JP6122379B2 - プリプレグの中間体、プリプレグ及びそれを用いた成形品、並びにその製造方法 - Google Patents

プリプレグの中間体、プリプレグ及びそれを用いた成形品、並びにその製造方法 Download PDF

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本発明は、自動車や家電などの各種機器において、高強度及び軽量化が要求される部品としての成形品に適用されるプリプレグの中間体、プリプレグ及びそれを用いた成形品、並びにその製造方法に関する。
従来、炭素繊維などの補強繊維及びナイロン6などの熱可塑性樹脂で構成されたプリプレグや、それを用いた成形品として、特許文献1に記載されたものが知られている。このプリプレグは、補強繊維束に熱可塑性樹脂を接合した状態に積層したものである。具体的には、多数本の補強繊維を一方向に引き揃えたシート状態の補強繊維束を作製し、その補強繊維束の少なくとも一方の面に、溶融した状態の熱可塑性樹脂を吹き付け、その後、冷却する。これにより、補強繊維束の表面に、不織布状の熱可塑性樹脂が接合した状態に構成されたプリプレグが作製される。また、上記のように作製されたプリプレグは、ホットプレス成形やインサート成形などによって、所望の形状を有する成形品に成形される。
特開2013−203944号公報
しかし、上述したプリプレグの熱可塑性樹脂は、不織布状に成形された状態で、シート状の補強繊維束の表面に接合されているにすぎないため、補強繊維束と熱可塑性樹脂との間の接合度合の強度が不十分である。また、そのプリプレグを用い、例えばインサート成形によって、プリプレグの周囲に熱可塑性樹脂をオーバーコートした成形品を製造した場合、その成形品に曲げなどの外力が作用すると、プリプレグの補強繊維束と熱可塑性樹脂のオーバーコート層との間が剥がれる、いわゆる層間剥離を生じるおそれもある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、高強度及び軽量化を確保しながら、プリプレグとオーバーコート層との間の層間剥離を防止することができる熱可塑性樹脂の成形品を得ることができるプリプレグの中間体、プリプレグ及びそれを用いた成形品、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明のプリプレグの中間体は、所定種類の連続した補強用の繊維材料から成る連続補強繊維と、所定種類の連続した繊維材料から成り、連続補強繊維を結合するための結合糸と、所定種類の熱可塑性樹脂から成り、所定の温度以上で溶融したときに、連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸されるとともに、連続補強繊維及び結合糸を接合させるバインダー機能を有する溶融糸と、を有し、連続補強繊維、結合糸及び溶融糸が、経編みされることによって構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、所定種類の連続した繊維材料から成る連続補強繊維及び結合糸と、所定種類の熱可塑性樹脂から成る溶融糸とを経編みすることによってプリプレグの中間体が構成されている。この中間体では、連続補強繊維、溶融糸及び結合糸が経編みされているので、例えばこれらが縦横に交差する織物生地で構成される場合に比べて、編み目による多数の空洞が形成される。また、経編みされた中間体では、緯編みされる場合に比べて、ほどけにくく、安定した編み生地を得ることができる。このような中間体が所定の温度以上で加熱されると、溶融糸が溶け、連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸されるとともに、それらを接合させるバインダー機能を発揮する。またこの場合、連続補強繊維は、結合糸によって結合されているため、経編みされた中間体がほどけることはない。
請求項2に係る発明のプリプレグは、請求項1に記載の中間体を、所定の温度以上に加熱することによって溶融糸を溶融させるとともに、所定の形状に成形することによって構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、前述したように、請求項1の中間体が所定の温度以上に加熱されることにより、溶けた溶融糸が連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸する。また、この中間体を所定の形状に成形することによって、所望の成形品を成形するのに適した形状のプリプレグを得ることができる。
請求項3に係る発明のプリプレグを用いた成形品は、請求項2に記載のプリプレグの周囲を覆うように、溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート層が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、請求項2のプリプレグの周囲を覆うように、オーバーコート層が設けられることによって、成形品が構成されている。オーバーコート層は、プリプレグの中間体を構成する溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成るので、インサート成形などの加熱成形時に、プリプレグの連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸する溶融糸、すなわち溶けた状態の溶融糸と融合するとともに、経編みの編み目による多数の空洞に浸入する。これにより、プリプレグとオーバーコート層が強固に一体化するので、成形品に曲げなどの外力が作用しても、プリプレグとオーバーコート層との間の層間剥離を防止することができる。
