JP6121403B2 - 2型糖尿病患者の体重減少を誘導する際、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するために使用するための組合せ医薬 - Google Patents

2型糖尿病患者の体重減少を誘導する際、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するために使用するための組合せ医薬 Download PDF

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Description

本発明の主題は、(a)desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010、リキシセナチド)または/および薬学的に許容されるその塩、ならびに(b)メトホルミンまたは/および薬学的に許容されるその塩を含む、2型糖尿病患者の体重減少を誘導する際、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するために使用するための組合せ医薬である。さらに別の態様は、それを必要とする対象に本発明の組合せを投与することを含む、2型糖尿病患者の体重減少を誘導するため、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するための方法である。
健康な人では、膵臓によるインスリン放出は、血中グルコース濃度と厳密に連動している。食後に現れるような血中グルコースレベルの上昇は、インスリン分泌がそれぞれ増加することにより、迅速に打ち消される。空腹条件では、血漿インスリンレベルは、インスリン感受性の器官および組織へのグルコースの連続的供給を確実にし、かつ夜間の肝臓グルコース産生を低レベルで保つのに十分である基底値まで低下する。
1型糖尿病とは対照的に、2型糖尿病では通常インスリンは欠乏していないが、多くの症例、特に進行性の症例では、経口投与される抗糖尿病薬と必要に応じて組み合わせた、インスリンを用いた治療が最も適切な療法とみなされている。
初期症状を伴わない数年間に渡って高い血中グルコースレベルは、重大な健康リスクに相当する。米国での大規模DCCT研究(非特許文献1)によって、血中グルコースレベルが慢性的に高いことが、糖尿病合併症の発症の主な原因であることをはっきりと示すことができた。糖尿病合併症の例は、ことによると網膜症、腎症、または神経障害において顕在化し、失明、腎不全、および四肢の喪失を招き、かつ心血管系疾患のリスク増大を伴う、微小血管障害および大血管障害である。したがって、糖尿病の療法の改善は、血中グルコースを生理学的範囲にできるだけ近い値で維持することを主に目指すべきであると結論を下すことができる。
2型糖尿病に罹患している過体重の患者、例えば肥満度指数(BMI)が30以上の患者には、特別なリスクが存在する。これらの患者では、糖尿病のリスクは、過体重のリスクと重複し、例えば、体重が正常である2型糖尿病患者と比べて心血管疾患の増加を招く。したがって、過体重を低減させつつ、これらの患者の糖尿病を治療することが特に必要である。
メトホルミンは、食事内容の変更に反応を示さないインスリン非依存性真性糖尿病(2型真性糖尿病)の治療で使用されるビグアナイド血糖降下剤である。メトホルミンは、インスリン感受性を改善し、かつグルコースの腸管吸収を減少させることによって、血糖コントロールを改善する。通常、メトホルミンは、経口投与される。しかし、肥満患者の2型真性糖尿病をメトホルミンによってコントロールすることは不十分な場合がある。したがって、これらの患者において、2型真性糖尿病をコントロールするためのさらなる方策が必要とされる場合がある。
化合物desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010、リキシセナチド)は、エキセンジン−4の誘導体である。AVE0010は、特許文献1において配列番号93として開示されている。
配列番号1:AVE0010(44AS)
H−G−E−G−T−F−T−S−D−L−S−K−Q−M−E−E−E−A−V−R−L−F−I−E−W−L−K−N−G−G−P−S−S−G−A−P−P−S−K−K−K−K−K−K−NH2
配列番号2:エキセンジン−4(39AS)
H−G−E−G−T−F−T−S−D−L−S−K−Q−M−E−E−E−A−V−R−L−F−I−E−W−L−K−N−G−G−P−S−S−G−A−P−P−P−S−NH2
エキセンジンは、血中グルコース濃度を低下させることができるペプチド群である。エキセンジン類似体AVE0010は、天然エキセンジン−4配列のC末端切断を特徴とする。AVE0010は、エキセンジン−4に存在しない6個のC末端リジン残基を含む。
本発明との関連において、AVE0010は、薬学的に許容されるその塩を含む。当業者なら、AVE0010の薬学的に許容される塩を知っている。本発明において使用されるAVE0010の好ましい薬学的に許容される塩は、酢酸塩である。
WO01/04156
The Diabetes Control and Complications Trial Research Group(1993)N.Engl.J.Med.329、977〜986頁
本発明の実施例1では、メトホルミンへの追加(add−on)療法におけるAVE0010(リキシセナチド)は、有意に血糖コントロールを改善し、体重を減少させたことが、2型糖尿病患者において実証されている:
・HbA1cは両方の群で有意に減少した
−2段階漸増:プラセボに対するHbA1cのLS平均の差が−0.41%(p<0.0001)
−1段階漸増:プラセボに対するHbA1cのLS平均の差が−0.49%(p<0.0001)
・HbA1c目標値に達したリキシセナチド患者が有意に多かった(≦6.5%および<7.0%)
・リキシセナチドによって、空腹時血漿グルコース(FPG)は有意に改善された
・有意な体重減少が誘導された
−2段階:プラセボに対するLS平均の差が−1.05kg(p=0.0025)
−1段階:プラセボに対するLS平均の差が−1.00kg(p=0.0042)
治療期間全体の始めから終わりまで持続する有効性が観察された。
本発明の実施例2では、メトホルミンでは十分にコントロールされない50歳より若い肥満2型糖尿病患者において、
・リキシセナチド(AVE0010)は、若い肥満2型糖尿病患者において24週間の期間に渡ってHbA1cおよび体重を有意に低減させることが実証され、
・リキシセナチド(AVE0010)は、体重減少の点でシタグリプチンよりもかなり有利であり、HbA1cを同じくらい低下させることが実証され、
・リキシセナチド(AVE0010)は、シタグリプチンよりも非常に好ましい安全性および許容性の特性(profile)があり、具体的には低血糖症の発病率に差異がないことが実証され、
・リキシセナチド(AVE0010)の有効性は、PPGとFPGの両方を減少させる二重の有効性に支えられており、
この際、リキシセナチドは、メトホルミンへの追加療法において投与された。
本発明の第1の態様は、
(a)desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩、ならびに
(b)メトホルミンまたは/および薬学的に許容されるその塩
を含む、2型糖尿病患者の体重減少を誘導する際、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するために使用するための組合せ医薬である。
メトホルミンは、1,1−ジメチルビグアニドの国際的な一般名称である(CAS番号657−24−9)。本発明において、「メトホルミン」という用語は、任意の薬学的に許容されるその塩を含む。
本発明において、メトホルミンは、経口投与してよい。当業者なら、経口投与によって2型糖尿病を治療するのに適したメトホルミンの製剤を知っている。メトホルミンは、治療効果を誘導するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与してよい。メトホルミンは、少なくとも1.0g/日または少なくとも1.5g/日の用量で投与してよい。経口投与の場合、メトホルミンは、錠剤または丸剤などの固形剤形に製剤化してよい。メトホルミンは、適切な薬学的に許容される担体、アジュバント、または/および補助物質と共に製剤化してよい。
本発明において、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容される塩は、メトホルミン投与への追加療法において投与してよい。
本発明において、「追加」、「追加治療」、および「追加療法」という用語は、メトホルミンおよびAVE0010を用いた2型真性糖尿病の治療に関する。メトホルミンおよびAVE0010は、24時間の時間間隔内に投与してよい。メトホルミンおよびAVE0010はそれぞれ、1日に1回の投薬量で投与してよい。メトホルミンおよびAVE0010は、異なる投与経路で投与してよい。メトホルミンは経口投与してよく、かつAVE0010は非経口投与してよい。
本発明の医薬品によって治療される2型糖尿病に罹患している対象は、2型糖尿病に罹患している対象であってよい。実施例1では、これらの患者において、メトホルミンと組み合わせたAVE0010投与が有利な療法になることを実証する。
本発明の医薬品によって治療される2型糖尿病に罹患している対象は、例えば、少なくとも1.0g/日のメトホルミンまたは少なくとも1.5g/日のメトホルミンといった用量を3ヶ月間用いる、メトホルミンのみによる治療では十分にコントロールされない2型糖尿病に罹患している対象であってよい。本発明において、その2型糖尿病が十分にコントロールされない対象のHbA1c値は、7%〜10%の範囲であってよい。
本発明の医薬品によって治療される2型糖尿病に罹患している対象は、肥満の対象であってよい。本発明において、肥満の対象の肥満度指数は、少なくとも30kg/m2であってよい。
本発明の医薬品によって治療される2型糖尿病に罹患している対象は、本明細書において説明するように、肥満の対象であってよく、また50歳より若く、例えば、少なくとも18歳かつ50歳より若くてよく、対象はメトホルミンでは十分にコントロールされない。実施例2では、これらの患者において、メトホルミンと組み合わせたAVE0010投与が有利な療法になることを実証する。
本発明の医薬品によって治療される2型糖尿病に罹患している対象は、正常な体重を有し得る。本発明において、正常な体重を有する対象の肥満度指数は、17kg/m2〜25kg/m2、または17kg/m2〜30kg/m2未満の範囲であってよい。
本発明の医薬品によって治療される対象は、成人対象であってよい。対象は、年齢が少なくとも18歳であってよく、または年齢が18〜80歳、18〜50歳、もしくは40〜80歳、もしくは50〜60歳の範囲であってもよい。対象は、50歳より若くてもよい。
本発明の医薬品によって治療される対象は、例えばインスリンまたは/および関連化合物による抗糖尿病治療を受けないことが好ましい。
本発明の医薬品によって治療される対象は、少なくとも1年間または少なくとも2年間、2型真性糖尿病に罹患し得る。具体的には、治療される対象において、2型真性糖尿病は、本発明の医薬品による療法の開始の少なくとも1年前または少なくとも2年前に診断されている。
治療される対象のHbA1c値は、少なくとも約8%または少なくとも約7.5%であってよい。また、対象のHbA1c値は、約7〜約10%であってもよい。本発明の例は、AVE0010による治療により、2型糖尿病患者のHbA1c値が低下することを実証する。
本発明のさらに別の態様では、本明細書において説明する組合せを、血糖コントロールを改善するために使用することができる。本発明において、血糖コントロールの改善とは、具体的には、食後の血漿グルコース濃度の改善、空腹時血漿グルコース濃度の改善、または/およびHbA1c値の改善を意味する。
本発明のさらに別の態様では、本明細書において説明する組合せを、2型糖尿病に罹患している患者のHbA1c値を改善するために使用することができる。HbA1c値の改善とは、例えば、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、または少なくとも3ヶ月間の治療後に、HbA1c値が6.5%未満または7%未満に低下していることを意味する。
