JP6131465B2 - 汚泥脱水処理方法 - Google Patents

汚泥脱水処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6131465B2
JP6131465B2 JP2013027599A JP2013027599A JP6131465B2 JP 6131465 B2 JP6131465 B2 JP 6131465B2 JP 2013027599 A JP2013027599 A JP 2013027599A JP 2013027599 A JP2013027599 A JP 2013027599A JP 6131465 B2 JP6131465 B2 JP 6131465B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sludge
polymer
amidine
structural unit
cationic polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013027599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014155898A (ja
Inventor
久典 後藤
久典 後藤
小林 孝行
孝行 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2013027599A priority Critical patent/JP6131465B2/ja
Publication of JP2014155898A publication Critical patent/JP2014155898A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6131465B2 publication Critical patent/JP6131465B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、汚泥脱水処理方法に関し、詳しくは、従来の汚泥脱水剤では凝集フロックが成長せず微細な凝集フロックしか形成できない特定性状の汚泥を対象とした汚泥脱水処理方法に関する。
従来より、下水処理場、し尿処理場および各種産業廃水処理施設から発生する汚泥は、そのままでは脱水できないため、通常は高分子凝集剤を添加してスクリュープレス、スクリューデカンタ、ベルトプレスなどの脱水装置で機械脱水処理されている。一般に高分子凝集剤を用いた汚泥の脱水方法としては、(1)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩のようなカチオン性高分子凝集剤を単独で用いる方法、(2)前記のようなカチオン性高分子凝集剤とアニオン性高分子凝集剤とを併用する方法、(3)無機凝結剤と両性高分子凝集剤とを併用する方法などがある。
しかし近年、水処理の高度化、水処理対象廃水の性状の変化、多様化などにより汚泥が脱水し難いものになっている。例えば樹脂・繊維工業、染色工業、食品工業のような産業工場廃水処理施設から発生する汚泥(余剰・凝集沈殿・浮上スカム等)には無機塩や油分、そして界面活性剤などが多量に混在する。また、廃水処理の対象物の多様化や廃水処理の環境の変化によって、汚泥の性状は常に変動する。産業廃水処理施設から発生する汚泥では、生物処理で生じる余剰汚泥が特に多く、余剰汚泥の主成分は微生物体の細胞であり、細胞内に含まれる水分は圧搾などの機械的な方法では脱水できないため、その汚泥性状は一般的に難脱水性である。そのため前記に挙げたような凝集剤を用いた従来の脱水方法では、得られる凝集フロックの強度や水切れが不十分であり、汚泥の脱水処理を行う際に汚泥処理量の低下や脱水ケーキ含水率の上昇などの問題があった。
一方で、ポリアミジン構成単位を含むアミジン系カチオン性ポリマーはカチオン密度が高いため、産業廃水処理施設から発生する汚泥(余剰・凝集沈殿・浮上スカム等)に対して、特に優れた凝集性・脱水性を発揮することが知られている。一般的に、産業廃水処理の余剰汚泥では、繊維分を含む有機物は微生物により分解されるため、汚泥の繊維分は低く、難脱水の性状になる。このような難脱水性の汚泥に対して、アミジン系カチオン性ポリマーと種々の薬剤との配合凝集剤が提案されている。例えば、アミジン系カチオン性ポリマーと特定の両性ポリマー及びメタクリレート系カチオン性ポリマーを組み合わせて使用する汚泥脱水方法(特許文献1)や、アミジン系カチオン性ポリマーと2種以上の特定の両性ポリマーを組み合わせて使用する汚泥脱水方法(特許文献2)が提案されている。しかし、これらは繊維分の低い難脱水性の汚泥の処理を意図したものではあるが、汚泥の状態によっては効果が不十分であり、工業の工場廃水処理の生物学的処理施設から発生する余剰汚泥の脱水ケーキ含水率低下の要求を満たすに至っていない。
産業廃水処理の余剰汚泥では、生物処理を行う環境や運転条件によって、無機塩や汚泥有機物の含有量は常に変化する。特に、嫌気性処理や汚泥腐敗進行により生成された無機塩や腐敗性有機物を多量に含むような汚泥に対しては、アミジン系水溶性ポリマーの単独使用では粒径の小さい凝集フロックしか形成せず、アミジン系カチオン性ポリマーの特徴である高い脱水性が見られない傾向がある。無機成分を多量に含む汚泥に対して、アミジン系カチオン性ポリマーと特定のアニオン性ポリマーを組み合わせて使用することで凝集性を改善させる汚泥脱水方法(特許文献3)が提案されている。しかし、ここでの無機成分は浮遊物として汚泥中に分散しているものであり、凝集性への影響は小さいため、前記のような無機塩や腐敗性有機物を多量に含むような汚泥に対しては、フロックの成長が見られず、凝集性の改善効果が不十分である。
特開2002−177709号公報 特開2004−209413号公報 特開2000−176499号公報
アミジン系カチオン性ポリマーの効果が小さい汚泥の特徴を、汚泥の分析値から見ると汚泥の電気伝導度が0.5〜50mS/cmであり、繊維分が0.5〜10%/TSで且つ強熱減量物(以下、VTSという。)が5〜65%/TSであるということである。この様な汚泥種に対してはアミジン系カチオン性ポリマー単独では極めて小さな凝集フロックしか形成できず、特にスクリュープレス等の脱水機では目漏れが多く良好な脱水が望めない。本発明の目的は、前記のような特徴を有する汚泥の脱水処理方法として、長期間安定して十分な粒径と強度を持ち、従って、水切れが良好で脱水性の高い凝集フロックを形成させることができるため、SS量が少ない分離液及び含水率の低い脱水ケーキが得られる汚泥脱水処理方法を提供することにある。
本発明者らは、前記実情に鑑みて、鋭意探索の結果、次のような知見を得た。即ち、前記の性状の汚泥に関しては、アミジン系カチオン性ポリマーは汚泥中の懸濁物等のアニオン−両性の有機高分子成分に対して効率よく吸着はするものの、更にそれが両性ポリマーとコンプレックスを形成して凝集フロックに成長する過程の反応性については、両性ポリマーの粘度により左右される。両性ポリマーを0.1g/dl含む1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度(以下、還元粘度という。)が、10.0dl/gを超える高粘度両性ポリマーとアミジン系カチオン性ポリマーを併用する場合、凝集フロックに成長する段階において、アミジン系カチオン性ポリマーのカチオン性を示す官能基の一部と、高粘度両性ポリマーのアニオン性を示す官能基の一部が反応した後で直ちに自己架橋し不溶化するため、反応が抑制される。一方で、還元粘度が10.0dl/g以下である低粘度両性ポリマーをアミジン系カチオン性ポリマーを併用する場合は、凝集フロックの成長過程において自己架橋による不溶化が少なく、反応が効率よく進み、凝集フロックが水分を包含することなく、強度に優れた凝集フロックが形成され、汚泥の脱水処理における汚泥脱水剤の脱水性能が改善される。
