JP6118018B2 - シュラウド漏洩カバー - Google Patents

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Description

本発明は、ターボ機械及び軸流圧縮機に関する。より具体的には、本発明は、ガスタービンエンジンの圧縮機におけるステータベーンの内側シュラウド領域に適用することができるシュラウド漏洩カバーに関連する。シュラウド漏洩カバーは、ステータベーンの前縁上への漏洩空気の直接的衝突を防いで、それにより生じる圧縮機性能の低下を防止する。
ガスタービンエンジンは、車両及び発電装置用の多種多様な機械的駆動装置に動力供給するために使用されてきた。ガスタービンエンジンの運転は、3段階のプロセスにまとめることができ、それらプロセスでは、空気が、回転圧縮機内で加圧され、燃焼チャンバ内で加熱されかつタービンを通して膨張する。タービンの出力は、圧縮機及び駆動装置に連結されたあらゆる機械的負荷を駆動するために使用される。軸流圧縮機は、その周辺部に翼形部を支持した複数の環状ディスク部材を含む。ディスク部材の幾つかは、内側ロータに取付けられ、従って回転(ロータ)ブレード組立体であり、一方、その他のディスク部材は、外側ケーシングから垂下し、従って固定(ステータ)ブレード又はベーン組立体である。翼形部又はブレードは、圧縮機の入口に流入する流体(空気)に作用しかつ該空気を連続的流れ燃焼システムに導く準備としてその温度及び圧力を上昇させる。ステータベーンは、回転ブレード組立体から流出する空気を再配向しかつ拡散させて後続の回転ブレード組立体に最適な方向にする。圧縮機の入口に流入する空気は、圧縮機の吐出端部における空気よりも全体圧力が低い状態にあり、この全体圧力の差は、圧縮機圧力比として知られている。内部では、拡散及び速度低下によりステータベーンにわたり静圧上昇が発生する。
主として特定のエンジンで使用するサイクルの設計パラメータを処置しなければならない幾つかの理由で、ステータベーン組立体の入口側における主空気流れ内に戻るその経路が明確に存在することは、ステータベーン組立体の吐出側におけるより高い静圧及びより高い静温度にとって望ましくない。ベーン組立体入口における比較的低静圧領域に戻るこの空気は、漏洩空気と呼ばれかつエンジン効率の低下を引き起こす。従って、圧縮機内の空気の漏洩は、圧縮機自体の効率のみならず、タービンエンジン運転の全体効率もまた低下させる。
圧縮機段のステータベーン組立体の半径方向内側に連結されたラビリンスシール及び内側ロータに対するシールが、長い間にわたって、該ステータベーン組立体の周りの主作動流体通路近くにおける漏洩流れを防止する手段として使用されてきた。ラビリンスシールの使用にも拘わらず、幾らかの漏洩が発生し、この漏洩空気は、例えばステータベーン組立体の半径方向内側端部及びロータに連結されたラビリンスシール間に存在する通路を介してステータベーン組立体の下流側における高静圧からステータベーン組立体の上流側における低静圧に移動する。ステータベーン組立体の上流側に移動した後に、漏洩空気は、該ステータベーン組立体及び隣接するロータ組立体間に存在する空洞内を半径方向外向きに移動する。この漏洩空気が取る半径方向通路は、圧縮機の作動流体流れ通路を通り抜ける空気の速度及び軸方向成分を減少させる傾向を有しかつ抽出空気の量を増大させてさらにエンジンを非効率にする傾向がある。
漏洩空気を迂回させてタービンエンジンの流れ通路内に戻るようにするための努力がなされてきた(米国特許第5,211,533号におけるWalker他により)。ステータベーン組立体は、該ステータベーン組立体の半径方向内側端部においてシュラウド組立体に結合することができる。シュラウド組立体には、スクープが設けられ、スクープは、ステータベーンの高静圧側から該ステータベーンの低静圧側に前方方向に通り抜ける漏洩空気の通路内に配置される。漏洩通路は、ステータベーン組立体及び回転部材間に設置される。スクープは、漏洩空気を途中捕捉しかつ該漏洩空気を後方向き速度成分を有する状態で圧縮機の空気流れ通路内に再配向する。
しかしながら、半径方向に流れ通路内に流入する漏洩流れは、その注入の近傍において流体の軸方向運動量に対して大きな悪影響を与える。軸方向運動量の減少は、翼形部の前縁における負荷を増大させ、それにより、流れ剥離及び圧縮機サージを生じさせるおそれがある。
米国特許第5,967,745号明細書
ステータベーンの前縁に対するこの悪影響を排除すると同時に、圧縮流れに戻る漏洩空気に軸方向速度成分を与えた状態を維持するようにすることが望ましいと言える。