請求項4に係る発明のプリプレグを用いた成形品の製造方法は、請求項2に記載のプリプレグを作製するプリプレグ作製工程と、溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成り、溶融糸の融点よりも高い所定温度で溶融したオーバーコート材を、作製されたプリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する成形品作製工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、プリプレグ作製工程において、請求項2のプリプレグを作製する。具体的には、請求項1の連続補強繊維、溶融糸及び結合糸を経編みすることによって中間体を作製し、その中間体を、加熱するとともに所定の形状に成形することによって、プリプレグを作製する。そして、そのプリプレグを、成形品作製工程においてインサート成形する。具体的には、溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート材を、溶融糸の融点よりも高い所定温度で溶融し、プリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する。これにより、前述した請求項3の作用、効果を有する成形品を得ることができる。
請求項5に係る発明のプリプレグの中間体は、所定種類の連続した補強用の繊維材料から成る連続補強繊維と、所定種類の連続した繊維材料から成り、連続補強繊維を結合するための結合糸と、を有し、連続補強繊維及び結合糸が経編みされるとともに、経編みした編み生地に浸漬によって集束剤が含浸されることによって構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、所定種類の連続した繊維材料から成る連続補強繊維及び結合糸を経編みした編み生地を、集束剤に浸漬することで、その編み生地に集束剤を含浸することによって、プリプレグの中間体が構成されている。この中間体では、集束剤の含浸により、連続補強繊維及び結合糸による編み生地のほつれや端部の毛羽立ちを防止することができる。また、この中間体では、連続補強繊維及び結合糸が経編みされているので、前述した請求項1と同様、織物生地で構成される場合に比べて、編み目による多数の空洞が形成されるとともに、ほどけにくく、安定した編み生地を得ることができる。
請求項6に係る発明のプリプレグは、請求項5に記載の中間体を、所定の温度以上に加熱するとともに、所定の形状に成形することによって構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、請求項5の中間体を、所定の温度以上に加熱するとともに所定の形状に成形することによって、所望の成形品を成形するのに適した形状のプリプレグを得ることができる。
請求項7に係る発明のプリプレグを用いた成形品の製造方法は、請求項5に記載の中間体又は請求項6に記載のプリプレグを、所定の金型にセットし、金型に、所定種類の熱可塑性樹脂を射出することによって、成形品を製造することを特徴とする。
この構成によれば、請求項5の中間体又は請求項6のプリプレグを、所定の金型にセットし、その金型に、所定種類の熱可塑性樹脂を射出する。上記の中間体を金型にセットして熱可塑性樹脂を射出する場合、中間体をそのままインサート成形することによって、所望の成形品を得ることができる。一方、上記のプリプレグを金型にセットして熱可塑性樹脂を射出する場合、あらかじめ所定の形状に成形されたプリプレグをインサート成形するので、寸法精度の高い成形品を得ることができる。
請求項8に係る発明のプリプレグを用いた成形品の製造方法は、請求項6に記載のプリプレグを作製するプリプレグ作製工程と、所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート材を、作製されたプリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する成形品作製工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、プリプレグ作製工程において、請求項6のプリプレグを作製する。具体的には、請求項5の連続補強繊維及び結合糸を経編みするとともに、集束剤を含浸することにより、プリプレグの中間体を作製し、その中間体を所定の温度以上に加熱するとともに所定の形状に成形することによって、プリプレグを作製する。そして、この作製されたプリプレグを、成形品作製工程においてインサート成形する。具体的には、所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート材を、プリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のプリプレグを用いた成形品の製造方法において、プリプレグ作製工程において、オーバーコート材と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂を含浸させることによって前記プリプレグを作製することを特徴とする。