本発明は、前記の知見に基づき達成されたものであり、その要旨は、電気伝導度が0.5〜50mS/cmであり、繊維分が0.5〜10%/TSで且つVTSが5〜65%/TSの範囲の汚泥に、汚泥脱水剤を添加した後に脱水処理する汚泥脱水処理方法において、以下に記載のアミジン系カチオン性ポリマー(A)と両性ポリマー(B)と非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の混合物から成り、各ポリマーの合計質量に対するアミジン系カチオン性ポリマー(A)の割合が10〜50質量%、両性ポリマー(B)の割合が10〜40質量%、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の割合が10〜80質量%である汚泥脱水剤を用いることを特徴とする汚泥脱水処理方法に存する。
[アミジン系カチオン性ポリマー(A)]
下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアミジン構成単位を含有するアミジン系カチオン性ポリマー。

Figure 0006131465

Figure 0006131465
(ただし、一般式(1)、(2)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Xは陰イオンである。)
[両性ポリマー(B)]
下記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、アニオン性構成単位と非イオン性構成単位を含有する少なくとも一種の両性ポリマーで、且つ、当該両性ポリマーを0.1g/dl含む1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度が0.1〜10.0dl/gである両性ポリマー。
Figure 0006131465
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、R及びRは、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基又はベンジル基であり、Yは、酸素原子又はNHであり、Zは、Cl、Br、又は1/2SO 2−であり、nは1〜3の整数である。)
[非アミジン系カチオン性ポリマー(C)]
前記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、非イオン性構成単位を含有する少なくとも一種の非アミジン系カチオン性ポリマー。
本発明の汚泥脱水処理方法によれば、従来技術では脱水処理が困難である特定性状の汚泥(電気伝導度が0.5〜50mS/cmであり、繊維分が0.5〜10%/TSで且つVTSが5〜65%/TSの範囲の汚泥)を対象汚泥とし、長期間安定して十分な粒径と強度を持ち、従って、水切れが良好で脱水性の高い凝集フロックを形成させることができるため、SS量が少ない分離液及び含水率の低い脱水ケーキが得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<汚泥脱水剤>
先ず、本発明で用いる汚泥脱水剤について説明する。本発明では、特定のアミジン系カチオン性ポリマー(A)と特定の両性ポリマー(B)と非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を組み合わせて用いる。
アミジン系カチオン性ポリマー(A)は、前記一般式(1)及び/又は前記一般式(2)で表されるアミジン構成単位を含有する。アミジン系カチオン性ポリマー(A)におけるアミジン構成単位の含有量は、通常30〜90モル%、好ましくは40〜80モル%である。含有量が30〜90モル%であれば、水切れの良好な凝集フロックが形成される。
アミジン系カチオン性ポリマー(A)の製造方法としては、特に制限はされないが、1級アミノ基又は変換反応により1級アミノ基が生成し得る置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アクリロニトリル又はメタアクリロニトリル等のニトリル類とのコポリマーを製造し、当該コポリマー中のシアノ基と1級アミノ基を酸性化反応させてアミジン化する方法が挙げられる。
前記のエチレン性不飽和モノマーとしては、一般式CH=CR−NHCOR(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。)で表わされる化合物が好ましい。コポリマー中において、斯かる化合物に由来する置換アミノ基は、加水分解あるいは加アルコール分解により容易に1級アミノ基に変換される。更に、この1級アミノ基は、隣接したシアノ基と反応してアミジン化する。前記の一般式で表される化合物の具体例としては、N−ビニルホルムアミド(R=H、R=H)、N−ビニルアセトアミド(R=H、R=CH)等が挙げられる。
前記コポリマーにおけるエチレン性不飽和モノマーとニトリル類との使用割合(モル比)は、通常20:80〜80:20、好ましくは40:60〜60:40である。
アミジン系カチオン性ポリマー(A)は、最も典型的には、前記で説明したところに従い、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとを共重合させ、生成したコポリマーを、塩酸の存在下、加熱し加水分解で生成したアミノ基と隣接するシアノ基からアミジン構成単位を形成させることにより製造される。この場合、共重合に供するN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのモル比、及びコポリマーのアミジン化条件を選択することにより、各種の組成を持つアミジン系カチオン性ポリマー(A)が得られる。なお、アミジン系カチオン性ポリマー(A)としては、入手し易い市販品から選択使用しても良い。
両性ポリマー(B)は、カチオン性構成単位として、基本的には前記一般式(3)で表される構成単位を含有するポリマーである。カチオン性構成単位としては、例えば、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級物に由来するカチオン性構成単位、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリアミドのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級化物に由来するカチオン性構成単位が挙げられる。特に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートアルキルクロライド4級物が好ましい。モノマーは、カチオン性モノマー1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
両性ポリマー(B)におけるカチオン性構成単位の含有量は、通常25〜80モル%、好ましくは25〜55モル%である。このような構成単位を含有する両性ポリマー(B)は、水切れが良好で、フロック強度の強い凝集フロックを形成し得る。
