以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、本実施形態のデバイス製造システム100の構成を示す図である。図1に示すデバイス製造システム100は、基板を搬送する搬送装置101と、基板を処理する基板処理装置102と、基板処理装置102によって処理された基板を検査する検査装置103と、デバイス製造システム100の少なくとも一部を制御する上位制御装置104(ホストコントローラ)と、上位制御装置104に情報を供給するシミュレータ105(情報算出装置)とを備える。
本実施形態において、搬送装置101は、搬送ライン106に沿って基板を搬送する。搬送装置101は、例えば、複数の基板が収容されたケースを搬送することにより、複数の基板を一組にして搬送する。本実施形態において、デバイス製造システム100は、複数の基板処理装置102を備え、複数の基板処理装置102のそれぞれは、搬送ライン106に接続されている。本実施形態において、搬送装置101は、複数の基板処理装置102のそれぞれに対して、搬送ライン106を介して基板処理装置102へ基板を搬入(供給)する搬入処理を実行する。また、本実施形態において、搬送装置101は、基板処理装置102が処理した基板を、複数の基板処理装置102のそれぞれから搬送ライン106を介して搬出する搬出処理を実行する。
本実施形態において、上位制御装置104は、搬送装置101を制御することによって、基板処理装置102による搬入処理と搬出処理の一方又は双方を実行させる。また、本実施形態の上位制御装置104は、搬送装置101を制御することによって、搬送ライン106を搬送されている処理前の基板を複数の基板処理装置102のいずれに供給するかを管理する。また、本実施形態において、上位制御装置104は、搬送装置101を制御することによって、搬送ライン106を搬送されている処理後の基板のそれぞれが複数の基板処理装置102のいずれにより処理されたかを管理する。
本実施形態において、基板処理装置102は、搬送ライン106に接続されたコータ・デベロッパ装置CDと、コータ・デベロッパ装置CDに接続されたインターフェースIFと、インターフェースIFを介してコータ・デベロッパ装置CDに接続された露光装置EXとを備える。
本実施形態の露光装置EXは、液体を介して基板を露光する液浸露光装置である。本実施形態の露光装置EXは、搬送ライン106を介して基板が配置される基板ステージ2Pを備える。本実施形態の露光装置EXは、基板が配置されている基板ステージ2Pを露光装置EXにおいて相対的に移動しながら、基板ステージ2Pに配置されている基板を露光する。本実施形態の露光装置EXは、基板ステージ2Pの相対的な移動を制御する制御装置4を備える。また、本実施形態の露光装置EXは、基板を搬送する搬送システム10(図2等に示す)を備えている。搬送システム10は、基板ステージ2Pに基板を搬入する処理、及び基板ステージ2Pから基板を搬出する処理を実行可能である。
本実施形態において、コータ・デベロッパ装置CDは、基板上に薄膜を形成するコーティング装置、及び露光装置EXによって露光処理が施された基板を現像するデベロッパ装置を備える。基板上に形成される薄膜は、例えば、半導体ウエハ等の基材上に形成される感光材からなる膜、及びその感光材からなる膜を覆うトップコート膜と呼ばれる膜等を含む。
本実施形態において、露光装置EXの搬送システム10は、コータ・デベロッパ装置CDのコーティング装置によって薄膜が形成された基板を、コーティング装置からインターフェースIFを介して露光装置EXの基板ステージ2Pに搬入する。本実施形態において、露光装置EXの搬送システム10は、露光装置EXによって露光処理が施された基板を、露光装置EXの基板ステージ2PからインターフェースIFを介してコータ・デベロッパ装置CDのデベロッパ装置に搬出する。
本実施形態において、上位制御装置104は、基板処理装置102の各部を制御する。例えば、上位制御装置104は、コータ・デベロッパ装置CDを制御することによって、搬送ライン106からコーティング装置に搬入された基板に薄膜を形成する処理を実行させる。また、上位制御装置104は、露光装置EX及びインターフェースIFを制御することによって、コーティング装置により薄膜が形成された基板を露光装置EXに搬入する処理を実行させる。また、上位制御装置104は、露光装置EXを制御することによって、コータ・デベロッパ装置CDから露光装置EXに搬入された基板に対する露光処理を実行させる。本実施形態において、露光装置EXは、制御装置4が上位制御装置104からの指令に従って露光装置EXの各部を制御することによって、露光処理を実行する。上位制御装置104は、露光装置EX及びインターフェースIFを制御することによって、露光装置EXにより露光処理が施された基板を露光装置EXからコータ・デベロッパ装置CDのデベロッパ装置に搬出する処理を実行させる。上位制御装置104は、コータ・デベロッパ装置CDを制御することによって、露光装置EXからデベロッパ装置に搬出された基板を現像する処理を実行させる。
なお、上述のような基板処理装置102の一部の装置は、省略されていてもよい。例えば、基板処理装置102は、露光装置EXを備え、コータ・デベロッパ装置CDを備えていなくてもよく、例えば、コータ・デベロッパ装置CDが基板処理装置102の外部の装置であってもよい。また、コータ・デベロッパ装置CDの一部の装置は、省略されていてもよいし、コータ・デベロッパ装置CDの外部の装置であってもよい。また、例えば露光装置EXの搬送システム10(後述する)等のように、露光装置EXの一部の装置は、インターフェースIFの一部であってもよいし、コータ・デベロッパ装置CDの一部であってもよい。
本実施形態の検査装置103は、搬送ライン106において、基板処理装置102よりも搬送経路の下流側に接続されている。本実施形態において、検査装置103は、基板に対する露光処理の結果を検出する。本実施形態において、検査装置103は、露光装置EXにより露光処理が施された後にデベロッパ装置により現像された基板を検査する。本実施形態において、検査装置103は、例えば、現像された基板における感光材からなる膜のパターンを検出し、検出したパターンと所定のパターンとを比較することによって、この基板に対する露光処理の結果を検出する。検査装置103は、例えば、液浸空間への気泡の混入による露光不良を検出することができる。また、検査装置103は、例えば、液浸空間から分離した液体によるウォーターマーク等による露光不良を検出することができる。
本実施形態において、検査装置103は、露光処理の結果を示す情報を上位制御装置104に供給する。露光処理の結果を示す露光結果情報は、例えば、基板において露光不良が発生したか否かを示す情報を含む。露光処理の結果を示す情報は、例えば、基板において露光不良が発生した位置と領域の一方又は双方を示す情報を含んでいてもよい。露光処理の結果を示す情報は、例えば、基板において露光不良が発生していない位置と領域の一方又は双方を示す情報を含んでいてもよい。
なお、検査装置103は、現像された感光材からなる膜をマスクとしてエッチングされた基板に対して、検査を実行してもよい。例えば、検査装置103は、エッチングによって基板に形成されたパターンを検出してもよい。検査装置103は、現像又はエッチングによって基板に形成されたパターンを検出することによって、上述したような露光処理の結果を検出して、例えば露光不良に関する検査を実行してもよい。また、検査装置103は、基板処理装置102の一部であってもよく、例えば、コータ・デベロッパ装置CDの一部であってもよい。また、検査装置103は、検査の結果を示す情報を上位制御装置104に供給しなくてもよく、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよいし、省略されていてもよい。
本実施形態の上位制御装置104は、例えばオペレータ(作業者)の指令に基づいて、デバイス製造システム100の各部を制御することによって、上述したような各種の処理を実行させる。
本実施形態の上位制御装置104は、複数の基板処理装置102のそれぞれから、複数の基板処理装置102のそれぞれの動作条件を示す動作条件情報を取得する。本実施形態の上位制御装置104は、複数の露光装置EXのそれぞれから、複数の露光装置EXのそれぞれの動作条件を示す動作条件情報を各制御装置4から取得可能である。本実施形態において、露光装置EXの動作条件は、基板ステージ2Pが移動可能な位置の条件(可動範囲)、基板ステージ2Pが移動する速度の条件、基板ステージ2Pが移動する加速度の条件のうち少なくとも1つを含む。速度の条件は、例えば、基板ステージ2Pが移動する速度の上限値、平均値、及び推奨値の少なくとも1つを含む速度範囲を含む。加速度の条件は、例えば、基板ステージ2Pが移動する加速度の上限値、平均値、及び推奨値の少なくとも1つを含む加速度範囲を含む。上位制御装置104は、基板処理装置102から取得した動作条件情報を、図示略の記憶装置に記憶させる。
本実施形態の上位制御装置104は、検査装置103から、露光処理が施された基板を検査した結果を示す検査結果情報を取得する。本実施形態において、上位制御装置104は、検査装置103から取得した検査結果情報を、図示略の記憶装置に記憶させる。
本実施形態のシミュレータ105は、露光装置EXにおいて後述する投影光学系に対向して配置される物体上の液体(液浸空間)に関する液体情報を含む情報を算出する。物体は、例えば、露光基板を含む。本実施形態において、上位制御装置104は、デバイス製造システム100の各部から取得した情報の少なくとも一部を、シミュレータ105に供給する。例えば、上位制御装置104は、露光装置EXから取得した情報をシミュレータ105に供給する。本実施形態において、シミュレータ105は、上位制御装置104から供給された情報に基づいて、液体情報を含む情報を算出する。なお、シミュレータ105が、液体情報を含む情報を算出する際に、シミュレータ105に供給された露光装置EXからの情報を使わなくてもよいし、シミュレータ105に露光装置EXからの情報を供給しなくてもよい。
本実施形態において、シミュレータ105は、算出した情報の少なくとも一部を、上位制御装置104に供給する。本実施形態において、上位制御装置104は、シミュレータ105から供給された情報を、図示略の記憶装置に記憶させる。本実施形態において、上位制御装置104は、シミュレータ105から供給された情報に基づいて露光装置EXの制御装置4を制御し、例えば、露光光が照射される基板が配置された基板ステージ2Pの移動を制御する。
なお、上位制御装置104とシミュレータ105との間の情報の受け渡しは、有線又は無線の通信により実行されてもよいし、記録媒体を介して実行されてもよい。例えば、上位制御装置104は、シミュレータ105が算出した情報を記録した記録媒体から情報を読み出すことによって、シミュレータ105が算出した情報を取得してもよい。また、上位制御装置104は、シミュレータ105に情報を供給しなくてもよい。また、シミュレータ105は、算出した情報を上位制御装置104に供給しなくてもよい。デバイス製造システム100は、例えば、上位制御装置104とシミュレータとの間で情報の受け渡しがなされない場合に、シミュレータ105を備えていなくてもよい。また、シミュレータ105は、上位制御装置104の一部であってもよいし、露光装置EXの一部であってもよく、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよい。また、シミュレータ105は、上位制御装置104と露光装置EXとに分けて実装されていてもよい。
なお、デバイス製造システム100が備える基板処理装置102の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、デバイス製造システム100は、上位制御装置104を備えていなくてもよい。例えば、デバイス製造システム100は、上位制御装置104が省略されており、シミュレータ105が露光装置EXの制御装置4と接続されていてもよいし、シミュレータ105が露光装置EXの制御装置4と接続されていなくてもよい。
次に、デバイス製造システム100の各部について説明する。図2は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図3は、本実施形態に係る基板ステージ2P及び計測ステージ2Cの一例を示す平面図である。
以下の説明においては、図2等に示すXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。液浸空間とは、液体で満たされた部分(空間、領域)をいう。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号、及び欧州特許出願公開第1713113号等に開示されているような、基板ステージ2Pと計測ステージ2Cとを備えた露光装置である。
図2及び図3において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2Pと、基板Pを保持せずに、計測器(例えば、露光光ELを受光するセンサの少なくとも一部)、計測部材などを搭載して移動可能な計測ステージ2Cと、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、基板Pに照射される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように基板Pとの間で液体LQを保持して液浸空間LSを形成する液浸部材3と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置4と、制御装置4に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置5とを備えている。記憶装置5は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置5には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号に開示されているような、基板ステージ2Pが有するスケール部材22を用いてその基板ステージ2Pの位置を計測するエンコーダシステム6を備えている。
また、本実施形態の露光装置EXは、基板Pの表面の位置を検出する第1検出システム7と、基板Pの位置を検出する第2検出システム8と、マスクステージ1、基板ステージ2P、及び計測ステージ2Cの位置を計測する干渉計システム9とを備えている。
また、本実施形態において、露光装置EXは、基板Pを搬送する搬送システム10を備えている。搬送システム10は、基板ステージ2Pに基板Pを搬入する処理、及び基板ステージ2Pから基板Pを搬出する処理を実行可能である。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材11のガイド面11G上を移動可能である。本実施形態において、ガイド面11GとXY平面とは実質的に平行である。マスクステージ1は、例えば米国特許第6452292号に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。平面モータは、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材11に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システムの作動により、ガイド面11G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、マスクステージ1を移動させる駆動システムは、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システムが、リニアモータを含んでもよい。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
投影光学系PLは、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELが射出される射出面13を有する。投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12が、射出面13を有する。投影領域PRは、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。本実施形態において、射出面13は、−Z側を向いており、XY平面と平行である。なお、−Z側を向いている射出面13は、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。終端光学素子12の光軸は、Z軸と平行である。本実施形態において、射出面13から射出される露光光ELは、−Z側に進行する。
基板ステージ2Pは、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材14のガイド面14G上を移動可能である。本実施形態において、ガイド面14GとXY平面とは実質的に平行である。計測ステージ2Cは、計測器(計測部材)を搭載した状態で、投影領域PRを含むベース部材14のガイド面14G上を移動可能である。基板ステージ2P及び計測ステージ2Cは、例えば米国特許第6452292号に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。平面モータは、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cのそれぞれに配置された可動子と、ベース部材14に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cのそれぞれは、駆動システムの作動により、ガイド面14G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cを移動させる駆動システムは、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システムが、リニアモータを含んでもよい。
