JP6651825B2 - 汚泥脱水剤及び汚泥脱水方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚泥脱水剤及び汚泥脱水方法に関するものであり、特に、高価なカチオン性ポリマーの使用量を少なくすることができ、有機性汚泥とりわけ、難脱水性の余剰汚泥や消化汚泥を低コストで効率的に脱水処理することができる汚泥脱水剤と、この汚泥脱水剤を用いた汚泥脱水方法に関する。
食品工場、化学工場、下水処理場等で発生する余剰汚泥を主体とした有機性汚泥は、一般に、カチオン性ポリマー(カチオン性高分子凝集剤)を添加し、スクリュープレス、遠心脱水機、ベルトプレス等の脱水機で脱水して脱水ケーキとした後、産業廃棄物として処分するか焼却処分されている。従って、凝集汚泥の脱水で得られる脱水ケーキの含水率を低減することができれば、処分にかかる費用を削減できる上に、環境への負荷を低減することができる。
このため、脱水ケーキの含水率をできるだけ低くすることが望まれており、従来、脱水ケーキの低含水率化を目的として、カチオン性ポリマーの単独使用に代わり、以下のように、アミジン系カチオン性ポリマーを併用する方法が提案されている。
(1) アミジン系カチオン性ポリマーと2種類のカチオン性ポリマーとを併用する方法(特開2011−224420号公報)
(2) アミジン系カチオン性ポリマーとベンジル系カチオン性ポリマーとを併用する方法(特開2012−96199号公報)
(3) ポリビニルアミジンと架橋性イオン性水溶性高分子(メタアクリル酸エステル系又はジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性ポリマー)とを併用する方法(特開2004−25095号公報)
(4) ポリビニルアミジンとジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性ポリマーと両性ポリマーとを併用する方法(特開2004−167465号公報)
特開2011−224420号公報 特開2012−96199号公報 特開2004−25095号公報 特開2004−167465号公報
上記従来のアミジン系カチオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの併用では、形成される汚泥フロックの強度が十分でなく、このため、遠心脱水機のように強いせん断力のかかる脱水機で脱水すると、汚泥フロックが破壊、圧潰されて微細なSSが濾液にリークしてしまうという問題がある。
また、特開2004−25095号公報で用いられる架橋性イオン性高分子の噴霧乾燥品は、溶解に時間がかかる、未溶解物が発生しやすいといった欠点がある。
しかも、アミジン系カチオン性ポリマーを用いた脱水剤は脱水効果は高いが、アミジン系カチオン性ポリマーが高価であるためにコストが高いという課題があり、安価な代替技術が求められている。
例えば、特開2012−96199号公報は、本発明で用いるカチオン性ポリマーA(特開2012−96199号公報における両性ポリマーB)とカチオン性ポリマーC(特開2012−96199号公報におけるカチオン性ポリマーA)との併用を開示するが、アミジン系カチオン性ポリマーに該当する特開2012−96199号公報のカチオン性ポリマーAの配合量は30〜70重量%であるため、アミジン系カチオン性ポリマーの配合量の多さが汚泥脱水剤のコストを押し上げる原因となっている。
特開2004−167465号公報では、本発明で用いる両性ポリマーB(特開2004−167465号公報におけるC成分)と、本発明で用いるカチオン性ポリマーC(特開2004−167465号公報におけるA成分)と、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性ポリマー(同B成分)と、更に酸性物質(同D成分)とを含む汚泥脱水剤が開示され、アミジン系カチオン性ポリマーに相当する特開2004−167465号公報のA成分の配合量は、実施例において15〜25重量%であるが、この汚泥脱水剤は、分子量の低いジアリルジメチルアンモニウムクロライド系カチオン性ポリマーを多く含有しているため、凝集力に優れない、濾水性が悪いという欠点がある。
このようなことから、アミジン系カチオン性ポリマーの配合量を低減した上で、同等以上の脱水性の向上効果を得ることができ、また、強固な汚泥フロックを形成することができる汚泥脱水剤の開発が望まれる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、高価なアミジン系カチオン性ポリマーの使用量を従来品よりも低減した上で、溶解速度が速く、凝集性、濾過性、脱水性においても、アミジン系カチオン性ポリマー単独品や、アミジン系カチオン性ポリマー配合の従来品以上の効果を発揮し、また遠心脱水機のような強いせん断力のかかる脱水機であっても汚泥フロックが破壊、圧潰されて微細なSSが濾液にリークすることが防止され、優れた脱水効果を発揮する汚泥脱水剤と、この汚泥脱水剤を用いた汚泥脱水方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アミジン系カチオン性ポリマーに、特定のカチオン性ポリマーと両性ポリマーとを併用し、3種のポリマーの配合品とすることにより、上記の課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記一般式(1)で表されるベンジル系カチオン単位を繰り返し単位として有するカチオン性ポリマーAと、カチオン性ビニルモノマーとアニオン性ビニルモノマーとノニオン性ビニルモノマーとの共重合物である両性ポリマーBと、下記一般式(2)又は(3)で表されるアミジン単位を繰り返し単位として有するカチオン性ポリマーCとを含み、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの合計100重量%におけるカチオン性ポリマーAの割合が58〜90重量%、両性ポリマーBの割合が8〜40重量%、カチオン性ポリマーCの割合が2〜30重量%であることを特徴とする汚泥脱水剤。
