以下に、図面を参照して開示する技術の実施の形態の一例を詳細に説明する。図2には、本実施形態に係る試験装置10を示している。試験装置10は、所定の製造工程を経て製造された携帯電話12、修理などが行われた携帯電話12に対する試験を行う。本実施形態において、試験装置10は、試験装置の一例として機能し、携帯電話12は、試験装置10において試験される携帯型電子機器の一例として機能する。
携帯電話12には、スマートフォン(smartphone)型の機種、及びフューチャーフォン(feature phone)型の機種が含まれる。また、携帯電話12は、スマートフォン型、及びフューチャーフォン型の各々についても複数の機種が存在する。開示の技術における異なる機種は、同じ種類の製品において、製造メーカ、外形、大きさ(縦横の長さ)、処理機能、及び内蔵されるプログラムのいずれかが異なることを含む。開示の技術において、製品の型式の相違は、異なる機種であることを示す。
図3(A)には、スマートフォン型の携帯電話12の一例(以下、スマートフォン12Aとする)を示し、図3(B)には、フューチャーフォン型の携帯電話12の一例(以下、フューチャーフォン12Bとする)を示す。スマートフォン12A、及びフューチャーフォン12Bの各々には、コネクタ12Cが設けられている。スマートフォン12A、及びフューチャーフォン12Bは、このコネクタ12Cを介して試験装置10と電気的に接続されることによりデータの読出し及びデータの書込み等の処理が可能となる。なお、図3(A)、及び図3(B)では、同じ機能部品に同一の符号を付与している。
試験装置10は、スマートフォン12A及びフューチャーフォン12B等の携帯電話12と電気的に接続された状態で、当該携帯電話12に対して所定の試験処理を行う。スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bは、外カバーが装着される前の状態、又は外カバーが外された状態で試験装置10に装填される。スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bは、外カバーが外された状態であることでコネクタ12Cが露出し、試験装置10においてコネクタ12Cへのケーブル等の接続が可能となる。なお、試験装置10は、フューチャーフォン12Bの場合、折り畳まれた状態ではなく、広げられた状態で試験が行われる。
スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bは、機種によって外形のみでなく縦横の寸法及び厚さ(以下、総称して形状とする)が異なる場合がある。また、スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bは、機種によってコネクタ12Cの位置、及びコネクタ12Cの形状などが異なる場合がある。しかし、携帯電話12は、機種を特定することで、形状、コネクタ12Cの位置、及びコネクタ12Cの形状が特定される。
図3(A)及び図3(B)に示すように、スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bなどの携帯電話12は、一般にカメラを備え、バッテリー(蓄電池)が装填される。スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bは、外カバーを外した状態で現れる機枠12Dにカメラのレンズ12Eが取り付けられ、電池ボックス12Fが形成されている。スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bでは、機種によってレンズ12Eの位置、電池ボックス12Fの位置、及び大きさなどが異なる場合がある。従って、スマートフォン12A及びフューチャーフォン12Bなどの携帯電話12は、他の機種との相違点を特徴点とすることで、この特徴点から機種を特定することができる場合がある。
試験装置10は、予め試験対象とする携帯電話12の機種を設定し、設定した機種に対して所定の試験処理を行う。なお、以下では、スマートフォン12Aを携帯電話12として説明する。また、以下では、試験対象に設定された機種の携帯電話12を携帯電話12Tと表記して区別する。さらに、以下の説明では、携帯電話12(12T)の縦方向を矢印L方向とし、横方向を矢印W方向として示す。
図2に示すように、試験装置10は、装填部14、試験処理部16及び排出部18を含む。試験装置10は、矩形箱体形状のケーシング20を備え、このケーシング20内に試験処理部16が配置されている。また、試験装置10は、ケーシング20を挟んで装填部12と排出部18とが配置されている。なお、試験装置10は、一例として図2の紙面手前側が前面となっており、以下では、装置前後方向(図2の紙面前後方向)を矢印FB、搬送方向(図2の紙面左右方向)を矢印CO、及び上下方向(図2の紙面上下方向)を矢印UDとして示す。搬送方向は、試験装置10における携帯電話12(12T)の処理の流れの方向に対応する。
試験装置10は、装填部14に携帯電話12(12T)が装填されると、当該携帯電話12(12T)を試験処理部16へ搬送し、試験処理部16において、予め設定された試験処理を実行する。排出部18は、例えば、コンベア22を備える。排出部18は、試験処理の終了した携帯電話12(12T)がコンベア22のベルト22A上に載置されることで、ベルト22A上の携帯電話12を次工程へ向けて搬送する。試験装置10において、排出部18は、コンベア22に限らず、携帯電話12(12T)を次工程へ搬送し得る搬送ロボット等の任意の機構を適用することができる。
試験装置10の装填部14は、所定高さの架台24を備え、架台24がケーシング20に連結されている。図1及び図2に示すように、装填部14は、矩形箱体形状に形成され一方の面が開放されたレールボックス26を備える。レールボックス26は、解放された面が上方に向けられ、長手方向の一端側がケーシング20側となるように架台24上に取り付けられている。
図1に示すように、レールボックス26には、内部にガイドレール28が配置されている。ガイドレール28は、長手方向がレールボックス26の長手方向に沿って設けられてレールボックス26の内部底面に取り付けられている。ガイドレール28には、受皿30が取り付けられている。受皿30は、本実施形態において、載置部材の一例として機能する。受皿30は、ガイドレール28上に配置され、ガイドレール28に沿って移動可能に係合されている。