干渉計システム9は、マスクステージ1に配置された計測ミラーを用いてそのマスクステージ1の位置を計測するレーザ干渉計ユニット9Aと、基板ステージ2Pに配置された計測ミラー及び計測ステージ2Cに配置された計測ミラーを用いてその基板ステージ2P及び計測ステージ2Cの位置を計測するレーザ干渉計ユニット9Bとを有する。レーザ干渉計ユニット9A、9Bの計測結果は、制御装置4に出力される。
基板ステージ2Pは、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部材20を有する。また、本実施形態において、基板ステージ2Pは、第1保持部材20の周囲の少なくとも一部に配置されるカバー部材21を有する。また、本実施形態において、基板ステージ2Pは、カバー部材21の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材22を有する。スケール部材22は、基板ステージ2Pが移動することによって、移動する。例えば、スケール部材22は、基板ステージ2Pがガイド面14Gに沿ってXY平面内を移動するとき、移動する。基板ステージ2Pが移動することによって、スケール部材22も移動する。例えば基板ステージ2Pがガイド面14Gに沿ってXY平面内を移動するとき、スケール部材22も移動する。
本実施形態において、基板ステージ2Pは、第1保持部材20の周囲の少なくとも一部に配置される第2保持部材23を有する。第2保持部材23は、カバー部材21をリリース可能に保持する。第2保持部材23に保持されているカバー部材21は、第1保持部材20に保持されている基板Pの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、カバー部材21は、開口24を有する。本実施形態において、第1保持部材20に保持されている基板Pは、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の開口24の内側に配置される。すなわち、本実施形態において、第2保持部材23に保持されているカバー部材21は、第1保持部材20に保持されている基板Pを環状に囲むように、配置される。
本実施形態において、第2保持部材23は、スケール部材22をリリース可能に保持する。スケール部材22は、カバー部材21と独立して第2保持部材23から取り外すことができる。第2保持部材23に保持されているスケール部材22は、第2保持部材23に保持されているカバー部前記の周囲の少なくとも一部に配置される。第2保持部材23に保持されているカバー部材21は、第1保持部材20に保持されている基板Pと第2保持部材23に保持されているスケール部材22の間の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、スケール部材22は、開口25を有する。本実施形態において、第2保持部材23に保持されているカバー部材21は、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の開口25の内側に配置される。本実施形態において、第2保持部材23に保持されているスケール部材22は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21を環状(枠状)に囲むように、配置される。
本実施形態において、スケール部材22は、Y軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測するためのYスケール26及びYスケール27と、X軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測するためのXスケール28及びXスケール29と、を含む。Yスケール26は、開口24(第1保持部材20の中心)に対して−X側に配置される。Yスケール27は、開口24に対して+X側に配置される。Xスケール28は、開口24に対して−Y側に配置される。Xスケール29は、開口24に対して+Y側に配置される。
Yスケール26、27のそれぞれは、X軸方向に長く、Y軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)を含む。すなわち、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。Xスケール28とXスケール29のそれぞれは、Y軸方向に長く、X軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)を含む。すなわち、Xスケール28とXスケール29は、X軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。
本実施形態において、格子は、回折格子である。すなわち、本実施形態において、Yスケール26とYスケール27は、Y軸方向を周期方向とする回折格子を有する。Xスケール28とXスケール29は、X軸方向を周期方向とする回折格子を有する。また、本実施形態においては、Yスケール26とYスケール27は、Y軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。Xスケール28とXスケール29は、X軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。
本実施形態において、搬送システム10は、基板ステージ2Pに基板Pを搬入(ロード)する第1搬送部材10Aと、基板ステージ2Pから基板Pを搬出(アンロード)する第2搬送部材10Bとを有する。第1搬送部材10Aは、例えば露光前の基板Pを基板ステージ2Pの第1保持部材20に搬入する。第2搬送部材10Bは、例えば露光後の基板Pを基板ステージ2Pの第1保持部材20から搬出する。
本実施形態において、基板ステージ2Pは、少なくとも一部が射出面13と対向する位置EPと、射出面13と対向しない位置CP1と、射出面13と対向しない位置CP2との間を移動可能である。
本実施形態においては、位置EPに配置された物体に、射出面13から射出された露光光ELが照射可能である。本実施形態においては、位置CP1において、露光前の基板Pを第1保持部材20に搬入する処理が実行される。位置CP2において、第1保持部材20から露光後の基板Pを搬出する処理が実行される。
以下の説明において、位置EPを適宜、露光位置EP、と称する。また、以下の説明において、位置CP1を適宜、第1基板交換位置CP1、と称し、位置CP2を適宜、第2基板交換位置CP2、と称する。
本実施形態において、第1、第2基板交換位置CP1、CP2は、露光位置EPに対して+Y側の位置である。本実施形態において、第1基板交換位置CP1は、第2基板交換位置CP2に対して−X側の位置である。
第1保持部材20に基板Pを搬入するとき、制御装置4は、基板ステージ2Pを第1基板交換位置CP1に移動する。制御装置4は、第1搬送部材10Aを用いて、第1基板交換位置CP1に配置された基板ステージ2Pの第1保持部材20に、基板Pを搬入する。
第1保持部材20から基板Pを搬出するとき、制御装置4は、基板ステージ2Pを第2基板交換位置CP2に移動する。制御装置4は、第2搬送部材10Bを用いて、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ2Pの第1保持部材20から、基板Pを搬出する。
図4は、エンコーダシステム6、第1検出システム7、及び第2検出システム8の一例を示す平面図である。
第1検出システム7は、例えば米国特許第5448332号等に開示されているような、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含む。第1検出システム7は、検出光を射出する照射装置7Aと、検出光を受光可能な受光装置7Bとを有する。第1検出システム7は、照射装置7Aから射出される検出光を検出領域AFに照射して、その検出領域AFに配置された物体の表面(被検面)の位置を検出する。物体の表面に照射された照射装置7Aからの検出光は、その物体の表面で反射する。物体の表面で反射した検出光の少なくとも一部は、受光装置7Bに受光される。第1検出システム7は、受光装置7Bの受光結果に基づいて、例えばZ軸、θX、及びθY方向に関する物体の表面の位置を検出する。
本実施形態において、第1検出システム7の検出領域AFは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。第1検出システム7は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、物体の表面の位置を検出する。換言すれば、第1検出システム7は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される物体の表面の位置を検出する。
本実施形態においては、第1検出システム7は、例えば第1保持部材20に保持された基板Pの表面の位置、及びスケール部材22の表面の位置を検出可能である。なお、第1検出システム7が、計測ステージ2Cの表面の位置を検出してもよい。
本実施形態において、第1検出システム7は、液浸空間LSが通った基板P上の液体の残留を検出可能である。本実施形態において、第1検出システム7は、露光後の基板P上に残留している液体を検出する。例えば、制御装置4は、第1検出システム7の受光装置7Bの出力に基づいて、露光後の基板Pの表面に残留している液体の有無、位置、数の少なくとも一つを検知することができる。本実施形態において、第1検出システム7が用いて検出した残留液体に関する情報は、制御装置4に供給され、制御装置4及び上位制御装置104を介して、シミュレータ105に供給できる。なお、可能であれば、露光処理の少なくとも一部と並行して、第1検出システム7による基板Pの表面の残留液体の検出を行ってもよい。
なお、第1検出システム7は、液浸空間LSが通った基板P上の液体の残留を検出しなくてもよい。また、第1検出システム7とは別の装置は、液浸空間LSが通った基板P上の液体の残留を検出してもよい。この装置は、露光装置EXの一部であってもよいし、露光装置EXの外部の装置であってもよい。
第2検出システム8は、例えば米国特許5493403号に開示されているような、基板Pの感光膜を感光させないブロードバンドな検出光を対象マークに照射し、その対象マークで反射した検出光により受光面に結像された対象マークの像と指標の像とをCCD等の撮像素子を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することで対象マークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメント装置を含む。本実施形態において、第2検出システム8は、複数のアライメント装置8A〜8Eを含む。本実施形態において、複数のアライメント装置8A〜8Eは、X軸方向に配置される。
アライメント装置8Aは、検出光を検出領域ALAに照射して、その検出領域ALAに配置された対象マークの位置を検出する。対象マークに照射された検出光は、その対象マークで反射する。対象マークで反射した検出光に基づく対象マークの像は、撮像素子で撮像される。アライメント装置8Aは、撮像素子の撮像結果に基づいて、例えば例えばZ軸、θX、及びθY方向に関する対象マークの位置を検出する。同様に、アライメント装置8B〜8Eのそれぞれは、検出領域ALB〜ALEに検出光を照射して、検出領域ALB〜ALEのそれぞれに配置された対象マークの位置を検出する。
本実施形態において、第2検出システム8の検出領域ALA〜ALEは、X軸方向に配置される。また、検出領域ALA〜ALEは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。第2検出システム8は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、対象マークの位置を検出する。換言すれば、第2検出システム8は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される対象マークの位置を検出する。
また、本実施形態において、第2検出システム8は、第1検出システム7よりも+Y側に配置される。本実施形態において、検出領域ALA〜ALEは、検出領域AFよりも+Y側に配置される。換言すれば、検出領域ALA〜ALEは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と検出領域AFとの間に配置される。
本実施形態においては、第2検出システム8は、例えば第1保持部材20に保持された基板Pのアライメントマークの位置を検出可能である。なお、第2検出システム8が、例えば計測ステージ2Cに配置されたマークの位置を検出してもよい。
エンコーダシステム6は、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号に開示されているような、計測光を射出する照射装置及び計測光を受光する受光装置を有し、スケール部材22が有する格子(スケール、格子線)に照射装置からの計測光を照射し、その格子を介した計測光を受光装置で受光して、その格子の位置を計測するエンコーダヘッド15を有する。
本実施形態において、エンコーダシステム6は、エンコーダヘッド15を複数有する。エンコーダシステム6は、X軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド15を含み、終端光学素子12(液浸部材3)の−X側に配置されるリニアエンコーダ6Aと、Y軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド15を含み、終端光学素子12(液浸部材3)の−Y側に配置されるリニアエンコーダ6Bと、X軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド15を含み、終端光学素子12(液浸部材3)の+X側に配置されるリニアエンコーダ6Cと、Y軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド15を含み、終端光学素子12(液浸部材3)の+Y側に配置されるリニアエンコーダ6Dとを有する。
本実施形態において、リニアエンコーダ6Aとリニアエンコーダ6Cは、Yスケール26とYスケール27を用いて、Y軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測する。リニアエンコーダ6Bとリニアエンコーダ6Dは、Xスケール28とXスケール29を用いて、X軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測する。
リニアエンコーダ6A〜6D(エンコーダヘッド15)は、スケール部材22の表面が対向可能な位置に配置される。スケール部材22は、リニアエンコーダ6A〜6Dのエンコーダヘッド15と対向する位置に移動可能である。エンコーダヘッド15は、照射装置から射出される計測光を計測領域に照射して、その計測領域に配置されたスケール部材22の格子を検出する。スケール部材22に照射された照射装置からの計測光の少なくとも一部は、そのスケール部材22で反射する。スケール部材22で反射した計測光の少なくとも一部は、受光装置に受光される。エンコーダシステム6は、リニアエンコーダ6A〜6Dのそれぞれが有する複数のエンコーダヘッド15の受光装置の受光結果に基づいて、例えばX軸、Y軸、及びθZ方向に関するスケール部材22(基板ステージ2P)の位置を計測する。
本実施形態において、リニアエンコーダ6Dの少なくとも一部は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と、露光位置EPとの間に配置される。リニアエンコーダ6Dは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、基板ステージ2Pの位置を計測する。換言すれば、リニアエンコーダ6Dは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置されるスケール部材(基板ステージ2P)の位置を計測する。
本実施形態において、リニアエンコーダ6A〜6Cは、検出領域AFよりも−Y側に配置される。すなわち、本実施形態において、リニアエンコーダ6A〜6Cは、検出領域AF及び検出領域ALA〜ALEよりも、第1、第2基板交換位置CP1、CP2から離れている。
図5は、本実施形態に係る液浸部材3及び基板ステージ2Pの一例を示す側断面図である。なお、図5においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材3と対向する位置)に、基板Pが配置されている。露光装置EXは、計測ステージ2Cを投影領域PRに配置することもできるし、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cを投影領域PRに配置することもできる。
本実施形態において、基板Pは、表面(上面P1)と、表面の反対を向く裏面(下面P2)とを有する。本実施形態において、上面P1は、実質的に平坦である。本実施形態において、第1保持部材20は、基板Pの上面P1とXY平面とが実質的に平行となるように、基板Pの下面P2を保持する。
なお、基板Pの上面P1の少なくとも一部は、平坦でなくてもよく、例えば凹部、凸部、及び曲面の少なくとも1つを含んでもよい。また、基板Pは、上面P1の少なくとも一部がXY平面と非平行になるように、露光装置EXに配置されてもよい。
本実施形態において、第1保持部材20は、例えばピンチャック機構のような吸着機構を有する。第1保持部材20は、基板ステージ2Pの支持面31Sに配置された周壁部35と、周壁部35の内側の支持面31Sに配置された支持部36と、支持面31Sに配置された吸引口37とを有する。周壁部35は、基板Pの下面P2が対向可能である。支持部36は、基板Pの下面P2に接触する複数のピン部材を含む。吸引口37は、流体吸引装置と接続され、流体を吸引する。この流体吸引装置は、制御装置4に制御される。