本発明のさらに別の態様では、本明細書において説明する組合せを、2型糖尿病に罹患している患者の耐糖能を改善するために使用することができる。耐糖能の改善とは、本発明の活性な作用物質によって食後の血漿グルコース濃度が低下することを意味する。低下とは、具体的には、血漿グルコース濃度が正常血糖値に達するか、またはこれらの値に少なくとも近づくことを意味する。
本発明において、正常血糖値は、具体的には60〜140mg/dl(3.3〜7.8mM/Lに相当する)の血中グルコース濃度である。具体的には、この範囲は、空腹条件下および食後条件下での血中グルコース濃度を指す。
治療される対象の食後2時間血漿グルコース濃度は、少なくとも10mmol/L、少なくとも12mmol/L、または少なくとも14mmol/Lであってよい。これらの血漿グルコース濃度は、正常血糖濃度を超えている。
治療される対象のグルコース変動は、少なくとも2mmol/L、少なくとも3mmol/L、少なくとも4mmol/L、または少なくとも5mmol/Lであってよい。本発明において、グルコース変動とは、具体的には、食後2時間血漿グルコース濃度と食事試験30分前の血漿グルコース濃度との差である。
「食後」とは、糖尿病学の当業者には周知の用語である。具体的には、「食後」という用語は、食事または/および実験条件下でのグルコースへの曝露の後の時期を説明する。健康な人では、この時期は、血中グルコース濃度の上昇およびその後の低下を特徴とする。典型的には、「食後」または「食後時期」の期間(term)は、食事または/およびグルコースへの曝露から最長で2時間後に終わる。
本明細書において開示する治療される対象の空腹時血漿グルコース濃度は、少なくとも8mmol/L、少なくとも8.5mmol/L、または少なくとも9mmol/Lであってよい。これらの血漿グルコース濃度は、正常血糖濃度を超えている。
本発明の別の態様では、本明細書において説明する組合せを、2型糖尿病に罹患している患者の空腹時血漿グルコースを改善する(すなわち、低下させる)ために使用することができる。低下とは、具体的には、血漿グルコース濃度が正常血糖値に達するか、またはこれらの値に少なくとも近づくことを意味する。
本発明の組合せは、本明細書において説明する医学的適応症の内の1つもしくはそれ以上の治療において、例えば、2型糖尿病患者の治療において、または血糖コントロールの改善、空腹時血漿グルコース濃度の低下、グルコース変動の改善、食後の血漿グルコース濃度の低下、耐糖能の改善、HbA1c値の改善、体重減少、もしくは/および体重増加の防止など、2型糖尿病に関連した状態のために使用することができる。
本発明において、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、治療効果を誘導するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与してよい。
本発明において、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、適切な薬学的に許容される担体、アジュバント、または/および補助物質と共に製剤化してよい。
化合物desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、非経口的に、例えば注射(筋肉内注射または皮下注射など)によって投与してよい。適切な注射器具、例えば、有効成分を含むカートリッジおよび注射針を含むいわゆる「ペン」が公知である。化合物desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、適切な量で、例えば、10〜15μg/用量または15〜20μg/用量の範囲の量で投与してよい。
本発明において、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、10〜20μgの範囲、10〜15μgの範囲、または15〜20μgの範囲の日用量で投与してよい。desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、1日1回の注射によって投与してよい。
本発明において、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、液体組成物中で提供し得る。当業者なら、非経口投与に適したAVE0010の液体組成物を知っている。本発明の液体組成物は、酸性pHまたは生理的pHを有し得る。酸性pHは、好ましくは、pH1〜6.8、pH3.5〜6.8、またはpH3.5〜5の範囲である。生理的pHは、好ましくは、pH2.5〜8.5、pH4.0〜8.5、またはpH6.0〜8.5の範囲である。pHは、薬学的に許容される希釈された酸(典型的にはHCl)または薬学的に許容される希釈された塩基(典型的にはNaOH)によって調整することができる。
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩を含む液体組成物は、適切な保存剤を含んでよい。適切な保存剤は、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルから選択され得る。好ましい保存剤はm−クレゾールである。
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩を含む液体組成物は、浸透圧調整剤を含んでよい。適切な浸透圧調整剤は、グリセロール、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコース、NaCl、CaCl2などのカルシウムまたはマグネシウムを含有する化合物から選択され得る。グリセロール、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、およびグルコースの濃度は、100〜250mMの範囲であってよい。NaClの濃度は、最高150mMであってよい。好ましい浸透圧調整剤は、グリセロールである。
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩を含む液体組成物は、0.5μg/mL〜20μg/mL、好ましくは1μg/ml〜5μg/mlのメチオニンを含んでよい。好ましくは、液体組成物はL−メチオニンを含む。
本発明のさらなる態様は、それを必要とする対象にメトホルミンと組み合わせてdesPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、2型糖尿病患者の体重減少を誘導するため、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するための方法である。具体的には、本明細書において説明する組合せを投与してよい。本発明の方法において、対象は、本明細書において定義する対象であってよい。
本発明のさらに別の態様は、本明細書において説明するように、医学的適応症の治療用の医薬品を製造するための、本明細書において説明する組合せの使用に関する。例えば、本明細書において説明する組合せは、2型糖尿病患者の体重減少を誘導するため、または/および2型糖尿病患者の体重増加を防止するための、医薬品を製造するために使用することができる。また、本発明の組合せは、2型糖尿病患者の治療のための、または血糖コントロールの改善、空腹時血漿グルコース濃度の低下、グルコース変動の改善、食後の血漿グルコース濃度の低下、HbA1c値の改善、もしくは/および耐糖能の改善など、2型糖尿病に関連した状態の治療のための、医薬品を製造するために使用することもできる。医薬品は、本明細書において説明するようにして製剤化することができる。例えば、医薬品は、AVE0010または/および薬学的に許容されるその塩の非経口製剤、ならびにメトホルミンまたは/および薬学的に許容されるその塩の経口製剤を含んでよい。
本発明は、以下の実施例および図面によってさらに例示される。
試験デザインを示す図である。 全体的なステップダウン検定手順を示す図である。 何らかの理由による投与中止までの時間のカプランマイヤープロット(ランダム化集団)である。 主要24週間投与期間中の各来院時におけるHbA1c(%)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法(Last observation carried forward)。 注:図にはレスキュー薬導入前、および12回目来院時(24週)もしくは169日目または12回目来院時(24週)の測定値が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の3日後までに得られた測定値を含めた。 主要24週間投与期間中の各来院時における空腹時血漿グルコース(mmol/L)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法。 注:図にはレスキュー薬導入前、および12回目来院時(24週)もしくは169日目または12回目来院時(24週)の測定値が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の1日後までに得られた測定値を含めた。 主要24週間投与期間中の各来院時における体重(kg)のベースラインからの平均変化(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法。 注:図にはレスキュー薬導入前、および12回目来院時(24週)もしくは169日目または12回目来院時(24週)が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の3日後までに得られた測定値を含めた。 各来院時および最終評価時におけるHbA1c(%)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法、EOT=投与期間中の最終測定値。 注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。24週(LOCF)については、12回目来院時(24週)もしくは169日目、または12回目来院時(24週)の測定値が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の3日後までに得られた測定値を含めた。 各来院時および最終評価時における空腹時血漿グルコース(mmol/L)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法、EOT=投与期間中の最終測定値。 注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止1日後に得られた測定値を含めなかった。24週(LOCF)については、12回目来院時(24週)もしくは169日目、または12回目来院時(24週)の測定値が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の1日後までに得られた測定値を含めた。 各来院時および最終評価時における体重(kg)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法、EOT=投与中の最終測定値。 注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。24週(LOCF)については、12回目来院時(24週)もしくは169日目、または12回目来院時(24週)の測定値が利用不能のときはこれ以前に実施された二重盲検の治験注射薬最終投与の3日後までに得られた測定値を含めた。 試験デザインを示す図である。 何らかの理由による投与中止までの時間のカプランマイヤープロット(ランダム化集団)である。 各来院時および最終評価時におけるレスポンダー(HbA1cが<7%かつベースラインからの体重減少が≧5%の患者)(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法。 注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。24週(LOCF)については、ベースライン後の、30日以上離れていない投与期間測定値(HbA1cおよび体重)がない患者はノンレスポンダーとみなした。 各来院時および最終評価時におけるHbA1c(%)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。LOCF=最終観測値延長法。注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。 選択された来院時および最終評価時におけるHbA1cレスポンダー(それぞれ≦6.5%または<7%)(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法。 注:解析にはレスキュー薬導入後、および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。 各来院時および最終評価時における体重(kg)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。LOCF=最終観測値延長法。注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止3日後に得られた測定値を含めなかった。 各来院時および最終評価時における空腹時血漿グルコース(mmol/L)のベースラインからの平均変化量(mITT集団)を示す図である。 LOCF=最終観測値延長法。 注:解析にはレスキュー薬導入後および/または投与中止1日後に得られた測定値を含めなかった。