図4に、受皿30の一例を示す。受皿30は、受皿30は、矩形形状に形成され、一方の面に凹部32が形成されている。凹部32は、携帯電話12の横方向の両端に対向する一対の縁部32A、及び携帯電話12の縦方向の両端に対向する一対の縁部32Bによって囲われて形成されている。受皿30の凹部32は、縁部32Aの間隔が携帯電話12の横寸法に基づいて設定され、縁部32Bの間隔が携帯電話12の縦寸法に基づいて設定されている。これにより、携帯電話12は、横方向の位置が縁部32Aにより規制され、縦方向の位置が縁部32Bにより規制されて凹部32内に収容される。
受皿30の凹部32は、携帯電話12の外形寸法よりも広く形成され、例えば、スマートフォン12Aであれば、大きさが異なる機種であっても、同一の受皿30を用いて縦方向及び横方向の大凡の向き(縦横の向き)が定められる。なお、スマートフォン12Aは、一般に縦寸法が横寸法より長い縦長となっており、凹部32は、この形状に合わせ、携帯電話12の横方向に対応する寸法が携帯電話12の縦寸法より短く形成されている。
受皿30には、縁部32Aの各々に切込み部32Cが対で形成されている。切込み部32Cは、縁部32Aの各々の携帯電話12の縦方向に沿う中間部を、所定幅で切り取った形状に形成されている。これにより、受皿30は、凹部32内に収容された携帯電話12の横方向を両側から挟むことにより、凹部32内から携帯電話12を取り出すことができる。
図1に示すように、受皿30は、携帯電話12の縦方向(矢印L方向)が装置前後方向(矢印FB方向)に沿い、横方向(矢印W方向)が搬送方向(矢印CO方向)に沿うように、装填部14に配置されている。携帯電話12は、所定の面が上方へ向けられて凹部32内に配置されて受皿30に載せられることで、装填部14に装填される。
図1及び図2に示すように、装填部14には、レールボックス26の上方に仕切り板34が取り付けられている。装填部14は、仕切り板34によりレールボックス26の長手方向中間部からケーシング20側が遮蔽され、ケーシング20とは反対側が露出されている。装填部14では、レールボックス26の露出側に受皿30への携帯電話12の装填位置が設定され、仕切り板34によるレールボックス26の遮蔽側に試験処理部16へ搬送するための携帯電話12の取出位置が設定されている。
装填部14では、ソレノイド等をアクチュエータとして、ガイドレール28に沿って受皿30を装填位置と取出位置との間を移動させる。装填部14では、装填位置へ移動している受皿30に携帯電話12が載せられ、試験処理を開始する際、携帯電話12を載せた受皿30を取出位置へ移動する。
図5に示すように、試験装置10は、フレーム36を備え、フレーム36がケーシング20(図2参照)に囲われている。フレーム36は、4本の支柱36Aの間に複数段の棚板38が設けられ、各々の棚板38に試験ユニット40が取り付けられる。試験装置10は、一例として、3段の棚板38のうち下段及び中段の棚板38に、3台ずつの試験ユニット40を取り付けることができ、図5では、一例として5台の試験ユニット40を取り付けている。
図6に示すように、試験ユニット40は、矩形箱体形状の台座42を含み、台座42が棚板38の所定位置に取り付けられる。保持部44には、複数対のピンローラ46が設けられている。ピンローラ46は、ピンローラ46A、46Bを含み、台座42には、携帯電話12の縦方向(矢印L方向)の一端側に対向する所定位置にピンローラ46Aが固定されている。また、台座42には、携帯電話12の横方向(矢印W方向)の一端側と対向する位置に、縦方向に沿って所定の間隔を隔てて2つのピンローラ46Aが固定されている。さらに、台座42には、前記ピンローラ46Aの各々に対向し、かつ対向するピンローラ46Aとの接離方向に移動するピンローラ46Bが配置されている。
試験ユニット40は、ピンローラ46A、46Bの間に携帯電話12が配置された状態で、各ピンローラ46Bがピンローラ46Aへ向けて移動することで、ピンローラ46A、46Bの間で携帯電話12を挟む。これにより、携帯電話12は、台座42上の所定位置に位置決めされて保持される。また、試験ユニット40は、各ピンローラ46Bをピンローラ46から離間する方向へ移動することで、携帯電話12を取出し可能とする。なお、試験ユニット40は、保持部44に保持される携帯電話12の縦方向が試験装置10の前後方向に沿うように棚板38に取り付けられる。
試験ユニット40は、携帯電話12のコネクタ12Cに対応するソケット48及びソケット48が取り付けられたスライダ50を備える。スライダ50は、台座42上に位置決めされた携帯電話12のコネクタ12C(図3(A)、(B)参照)にソケット48が対向する位置に配置されている。
試験ユニット40は、ソレノイドなどのアクチュエータが動作することで、スライダ50を携帯電話12へ向けて移動する。これにより、試験ユニット40では、ソケット48が携帯電話12のコネクタ12Cへ向けて移動し、ソケット48と携帯電話12のコネクタ12Cとが係合する。試験ユニット40は、携帯電話12のコネクタ12Cにソケット48が係合することで、携帯電話12が電気的に接続する。また、試験ユニット40は、スライダ50を携帯電話12から離間する方向へ移動することで、携帯電話12のコネクタ12Cとソケット48との係合を解除する。なお、試験ユニット40には、スライダ50に連結されたハンドル52を備えており、このハンドル52を用いた手動操作により、携帯電話12のコネクタ12Cとソケット48との係合、及び係合解除が行われる。
試験装置10は、携帯電話12の機種毎に試験処理部16で実行される試験項目が設定される。試験処理部16は、試験ユニット40を介して電気的に接続された携帯電話12に対して、試験装置10において設定されている試験項目に応じた処理を実行する。
携帯電話12には、固有の製造番号、製造メーカ、機種、及び色などを特定する情報、並びに製造日などを特定する情報などの識別情報がデータとして記憶されている。また、携帯電話12には、各種のプログラムが記憶されている。
試験処理部16では、例えば、携帯電話12の固有の製造番号、製造メーカ、機種、及び色などを特定する識別情報を読出し、各々の情報が適正に記録されているか否かなどの試験が行われる。また、試験処理部16では、携帯電話12毎に設定されている製造日を特定する情報の確認又は記録などが行われる。さらに、試験処理部16では、携帯電話12に記憶されている各種の情報の確認のみでなく、携帯電話12に格納されている各種のプログラムの確認を行うこともできる。なお、試験処理部16で実行する試験項目は、これらに限らず、任意の試験項目を設定することができ、試験処理部16は、設定された試験項目に応じた処理を行うものであれば良い。
携帯電話12は、コネクタ12C(図3(A)参照)の位置、及び形状等が機種によって異なる場合がある。試験ユニット40は、例えば、携帯電話12の機種毎に設けられ、試験処理部16には、試験装置10において試験対象に設定された機種の携帯電話12Tに合わせた試験ユニット40が取り付けられる。