Figure 0006651825
(一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R3a,R3bは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rはベンジル基を表す。Aは−O−又は−NH−、Zは塩形成性アニオンを表す。)
Figure 0006651825
(一般式(2),(3)中、R11,R12は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Xは塩形成性アニオンを表す。)
[2] [1]において、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの合計100重量%におけるカチオン性ポリマーAの割合が70〜85重量%、両性ポリマーBの割合が10〜20重量%、カチオン性ポリマーCの割合が5〜20重量%であることを特徴とする汚泥脱水剤。
[3] [1]又は[2]において、前記カチオン性ポリマーAが、前記一般式(1)で表されるベンジル系カチオン単位のみからなるホモポリマーであるか、或いは、該ベンジル系カチオン単位と他の繰り返し単位とを有するコポリマーであって、該ベンジル系カチオン単位を全繰り返し単位中に70モル%以上含有するコポリマーであることを特徴とする汚泥脱水剤。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記両性ポリマーBの全繰り返し単位中のカチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位のモル組成比が、カチオン性ビニルモノマー10〜50モル%、アニオン性ビニルモノマー5〜40モル%、ノニオン性ビニルモノマー10〜85モル%であることを特徴とする汚泥脱水剤。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記カチオン性ポリマーCが、前記一般式(2)又は(3)で表されるアミジン単位と他の繰り返し単位とを有するコポリマーであって、該アミジン単位を全繰り返し単位中に20〜90モル%含有するコポリマーであることを特徴とする汚泥脱水剤。
[6] [1ないし5のいずれか1項に記載の汚泥脱水剤を汚泥に添加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
[7] 前記汚泥に、ポリ硫酸第二鉄を添加した後、前記汚泥脱水剤を添加することを特徴とする[6]に記載の汚泥脱水方法。
本発明によれば、以下のような優れた効果が得られる。
(1) アミジン系カチオン性ポリマーとその他のカチオン性ポリマー等を併用する従来品では達成し得なかった良好な凝集効果を得ることができ、遠心脱水機のような強いせん断力のかかる脱水機による脱水にも対応し得る高強度で粗大な汚泥フロックを形成することができる。
(2) アミジン系カチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマーCの配合割合を従来品に比べて大幅に低減した上で、良好な凝集効果と、濾過性及び脱水性の向上効果を得ることができる。従って、安価な汚泥脱水剤により、低含水率の脱水ケーキを得ることができる。
(3) 3種類のポリマーを粉末状態で混合することで容易に一剤化することができ、また、使用時にはこれを水に溶解させた水溶液として容易に薬注制御することができ、その際の溶解性も速く、取り扱い性、作業性に優れる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「ポリマー」とは「ホモポリマー(単独重合体)」と「コポリマー(共重合体)」を含む重合体ないしは重合物の総称である。ただし、ホモポリマーは繰り返し単位が1種類であるものの他、同種の繰り返し単位、即ち、同一の一般式で表される2種以上の繰り返し単位を含むものを包含するものとする。
また、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び/又は「メタアクリル(メタクリル)」をさし、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロ」についても同様である。
[作用機構]
本発明において、特定のカチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの各ポリマーの相互作用の詳細については明確でないが、以下のような作用機構の相乗効果により、本発明の効果が発現されるものと推定される。
(1) カチオン性ポリマーAに含まれるベンジル4級化塩のベンジル基に由来する高い疎水性のために、本発明の汚泥脱水剤を添加して得られる凝集フロックの水親和性が低下し、含水率が下がり易い脱水性に優れた凝集フロックが形成される。
(2) カチオン性ビニルモノマーとアニオン性ビニルモノマーとノニオン性ビニルモノマーとの共重合物である両性ポリマーBは、アニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位を有することから、カチオン性ポリマーA,Cのカチオン粒子が吸着した汚泥粒子を互いに強固に結合させて、カチオン性ポリマーのみの組成では達成しえない高強度で粗大な汚泥フロックの形成に寄与する。
(3) アミジン系カチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマーCは、その特徴的なフロック形成力によりフロックの強度を更に高め、脱水機の圧搾圧力に抗するフロック強度を得るために寄与する。
[カチオン性ポリマーA]
