JP6128882B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明の記録媒体は、基材とインク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、上述の通り、記録媒体の表面のRaを所望の値に調整しやすいことから、基紙と樹脂層を有する基材(樹脂被覆基材)を用いることが好ましい。樹脂層は、基紙のインク受容層側の面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
本発明において、インク受容層は基材の少なくとも一方の面に形成される。インク受容層は基材の両面に形成されてもよい。詳細は後述するが、本発明において、インク受容層は、基材の上に、インク受容層用塗工液を塗工することで形成することができる。その際の塗工量としては、乾燥塗工量で5g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。塗工量が5g/m2以上であると、インク吸収性が高い。塗工量が50g/m2以下であると、インク受容層を形成する際の乾燥が早く、生産性が高い。以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
本発明において、インク受容層は無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子としては、平均一次粒子径が、1nm以上であることが好ましい。また、平均一次粒子径が1μm未満であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
一般式(X):Al2O3−n(OH)2n・mH2O
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
一般式(Y):R−SO3H
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。
本発明において、インク受容層はバインダーを含有することが好ましい。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、インク受容層を形成することができる材料を意味する。
本発明において、インク受容層は、更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてPVAを用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸及びホウ酸塩を用いることが好ましい。
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきた材料以外のその他の材料を含有してもよい。その他の添加剤としては、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
本発明において、インク受容層の表面は、樹脂を含有する複数の皮膜で形成された部分皮膜で被覆されていることが好ましい。部分皮膜は、樹脂以外に、上記<インク受容層>において例示した無機粒子やその他の添加剤を更に含有してもよい。
<基材の作製方法>
本発明の記録媒体において、基材の作製方法としては、一般的に用いられている紙の作製方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基材を樹脂で被覆する方法としては、基材の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする方法が挙げられる。更に、樹脂で被覆された基材を、凹凸を有するロールなどを押し付けることによって、所望の表面粗さの凹凸模様をつけることができる。この凹凸模様をつける方法としては、樹脂をコーティングした後に、エンボシングカレンダー処理をする方法や、樹脂のコーティング時に、表面に凹凸を有するクーリングロールを押しつけながら冷却する方法などが挙げられる。後者の方法の方が、より正確で均質な凹凸模様を弱い圧力でつけることができるため好ましい。
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、インク受容層を形成することができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
本発明の記録媒体において、インク受容層の表面を部分皮膜で被覆する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、部分皮膜用の樹脂を含有する塗工液(樹脂塗工液)を調製する。そして、上述のインク受容層用塗工液を塗工するのと同時に、樹脂塗工液を塗工し、両者を同時に乾燥させる方法や、インク受容層用塗工液を塗工し、乾燥させた後に、更に、樹脂塗工液を塗工する方法が挙げられる。後者の方法の方が、インク受容層と部分皮膜とが混合することが避けられるため、より好ましい。
<基材の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ100部、カチオン化澱粉2部、軽質炭酸カルシウム20部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3部を混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10質量%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7質量%溶液を両面で4g/m2塗布、乾燥し、水分を7質量%まで乾燥させて坪量110g/m2の基紙を作製した。
(インク受容層用塗工液1)
イオン交換水中に、アルミナ水和物 DISPERAL HP14(サソール製)を固形分の含有量が30質量%となるように添加した。次に、アルミナ水和物の固形分100部に対して、メタンスルホン酸1.5部を加えて撹拌し、更に、アルミナ水和物の固形分の含有量が、27質量%となるようにイオン交換水を加え、アルミナ粒子分散液を得た。次いで、このアルミナ粒子分散液と、ポリビニルアルコ−ル水溶液(重合度3,500、けん化度88mol%であるPVA235(クラレ製)の固形分の含有量が8質量%である水溶液)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の比率(アルミナ粒子:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:10:2となるように混合し、インク受容層用塗工液1を得た。