この構成によれば、オーバーコート材と相溶性を有する熱可塑性樹脂を含浸させることによってプリプレグを作製するので、成形品作製工程において、オーバーコート材をプリプレグに対し強固に一体化させることができる。これにより、成形品に曲げなどの外力が作用しても、プリプレグとオーバーコート層との間の層間剥離を防止することができる。
請求項10に係る発明は、前記プリプレグ作製工程において、請求項5に記載の複数の中間体を互いに接合させることを特徴とする。
この構成によれば、複数の中間体を互いに接合させることによって、プリプレグが作製されるので、プリプレグの厚さを容易に調整することができ、また、より高強度のプリプレグ、及びそれを用いた成形品を得ることができる。
本発明の一実施形態によるプリプレグを用いた成形品を示す断面図である。 本発明の一実施形態によるプリプレグを用いた成形品の製造方法の手順を説明するための説明図であり、(a)はプリプレグの中間体、(b)はプリプレグ、(c)は成形品を示している。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるプリプレグを用いた成形品を示しており、この成形品1は、例えば、自動車のエンジンマウントなどに使用されるものである。同図に示すように、この成形品1は、下方に開放するコ字状に形成されるとともに、左右の下端部がそれぞれ外方に屈曲して延びるように形成されたプリプレグ2と、その周囲及び左右の下端部間をつなぐように設けられたオーバーコート層3とで構成されている。
プリプレグ2は、それぞれ所定種類の材料から成る連続補強繊維、溶融糸及び結合糸が、経編み(例えばラッシェル編みやトリコット編み)されることによって構成された中間体としての生地を、加熱及びプレス成形することにより、所定形状に形成されたものである。また、上記のように経編みされた中間体には、表裏方向に貫通し、経編みの編み目による多数の空洞が形成される。
上記の連続補強繊維は、例えば、連続したガラス繊維や炭素繊維などの補強繊維で構成されている。補強繊維としてガラス繊維を使用する場合、例えば、平均直径が6〜17μmのモノフィラメントを200〜2000本集束したガラス繊維ストランド(ガラス繊維束)が用いられる。また、補強繊維として炭素繊維を使用する場合、例えば、平均直径が4〜12μmのモノフィラメントを300〜2500本集束した炭素繊維ストランド(炭素繊維束)が用いられる。
上述したガラス繊維や炭素繊維の補強繊維ストランドにおけるモノフィラメントの本数の範囲の規定は、次の理由による。すなわち、各ストランドにおけるモノフィラメントの本数が下限値よりも少ない場合、成形品1において十分な強度を得られないことがあり、一方、モノフィラメントの本数が上限値よりも多い場合、各ストランドが太くなるために、オーバーコート層3を構成する熱可塑性樹脂を、モノフィラメント間に十分に浸入させることができないことがあるためである。
また、上記の連続補強繊維として、ガラス繊維を使用する場合、その表面にアミノシラン系カップリング剤をコーティングすることが好ましい。これにより、ガラス繊維と、溶融糸としての後述するナイロン6とを、強固に接合することができる。なお、上記のアミノシラン系カップリング剤として、例えば、信越化学工業株式会社製の「KBM603」(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)や「KBE903」(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)などを採用することが可能である。
溶融糸は、中間体が所定の温度以上に加熱された際に溶融することによって、連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸され、それらを接合させるバインダー機能を有するものであり、例えば、ナイロン6などの熱可塑性樹脂から成る連続繊維で構成されている。なお、この溶融糸として使用されるナイロン6は、例えば1000〜3000デニールの太さのものが用いられている。これは、溶融糸の太さが1000デニール未満では、溶融糸の量が少なすぎるために、前述した補強繊維ストランドのモノフィラメント間に、溶融した溶融糸を十分に浸入させることができないことで、十分なバインダー機能を得ることができないからである。また、溶融糸の太さが3000デニールよりも太いと、溶融糸の量が多すぎるために、溶融した溶融糸が、中間体の編み目による多数の空洞を覆ってしまい、それらの空洞にオーバーコート層3を構成する熱可塑性樹脂を十分に浸入させることができなくなり、十分な強度を有する成形品1を得られなくなるからである。
また、中間体が加熱された時に、各ガラス繊維ストランドのモノフイラメント間に、溶融樹脂がより含浸され易くするために、ナイロン6の溶融糸に対し、低溶融ナイロン糸を引き揃えや撚糸、合糸、合撚糸等することにより、加熱溶融時の溶融粘度を下げて、樹脂の含浸率を上げてもよい。上記の低溶融ナイロン糸は、ω−アミノカルボン酸成分又はジカルボン酸成分とジアミン成分との組合せからなる共重合ポリアミド類から成り、融点は170℃以下で、繊度は一般に30〜300デニールの範囲にある。また、溶融糸中における低溶融ナイロン糸の混入率は、70%以下が好ましい。これは、上記の混入率が70%を上回ると、強度低下に及ぼす影響が大きくなるからである。