本発明の1つの態様によると、タービンエンジンの圧縮機内に設置されたステータベーン組立体の高静圧側から低静圧側に流れて該圧縮機の主作動流体流れ通路内に戻る漏洩空気をステータベーンの前縁において該作動流体流れと干渉するのを回避するように導くためのシステムを提供する。本システムは、ステータベーンと、ステータベーンの半径方向内側先端部に連結されたシュラウド組立体と、シュラウド組立体の半径方向内側先端部に連結された固定シール組立体と、固定シール組立体の半径方向内側に設置されかつ該シール組立体との間の境界面に漏洩流れ通路を形成した回転シール手段とを含む。そうでなければ圧縮機性能を損なう作動流体流れとの干渉を回避するようにステータベーンの前縁から離れた主作動流体流れ通路内に漏洩空気流れを導くための手段が設けられる。
本発明の別の態様によると、タービンエンジンの圧縮機内に設置されたステータベーン組立体の高静圧側から低静圧側に流れて該圧縮機の主作動流体流れ通路内に戻る漏洩空気をステータベーンの前縁が該漏洩空気の再配向によって直接的衝突から保護されるように導くためのシステムを提供する。本システムは、エンジンの固定ケーシング要素に固定された複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータベーンを備えたステータベーン組立体と、ステータベーン組立体の半径方向内側に設置されかつ該ステータベーン組立体と共に該ステータベーン組立体の後方に位置した高静圧空洞から該ステータベーン組立体の前方に位置した低静圧空洞に至る漏洩空気流れ通路を形成したロータ手段と、主作動流体流れ通路内に戻る漏洩空気流れ通路からの漏洩空気流れを該漏洩空気流れが複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータベーンの前縁を迂回するように導くための手段とを含む。
本発明のさらに別の態様によると、ステータベーンの後方に位置した高静圧側からステータベーン組立体の前方の低静圧側に流れる漏洩空気流れを該ステータベーンの前縁における空気力学的流れを妨げないように迂回させることによってガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法を提供する。本方法は、流れ迂回装置の半径方向内側端縁部をステータベーン組立体の低静圧側において漏洩空気通路の半径方向内側に配置するステップと、ステータベーン組立体の高静圧側から低静圧側に流れる漏洩空気流れを途中捕捉して、主作動流れと再合流させるステップと、複数の翼形部の前縁を該前縁に近接させたカバーにより漏洩空気流れから遮蔽するステップとを含む。
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部品を表している添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより一層良好に理解されるであろう。
ガスタービンエンジンの基本的作動を概略的に示す図。 従来技術のタービンエンジン圧縮機のセグメントを示す図。 本発明の実施形態による隣接するロータブレード間のステータベーン組立体を表すガスタービン圧縮機のセグメントを示す図。 フロントカバーリングを備えたステータベーン組立体のセクションの上面図。 フロントカバーリングを備えたステータベーン組立体のセクションの下流方向図。 分離フロントカバー要素を備えたステータベーン組立体のセクションの上面図。 分離フロントカバー要素を備えたステータベーン組立体のセクションの下流方向図。 ロータブレード間に位置するステータベーン組立体を表すタービンエンジン圧縮機の従来技術のセグメントを示す図。 本発明の実施形態による、ステータベーンの前縁に近接して取付けられた流れ迂回装置のためのカバーの軸方向図。 内側シュラウド組立体の前面に対して流れ迂回装置を備えた状態での流れカバー要素の取付けの軸方向図。 流れ迂回装置のためのカバーを備えたステータベーン組立体のセクタの斜視図。 ガスタービンの圧縮機段内におけるステータベーンの前縁から漏洩流れを迂回させる方法のフロー図。
本発明の以下の実施形態は、圧縮機セクションの性能を向上させることにより全体ガスタービン性能を改善することを含む多くの利点を有する。
ステータベーン組立体の下流の高圧から該ステータベーン組立体の上流の低圧に流れる漏洩空気を迂回させてステータベーンの前縁における設計流れパターンを崩壊させないようにすることによって、ガスタービンの圧縮機セクションの性能を向上させるための方法及びシステムを提供する。内側シュラウド組立体の前面にカバーを設けて、漏洩空気が前縁上に衝突するのを防止する。カバーは、内側シュラウド組立体の前面上に取付けられた流れ迂回装置の出口チャネルに設けることができる。