図2に示すように、ケーシング20は、シャッタ54及び両開き扉56が設けられ、シャッタ54、及び扉56を開くことで、試験処理部16内の試験ユニット40が露出される(図5参照)。試験装置10は、試験対象の機種が設定されることで、設定された機種の携帯電話12Tに応じた試験ユニット40が試験処理部16に取り付けられる。なお、試験処理部16には、各々が異なる機種に対応する複数の試験ユニット40を設けるようにしても良く、これにより、異なる複数機種の携帯電話12Tの各々に対する試験処理を並行して行うことができる。
試験装置10は、LCD等を用いた複数のモニタ58がケーシング20の上部に取り付けられている。モニタ58は、棚板38上に取り付けた試験ユニット40毎に設けられている。試験装置10は、試験処理部16の試験ユニット40毎の動作(携帯電話12Tに対する試験)の進捗状況等の予め設定された情報をモニタ58に表示する。試験装置10には、5台の試験ユニット40に対応して5台のモニタ58が取り付けられている。
一方、図5に示すように、試験装置10は、搬送ロボット60を備える。搬送ロボット60は、試験装置10の内部で携帯電話12の搬送に用いられる。搬送ロボット60は、本実施形態において搬送部の一例として機能する。
搬送ロボット60は、長尺の基台62を備え、試験装置10には、装置奥側に、長手方向が装置内での携帯電話12の搬送方向(矢印CO方向)に沿うように基台62が配置されている。基台62には、ガイドレール64が取り付けられ、ガイドレール64にベース板66が配置されている。ベース板66には、ガイドレール64に移動可能に係合したスライダ66Aが取り付けられている。また、ベース板66には、支柱68が、支え板68Aに保持されて立設されている。支柱68には、支え板68Aと反対側の面にガイドレール70が取り付けられている。搬送ロボット60は、モータなどのアクチュエータの駆動によりベース板66が、ガイドレール64に沿って装填部14から排出部18までの間を移動する。
図5及び図7に示すように、搬送ロボット60は、アーム72を備える。アーム72は、所定長さの矩形形状に形成された基部74、及び基部74に取り付けられたスライダ74Aを備える。アーム72は、長手方向が装置前後方向に沿うように配置され、スライダ74Aが、ガイドレール70に係合されることにより支柱68に支持されている。搬送ロボット60は、モータなどのアクチュエータの駆動により、スライダ74Aがガイドレール70に沿って移動することで、アーム72が上下移動(昇降)する。
アーム72は、スライダ76を備える。図5に二点鎖線で示すように、アーム72の基部74には、長手方向が装置前後方向に沿うようにガイドレール78が取り付けられており、スライダ76がガイドレール78に移動可能に係合されている。
図5及び図7に示すように、搬送ロボット60は、ヘッド部80を備え、ヘッド部80に、フィンガー82A、82Bが対で取り付けられている。アーム72のスライダ76には、装置前方側の端部にブラケット84が取り付けられ、このブラケット84にヘッド部80が取り付けられている。
搬送ロボット60は、モータなどのアクチュエータの駆動により、スライダ76がガイドレール78に沿って装置前後方向へ移動することでアーム72が伸縮する。ヘッド部80は、アーム72の伸縮により装置前後方向に移動する。
搬送ロボット60は、ガイドレール64に沿ったベース板66の移動、及び支柱68のガイドレール70に沿ったアーム72の昇降により、アーム72が、装填部14から排出部18の間で搬送方向、及び上下方向へ移動する。また、搬送ロボット60は、装填部14に移動したアーム72が伸張することで、ヘッド部80が、取出位置の受皿30上に移動する。さらに、搬送ロボット60は、試験処理部16に移動したアーム72が伸張することで、ヘッド部80が棚板38の間に挿入されて試験ユニット40上に移動する。
図7に示すように、ヘッド部80に備えられる一対のフィンガー82A、82Bは、先端部の爪86が互いに対向されている。フィンガー82A、82Bは、例えば、ヘッド部80に設けられたソレノイド等のアクチュエータの駆動により、先端部の爪86が互いに接離する方向へ移動する。試験装置10では、搬送ロボット60のフィンガー82A、82Bが接離する方向を、装填部14及び試験処理部16における携帯電話12の幅方向としている。
搬送ロボット60は、ヘッド部80を装填部14の取出位置の受皿30上に移動して、爪86を互いに接近する方向へ移動させることで、爪86の各々が受皿30の切込み部32Cを通過して、受皿30上の携帯電話12を把持する。また、搬送ロボット60は、ヘッド部80を試験処理部16の試験ユニット40上に移動して、携帯電話12を把持している爪86を互いに離間する方向へ移動させる。搬送ロボット60は、フィンガー82A、82Bを互いに離間する方向へ移動することで、携帯電話12を試験ユニット40の保持部44に載せる。
フィンガー82A、82Bには、爪86に携帯電話12が対向しているか否かを検出するセンサ88が設けられている。また、爪86の各々には、携帯電話12に対向する面にクッション材90が貼付されている。搬送ロボット60は、クッション材90を介して携帯電話12を把持することにより、携帯電話12に対する圧力調整、及び損傷防止が図られる。センサ88としては、例えば、一方を投光部とし、他方を受光部とする光電センサなどを用いることができ、搬送ロボット60は、センサ88により、一対の爪86の間に携帯電話12が存在するか否かを検知する。なお、試験装置10は、搬送ロボット60に限らず、装填部14から試験処理部16、及び試験処理部16から排出部18へ携帯電話12を搬送し得る搬送ベルト等の任意の構成を適用することができる。
図8に示すように、試験装置10は、装置全体の作動を制御する主制御部100を含む。また、試験装置10は、装填部14の作動を制御する装填制御部102、試験処理部16の作動を制御する試験処理制御部104、及び排出部18の作動を制御する排出制御部106を含む。さらに、試験装置10は、搬送ロボット60の作動を制御する搬送制御部108を含む。
主制御部100は、装填制御部102、試験処理制御部104、排出制御部106、及び搬送制御部108の各々と接続され、装填部14、試験処理部16、排出部18及び搬送ロボット60の動作状態を示す情報が入力される。主制御部100は、装填部14、試験処理部16、排出部18、及び搬送ロボット60の動作状態に関連つけて、装填部14、試験処理部16、排出部18、及び搬送ロボット60の各々に制御情報を出力する。装填制御部102、試験処理制御部104、排出制御部106、及び搬送制御部108は、入力される制御情報に基づいて、装填部14、試験処理部16、排出部18、及び搬送ロボット60の動作を制御する。これにより、試験装置10は、装填部14、試験処理部16、排出部18、及び搬送ロボット60が互いに関連して動作し、携帯電話12に対する試験を実行する。