本実施形態において、周壁部35の上面は、基板Pの下面P2と対向可能である。周壁部35は、基板Pの下面P2との間の少なくとも一部に負圧空間を形成可能である。制御装置4は、基板Pの下面P2と周壁部35の上面とが接触された状態で、吸引口37の吸引動作を実行することによって、周壁部35と基板Pの下面P2と支持面31Sとで形成される空間31Hを負圧にすることができる。これにより、基板Pが第1保持部材20に保持される。また、吸引口37の吸引動作が解除されることによって、基板Pは第1保持部材20から解放される。
本実施形態において、カバー部材21は、プレート状の部材である。本実施形態において、カバー部材21は、表面(上面40)と、表面の反対を向く裏面(下面41)とを有する。カバー部材21の上面40は、実質的に平坦である。第2保持部材23は、カバー部材21の上面40がXY平面と実質的に平行となるように、カバー部材21の下面41を保持する。本実施形態において、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の少なくとも一部は、終端光学素子12の射出面13と対向可能である。本実施形態において、カバー部材21の上面40は、開口24の縁の少なくとも一部を含む内周部42と、外周43の縁の少なくとも一部を含む外周部44とを有する。本実施形態において、内周部42は、開口24の縁に沿った環状(枠状)の部分であり、外周部44は、内周部42を環状(枠状)に囲む部分である。
本実施形態において、カバー部材21の上面40(内周部42)は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1の周囲の少なくとも一部に配置される。カバー部材21の上面40は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1を環状に囲むように、配置される。第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40は、基板Pの上面P1と間隙Gaを介して隣接する。間隙Gaは、第1保持部材20に保持されている基板Pと第2保持部材23に保持されているカバー部材21との間の間隙を含む。
本実施形態において、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1と実質的に平行である。第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1と、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40とは、実質的に同一平面内に配置される(面一である)。
なお、カバー部材21は、プレート状の部材でなくてもよく、例えばブロック状の部材であってもよい。また、カバー部材21の上面40の少なくとも一部は、平坦でなくてもよく、例えば凹部、凸部、及び曲面の少なくとも1つを含んでもよい。また、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の少なくとも一部は、第1保持部材20に保持されている基板Pに対して、傾斜していてもよい。
なお、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1の周囲に離散的に配置されていてもよい。例えば、露光装置EXは、複数のカバー部材21を備え、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1を囲むように、複数のカバー部材21の上面40が配置されてもよい。また、カバー部材21は、複数の第1の部材に分割可能であってもよい。例えば、複数の第1の部材が第2保持部材23に保持され、カバー部材21の上面40は、複数の第1の部材の上面によって形成されてもよい。また、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1の周囲の一箇所のみに配置されていてもよい。
なお、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の少なくとも一部は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1に対して段差を有していてもよい。例えば、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の少なくとも一部は、第1保持部材20に保持されている基板Pの上面P1に対して上方(+Z側)又は下方(−Z側)に配置されてもよい。
本実施形態において、スケール部材22は、プレート状の部材である。本実施形態において、スケール部材22は、表面(上面45)と、表面の反対を向く裏面(下面46)とを有する。スケール部材22の上面45は、実質的に平坦である。第2保持部材23は、スケール部材22の上面45がXY平面と実質的に平行となるように、スケール部材22の下面46を保持する。本実施形態において、スケール部材22の上面45は、開口25の縁の少なくとも一部を含む内周部47と、外周48の縁の少なくとも一部を含む外周部49とを有する。本実施形態において、内周部47は、開口25の縁に沿った環状(枠状)の部分であり、外周部49は、内周部47を環状(枠状)に囲む部分である。
本実施形態において、スケール部材22の上面45(内周部47)は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40(外周部44)の周囲の少なくとも一部に配置される。スケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40を環状に囲むように、配置される。第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40と間隙Gbを介して隣接する。間隙Gbは、第2保持部材23に保持されているカバー部材21と第2保持部材23に保持されているスケール部材22との間の間隙を含む。
本実施形態において、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40と実質的に平行である。第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40に対して、段差Gcを有している。本実施形態において、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45の少なくとも一部は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40よりも上方(+Z側)に配置される。第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45の内周部47は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の外周部44よりも上方に配置される。スケール部材22の上面45の内周部47は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の外周部44を環状に囲む部分である。本実施形態において、スケール部材22の上面45の内周部47は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の外周のいずれの位置においても、カバー部材21の上面40の外周に対して上方に配置されている。
なお、スケール部材22は、プレート状の部材でなくてもよく、例えばブロック状の部材であってもよい。また、スケール部材22の上面45の少なくとも一部は、平坦でなくてもよく、例えば凹部、凸部、及び曲面の少なくとも1つを含んでもよい。また、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45の少なくとも一部は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21に対して、傾斜していてもよい。
なお、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の周囲において、離散的に配置されていてもよい。例えば、露光装置EXは、複数のスケール部材22を備え、複数のスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40を囲むように、配置されてもよい。また、スケール部材22は、複数の第2の部材に分割可能であってもよい。例えば、複数の第2の部材が第2保持部材23に保持され、スケール部材22の上面45は、複数の第2の部材の上面を含んでいてもよい。複数の第2の部材は、例えば、Xスケールを有する部材とYスケールを有する部材の一方又は双方を含んでいてもよい。また、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の周囲の一箇所のみに配置されていてもよい。
なお、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45の少なくとも一部は、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40の下方(−Z側)に配置されてもよい。また、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45と、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40とは、実質的に同一平面内に配置されてもよい(面一であってもよい)。また、例えばスケール部材22とカバー部材21とが一体的に形成又は接合されており、第2保持部材23に保持されているスケール部材22の上面45と、第2保持部材23に保持されているカバー部材21の上面40は、実質的に間隙Gbを有していなくてもよい。基板ステージ2P上にスケール部材22とは別の計測部材、計測器が配置されていてもよい。例えば、スケール部材22は、基板ステージ2Pと対向可能な位置に配置されており、このスケール部材22と対向可能な基板ステージ2P上にスケール部材22を介した光を検出するエンコーダーヘッド(測定器、測定部材)が配置されていてもよい。また、露光装置EXは、スケール部材22を備えていなくてもよいし、エンコーダシステム6を備えていなくてもよい。
本実施形態において、第2保持部材23は、例えばピンチャック機構等のような吸着機構を有する。第2保持部材23は、基板ステージ2Pの支持面32Sにおいて周壁部35を囲むように配置された周壁部38と、支持面32Sにおいて周壁部38を囲むように配置された周壁部39と、周壁部38と周壁部39との間の支持面32Sに配置された支持部33と、支持面32Sに配置された吸引口34とを有する。周壁部38及び周壁部39は、カバー部材21の下面41が対向可能である。支持部33は、カバー部材21の下面41に接触する複数のピン部材を含む。吸引口34は、流体吸引装置と接続され、流体を吸引する。この流体吸引装置は、制御装置4に制御される。
本実施形態において、周壁部38の上面及び周壁部39の上面は、カバー部材21の下面41と対向可能である。周壁部38及び周壁部39は、カバー部材21の下面41との間の少なくとも一部に負圧空間を形成可能である。制御装置4は、周壁部38の上面及び周壁部39の上面がカバー部材21の下面41と接触された状態で、吸引口34の吸引動作を実行することによって、周壁部38と周壁部39とカバー部材21の下面41と支持面32Sとで形成される空間を負圧にすることができる。これにより、カバー部材21が第2保持部材23に保持される。また、吸引口34の吸引動作が解除されることによって、カバー部材21は第2保持部材23から解放される。
本実施形態において、第2保持部材23は、基板ステージ2Pの支持面32Sにおいて周壁部39を囲むように配置された周壁部50と、支持面32Sにおいて周壁部50を囲むように配置された周壁部51と、周壁部50と周壁部51との間の支持面32Sに配置された支持部52と、支持面32Sに配置された吸引口54とを有する。周壁部50及び周壁部51は、スケール部材22の下面46が対向可能である。支持部52は、スケール部材22の下面46に接触する複数のピン部材を含む。吸引口54は、流体吸引装置と接続され、流体を吸引する。この流体吸引装置は、制御装置4に制御される。
本実施形態において、周壁部50の上面及び周壁部51の上面は、スケール部材22の下面46と対向可能である。周壁部50及び周壁部51は、スケール部材22の下面46との間の少なくとも一部に負圧空間を形成可能である。制御装置4は、周壁部50の上面及び周壁部51の上面がスケール部材22の下面46と接触された状態で、吸引口54の吸引動作を実行することによって、周壁部50と周壁部51とスケール部材22の下面46と支持面32Sとで形成される空間を負圧にすることができる。これにより、スケール部材22が第2保持部材23に保持される。また、吸引口54の吸引動作が解除されることによって、スケール部材22は第2保持部材23から解放される。
なお、本実施形態においては、カバー部材21及びスケール部材22は、基板ステージ2Pからリリース可能であるが、カバー部材21とスケール部材22の少なくとも一方の部材は、基板ステージ2Pからリリース不能であってもよい。例えば、基板ステージ2Pは、カバー部材21及びスケール部材22が基板ステージ2Pからリリース不能であって、第2保持部材23を有していなくてもよい。
なお、本実施形態においては、第2保持部材23は、カバー部材21及びスケール部材22を保持するが、カバー部材21とスケール部材22の一方の部材を保持し、カバー部材21とスケール部材22の他方の部材を保持しなくてもよい。例えば、基板ステージ2Pは、カバー部材21とスケール部材22の一方の部材を第2保持部材23が保持し、カバー部材21とスケール部材22の他方の部材を第2保持部材23と別の第3保持部材が保持してもよい。
なお、本実施形態においては、カバー部材21は、スケール部材22と別の部材であるが、スケール部材22と一体的に形成された部材でもよいし、スケール部材22と接合された部材でもよい。また、本実施形態においては、カバー部材21は、スケール部材22と独立して第2保持部材23から取り外し可能であるが、例えばスケール部材22と一体的に形成又は接合されており、スケール部材22とともに第2保持部材23から取り外し可能であってもよい。
図6は、第1保持部材20(基板ステージ2P)に保持された基板Pの一例を示す図である。本実施形態において、基板P上の露光対象領域であるショット領域Sは、マトリクス状に複数配置されている。制御装置4は、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光する。なお、図6において、液浸空間LSは、説明の便宜上、XY面に射影した液浸空間LSの形状が円形状であるように模式的に図示されているが、液浸空間LSの形状に限定はない。
図4に示すように、本実施形態の液浸部材3は、少なくとも一部が終端光学素子12の射出面13と対向する対向部60と、少なくとも一部が終端光学素子12の周囲に配置される本体部61とを含む。対向部60は、射出面13と対向する位置に孔(開口)62を有する。対向部60は、少なくとも一部が射出面13とギャップを介して対向する上面63と、基板P(物体)が対向可能な下面64とを有する。孔62は、上面63と下面64とを結ぶように形成される。上面63は、孔62の上端の周囲に配置され、下面64は、孔62の下端の周囲に配置される。射出面13から射出された露光光ELは、孔62を通過して、基板Pに照射可能である。
本実施形態において、上面63及び下面64のそれぞれは、光路Kの周囲に配置される。本実施形態において、下面64は、平坦面である。下面64は、基板P(物体)との間で液体LQを保持可能である。以下の説明において、下面64を適宜、保持面65と称する。
また、液浸部材3は、液体LQを供給可能な供給口66と、液体LQを回収可能な回収口67とを有する。供給口66は、例えば基板Pの露光時において液体LQを供給する。回収口67は、例えば基板Pの露光時において液体LQを回収する。なお、供給口66は、基板Pの露光時及び非露光時の一方又は双方において液体LQを供給可能である。また、回収口67は、基板Pの露光時及び非露光時の一方又は双方において液体LQを回収可能である。
供給口66は、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの近傍において、その光路Kに面するように配置されている。なお、供給口66は、射出面13と孔62との間の空間及び終端光学素子12の側面の一方又は双方に面していればよい。本実施形態において、供給口66は、上面63と射出面13との間の空間に液体LQを供給する。供給口66から供給された液体LQは、その上面63と射出面13との間の空間を流れた後、孔62を介して、基板P(物体)上に供給される。
供給口66は、流路68を介して、液体供給装置69と接続されている。液体供給装置69は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路68は、液浸部材3の内部に形成された供給流路70、及びその供給流路70と液体供給装置69とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置69から送出された液体LQは、流路68を介して供給口66に供給される。少なくとも基板Pの露光において、供給口66は、液体LQを供給する。