図1は、ガスタービンエンジン10の基本的作動を概略的に示している。エンジン10は、圧縮機12、燃焼器14及びタービン16を含む。圧縮機12は、複数のロータブレード22を有するロータ20を含み、複数のロータブレード22は、ロータ20の長さに沿った段内に配置されかつ外側ケーシング24から内向きに延びるステータベーン24と協働し、それによって加圧空気の軸方向流れを形成して燃焼器14内での燃焼を支援する。ロータ20と組合さった圧縮機外側ケーシング26は、燃焼器14に到る環状流れ通路13を形成する。
燃焼器14内で発生させた高温ガスストリーム21は、タービン16を駆動し、タービン16は、シャフト28によって該タービンに連結された負荷29及び圧縮機ロータ20を回転させる動力を供給する。タービンを通って流れた後に高温ガスストリーム21は、排出口に吐出させることができる。
図2は、ロータブレード22A及び22B間に位置したステータベーン組立体24を表す従来技術のタービンエンジン圧縮機12のセグメントを示している。ステータベーン組立体は、半径方向内側シュラウド組立体32を含む。内側シュラウド組立体32の半径方向内側面34に対して、異なるシールの組合せ(ブラシシール30及びエッジシール31のような)を連結することができる。それに限定されないが、1つ又はそれ以上の歯形エッジシール38のようなシールは、ロータ20に取付けることができる。内側シュラウド組立体32はまた、上部回転機構(図示せず)と作用してガスタービン運転条件に基づいてステータブレード25を位置決めする下部回転機構50を収容することができる。
回転ブレード22Aにより加圧された作動流体例えば空気が、空気静圧P1及び静温度T1を有する状態でロータブレード22A及びステータベーン24間の空間40に流入する。この空気は、円周方向成分を有しかつステータブレード25によって後続の回転ブレード22B上に衝突するのに最適な方向に再配向されるのが望ましい。空間41内におけるステータベーン24の下流側において、空気は、空気静圧P2及び静温度T2を有する。空気圧力P2は、空気圧力P1よりも大きくまた温度T2は、温度T1よりも高い。より大きい空気圧力P2及びより高い温度T2は、空気が空間41内の空気流れ通路42のより低い速度に再配向されかつ拡散され、従って該空気が圧縮機を通って下流方向に移動する時に温度及び圧力の増大を生じるという事実によって認識することができる。
ロータ20及び内側シュラウド32の半径方向内側面34間の空間は、シール30、31、38によって緊密な間隙で形成することができる。しかしながら、シール作用は完全ではなくて、高圧P2から低圧P1への漏洩空気通路44が可能になる。この漏洩空気45は次に、半径方向外向きに流れかつ作動流体流れの方向にほぼ直角な方向で作動流体ストリーム42に再流入する。その結果生じた乱流により、圧縮機及びエンジン性能が低下する。
図3は、本発明の実施形態によるロータブレード322A及び322B間に位置したステータベーン組立体324を表すタービンエンジン圧縮機300のセグメントを示している。ステータベーン組立体324の構造的構成は、前縁327を備えたステータベーン325及び内側シュラウド組立体332を含む。内側シュラウド組立体332はまた、上部回転機構(図示せず)と作用してガスタービン運転条件に基づいてステータブレード325を位置決めする下部回転機構350を収容することができる。内側シュラウド組立体332は、ロータ20の1つ又はそれ以上の歯形エッジシール38と共にブラシシール30及びエッジシール31間で制限空気漏洩通路44を形成する。それに代えて、空気漏洩通路は、内側シュラウド組立体332及びロータ20間におけるその他の数及び形式のシールにより制限することができる。
内側シュラウド組立体332にはさらに、該内側シュラウド組立体332の前面309の周りに配置されたフロントカバー340を設けることができる。フロントカバー340は、内側シュラウド組立体と一体形に形成することができ、或いは公知の手段により内側シュラウド組立体に取付けられた別個の要素とすることができる。フロントカバー340の一部は、内側シュラウド組立体332の前面309から軸方向上流に漏洩流れ46内に延び、それにより漏洩流れ46を作動流体流れ42と混合させることができる。フロントカバー部分は、ステータブレード325の前縁327に円周方向に近接して選択的に配置し、それによって前縁の近傍を漏洩空気流れ47による衝突から遮蔽することができる。内側シュラウド組立体332の前面309のその他の部分は、被覆されておらず、それによって漏洩流れ47がステータベーンの前縁から離れた該前面の非被覆セクションに沿って流れるのを可能にすることができる。フロントカバー340は、内側シュラウド組立体の前面に取付けられたカバーリングとして或いは別個のカバー要素として形成することができ、これら両方の形式は、さらに説明する。