本発明で用いるカチオン性ポリマーAは、下記一般式(1)で表されるベンジル系カチオン単位(1)(以下「ベンジル系カチオン単位(1)」と称す場合がある。)を繰り返し単位として含むものである。
Figure 0006651825
(一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R3a,R3bは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rはベンジル基を表す。Aは−O−又は−NH−、Zは塩形成性アニオンを表す。)
上記一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基であり、プロピレン基及びブチレン基は直鎖状であってもよく、側鎖を有するものであってもよい。R3a,R3bは各々独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基であり、Rはベンジル基である。また、Aは−O−又は−NH−であり、Zは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン、1/2SO 2−、NO 、CHCOO、CHSO 、CSO などの塩形成性アニオンである。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーAは、下記一般式(1A)で表されるベンジル系カチオン性ビニルモノマーを用いて製造される。
Figure 0006651825
(上記式中、R、R、R3a、R3b、R、A及びZは一般式(1)におけると同義であり、その具体例も同様である。)
一般式(1A)で表されるベンジル系カチオン性ビニルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジエチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジ−n−プロピルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジイソプロピルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジ−n−ブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジ−sec−ブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジイソブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリレート又はメタクリレート、ジメチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジエチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジ−n−プロピルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジイソプロピルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジ−n−ブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジ−sec−ブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミド、ジイソブチルアミノ(メチル、エチル、プロピル又はブチル)アクリルアミド又はメタクリルアミドなどの、ハロゲン化ベンジルによる四級化物などを挙げることができる。ハロゲン化ベンジルとしては、塩化ベンジル、臭化ベンジルなどを挙げることができる。
カチオン性ポリマーAの製造にあたり、これらのベンジル系カチオン性ビニルモノマーは、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いるカチオン性ポリマーAは、上記のベンジル系カチオン性ビニルモノマーのホモポリマーを好適に用いることができるが、このベンジル系カチオン性ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマー(以下、「共重合性モノマー」と称す場合がある。)の1種又は2種以上とのコポリマーであってもよい。なお、ベンジル系カチオン性ビニルモノマーのホモポリマーとは、2種以上のベンジル系カチオン性単位(1)が含まれるものを包含するものとする。
カチオン性ポリマーAがベンジル系カチオン性ビニルモノマーと共重合性モノマーとのコポリマーである場合、使用される共重合性モノマーには特に制限はない。
この共重合性モノマーとしてのノニオン性ビニルモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのアミド類、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物などを挙げることができる。これらのノニオン性ビニルモノマーは、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、カチオン性ポリマーAが上記のコポリマーである場合、コポリマー中のベンジル系カチオン単位(1)の割合が過度に少ないと本発明の効果を十分に得ることができない。従って、カチオン性ポリマーAは、全繰り返し単位中のベンジル系カチオン単位(1)の割合が70〜100モル%で、ノニオン性ビニルモノマー由来の繰り返し単位が0〜30モル%であることが好ましく、特に、全繰り返し単位中のベンジル系カチオン単位(1)の割合は80〜100モル%、とりわけ90〜100モル%であることが好ましい。
