
PEG400 4.0
PEG4000 8.8
ラウリン酸デカグリセリル 3.0
アルギン酸ナトリウム 3.8
塩化カルシウム 0.4
無水ケイ酸 12.6
クロスポピドン 7.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.8
サッカリンナトリウム 0.6
l−メントール 5.1
香料 * 5.1
合計 100.0%
Claims (11)
- (A)2質量%水溶液の20℃における粘度が2〜6mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース 30〜60質量%
(B)4質量%水溶液の20℃における粘度が3〜6mPa・sであるポリビニルアルコール 2〜8質量%
(C)糖アルコール及び/又は多価アルコール 4〜20質量%
及び
(D)非イオン性界面活性剤 1〜5質量%
を含有し、(A)成分と(B)成分との配合割合を示す(A)/(B)が質量比として5〜25であることを特徴とするフィルム状口腔用組成物。 - (C)糖アルコール及び/又は多価アルコールが、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコールである請求項1記載のフィルム状口腔用組成物。
- ポリエチレングリコールが、平均分子量400〜600のポリエチレングリコール及び/又は平均分子量2,000〜6,000のポリエチレングリコールである請求項2記載のフィルム状口腔用組成物。
- (D)非イオン性界面活性剤が、脂肪酸の炭素数が8〜24かつグリセリンの重合度が2〜20であるポリグリセリン脂肪酸エステル、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキル基の炭素数が14〜18かつエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜20モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- (D)非イオン性界面活性剤が、ラウリン酸デカグリセリルである請求項1乃至4のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- 更に、l−メントールを3〜8質量%含有する請求項1乃至5のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- 更に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤を0.001〜5質量%含有する請求項1乃至6のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- 更に、研磨剤を2〜40質量%含有する請求項1乃至7のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- 更に、(A)及び(B)成分以外の水溶性高分子物質を含有し、その含有量が10質量%以下である請求項1乃至8のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- 厚さ25〜125μmの口腔用フィルム製剤である請求項1乃至9のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
- フィルム状歯磨剤である請求項1乃至10のいずれか1項記載のフィルム状口腔用組成物。
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