両性ポリマー(B)は、アニオン性構成単位を含有するポリマーであるが、アニオン性を示す官能基を有する構成単位としては、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸など挙げられるが、これらの中では、アクリル酸が好ましい。両性ポリマー(B)におけるアニオン性構成単位の含有量は、通常5〜75モル%、好ましくは10〜55モル%である。
両性ポリマー(B)は、前記カチオン性構成単位と前記アニオン性構成単位の他に非イオン性構成単位を含有するポリマーであるが、非イオン性を示す官能基を有する構成単位としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。両性ポリマー(B)における非イオン性構成単位の含有量は通常1〜70モル%以下である。
両性ポリマー(B)の粘度を示す物性値としては、当該両性ポリマーを0.1g/dl含む1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度が0.1〜10.0dl/gであるが、1.0〜7.5dl/gが好ましい。還元粘度が0.1〜10.0dl/gであれば、水切れが良好で脱水性の高い凝集フロックを形成し得る。
両性ポリマー(B)は、これが含有するアニオン性構成単位の含有率をMaモル%、カチオン性構成単位の含有率をMcモル%としたとき、アニオン性構成単位とカチオン性構成単位の含有率の比Ma/Mc(以下、「A/C」という)は、通常は0.35〜1.65、好ましくは0.50〜1.30である。A/Cが0.35〜1.65である両性ポリマー(B)は、水切れが良好で、よりフロック強度の強い凝集フロックを形成し得るため脱水性能が向上しやすい。
非アミジン系カチオン性ポリマー(C)は、カチオン性構成単位として、基本的には前記一般式(3)で表される構成単位を含有するポリマーである。カチオン性構成単位としては、例えば、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級物に由来するカチオン性構成単位、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリアミドのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級化物に由来するカチオン性構成単位が挙げられる。特に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートアルキルクロライド4級物が好ましい。モノマーは、カチオン性モノマー1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
非アミジン系カチオン性ポリマー(C)におけるカチオン性構成単位の含有量は、通常30〜90モル%、好ましくは50〜80モル%である。また、当該カチオン性構成単位としては、全構成単位中の割合として、少なくともジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級塩モノマー構成単位を30〜90モル%、並びにジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級塩モノマー構成単位を0〜30モル%含有することが好ましい。このような構成単位を含有する非アミジン系カチオン性ポリマー(C)は、水切れが良好で、フロック強度の強い凝集フロックを形成し得る。
非アミジン系カチオン性ポリマー(C)は、非イオン性構成単位を含有するポリマーであり、非イオン性構成単位としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。非アミジン系カチオン性ポリマー(C)における非イオン性構成単位の含有量は通常1〜70モル%以下である。
有機性汚泥等、汚泥中にアニオン性もしくは両性の有機高分子成分が存在する場合、アミジン系カチオン性ポリマーを使用すると、凝集フロックを形成しやすい。これは前記成分がアミジン系カチオン性ポリマーと反応しコンプレックスを生成するためである。ところが本発明が対象とする汚泥の性状においては、生物処理の工程で汚泥中のアニオン−両性の有機高分子成分が微生物体により分解され、その含有量が低下するため、コンプレックスの生成が少なく、凝集フロックが成長できない。凝集機能を両性ポリマーで代替する場合、通常であれば分子量が大きく、高粘度の両性ポリマーを用いると汚泥粒子の架橋能力も高く有効に作用することが多い。
しかしながら、本発明が対象とする汚泥の場合、逆に分子量が比較的小さく、低粘度の両性ポリマーの方が凝集フロックの形成性能が高い。これは分子鎖の広がりよりも分子の拡散速度や反応速度が重要なファクターになっているためと考えられる。そのため、両性ポリマー(B)は、還元粘度が0.1〜10.0g/dlの範囲にある場合、水切れが良好で、フロック強度が高い凝集フロックを形成することができる。還元粘度が前記より大きい場合は、その反応速度が遅くなり、前記自己架橋による不溶化によって凝集フロックの成長過程の反応が抑制され、大きな凝集フロックが形成できず、前記より小さい場合は、架橋能力が小さく、生成した凝集フロックが小さくその強度が弱く、濾過性能も低く脱水ケーキの含水率が高くなる。
また本発明が対象とする汚泥には、無機塩が多く含まれており、これらの無機塩は汚泥中では1〜3価の陰イオン即ちアニオン性成分として混在しているものが多い。アミジン系カチオン性ポリマーは、これらの無機塩由来のアニオン性成分と反応し荷電を中和するため、水切れが良好で脱水性の高い凝集フロックが形成し得る。しかし、この無機塩由来のアニオン性成分と反応により、アミジン系カチオン性ポリマー(A)と汚泥中のアニオン−両性の有機高分子成分及び、両性ポリマー(B)の吸着によって生成されたコンプレックスが更に凝集フロックへと成長する際に必要となる架橋吸着の機能が低下するため、汚泥中の無機塩の含有量が多くなれば、粗大な凝集フロックを形成するために、多くの添加量を要する。一方で、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)は、無機塩由来のアニオン性成分との反応性がアミジン系カチオン性ポリマー(A)よりも低く、無機塩による架橋吸着への影響を受け難い。よって、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を併用することで、前記の凝集フロックへ成長過程の架橋吸着が改善し、少ない添加量で且つより優れた強度を持つ凝集フロックが形成し得る。
両性ポリマー(B)及び非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の製造方法は、特に制限されないが、前記のモノマーを水に溶解させたモノマー水溶液を均一なシート状にし、光開始剤を用いて可視光又は紫外光を照射して共重合させる水溶液光重合方法、モノマーの水溶液に1種以上の開始剤を加えて重合させ水性ゲル状の重合物を得る断熱重合、非水溶媒中にモノマー水溶液を分散させて重合する分散重合、非水溶媒中で乳化剤を用いてモノマー水溶液を乳化させて重合する乳化重合等の方法が自由に選択できる。光重合、断熱重合等の場合は、ポリマーは水性ゲルとして取得されるので、粉砕、乾燥して粉末にするのが好ましい。