実施例1
2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法(add-on treatment)としてのリキシセナチドの有効性および安全性をプラセボと比較し評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多施設共同、国際共同試験
要約
本例は、2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの有効性および安全性をプラセボと比較し評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多施設共同、国際共同試験である。各患者の最低限の試験実施期間はおよそ79週間(最長3週間のスクリーニング期間+24週間の主要な投与期間+不定期の継続投与期間+3日間のフォローアップ期間)であった。試験は15ヵ国75施設で実施した。本試験の主要目的は、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの血糖コントロールに対する効果を、2段階用量漸増レジメンを用い、HbA1c低下(絶対変化量)の観点から、24週間にわたりプラセボと比較し評価することであった。
合計484例の患者を4つの投与群のうちの1つに無作為に割り付けた(161例をリキシセナチド2段階漸増群、161例をリキシセナチド1段階漸増群、80例をプラセボ2段階漸増群、82例をプラセボ1段階漸増群に割り付けた)。この484例の無作為化例のうち、482例に試験治療を実施した。2例(各プラセボ群1例)は誤って無作為化されたため、いずれの試験治療も実施されなかった。有効性および安全性解析の両方から両例を除外した。両解析では、プラセボ1段階漸増群および2段階漸増群を併合した。人口統計学的特性およびベースライン特性は、プラセボ投与例がリキシセナチド投与例より若干年齢が高かったことを除き、全ての投与群にわたって概ね類似していた。無作為化後に治験薬を投与したこの482例のうち、ベースライン後の有効性データの欠如のために5例(リキシセナチド2段階漸増群1例、リキシセナチド1段階漸増群3例、およびプラセボ1段階漸増群1例)を有効性解析のためのmITT集団から除外した。全試験治療期間中、103(21.3%)例が試験治療を早期に中止した。試験治療を中止した患者の割合は、リキシセナチド1段階漸増群(18.6%)および併合プラセボ群(20.4%)より、リキシセナチド2段階漸増群(24.8%)で高かった。リキシセナチド投与群における投与中止の主な理由は「有害事象」(リキシセナチド2段階漸増群11.8%およびリキシセナチド1段階漸増群8.7%に対し、併合プラセボ群6.2%)であり、次いで「その他の理由」(9.9%および7.5%に対し、併合プラセボ群9.9%)であった。
ベースラインからWeek 24までのHbA1cの変化量の最小二乗(LS)平均値は、リキシセナチド2段階漸増群-0.83%(併合プラセボ群とのLS平均値の差=-0.41%;p値 < .0001)、リキシセナチド1段階漸増群-0.92%(併合プラセボ群とのLS平均値の差=-0.49%;p値 <.0001)に対し、併合プラセボ群-0.42%であった。Week 24にHbA1c ≦6.5またはHbA1c <7%に達していた患者の割合は、プラセボ投与群より両方のリキシセナチド投与群で著しく高かった (HbA1c ≦6.5%については、リキシセナチド2段階漸増群20.4%およびリキシセナチド1段階漸増群25.6%に対し、併合プラセボ群7.6%;HbA1c <7%については、リキシセナチド2段階漸増群42.1%およびリキシセナチド1段階漸増群47.4%に対し、併合プラセボ群24.1%)。どちらのリキシセナチド投与群も、併合プラセボ群と比べ空腹時血糖値の統計学的有意な低下を示した(リキシセナチド2段階漸増群については、LS平均値の差=-0.67 mmol/Lおよびp値=0.0004、リキシセナチド1段階漸増群については、LS平均値の差=-0.65 mmol/Lおよびp値=0.0007)。また、併合プラセボ群と比べ、ベースラインからWeek 24までの統計学的有意な体重減少も両リキシセナチド投与群で示された。(リキシセナチド2段階漸増群については、LS平均値の差=-1.05 kgおよびp値0.0025;リキシセナチド1段階漸増群については、LS平均値の差=-1.00 kgおよびp値0.0042)。どちらのリキシセナチド投与群も、主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療(rescue therapy)を必要とした患者の割合(2段階漸増群で3.1%および1段階漸増群で1.3%)が、併合プラセボ群(4.4%)と比較して若干低かった。救援治療を受けた患者の発生率が低かったため、各リキシセナチド群と、併合プラセボ群との間に明らかな有意差は認められなかった。
リキシセナチドは忍容性が良好であった。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、全ての投与群にわたって同程度であった(リキシセナチド2段階漸増群87.6%、リキシセナチド1段階漸増群85.7%、および併合プラセボ群86.3%)。5例(リキシセナチド2段階漸増群1例、リキシセナチド1段階漸増群2例、併合プラセボ群2例)が投与実行期間中に、死亡に至ったTEAE を発現した。59例は、試験全体の投与実行期間中に重篤なTEAEを少なくとも1つ発現し、その発現率は、リキシセナチド2段階漸増群(13.0%)と併合プラセボ群(13.8%)との間では同程度であったが、リキシセナチド1段階漸増群(9.9%)では若干低かった。リキシセナチド投与例で最も一般的に報告されたTEAEは悪心(2段階漸増群62例[38.5%]および1段階漸増群 47例[29.2%]に対し、併合プラセボ群13例[8.1%])、次いで嘔吐(2段階漸増群29例[18.0%]および1段階漸増群 21例[13.0%]に対し、併合プラセボ群1例[0.6%])であった。試験全体の投与実行期間中に リキシセナチド2段階漸増群の12例(7.5%)およびリキシセナチド1段階漸増群の6例(3.7%)が治験実施計画書に定義された症候性低血糖イベントを発現したのに対し、プラセボ投与例では12例(7.5%)が同一期間中に症候性低血糖イベントを発現した。これらの症候性低血糖イベントのいずれも重度ではなかった。合計15例(リキシセナチド2段階漸増群6例[3.7%]、リキシセナチド1段階漸増群3例[1.9%]、併合プラセボ群6例[3.8%])がアレルギーイベントを報告し、アレルギー反応評価委員会(Allergic Reaction Assessment Committee:ARAC)によってアレルギー反応と判定されたが、それらのアレルギーイベントのうち、治験薬と関連があるかもしれないと判定されたのは2件のみ(各リキシセナチド群1件)であった。本試験で急性膵炎症例は認められなかった。リキシセナチドの2つの漸増レジメン(1段階および2段階)間で、安全性および忍容性に関して問題となる差は認められなかった。
1 目的
1.1 主要目的
本試験の主要目的は、2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの血糖コントロールに対する効果を、2段階用量漸増レジメンを用い、HbA1c低下(絶対変化量)の観点から、24週間にわたりプラセボと比較し評価することであった。
1.2 副次的目的
本試験の副次的目的は以下の通りであった:
・以下の項目に対するAVE0010の効果を評価すること:
− AVE0010を1段階用量漸増レジメンで使用したときの、HbA1c低下の観点からプラセボと比較した血糖コントロール、
− HbA1c <7%またはHbA1c ≦6.5%に達している患者の割合、
− 体重、
− 空腹時血糖値、
・AVE0010の安全性および忍容性を評価すること、
・AVE0010 PKおよび抗AVE0010抗体の発現を評価すること。
2 治験デザイン
本試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、4治療群、不均等割付け(unbalanced)デザイン、並行群間、多施設共同、国際共同試験であった: 2段階漸増(リキシセナチド投与例150例およびプラセボ投与例75例)および1段階漸増(リキシセナチド投与例150例およびプラセボ投与例75例)。本試験は実薬投与およびプラセボ投与に関して二重盲検とした。治験薬の量(すなわち、実薬または対応するプラセボの用量)および漸増レジメン(すなわち、1段階および2段階)は盲検化しなかった。
患者は、HbA1c(<8%、≧8%)およびボディ・マス・インデックス(BMI <30 kg/m2、≧30 kg/m2)のスクリーニング値によって層別した。スクリーニング期間後、自動音声応答システム(interactive voice response system:IVRS)を介して中央で患者を4つの治療群(リキシセナチド2段階漸増、プラセボ2段階漸増、リキシセナチド1段階漸増、プラセボ1段階漸増)のうちの1つに、2:1:2:1の比率で無作為に割り付けた。
治験実施計画書改訂4(2010年1月19日付)によれば、各患者の最低限の試験期間はおよそ79週間(最長3週間のスクリーニング期間+24週間の主要な二重盲検投与期間+不定期の二重盲検継続投与期間+3日間のフォローアップ期間)であった。24週間の主要な二重盲検期間を終了した患者は不定期の二重盲検継続投与期間に進み、全患者がこの継続投与期間を、最後の無作為化例のWeek 76の来院(V24)予定日頃に終了した。
試験治療を早期に中止した患者は、治験実施計画書改訂3(2009年7月3日付)に基づき、引き続き試験終了予定日まで本試験に留まった。それらの患者については、当該治験実施計画書改訂に明記された試験手順に従いフォローアップを行った(3日間の安全性に関する投与後フォローアップ、薬物動態評価、および食事負荷試験は除く)。
3 主要評価項目および重要な副次的評価項目
3.1 主要評価項目
有効性主要変数は、ベースラインからWeek 24までのHbA1cの絶対変化量とし、Week 24のHbA1c − ベースラインのHbA1cと定義した。
患者が早期に投与を中止した、または主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療を受けた、またはWeek 24来院のHbA1c値を有していなかった場合は、主要な24週間投与実行期間中の最後のベースライン後HbA1c測定値をWeek 24のHbA1c値として使用した(Last Observation Carried Forward[LOCF]法)。
3.2 副次的評価項目
3.2.1 有効性評価項目
有効性副次変数については、主要変数に用いた手順と同じ手順を用いて欠測/早期中止を取り扱った。
連続変数
・ベースラインからWeek 24までのFPG(mmol/L)の変化量
・ベースラインからWeek 24までの体重(kg)の変化量
カテゴリ変数
・Week 24にHbA1c <7%であった患者の割合
・Week 24にHbA1c ≦6.5%であった患者の割合