回収口67は、液浸部材3の下面64と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口67は、露光光ELが通過する孔62の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態においては、回収口67は、保持面65の周囲の少なくとも一部に配置される。回収口67は、物体の表面と対向する液浸部材3の所定位置に配置されている。少なくとも基板Pの露光において、回収口67に基板Pが対向する。基板Pの露光において、回収口67は、基板P上の液体LQを回収する。
本実施形態において、本体部61は、基板P(物体)に面する開口71を有する。開口71は、保持面65の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材3は、開口71に配置された多孔部材72を有する。本実施形態において、多孔部材72は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、開口71に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。
本実施形態において、多孔部材72は、基板P(物体)が対向可能な下面73と、下面73の反対方向を向く上面74と、上面74と下面73とを結ぶ複数の孔とを有する。下面73は、保持面65の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材3の下面64の少なくとも一部は、保持面65及び下面73を含む。
本実施形態において、回収口67は、多孔部材72の孔を含む。本実施形態において、基板P(物体)上の液体LQは、多孔部材72の孔(回収口67)を介して回収される。なお、液浸部材3は、多孔部材72を備えていなくてもよい。
回収口67は、流路75を介して、液体回収装置76と接続されている。液体回収装置76は、回収口67を真空システムに接続可能であり、回収口67を介して液体LQを吸引可能である。流路75は、液浸部材3の内部に形成された回収流路77、及び回収流路77と液体回収装置76とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口67から回収された液体LQは、流路75を介して、液体回収装置76に回収される。
本実施形態においては、制御装置4は、供給口66からの液体LQの供給動作と並行して、回収口67からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材3と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材3として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
本実施形態の露光装置EXは、基板Pのショット領域Sを露光するとき、終端光学素子12及び液浸部材3と基板Pとが対向され、終端光学素子12と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。本実施形態において、露光装置EXは、基板Pの複数のショット領域Sを順次露光するとき、終端光学素子12及び液浸部材3を含む第1部と、第1部に対向する第2面との間との間に液体LQで液浸空間LSが形成されている状態で、基板ステージ2PがXY平面内において移動される。上記の第2面は、基板Pの上面P1及び基板ステージ2Pの上面2Uの一方又は双方を含む。制御装置4は、終端光学素子12及び液浸部材3を含む第1部と、第1部に対向する第2面との間との間に液体LQで液浸空間LSが形成されている状態で、基板ステージ2Pを移動しながら、基板Pの露光を実行する。
本実施形態において、制御装置4は、基板P上の複数のショット領域Sのうち最初のショット領域(第1のショット領域)Sを露光するために、その第1のショット領域S1を露光開始位置に移動する。制御装置4は、液浸空間LSが形成された状態で、第1のショット領域S1(基板P)を投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動しながら、その第1のショット領域S1に対して露光光ELを照射する。
本実施形態において、制御装置4は、第1のショット領域S1の露光が終了した後、次の第2のショット領域S2を露光するために、液浸空間LSが形成された状態で、基板PをX軸方向(あるいはXY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向)に移動し、第2のショット領域S2を露光開始位置に移動する。制御装置4は、第1のショット領域S1と同様に、第2のショット領域S2を露光する。
本実施形態において、制御装置4は、スキャン露光動作とステッピング動作とを繰り返しながら、基板P上の複数のショット領域Sを、投影光学系PL及び液浸空間LSの液体LQを介して順次露光する。露光光ELは、基板Pの複数のショット領域Sに対して、次照射される。なお、上記のスキャン露光動作は、投影領域PRに対してショット領域SをY軸方向に移動しながらそのショット領域Sに露光光ELを照射する動作を含む。また、ステッピング動作は、今回のショット領域Sの露光が終了した後、次回のショット領域Sを露光開始位置に移動するための動作を含む。
本実施形態において、制御装置4は、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pとが、図6中に矢印R1で示す移動軌跡に沿って相対的に移動するように基板ステージ2Pを移動しつつ投影領域PRに露光光ELを照射して、液体LQを介して基板Pの複数のショット領域Sを露光光ELで順次露光する。本実施形態において、図1に示したシミュレータ105は、基板ステージ2Pの移動を制御するための移動情報を上位制御装置104に供給する。上位制御装置104は、シミュレータ105から供給された移動情報を、露光装置EXの制御装置4に供給する。本実施形態において、露光装置EXは、上位制御装置104から供給された移動情報基づいて、基板Pの各ショット領域を露光するときの基板ステージ2Pの移動を制御する。
一般的に、例えば液浸部材(終端光学素子)と基板ステージとの相対移動等によって、液浸空間から液体が分離することがありえる。液浸空間から分離した液滴等の液体(以下、分離液体という)は、基板などの物体の表面に残留すると、残留した液体が乾燥した後にシミ(液体LQが純水の場合には、いわゆるウォーターマーク)の発生を招くことがありえる。例えば、分離液体が基板上に残留すると、露光不良の発生を招くことがありえる。
また、分離液体は、基板の外側に流れて、基板の外側に配置される部材において不都合の発生を招くことがありえる。例えば、分離液体は、基板の外側に配置された計測部材を濡らすことによって、計測部材を利用した計測の精度を低下させることがありえる。結果として、露光不良が発生することがある。また、例えば液浸部材と基板ステージとの相対移動等によって、液体空間を形成する液体中に気泡が混入(発生)することがありえる。例えば、液浸空間が間隙をまたぐ際に(間隙上を液浸空間が通過する際に)、気泡が混入することがありえる。液浸空間に混入した気泡は、露光不良の発生を招くことがありえる。例えば、液浸空間に混入した気泡が基板Pの表面に付着し、基板Pの表面の気泡が付着した部分に露光光ELが照射されると露光不良が発生する。
本実施形態において、シミュレータ105は、露光光ELを射出する終端光学素子12に対向する物体上での液体LQに関する液体情報を算出する。例えば、シミュレータ105が算出する液体情報は、露光光ELを射出する終端光学素子12に対向する物体上を動かしたときの液体LQの動きに関する情報を含む。本実施形態において、シミュレータ105は、終端光学素子12に対向する物体を移動させたときの、この物体上での液体LQの動きを推定する。シミュレータ105が算出した情報は、例えば、露光不良の発生を抑制することに利用できる。本実施形態において、露光装置EXは、シミュレータ105の算出した情報に基づいて露光処理を実行するので、露光不良の発生を抑制できる。結果として、本実施形態のデバイス製造システム100は、不良デバイスの発生を抑制できる。
図7は、本実施形態のシミュレータ105の機能構成の一例を示す図である。図7に示すシミュレータ105は、入力部110、情報格納部111、情報算出部112、比較部113、及び出力部114等の機能部を備える。本実施形態において、入力部110は、シミュレータ105の外部からの情報(入力データ)の入力を受け付ける。本実施形態において、情報格納部111は、シミュレータ105の外部から入力された情報、情報算出部112が算出した情報等を格納する。本実施形態において、情報算出部112は、情報格納部111に格納されている情報等に基づいて、各種情報を算出する。本実施形態において、比較部113は、情報格納部111に格納されている情報を比較する。本実施形態において、出力部114は、情報格納部111に格納されている情報をシミュレータ105の外部に出力する。
なお、シミュレータ105の機能部は、その一部が省略されていてもよい。例えば、後述の比較動作を行わない場合には、比較部113を設けなくてもよい。また、シミュレータ105の機能部の2以上は、統合されていてもよい。
本実施形態において、入力データは、図1に示した上位制御装置104から入力される情報と、オペレータから入力される情報の一方又は双方を含む。なお、シミュレータ105は、シミュレータ105の外部から情報が入力されなくてもよく、この場合に入力部110は省略されていてもよい。例えば、シミュレータ105は、シミュレータ105による情報の算出に必要とされる情報を、シミュレータ105の内部に保持していてもよい。
本実施形態において、上位制御装置104から入力部110に入力される情報は、上位制御装置104が基板処理装置102から取得した装置情報、および上位制御装置104が検査装置103等から取得した検査情報の一方又は双方を含む。装置情報は、例えば、基板処理装置102の動作条件を示す情報を含む。基板処理装置102の動作条件は、露光装置EXの基板ステージ2Pの動作条件を含む。基板ステージ2Pの動作条件は、露光装置EXの基板ステージ2Pによって基板Pを移動可能な位置の条件(可動範囲)、基板ステージ2Pによる基板Pの移動の速度の条件、基板ステージ2Pによる基板Pの移動の加速度の条件の少なくとも1つの項目を含む。検査情報は、例えば、露光装置EXの第1検出システム7が基板P上の液体の残留を検出した結果を含む。また、検査情報は、例えば、露光処理が施された基板Pを検査装置103が検査した結果として、露光処理の結果等を示す情報を含む。
本実施形態において、オペレータから入力される情報は、オペレータが指定する露光条件を示す情報等を含む。オペレータが指定する露光条件は、例えば、基板Pにおけるショット領域Sの配置(分布)を示すショットマップ情報を含む。ショットマップ情報は、例えば、複数のショット領域Sのそれぞれの位置(座標)と寸法の一方又は双方を含む。なお、オペレータが指定する露光条件として、ショットマップ情報に加えて、露光装置EXによる基板Pのスキャン条件を入力してもよい。スキャン条件は、例えば、各ショット領域に対するスキャン速度を含む。なお、スキャン条件として、各ショット領域に対するスキャン方向が含まれてもよい。また、スキャン条件として、基板ステージ2Pの移動速度の範囲(上限速度)、と基板ステージ2Pの加速度の範囲(上限加速度)の少なくとも一方を含んでもよい。また、露光条件として、液体LQに関する情報と、基板Pに関する情報の少なくとも一方を含んでいてもよい。液体LQに関する情報は、例えば、液体LQの種類(組成)を示す情報と、液体LQの粘性等の物性値を示す情報の一方又は双方を含む。基板Pに関する情報は、例えば、液体LQに対する基板Pの表面(レジスト表面、あるいはトップコート表面)の接触角等の情報を含む。
なお、オペレータから入力される情報として説明した情報の少なくとも一部は、露光装置EXに保持されており、露光装置EXの制御装置4からデバイス製造システム100の上位制御装置104を介して入力部110に入力されてもよい。また、オペレータから入力される情報として説明した情報の少なくとも一部は、デバイス製造システム100の上位制御装置104に保持されており、上位制御装置104から入力部110に入力されてもよい。例えば、オペレータが上位制御装置104に露光条件の少なくとも一部を入力し、上位制御装置104は、オペレータから入力された情報の少なくとも一部をシミュレータ105に供給してもよい。また、デバイス製造システム100は、露光条件の基準値、推奨値、初期値等が予め設定されており、オペレータが指定しない項目の露光条件について、シミュレータ105が上述したような予め設定された値を用いることもできる。
本実施形態の情報格納部111は、入力部110に入力された情報を格納(保持)する。本実施形態の情報格納部111は、ショットマップ情報格納部115、計算条件情報格納部116、及び検査情報格納部117等の機能部を備える。本実施形態のショットマップ情報格納部115は、入力部110に入力された情報のうち、基板Pにおけるショット領域Sの配置を示すショットマップ情報を格納する。本実施形態の計算条件情報格納部116は、情報算出部112が情報を算出する上で必要とされる計算条件を示す情報を格納する。計算条件情報格納部116に格納される情報は、例えば、基板処理装置102の動作条件を示す装置情報と露光条件を示す情報の一方又は双方を含む。検査情報格納部117は、入力部110に入力された情報のうち、露光処理の結果を示す検査情報を格納する。情報算出部112で検査情報が使われない場合には、検査情報格納部117はなくてもよい。
また、本実施形態の情報格納部111は、情報算出部112による算出の結果を示す情報を格納する。本実施形態の情報格納部111は、第1移動情報格納部118、液体情報格納部119、領域情報格納部120、第2移動情報格納部121、及び画像情報格納部122等の機能部を備える。
本実施形態の情報算出部112は、第1移動情報算出部123、液体情報算出部124、領域情報算出部125、第2移動情報算出部126、及び画像情報算出部127等の機能部を備える。
本実施形態において、第1移動情報算出部123は、ショットマップ情報と計算条件情報(露光条件など)とに基づいて、基板Pを保持した基板ステージ2Pの移動を制御するための第1移動情報を算出する。本実施形態において、第1移動情報は、基板Pが配置された基板ステージ2Pの位置情報と速度情報と加速度情報の少なくとも1つを含む。例えば、位置情報は、基板Pが基板ステージ2Pに配置されている期間中の各時刻における基板ステージ2Pの位置を示す。本実施形態において、位置情報は、基板ステージ2Pに配置されている基板Pの各時刻における位置も示す。各時刻における基板Pの位置は、例えば、適宜選択される基準位置に対する基板PのXY平面内での座標である。上記の基準位置は、例えば投影光学系PLの光軸の位置であってもよい。また、速度情報(加速度情報)は、各時刻における基板ステージ2Pの速度を示すとともに、基板ステージ2Pに配置されている基板Pの各時刻における速度(加速度)も示す。
図8及び図9は、それぞれ、移動情報に基づいて決定された基板Pの移動軌跡と液浸空間LSの例を示す図である。本実施形態の第1移動情報算出部123で、例えば図8に示すように、ショットマップ情報に規定された複数のショット領域Sが投影領域PRを通過するように、基板Pの第1の移動軌跡Tr1を決定される。
本実施形態において、第1移動情報算出部123は、基板Pの移動が装置情報に規定された動作条件、及び計算条件情報に規定された露光条件を満たすように、第1移動情報を算出する。第1移動情報算出部123は、例えば、基板Pの移動が装置情報に規定された動作条件、及び計算条件情報に規定された露光条件を満たし、かつ適宜マージンを考慮した上で、1枚の基板が基板ステージ2Pにロードされてからアンロードされるまでの時間が最小になるように、第1移動情報を算出する。第1移動情報算出部123は、例えば、スループットが最大化されるように、第1移動情報を算出する。第1移動情報算出部123は、算出した第1移動情報を第1移動情報格納部118に格納する。なお、第1移動情報が入力部110から入力される場合には、第1移動情報算出部123はなくてもよい。
なお、上記の位置情報は、上記の速度情報が示す速度を時間積分すること、上記の加速度情報が示す加速度を2回時間積分すること等によっても得られる。また、上記の速度情報は、上記の位置情報が示す位置を時間微分すること、上記の加速度情報が示す加速度を時間積分すること等によっても得られる。また、上記の加速度情報は、上記の位置情報が示す位置を2回時間微分すること、上記の速度情報が示す速度を時間微分すること等によって得ることもできる。
本実施形態の液体情報算出部124は、露光光ELを射出する終端光学素子12に対向する物体上での液体LQに関する液体情報を算出する。
図10及び図11は、それぞれ、液浸空間LSの例を示す図である。図10及び図11に示すように、本実施形態において、終端光学素子12に対向する物体は、基板ステージ2Pに配置されている基板Pと、基板Pの周囲の少なくとも一部に配置されるカバー部材21と、カバー部材21の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材22の少なくとも一つを含む。本実施形態において、終端光学素子12に対向する物体上の液浸空間を形成可能な領域を、対向領域A1という。本実施形態において、対向領域A1は、終端光学素子12に対向する物体の表面(以下、対向面130という)、物体上の間隙等を含む。本実施形態において、対向面130は、基板ステージ2Pに保持されている基板Pの上面P1と、基板ステージ2Pに保持されているカバー部材21の上面40と、基板ステージ2Pに保持されているスケール部材22の上面45の少なくとも一部を含む。本実施形態において、対向領域A1における物体上の間隙は、基板Pとカバー部材21との間の間隙Ga、及びカバー部材21とスケール部材22との間の間隙Gbの一方又は双方を含む。