前記の両性ポリマー(B)の還元粘度の調整方法にとしては、特に制限されないが、製造工程における重合時間、重合温度、連鎖移動剤添加量等の条件を製造するポリマーの粘度を考慮して適宜選定する。本発明においては、連鎖移動剤添加量の条件により、還元粘度を調整することが好ましい。連鎖移動剤の種類は特に制限されず、例えばメルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類等が挙げられる。その中でも特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。連鎖移動剤の添加量は、原料全モノマーに対して通常1〜3000ppm程度である。
本発明で用いる汚泥脱水剤は、アミジン系カチオン性ポリマー(A)と両性ポリマー(B)と非アミジン系カチオン性ポリマー(C)からなるが、凝集フロックの水切れが良好で、優れた強度を持つ凝集フロックを形成し得るためには、アミジン系カチオン性ポリマー(A)と両性ポリマー(B)と非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を所定の混合比で用いる必要がある。即ち、混合比は、各ポリマーの合計質量に対するアミジン系カチオン性ポリマー(A)の割合が10〜50質量%、両性ポリマー(B)の割合が10〜40質量%、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の割合が10〜80質量%である。このような混合比は、優れた強度を持つ凝集フロックを形成し得るのでより効率的である。
<汚泥>
次に、本発明の対象汚泥について説明する。本発明の対象汚泥は、電気伝導度が0.5〜50mS/cmであり、繊維分が0.5〜10%/TSで且つVTSが5〜65%の範囲の汚泥である。具体的に化学(染色、樹脂、繊維、化成品)、医薬品、食品産業や産業廃棄物処理場、埋立処分場等の廃水処理施設やから発生する余剰汚泥、凝集沈殿汚泥、加圧浮上スカム汚泥等が挙げられる。
このような性状を有する汚泥に含まれる無機塩は、廃水処理施設に供給される前の廃水に多量に含まれる無機塩や、生物処理による有機分の分解により生成られる無機塩、また、凝集沈殿や加圧浮上等の廃水処理にて、無機凝結剤などの無機薬剤を多量に使用したため発生する無機塩などが挙げられる。汚泥中の無機塩としては、硫酸塩、リン酸塩、珪酸塩、等が挙げられるが、特に限定されるものではない。汚泥の電気伝導度は、汚泥中に含まれる無機塩の量を表すーつの指標であり、本発明が対象とする汚泥は、無機塩を多量に含み、電気伝導度が高い状態にあるものであり、その値は前記のとおりであるが、好ましくは3.0〜30mS/cmである。
また、廃水処理施設から発生する余剰汚泥であれば、繊維分などの汚泥中に含まれる生体由来の有機高分子成分が、生物処理や汚泥の腐敗進行によって分解され含有量が低下し、繊維分の値は低い状態にあるものであり、その値は前記のとおりであるが、好ましくは0.5〜5%/TSである。
一般的に汚泥中にはアニオン−両性の有機高分子成分が存在し、アミジン系カチオン性ポリマー(A)はこれらの成分に対して強固に吸着しコンプレックスが生成し、それが汚泥粒子と架橋吸着することで凝集フロックが形成される。汚泥のVTSは、この汚泥中のアニオン−両性の有機高分子成分の指標であり、VTSの値が低ければ、それだけアミジン系カチオン性ポリマー(A)と反応しうる成分の含有量は少ない汚泥性状であると考えられる。本発明が対象とする汚泥の性状においては、生物処理の行程で汚泥中のアニオン−両性の有機高分子成分が微生物体により分解されるため、汚泥のVTSの値は低い傾向にある。このようにVTSが低い汚泥に対しては、アミジン系カチオン性ポリマー(A)とコンプレックスを生成する機能を代替しうる両性ポリマー(B)の併用がより有効であると考えられる。本発明が対象とする汚泥のVTSは5〜65%/TSであり、好ましくは5〜50%/TSである。本汚泥脱水剤を前記汚泥に加えることで、水切れが良く、より優れた強度を持つ凝集フロックを形成し得ることができる。
前記の電気伝導度は、汚泥中の各種イオン、塩類の量を示す。電気伝導度の測定は、日本工業標準調査会データベース 「JIS、K0102、工場排水試験方法」に準拠して行われる。
前記の繊維分は、具体的に以下のような手順で測定される。
(i)汚泥100mlを200メッシュの篩いで濾過し、濾物を充分に洗浄する。
(ii)105℃で12時間乾燥し秤量する。
(iii)その後600℃で2時間加熱し、灰化後、秤量する。
(iv)105℃乾燥後の値から灰化後の値を引いた値(汚泥中繊維量)(g)を計算する。
(v)元の汚泥100mlをそのまま105℃で6時間乾燥し残量(総固形分量)(g)を秤量する。
(vi)下記式で繊維分(%/TS)を計算する。
Figure 0006131465
前記のVTSは、具体的に以下のような手順で測定される。
(i)汚泥100mlをそのまま105℃で6時間乾燥し残量(総固形分量)(g)を秤量する。
(ii)その後600℃で2時間加熱し、灰化後の残量(焼却重量)(g)を秤量する。
(iii)下記式で強熱減量物(VTS)(%/TS)を計算する。
Figure 0006131465
<汚泥脱水処理方法>
次に、本発明の汚泥脱水処理方法について説明する。本発明において、汚泥脱水剤の汚泥への添加方法及び凝集フロックの形成方法としては、公知の方法が適用できる。
汚泥脱水剤の添加方法としては、汚泥脱水剤を水に0.05〜0.5質量%の濃度で溶解させた後、汚泥に添加することが好ましい。また、汚泥脱水剤は、アミジン系カチオン性ポリマー(A)、両性ポリマー(B)、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を混合した1剤型薬剤として添加することが好ましい。場合によっては、汚泥脱水剤を粉末状のまま汚泥に添加しても良い。また、汚泥脱水剤の水への溶解性を向上させるために酸性物質を添加しても良い。酸性物質としては、例えば、スルファミン酸が挙げられる。
凝集を形成した後は、脱水装置を用いて凝集フロックを脱水し、脱水ケーキを得ることにより汚泥脱水処理を完了することができる。脱水機としては、例えば、フィルタープレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、圧入式スクリュープレス型脱水機、真空型脱水機、ベルトプレス型脱水機、遠心型脱水機、多重円板型脱水機等が挙げられるが、特に汚泥のフロック径により脱水効果が大きく影響を受けるスクリュープレス型脱水機や遠心型脱水機において本発明の効果が顕著である。
汚泥脱水剤の添加量は、汚泥の性状、濃度などにより異なり一概には言えないが、大まかな目安として、汚泥の乾燥固形物100質量部に対し、通常0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部である。汚泥脱水剤の添加量が0.1質量部以上であれば、十分な粒径及び強度を有する凝集フロックが形成されやすい。また、汚泥脱水剤の添加量が5.0質量部以下であれば、汚泥脱水剤が過剰となることで形成される凝集フロックの粒径が小さくなったり、処理速度が遅くなったり、脱水ケーキの含水率が高くなったりすることを抑制しやすい。
また、本発明においては、汚泥脱水剤に加えて、無機凝結剤及び/又は有機凝結剤(以下、これらをまとめて単に「凝結剤」という)を併用しても良い。前期の汚泥脱水剤は、凝結剤と併用しても、汚泥に対する脱水効果を十分に発揮できる。無機凝結剤としては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、ポリ鉄(ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄等)が挙げられる。有機凝結剤としては、例えば、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアルキルアミノアルキルメタクリレートのアルキルクロライド4級塩、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