例えば、主制御部100は、装填部14に携帯電話12が装填され、装填制御部102から携帯電話12の試験処理の開始を指示する信号が入力されると、搬送制御部108へ携帯電話12の搬送を指示する。これにより、搬送制御部108は、搬送ロボット60の作動を制御し、装填部14の携帯電話12を取り出し、試験処理部16の試験ユニット40に装填する。
図2に示すように、試験装置10には、ケーシング20の前面に電源スイッチ110、及び運転スイッチ112等が設けられている。また、試験装置10は、ケーシング20の前面に例えば、タッチパネルディスプレイを用いた操作パネル114が設けられ、ケーシング20の上部に運転ランプ116が設けられている。電源スイッチ110、運転スイッチ112、操作パネル114、及び運転ランプ116等の各々は、主制御部100に接続されている。
主制御部100は、電源スイッチ110の操作に応じて、電源供給及び遮断を行う。また、主制御部100は、電源スイッチ110がオンされている状態で、運転スイッチ112がオンされることで、携帯電話12に対する試験処理を可能とする。さらに、主制御部100は、操作パネル114に装置の作動状態を含む各種の情報を表示すると共に、所定のユーザーインターフェイスを表示し、表示したユーザーインターフェイスに基づいた各種の情報、及び指示等の入力が可能となっている。さらに、主制御部100は、試験装置10の運転状態に応じて運転ランプ116を点灯する。
なお、図2に示すように、ケーシング20には、引出式のボックス118が設けられている。試験装置10では、例えば、試験結果が所定の基準を満たしていないと判定された携帯電話12などがボックス118に投入される。
ところで、図1に示すように、試験装置10の装填部14には、装填位置の上方にCCDカメラ120が取り付けられている。CCDカメラ120は、本実施形態において、カメラの一例として機能する。なお、以下では、CCDカメラ120を用いて説明するが、CCDカメラ120に替えてCMOSカメラを用いても良い。
図1及び図2に示すように、装填部14には、携帯電話12の装填位置と搬送ロボット60(図5参照)の移動範囲とを区画する背板122を備え、背板122が架台24上に立設されている。図1に示すように、CCDカメラ120は、この背板122にブラケット124を介して取り付けられている。なお、図2に示すように、試験装置10の装填部14には、ガード板126が設けられている。ガード板126は、CCDカメラ120を囲うように取り付けられ、CCDカメラ120を保護している。
図1に示すように、CCDカメラ120は、装填位置に移動した受皿30を上方から撮影する。これにより、装填部14では、受皿30に載置された携帯電話12がCCDカメラ120により撮影される。CCDカメラ120としては、予め設定された領域を所定の解像度で撮影する一般的構成を適用することができる。また、本実施形態では、カラー画像を撮影するCCDカメラ120を用いている。
図9に示すように、装填制御部102には、撮影部130、及び画像処理部132が形成され、撮影部130にCCDカメラ120が接続されている。撮影部130は、本実施形態において、撮影部の一例として機能する。撮影部130は、予め設定された時間間隔又は予め設定されたタイミングで、CCDカメラ120により撮影された画像(静止画像)の画像データを取り込み、取り込んだ画像データを画像処理部132へ出力する。画像処理部132は、撮影部130から入力される画像データに対して、色補正、及びγ処理などの予め設定された所定の画像処理を実行する。これにより、画像処理部132は、受皿30に装填された携帯電話12に応じた画像の画像データ(以下、携帯電話12の撮影画像とする)を生成する。この撮影画像には、装填された携帯電話12の色情報を含む。
装填制御部102には、記憶部134、及び照合判定部136が形成されている。試験装置10では、例えば、主制御部100(図8参照)に、試験対象とする機種の携帯電話12Tに対応する機種情報、試験項目、及び試験項目等に対する各種のデータを含む試験情報が格納される。携帯電話12Tの機種情報には、試験対象とする携帯電話12Tの機種を特定するための画像データ(以下、基準画像とする)、及び色情報等が含まれる。装填制御部102の記憶部134には、試験装置10において試験対象に設定された機種の携帯電話12Tの基準画像、及び色情報を含む機種情報が格納される。
照合判定部136は、画像処理部132から入力される撮影画像と、記憶部134に記憶された基準画像とを照合することで、受皿30に装填された携帯電話12が、試験対象と一致する機種(携帯電話12T)であるか否かを判定する。また、照合判定部136は、撮影画像に含まれる色情報と機種情報に含まれる色情報(基準画像に含まれる色情報)とを照合する。これにより、照合判定部136は、装填された携帯電話12が、試験対象として設定された色と一致するか否かを判定する。照合判定部136における携帯電話12の画像の照合、色の照合は、公知の一般的構成を適用することができる。
装填制御部102は、指示部138を含む。指示部138は、本実施形態において指示部の一例として機能する。指示部138は、照合判定部136の判定結果に基づき、装填された携帯電話12に対する処理を設定する。例えば、装填部14に装填された携帯電話12が試験装置10において試験対象に設定された機種の携帯電話12Tであれば、指示部138は、当該携帯電話12に対する試験処理を開始するように設定する。
指示部138は、装填部14に装填された携帯電話12に対する試験処理を開始するように設定すると、主制御部100に対して当該携帯電話12の試験開始を指示する。また、指示部138は、ガイドレール28のアクチュエータを動作させる駆動回路を含む駆動部140を制御し、受皿30を装填位置から取出位置へ移動させる。これにより、装填部14に装填された携帯電話12は、装填位置から取出位置へ移動し、搬送ロボット60により受皿30へ取り出される。
照合判定部136が、装填部14に装填された携帯電話12が試験装置10において試験対象に設定された機種と異なる機種であると判定した場合、指示部138は、装填された携帯電話12に対する試験処理を中止するように設定する。指示部138は、装填された携帯電話12に対する試験処理を中止するように設定すると、主制御部100に当該携帯電話12に対する試験中止を指示する。これにより、主制御部100は、例えば、アラームなどを鳴動させてエラー報知を行う、また、主制御部100は、操作パネル114に試験の中止、装填部14の受皿30からの携帯電話12の取り出しを要求する情報を表示する。