結合糸は、中間体が所定の温度以上に加熱されたときに溶融糸が溶解した場合でも溶融することなく、連続補強繊維をつなぎ合わせた状態に保持するためのものである。このような結合糸は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、パラアラミド繊維、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維)、ポリアリレート繊維又はポリイミド繊維などのいわゆるスーパー繊維などが用いられる。なお、この結合糸は、上記のスーパー繊維に限らず、溶融糸が溶解する温度に溶融せずに耐え得る材料で構成された繊維であればよく、レーヨンや植物繊維、半合成繊維などを採用することも可能である。
また、前記の中間体に代えて、溶融糸を使用せずに中間体を作製することも可能である。この場合、上記の連続補強繊維及び結合糸を経編みした編み生地を、所定種類の集束剤に浸漬することで含浸させることにより、中間体としての編み生地が作製される。この中間体では、集束剤の含浸により、連続補強繊維及び結合糸による編み生地のほつれや端部の毛羽立ちを防止することができる。なお、上記の集束剤として、例えば、カネビラックL−EY(ソーダニッカ株式会社社製の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体)や、アクロバインダーBG−7(三洋化成工業株式会社製のブタジエン・マレイン酸共重合体)などを採用することが可能である。
オーバーコート層3は、溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂をマトリックスとし、所定の種類及び形状の補強繊維が含まれたオーバーコート材で構成されている。上記の熱可塑性樹脂は、例えばナイロン66などから成る一方、上記の補強繊維は、例えばガラス繊維などから成り、長繊維状及び/又は短繊維状に形成されている。なお、上記の補強繊維として、ガラス繊維に代えて、炭素繊維を採用することも可能である。
次に、上述した成形品1の製造方法について、図2を参照しながら説明する。まず、前述した中間体を作製する。具体的には、連続したガラス繊維又は炭素繊維から成る連続補強繊維と、ナイロン6から成る溶融糸と、スーパー繊維やガラス繊維等から成る結合糸とを、経編み可能な所定の編み機(例えばラッシェル編み機)にセットし、その編み機によって経編みされた編み生地を、所定の形状及びサイズに成形することにより、プリプレグ2の中間体2aを作製する。
上記の中間体2aの形状及びサイズは、製造すべき成形品1に応じて決定されるものであり、例えば、平面形状が矩形状で、数mmの厚さを有する単一の編み生地の他、そのような編み生地を複数枚重ね合わせて構成してもよい。また、中間体2aにおける編み方は、成形品1に要求される機械的特性などに応じて、編み目が比較的小さい密な状態や、編み目が比較的大きな疎な状態に編むことが可能である。
次いで、この中間体2aを、ホットプレス成形機などにセットし、所定温度(例えばナイロン6を溶融可能な温度)で加熱しながら、所定形状にプレス成形する(プリプレグ作製工程)。これにより、溶けた溶融糸が連続補強繊維及び結合糸の周囲に含浸し、成形品1を成形するのに適した形状、例えば図2(b)に示すような形状のプリプレグ2が作製される。なお、上記の中間体2aを加熱・プレス成形するのに先立ち、中間体2aの表面に、前述したアミノシラン系カップリング剤をコーティングすることが好ましい。
次いで、プリプレグ2を、インサート成形用の所定の金型にセットし、その金型に、所定温度に加熱溶融したオーバーコート材を射出する。このオーバーコート材は、例えば長繊維状及び/又は短繊維状のガラス繊維を所定量(例えば30〜50wt%)含有するガラス繊維強化ナイロン66(ナイロン66GF)であり、このオーバーコート材を、溶融糸の融点(溶融糸がナイロン6の場合には225℃)よりも50〜90℃高い温度(溶融糸がナイロン6の場合には275〜315℃)に加熱溶融した状態で、金型に射出する。このように、オーバーコート材を、溶融糸の融点よりも所定温度高い温度に加熱溶融した状態で金型に射出することにより、プリプレグ2の溶融糸と融合し、また、プリプレグ2の編み目に溶融したオーバーコート材が浸入することによって、オーバーコート層3とプリプレグ2が強固に一体化する。
そして、金型へのオーバーコート材の射出後、冷却することにより、所定厚さ(例えば4〜4.5mm)を有するプリプレグ2の表裏面に、それぞれ所定厚さ(例えば3mm)を有するオーバーコート層3が一体化した成形品1が完成する。なお、プリプレグ2の表裏両面へのオーバーコート層3の成形は、表側の層を成形後、金型をスライドさせてから、裏側の層を成形する、いわゆるダイスライドインジェクションで行うことができる。また、プリプレグ2を金型にセットし、表裏一方の層を成形した後、それを他の金型にセットし、表裏の他方の層を成形するようにしてもよい。さらに、成形品に要求される性能に応じて、表裏の一方の面にのみ、オーバーコート層を形成してもよい。