凝結剤の添加時期は、特に制限はないが、汚泥脱水剤を添加する前の工程で添加することが好ましい。凝結剤の添加量は、本汚泥脱水剤100質量部に対し、通常5〜3000質量部である。凝結剤の前記添加量が5質量部未満であると、凝結剤を併用した効果が得られ難く、汚泥によっては本汚泥脱水剤の性能が発揮され難くなる。また、凝結剤の添加量が3000質量部を超えると、特に無機凝結剤では添加量の増加に伴って脱水ケーキの含水率が増加する傾向がある。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によって限定されるものではない。なお、本実施例における「%」は特に断りのない限り「質量%」を示す。以下の製造例で得られた各ポリマーについては、下記に示す還元粘度の測定を行った。測定には、粉末状の汚泥脱水剤を用いた。
[還元粘度の測定]
1規定塩化ナトリウム水溶液中、0.1g/dlの溶液として25℃でオストワルドの粘度計により測定した。
本実施例で用いた原料を以下に示す。
[モノマー]
(i)カチオン性モノマー:
(a)N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(以下、「DME」という。)、大阪有機化学工業社製、80%水溶液
(b)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩(以下、「DMC」という。)、大阪有機化学工業社製、80%水溶液
(ii)アニオン性モノマー:
アクリル酸(以下、「AA」という。)、三菱化学社製、50%水溶液
(iii)非イオン性モノマー:
(a)アクリルアミド(以下、「AAM」という。)、ダイヤニトリックス社製、50%水溶液
(b)アクリロニトリル(以下、「AN」という。)、ダイヤニトリックス社製、純度99%
(c)N−ビニルホルムアミド(以下、「NVF」という。)、ダイヤニトリックス社製、純度91%水溶液
[開始剤]
(i)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR1173)、(以下、「D−1173」という。)、Ciba社製
(ii)2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(V−50)(以下、「V−50」という。)、和光純薬社製
[連鎖移動剤]
次亜リン酸ナトリウム(以下、「HPA」という。)、和光純薬社製
<アミジン系カチオン性ポリマー(A)の合成>
[製造例1]
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた内容積50mlの四つ口フラスコにANとNVFの混合物(モル比55:45)6gと蒸留水34gとの混合物を入れた。窒素ガス中攪拌しつつ60℃に昇温し、V−50の0.12gを添加し、更に、3時間保持し、水中にポリマーが析出した懸濁物を得た。懸濁物に蒸留水20g添加し、更に、濃塩酸をポリマーのホルミル基に対し当量添加し100℃で4時間保持し、黄色の高粘度液を得た。これを多量のアセトンに添加し、ポリマーを析出させ、細断し、60℃で1昼夜乾燥後粉砕してアミジン系カチオン性ポリマー(A)(ポリマーA)を得た。
ポリマーAを重水に溶解させ、NMRスペクトロメーター(日本電子社製、270MHz)にて13C−NMRスペクトルを測定した。13C−NMRスペクトルの各繰り返し単位に対応したピークの積分値より各単位の組成を算出した。前記一般式(1)及び(2)の構造単位は、区別することなく、その総量として求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006131465
<両性ポリマー(B)の合成>
[製造例2]
DMEの822.8g、AAの600.0g、AAMの100.0gを、内容積2000ml褐色耐熱瓶に投入し、HPAの3.0gと蒸留水を加え、総質量が2000gのモノマー水溶液(DME:AA:AAM=27.0:36.2:36.8(モル%)、モノマー濃度50%)を調製した。更に、D−1173を、モノマー水溶液の総質量に対して、150ppmとなるように投入し、これに窒素ガスを30分間吹き込みながらモノマー水溶液の温度を20℃に調節した。
その後、モノマー水溶液をステンレス反応容器に移し、容器の下方から16℃の水を噴霧しながら、ケミカルランプを用いて、容器の上方から5W/mの照射強度で、表面温度計が40℃になるまで光を照射した。表面温度計が40℃に到達した後は、0.3W/mの照射強度で30分間光を照射した。更に、モノマーの残存量を低減させるために、照射強度を50W/mにして10分間光を照射した。これにより、含水ゲル状のポリマーを得た。以降、製造例1と同様の操作を行い、両性ポリマー(B)(ポリマーB−1)を得た。得られた含水ゲル状のポリマーを容器から取り出し、小型ミートチョッパーを用いて解砕した後、温度60℃で16時間乾燥した。その後、ウィレー型粉砕機を用いて乾燥したポリマーを粉砕し両性ポリマー(B)(ポリマーB−1)
[製造例3〜14]
製造例2において、各モノマーおよびHPAの量を調節し、表2に記載の割合に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行い、両性ポリマー(B)(ポリマーB−2〜11、b−1、2)を得た。
<非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の合成>
[製造例15〜17]
製造例2において、各モノマーおよびHPAの量を調節し、表2に記載の割合に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行い、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)(ポリマーC−1〜3)を得た。
Figure 0006131465
[汚泥の電気伝導度の測定]
汚泥の電気伝導度は、上述の電気伝導度の測定方法によって測定した。
[汚泥の繊維分の測定]
汚泥の繊維分は、上述の繊維分の測定方法によって測定した。
[汚泥のVTSの測定]
汚泥のVTSは、上述のVTSの測定方法によって測定した。
[汚泥のTSの測定]
汚泥濃度(以下、TSという。)は、具体的に以下の測定方法によって測定した。
(i)汚泥100mlを採取し重量(汚泥総重量)(g)を秤量する。
(ii)汚泥100mlをそのまま105℃で6時間乾燥し残量(総固形分量)(g)を秤量する。
(iii)下記式で汚泥濃度(TS)(%)を計算する。
Figure 0006131465
[実施例1〜11]
(使用汚泥)
化学産業の廃水処理施設から発生する余剰汚泥として、T株式会社の樹脂・繊維工場の廃水処理施設で採取した余剰汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが30.2%、TSが1.14%、電気伝導度が25.7mS/cm、繊維分が0.5%/TSである汚泥。
(脱水試験)
先ず、500mlビーカーに前記汚泥の300mlを採取した。次いで、表1に記載のポリマーを表4に記載の各混合比率で0.3%に溶解して汚泥脱水剤水溶液を調製し、これを表4に記載の濃度になるよう添加した後、スパチュラにより、攪拌速度:180回転/分、攪拌時間:60秒間の条件下に撹拌混合して凝集フロックを形成させ、汚泥の脱水処理を行った。後述の評価結果を表3に示す。