・主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合
・ベースラインからWeek 24までの体重減少(kg)が5%以上であった患者の割合
3.2.2 安全性評価項目
安全性解析は、報告されたTEAEに加え、症候性低血糖症および重度の症候性低血糖症、注射部位の局所忍容性、アレルギーイベント(ARACにより判定された)、膵炎の疑い、カルシトニン増加、バイタルサイン、12誘導ECGおよび臨床検査などの他の安全性情報に基づいた。また主要心血管イベントも収集され、心血管イベント判定委員会(Cardiovascular Adjudication Committee:CAC)によって判定された。CACによって判定および確認された、本試験および他のリキシセナチド第2〜3相試験からのイベントは、心血管に関するリキシセナチドの全般的評価のための統計解析計画書に基づき、プールして解析するとともに別の報告書に要約する。KRM/CSRでは、判定および確認された、本試験からのCVイベントの要約は提示しない。
4 症例数計算の仮定
症例数/検出力の計算は、有効性主要変数である、ベースラインからWeek 24までのHbA1cの絶対変化量に基づいた。
共通標準偏差を1.3%とし、有意水準5%の両側検定を仮定した場合、リキシセナチド治療群を1群150例および併合プラセボ群を2 × 75例とすることにより、リキシセナチドとプラセボ間で、ベースラインからWeek 24までのHbA1cの絶対変化量における0.5%(または0.4%)の差を検出する91%(または75%)の検出力が得られた。症例数の計算は、2標本t検定に基づくとともに、nQuery(登録商標)Advisor 5.0を用いて行った。標準偏差は、過去に実施された糖尿病に関する試験から得られた(同様にデザインされた試験の公表データおよび非公表の社内データに基づいた)控えめな方法を用いて、早期脱落を考慮に入れて推定した。
5 統計手法
5.1 解析対象集団
二重盲検治験薬(IP)を少なくとも1回投与され、かつ有効性変数のベースライン評価および少なくとも1回のベースライン後評価の両方を有する全無作為化例でmodified intent-to-treat(mITT)集団を構成した。
安全性解析対象集団は、二重盲検IPを少なくとも1回投与された全無作為化例と定義した。
5.2 有効性の主要解析
主要評価項目(ベースラインからWeek 24までのHbA1cの変化量)は、治療群(リキシセナチド2段階漸増群およびプラセボ群、リキシセナチド1段階漸増群およびプラセボ群)、スクリーニング時HbA1cによる無作為化の層(<8.0%、≧8.0%)、スクリーニング時BMIによる無作為化の層(<30 kg/m2、≧30 kg/m2)、および国を固定効果とし、ベースラインのHbA1c値を共変量として用いた共分散分析(ANCOVA)モデルにより解析した。各リキシセナチド群と併合プラセボ群との差ならびに両側95%信頼区間およびp値は、ANCOVAのフレームワーク内で推定した。本ANCOVAモデルには、2つのプラセボ漸増群を別個の治療水準(treatment level)として含めたが、比較を行う際はそれらを併合して1つの群とし適切なコントラスト(例えば、リキシセナチド2段階漸増群と併合プラセボ群を比較する際はプラセボ1段階漸増、プラセボ2段階漸増、リキシセナチド1段階漸増およびリキシセ
ナチド2段階漸増の順に[-0.5、-0.5、0、+1])を使用した。
第1種の過誤を確実にコントロールするためステップワイズ検定法を適用した。最初に、 リキシセナチド2段階漸増群を併合プラセボ群と比較した(主要目的)。その検定が統計学的有意であった場合、次にリキシセナチド1段階漸増群を併合プラセボ群と比較した(副次的目的)。
有効性主要変数に関する主要解析は、mITT集団と、有効性変数のための主要な24週間二重盲検投与実行期間中に得られた測定値に基づき実施した。有効性変数のための主要な24週間二重盲検投与実行期間は、二重盲検IP初回投与からV12/Week 24来院(V12/Week 24来院が欠測であった場合はD169)当日またはそれ以前の二重盲検IP最終投与の3日(中央検査室によるFPGは例外で、1日)後まで、または救援治療導入までのいずれか早い方までの期間と定義した。LOCF法は、この最後の利用可能なベースライン後投与実行 HbA1c測定値(救援治療を導入した場合は、その新規薬剤の開始前)をWeek 24のHbA1c値とみなすことにより用いた。
5.3 有効性の副次的解析
主要変数が、両方の比較でともに、α=0.05で統計学的有意となった場合は、当該検定法を用い、以下の有効性副次変数を以下の優先順位順で検定した:
1. ベースラインからWeek 24までの空腹時血糖値(FPG)(mmol/L)の変化量、
2. ベースラインからWeek 24までの体重(kg)の変化量、
3. 主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合。
このステップダウン検定法全てを詳細に説明するダイヤグラムを図2に示した。
3.2.1項で述べたWeek 24の全ての有効性副次変数(連続変数)は、5.2項で述べた、有効性主要変数に関する主要解析のためのものと同じ方法および同じANCOVAモデル(参照)を用いて解析した。各リキシセナチド群と併合プラセボ群との治療効果の平均差(調整推定値)および両側95%信頼区間を得た。
以下のWeek 24の有効性副次変数(カテゴリ変数)については、無作為化の層(スクリーニング時HbA1c値[<8.0%、≧8%]およびスクリーニング時BMI値[<30 kg/m2、≧30 kg/m2])で層別したCochran-Mantel-Haenszel(CMH)法を用いて解析した。
・Week 24にHbA1c <7.0%であった患者の割合、
・Week 24にHbA1c ≦6.5%であった患者の割合、
・主要な24週間の二重盲検投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合。
Week 24にベースラインからの体重減少が5%以上であった患者の数および割合は、投与群ごとに示した。
投与終了時の全ての副次的評価項目は、記述統計量でのみ評価した(平均値、標準偏差、中央値および範囲はCSRに示した)。
5.4 安全性解析
安全性解析は、主に試験全体の投与実行期間に基づいた。試験全体の投与実行期間は、全試験期間中の二重盲検IPの初回投与から、救援治療の有無に関わらず、IP最終投与3日後までの期間と定義した。この3日間という間隔は、当該IPの半減期に基づいて決定した(半減期の約5倍)。
また、24週間二重盲検投与期間に関する安全性解析についてはCSRに要約する予定である。
安全性に関する結果の要約(記述統計量または度数分布表)は、投与群ごとに示した。
6 結果
6.1 治験対象患者
6.1.1 患者アカウンタビリティー(Patient accountability)
本試験は、15ヵ国(ブラジル、チリ、コロンビア、エストニア、ドイツ、イタリア、リトアニア、マレーシア、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、ウクライナおよび米国)の75施設で実施した。合計884例の患者をスクリーニングし、484例を4つの投与群のうちの1つに無作為に割り付けた(161例をリキシセナチド2段階漸増群、161例をリキシセナチド1段階漸増群、80例をプラセボ2段階漸増群、82例をプラセボ1段階漸増群に割り付けた)。スクリーニング時脱落の主な理由は、スクリーニング来院時のHbA1c値が治験実施計画書に定義された範囲外であったということであった(スクリーニング例884例中257例[29.1%])。
無作為化例484例のうち、482例に試験治療を実施し、解析に含めた。2例(各プラセボ群1例)は誤って無作為化されたため、いずれの試験治療も実施されなかった。有効性および安全性解析の両方から両例を除外した。無作為化後に治験薬を投与したこの482例のうち、ベースライン後の有効性データの欠如のために5例(リキシセナチド2段階漸増群1例、リキシセナチド1段階漸増群3例、およびプラセボ1段階漸増群1例)を有効性解析のためのmITT集団から除外した。表1は、各解析対象集団に含めた患者の数を示したものである。
Figure 0006121403
6.1.2 試験での内訳
表2は各投与群の患者の内訳の要約を示している。全投与期間中、103例(21.3%)が試
験治療を早期に中止した。試験治療を中止した患者の割合は、リキシセナチド2段階漸増群(24.8%)の方が、リキシセナチド1段階漸増群(18.6%)および併合プラセボ群(20.4%)より高かった。リキシセナチド投与群における投与中止の主な理由は、「有害事象」(リキシセナチド2段階漸増群11.8%およびリキシセナチド1段階漸増群8.7%に対し、併合プラセボ群6.2%)であり、次いで「その他の理由」(9.9%および7.5%に対し、併合プラセボ群9.9%)であった。主要な24週間投与期間でも同様の結果が認められ、合計40例(8.3%)が試験治療を早期に中止したが、リキシセナチド投与群では同じく「有害事象」がその主な理由であった(2段階漸増群6.8%および1段階漸増法5.0%に対し、併合プラセボ群1.9%)。全投与期間における、いずれかの理由による投与中止までの期間を図3に示した。最初の6ヵ月間は2つのリキシセナチド群間で同様の中止傾向が認められたが、それに比べて併合プラセボ群の中止率は若干低かった。6ヵ月後、リキシセナチド1段階漸増群が併合プラセボ群と同様の傾向を示したのに対し、リキシセナチド2段階漸増群は依然として高率のままであった。
AEのために投与を中止したプラセボ2段階漸増投与例4例のうち(表2)、1例は、CRF「投与終了時(End of treatment)」に最終投与日の記載がなかったためにSAPデータ取扱規約により試験治療後AEと分類された有害事象により投与を中止し、3例はTEAEを発現して投与を中止した(表16)。
Figure 0006121403
Figure 0006121403
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6.1.3 人口統計学的特性およびベースライン特性
安全性解析対象集団の人口統計学的特性および患者のベースライン特性は、プラセボ投与例がリキシセナチド投与例より若干年齢が高かったことを除き、全ての投与群にわたって概ね類似していた(表3)。治験対象集団の年齢の中央値は57.0歳であった。患者の大半はコーカソイド/白人(90.2%)であった。
糖尿病既往などの疾患特性は、2型糖尿病の平均発症年齢がlixiseantide投与例よりプラセボ投与例で若干高かったことを除き、全ての投与群にわたって概ね類似していた(表4)。
安全性解析対象集団のベースラインのHbA1c、FPG、および体重は、全ての投与群にわたって概ね類似していた(表5)。
Figure 0006121403
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6.1.4 用量および投与期間
平均曝露期間は全ての投与群にわたって同程度であった(併合プラセボ群552.8日間(7
9.0週間)、リキシセナチド2段階漸増群518.6日間(74.1週間)、およびリキシセナチド1段階漸増群538.1日間(76.9週間)(表6)。安全性解析対象例482例のうち、439例(併合プラセボ群の93.8%、リキシセナチド2段階漸増群の88.2%、およびリキシセナチド1段階漸増群の91.3%)は少なくとも169日間(24週間)、および298例(併合プラセボ群の63.8%、リキシセナチド2段階漸増群の59.0%、およびリキシセナチド1段階漸増群の62.7%)は少なくとも547日間(18ヵ月)の投与を受けた。2例(各プラセボ群1例)はCRF「投与終了時」に最終投与日が記録されていなかったため、この2例の投与期間は、SAPデータ取扱規約に従って欠測とした。
リキシセナチド2段階漸増群では、二重盲検投与終了時、漸増終了時および24週間二重盲検投与期間終了時に141例(87.6%)が目標1日量20 μgに達していた(表7、表8および表9)。リキシセナチド1段階漸増群では、二重盲検投与終了時、漸増終了時および24週間二重盲検投与期間終了時にそれぞれ、147例(91.3%)、150例(93.2%)、および150例(93.2%)が目標1日量20 μgに達していた(表7、表8および表9)。併合プラセボ群では、二重盲検投与終了時、漸増終了時および24週間二重盲検投与期間終了時にそれぞれ、156例(97.5%)、155例(96.9%)、および156例(97.5%)が目標1日量20 μgに達していた(表7、表8および表9)。