本実施形態において、液体情報は、次に説明するような複数の情報を含むが、以下の複数の情報の少なくとも1つを含んでいなくてもよい。また、シミュレータ105は、液体情報の複数の情報の少なくとも1つを算出しなくてもよい。例えば、液体情報の複数の情報の少なくとも1つは、シミュレータ105の外部(例えば、上位制御装置104)からシミュレータ105に供給されてもよい。
本実施形態の液体情報は、液浸空間LSとその外部(気体空間GS)との界面131の位置を示す界面位置情報を含む。界面位置情報は、例えば、対向領域A1上に液浸空間LSが配置されている期間の各時刻における液浸空間LSの界面131の位置を示す情報を含む。すなわち、界面位置情報は、液浸空間LSの界面131の動き(時間変化)を示す情報を含む。界面位置情報は、例えば、界面位置情報は、対向領域A1における液浸空間LSの界面131の位置を示す情報を含む。なお、液体情報は、液浸空間LSの界面の変形を示す界面変形情報を含んでいてもよい。界面変形情報は、例えば、基板ステージ2Pの移動に対する液浸空間LSの移動の追従性(時間遅れ等)を示す情報を含んでいてもよい。液体情報は、例えば液浸空間LSの界面131が実質的に変形しない場合等に、界面変形情報を含んでいなくてもよい。
本実施形態において、液体情報は、対向領域A1(対向面130)のうち液体LQ(液浸空間LS)が接触する領域を示す液体接触情報を含む。液体接触情報は、例えば、対向面130における液浸空間LSの界面131に囲まれる領域を示す情報である。また、本実施形態において、液体情報は、対向面130の各位置が液浸空間LSと接触する回数を示す接触回数情報を含む。例えば、接触回数情報は、対向領域A1において液浸空間LSと接触する回数の分布を示す情報を含む。ところで、対向領域A1(対向面130)において液浸空間LSと1回接触した際に分離液体が発生した場合に、この分離液体が発生した位置に液浸空間LSが再度接触すると、分離液体が液浸空間LSに取り込まれることがある。結果として、対向領域A1に分離液体が残留することが抑制される。換言すると、接触回数情報は、例えば、対向領域A1(対向面130)における分離液体の残留を推定すること等に利用できる。
図10に示すように、本実施形態のカバー部材21は、基板ステージ2Pに保持されている基板Pに対して、間隙Gaを介して配置される(カバー部材21は、カバー部材21と基板Pとの間に間隙Gaが形成されるように配置される)。本実施形態において、液浸空間LSは、基板Pの上面P1とカバー部材21の上面40とに、間隙Gaをまたいで配置される場合がある(液浸空間LSは、基板Pの上面P1の一部と、カバー部材21の上面40の一部と、間隙Gaの一部とを覆うように配置される場合がある)。なお、一例において、「間隙Gaをまたぐ」は、(1)間隙Gaの一部と、(2)基板Pの上面P1の一部と、(3)カバー部材21の上面40の一部と、を覆うように、液浸空間LSが配置される場合を含む。別の例において、「間隙Gaをまたぐ」は、(1)間隙Gaの一部と、(2)基板Pの上面P1の一部又はカバー部材21の上面40の一部と、を覆うように、液浸空間LSが配置される場合を含む。
本実施形態において、液体情報は、間隙Gaの各位置(間隙Gaの一部分)を液浸空間LSがまたぐ回数(水没回数)を示す水没回数情報を含む。例えば、図10に示すように、間隙Gaのある部分を第1部分132とすると、第1部分132の水没回数は、第1部分132上に液浸空間LSが形成された回数である(例えば、第1部分132の水没回数は、基板Pの上面P1の縁の一部上、又はカバー部材21の上面40の縁の一部上に液浸空間LSが配置された回数である)。例えば、液浸空間LSが第1部分132をまたいだときに水没回数がカウントされ、その後に第1部分132が液浸空間LSの外側に配置され、その後に液浸空間LSが第1部分132をまたいだときに水没回数が再度カウントされる。例えば、第1部分の水没回数は、界面131が第1部分132を1回通過した時点で、1回である。また、第1部分の水没回数は、界面131が第1部分132を3回通過した時点で、2回である。水没回数は、例えば、上述の界面位置情報と、第1移動情報に基づいて移動される基板ステージ2Pの位置情報などから求められる。
ところで、液浸空間LSが間隙Gaをまたぐ際に液浸空間LSからの液体の分離、液浸空間LSへの気泡の混入等が発生することがある。換言すると、水没回数情報は、例えば、間隙Gaの各位置における分離液体の発生しやすさと、気泡の発生のしやすさの一方又は双方を推定するための情報等として利用できる。また、間隙Gaのうち水没回数が複数回数である位置においては、水没回数が1回である位置と比較して、液浸空間LSにおける気泡が発生する確率、あるいは気泡の発生量が増加することがある。例えば、間隙Gaのうち水没回数が2回である位置は、水没回数が1回である位置と比較して、液浸空間LS中の気泡の発生量が2倍よりも大きくなることがある。換言すると、水没回数情報は、例えば、気泡の発生確率と発生量(期待値)の一方又は双方を推定するための情報等として利用できる。
本実施形態において、液体情報は、間隙Gaの各位置を液浸空間LSがまたいでいる時間(水没時間)を示す水没時間情報を含む。水没時間は、例えば、上述の界面位置情報と、第1移動情報に基づいて移動される基板ステージ2Pの位置情報などから求められる。例えば、液浸空間LSが間隙Gaの第1部分132をまたいでいる時間は、液浸空間LSの界面131が第1部分132を1回通過した時点から界面131が第1部分132を2回通過した時点までの時間である。なお、液浸空間LSが第1部分132を複数回数またぐ場合に、水没時間情報は、積算の水没時間を示す情報であってもよいし、各水没時間を個別に示す情報であってもよい。
ところで、液浸空間LSが間隙Ga上に形成されることによって、間隙Gaを形成する第1側(例えば基板P側)と第2側(例えばカバー部材21側)との間に液体LQが進入し、間隙Gaに液体LQが滞留する現象(ブリッジ現象)が発生することがある。ブリッジ現象は、水没する回数が多くなるにつれて、あるいは水没時間が長くなるにつれて発生確率、発生量が増加する。換言すると、水没回数情報、及び水没時間情報は、例えばブリッジ現象の発生確率と発生量の一方又は双方を推定するための情報等として利用できる。
本実施形態において、液体情報は、間隙Gaの各位置を液浸空間LSが通過してからの経過時間を示す経過時間情報を含む。間隙Gaのある位置を液浸空間LSが1回通過する際に、この位置を液浸空間LSの界面131は2回通過する。間隙Gaの各位置を液浸空間LSが通過してからの経過時間は、例えば、液浸空間LSの界面131の移動を示す情報から求められる。例えば、液浸空間LSが間隙Gaの第1部分132を通過してから次に液浸空間LSが第1部分132をまたぐまでの経過時間は、液浸空間LSの界面131が第1部分132を2回通過した時点から界面131が第1部分132を3回通過した時点までの時間である。
ところで、上述のようなブリッジ現象は、間隙Gaを液浸空間LSが通過してからの経過時間が長くなるにつれて、解消される可能性が高くなる。例えば、基板ステージ2Pに間隙Gaに流入した液体を回収する液体回収部が設けられている場合には、その液体回収部によってブリッジ現象を発生させている液体が除去されることがありえる。換言すると、間隙Gaを液浸空間LSが通過してからの経過時間を示す情報は、例えばブリッジ現象が発生しているか否か、ブリッジ現象が発生している確率、ブリッジ現象を発生させている液体の残留量のうち少なくとも1つを推定するための情報等として利用できる。
本実施形態において、液体情報は、液浸空間LSが間隙Gaをまたいでいる状態における間隙Gaから液浸空間LSの界面131までの距離L1を示す界面離間情報を含む。界面離間情報は、例えば、液浸空間LSが基板Pの内側から外側に向う場合に、液浸空間LSが間隙Gaをまたいでいる状態における、間隙Gaから基板Pの外側の液浸空間LSの界面131までの距離に関する情報を含む。界面離間情報は、間隙Gaから基板Pの外側の液浸空間LSの界面131までの最大の距離に関する情報を含む。界面離間情報は、例えば、投影光学系PLの光軸に関する放射方向における、間隙Gaと界面131との距離を示す情報を含む。
なお、界面離間情報は、基板ステージ2Pの加速度の絶対値が極小となる時点における、間隙Gaから基板Pの外側の液浸空間LSの界面131まで距離を示す情報を含んでいてもよい。また、界面離間情報は、基板ステージ2Pに保持されている基板Pの中心からの放射方向における、間隙Gaと界面131との距離を示す情報を含んでいてもよい。また、界面離間情報は、スキャン露光動作中の基板ステージ2Pの移動方向(走査方向)における、間隙Gaと界面131との距離を示す情報を含んでいてもよい。また、界面離間情報は、走査方向に交差する方向おける、間隙Gaと界面131との距離を示す情報を含んでいてもよい。
ところで、液浸空間LSは、基板ステージ2Pの移動方向が変化する際に、間隙Gaにおいて液浸空間LSがまたいでいる位置から液浸空間LSの界面131までの距離が短くなるにつれて、分離液体が発生しやすくなる。換言すると、界面離間情報は、例えば、分離液体の発生確率と発生量の一方又は双方を推定するための情報等として利用できる。
図11に示すように、本実施形態のスケール部材22は、基板ステージ2Pに保持されているカバー部材21に対して、間隙Gbを介して配置される場合がある。本実施形態において、液浸空間LSは、カバー部材21の上面40とスケール部材22の上面45とに、間隙Gbをまたいで配置される場合がある。本実施形態において、液体情報は、間隙Gaについて説明したのと同様に、間隙Gbに関する水没回数情報と、間隙Gb関する水没時間情報と、間隙Gbに関する経過時間情報と、間隙Gbに関する界面離間情報を含む。
本実施形態において、図7に示した液体情報算出部124は、上述したような液体情報を第1移動情報に基づいて算出する。本実施形態において、液体情報算出部124は、液体情報算出部124は、第1移動情報算出部123が算出した第1移動情報を第1移動情報格納部118から取得し、取得した第1移動情報に基づいて液体情報を算出する。本実施形態において、液体情報算出部124は、第1移動情報を用いて、液浸空間LSが対向領域A1から受けるせん断力(XY平面にほぼ平行な力)と、液浸空間LSの界面131に働く表面張力等を考慮した物理モデルに基づいて、XY平面に射影した液浸空間LSの二次元形状(輪郭)を算出する。本実施形態において、液体情報算出部124は、液浸空間LSの内部における流場の非定常計算を行うことなく、液浸空間LSの界面131の移動を示す情報を算出する。
本実施形態において、液体情報算出部124は、液体情報の算出に必要とされる計算条件情報を、計算条件情報格納部116から取得する。本実施形態において、液体情報の算出に用いる物理モデルは、液体LQの粘性等の物性値、基板Pの液体LQに対する基板Pの接触角等の物性値等により定まるパラメータを含む。本実施形態において、物理モデルのパラメータは、第1移動情報に従って物体を移動させたときの液体の動きを検出した結果を用いて、調整されている。このパラメータは、例えば、物体を移動させたときの液体の動きを計測した計測結果に基づいて、シミュレータ105の算出結果が測定結果に近づくようにチューニングされる。液体情報算出部124が用いる物理モデルのパラメータは、ナビエストークス方程式と数値的に直接的に解く手法(DNS)、乱流モデル等を適宜用いてレベルセット法等の界面追跡法を用いる手法等の各種の数値流体力学(CFD)的な手法によって、液体の動きを算出した結果を用いて、調整されていてもよい。
本実施形態において、液体情報の算出に用いる物理モデルが含むパラメータは、液体LQの種類と基板Pの種類とに応じた値が計算条件情報格納部116に格納されている。本実施形態において、液体情報算出部124は、例えば液体LQの種類、基板Pの種類等を示す情報としてオペレータが入力した情報に基づいて、物理モデルが含むパラメータの値を示す情報を計算条件情報格納部116から取得し、液体情報を算出する。本実施形態において、液体情報算出部124は、算出した液体情報を液体情報格納部119に格納する。
なお、液体情報を算出する手法としては、上述したような各種の数値流体力学的な手法を用いることもできる。例えば、液体情報算出部124は、液浸空間LSと気体空間GSの流場を非定常計算により算出してもよいし、三次元的な流場について算出してもよい。また、液体情報算出部124が液体情報の算出に用いる情報は、例えば液浸空間LSが配置される環境の温度、湿度、圧力等を示す情報を含んでいてもよい。また、液体情報の算出に用いる物理モデルが含むパラメータは、固定値であってもよい。
本実施形態において、領域情報算出部125は、図10等に示した対向領域A1のうち液体情報が所定の条件を満たす領域を示す領域情報を算出する。本実施形態において、領域情報算出部125は、液体情報算出部124が算出した液体情報を液体情報格納部119から取得し、取得した液体情報に基づいて領域情報を算出する。本実施形態において、領域情報算出部125は、算出した領域情報を領域情報格納部120に格納する。
本実施形態において、所定の条件は、複数の条件を含み、所定の条件を満たす領域は、所定の条件のうち少なくとも1つの条件を満たす領域を含む。例えば、領域情報算出部125は、所定の条件のうち第1条件を満たす領域を示す第1の領域情報を算出し、また所定の条件のうち第2条件を満たす領域を示す第2の領域情報を算出する。この場合に、第1の領域情報が示す領域は、第2の領域情報が示す領域の一部と重複していてもよいし、重複していなくてもよい。
本実施形態において、領域情報算出部125は、対向領域A1のうちの少なくとも一部の領域における液体情報と所定の条件とを比較し、対向領域A1上の各領域(各位置)が所定の条件を満たすか否かを判定する。また、領域情報算出部125は、上記判定に基づいて、対向領域A1のうち所定の条件を満たす領域を抽出する。
本実施形態において、所定の条件は、液浸空間LSがまたいでいる対向領域A1の間隙のうち液浸空間LSの界面131までの距離が閾値以下である条件を含む。この閾値は、例えば、液浸空間LSの液体LQの物性値、対向面130の液体LQに対する接触角等の物性値、対向領域A1の間隙の寸法、液浸空間LSの寸法等のパラメータ、間隙における位置(例えば第1部分132)から界面131までの距離を規定する方向等の各種条件の一部又は全部に応じて定められる値である。
本実施形態において、対向領域A1の間隙から液浸空間LSの界面131までの距離の閾値を示す情報は、計算条件情報格納部116に格納されている。本実施形態において、領域情報算出部125は、計算条件情報及び界面離間情報等を参照し、所定の条件を満たす領域として液浸空間LSがまたいでいる対向領域A1の間隙に対して液浸空間LSの界面131までの距離の最大値が閾値以下である領域の位置を示す領域情報を算出する。この領域情報は、例えば、液浸空間LSからの液体LQの分離が対向面130のうち相対的に発生しやすい領域を示す情報等として利用できる。
ここで、図8に示す移動軌跡及び液浸空間の例について説明する。図8に示すように、液浸空間LSは、基板Pが第1の移動軌跡Tr1に従って相対移動するにつれて、基板Pに対して相対移動する。例えば、図8(a)においては、基板Pの−Y方向への移動によって、投影領域PRが第1のショット領域S1を+Y方向に走査(スキャン露光動作)するとき、液浸空間LSは、基板Pの内側から外側に向って移動する。ショット領域S1は、間隙Gaに近いため、図8(b)に示すように第1のショット領域S1の露光終了後から、次に露光される第2のショット領域S2の露光が開始されるまでの期間の少なくとも一部において、液浸空間LSは、その一部が基板Pとカバー部材21との間の間隙Gaをまたぐ状態になる。図8(b)は、基板Pの移動方向が−Y方向から+Y方向に切り替わる時点を示し、図8(c)投影領域PRが第2のショット領域S2の走査を開始する直前の状態を示す。
図8(a)から図8(c)に示すように、基板Pとカバー部材21との間隙Gaのうち液浸空間LSがまたぐ領域(以下、水没領域A2という)は、液浸空間LSの相対移動によって変化する。水没領域A2から液浸空間LSの界面131までの距離L1は、例えば図8(b)に示すように、間隙Gaにおける位置の違いに応じて空間的に変化する。また、例えば図8(b)及び図8(c)に示すように、水没領域A2から液浸空間LSの界面131までの距離L1は、液浸空間LSと間隙Gaとの相対移動によって時間的に変化する。
本実施形態において、領域情報算出部125は、液浸空間LSの界面131までの距離L1の最大値が閾値以下となる水没領域A2の位置を示す領域情報を算出する。水没領域A2から液浸空間LSの界面131までの距離L1の最大値が閾値以下となる場合に、図8(b)に示すように、液浸空間LSは、水没領域A2に対して基板Pの外側に配置されている空間A3を含む。本実施形態において、領域情報算出部125は、空間A3の位置を示す領域情報を算出する。また、本実施形態において、領域情報算出部125は、対向面130のうち空間A3の周囲の少なくとも一部に配置される領域A4(図8(c)参照)の位置を示す領域情報を算出する。本実施形態において、領域A4は、空間A3が基板ステージ2Pの移動に伴って対向面130に接触する領域を含む。本実施形態において、領域A4は、基板Pの外側に形成された液浸空間LSの界面のうち、基板Pが+Y方向に移動するときに領域A3上を通過した界面131が移動する基板P上の領域を含む。以上のような水没領域A2を示す領域情報は、例えば、対向領域A1の間隙のうち、分離液体が発生する起点に相対的になりやすい領域を示す情報等として利用できる。また、領域A4を示す領域情報は、例えば、対向領域A1のうち分離液体が相対的に発生(付着)しやすい領域を示す情報等として利用できる。なお、ショット領域S2の露光終了後に、基板PがX方向へのステップ移動を開始するまでに界面131が通過する基板P上の領域をすべて領域A4としてもよいし、実験、シミュレーション等に基づいて領域A4のY方向の幅(距離)を設定してもよい。