また、本発明で用いるカチオン性ポリマーAは、0.1Nの塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が4dl/g以上、特に6dl/g以上であることが好ましい。固有粘度が4dl/g未満であると、凝集力が弱く、汚泥の処理量が低下するおそれがある。なお、この固有粘度の上限は通常12dl/g以下である。
また、本発明で用いるカチオン性ポリマーAのコロイド当量は2.8〜3.7meq/gであることが好ましい。コロイド当量が小さ過ぎるとベンジル基の疎水性効果が得難くなるため好ましくない。なお、カチオン性ポリマーAのコロイド当量は「コロイド滴定法」(千手諒一著、南江堂(株)(S44年11月発行))により測定される。
本発明に用いるカチオン性ポリマーAの製造方法には特に制限はなく、常法である溶液重合、懸濁重合、エマルション重合など、いずれの方法も用いることができる。水溶液重合においては、モノマーを水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、重合温度まで昇温した後、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの水溶性重合開始剤を加えて重合することができる。
[両性ポリマーB]
本発明で用いる両性ポリマーBは、カチオン性ビニルモノマーとアニオン性ビニルモノマーとノニオン性ビニルモノマーとの共重合物である。
両性ポリマーBを構成するカチオン性ビニルモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等の3級化物或いは4級化物などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのカチオン性ビニルモノマーは、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
両性ポリマーBを構成するアニオン性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、その他、カチオン性ポリマーCにおける共重合性モノマーとして後述するアニオン性ビニルモノマーなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのアニオン性ビニルモノマーは、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
両性ポリマーBを構成するノニオン性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド等のビニル基含有アミド類、さらにビニル基含有ニトリル類、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類等、その他、カチオン性ポリマーAにおける共重合性モノマーとして前述したノニオン性ビニルモノマーなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのノニオン性ビニルモノマーは、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
両性ポリマーBの全繰り返し単位中のカチオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合は10〜50モル%、特に15〜40モル%で、アニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合は5〜40モル%であることが好ましい。
カチオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合が上記下限以上であることにより汚泥への効率的な吸着が可能であり、上記上限以下であることでアニオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合を確保して、両性ポリマーB本来の効果を有効に得ることができる。
アニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合が上記下限以上であることにより、アニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位を有することによるカチオン性ポリマーA,Cのカチオン粒子が吸着した汚泥粒子の結合作用を十分に得ることができ、大きくて強度の高いフロックを形成することが可能となる。アニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合が上記上限以下であることでカチオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位の割合を確保して、両性ポリマーB本来の効果を有効に得ることができる。
両性ポリマーBは、カチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーを所定の割合で用いて製造される。本発明に用いる両性ポリマーBの製造方法には特に制限はなく、常法である溶液重合、懸濁重合、エマルション重合など、いずれの方法も用いることができる。水溶液重合においては、モノマーを水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、重合温度まで昇温した後、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの水溶性重合開始剤を1×10−5〜1×10−2mol/L程度加えて重合することができる。
[カチオン性ポリマーC]
本発明で用いるカチオン性ポリマーCは、下記一般式(2)で表されるアミジン単位(以下「アミジン単位(2)」と称す場合がある。)又は下記一般式(3)で表されるアミジン単位(以下「アミジン単位(3)」と称す場合がある。)を繰り返し単位として有するものである。
Figure 0006651825