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6.2 有効性
6.2.1 有効性主要評価項目
主要解析
表10は、有効性の主要パラメータ(ベースラインからWeek 24(LOCF)までのHbA1cの変化量)の結果を、ANCOVA分析法を用いて要約したものである。
事前に定めた本主要解析では、併合プラセボ群と比べ、両リキシセナチド群がベースラインからWeek 24までの統計学的有意なHbA1c低下を示したことが示された(リキシセナチド2段階漸増群については、LS平均値の差=-0.41%;p値<0.0001;リキシセナチド1段階漸増群については、LS平均値の差=-0.49%;p値<0.0001)。
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図4は、HbA1cのベースラインからの平均(±SE)変化量の推移を主要な24週間二重盲検投与期間にわたって示したものである。付録の図7には、HbA1cのベースラインからの平均(±SE)変化量の推移をWeek 76までの期間にわたって示している。HbA1c低下は、24週間以降も比較的維持された。
副次的解析
表11は、Week 24にそれぞれHbA1c ≦6.5%またはHbA1c <7%の治療効果を示した患者の割合を要約したものである。治療効果は、リキシセナチド投与群間では同程度であった。CMH法を用いたHbA1cレスポンダーの解析では、各リキシセナチド群と併合プラセボ群との比較で有意な治療効果の差が示された (Week 24のHbA1c ≦6.5%については、リキシセナチド2段階漸増群の比較でp値=0.0009およびリキシセナチド1段階漸増群の比較でp値 <0.0001;Week 24のHbA1c <7%に関しては、リキシセナチド2段階漸増群の比較でp値=0.0005およびリキシセナチド1段階漸増群の比較でp値 < 0.0001)。
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6.2.2 有効性副次的評価項目
表12および表13は、それぞれFPGおよび体重に関するANCOVA解析を要約したものである。図5および図6は、それぞれFPGおよび体重のベースラインからの平均(±SE)変化量の推移を主要な24週間二重盲検投与期間にわたって示したものである。ベースラインからWeek 76までのFPGおよび体重の平均(±SE)変化量の推移については、それぞれ付録の図8および図9に示している。
FPGについては、どちらのリキシセナチド投与群も、併合プラセボ群と比べ、ベースラインからWeek 24までの統計学的有意な低下を示した(リキシセナチド2段階漸増群については、LS平均値の差=-0.67 mmol/Lおよびp値= 0.0004;リキシセナチド1段階漸増群に
ついては、LS平均値の差=-0.65 mmol/Lおよびp値= 0.0007)。
体重のLS平均値のベースラインからの変化量はWeek 24時点で、リキシセナチド2段階漸増群-2.68 kg、リキシセナチド1段階漸増群-2.63 kg、および併合プラセボ群-1.63 kgであり、どちらのリキシセナチド群についても併合プラセボ群との比較で統計学的有意差が認められた (リキシセナチド2段階漸増群については、 LS平均値の差=-1.05 kgおよびp値0.0025;リキシセナチド1段階漸増群については、LS平均値の差=-1.00 kgおよびp値0.0042)。
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リキシセナチド2段階漸増投与例の25.8%、リキシセナチド1段階漸増投与例の19.6%、およびプラセボ投与例の15.2%は、ベースラインからWeek 24までの体重減少が5%以上であった(表14)。両リキシセナチド投与群では、主要な24週間投与期間以降も体重が減少し続けた(図9)。
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どちらのリキシセナチド投与群(2段階漸増群3.1%および1段階漸増群1.3%)も、主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合が併合プラセボ群(4.4%)と比べて若干低かった(表15)。主要な24週間二重盲検投与期間中に救援治療を受けた患者の発生率が低かったため、各リキシセナチド群と併合プラセボ群との間に明らかな有意差は認められなかった。
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6.3 安全性
試験全体の投与実行中に認められた有害事象の概要を表16に示した。TEAEを発現した患者の割合は、全ての投与群にわたって同程度であった(リキシセナチド2段階漸増群87.6%、リキシセナチド1段階漸増群85.7%、および併合プラセボ群86.3%)。5例(リキシセナチド2段階漸増群1例、リキシセナチド1段階漸増群2例、併合プラセボ群2例)が投与実行期間中に、死亡に至ったTEAE を発現した。59例は試験全体の投与実行期間中に重篤なTEAEを少なくとも1つ発現し、その発現率は、リキシセナチド2段階漸増群(13.0%)と併合プラセボ群(13.8%)との間で同程度であったが、リキシセナチド1段階漸増群(9.9%)では若干低かった。投与中止に至ったTEAEを発現した患者の割合は、リキシセナチド投与群(2段階漸増群11.8%;1段階漸増群8.7%)の方が併合プラセボ群(5.6%)より若干高かった。各リキシセナチド群間では、1段階漸増群の方が2段階漸増群より投与中止に至ったTEAEの発現率が若干低かった。表17、表18、および表19はそれぞれ、死亡に至ったTEAE、重篤なTEAE、および投与中止に至ったTEAEをプライマリーSOC、HLGT、HLTおよびPTごとに要約したものである。投与中止に至った最も一般的なTEAEは、どちらのリキシセナチド投与群においても悪心であった(各リキシセナチド群6例[3.7%])。併合プラセボ群では、悪心のために投与を中止した患者はいなかった。
付録の表28は、試験全体の投与実行中に、併合プラセボ群または各リキシセナチド群のいずれかの1%以上の患者に発現したTEAEの発現率を示している。悪心は、どちらのリキシセナチド群においても最も高頻度に報告されたTEAEであった(リキシセナチド2段階漸増群で62例[38.5%]およびリキシセナチド1段階漸増群で47例[29.2%])。プラセボ投与例では13例(8.1%)が悪心を報告した。リキシセナチド投与例で2番目に高頻度に報告されたTEAEは嘔吐(リキシセナチド2段階漸増群で29例[18.0%]およびリキシセナチド1段階漸増群で21例[13.0%])であり、次いで 頭痛(リキシセナチド2段階漸増群で23例[14.3%]およびリキシセナチド1段階漸増群で20例[12.4%])および下痢(リキシセナチド2段階漸増群で24例[14.9%]およびリキシセナチド1段階漸増群で16例[9.9%])であった。当該患者数は、併合プラセボ群では嘔吐1例(0.6%)、頭痛20例(12.5%)、および下痢21例(13.1%)であった。
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試験全体の投与実行期間中、リキシセナチド2段階漸増群12例(7.5%)およびリキシセ
ナチド1段階漸増群6例(3.7%)が治験実施計画書に定義された症候性低血糖イベントを発現したのに対し、プラセボ投与例では同一期間中に12例(7.5%)が症候性低血糖イベントを発現した(表20)。これらの症候性低血糖イベントはいずれも重度ではなかった。その他1例(プラセボ2段階漸増群)が、「症候性低血糖症」に関する特定AEページに記載された1つの症候性低血糖イベントを報告したが、本イベントは治験実施計画書に定められた定義に合致しなかった(すなわち、当該血糖値≧60 mg/dL)。
各リキシセナチド群9例(5.6%)および併合プラセボ群3例(1.9%)が注射部位反応AEを発現した(表21)。これらの注射部位反応AEは、治験責任医師の報告語からコードされたPTまたはアレルギー反応判定におけるARAC診断から得られたPTのいずれかに含まれていた用語「注射部位」を検索することにより特定された。これらの反応のいずれも重篤または重度ではなかった。
合計30件のイベントが、試験全体の投与実行期間中に各治験責任医師によりアレルギーイベントの疑い(possible allergic event)として報告され、判定のためARACに回された。このうち、15例(リキシセナチド2段階漸増投与例6例[3.7%]、リキシセナチド1段階漸増投与例3例[1.9%]、およびプラセボ投与例6例[3.8%])からの16件のイベントがARACによってアレルギー反応と判定されたが、IPと関連があるかもしれないと判定されたのは2件(各リキシセナチド群1件)のアナフィラキシー反応のイベントのみであった(表22)。
患者番号276303004(リキシセナチド1段階漸増)は、アレルギーの個人歴または家族歴はなく、無作為に割り付けられた治験薬の初回投与30分後に皮膚反応を発現した。本イベントは「アレルギー性発疹」として報告され、PT「アレルギー性皮膚炎」にコードされた。当該IP投与は永続的に中止された。抗ヒスタミン薬およびステロイドによる是正治療(Corrective treatment)が行われ、本イベントは同日回復した。本イベントはARACにより、当該IPと関連があるかもしれないアナフィラキシー反応と判定された。
患者番号642307010(リキシセナチド2段階漸増)は、アレルギーの個人歴または家族歴はなく、IP投与開始5.5ヵ月後のIP投与数秒後に悪心および浮動性めまい、次いで皮膚反応を発現した。本イベントは低血圧も伴っていた。本イベントは「アレルギー性皮膚炎」として報告され、PT「アレルギー性皮膚炎」にコードされた。本イベント後に当該IP投与は永続的に中止された。抗ヒスタミン薬およびステロイド薬による是正治療が行われ、本イベントは翌日回復した。本イベントはARACにより、当該IPと関連があるかもしれないアナフィラキシー反応と判定された。
治験実施計画書によれば、正常範囲上限(ULN)の2倍を超える、確認されたアミラーゼおよび/またはリパーゼ増加は全てモニターするとともに、特定書式である「膵炎の疑いに関する有害事象報告書」に記録することになっていた。試験全体の投与実行期間中、各リキシセナチド群4例(2.5%)および併合プラセボ群5例(3.1%)が本報告書に記載された(表23)。本治験で膵炎の症例は認められなかった。
投与実行期間中にリパーゼまたはアミラーゼ値が少なくとも1回、3 ULN以上となった患者を表24に要約した。合計17例(リキシセナチド2段階漸増群8例[5.0%]、リキシセナチド1段階漸増群5例[3.1%]、および併合プラセボ群4例[2.5%])でリパーゼ値の上昇(3ULN以上)が認められた。アミラーゼ値の上昇は、リキシセナチド1段階漸増群の1例(0.6%)で認められ、リキシセナチド2段階漸増群および併合プラセボ群では認められなかった。
治験実施計画書によれば、20 pg/mL以上であることが確認されたカルシトニン値は全てモニターするとともに、「20 pg/mL以上のカルシトニン増加」に関する特定有害事象報告書で報告することになっていた。試験全体の投与実行期間中、各リキシセナチド群1例(0.6%)および併合プラセボ群1例(0.6%)が本報告書に記載された(表25)。この3例中2例(各リキシセナチド群1例)は、カルシトニン値が20 ng/L以上であったが50 ng/Lには至らず、PTは「血中カルシトニン増加」であった。両例について、甲状腺超音波スキャンおよび専門医評価からなる当該治験実施計画書推奨の精密検査を実施したところ、結果は正常であった。残りの1例(プラセボ2段階漸増群)は、カルシトニン値が50 ng/L以上であり、PTは「甲状腺癌」であった。本患者はリンパ節転移を来たした髄様甲状腺癌と診断され、治験責任医師により当該IPと関連なしと評価された。