なお、装填部14に装填された携帯電話12に対する試験処理の中止が指示された場合、例えば、ケーシング20に設けたボックス118へ試験中止の対象となった携帯電話12を収納するようにしても良い。この場合、装填制御部102は、受皿30を取出位置へ移動させ、搬送制御部108は、搬送ロボット60が受皿30から携帯電話12を取出し、取出した携帯電話12をボックス118へ収容するように搬送を制御する。
装填制御部102は、例えば、図10に示すコンピュータ150で実現することができる。コンピュータ150は、CPU152、メモリ154、不揮発性の記憶部156、入出力インターフェイス158、及び通信インターフェイス160等を備え、これらがバス162により接続されている。コンピュータ150は、通信インターフェイス160を介して試験装置10の主制御部100に接続される。また、コンピュータ150は、入出力インターフェイス158を介してCCDカメラ120、駆動部140、及び装填部14に設けられている各種のセンサ等が接続される。
コンピュータ150の記憶部156は、HDD(Hard Disk Drive)、及びフラッシュメモリ等の記憶媒体により実現できる。記憶部156には、コンピュータ150を装填制御部102として機能させるための撮影プログラム164、画像処理プログラム166、照合判定プログラム168、及び指示プログラム170等が記憶されている。また、コンピュータ150により装填制御部102が実現される場合、記憶部156には、試験対象に設定された機種の携帯電話12Tの機種情報が記憶される。
CPU152は、記憶部156から撮影プログラム164を読み出してメモリ154に展開し、撮影プログラム164が有するプロセスを順次実行する。また、CPU152は、記憶部156から画像処理プログラム166を読み出してメモリ154に展開し、画像処理プログラム166が有する複数のプロセスを順に実行する。
また、CPU152は、記憶部156から照合判定プログラム168を読み出してメモリ154に展開し、照合判定プログラム168が有するプロセスを順に実行する。この時、CPU152は、記憶部156に記憶された機種情報に含まれる基準画像を読み出す。さらに、CPU152は、指示プログラム170を記憶部156から読出し、指示プログラム170が有するプロセスを順に実行する。
なお、装填制御部102は、例えば半導体集積回路、より詳しくは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
以下に、本実施形態の作用を説明する。
試験装置10は、装填部14に試験する携帯電話12が装填されることで、当該携帯電話12に対する試験処理の開始が可能となる。装填部14は、試験が開始される際、受皿30を装填位置から取出位置へ移動させる。搬送ロボット60は、試験開始が指示されることでヘッド部80を装填部14の取出位置へ移動し、取出位置の受皿30に載せられている携帯電話12を一対のフィンガー82A、82Bにより取り出す。この後、搬送ロボット60は、一対のフィンガー82A、82Bにより携帯電話12を把持したヘッド部80を試験処理部16へ移動させ、携帯電話12の機種に対応する試験ユニット40に携帯電話12を受け渡す。
試験処理部16に設けている試験ユニット40では、ピンローラ46Bの各々を対向するピンローラ46Aへ向けで移動することで、携帯電話12を台座42上の所定位置に位置決めして保持する。また、試験ユニット40は、台座42上に携帯電話12が位置決めして保持した携帯電話12へ向けてスライダ50を移動することで、携帯電話12のコネクタ12Cにソケット48を係合させる。これにより、試験処理部16は、試験処理制御部104に携帯電話12が電気的に接続され、携帯電話12に対する処理の試験処理を実行する。
また、試験装置10は、試験処理部16における試験処理が終了すると、試験の終了した携帯電話12を、搬送ロボット60により試験ユニット40から取り出す。また、搬送ロボット60は、試験ユニット40から取出した携帯電話12を排出部18のコンベア22に受け渡す。
ところで、試験装置10では、装填部14にCCDカメラ120を設け、CCDカメラ120による撮影画像に基づいて、装填部14に装填された携帯電話12の機種確認を行う。また、試験装置10は、試験対象の機種の携帯電話12Tが装填されていることが確認されると、当該携帯電話12Tに対する試験処理を開始する。
図11には、このときに装填制御部102で実行される処理の一例を示している。このフローチャートは、試験装置10において、携帯電話12に対する試験処理が可能となった後、装填部14から携帯電話12が取り出される毎に実行され、最初のステップ200では、初期設定を行う。この初期設定は、携帯電話12を載置する受皿30を装填位置へ移動する。これにより、装填部14への携帯電話12の装填が可能となる。
また、ステップ202では、試験を行う携帯電話12が受皿30に載せられたか否か、すなわち、装填部14に携帯電話12が装填されたか否かを確認する。CCDカメラ120は、装填位置の受皿30上を撮影しており、装填制御部102は、CCDカメラ120が撮影した画像に、携帯電話12が写っているか否かから、携帯電話12が受皿30に載せられたか否かを確認することができる。なお、例えば、受皿30の凹部32の底面に光電センサ等の携帯電話12の検出用のセンサを配置し、このセンサにより携帯電話12が検出されたか否かを確認しても良い。
ここで、装填制御部102は、受皿30に携帯電話12が装填されたことが確認されると、ステップ202で肯定判定してステップ204へ移行する。このステップ204では、CCDカメラ120により撮影した静止画像を取り込む。すなわち、CCDカメラ120により受皿30上の携帯電話12に対する画像撮影を行う。また、ステップ206では、撮影した画像に対して所定の画像処理を実行し、携帯電話12の撮影画像を生成する。
次のステップ208では、受皿30に装填されている携帯電話12が、試験対象に設定されている機種の携帯電話12Tと一致するか否かを照合する。照合処理は、照合判定部136における処理に対応する。図12に示すように、照合処理は、例えば、装填された携帯電話12の撮影画像(以下、撮影画像PGとする)と、機種情報に含まれる試験対象の機種の携帯電話12Tの画像(基準画像SGとする)とを用いる。装填制御部102では、例えば、CCDカメラ120の撮影倍率が固定されるか、所定の倍率に設定されていることで、撮影画像PGの大きさと基準画像SGの大きさを合わせることができる。なお、図12は、各々が画像データである撮影画像PG及び基準画像SGを平面的に例示している。