(一般式(2),(3)中、R11,R12は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Xは塩形成性アニオンを表す。)
上記一般式(2),(3)において、Xとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン、1/2SO 2−、NO 、CHCOO、CHSO 、CSO などが挙げられる。
本発明で用いるアミジン単位(2)又はアミジン単位(3)を繰り返し単位として含むカチオン性ポリマーC(アミジン単位(2)とアミジン単位(3)の両方を含むものであってもよい。)は、下記一般式(4)で表されるN−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドと、下記一般式(5)で表される(メタ)アクリロニトリルと、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能なモノマー(以下「共重合性モノマー」と称す場合がある。)を共重合し、得られたコポリマーを加水分解及びアミジン化することによって得ることができる。
Figure 0006651825
(ただし、式中、R11は水素原子又はメチル基、R13は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
CH=CR12−CN …(5)
(ただし、式中、R12は水素原子又はメチル基である。)
上記のN−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルバレルアミドなどを挙げることができる。N−イソプロペニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−イソプロペニルホルムアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−イソプロペニルプロピオンアミド、N−イソプロペニルブチルアミド、N−イソプロペニルバレルアミドなどを挙げることができる。
必要に応じてN−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドの代わりに、N−ビニルこはく酸イミド、N−ビニルグルタルイミド、N−イソプロペニルこはく酸イミド、N−イソプロペニルグルタルイミドなどのN−ビニルカルボン酸イミド又はN−イソプロペニルカルボン酸イミドを使用することができる。
共重合性モノマーとしては、適当なモノマー反応性比を有するものであれば制限なく使用することができ、例えば、(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどのノニオン性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン基を有するモノマー又はそのアルカリ金属塩などのアニオン性ビニルモノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの3級塩若しくは4級アンモニウム塩などのカチオン性ビニルモノマーなどの1種又は2種以上を挙げることができる。
重合方法には特に制限はなく、使用するモノマー及び生成するポリマーの溶解性などに応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを選ぶことができる。例えば、使用するモノマーも生成するポリマーも水溶性であれば、水溶液重合が可能であり、モノマーを水に溶解し、不活性ガスをバブリングし、所定温度まで昇温した後、水溶性重合開始剤を添加することによってポリマーを得ることができる。水溶液重合により得られたポリマーは、そのまま又は単離した後、加水分解及びアミジン化反応に供することができる。また、使用するモノマーの水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。
懸濁重合においては、水、モノマー、乳化剤、水溶性の重合開始剤及び炭化水素系分散媒などを不活性ガス雰囲気中で撹拌下に加熱することによりポリマーを得ることができる。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩など、一般的な開始剤を用いることができるが、アゾ系化合物が特に好ましい。
本発明において、上記のポリマーの水溶液又は懸濁液を酸又はアルカリの存在下に加熱することにより、ポリマー中の酸アミド単位を加水分解してアミン単位とし、さらにアミン単位と隣接するニトリル単位の反応によりアミジン単位(2)及び/又は()を生成するアミジン化反応を行う。
アミジン単位(2),(3)は反応するモノマーの異性体によって決定される。なお、この異性体は通常、共存している。
加水分解及びアミジン化反応は2段階で行うことができるが、通常は1段階で行うことが好ましい。ポリマーの構造と目的の加水分解率及びアミジン化率に応じて、反応条件を選択することが可能である。通常は上記のポリマーを5〜80重量%の水溶液又は懸濁液とし、酸アミド単位に対し1〜5当量倍の酸、又は酸アミド単位に対し1〜5当量倍のアルカリを加え、40〜100℃に加熱することにより加水分解及びアミジン化反応を行うことができる。酸による加水分解及びアミジン化反応を行った場合には、得られるカチオン性ポリマーAのアミノ基はアンモニウム塩を形成する。
なお、前記の共重合性モノマーのうち、(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類に由来するポリマー中の構造単位は、加水分解によって一部は(メタ)アクリル酸単位に変化する。