リキシセナチド2段階漸増群2例(1.4%)、リキシセナチド1段階漸増群2例(1.3%)、および併合プラセボ群4例(2.5%)は、投与実行期間中にカルシトニン値が少なくとも1回、20 ng/L以上となった(表26)。これらの患者のうち、前段落に記述した患者の加え、他の2例(リキシセナチド1段階漸増群1例および併合プラセボ群1例)がIP投与中止後に有害事象を発現し、「20 pg/mL以上のカルシトニン増加」に関する特定有害事象報告書で報告された。本リキシセナチド投与例では、IP投与中止5.5ヵ月後に「高レベルのカルシトニン」が報告され、2.5ヵ月後に実施された甲状腺超音波スキャンによって甲状腺結節が判明した。本プラセボ例では、IP投与中止7ヵ月後に「間欠性のカルシトニン増加」が報告された。甲状腺超音波スキャンおよび専門医評価を1ヵ月後に行ったところ、結果は正常であった。本治験では、大半の患者が既に無作為化された後の治験実施計画書改訂によりカルシトニン測定が履行されたことに注意されたい。したがって、カルシトニンのベースライン値は大半の患者で欠測している。
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7 付録
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実施例2
メトホルミンでは十分にコントロールされていない50歳未満の肥満2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの有効性および安全性をシタグリプチンと比較し評価する、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、2治療群並行群間、国際共同試験
本例は、メトホルミンでは十分にコントロールされていない50歳未満の肥満2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの有効性および安全性をシタグリプチンと比較し評価する、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、2治療群並行群間、国際共同試験である。各患者の試験実施期間はおよそ27週間(最長3週間のスクリーニング期間+24週間の二重盲検投与期間+3日間のフォローアップ期間)であった。試験は13ヵ国92試験で実施した。本試験の主要目的は、複合評価項目である血糖コントロール(グリコヘモグロビンA1c[HbA1c])と体重におけるリキシセナチドの有効性を24週間にわたってシタグリプチンと比較し評価することであった。
合計319例の患者を2つの投与群のうちの1つに無作為に割り付けた(158例をリキシセナチド群および161例をシタグリプチン群に割り付けた)。全無作為化例に試験治療を実施し、modified intent-to-treat(mITT)集団に含めた。人口統計学的特性およびベースライン特性は、リキシセナチド群の方が女性が多かったことを除き、投与群間で概ね類似していた。試験治療期間中、27例(8.5%)が試験治療を早期に中止し、その割合はリキシセナチド群(10.1%)の方がシタグリプチン群(6.8%)より高かった。リキシセナチド群における投与中止の主な理由は、「その他の理由」(7例[4.4%]に対し、シタグリプチン群5例[3.1%])であり、次いで「有害事象」(4例[2.5%]に対し、シタグリプチン群5例[3.1%])であった。
Week 24にHbA1c <7%を示し、かつWeek 24にベースラインの体重の少なくとも5%の体重減少を呈した患者の割合(有効性主要評価項目)は、リキシセナチド群(12.0%)の方がシタグリプチン群(7.5%)より高かった。リキシセナチド群の奏効率が予想を下回ったため、この治療効果の差は統計学的有意とはならなかった(Cochran-Mantel-Haenszel[CMH]法を用いた主要解析に基づいた場合、シタグリプチンと比較したときの奏効率の重み付平均差= 4.6%;p値= 0.1696)。ロジスティック回帰モデルを使用した指示的解析でも、一貫した結果(p値= 0.1160)が示された。Week 24にHbA1c <7%であったのは、リキシセナチド群合計61例(40.7%)に対してシタグリプチン群64例(40.0%)、HbA1c ≦6.5%であったのは、リキシセナチド群36例(24.0%)に対してシタグリプチン群42例(26.3%)であった。ベースラインからWeek 24までの体重減少が5%以上であった患者は、リキシセナチド投与群(28例[18.4%])の方がシタグリプチン群(19例[11.9%])より多かった。
リキシセナチド投与例はシタグリプチン投与例より有意に大きな体重減少を呈した(LS平均値の差 -1.34 kg;95% CI[-2.101;-0.575])。ベースラインからWeek 24までのHbA1cの平均変化量は、リキシセナチド群およびシタグリプチン群で同程度であり、LS平均値はそれぞれ-0.66%および-0.72%であった。リキシセナチド投与は、食後2時間血糖値(2時間PPG)評価(LS平均値の差 -1.91 mmol/L;95% CI[-2.876;-0.941])および血糖変動(LS平均値の差-2.13 mmol/L;95% CI[-2.819;-1.434])の結果で示されるように、シタグリプチンと比べて食後血糖コントロールを有意に改善した。HbA1c、空腹時血糖値(FPG)、HOMA-IRによって評価されるインスリン抵抗性およびHOMA-βによって評価されるβ細胞機能に関する、ベースラインからWeek 24までの変化量について、リキシセナチド投与群とシタグリプチン投与群との間に有意差は認められなかった。救援治療を必要とした患者の割合は、リキシセナチド群9.5%およびシタグリプチン群6.8%であり、両投与群間に有意差は認められなかった。
リキシセナチドは忍容性が良好であった。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、リキシセナチド投与例の方がシタグリプチン投与例より若干高かった(リキシセナチドで63.9%に対し、シタグリプチンでは60.9%)。6例(各群3例[1.9%])が重篤なTEAEを発現した。本試験で死亡の報告はなかった。リキシセナチド投与例で最も一般的に報告されたTEAEは悪心(リキシセナチド投与例17.7% に対し、シタグリプチン投与例6.8%)であり、次いで頭痛(リキシセナチド投与例12.7%に対し、シタグリプチン投与例9.3%)であった。投与実行期間中に、リキシセナチド投与例では1例(0.6%)が治験実施計画書に定義された症候性低血糖イベントを1件発現したのに対し、シタグリプチン群では3例(1.9%)が3件のイベントを発現した。これらの症候性低血糖イベントのいずれも、治験実施計画書の定義による重度ではなかった。合計3例(リキシセナチド群2例[1.3%]およびシタグリプチン群1例[0.6%])が3件のイベントを報告し、アレルギー反応評価委員会(Allergic Reaction Assessment Committee:ARAC)によってアレルギー反応と判定されたが、治験薬と関連があるかもしれないと判定されたのはリキシセナチド投与例からのイベント1件(アナフィラキシー反応)のみであった。本試験で膵炎症例の報告はなかった。
1 目的
1.1 主要目的
本試験の主要目的は、メトホルミン単独では十分にコントロールされていない50歳未満の肥満2型糖尿病患者を対象とし、メトホルミンへの追加併用療法としてのリキシセナチドの、複合評価項目である血糖コントロール(HbA1c)および体重における有効性を、24週間にわたってシタグリプチンと比較し評価することであった。
1.2 重要な副次的目的
本試験の副次的目的は以下の通りであった:
・以下の項目に対するリキシセナチドの効果を評価すること:
− HbA1c値および体重の絶対変化量
− 空腹時血糖値(FPG)
− 2時間の標準化食事負荷試験中の血糖値、インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、およびプロインスリン
− HOMA-IRによって評価されるインスリン抵抗性
− HOMA−βによって評価されるβ細胞機能
・リキシセナチドの安全性および忍容性を評価すること
・抗リキシセナチド抗体の発現を評価すること
2 治験デザイン
本試験は、リキシセナチド投与例150例およびシタグリプチン投与例150例を対象として計画された、二重盲検、ダブルダミー、無作為化、実薬対照、2治療群並行群間、多施設共同、国際共同試験であった。本試験は投与群に関して二重盲検とした。治験薬の量(すなわち、実薬または対応するプラセボの用量)は盲検化しなかった。
患者は、グリコヘモグロビンA1c(HbA1c)(<8%、≧8%)およびボディ・マス・インデックス(BMI)(<35 kg/m2、≧35 kg/m2)のスクリーニング値によって層別した。スクリーニング期間後、自動音声応答システム(IVRS)を介して中央で患者をリキシセナチドまたはシタグリプチンのいずれかに、1:1の比率で無作為に割り付けた。
本試験は3つの期間で構成された:1)最長で2週間のスクリーニング期および1週間の単盲検プラセボランイン(run-in)期を含む、最長3週間のスクリーニング期間;2)24週間の二重盲検、ダブルダミー、実薬対照投与期間;3)投与の永続的中止後の全患者(早期に試験治療を中止した患者を除く)に対する3日間の投与後フォローアップ期間。
治験実施計画書改訂1(2009年6月30日付)に従い、試験治療を早期に中止した患者は引き続きWeek 24の最終評価まで本試験に留まった。それらの患者については、当該治験実施計画書改訂に明記された試験手順に従いフォローアップを行った(食事負荷試験および3日間の安全性に関する投与後フォローアップは除く)。
3 主要評価項目および重要な副次的評価項目
3.1 主要評価項目
有効性主要変数は、Week 24にHbA1c <7%を示し、かつWeek 24にベースラインの体重の少なくとも5%の体重減少を呈した患者の割合とした。
患者が24週間二重盲検投与期間中に早期に投与を中止した、またはWeek 24のHbA1c値もしくは体重値を有していなかった場合、本24週間投与期間中の最後のベースライン後投与実行 HbA1c値または体重測定値をそれぞれWeek 24のHbA1cまたは体重の計算に使用した(Last Observation Carried Forward[LOCF]法)。最後のベースライン後投与実行 HbA1c値および体重値が互いに30日超間隔を空けて測定されていた場合には、間隔が30日を超えない最後のベースライン後投与実行値(HbA1cおよび体重)をWeek 24の複合評価項目に使用した。本24週間投与期間中に、間隔が30日を超えないベースライン後投与実行値(HbA1cおよび体重)を有していなかった患者は、複合評価項目についてノンレスポンダーとして計数した。本24週間投与期間中に救援治療を受けた患者については、いずれの患者についても救援治療施行前の最後のベースライン後投与実行 HbA1c値および体重測定値をWeek 24のHbA1cおよび体重として使用した。
3.2 重要な副次的評価項目
3.2.1 有効性評価項目
有効性副次変数については、有効性主要変数に用いた手順と同じ手順を用いて欠測/早期中止を取り扱った。すなわち、LOCF法を用い、最後の利用可能なベースライン後投与実行測定値(救援治療を実施した場合は、その救援治療薬の使用前)をWeek 24の値とみなした。
連続変数
・ベースラインからWeek 24までのHbA1c(%)の絶対変化
・ベースラインからWeek 24までの体重(kg)の絶対変化量
・ベースラインからWeek 24までの、標準化食事負荷試験後の食後2時間血糖値(mmol/L)の変化量
・ベースラインからWeek 24までのFPG (mmol/L)の変化量
・ベースラインからWeek 24までの、標準化食事負荷試験における血糖変動の変化量(食後2時間血糖値−治験薬投与前の食事負荷試験30分前血糖値)(mmol/L)
・ベースラインからWeek 24までの、空腹時(治験薬投与前の食事負荷試験30分前)および標準化食事負荷試験における食後2時間後に収集した以下の変数の変化量:インスリン(pmol/L)、C−ペプチド(nmol/L)、グルカゴン(ng/L)、プロインスリン(pmol/L)、プロインスリン/インスリン比
・ベースラインからWeek 24までの、HOMA-IRによって評価されるインスリン抵抗性の変化量
・ベースラインからWeek24までの、HOMA-βによって評価されるβ細胞機能の変化量