また、本実施形態の領域情報算出部125は、接触回数情報等を参照し、所定の条件を満たす領域として、領域A4のうち液浸空間LSと接触する回数が1回である領域を抽出し、抽出した領域の位置を示す領域情報を算出する。この領域情報は、例えば、分離液体が対向面130のうち相対的に残留しやすい領域を示す情報等として利用できる。
また、本実施形態の領域情報算出部125は、接触回数情報等を参照し、所定の条件を満たす領域として、液浸空間LSと接触した後に液浸空間LSと再度接触する領域を抽出し、抽出した領域の位置を示す領域情報を算出する。この領域情報は、例えば、液浸空間LSとの最初の接触で分離液体が発生したとしても、液浸空間LSとの次の接触によって、分離液体が液浸空間LSに取り込まれ、分離液体が残留しにくい領域を示す情報等として利用できる。例えば、領域A4のうち再度液浸空間LSと接触する領域は、領域A4から除くことができる。
上述のように、本実施形態の領域情報算出部125は、液体情報と所定の条件とを比較することによって、液浸空間LSからの液体の分離に関する情報を算出する。例えば、領域情報算出部125は、分離液体が発生しやすい領域を示す情報、分離液体が残留しやすい領域を示す情報、及び分離液体が残留しにくい領域を示す情報の少なくとも1つを参照し、例えば各種の情報が示すパラメータに重み付けを行うこと等によって、分離液体が残留する確率の対向面130における分布を示す液体残留情報を算出する。液体残留情報は、例えば、対向面130上の位置(座標)と分離液体が残留する確率とを関係付けた情報を含む。
本実施形態において、所定の条件は、対向領域A1の間隙のうち液浸空間LSがまたぐ回数(水没回数)が1回である条件を含む。本実施形態において、領域情報算出部125は、液体情報の水没回数情報等を参照して、対向領域A1の間隙のうち水没回数が1回である間隙(領域)の位置を示す領域情報を算出する。この領域情報は、例えば、液浸空間LSに気泡が発生している可能性が低い領域を対向領域A1から抽出するための情報等として利用できる。
本実施形態において、所定の条件は、対向領域A1の間隙のうち液浸空間LSがまたいでいる時間が閾値以上である条件を含む。この閾値は、例えば、液浸空間LSの液体LQの物性値、対向面130の液体LQに対する接触角等の物性値、対向領域A1の間隙の寸法、液浸空間LSの寸法等のパラメータのうち少なくとも1つにより定まる値である。本実施形態において、液浸空間LSがまたいでいる時間の閾値を示す情報は、計算条件情報格納部116に格納されている。本実施形態において、領域情報算出部125は、計算条件情報及び水没時間情報等を参照し、所定の条件を満たす領域として対向領域A1の間隙のうち液体がまたいでいる時間が閾値以上である間隙(領域)を抽出し、抽出した間隙の位置を示す領域情報を算出する。この領域情報は、例えば、ブリッジ現象の発生確率、発生量が相対的に高い間隙(領域)を示す情報等として利用できる。また、この領域情報は、例えば、液浸空間LSに気泡が発生している可能性が高い領域を、対向領域A1から抽出するための情報等として利用できる。
本実施形態において、所定の条件は、対向領域A1の間隙のうち液浸空間LSがまたぐ回数が複数回数である条件を含む。本実施形態において、領域情報算出部125は、液体情報の水没回数情報等を参照して、対向領域A1の間隙のうち水没回数が2回である領域を抽出し、抽出した領域の位置を示す領域情報を算出する。また、本実施形態において、領域情報算出部125は、対向領域A1の間隙のうち水没回数が3回である領域等についても抽出して、対向領域A1の間隙の部分領域を水没回数ごとに分類し、各水没回数に対応する領域情報を算出する。これらの領域情報は、例えば、抽出された間隙(領域)上を通過した液浸空間LSに気泡が発生している可能性が高い領域を、対向領域A1から抽出するための情報等として利用できる。
なお、水没回数が複数回数である条件を満たす領域は、水没回数が1回である条件を満たさない領域として扱うこともできる。このように、シミュレータ105は、所定の条件を満たさない領域を示す領域情報を算出してもよい。
本実施形態において、液体情報が所定の条件を満たす領域は、対向領域A1の間隙のうち水没回数が複数回数である間隙(領域)の周囲の少なくとも一部の領域を含む。本実施形態において、領域情報算出部125は、液体接触情報及び水没回数情報の少なくとも一方を参照して、所定の条件を満たす領域として、水没回数が複数回数であるという条件を満たす間隙(領域)上に液浸空間LSが形成されている間に、液浸空間LSと接触する対向領域A1の対向面130少なくとも一部の領域を液浸空間LSに気泡が発生している(気泡が付着している)可能性が高い領域として抽出し、抽出した領域の位置を示す領域情報を算出する。なお、水没回数が複数回数であるという条件を満たす間隙(領域)上を通過した液浸空間LSが新たに接触する対向面130少なくとも一部の領域を抽出するようにしてもよい。
ここで、図9に示す移動軌跡及び液浸空間の例について説明する。図9(a)では、液浸空間LSは、基板Pの外側から内側に向って−Y方向に移動している。液浸空間LSは、投影領域PLが第1のショット領域S1の前のショット領域Sを通過し、−X方向に移動した後に、基板Pの外側から内側に向って−Y方向に移動(ステッピング動作、ステップ移動)する。図9(a)は、−X方向へのステップ移動を終えた直後の状態を示す。図9(a)に示す状態の水没領域A6は、その前に少なくとも一度水没した水没領域A5の一部と重複している。水没領域A5と水没領域A6とが重複する水没領域A7において、水没回数は複数回数である。図9(a)において、液浸空間LSは、基板Pの外側に位置する空間(領域)A8を含む。液浸空間LSの空間A8は、液浸空間LSが−Y方向に移動すると、水没領域A7(間隙)上を通過する。本実施形態において、液浸空間LSがまたぐ回数が複数回数である水没領域A7の周囲の領域は、液浸空間LSの空間A8が通過する基板上の領域A9を含む。この領域A9は、図9(b)に示すように、投影領域PRが第1のショット領域S1を走査している間に、第1のショット領域S1の次に露光される第2のショット領域S2を含む場合がある。また、この領域A9は、図9(c)に示すように、投影領域PRが第1のショット領域S1から第2のショット領域S2に向う間、すなわち、第1のショット領域S1の露光終了後、第2のショット領域S2の露光開始までの間に、液浸空間LSから出ない領域A10を第2のショット領域S2に含む場合がある。領域A9は、液浸空間LSの空間A8が水没領域A7を通過するため、液浸空間LSに気体が発生して、基板P上に気泡が付着する可能性が高い領域である。領域A9のうち、液浸空間LSが通過する領域は、液浸空間LSが通過した直後に基板P上に付着した気泡が消える可能性が高い領域である。また、領域A10のように液浸空間LSが通過しない領域は、気泡が付着している可能性が高い領域である。
本実施形態の領域情報算出部125は、第2のショット領域S2のうち、水没回数が複数回数である水没領域A7上を通った液浸空間LS(空間A8)と接触した領域A9を抽出し、抽出した領域を示す領域情報を算出する。領域A9を示す領域情報は、例えば、液浸空間LSに混入した気泡が運ばれる可能性がある領域を示す情報等として利用できる。
本実施形態の領域情報算出部125は、領域A9のうち、投影領域PRが第1のショット領域S1から第2のショット領域S2に至る間に液浸空間LSの外部(気体空間GS)に配置されない領域A10を抽出し、抽出した領域A10の位置を示す領域情報を算出する。領域A10を示す領域情報は、例えば、次に露光されるショット領域のうち気泡が存在する可能性がある領域を示す情報等として利用できる。また、領域A10を示す領域情報は、気泡が付着したまま走査露光されるショット領域を抽出するための情報等として利用できる。
本実施形態の領域情報算出部125は、液体情報と所定の条件とを比較することによって、液浸空間LSにおける気泡に関する情報を算出してもよい。本実施形態において、領域情報算出部125は、水没時間情報、間隙を液浸空間LSが通過してからの経過時間を示す情報等を参照し、水没回数が複数回数である間隙の領域を液浸空間LSが2回目以降にまたぐ際にブリッジ現象が存在する確率、その量等に関する情報を算出する。そして、ブリッジ現象が発生している間隙Ga上を液浸空間LSがまたぐ際にブリッジ現象を発生させている液体上の気体が液浸空間LSに取り込まれる確率、その量に関する情報等を算出する。また、領域情報算出部125は、対向領域A1の間隙のうち水没回数が複数回数である水没領域A7を通った液浸空間LSの空間A8を示す情報、対向面130において液浸空間LSの空間A8と接触した領域A9を示す情報、領域A9のうち液浸空間LSの外部に配置されない領域A10を示す情報のうち少なくとも1つを参照し、例えば各種の情報が示すパラメータに重み付けを行うこと等によって、露光中に液浸空間LSに気泡が存在する確率、気泡量の期待値等の分布を示す気泡分布情報を算出する。気泡分布情報は、例えば、各ショット領域Sにおいて露光中に液浸空間LSに気泡が存在する確率を示す情報、存在する気泡量の期待値等を示す情報の少なくとも一方又は双方を含む。
本実施形態において、図7に示した第2移動情報算出部126は、上述のような領域情報に基づいて、露光光ELを射出する終端光学素子12に対向する物体(基板P)の移動を示す第2移動情報を算出する。本実施形態において、第2移動情報算出部126は、算出した第2移動情報を第2移動情報格納部121に格納する。
本実施形態において、第2移動情報は、第1移動情報と同様に、基板Pが配置された基板ステージ2Pの位置情報と速度情報と加速度情報の少なくとも1つを含む。すなわち、本実施形態において、第2移動情報算出部126により、ショットマップ情報に規定された複数のショット領域が投影領域を通過するように、基板Pの第2の移動軌跡が決定される。また、本実施形態において、第2移動情報算出部126は、基板Pの移動が装置情報に規定された動作条件、及び計算条件情報に規定された露光条件を満たすように、第2移動情報を算出する。
本実施形態において、第2移動情報算出部126は、液体情報に基づいて算出された領域情報を参照して、第2移動情報を算出する。本実施形態において、第2移動情報が示す物体の移動の経路と速度と加速度の少なくとも1つは、対向領域A1のうち液体情報が所定の条件を満たす領域の少なくとも一部において、第1移動情報が示す物体の移動と異なる。例えば、第2移動情報に基づく基板Pの移動軌跡は、第1移動情報に基づく基板Pの移動軌跡とは異なる。
例えば、本実施形態の第2移動情報算出部126は、第1のショット領域S1、第2のショット領域S2を順に露光するために、第1移動情報に基づいて決定された移動軌跡にしたがって基板Pを移動させると、上述のように液体情報が所定の条件を満たす領域が発生してしまう場合に、第1のショット領域S1から第2のショット領域S2までステップ移動において、走査方向(Y方向)のステップ移動が長くなるように、第2移動情報を算出する。走査方向(Y方向)のステップ移動距離を長くする手法をオーバースキャン手法と呼ぶことにする。
例えば、図8(c)に示した例のように、第1移動情報に基づく第1経路Tr1aに沿って基板Pを移動しながら、第1のショット領域S1、第2のショット領域S2を順次露光する際に、所定の条件を満たす領域A4が発生してしまう場合に、第2移動情報算出部126は、図8(d)に示す第2経路Tr2aに従って基板Pが移動するように、すなわち、第1のショット領域S1の露光終了後、走査方向(Y方向)のステップ移動の距離が、第1移動情報に基づく第1経路Tr1aよりも長くなるように、第2移動情報を算出する。図8(d)の例においては、本実施形態の第2移動情報算出部126は、液浸空間LSがまたいでいる間隙Gaの少なくとも一部において界面131からの距離が、第1移動情報に基づいて基板Pを動かす場合よりも長くなるように、第2移動情報を算出する。本実施形態の第2移動情報算出部126は、基板Pが第1経路Tr1aを通る場合と比較して、基板Pの外側形に成されている液浸空間LSの界面と間隙Gaとの距離が閾値よりも小さい領域(間隙)がなくなるように、あるいは閾値よりも小さい領域(間隙)の割合が少なくなるように、第2移動情報を算出する。
図8(d)に示すように、第2移動情報に基づく第2の移動経路Tr2にしたがって基板Pを移動した場合には、例えば液浸空間LSの界面131が安定した状態で間隙Ga上を、基板Pの外側から内側へ通過するため、分離液体の発生確率と発生量の一方又は双方が減少する。
また、例えば、図9(c)に示した例のように、第1移動情報に基づく第1経路Tr1bに沿って基板Pを移動しながら、第1のショット領域S1、第2のショット領域S2を順次露光する際に、所定の条件を満たす領域A10が存在する場合に、第2移動情報算出部126は、図9(d)に示す第2経路Tr2bに従って基板Pが移動するように、すなわち、第1のショット領域S1の露光終了後、走査方向(Y方向)のステップ移動の距離が、第1移動情報に基づく第1経路Tr1bよりも長くなるように、第2移動情報を算出する。図9(d)の例においては、本実施形態の第2移動情報算出部126は、第1のショット領域S1の露光終了から第2のショット領域S2の露光開始までの期間の少なくとも一部において、図9(c)の領域A10が発生しないように、すなわち、第2のショット領域S2中の領域A9が、液浸空間LSの外側に配置されるように、第2移動情報を算出する。本実施形態の第2移動情報算出部126は、第1のショット領域S1の露光終了から第2のショット領域S2の露光開始までの期間の少なくとも一部において、液浸空間LSの空間A8が第2のショット領域S2と接触しなくなるように、第2移動情報を算出する。
図9(d)に示すように、第2移動情報に従って基板Pを移動すると、次に露光される第2のショット領域S2の露光開始前に、第2のショット領域S2に含まれる領域A9が液浸空間LSの外側に配置されるので、第2のショット領域S2の露光中の液浸空間LS(投影領域PL)内に気泡が存在しなくなくなる、あるいは気泡が存在する確率が低下する。
なお、第1のショット領域S1の露光終了後、走査方向(Y方向)のステップ移動の距離は、「第2のショット領域S2に含まれる領域A9が液浸空間LSの外側に配置される」という条件を満たすように、ショット領域の大きさ(方向の長さ)や液浸空間LSの大きさ、形状などを考慮して算出される。また、オーバースキャン手法は、例えば、第1のショット領域S1と第2のショット領域S2との間に、第3のショット領域があるものとして移動情報を算出する手法を含む。シミュレータ105は、例えば、ショットマップ情報が示すショット領域に加えて第3のショット領域があるものとして、第1移動情報算出部123が移動情報を算出することによって、実質的にオーバースキャン手法が考慮された移動情報(第2移動情報)を算出してもよい。この場合に、第1移動情報算出部123は、第2移動情報算出部126を兼ねていてもよい。なお、第3のショット領域は、露光光が照射されない領域であってもよいし、露光光が照射される領域であってもよい。
以上のように本実施形態において、第2移動情報が示す基板Pの第2の移動経路は、第1移動情報が示す第1の移動経路と比較して、第1のショット領域S1から第2のショット領域S2までの経路が長いので、液浸空間LSが第1のショット領域S1から第2のショット領域S2まで移動する時間が長くなる。
なお、第2移動情報算出部126は、第1移動情報に基づいて基板Pを移動しながら、第1のショット領域S1、第2のショット領域S2を順次露光する際に、液体情報が所定の条件を満たす領域が発生してしまう場合に、その領域で、残留液体の発生と液浸空間LS中の気泡の発生の少なくとも一方が防止されるように、基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の一方または両方を、第1移動情報に基づく速度よりも遅くしてもよい。基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の一方又は双方を遅くする手法をリデューススキャン手法と呼ぶことにする。例えば、図8(b)に示したように、第1移動情報に基づいて基板Pを移動した場合に、領域A4が発生してしまう場合には、液浸空間LSが間隙Ga上に形成されている期間の少なくとも一部における基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の少なくとも一方が第1移動情報に基づく速度よりも遅くなるように、第2移動情報が算出されてもよい。例えば、図8(b)の例では、第1のショット領域S1の露光終了後、第2のショット領域S2の露光開始前の、基板Pの−X方向へのステップ移動速度と、+Y方向へのステップ移動速度の少なくとも一方を遅くする。なお、例えば、図8(b)の例において、第2のショット領域S2の露光開始後も液浸空間LSが間隙Ga上に存在する場合には、第2のショット領域S2の走査露光速度を遅くしてもよい。必要であれば、第1のショット領域S1の走査露光速度、あるいは第1のショット領域S1の露光終了後の−Y方向へのステップ移動速度を遅くしてもよい。このように、液浸空間LSが間隙Ga上に形成されている期間の少なくとも一部における基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の少なくとも一方を遅くすることによって、例えば図8(b)のように、基板Pの外側に形成された液浸空間LSの界面131と間隙Gaとの距離が小さくても、基板P上に残留液体が発生するのを防止、あるいは抑制することができる。