[比較例1〜7]
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させ、汚泥の脱水処理を行った。後述の評価結果を表3に示す。
[評価方法]
(凝集フロック粒径、濾過性能、濾過水のSS量)
各例において凝集フロックを形成させた後に攪拌を止め、凝集フロック粒径を目視により測定した。その後、予め濾布を敷いたヌッチェに凝集した汚泥を移し、濾過性能(10秒間の濾過水量)を測定した。このとき、60秒間濾過した後の濾過水のSS量を目視により以下の基準で評価した。
(濾過水のSS量の評価基準)
− :濾過水がほとんど透き通っており、浮遊物はほぼ見られない(SS量目安:50ppm未満)。
+ :濾過水に一部濁りが見られ、浮遊物がわずかに存在する(SS量目安:50ppm以上100ppm未満)。
++ :濾過水に部分的に濁りが見られ、浮遊物がところどころ存在する(SS量目安:100ppm以上200ppm未満)。
+++ :濾過水に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在する(SS量目安:200ppm以上500ppm未満)。
++++:濾過水に全体的に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS量目安:500ppm以上1000ppm未満)。
× :濾過水が完全に濁り、粗大な浮遊物が多数存在する(SS量目安:1000ppm以上)。
(凝集フロック強度)
濾過濃縮した汚泥(凝集フロック)を濾布上で50回転がし、凝集フロックの強度(団粒性)を以下の基準で評価した。
AA:濾布上で転がすことにより水が切れ、凝集フロックが数個の団子状になる。
A :濾布上で転がすことにより水が切れ、凝集フロックが一塊状になる。
B :濾布上で転がすことにより水が切れるが、凝集フロックが崩れ塊状にならない。
C :濾布上で転がすことにより、凝集汚泥が崩れて流れ、ドロドロになる。
(脱水ケーキの含水率)
凝集フロック強度の測定後、凝集フロックを0.1MPaの圧力で60秒間プレス脱水して脱水ケーキを得て、その含水率を測定した。含水率の測定は、(財)日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p296−297に準拠して行った。
Figure 0006131465
表3に示すように、本発明の汚泥脱水剤を用いた実施例1〜11では、粗大な凝集フロックを生成し、脱水ケーキの含水率も低かった。特に、両性ポリマー(B)の還元粘度が1.0〜7.5dl/gの範囲内であり、且つA/Cが0.50〜1.30の範囲内である実施例1、2、7、8、11では、優れた強度を持ち、脱水性に優れた凝集フロックが得られた。
比較例1,2は、両性ポリマー(B)の還元粘度が本願発明の所定範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、いずれも生成した凝集フロックが小さく、凝集フロックの強度が弱く、濾過性能が低く、脱水ケーキの含水率が高かった。
比較例3〜7、各ポリマーの混合比が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、凝集フロックのフロック径が小さく、凝集フロックの強度も弱く、ろ過性能も低かった。
[実施例12〜16、比較例8〜14]
(使用汚泥)
食品産業の廃水処理施設から発生する余剰汚泥として、H株式会社の製糖工場の廃水処理施設で採取した余剰汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが41.3%、TSが1.36%、電気伝導度が6.7mS/cm、繊維分が1.4%/TSである汚泥。
(脱水試験)
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表4に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の脱水試験を実施した。実施例12〜16及び比較例8〜14における評価結果を表4に示す。
Figure 0006131465
表4に示すように、本発明の汚泥脱水剤を用いた実施例12〜16では、粗大な凝集フロックを生成し、脱水ケーキの含水率も低かった。特に、両性ポリマー(B)の還元粘度が1.0〜7.5dl/gの範囲内であり、且つA/Cが0.50〜1.30の範囲内である実施例12、13、16では、優れた強度を持ち、脱水性に優れた凝集フロックが得られた。
比較例8,9は、両性ポリマー(B)の還元粘度が本願発明の所定範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、いずれも生成した凝集フロックが小さく、凝集フロックの強度が弱く、濾過性能が低く、脱水ケーキの含水率が高かった。
比較例10〜14、各ポリマーの混合比が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、凝集フロックのフロック径が小さく、凝集フロックの強度も弱く、ろ過性能も低かった
[実施例17〜20及び比較例15、16]
(使用汚泥)
埋立処分場の廃水処理施設から発生する凝集沈殿汚泥として、O株式会社の廃水処理施設で採取した凝集沈殿汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが18.4%、TSが2.77%、電気伝導度が16.8mS/cm、繊維分が0.4%/TSである汚泥。
(脱水試験)
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表5に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の脱水試験を実施した。実施例17〜20及び比較例15、16における評価結果を表5に示す。
Figure 0006131465
表5に示すように、本発明の汚泥脱水剤を用いた実施例17〜20では、粗大な凝集フロックを生成し、脱水ケーキの含水率も低かった。特に、両性ポリマー(B)の還元粘度が1.0〜7.5dl/gの範囲内であり、且つA/Cが0.50〜1.30の範囲内である実施例17、18では、優れた強度を持ち、脱水性に優れた凝集フロックが得られた。
比較例15,16は、両性ポリマー(B)の還元粘度が本願発明の所定範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、比較例15では凝集フロックが形成せず、また比較例16では生成したフロックが小さく、生成フロックの強度が弱く、濾過性能が低く、脱水ケーキの含水率が高かった。
[比較例17〜19]
(使用汚泥)
化学産業の廃水処理施設から発生する余剰汚泥として、Y株式会社の樹脂・繊維工場の廃水処理施設で採取した余剰汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが58.0%、TSが0.83%、電気伝導度が0.3mS/cm、繊維分が8.5%/TSである汚泥。
(脱水試験)
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表6に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の脱水試験を実施した。比較例17〜19における評価結果を表6に示す。