アミジン単位(2),(3)を有するカチオン性ポリマーCを構成する全繰り返し単位に占めるアミジン単位(2),(3)の割合は、20〜90モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることがさらに好ましい。カチオン性ポリマー中のアミジン単位(2),(3)が少な過ぎるとアミジン単位(2),(3)を含むことによる含水率減少効果が低下する。全繰り返し単位中にアミジン単位(2),(3)を90モル%よりも多く含むポリマーは製造が容易ではない。
アミジン単位(2),(3)を有するカチオン性ポリマーCは、高分子量であることが好ましく、分子量の指標となる1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が1dl/g以上であることが好ましく、3dl/g以上であることがさらに好ましい。なお、この固有粘度の上限は通常10dl/g以下である。
また、カチオン性ポリマーCのコロイド当量は、5.0〜6.4meq/g、特に5.5〜6.4meq/gであることが好ましい。カチオン性ポリマーCのコロイド当量がこの範囲であることにより高い凝集性が得られ、好ましい。カチオン性ポリマーCのコロイド当量はカチオン性ポリマーAと同様の方法により測定される。
本発明において、カチオン性ポリマーCは、上記アミジン化反応を終了した水溶液のまま又は濃縮若しくは希釈した水溶液として、汚泥脱水剤に使用することができる。或いは、カチオン性ポリマーCの水溶液又は懸濁液を公知の方法で分離、乾燥して粉末化して使用することができる。
[カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCの割合]
本発明の汚泥脱水剤中のカチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの割合は、これらの合計100重量%におけるカチオン性ポリマーAの割合が58〜90重量%、両性ポリマーBの割合が8〜40重量%、カチオン性ポリマーCの割合が2〜30重量%であり、好ましくは、カチオン性ポリマーAの割合が70〜85重量%、両性ポリマーBの割合が10〜20重量%、カチオン性ポリマーCの割合が5〜20重量%である。
各ポリマーの割合が上記範囲外であると、これらの3種のポリマーを組み合わせて用いることによる本発明の効果を得ることができない。
[汚泥脱水剤の形態]
本発明の汚泥脱水剤は、上述のカチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとを含むものであればよく、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとが別々に提供されるものであっても、これらが予め混合されて一剤化されたものであってもよい。
カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとが予め所定の割合で混合されて一剤化されたものであれば、汚泥への脱水剤の添加制御が簡略化され、好ましい。
例えば、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとを粉末状態で所定の配合に混合した粉末組成物として製剤化し、使用する場合は0.1〜0.5重量%程度の水溶液として汚泥に添加することができる。
或いは、各々のポリマーを別々に溶解して各々の水溶液を汚泥に添加しても同等の効果を得ることができる。
なお、本発明の汚泥脱水剤は、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーC以外の他の薬剤例えばスルファミン酸等の粉末酸や硫酸ナトリウム等の塩類等の1種又は2種以上を含有していてもよい。
[脱水方法]
本発明の汚泥脱水剤を汚泥に添加して脱水するには、本発明の汚泥脱水剤を汚泥に添加して20秒〜5分程度混合した後、脱水機に投入して脱水すれば良い。
この汚泥脱水剤と汚泥との混合は、移送配管内で行ってもよく、別途設けた凝集反応槽で行ってもよい。また、遠心脱水機のように混合機構を有する脱水機であれば、脱水前の混合工程を省略することができる。
汚泥への汚泥脱水剤の添加量としては、十分な凝集効果で高い脱水性が得られる程度であれば良く、汚泥性状や用いるポリマーの種類、無機凝集剤の併用の有無などによって適宜決定されるが、通常、SS0.4〜4.0重量%程度の汚泥に対してカチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの合計の添加量が20〜1600mg/L、特に60〜1200mg/L程度、すなわち、汚泥のSSに対して0.5〜4.0重量%、特に1.5〜3.0重量%程度となるような添加量とすることが好ましい。
なお、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとは汚泥に対して同時に添加してもよく、予め混合して添加してもよく、別々に添加してもよい。
凝集反応槽としては、撹拌羽のついた縦型の一般的な凝集反応槽を用いることができ、特別な反応装置は必要としない。また、適用できる脱水機にも特に制限はなく、多重円盤脱水機、スクリュープレス脱水機、回転加圧(ロータリー)脱水機、フィルタープレス脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機等、様々な脱水機を適用することができるが、本発明の汚泥脱水剤を用いる汚泥脱水方法では、特にフロック強度が強く、濾水性に優れたフロックを形成することができることから、金属メッシュ、金属スリットあるいはワイヤーからなる濾過ゾーンと圧密圧搾工程を有する脱水機である多重円盤脱水機、スクリュープレス脱水機、回転加圧脱水機が好適に用いられる。
本発明の汚泥脱水剤は、無機凝集剤等の他の凝集剤と併用してもよい。例えば、汚泥に無機凝集剤を添加して凝集処理した後、本発明の汚泥脱水剤を添加、混合して脱水処理してもよい。