装填部14に用いている受皿30の凹部32は、多機種の携帯電話12が載せられるように、携帯電話12の縦横の寸法よりも大きくしている。これにより、受皿30に載せられた携帯電話12は、縦横の大凡の向きが合わせられている。
ここで、例えば、照合判定部136は、撮影画像PGの中心位置PG0を求め、撮影画像PGの中心位置PG0と基準画像SGの中心位置SG0とを重ねる。また、照合判定部136は、撮影画像PGの中心位置PG0を通る縦方向に沿った中心線PGCを求め、この中心線PGCに基準画像SGの中心線SGCを重ねるように基準画像PGを角度θだけ傾ける。これにより、照合判定部136は、撮影画像PGと基準画像SGとが一致(例えば外枠が一致)するか否かを確認する。
また、携帯電話12は、形状が同じであっても機種によってコネクタ12Cの位置、形状が異なる場合がある。携帯電話12の照合を行う際は、外形形状のみでなく、予め設定された特徴点が一致するか否かを確認することが好ましい。
ここから、機種情報に特徴点を含ませることで、照合判定部136は、機種情報に含まれる特徴点を撮影画像PGから抽出し、抽出した特徴点を基準画像SG上の特徴点と比較する。例えば、照合判定部136は、撮影画像PGからカメラ12Eの位置を抽出し、抽出したカメラ12Eの位置と基準画像SG上のカメラ12Eの位置とを比較する。また、撮影画像PGから電池ボックス12Fの位置及び大きさを抽出し、抽出した電池ボックス12Fの位置及び大きさを、基準画像SGの電池ボックス12Fの位置及び大きさと比較する。なお、特徴点は、カメラのレンズ12E、及び電池ボックス12Fに限らず、任意の部位を適用することができる。
これにより、照合判定部136は、CCDカメラ120を用いた撮影画像PGから装填部14に装填された携帯電話12が、試験対象の機種(携帯電話12T)であるか否かの判定間違いの発生が抑えられる。
また、試験対象の機種及び色が設定されている場合、照合判定部136は、撮影画像PGの色情報と基準画像SGの色情報とを照合する。携帯電話12は、一般に機枠12Dが外カバーと同じ色となっている。ここから、撮影画像PGから機枠12Dの色を抽出し、抽出した色を機種情報に含まれる色と照合する。
図11のステップ208では、照合結果から、装填部14の受皿30に装填されている携帯電話12が、試験装置10において試験対象に設定された機種(携帯電話12T)であるか否か、すなわち、機種が一致するか否かを判定する。また、試験対象として機種及び色が設定されている場合、ステップ208では、受皿30に装填されている携帯電話12の機種及び色が、試験対象に設定された機種及び色と一致するか否かを判定する。
ここで、撮影画像PSと基準画像SGが一致するとみなされ、受皿30に載せられている携帯電話12が試験対象の携帯電話12Tである場合、ステップ208で肯定判定する。なお、装填制御部102は、試験対象の機種及び色が設定されている場合、機種及び色が一致しているとみなされることで、ステップ208で肯定判定する。
装填制御部102は、ステップ208で肯定判定すると、ステップ210へ移行する。このステップ210では、受皿30の載せられている携帯電話12(12T)に対して試験処理を開始するように設定する。これにより、ステップ212では、装填制御部102が主制御部100に対して、携帯電話12(12T)の試験開始要求を行う。また、ステップ214では、携帯電話12(12T)が装填された受皿30を取出位置へ移動し、搬送ロボット60に携帯電話12(12T)の取出しを可能とする。
主制御部100は、装填制御部102から試験処理開始要求が入力されると、搬送ロボット60を装填部14へ移動させ、取出位置に移動している受皿30から携帯電話12Tを取り出させる。また、主制御部100は、取出した携帯電話12Tを試験処理部16へ搬送させ、試験ユニット40へ装填させる。これにより、試験処理部16は、試験ユニット40に装填された携帯電話12Tに対する試験処理を実行する。
これに対して、受皿30に載せられている携帯電話12が試験対象の機種でない場合、装填制御部102は、ステップ208で否定判定してステップ216へ移行する。このステップ216では、受皿30に装填された携帯電話12に対して、試験処理を中止するように設定し、次のステップ218では、主制御部100に対して、装填部14からの携帯電話12の排出のための取出し要求を行う。
主制御部100は、装填制御部102が装填された携帯電話12に対する試験中止に設定し、排出のための取出し要求が入力されると、例えば、アラームを鳴らすなどしてエラー発生を報知する。また、主制御部100は、操作パネル114上に受皿30からの携帯電話12の排出要求を表示するなどの処理を行う。従って、試験装置10では、試験対象の機種の携帯電話12が装填された場合に、当該携帯電話12の試験処理が開始される。
なお、試験中止に伴う取出し要求に対しては、該当する携帯電話12を、ケーシング20に設けているボックス118へ収納しても良い。この場合、主制御部100は、搬送ロボット60により携帯電話12をボックス118へ搬送して投入する。また、主制御部100は、操作パネル114に、試験中止とした携帯電話12をボックス118に投入したことを報知する情報を表示する。
ここで、試験対象と異なる機種の携帯電話12の試験を行うと、試験装置10では、例えば、携帯電話12のコネクタ12Cと試験ユニット40のソケット48との間の位置ずれが生じる場合がある。また、試験装置10では、携帯電話12のコネクタ12Cの形状と試験ユニット40のソケット48の形状とが一致しない場合がある。
これらの場合、試験装置10では、試験ユニット40に携帯電話12を位置決めして保持したにも関わらず、携帯電話12が電気的に接続されなくなり試験処理が中断してしまう。また、装填された携帯電話12が、試験対象の機種と異なる場合、試験装置10では、当該携帯電話12が電気的に接続されても、機種毎に設定されている識別情報が異なることで、試験が正常に終了しなくなる。
したがって、試験対象の機種と異なる携帯電話12に対する試験処理を開始した場合、試験装置10は、試験処理を円滑に終了できなくなる。また、試験装置10では、誤った機種の携帯電話12の搬送時間、当該携帯電話12を試験装置10から取り出すための時間等が無駄となってしまう。
これに対して、試験装置10は、装填部14に装填された携帯電話12を、CCDカメラ120を用いて撮影し、装填部14に装填された携帯電話12が試験対象の機種であるか否かを判定する。また、試験装置10は、装填された携帯電話12が試験対象の機種であると判定された場合に、当該携帯電話12Tに対する試験処理を開始する。また、装填された携帯電話12が、試験対象の機種と一致しない場合、試験装置10は、当該携帯電話12に対する試験処理が中止される。