なお、詳細なデータは省略するが、この成形品1と同様の構成材料で作製した試験片を用いて、引張り強度及び曲げ試験を行った結果、高い強度及び曲げ応力を有することが確認された。
以上詳述したように、本実施形態によれば、連続補強繊維、溶融糸及び結合糸を経編みした中間体2aを加熱及びプレス成形することによってプリプレグ2を作製し、その周囲にオーバーコート材を射出するインサート成形によって成形品1を作製する。これにより、例えば、成形品1と同一の形状及びサイズを有するアルミダイキャスト製のものに比べて、高強度でかつ軽量の成形品1を得ることができ、また、成形品1において、プリプレグ2とオーバーコート層3との間の層間剥離を防止することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、前述した成形品1の製造方法では、溶融糸を含む中間体2aを用いたが、これに代えて、溶融糸を用いずに、連続補強繊維及び結合糸を経編みするとともに、前述した集束剤に含浸された中間体を用いてもよい。この中間体では、集束剤の含浸により、連続補強繊維及び結合糸による編み生地のほつれや端部の毛羽立ちを防止することができる。
また、成形品1を製造する際に、プリプレグ2を金型にセットして、オーバーコート材を射出したが、プリプレグ2に代えて、集束剤に含浸された上記の中間体を直接、金型にセットして、インサート成形を行うことも可能である。また、上記の中間体に、オーバーコート材と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂を含浸させることによって、プリプレグを作製することも可能である。
また、実施形態で示した中間体2a、プリプレグ2、オーバーコート層3及び成形品1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 成形品
2 プリプレグ
2a プリプレグの中間体
3 オーバーコート層

Claims (10)

  1. 所定種類の連続した補強用の繊維材料から成る連続補強繊維と、
    所定種類の連続した繊維材料から成り、前記連続補強繊維を結合するための結合糸と、
    所定種類の熱可塑性樹脂から成り、所定の温度以上で溶融したときに、前記連続補強繊維及び前記結合糸の周囲に含浸されるとともに、当該連続補強繊維及び当該結合糸を接合させるバインダー機能を有する溶融糸と、
    を有し、
    前記連続補強繊維、前記結合糸及び前記溶融糸が、経編みされることによって構成されていることを特徴とするプリプレグの中間体。
  2. 請求項1に記載の中間体を、所定の温度以上に加熱することによって前記溶融糸を溶融させるとともに、所定の形状に成形することによって構成されていることを特徴とするプリプレグ。
  3. 請求項2に記載のプリプレグの周囲を覆うように、前記溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート層が設けられていることを特徴とするプリプレグを用いた成形品。
  4. 請求項2に記載のプリプレグを作製するプリプレグ作製工程と、
    前記溶融糸と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂から成り、当該溶融糸の融点よりも高い所定温度で溶融したオーバーコート材を、前記作製されたプリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する成形品作製工程と、
    を備えていることを特徴とするプリプレグを用いた成形品の製造方法
  5. 所定種類の連続した補強用の繊維材料から成る連続補強繊維と、
    所定種類の連続した繊維材料から成り、前記連続補強繊維を結合するための結合糸と、を有し、
    前記連続補強繊維及び前記結合糸が経編みされるとともに、当該経編みした編み生地に浸漬によって集束剤が含浸されることによって構成されていることを特徴とするプリプレグの中間体。
  6. 請求項5に記載の中間体を、所定の温度以上に加熱するとともに、所定の形状に成形することによって構成されていることを特徴とするプリプレグ。
  7. 請求項5に記載の中間体又は請求項6に記載のプリプレグを、所定の金型にセットし、当該金型に、所定種類の熱可塑性樹脂を射出することによって、成形品を製造することを特徴とするプリプレグを用いた成形品の製造方法。
  8. 請求項6に記載のプリプレグを作製するプリプレグ作製工程と、
    所定種類の熱可塑性樹脂から成るオーバーコート材を、前記作製されたプリプレグの周囲に射出するインサート成形により、成形品を作製する成形品作製工程と、
    を備えていることを特徴とするプリプレグを用いた成形品の製造方法。
  9. 前記プリプレグ作製工程において、前記オーバーコート材と相溶性を有する所定種類の熱可塑性樹脂を含浸させることによって前記プリプレグを作製することを特徴とする請求項8に記載のプリプレグを用いた成形品の製造方法。
  10. 前記プリプレグ作製工程において、請求項5に記載の複数の中間体を互いに接合させることを特徴とする請求項9に記載のプリプレグを用いた成形品の製造方法。
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