この場合、無機凝集剤としては、鉄系無機凝集剤が好ましく、例えば、硫酸第二鉄(ポリ硫酸第二鉄を含む)、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、鉄−シリカ無機高分子凝集剤等を用いることができるが、特に設備への腐食性が低く、荷電中和能力が高いことからポリ硫酸第二鉄を用いることが好ましい。これらの鉄系無機凝集剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
汚泥への鉄系無機凝集剤の添加量は、多過ぎても少な過ぎても、含水率の十分に低い脱水汚泥を得ることができないため、汚泥のSSあるいはTSに対するFe換算の添加量として0.5〜3.5重量%とすることが好ましい。
ポリ硫酸第二鉄等の鉄系無機凝集剤を併用する場合、汚泥に鉄系無機凝集剤を添加して1〜5分程度急速撹拌し、その後、本発明の汚泥脱水剤を添加して20秒〜5分程度混合した後、脱水機に投入して脱水すれば良い。
本発明によれば、このような脱水処理により、従来の汚泥脱水剤及び汚泥脱水方法に比較して低含水率の脱水ケーキを得ることができる。得られた脱水ケーキは焼却処分又は埋め立て処分などに供される。
なお、本発明で脱水処理する汚泥には特に制限はなく、例えば下水、し尿、一般産業排水処理などで発生する有機性汚泥や食品工場、水産加工工場、食肉加工工場、畜産業等から排出される余剰汚泥、或いはこれらの汚泥を含む混合汚泥が挙げられるが、本発明はその優れた脱水性向上効果から、難脱水性の余剰汚泥や消化汚泥の脱水処理に有効に使用される。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下において、「%」は「重量%」を意味する。
[カチオン性ポリマー]
以下の実施例及び比較例で用いたカチオン性ポリマーは次の通りである。
Figure 0006651825
<製造例1:カチオン性ポリマーA−1の製造>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mLフラスコに、ジメチルアミノエチルメタアクリレートのベンジルクロライド4級化物の2.0モル/L溶液を300mL入れ、雰囲気を窒素ガスで置換した。ここへ2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を5.0×10−4モル/L加え、40℃に昇温し10時間重合を行なった。得られたポリマーゲルをアセトン中で裁断し、濾過した後、真空乾燥して粉末ポリマーを得た。
このカチオン性ポリマーの、0.1Nの塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、6.6dl/gであった。また、このカチオン性ポリマーのコロイド当量は、pH=4において3.6meq/gであった。このカチオン性ポリマーを、ポリマーA−1とする。
<製造例2:カチオン性ポリマーC−1の製造>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mlフラスコに、N−ビニルホルムアミド35.5g(0.5モル)、アクリロニトリル26.5g(0.5モル)及び水310gを入れ、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10%水溶液1.0gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続けた。水中にポリマーが析出した懸濁液に濃塩酸98.1g(塩化水素として1.0モル)を加え、加熱して還流しつつ4時間反応し、ポリマーをアミジン化した。得られたポリマー溶液をアセトン中に添加し、析出したポリマーを真空乾燥した。
このカチオン性ポリマーの、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、4.0dl/gであった。また、このカチオン性ポリマーのコロイド当量は、pH=4において5.8meq/gであった。このカチオン性ポリマーを、ポリマーC−1とする。
[両性ポリマー]
<製造例3〜6:両性ポリマーB−1,X−1,X−2の製造>
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管をつけた500mLフラスコに、表2に示すカチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーを表2に示す割合で含む全ビニルモノマーを40重量%入れ、雰囲気を窒素ガスで置換した。ここへ過硫酸カリウムを0.4×10−4モル/L加え、40℃に昇温し20時間重合を行なった。得られたポリマーゲルをアセトン中で裁断し、濾過した後、真空乾燥して各々両性ポリマーの粉末を得た。
得られたポリマーをそれぞれポリマーB−1、ポリマーX−1、ポリマーX−2とする。
Figure 0006651825
[汚泥性状]
以下の実施例及び比較例において、脱水試験に供した各工場の余剰汚泥の性状は下記表3,4に示す通りである。
Figure 0006651825
Figure 0006651825
[試験方法]
以下の実施例及び比較例における脱水試験は以下の方法で行った。
汚泥200mLを300mL容のビーカーに採取し、各種脱水剤を添加し、180rpmで30秒反応させて凝集させた。ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)を併用した実施例1及び比較例1,2では、ポリ鉄を添加して20秒間180rpmで急速撹拌した後、脱水剤を添加して上記の通り180rpmで30秒反応させて凝集させた。
次いで、ブフナーロートに直径50mmの筒をセットし、ここに凝集させた汚泥を一気に投入し、20秒後の濾液量を測定した。また、濾取された凝集物のフロック径と濾液へのSSのリーク量(SV:Sludge Volume)を測定した。濾液量は多い程、フロック径は大きい程、SVは少ない程好ましい。
また、以下の方法で凝集フロック強度の評価と脱水ケーキの含水率の測定を行った。
<フロック強度>