従って、試験装置10は、装填部14に装填された携帯電話12が試験対象の機種の携帯電話12Tであれば試験処理が開始され、試験対象の機種と異なる携帯電話12であれば、当該携帯電話12に対する試験処理は実行されない。これにより、試験装置10は、試験対象の機種と異なる携帯電話12に対して試験処理が開始されてしまうために、試験処理が途中で中断してしまうことがなく、試験対象の機種の携帯電話12Tに対して円滑に試験を行うことができる。
以上説明した本実施形態では、試験対象を1機種として説明したが、試験装置10は、複数の機種を試験対象に設定しても良い。この場合、試験処理部16には、試験対象に設定した機種毎に対応する試験ユニット40を少なくとも1台ずつ取り付ける。装填部14は、試験対象の機種の各々の携帯電話12Tを装填可能な載置部材を設け、試験対象に設定した各々の機種の機種情報を記憶する。また、装填部14は、装填された携帯電話12が試験対象に設定した機種の何れかに該当するか否かを判定し、試験対象に設定された機種の何れかに該当すると判定される場合に、当該携帯電話12の試験処理を開始するように指示すれば良い。
また、本実施形態では、載置部材として受皿30を例に説明したが、載置部材は、複数の機種の携帯電話12を載置可能な機能を含めば良い。図13、図14(A)、及び図14(B)には、載置部材の他の一例を示す。
図13に示す受皿172は、矩形平板状の皿板174を備える。この皿板174には、携帯電話12の幅方向の一端側に、所定の間隔を隔てて2本のピンローラ176Aが設けられている。また、皿板174には、携帯電話12の縦方向の一端側にピンローラ176Aが設けられている。さらに、皿板174には、ピンローラ176Aの各々に対向して、携帯電話12の横方向の他端側に対応する位置に2本のピンローラ176Bが設けられ、携帯電話12の縦方向の他端側に対応する位置に1本のピンローラ176Bが設けられている。
この受皿172は、ピンローラ176A及びピンローラ176Bに囲われる内部の皿板174上に携帯電話12が載置される。受皿172に載置される携帯電話12は、幅方向の位置が、幅方向の両側に対向するピンローラ176A、176Bにより規制され、縦方向の位置が、縦方向の両側に対向するピンローラ176A、176Bにより規制される。したがって、受皿172は、装填部14に装填される携帯電話12の縦横の向きが適切となるように規制しながら携帯電話12を載置することができる。
また、受皿172は、皿板174に、ピンローラ176Bの各々とピンローラ176Aとの接離方向に沿う長孔178が形成され、ピンローラ176Bが長孔178内に配置されている。受皿172では、ピンローラ176Bの各々がソレノイドなどのアクチュエータにより、長孔178内をピンローラ176Aと接離する方向へ移動する。
これにより、受皿172は、大きさの異なる携帯電話12を載置でき、また、携帯電話12をピンローラ176A、176Bの間で挟むことで、携帯電話12を適切な向きで保持することができる。従って、受皿30に替えて受皿172を装填部14に用いることで、携帯電話12は、縦横が所定の方向へ向けられて装填される。なお、受皿172から携帯電話12を取り出す際は、例えば、ピンローラ176Bがピンローラ176Aと離間する方向へ所定量だけ移動させ、ピンローラ176A、176Bによる挟み込みを解除すれば良い。
図14(A)に示す受皿180は、矩形形状に形成され、一方の面に凹部182が形成されている。受皿180は、凹部182の底面182Aが、携帯電話12の縦方向の寸法及び横方向の寸法より小さい矩形形状に形成されている。また、受皿180は、凹部182の開口が、底面182Aと相似形となり、かつ携帯電話12の縦方向の寸法及び横方向の寸法より長くなるように縁部184、186の各々が対で形成されている。
さらに、受皿180には、一対の縁部184の各々から凹部182の底面182Aの周縁へ向けて傾斜された傾斜面184A、及び一対の縁部186の各々から凹部182の底面182Aの周縁へ向けて傾斜された傾斜面186Aが形成されている。
また、受皿180には、一対の縁部184の各々に切欠き部188が形成されている。切込み部188の各々は、携帯電話12の縦方向に沿う中間部に所定幅で、凹部182の底面182Aに達するように形成されている。受皿180は、一対の縁部184及び傾斜面184Aの各々が切込み部188により分割されている。切込み部188は、凹部182から携帯電話12を取り出す際の、搬送ロボット60のフィンガー82A、82Bの爪86の通過用となっている。
このように形成された受皿180は、携帯電話12を載置する際、携帯電話12の横方向の両端が傾斜面184Aの各々に当接し、携帯電話12の縦方向の両端が傾斜面176Aの各々に当接する。これにより、受皿180は、一対の傾斜面184Aが携帯電話12の幅方向の位置を規制し、一対の傾斜面186Aが携帯電話12の縦方向の位置を規制して支持する。従って、受皿30に替えて受皿180を装填部14に用いることで、携帯電話12は、縦横が所定の方向へ向けられて装填される。
図14(B)には、受皿180Aを示す。この受皿180Aは、一対の縁部186の各々に切込み部190が形成された点で、受皿180と相違する。切込み部190の各々は、携帯電話12の幅方向に沿う中間部に所定幅で、凹部182の底面182Aに達するように形成されている。これにより、受皿180Aは、一対の縁部186及び傾斜面186Aの各々が切込み部190により分割されている。一対の切込み部190は、凹部182から携帯電話12を取り出す際の、搬送ロボット60に設けているフィンガー82A、82Bの爪86の通過用となっている。
受皿180Aは、携帯電話12の縦方向の両端を傾斜面186Aに対向させて載置されることで、携帯電話12の横方向の両端が一対の傾斜面184Aの各々に当接し、携帯電話12の縦方向の両端が一対の傾斜面186Aの各々に当接する。これにより、受皿180Aは、一対の傾斜面184Aが携帯電話12の幅方向の位置を規制し、一対の傾斜面186Aが携帯電話12の縦方向の位置を規制して支持する。
ここで、受皿30、172、180、180Aでは、例えば、図12に示すように、携帯電話12の縦方向の向きが傾くことがある。しかし、搬送ロボット60は、フィンガー82A、82Bの先端の爪86が互いに接近するように移動することで、携帯電話12の幅方向の両端に当接させるので、携帯電話12は、一対の爪86の間に把持される際に縦方向が装置前後方向に沿うように揃えられる。