また、例えば、図9に示したように、第1移動情報に基づいて基板Pを移動した場合に、領域A9、A10が発生してしまう場合には、液浸空間LSが間隙Ga上に形成されている期間の少なくとも一部における基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の少なくとも一方が第1移動情報に基づく速度よりも遅くなるように、第2移動情報が算出されてもよい。例えば、図9の例では、第1のショット領域S1の露光前の基板Pの+Y方向へのステップ移動速度を遅くする。すなわち、液浸空間LSの空間A8が間隙Ga(水没領域A7)上に形成されている、第1のショット領域S1の露光前の基板Pの+Y方向へのステップ移動中の速度を遅くする。なお、例えば、図9の例において、第1のショット領域S1の露光開始後も液浸空間LSの空間A8が間隙Ga上に存在する場合には、第1のショット領域S1の走査露光速度を遅くしてもよい。必要であれば、第1のショット領域S1の露光開始前の+X方向へのステップ移動速度、あるいは第1のショット領域S1の露光開始前の−Y方向へのステップ移動速度を遅くしてもよい。このように、液浸空間LSが間隙Ga上に形成されている期間の少なくとも一部における基板Pのステップ移動速度と走査露光速度の少なくとも一方を遅くすることによって、例えば図9に示したように、再水没領域A7上を液浸空間LSが移動する場合にも、液浸空間LS中に気泡が発生するのを防止、あるいは抑制することができる。
また、第1移動情報に基づいて基板Pを移動しながら、第1のショット領域S1、第2のショット領域S2を順次露光する際に、液体情報が所定の条件を満たす領域が発生してしまう場合に、第2移動情報算出部126は、第1のショット領域S1の露光終了後、第2のショット領域S2の露光開始までの期間の一部において基板Pを停止するように、第2移動情報を算出してもよい。このステップ移動中に基板Pを停止させる手法を、ポーズ手法と呼ぶことにする。例えば図8(b)のように、基板Pの外側に形成された液浸空間LSの界面131と間隙Gaとの距離が小さくても、基板Pを停止させているため、基板Pの外側の界面131の変形が少なくなった後に、その界面131が間隙Ga上を通過するため、基板P上に残留液体が発生したり、液浸空間LS中に気泡が発生したりするのを防止、あるいは抑制することができる。また、図9に示した例においても、第1のショット領域の露光終了後に基板Pを停止することによって、第2のショット領域S2内の領域A9が液浸空間LSの外側に配置されるようにしてもよい。
なお、上述したようなオーバースキャン、リデューススキャン、ポーズ等の手法は、いずれか1つを単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述手法において、あるいは上述の手法とは別に、例えば、第1のショット領域S1から第2のショット領域S2までの経路において、第2移動情報に規定される基板Pの速度の絶対値の時間平均値が、第1移動情報に規定される基板Pの速度の絶対値の時間平均値よりも小さくするようにしてもよいし、また、第1のショット領域S1から第2のショット領域S2までの経路において、第2移動情報に規定される基板Pの加速度の絶対値の時間平均値が、第1移動情報に規定される基板Pの加速度の絶対値の時間平均値よりも小さくてもよい。
本実施形態において、第2移動情報算出部126は、分離液体の発生を抑制するように調整された移動経路と、気泡の残留を抑制するように調整された移動経路とが決定されるように、第2移動情報を算出する。
本実施形態の第2移動情報算出部126は、検査情報に基づいて、第2移動情報を算出してもよい。本実施形態の検査情報は、第1移動情報に基づいて基板Pを移動させながら露光した基板Pを図1に示した検査装置103が検査した結果を示す情報を含む。本実施形態において、検査装置103が検査した結果を示す情報は、分離液体の残留により露光不良が発生したショット領域の位置を示す情報を含む。例えば、第2移動情報算出部126は、検査情報が分離液体の残留を示すショット領域において分離液体の残留が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。
本実施形態において、検査装置103が検査した結果を示す情報に、液浸空間LSへの気泡の混入により露光不良が発生したショット領域の位置を示す情報が含まれる場合には。第2移動情報算出部126は、検査情報が液浸空間LSへの気泡の混入を示すショット領域において気泡の残留が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。
また、本実施形態の検査情報に、露光装置EXの第1検出システム7が検出した結果を示す情報が含まれる場合には、第2移動情報算出部126は、検査情報が分離液体の残留を示すショット領域において分離液体の残留が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。
なお、本実施形態のシミュレータ105は、液浸空間LSが形成される対向領域A1の各領域における液浸空間LSに関する情報を算出してもよい。例えば、本実施形態のシミュレータ105は、カバー部材21とスケール部材22との間の間隙Gbをまたぐ液浸空間Aに関する情報を算出することもできる。
図12は、本実施形態の移動軌跡及び液浸空間の他の例を示す図である。図12に示す例では、第1のショット領域S1がカバー部材21とスケール部材22との間の間隙Gbの近くに配置されているので、第1のショット領域S1に対する露光の終了時から第2のショット領域S2に対する露光の開始時までの期間の少なくとも一部において、液浸空間LSが間隙Gbをまたぐ場合がある。
本実施形態において、基板Pとカバー部材21との間隙Gaに関して説明したのと同様に、間隙Gbをまたいでいる液浸空間LSの界面131から間隙Gbまでの距離L2が閾値未満であると、分離液体が発生する可能性がある。本実施形態において、シミュレータ105は、間隙Gbのうち距離L2が閾値未満となる部分の位置を示す領域情報を算出してもよい。また、シミュレータ105は、間隙Gbのうち距離L2が閾値未満となる第2部分に対して、液浸空間LSのうち基板Pの外側に配置されている第2空間の位置を示す領域情報を算出してもよい。また、シミュレータ105は、基板ステージ2Pの移動によって液浸空間LSの第2空間と接触するカバー部材21の領域の位置を示す領域情報を算出してもよい。また、シミュレータ105は、基板ステージ2Pの移動によって液浸空間LSの第2空間と接触する基板Pの領域の位置を示す領域情報を算出してもよい。また、シミュレータ105は、間隙Gbの周囲において分離液体の発生が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。
また、シミュレータ105は、液浸空間LSが形成される対向領域A1が間隙を含んでいない場合に、この対向領域A1における液浸空間LSに関する情報を算出してもよい。また、シミュレータ105は、露光処理を行うときの液浸空間Aに関する情報の他に、露光処理以外の動作時の対向領域A1における液体に関する情報を算出してもよい。例えば、シミュレータ105は、計測ステージ2C上の対向領域A1における液体の情報を算出してもよい。シミュレータ105は、基板ステージ2P上と計測ステージ2C上の一方又は双方の対向領域A1において、液浸空間LSを形成する液体LQとは別の液体に関する情報を算出してもよい。例えば、シミュレータ105は、対向領域A1を洗浄するために対向領域A1上に配置された液体に関する情報を算出してもよい。
本実施形態において、図7に示した画像情報算出部127は、情報格納部111に格納されている各種の情報を画像として表示するための画像情報を算出(生成)する。画像情報算出部127は、例えばオペレータからの指令により、オペレータが指定する表示対象の情報を情報格納部111から取得する。そして、画像情報算出部127は、取得した情報に基づいて、この情報に対応するグラフ、表等が描かれた画像を示す画像情報を算出する。本実施形態において、画像情報算出部127は、算出した画像情報を画像情報格納部122に格納する。
図13は、本実施形態の水没回数を示す画像Im1の例を示す図である。本実施形態の画像情報算出部127は、例えばオペレータから水没回数の表示の指令を受けると、領域情報格納部120から対向領域A1の間隙(例えば間隙Ga)における水没回数の分布を示す情報を取得する。本実施形態の画像情報算出部127は、水没回数の分布を示す情報に基づいて、間隙Gaの各位置を液浸空間LSがまたぐ回数に応じて、水没回数が異なる位置を区別して表示するための画像情報を算出する。本実施形態において、画像情報算出部127は、水没回数の違いにより間隙Gaの各位置を表示する色と明るさの一方又は双方が異なる画像になるように、画像情報を形成する。本実施形態において、画像情報算出部127は、各時刻における水没回数の分布を示す画像を形成し、このような画像を時刻順に並べることによって、動画形式の画像情報を出力することもできる。
図14は、本実施形態の水没回数を示す画像Im2の例を示す図である。本実施形態の画像情報算出部127は、例えばオペレータから水没時間の表示の指令を受けると、領域情報格納部120から対向領域A1の間隙(例えば間隙Ga)の各位置の水没時間を示す水没時間情報を取得する。本実施形態の画像情報算出部127は、水没時間情報に基づいて、間隙Gaの各位置における水没時間を示す図形が基板Pの中心133と間隙Gaの各位置との線上に配置された画像を示す画像情報を算出する。例えば、中心133の周りの回転位置について、適宜選択される基準線134からの第2位置135の回転角がθ[°]であるとする。本実施形態において、領域情報格納部120は、中心133を起点とし、基準線からの回転角がθ[°]であって、水没時間に比例する長さのベクトルvの終点136の位置に、第2位置135の水没時間を示すプロットを作成する。本実施形態の領域情報格納部120は、回転角が0°から360°の範囲から適宜選択される複数の第2位置135のそれぞれについて水没時間を示すプロットを作成する。本実施形態において、領域情報格納部120は、複数のプロットを回転角の順に結ぶ平滑線137を例えばスプライン補間等によって作成する。本実施形態の領域情報格納部120は、例えば基板Pを示す図形、間隙Gaを示す図形、平滑線137を示す図形等を含んだ画像に対応する画像情報を算出する。
本実施形態の画像情報算出部127は、例えばオペレータから指定された1点又は2点以上の位置について、上述したような水没時間を示すベクトルが表示するように、画像情報を算出することもできる。また、本実施形態の画像情報算出部127は、水没時間を示すベクトルと水没時間を示す文字情報を併せて表示するように、画像情報を算出することもできる。本実施形態において、画像情報算出部127は、各時刻における水没時間の分布を示す画像を形成し、このような画像を時刻順に並べることによって、動画形式の画像情報を出力することもできる。
本実施形態の画像情報算出部127は、水没回数を示す画像、水没時間を示す画像の他に、ショットマップ情報、第1移動情報、計算条件情報、液体情報、領域情報、検査情報、第2移動情報等の各種の情報の少なくとも1つを示す画像を生成することもできる。例えば、本実施形態の画像情報算出部127は、露光中に液浸空間LSに気泡が存在する確率に応じて、複数のショット領域を区別して表示するための画像を形成することができる。また、例えば、本実施形態の画像情報算出部127は、分離液体が残留する確率に応じて、複数のショット領域を区別して表示するための画像を形成することができる。本実施形態の画像情報算出部127は、上述のような各種の情報の1項目を示す画像を生成することができ、また、複数の項目を併せて示す画像を生成することもできる。
ところで、図1に示したように、本実施形態において、デバイス製造システム100は、複数の基板処理装置102を備え、複数の基板処理装置102において動作条件がばらつくことがありえる。本実施形態において、情報算出部112は、複数の基板処理装置102における代表的な動作条件を示す情報に基づいて、各種の情報を算出する。代表的な動作条件は、複数の基板処理装置102における平均値であってもよいし、最低値であってもよく、最高値であってもよい。本実施形態において、比較部113は、情報算出部112が算出した情報と装置情報とを比較し、例えば情報算出部112が算出した情報が装置情報と整合するか否かを判定する。例えば、本実施形態において、第2移動情報算出部126は、代表的な動作条件に基づいて第2移動情報を算出し、比較部113は、各基板処理装置102の基板ステージ2Pが第2移動情報に従って基板Pを移動できるか否かを判定する。本実施形態の比較部113は、いずれかの基板処理装置102の基板ステージ2Pが第2移動情報に従って基板Pを移動できないと判定した場合に、警告を示す情報を発信することができる。また、本実施形態の比較部113は、例えば計算条件情報格納部116に格納されている装置情報を調整(更新)し、更新された装置情報に基づいて第2移動情報算出部126に第2移動情報を算出させることもできる。なお、情報算出部112は、各基板処理装置102の装置情報に基づいて、基板処理装置102ごとに各種の情報を算出してもよい。
本実施形態において、シミュレータ105は、例えば比較部113で、情報算出部112が算出した分離液体に関する情報と、第1検出システム7による検出の結果を示す情報とを比較してもよい。例えば、比較部113は、分離液体の残留しやすさの分布を情報算出部112が算出した結果と、分離液体の残留の分布を第1検出システム7が検出した結果とを比較する。また、比較部113での比較結果に基づいて、情報算出部112による算出の結果が第1検出システム7による検出の結果に近づくように、分離液体の残留しやすさの分布を算出する上での係数等を調整(更新)してもよい。このような比較処理は、シミュレータ104以外の装置に実行されてもよく、例えば上位制御装置104により実行されてもよいし、露光装置EXの制御装置105により実行されてもよい。
本実施形態において、シミュレータ105は、例えば比較部113で、情報算出部112が算出した気泡に関する情報と、検査装置103による検査の結果を示す情報とを比較してもよい。例えば、比較部113は、露光中の液浸空間LSに気泡が存在する確率の分布を情報算出部112が算出した結果と、露光処理が施された基板Pにおいて露光不良が発生した領域の分布を検査装置103が検出した結果とを比較する。また、比較部113での比較結果に基づいて、情報算出部112による算出の結果が検査装置103による検出の結果に近づくように、露光中の液浸空間LSに気泡が存在する確率の分布を算出する上での係数等を調整(更新)してもよい。このような比較処理は、シミュレータ104以外の装置に実行されてもよく、例えば上位制御装置104により実行されてもよいし、露光装置EXの制御装置105により実行されてもよい。
本実施形態において、シミュレータ105は、例えば比較部113で、上述したように更新した係数等を計算条件情報格納部116に格納してもよい。本実施形態において、情報算出部112は、更新された計算条件情報に基づいて、各種の情報の算出をやり直すこともできる。例えば、更新された情報に基づいて、第3移動情報を算出してもよい。第3移動情報は、基板ステージ2P(基板P)の位置情報、速度情報、加速度情報の少なくとも一つを含む。例えば、第2移動情報算出部126は、第2移動情報に従って移動させた基板Pを検査した情報に基づいて第3移動情報を算出することができる。また、第2移動情報算出部126は、第2移動情報に従って移動しながら露光処理が施された基板Pを検査装置103が検査した結果に基づいて、分離液体の残留、液浸空間LSへの気泡の混入等による露光不良が減少するように、第3移動情報を算出することもできる。また、第2移動情報算出部126は、第2移動情報に従って移動する基板P上の液体の動きを第1検出システム7が検出した結果に基づいて、分離液体の残留が減少するように、第3移動情報を算出してもよい。なお、第3移動情報を算出する際に基板Pの移動経路を調整する手法は、例えば、上述したようなオーバースキャン手法、リデューススキャンスピード手法、ポーズ手法等の1つを単独で用いる手法でもよいし、2つ以上を組み合わせて用いる手法でもよい。
本実施形態において、図7に示した出力部114は、情報格納部111に格納されている情報の少なくとも一部を、シミュレータ105の外部に出力する。例えば、本実施形態の出力部114は、情報格納部111に格納されている第2移動情報を上位制御装置104に出力する。本実施形態において、上位制御装置104は、出力部114が出力した第2移動情報を露光装置EXの制御装置4に出力する。すなわち、第2移動情報は、シミュレータ105から上位制御装置104を介して露光装置EXに出力される。露光装置EXは、シミュレータ105から供給された第2移動情報に従って基板ステージ2Pを移動させる。本実施形態の出力部114は、情報格納部111に格納されている情報を、光学ディスク、メモリ装置等の記録媒体に出力することもできる。
また、本実施形態の出力部114は、情報格納部111に格納されている画像情報を図示略の表示装置に出力する。この表示装置は、出力部114から出力された画像情報に従って、情報格納部111に格納されている各種の情報を示す画像を表示する。この表示装置は、例えば、シミュレータ105に併設されていてもよいし、上位制御装置104に併設されていてもよく、露光装置EX等に併設されていてもよい。例えば、本実施形態の出力部114は、情報格納部111に格納されている画像情報を上位制御装置104に出力し、上位制御装置104は、情報格納部111に格納されている各種の情報を示す画像を表示装置に表示させてもよい。また、この表示装置は、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよい。
なお、シミュレータ105が出力する情報は、上述したような各種の情報のうち1項目でもよいし、2項目以上でもよい。また、シミュレータ105が出力する情報は、対向領域A1の一部の領域に関する情報のみを出力してもよいし、対向領域A1の全体の領域に関する情報を出力してもよい。例えば、シミュレータ105は、オペレータの指令等により指定された特定の領域についての情報を出力してもよい。
次に、図15を参照しつつ、シミュレータ105として機能するコンピュータの構成例について説明する。図15は、シミュレータ105をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