濾過後のブフナーロート上の凝集物を手に取り、徐々に絞ってその時の強度をフロック強度として以下の基準で判定した。
○:1回で容易に絞り込まれ流動性の無い固形物が得られ、絞る過程でSSの漏れが無い。
△○:上記○と下記△の中間。
△:4から5回緩やかに絞ると固形物となるが、その間に指からのフロックの漏れが認められる。
×:緩やかに絞ってもフロックが指の間から抜ける。
上記の評価で多重円盤脱水機、スクリュープレス脱水機、回転加圧脱水機での脱水工程後半の圧密圧搾工程でのフロック耐性を相対的に評価することができ、評価は「△○」又は「○」であることが好ましい。
<ケーキ含水率>
濾過後のブフナーロート上の凝集物を、直径30mm、高さ17.5mmのカラムに詰め、0.1MPaで60秒圧搾して脱水ケーキを得た。この脱水ケーキの含水率を測定した。
[実施例1、比較例1,2]
下記表5に示す脱水剤を、それぞれ用い、ポリ鉄3000mg/L(汚泥のSSに対するFe換算の添加量で3重量%)と、各脱水剤を有効成分(ポリマー)として100mg/L(汚泥のSSに対して0.9重量%)とを、食肉工場の余剰汚泥に添加して、前述の脱水試験を行い、結果を表6に示した。
なお、脱水剤は、いずれも0.2重量%水溶液として添加した。
Figure 0006651825
Figure 0006651825
表6より明らかなように、ポリ鉄と両性ポリマーの併用(比較例1,2)では含水率が下がらない。一方、本発明の汚泥脱水剤はポリ鉄との併用でフロック形成、重力濾過性の面で効果が良く、さらに含水率も大きく低減することができた(実施例1)。
[実施例2、比較例3〜5]
下記表7に示す脱水剤を用い、ポリ鉄を使用せずに、製紙工場の余剰汚泥に対して、各脱水剤を有効成分(ポリマー)として50mg/L(汚泥のSSに対して1.3重量%)添加したこと以外は実施例1と同様に脱水試験と評価を行い、結果を表8に示した。
Figure 0006651825
Figure 0006651825
表8より明らかなように、製紙工場の余剰汚泥に対しても、従来技術(比較例3−5)と比較し、本発明品(実施例2)ではフロック強度と含水率低減について優れた効果を発揮することが分かる。なお、比較例5は、実施例2とほぼ同等の結果が得られるが、アミジン系カチオン性ポリマーのみで処理した比較例5に比べて、実施例2はアミジン系カチオン性ポリマーの割合が少ないことを考慮すると、従来に比べて安価に処理できることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるベンジル系カチオン単位を繰り返し単位として有するカチオン性ポリマーAと、カチオン性ビニルモノマーとアニオン性ビニルモノマーとノニオン性ビニルモノマーとの共重合物である両性ポリマーBと、下記一般式(2)又は(3)で表されるアミジン単位を繰り返し単位として有するカチオン性ポリマーCとを含み、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの合計100重量%におけるカチオン性ポリマーAの割合が58〜90重量%、両性ポリマーBの割合が8〜40重量%、カチオン性ポリマーCの割合が2〜30重量%であり、
    前記カチオン性ポリマーAが、下記一般式(1)で表されるベンジル系カチオン単位のみからなるホモポリマーであるか、或いは、該ベンジル系カチオン単位と他の繰り返し単位とを有するコポリマーであって、該ベンジル系カチオン単位を全繰り返し単位中に70モル%以上含有するコポリマーであることを特徴とする汚泥脱水剤。
    Figure 0006651825
    (一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R3a,R3bは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rはベンジル基を表す。Aは−O−又は−NH−、Zは塩形成性アニオンを表す。)
    Figure 0006651825
    (一般式(2),(3)中、R11,R12は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Xは塩形成性アニオンを表す。)
  2. 請求項1において、カチオン性ポリマーAと両性ポリマーBとカチオン性ポリマーCとの合計100重量%におけるカチオン性ポリマーAの割合が70〜85重量%、両性ポリマーBの割合が10〜20重量%、カチオン性ポリマーCの割合が5〜20重量%であることを特徴とする汚泥脱水剤。
  3. 請求項1又は2において、前記両性ポリマーBの全繰り返し単位中のカチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー及びノニオン性ビニルモノマーに由来する繰り返し単位のモル組成比が、カチオン性ビニルモノマー10〜50モル%、アニオン性ビニルモノマー5〜40モル%、ノニオン性ビニルモノマー10〜85モル%であることを特徴とする汚泥脱水剤。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記カチオン性ポリマーCが、前記一般式(2)又は(3)で表されるアミジン単位と他の繰り返し単位とを有するコポリマーであって、該アミジン単位を全繰り返し単位中に20〜90モル%含有するコポリマーであることを特徴とする汚泥脱水剤。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の汚泥脱水剤を汚泥に添加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
  6. 前記汚泥に、ポリ硫酸第二鉄を添加した後、前記汚泥脱水剤を添加することを特徴とする請求項に記載の汚泥脱水方法。
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