また、受皿180Aは、携帯電話12の横方向の端部が一対の傾斜面186Aの各々に対向されることで、携帯電話12の縦方向の端部を一対の傾斜面184Aに支持して載置する。試験装置10に設けている装填部14では、装填された携帯電話12の撮影画像PGから基準画像SGに対する傾きの角度θが得られる。搬送制御部108は、角度θを用い、フィンガー82A、82Bの爪86が受皿180Aの切込み部190を通過するように搬送ロボット60を制御する。
従って、受皿180Aは、携帯電話12が、縦方向の端部が一対の傾斜面184Aに対向するように装填された場合でも、装填された携帯電話12の取出しが可能となる。このような受皿180Aを用いる場合、搬送ロボット60は、一対の爪86の中間位置を通って上下方向に沿う中心軸を回転中心として、一対の爪86が一体で回転する機構を含めば良い。
一方、本実施形態では、携帯電話12に対する試験処理を行う試験装置10を例に説明したが、開示の技術においては、各種の携帯型電子機器を試験対象とする試験装置に適用することを含む。開示の技術において、携帯型電子機器は、スマートフォン、フューチャーフォンなどの携帯電話に限るものではない。開示の技術において携帯型電子機器は、ノート型パソコン(notebook computer、laptop computer)、PDA(personal digital assistant、携帯情報端末)などの種類を含む。また、携帯型電子機器は、タブレットPC(tablet computer、タブレット端末)、電子辞書などの種類を含む。開示の技術において携帯型電子機器は、機種毎に異なる情報が記憶されて出荷される携帯型電子機器を含む。開示の技術における携帯型電子機器は、電気的に接続されることでデータの読出し及び書込みが可能となる携帯型電子機器を含む。
開示の技術において、試験装置は、試験対象とする携帯型電子機器と電気的に接続し、各種のデータの読出し、読み出したデータの照合などの確認、及びデータの書込みを行うことを含む。
開示の技術は、上記実施の形態に記載に限らず、各部分が目的とする機能を含む形態であれば良い。また、本明細書に記載された全ての特許出願及び特許出願に開示される技術文献は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に、参照により取り込まれる。
開示の技術は、以下の付記を含む。
(付記1)
試験対象の携帯型電子機器が装填される装填部と、
前記装填部に装填された携帯型電子機器を搬送する搬送部と、
試験の開始が指示された場合に、前記搬送部により搬送される前記装填部に装填された携帯型電子機器と電気的に接続し、当該携帯型電子機器に対して所定の試験を行う試験処理部と、
前記装填部に装填された携帯型電子機器を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された携帯型電子機器の画像と試験対象に設定された機種の携帯型電子機器の基準画像とを照合し、前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であるか否かを判定する照合判定部と、
前記照合判定部で前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であると判定された場合に、前記装填部に装填された携帯型電子機器に対する前記試験の開始を指示する指示部と、
を含む携帯型電子機器の試験装置。
(付記2)
前記試験処理部は、携帯型電子機器が備えるコネクタに係合することにより当該携帯型電子機器が電気的に接続されるソケットを含む付記1記載の携帯型電子機器の試験装置。
(付記3)
前記搬送部は、前記指示部が前記試験の開始を指示することにより、前記装填部に装填された携帯型電子機器を前記試験処理部へ搬送する付記1又は付記2記載の携帯型電子機器の試験装置。
(付記4)
前記搬送部は、互いに接近する方向へ移動することで前記携帯型電子機器を把持する一対のフィンガーを備え、3軸の各々に沿って移動されるヘッド部を含む、付記3記載の試験装置。
(付記5)
前記装填部は、試験対象の携帯型電子機器が載置される載置部材を含み、前記搬送部は、前記載置部材に載置された前記携帯型電子機器を取り出して前記試験処理部へ搬送する、付記3又は付記4記載の携帯型電子機器の試験装置。
(付記6)
前記携帯型電子機器が、携帯電話である付記1から付記5のいずれかに記載の携帯型電子機器の試験装置。
(付記7)
前記照合判定部は、前記撮影画像から得られる前記装填された携帯型電子機器の色情報と前記基準画像に含まれる色情報とを照合することを含む付記1から付記6の何れかに記載の携帯型電子機器の試験装置。
(付記8)
装填部に装填された携帯型電子機器を撮影し、
前記撮影された携帯型電子機器の画像と試験対象に設定された機種の携帯型電子機器の基準画像とを照合して、前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であるか否かを判定し、
前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であると判定された場合に、搬送部により搬送される前記装填部に装填された携帯型電子機器と電気的に接続し、当該携帯型電子機器に対して所定の試験を行う試験処理部に試験開始を指示する、
ことを含む試験開始方法。
(付記9)
前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であると判定された場合に、前記装填部に装填された携帯型電子機器の前記試験処理部への搬送を指示する、ことを含む付記8記載の試験開始方法。
(付記10)
コンピュータに、
装填部に装填された携帯型電子機器を撮影するステップと、
前記撮影された携帯型電子機器の画像と試験対象に設定された機種の携帯型電子機器の基準画像とを照合して、前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であるか否かを判定するステップと、
前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であると判定された場合に、搬送部により搬送される前記装填部に装填された携帯型電子機器と電気的に接続し、当該携帯型電子機器に対して所定の試験を行う試験処理部に試験開始を指示するステップと、
を含む処理を実行させるための試験開始プログラム。
(付記11)
前記装填部に装填された携帯型電子機器が前記試験対象に設定された機種の携帯型電子機器であると判定された場合に、前記装填部に装填された携帯型電子機器の前記試験処理部への搬送を指示するステップを含む付記10記載の試験開始プログラム。