図15に示すコンピュータ140は、CPU(Central Processing
Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ141により相互に接続されるCPU142、RAM(Random
Access Memory)143、及びグラフィック・コントローラ144を備える。入出力部は、入出力コントローラ145によりホスト・コントローラ141に接続される通信インターフェース146、ハードディスクドライブ147、及び光学ディスクドライブ148を備える。レガシー入出力部は、入出力コントローラ145に接続されるROM(Read Only Memory)149、及び入出力チップ150を有する。
ホスト・コントローラ141は、RAM143と、高い転送レートでRAM143をアクセスするCPU142、及びグラフィック・コントローラ144とを接続する。CPU142は、ROM149、及びRAM143に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ144は、CPU142等がRAM143内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置151上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ144は、CPU142等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
入出力コントローラ145は、ホスト・コントローラ141と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ147、通信インターフェース146、光学ディスクドライブ148を接続する。ハードディスクドライブ147は、CPU142が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェース146は、ネットワーク通信装置152に接続してプログラム又はデータを送受信する。光学ディスクドライブ148は、光学ディスクからプログラム又はデータを読み取り、RAM143を介してハードディスクドライブ147、及び通信インターフェース146に提供する。
入出力コントローラ145は、ROM149、及び入出力チップ150の比較的低速な入出力装置が接続される。ROM149は、シミュレータ105が起動時に実行するブート・プログラム、あるいはシミュレータ105のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。入出力チップ150は、パラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル等の各種の入力装置153を接続する。
CPU142が実行するプログラムは、光学ディスク、IC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納され、利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ147にインストールされ、RAM143に読み出されてCPU142により実行される。CPU142により実行されるプログラムは、コンピュータ140を、図7に示したシミュレータ105の各機能部として機能させる。
すなわち、本実施形態において、上記のプログラムは、物体に液浸空間を介して露光光を照射する光学部材に対向可能な第1面における液浸空間に関する情報をコンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、露光光を射出する光学部材に対向する物体と光学部材との間の液体について、物体を移動させたときの物体上での液体の動きに関する液体情報を算出することと、物体の表面のうち液体情報が所定の条件を満たす領域を示す領域情報を算出することと、を実行させる。
本実施形態において、上記のプログラムは、物体に液浸空間を介して露光光を照射する光学部材に対向可能な第1面における液浸空間に関する情報をコンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、露光光を射出する光学部材に対向する物体と光学部材との間の液体について、物体の移動を示す第1移動情報に基づいて、物体上での液体の動きに関する液体情報を算出することと、液体情報に基づいて、物体の移動を示す第2移動情報を算出することと、を実行させてもよい。
本実施形態において、上記のプログラムは、物体に液浸空間を介して露光光を照射する光学部材に対向可能な物体における液体に関する情報をコンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、露光光を射出する光学部材に対向する物体と光学部材との間の液体について、第1移動情報に従って移動させた物体における液体の残留を検査した結果に基づいて、物体の移動を示す第2移動情報を算出することを実行させ、第1移動情報が示す第1のショット領域から第2のショット領域までの第1経路に液体の残留が検出されている場合に、第2移動情報は、第1のショット領域から第2のショット領域までの経路が、第1経路よりも長くなるように算出されてもよい。
本実施形態において、上記のプログラムは、物体に液浸空間を介して露光光を照射する光学部材に対向可能な物体における液体に関する情報をコンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、露光光を射出する光学部材に対向する基板と光学部材との間の液体について、第1移動情報に従って移動させながら露光した基板の露光不良を検査した結果に基づいて、基板の移動を示す第2移動情報を算出することを実行させ、基板のショット領域に露光不良が検出されている場合に、第2移動情報は、第1移動情報と比較してショット領域に至る基板の経路が長くなるように、算出されてもよい。
なお、露光装置EXの制御装置4は、上述のようなコンピュータを含んでいてもよい。また、デバイス製造システム100の上位制御装置104は、上述のようなコンピュータを含んでいてもよい。
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROMの他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。本実施形態において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等を含む。また、コンピュータ140は、通信回線によってプログラムが配信され、この配信に応じて当該プログラムを実行してもよい。また、シミュレータ105の少なくとも1つは、ASIC等のハードウェアによって構成されていてもよい。
次に、本実施形態の情報算出方法について説明する。図16は、本実施形態の情報算出方法を示すフローチャートである。本実施形態の情報算出方法は、例えば、上述したようなシミュレータ105により実行可能である。
本実施形態において、図7に示したシミュレータ105の第1移動情報算出部123は、図16に示すステップ160において、ショットマップ情報に基づいて第1移動情報を算出する。本実施形態において、液体情報算出部124は、ステップ161において第1移動情報に基づいて液体情報を算出する。本実施形態において、領域情報算出部120は、ステップ162において液体情報に基づいて領域情報を算出する。本実施形態において、第2移動情報算出部126は、ステップ163において、領域情報に基づいて第2移動情報を算出する。
次に、本実施形態のデバイス製造方法について説明する。図17は、本実施形態のデバイス製造方法を示すフローチャートである。本実施形態のデバイス製造方法は、例えば、上述したようなデバイス製造システム100により実行可能である。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図17に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
以上のような本実施形態の情報算出方法は、液浸空間LSの動きに関する情報を算出するので、例えば液浸空間LSからの液体の分離、液浸空間LSへの気泡の混入を推定することができ、露光不良の発生を抑制できる。また、本実施形態の情報算出方法は、液浸空間LSの界面131と物体との関係を所定の条件と比較することによって、例えば液浸空間LSからの液体の分離、液浸空間LSへの気泡の混入を推定することができ、液浸空間LSの内部の流場を解く必要性が低くなり、情報の算出に要する負荷を減らすことができる。また、実施形態の情報算出方法は、液浸空間LSの界面131と物体との関係が所定の条件を満たす領域を示す領域情報を算出するので、例えば液浸空間LSから液体が分離しやすい領域、液浸空間LSへの気泡の混入しやすい領域の情報を得ることができる。また、本実施形態の情報算出方法は、液体情報に基づいて第2移動情報を算出するので、例えば対向面130における分離液体の残留、液浸空間LSにおける気泡の残留等を抑制できる。結果として、本実施形態の露光装置EX及び露光方法は、露光不良の発生を抑制することができる。また、本実施形態のデバイス製造システム100及びデバイス製造方法は、不良デバイスの発生を抑制できる。
なお、シミュレータ105は、上述したような各種の情報を算出しているが、各種の情報の少なくとも一部を算出しなくてもよい。この場合に、シミュレータ105の少なくとも一部は、省略されていてもよい。また、シミュレータ105が算出する上述のような各種の情報の利用方法は、一例であって、上述の例に限定されない。
例えば、本実施形態のシミュレータ105は、第1移動情報を算出しているが、第1移動情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105とは別の装置が第1移動情報を算出し、シミュレータ105は、第1移動情報を別の装置から取得してもよい。この場合に、シミュレータ105は、例えばショットマップ情報格納部115、第1移動情報算出部118等を備えていなくてもよい。また、第1移動情報を算出する装置は、例えば、露光装置EXの一部であってもよいし、デバイス製造システム100において露光装置EX以外の装置であってもよく、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよい。また、第1移動情報は、ショットマップ情報に基づくことなく算出されてもよいし、算出されなくてもよい。例えば、シミュレータ105は、適宜設定された第1移動情報に基づいて、情報を算出してもよい。
また、本実施形態のシミュレータ105は、液体情報を算出しているが、液体情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105は、第1移動情報に従って移動させた物体における液体の残留を検査した結果に基づいて、例えばオーバースキャン等の手法によって液体の残留が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。また、例えば、シミュレータ105は、第1移動情報に従って移動させながら露光した基板の露光不良を検査した結果に基づいて、例えばオーバースキャン等の手法によって気泡の混入、液体の残留等が抑制されるように、第2移動情報を算出してもよい。このような場合に、シミュレータ105は、液体の動きを推定しなくてもよいし、液体情報算出部124を備えていなくてもよい。
また、本実施形態のシミュレータ105は、領域情報を算出しているが、領域情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105は、液体情報から領域情報を算出することなく、液体情報から直接的に第2移動情報を算出してもよい。このような場合に、シミュレータ105は、領域情報算出部125を備えていなくてもよい。
また、本実施形態のシミュレータ105は、第2移動情報を算出しているが、第2移動情報を算出しなくてもよい。例えば、オペレータは、第2移動情報を用いなくてもよく、液体情報に基づいてショット領域の配置を調整してもよい。また、第2移動情報は、シミュレータ105とは別の装置によって算出されてもよい。この場合に、第2移動情報を算出する装置は、露光装置EXの一部であってもよいし、デバイス製造システム100において露光装置EX以外の装置であってもよく、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよい。また、露光装置EXは、シミュレータ105から第2移動情報が供給されなくてもよい。露光装置EXは、シミュレータ105から第2移動情報が供給されることなく、例えばオーバースキャン、リデューススキャンスピード、ポーズ、ダミーショット等の動作を行って、例えば分離液体の発生、液浸空間LSにおける気泡の残留等を抑制してもよい。
また、本実施形態のシミュレータ105は、画像情報を算出しているが、画像情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105は、液体情報、領域情報、第2移動情報等を数値データで出力してもよい。画像情報は、シミュレータ105とは別の装置によって算出されてもよく、この別の装置は、露光装置EXの一部であってもよいし、デバイス製造システム100において露光装置EX以外の装置であってもよく、デバイス製造システム100の外部の装置であってもよい。
本実施形態のシミュレータ105は、気泡に関する情報を算出しているが、気泡に関する情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105が出力する情報に基づいて、オペレータが液浸空間LSへの気泡の混入、残留等を推定してもよい。また、本実施形態のシミュレータ105は、液浸空間LSからの液体LQの分離に関する情報を算出しているが、液浸空間LSからの液体LQの分離に関する情報を算出しなくてもよい。例えば、シミュレータ105が出力する情報に基づいて、オペレータが液浸空間LSからの液体LQの分離、対向面130における分離液体の残留等を推定してもよい。
なお、本実施形態において、シミュレータ105は、検査情報及び装置情報を取得しているが、検査情報と装置情報の一方又は双方を取得しなくてもよい。例えば、シミュレータ105は、検査情報と装置情報の一方又は双方を情報の算出に用いなくてもよいし、算出した情報を検査情報と装置情報の一方又は双方と比較しなくてもよい。
なお、本実施形態において、シミュレータ105は、上位制御装置104と別の装置であるが、シミュレータ105の少なくとも一部は、上位制御装置104に含まれていてもよいし、露光装置EXに含まれていてもよく、デバイス製造システム100のうち上位制御装置104、露光装置EX以外の装置に含まれていてもよい。
なお、本実施形態において、終端光学素子12に対向する物体は、間隙Ga及び間隙Gbを含んでいるが、間隙Gaと間隙Gbの一方又は双方を含んでいなくてもよいし、間隙Gaと間隙Gb以外の間隙を含んでいてもよい。また、露光装置EXは、カバー部材21とスケール部材22の一方又は双方を備えていなくてもよい。シミュレータ105は、物体が間隙を有していない場合の液浸空間LSに関する情報を算出してもよい。また、液浸空間LSにおける液体の分離等の各種の現象が発生する条件を実験的な手法、CFD的な手法等により求めておき、シミュレータ105は、算出した液体の動きに関する情報と各種の現象が発生する条件とを比較して、現象の発生の有無を推定してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号に開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、露光装置EXが、例えば米国特許第6341007号、米国特許第6208407号、及び米国特許第6262796号等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置でもよい。例えば、図18に示すように、露光装置EXが2つの基板ステージ2Pa、2Pbを備えている場合、射出面13と対向するように配置可能(液浸空間LSを形成可能)な物体は、一方の基板ステージ、その一方の基板ステージの基板保持部に保持された基板、他方の基板ステージ、及びその他方の基板ステージの基板保持部に保持された基板の少なくとも一つを含む。また、第2の基板ステージ2Pbは、第1の基板ステージ2Paの周囲に、第1の基板ステージ2Paと間隙を介して、又は実質的に間隙を有さないで配置されていてもよい。この場合に、液浸空間LSは、第1の基板ステージ2Pa上と第2の基板ステージ2Pb上とにわたって移動してもよい。上述したシミュレータ105は、このような液浸空間LSに関する情報を算出することもできる。なお、2つの基板ステージ2Pa、2Pbの一方又は双方に、図18に示すように部材154が配置されていてもよい。部材154は、例えば計測部材と計測器の一方又は双方であってもよい。基板ステージに配置される部材154の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、基板ステージ2Pa上に配置される部材154は、基板ステージ2Pb上に配置される部材154と同じでもよいし、異なっていてもよい。
なお、上述の各実施形態において、露光装置EXが、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置でもよい。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いて各ステージの位置を計測することとしたが、エンコーダシステムがなくてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、上述の実施形態、変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。