カテゴリ変数
・Week 24にHbA1c <7%であった患者の割合
・Week 24にHbA1c ≦6.5%であった患者の割合
・二重盲検投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合
・ベースラインからWeek 24までの体重減少(kg)が5%以上であった患者の割合
3.2.2 安全性評価項目
安全性解析は、報告されたTEAEに加え、症候性低血糖症および重度の症候性低血糖症、注射部位の局所忍容性、アレルギーイベント(ARACにより判定された)、膵炎の疑い、カルシトニン増加、バイタルサイン、12誘導ECGおよび臨床検査などの他の安全性情報に基づいた。
また主要心血管イベントも収集され、心血管イベント判定委員会(CAC)によって判定された。CACによって判定および確認された、本試験(もしあれば)および他のリキシセナチド第3相試験からのイベントは、心血管に関するリキシセナチドの全般的評価のための統計解析計画書に基づき、プールして解析するとともに別の報告書に要約する。有効結果メモ(KRM)/治験総括報告書(CSR)では、判定および確認された、本試験からの心血管イベントの要約は提示しない。
4 症例数計算の仮定
症例数の計算は、有効性主要評価項目である、Week 24にHbA1c <7%を示し、かつWeek 24にベースラインの体重の少なくとも5%の体重減少を呈した患者の割合に基づいた。本計算は、HbA1c(<7%)および体重(少なくとも5%の減少)でレスポンダーと定義される患者の割合がリキシセナチドで25%およびシタグリプチンで10%であると仮定するとともに、有意水準5%の両側検定を仮定した。
症例数300例(各群150例)は、Week 24のHbA1c(<7%)および体重(少なくとも5%の減少)でレスポンダーと定義される患者の割合において、リキシセナチドのシタグリプチンに対する優越性を、90%の検出力で実証するに十分であると考えられた。
5 統計手法
5.1 解析対象集団
二重盲検治験薬(IP)を少なくとも1回投与された全無作為化例でmodified intent-to-treat(mITT)集団を構成した。患者は無作為に割り付けられた投与群で解析された。
安全性解析対象集団は、二重盲検IPを少なくとも1回投与された全無作為化例と定義した。
5.2 有効性の主要解析
有効性主要変数(Week 24にHbA1c <7%を示し、かつWeek 24にベースラインの体重の少なくとも5%の体重減少を呈した患者の割合)は、スクリーニング時HbA1cによる無作為化の層(<8%、≧8%)およびスクリーニング時BMIによる無作為化の層(<30 kg/m2、≧30 kg/m2)で層別したCochran-Mantel-Haenszel (CMH)検定を用いて解析した。p値は、PROC FREQからのCMH検定に基づいた。割合における治療効果の差(リキシセナチドをシタグリプチンンと比較)の点推定値および関連する95%信頼区間(CI)は、CMH型の重みを用い、各層からの治療効果の重み付平均差に基づいて得た。
ある層のあるセルにイベントがない場合、分散の計算についてのみ当該層に連続補正を行った(すなわち、2 × 2表の各セルに0.5を加えた)。治療効果の重み付平均差の推定には、連続補正を適用しなかったことに留意されたい。全体的な差の95% CIを求めるための分散の推定には連続補正を適用した。
有効性主要変数の主要解析は、mITT集団および投与実行期間中に得られた、有効性変数の測定値に基づき実施した。有効性変数(食事負荷試験から得られる有効性変数を除く)のための投与実行期間は、二重盲検IP(リキシセナチドまたはシタグリプチン)初回投与から二重盲検IP最終投与の3日(中央検査室によるFPGは例外で、1日)後まで、または救
援治療導入までのいずれかの早い方までの期間と定義した。食後2時間血糖、インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、プロインスリン、血糖変動、HOMA指数、およびプロインスリン/インスリン比などの、食事負荷試験から得られる有効性変数のための投与実行期間は、二重盲検IP(リキシセナチドまたはシタグリプチン)初回投与から二重盲検IP最終投与日まで、または救援治療導入までのいずれか早い方までの期間と定義した。
LOCF法は、互いの間隔が30日を超えていない、最後の利用可能なベースライン後投与実行値(救援治療導入前のHbA1cおよび体重)をWeek 24の複合評価項目とみなすことにより用いた。このような値を有していない患者は、複合主要評価項目に関してノンレスポンダーとして計数した。
5.3 有効性の重要な副次的解析
いずれの有効性副次変数についても多重性の調整は行わなかった。
3.2.1項で述べた全ての有効性副次変数(連続変数)は、治療群(リキシセナチドおよびシタグリプチン)、スクリーニング時HbA1cによる無作為化の層(<8.0、≧8.0%)、スクリーニング時BMIによる無作為化の層(<35 kg/m2、≧35 kg/m2)、および国を固定効果とし、対応するベースライン値を共変量とした共分散分析(ANCOVA)モデルによって解析した。リキシセナチドとシタグリプチンとの治療効果の平均差(調整推定値)および両側95%信頼区間を得た。
以下の有効性副次変数(カテゴリ変数)については、投与群ごとに要約統計量を提示した:
・Week 24にHbA1c <7.0%であった患者の割合、
・Week 24にHbA1c ≦6.5%であった患者の割合、
・24週間の投与期間中に救援治療を必要とした患者の割合、
・Week 24にベースラインからの体重減少(kg)が5%以上であった患者の割合。
5.4 安全性解析
安全性解析は主に投与実行期間に基づいた。投与実行期間は、二重盲検IP(リキシセナチドまたはシタグリプチン)の初回投与から、救援治療の有無に関わらず、IP最終投与3日後までの期間と定義した。この3日間という間隔は、当該IPの半減期に基づいて決定した(半減期の約5倍)
安全性解析の結果の要約(記述統計量または度数分布表)は投与群ごとに示した。
6 結果
6.1 治験対象患者
6.1.1 患者アカウンタビリティー
本試験は、13ヵ国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、ドイツ、グアテマラ、メキシコ、ペルー、ポーランド、ルーマニア、ロシア連邦、ウクライナおよび米国)の92施設で実施した。合計620例の患者をスクリーニングし、そのうち319例を2つの投与群のうちの1つに無作為に割り付けた。非無作為化の最も一般的な理由は、スクリーニング来院時のHbA1c値が治験実施計画書に定義された範囲外であったということであった(スクリーニング例620例中203例[32.7%])。
全無作為化例319例に試験治療を実施し、mITT集団に含めた。表29は、各解析対象集団に含めた患者の数を示したものである。
Figure 0006121403
6.1.2 試験での内訳
表30は各投与群の患者の内訳を要約したものである。無作為化例319例のうち、27例(8.5%)が試験治療を早期に中止し、その割合は、リキシセナチド群(16例:10.1%)の方がシタグリプチン群(11例:6.8%)より高かった。リキシセナチド群における投与中止の主な理由は、「その他の理由」(7例:4.4%に対し、シタグリプチン群では5例:3.1%)であり、次いで「有害事象」(4例:2.5%に対し、シタグリプチン群では5例:3.1%)であった。いずれかの理由による投与中止までの期間を図2に示した。投与中止の割合は、試験期間を通じてリキシセナチドの方が高かった。
Figure 0006121403
6.1.3 人口統計学的特性およびベースライン特性
安全性解析対象集団の人口統計学的特性および患者のベースライン特性は、リキシセナチド群(103例[65.2%])の方がシタグリプチン群(88[54.7%])より女性患者が多かったことを除き、2投与群間で概ね類似していた(表31)。年齢の中央値は44.0歳であった。本試験対象集団は主に白人(81.2%)であった。
Figure 0006121403
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糖尿病既往などの疾患特性は表32に示した。本試験対象集団の糖尿病罹患期間の中央値は3.31年、および糖尿病発症年齢の中央値は40歳であり、両投与群で同程度の数値であった。以下については数値に若干差が認められた: リキシセナチド群では、ベースラインのメトホルミン1日量の中央値が大きく(2000 mgに対し、シタグリプチンでは1700 mg)、妊娠糖尿病の既往を有する女性が多く(12.6%に対し、シタグリプチンでは6.8%)、ならびに、無作為化時にマクロアルブミン尿が認められた患者が多かったが(4.6%に対し、シタグリプチンでは1.9%)、リキシセナチド群では、糖尿病性感覚または運動ニューロパチーを伴う患者(12.2%に対し、シタグリプチンでは17.5%)および無作為化時にミクロアルブミン尿が認められた患者は少なかった(17.8%に対し、シタグリプチンでは26.4%)。
Figure 0006121403
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安全性解析対象集団におけるHbA1c、食後2時間血糖値(2時間PPG)、およびFPGは、2群間で同程度であった(表33)。ベースラインの平均HbA1c は8.12%であった。表31に示したように、ベースラインの平均体重は、リキシセナチド群(98.51 kg)の方がシタグリプチン群(100.56 kg)より少なかったが、ベースラインの平均BMIは2投与群で同じであった(36.76 kg/m2)。
Figure 0006121403
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6.1.4 用量および投与期間
平均曝露期間は、リキシセナチド群の方がシタグリプチン群より若干短く、リキシセナチド群ではリキシセナチドに160.2日間(22.9週間)曝露し(表34)、シタグリプチン群ではシタグリプチンに164.8日間(23.5週間)曝露した(表35)。両投与群ともに患者の大半が少なくとも85日間の投与を受けた(リキシセナチド群およびシタグリプチン群の、それぞれ90.5%および96.3%)。5例(リキシセナチド群4例およびシタグリプチン群1例)はCRFの「投与終了時」ページおよび「治験薬投与」ページに最終投与日の記録がなかったため、この5例の患者の曝露期間は、SAPデータ取扱規約に従って欠測とした。
シタグリプチン群(100%)に比べ、二重盲検投与終了時にリキシセナチド群(94.9%)でリキシセナチド(実薬または容量をマッチさせたプラセボ)目標1日量20 μgに達した患者の割合は低かった(表36)。
Figure 0006121403
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6.2 有効性
6.2.1 有効性の主要評価項目
主要解析
有効性の主要評価項目の結果として、24週時におけるHbA1cが<7%となり、かつ24週時に体重がベースラインから5%以上減少した患者の割合を、CMH法を用いて表37に要約する。
予め規定したCMH法に基づく主要解析では、24週時におけるHbA1cが<7%となり、かつ24週時に体重がベースラインから5%以上減少した患者の割合について、両投与群間に統計学的に有意な差は認められなかった(シタグリプチン群に対する応答率の差の加重平均=4.6%、p値=0.1696)。基準(応答率)に該当した患者の割合は、数値上はリキシセナチド群(12.0%)でシタグリプチン群(7.5%)より高かった。
Figure 0006121403
投与期間中の各来院時におけるHbA1cが<7%であり、かつ体重がベースラインから5%以上減少した患者の割合を図12に示す。
補助的解析
ロジスティック回帰モデルを用いた補助的解析では、有効性の主要評価項目の主要解析から得られた所見と一致する結果が示された(p値=0.1160)(表38)。
Figure 0006121403
6.2.2 その他の重要な有効性評価項目