Figure 0006131465
表6は、汚泥の電気伝導度が本願発明の所定範囲から外れた汚泥を用いて脱水試験を実施した結果を示したものである。また、比較例17は本発明の汚泥脱水剤を用いた例であり、比較例18は各ポリマーの混合比が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例であるが、どちらも粗大な凝集フロックの生成し、脱水ケーキの含水率も低く、凝集性能は同等であった。
一方で、比較例19は、両性ポリマー(B)の還元粘度が本願発明の所定範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例であるが、フロック径、フロック強度、脱水ケーキ含水率は、比較例17と同等の結果であった。
[比較例20、21]
(使用汚泥)
化学工場の廃水処理施設から余剰発生するとして、N株式会社の繊維工場の廃水処理施設で採取した余剰汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが60.5%、TSが1.63%、電気伝導度が6.7mS/cm、繊維分が11.5/TSである汚泥。
(脱水試験)
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表7に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の脱水試験を実施した。比較例20、21における評価結果を表7に示す。
Figure 0006131465
表7は、汚泥の繊維分が本願発明の所定範囲から外れた汚泥を用いて脱水試験を実施した結果を示したものである。また、比較例20は本発明の汚泥脱水剤を用いた例であり、比較例21は各ポリマーの混合比が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例であるが、どちらも粗大な凝集フロックの生成し、脱水ケーキの含水率も低く、凝集性能は同等であった。
[比較例22、23]
(使用汚泥)
化学工場の廃水処理施設から発生する余剰汚泥として、S株式会社の染色工場の廃水処理施設で採取した余剰汚泥で次の特性を有する汚泥を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された汚泥のVTSが70.5%、TSが1.23%、電気伝導度が0.9mS/cm、繊維分が3.4%/TSである汚泥
(脱水試験)
汚泥脱水剤に用いたポリマーを表8に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の脱水試験を実施した。比較例22、23における評価結果を表8に示す。
Figure 0006131465
表8は、汚泥のVTSが本願発明の所定範囲から外れた汚泥を用いて脱水試験を実施した結果を示したものである。また、比較例22は本発明の汚泥脱水剤を用いた例であり、比較例23は両性ポリマー(B)の還元粘度が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例であるが、どちらも粗大な凝集フロックの生成し、脱水ケーキの含水率も低く、凝集性能は同等であった。

Claims (2)

  1. 電気伝導度が0.5〜50mS/cmであり、繊維分が0.5〜10%/TSで且つ強熱減量物(VTS)が5〜65%/TSの範囲である汚泥に汚泥脱水剤を添加した後に脱水処理する汚泥脱水処理方法において、汚泥脱水剤として、以下に記載のアミジン系カチオン性ポリマー(A)と両性ポリマー(B)と非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の混合物から成り、各ポリマーの合計質量に対するアミジン系カチオン性ポリマー(A)の割合が10〜50質量%、両性ポリマー(B)の割合が10〜40質量%、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の割合が10〜80質量%である汚泥脱水剤を用いることを特徴とする汚泥脱水処理方法。
    [アミジン系カチオン性ポリマー(A)]
    下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアミジン構成単位を含有するアミジン系カチオン性ポリマー。
    Figure 0006131465
    Figure 0006131465
    (ただし、一般式(1)、(2)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Xは陰イオンである。)
    [両性ポリマー(B)]
    下記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、アニオン性構成単位と、非イオン性構成単位を含有する両性ポリマーで、かつ、当該両性ポリマーを0.1g/dlの1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度が0.1〜10.0dl/gである両性ポリマー。

    Figure 0006131465
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、R及びRは、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基又はベンジル基であり、Yは、酸素原子又はNHであり、Zは、Cl、Br、又は1/2SO 2−であり、nは1〜3の整数である。)
    [非アミジン系カチオン性ポリマー(C)]
    前記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、非イオン性構成単位を含有する非アミジン系カチオン性ポリマー。
  2. 前記両性ポリマー(B)の含有するアニオン性構成単位の含有率をMaモル%、カチオン性構成単位の含有率をMcモル%としたとき、比Ma/Mcが0.35〜1.65である請求項1に記載の汚泥脱水処理方法。
JP2013027599A 2013-02-15 2013-02-15 汚泥脱水処理方法 Active JP6131465B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013027599A JP6131465B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 汚泥脱水処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013027599A JP6131465B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 汚泥脱水処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014155898A JP2014155898A (ja) 2014-08-28
JP6131465B2 true JP6131465B2 (ja) 2017-05-24

Family

ID=51577163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013027599A Active JP6131465B2 (ja) 2013-02-15 2013-02-15 汚泥脱水処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6131465B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6550782B2 (ja) * 2015-02-18 2019-07-31 三菱ケミカル株式会社 廃水の凝集処理剤および廃水の凝集処理方法