イオン交換水中に、気相法シリカ A300(日本アエロジル製)を固形分の含有量が22質量%となるように添加した。次に、気相法シリカの固形分100部に対して、カチオンポリマー シャロールDC902P(第一工業製薬製)4部加えて撹拌し、更に、気相法シリカの固形分の含有量が、18質量%となるようにイオン交換水を加え、シリカ粒子分散液を得た。次いで、このシリカ粒子分散液と、ポリビニルアルコ−ル水溶液(重合度3,500、けん化度88mol%であるPVA235(クラレ製)の固形分の含有量が8質量%である水溶液)と、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)とを、固形分の比率(シリカ粒子:ポリビニルアルコール:ホウ酸)が100:20:3.5となるように混合し、インク受容層用塗工液2を得た。
下記の表2に示す固形分の比率となるように、樹脂分散液と界面活性剤とを混合し、撹拌して各樹脂塗工液を調製した。得られた樹脂塗工液それぞれについて、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面化学製)で静的表面張力を測定した。結果を表2に示す。
(樹脂分散液)
・スーパーフレックス620(第一工業製薬製):カチオン性ポリウレタン樹脂粒子の分散液
・スマーテックスPA−3232:スチレン−ブタジエンゴム系ラテックス粒子の分散液
(界面活性剤)
・ノイゲンTDS−70(第一工業製薬製):ポリオキシエチレントリデシルエーテル
・サーフィノール440(日信化学工業製):アセチレングリコールポリオキシエチレン付加物
・サーフロンS−241(AGCセイミケミカル製):フッ素系界面活性剤
表3の組合せで、基材にインク受容層用塗工液を乾燥後の膜厚が35μmとなるように塗工後、60℃で乾燥させて、基材上にインク受容層を形成した。次いで、形成したインク受容層上に、樹脂塗工液を、樹脂の乾燥塗工量が表3の値になるようにメイヤーバーを用いてオーバーコートした後、60℃で20分間乾燥し記録媒体を得た。得られた記録媒体のRa及びRskを、表面粗さ計Surfcorder SE3500(小坂研究所製)を用いて、JIS B0601:2001に準じて測定した。また、得られた記録媒体の60度鏡面光沢度を光沢計VG−2000(日本電色工業製)を用いて、JIS Z 8741で規定されるに準じて測定した。また、部分皮膜の平均長径及び被覆率を上述の方法で算出した。結果を表3に示す。
本発明においては、下記の各評価項目のA及びBを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。尚、下記の各評価において、記録媒体に画像を記録する際は、インクジェット記録装置はPIXUS MP990(キヤノン製)に、インクカートリッジBCI−321(キヤノン製)を装着して記録した。その際の記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約11ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、光沢プロプラチナグレードモード(標準設定、色/濃度:マッチングなし)にて、任意の写真画像を記録し、目視にて評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:高級感のある光沢を有していた
B:ある程度高級感のある光沢を有していた
C:高級感のある光沢を有していなかった。
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、光沢プロプラチナグレードモード(標準設定、色/濃度:マッチングなし)にて、15cm×15cmの領域を、PhotoShop7.0のRGBモードで、(R,G,B)=(0,0,0)で塗りつぶした画像Xと、5cm×5cmの領域を、PhotoShop7.0のRGBモードで、(R,G,B)=(255,255,0)で塗りつぶした画像Yの2つの画像を記録した。記録後、温度:23℃、相対湿度:50%の環境下で10分間乾燥し、画像Xと画像Yが重なるように重ね合わせ、24時間保管した。その後、画像Xの、画像Yと重なっていた領域と、重なってなかった領域を目視で比較し、白もやの抑制効果を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:特に大きな違いは見られなかった
B:画像Xの、画像Yと重なっていた領域に、白いモヤがわずかに確認された
C:画像Xの、画像Yと重なっていた領域に、白いモヤがはっきりと確認された。
記録媒体に、上記インクジェット記録装置を用いて、記録デューティが200%、300%のグリーン色のベタ画像2つを記録した。得られた画像におけるビーディング現象の発生の有無を目視で確認することで、インク吸収性を評価した。尚、ビーディング現象とは、記録媒体に吸収される前のインク滴同士が合体する現象で、インク吸収性と相関が高いことが知られている。記録デューティが高い画像でもビーディング現象が発生しなければインク吸収性が高いと判断することができる。評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:記録デューティが300%の画像でもビーディング現象が発生していなかった
B:記録デューティが300%の画像ではビーディング現象が発生していたが、200%の画像では発生していなかった
C:記録デューティが200%の画像でもビーディング現象が発生していた。
Claims (4)
- 基材とインク受容層とをこの順に有する記録媒体であって、
前記記録媒体のインク受容層側の表面の、JIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが1.3μm以上であり、JIS B 0601:2001で規定される粗さ曲線のスキューネスが0.1以下であり、かつ、JIS Z 8741で規定される60度鏡面光沢度が30%以上であり、
前記インク受容層の表面が、樹脂を含有する複数の皮膜で被覆されており、
前記複数の皮膜の平均長径が、0.3μm以上1.0μm以下であり、
前記複数の皮膜によるインク受容層表面の被覆率が30%以上70%以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記樹脂が、ポリウレタンを含む請求項1に記載の記録媒体。
- 前記記録媒体のインク受容層側の表面の、JIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが4.0μm以下である請求項1または2に記載の記録媒体。
- 前記基材と、前記インク受容層との間に、更に樹脂層を有し、
前記樹脂層の前記インク受容層側の表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さが1.5μm以上5.0μm以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録媒体。
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