HbA1c、体重、2時間PPG、FPG、グルコースエクスカーション、HOMA−IR、HOMA−βのANCOVAによる解析を本項に示す。図13、図15および図16は、それぞれHbA1c、体重、FGPについて、24週間二重盲検投与期間におけるベースラインからの経時的な平均変化量(±SE)を示している。図14は選択された来院時のHbA1cレスポンダー(それぞれ≦6.5%または7%)を示している。二重盲検投与期間にレスキュー薬を投与された患者の割合を表48に示す。
HbA1cについては、ベースラインから24週までのLS平均変化量はリキシセナチド群で−0.66%、シタグリプチン群で−0.72%であり、投与群間に有意差は認められなかった(シタグリプチン群に対するLS平均の差=0.06%、95%CI[−0.179;0.308])(表39)。HbA1cは12週後に両投与群で横ばいとなった(図13)。シタグリプチン群の64例(40.0%)に比してリキシセナチド群で合計61例(40.7%)が24週時にHbA1c<7%を達成し、シタグリプチン群の42例(26.3%)に比してリキシセナチド群の36例(24.0%)がHbA1c≦6.5%であった(表40)。
リキシセナチド投与により体重の有意な減少がもたらされた(シタグリプチン群に対するLS平均の差=−1.34kg、95%CI[−2.101;−0.575])(表41)。体重は、シタグリプチン群では16週後に横ばいとなったが、リキシセナチド群では継続的に減少した(図15)。リキシセナチド群(28例[18.4%])ではシタグリプチン群(19例[11.9%])に比して多くの患者でベースラインから24週までの体重減少が≧5%であった(表42)。
2時間PPG評価の結果、シタグリプチン群に比してリキシセナチド群でベースラインから24週までの有意な改善が示された(シタグリプチン群に対するLS平均の差=−1.91mmol/L、95%CI[−2.876;−0.941])(表43)。
FPGにおけるベースラインから24週までのLS平均変化量は、リキシセナチド群で−0.45mmol/L、シタグリプチン群で−0.69mmol/Lであり、投与群間に有意な差は認められなかった(シタグリプチンに対するLS平均の差=0.25mmol/L、95%CI[−0.254;0.744])(表44)。
ベースラインから24週時までのグルコースエクスカーションは、リキシセナチド投与により、シタグリプチン群に比して有意に減少した(シタグリプチン群に対するLS平均の差=−2.13mmol/L、95%CI[−2.819;−1.434])(表45)。
HOMA−IRによるインスリン抵抗性の評価では、ベースラインから24週までのLS平均変化量はリキシセナチド群で−0.52、シタグリプチン群で−0.57であり、投与群間に有意な差は認められなかった(シタグリプチン群に対するLS平均の差=0.05、95%CI[−0.823;0.918])(表46)。
HOMA−βによるβ細胞機能の評価では、ベースラインから24週までのLS平均変化量はリキシセナチド群で17.66、シタグリプチン群で17.79であり、投与群間に有意な差は認められなかった(シタグリプチン群に対するLS平均の差=−0.13、95%CI[−23.108;22.842])(表47)。
レスキュー薬投与を必要とした患者の割合は、リキシセナチド群で9.5%、シタグリプチン群で6.8%であり、両投与群間に有意な差は認められなかった(表48)。
Figure 0006121403
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6.3 安全性
投与期間中に観察された有害事象の概要を表49に示す。TEAEを発現した患者の割合は、リキシセナチド群でシタグリプチン群に比してわずかに高かった(リキシセナチド群63.9%:シタグリプチン群60.9%)。6例(各群に3例[1.9%])に重篤なTEAEが発現した。本試験では死亡は報告されなかった。投与中止に至ったTEAEを発現した患者の割合は各群で同様であった(リキシセナチド群2.5%、シタグリプチン群3.1%)。表50および表51に、重篤なTEAEおよび投与中止に至ったTEAEを、それぞれプライマリーSOC、HLGT、HLTおよびPT別に示す。
いずれかの投与群で少なくとも患者の1%に発現したTEAEの発現率を付録の表62に示す。悪心は、シタグリプチン群の11例(6.8%)に対してリキシセナチド群(28例[17.7%])で最も頻繁に報告されたTEAEであった。リキシセナチド群で2番目に頻繁に報告されたTEAEは頭痛(リキシセナチド群20例[12.7%]:シタグリプチン群15例[9.3%])であり、その次が下痢(リキシセナチド群14例[8.9%]:シタグリプチン群12例[7.5%])であった。
Figure 0006121403
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投与期間中にリキシセナチド群の1例(0.6%)が治験実施計画書で定義した症候性低血糖症を2件発現した。同期間中、シタグリプチン群では3例(1.9%)に症候性低血糖症が発現した(表52)。いずれの症候性低血糖症も治験実施計画書の定義による重症に該当しなかった。さらに3例(リキシセナチド群1例、シタグリプチン群2例)で低血糖症が報告されたが(表62)、これらは治験実施計画書の定義には該当しなかった(関連するグルコース値が≧60mg/dLであった)。
Figure 0006121403
11例(リキシセナチド群9例[5.7%]、シタグリプチン群2例[1.2%])に注射部位反応の有害事象が発現した(表53)。注射部位反応の有害事象は、医師記載用語から読み替えたPTまたはアレルギー反応確定後のARAC診断からのPTにおける用語「注射部位」の検索により特定した。重篤な反応および重度の反応は認められなかった。
Figure 0006121403
投与期間中に合計5件が、アレルギー事象の可能性があるとして治験責任医師により報告され、判定のためにARACに送られた。そのうち3例に発現した3件(リキシセナチド群2例[1.3%]、シタグリプチン群1例[0.6%])が、ARACによりアレルギー反応と判定されたが、IPと関連あるかもしれないと判定されたのはリキシセナチド群の1例(#320001015)に発現した1件(アナフィラキシー反応)のみであった(表54)。
・患者#320001015、48歳、閉経後の女性。高血圧および肥満の病歴があり、投与2日目、IP投与10分後に中等度のアレルギー反応を発現した(全身性そう痒症、胸部絞扼感を伴う、眼、顔、両手、両足の腫脹を発現した)。検査により、潮紅、蕁麻疹、および注射部位の腫脹も発現していることが指摘された。デキサメタゾンおよびクロルフェニラミンを投与した。30分後も改善が認められなかったため、救急治療室に運び、デキサメタゾン静脈内投与、エピネフリン皮下投与、および経鼻酸素吸入を行った。反応はこの治療後90分で消失し、本患者は合併症を併発することなく1時間後に退院した。IP投与はこのアレルギー反応の発現日に中止となった。この有害事象について、治験責任医師はリキシセナチド(またはそのプラセボ)と関連ありと判断したが、治験依頼者は関連性を否定した。ARACは本有害事象を「アレルギー反応(アナフィラキシー反応)」と判定した。5日後の後観察期来院時にはもはや反応は認められず、患者の体調は良かった。
Figure 0006121403
治験実施計画書により、正常値上限(ULN)の2倍を超えるアミラーゼおよびリパーゼの増加が反復測定により確認されたときは、これを観察し、「膵炎の疑い」用の事前に規定した有害事象フォームに記録することとした。投与期間中、このフォームはリキシセナチド群6例(3.8%)、シタグリプチン群2例(1.2%)に関して記入された(表55)。この8例のうち、PTではシタグリプチン群の1例が血中アミラーゼ増加、リキシセナチド群の6例およびシタグリプチン群の1例がリパーゼ増加であった。試験期間中に膵炎は報告されなかった。
Figure 0006121403
投与期間中にリパーゼまたはアミラーゼの値が少なくとも1回、≧3ULNであった患者の要約を表56に示す。合計5例(リキシセナチド群2例[1.3%]、シタグリプチン群3例[1.9%])にリパーゼ増加(≧3ULN)が観察された。投与期間中のアミラーゼ増加(≧3ULN)は認められなかった。
Figure 0006121403
治験実施計画書により、反復測定でカルシトニン値が≧20pg/mLであると確認されたときには、これを観察し、「カルシトニン増加≧20pg/mL」のための事前に規定された有害事象フォームに記録することとした。投与期間中、このフォームはシタグリプチン群の1例(0.6%)に関して記入された(表57)。PTは血中カルシトニン増加であり、カルシトニン値は22ng/mLであった。
Figure 0006121403
投与期間中に少なくとも1回血清カルシトニンを測定した患者の要約を、事前に定義したベースラインのカルシトニン値の4つのカテゴリに従って表58に示す。ベースラインのカルシトニン値が「≧20ng/L〜<50ng/L」であったリキシセナチド群の1例(0.7%)およびベースラインのカルシトニン値が「>ULN〜<20ng/L」であったシタグリプチン群の1例(0.6%)で、投与期間中に少なくとも1回、カルシトニン値が「≧20ng/L〜<50ng/L」であった。この2例のうち、シタグリプチン投与患者については事前に規定した有害事象フォームでTEAEが報告されたが(表57)、リキシセナチド投与患者についてはその後のカルシトニン値が<20ng/Lで増加が確認されなかったことから報告されなかった。
Figure 0006121403
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7 付録
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Claims (9)

  1. (a)desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩、ならびに
    (b)メトホルミンまたは/および薬学的に許容されるその塩
    を含み、
    治療される患者は、50歳より若く、食後2時間血漿グルコース濃度は少なくとも14mmol/Lであり、治療される患者は、少なくとも8%のHbA1c値を有し、治療される患者の肥満度指数は、少なくとも30kg/m2であり、治療される2型糖尿病は、メトホルミン単独では十分にコントロールされない、
    2型糖尿病患者の耐糖能を改善する際に使用するための組合せ医薬。
  2. 治療される対象は成人対象である、請求項1に記載の組合せ医薬。
  3. 治療される対象が、療法の開始の少なくとも1年前または少なくとも2年前に2型糖尿病と診断された、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
  4. 治療される対象のHbA1cは10%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
  5. 治療される対象の空腹時血漿グルコース濃度は少なくとも8mmol/Lである、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
  6. 治療される対象の、食後2時間血漿グルコース濃度と食事試験30分前の血漿グルコース濃度との差であるグルコース変動幅は、少なくとも2mmol/L、少なくとも3mmol/L、少なくとも4mmol/L、または少なくとも5mmol/Lである、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
  7. desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的
    に許容されるその塩は非経口投与用に調製される、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
  8. desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2または/および薬学的に許容されるその塩は、10μg〜20μgの範囲から選択される日用量での投与用に調製される、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
  9. メトホルミンまたは/および薬学的に許容されるその塩は経口投与用に調製される、請求項1〜のいずれかに記載の組合せ医薬。
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