EP3369712A1 (en) * 2015-10-28 2018-09-05 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Method for treating organic waste water and composition for treating organic waste water
JP6651825B2 (ja) * 2015-12-08 2020-02-19 栗田工業株式会社 汚泥脱水剤及び汚泥脱水方法
JP7216967B2 (ja) * 2017-04-28 2023-02-02 ハイモ株式会社 有機性廃水の処理方法及びその利用
CN115925208B (zh) * 2022-11-07 2023-11-10 镇江市规划勘测设计集团有限公司 一种基于可控骨架作用的高含水率废浆脱水方法及高强砖的制备方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3314431B2 (ja) * 1993-01-27 2002-08-12 ダイヤニトリックス株式会社 汚泥脱水剤
JP3697700B2 (ja) * 1994-12-09 2005-09-21 栗田工業株式会社 汚泥脱水剤
JPH1085797A (ja) * 1996-09-13 1998-04-07 Ebara Corp 汚泥の脱水剤及び脱水方法
JPH1147799A (ja) * 1997-08-06 1999-02-23 Ebara Corp 汚泥の脱水方法
JP3635954B2 (ja) * 1998-12-21 2005-04-06 オルガノ株式会社 無機系含油汚泥の脱水方法
JP4149795B2 (ja) * 2002-11-18 2008-09-17 ハイモ株式会社 汚泥脱水剤
GB0405504D0 (en) * 2004-03-12 2004-04-21 Ciba Spec Chem Water Treat Ltd Dewatering process
JP5037002B2 (ja) * 2004-11-25 2012-09-26 ダイヤニトリックス株式会社 高分子凝集剤を用いた汚泥の凝集脱水処理方法及び廃水の凝集沈殿処理方法
TW200621653A (en) * 2004-11-25 2006-07-01 Dia Nitrix Co Ltd Method for dewatering of sludge with polymer flocculant and method for flocculation of wastewater with polymer flocculant
JP4854432B2 (ja) * 2006-09-04 2012-01-18 ダイヤニトリックス株式会社 汚泥の脱水方法
JP4847833B2 (ja) * 2006-09-28 2011-12-28 ハイモ株式会社 安定なエマルジョン組成物および汚泥脱水方法
JP5348757B2 (ja) * 2009-03-25 2013-11-20 ハイモ株式会社 水溶性高分子組成物
JP5427985B2 (ja) * 2009-05-13 2014-02-26 三菱レイヨン株式会社 汚泥脱水剤および汚泥脱水方法
JP5961934B2 (ja) * 2011-06-27 2016-08-03 三菱レイヨン株式会社 汚泥脱水処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014155898A (ja) 2014-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Du et al. Evaluation of the starch-based flocculants on flocculation of hairwork wastewater
Zhen et al. Synergetic pretreatment of waste activated sludge by Fe (II)–activated persulfate oxidation under mild temperature for enhanced dewaterability
JP6131465B2 (ja) 汚泥脱水処理方法
WO2016190388A1 (ja) 廃水の処理方法
CN100497415C (zh) 一种阳离子型脱水剂的制备方法
JP5700354B2 (ja) 汚泥脱水剤及び汚泥脱水処理方法
CA2125903C (en) Compositions and methods for water clarification and wastewater treatment
JP2011139997A (ja) 廃水の凝集処理方法
JP5427985B2 (ja) 汚泥脱水剤および汚泥脱水方法
JP5961934B2 (ja) 汚泥脱水処理方法
JP5172372B2 (ja) 汚泥の脱水処理方法
JP5042057B2 (ja) 汚泥の脱水処理方法
JP5906672B2 (ja) 汚泥脱水剤およびこれを用いた有機汚泥の脱水処理方法
Zeng et al. Experimental study on chitosan composite flocculant for treating papermaking wastewater
Sinha Textile wastewater clarification using milk based formulations as an effective dye absorbent and flocculant
JP6729641B2 (ja) 有機性廃水の処理方法、及び、有機性廃水処理用組成物
JP7216967B2 (ja) 有機性廃水の処理方法及びその利用
JP2016120464A (ja) 汚泥の脱水方法
JP5501122B2 (ja) 粉末状カチオン系水溶性高分子化合物の製造方法、汚泥脱水剤及び汚泥の脱水処理方法
JP2022020525A (ja) 高分子凝集剤組成物及びそれを用いる汚泥処理方法
JP6550782B2 (ja) 廃水の凝集処理剤および廃水の凝集処理方法
JP2002045900A (ja) 汚泥の脱水方法
Sunthornvatin et al. Effect of Poly (Acrylic Acid) Based Polymer Flocculants on Sedimentation of Surface Water
Akryloamidowych et al. Application of acrylamide polymers as flocculants in sewages coagulation process
JP6612630B2 (ja) 高分子凝集剤組成物及びその製造方法並びに該高分子凝集剤組成物を用いる汚泥の脱水方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170327

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6131465

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250