図4は、本発明のフロントカバー340の実施形態を備えたステータベーン組立体324の上面図を示している。このセクションは、内側シュラウド組立体332の上部表面306上にステータピッチ308を有する3つのステータベーン325を含む。フロントカバー340は、内側シュラウド組立体332の前面309上に取付けられたカバーリング345(その一部を図示している)として形成することができる。カバーリング345は、ステータブレード325の前縁327に円周方向に近接して配置された遮蔽セクタ346を含むことができ、この場合に、遮蔽セクタは、前面309から作動流体流れ402の上流方向に延びる増加した軸方向厚さ347を含む。カバーリング345の厚さ347は、そうでなければ作動流体流れ42(図3)の設計流れを崩壊させる漏洩流れ47(矢印ポイントで表している)による衝突から前縁327を遮蔽するのを助ける。ステータベーンの前縁327から離れたカバーリング345の残りの非遮蔽セクタ348上にわたっては、遮蔽が必要でなく、またカバーリングの比較的薄い深さ349を設けて漏洩流れの不必要な制限を防止する。内側シュラウド組立体332の前面309の円周の遮蔽セクタ346は、ステータベーン325のピッチ308の約30%〜ピッチの約70%とすることができる。一部のステータブレード325が下部回転機構50及び上部回転機構(図示せず)の周りの軸線上で回転可能であって、ステータブレード325の前縁が圧縮機作動条件に応答して移動するので、そのような広い範囲の遮蔽は望ましく、また回転運動の全範囲にわたって遮蔽するのが望ましい筈である。固定ステータブレードの場合には、遮蔽厚さは、ステータベーンの前縁327に中心合せすることができる。回転可能ステータブレード(円弧311で示す)の場合には、遮蔽厚さは、ステータブレードの回転中心312に中心合せすることができる。
図5は、本発明のフロントカバーリング345の実施形態を備えたステータベーン組立体324のセクタについての作動流体流れの方向における下流方向向き図を示している。セクタは、説明目的のため、前縁327を備えた3つのステータブレード325を含む。フロントカバーリング345は、内側シュラウド組立体332の上部表面306によって外側半径方向端部上に結合されかつ深さ351だけ内向き半径方向に延びる。増加した軸方向厚さ347(図4)の遮蔽セクタ346は、名目的に前縁327に中心合せすることができる。限定厚さの非遮蔽セクタ348は、それら遮蔽セクタ346間に位置させることができる。内側シュラウド組立体の前面309に沿った漏洩流れ47は、遮蔽セクタ346では封鎖されかつ前縁から離れたリングセクタ348では通過する。
図6は、本発明の分離フロントカバーの実施形態を備えたステータベーン組立体のセクションの上面図を示している。図7は、分離フロントカバーを備えたステータベーン組立体のセクションの下流方向図を示している。このセクションは、内側シュラウド組立体332上にステータピッチ308を有する3つのステータベーン325を含む。分離カバー440が、各ステータベーン325の前縁327に円周方向に近接して設けられる。分離カバー440は、内側シュラウド組立体332の前面309から作動流体流れ42の上流方向に延びることができる軸方向厚さ450を含む。カバーの厚さ450は、前縁327の周りの作動流体流れ42(図3)の設計流れを崩壊させる漏洩流れ47による衝突からブレード325の前縁327を遮蔽するのを助ける。各分離カバー440の円周方向スパン445は、カバーが前縁327上に名目的に中心合せされた状態でステータベーンのピッチの約30%〜ピッチの約70%とすることができる。ステータブレードの前縁から離れたステータベーン組立体332の前面309の非被覆円周448では、遮蔽が必要でなく、従ってカバーを設ける必要がない。そのような広い範囲の遮蔽は、ステータブレード325が下部回転機構50及び上部回転機構(図示せず)の周りの軸線上で該ステータブレードの前縁327が移動するように回転可能であるので望ましく、また回転運動の全範囲にわたって遮蔽されるのが望ましい筈である。分離カバー440の様々なテーパを半径方向及び円周方向に設けて非被覆位置におけるカバーの周りの漏洩空気47の円滑な流れを可能にすることができる。フロントカバー要素の内側半径方向表面465は、内側シュラウド組立体332のフロント面309に対するテーパを含むことができる。フロントカバー440の円周方向表面460は、内側シュラウド組立体332の前面309に対してテーパさせることができる。
図8は、ロータブレード22A及び22B間に位置したステータベーン組立体324を表すタービンエンジン圧縮機200の従来技術のセグメントを示している。ステータベーン組立体324の構造的構成は、前縁327を備えたステータブレード325及び内側シュラウド組立体332を含む。内側シュラウド組立体332はまた、上部回転機構(図示せず)と作用してガスタービン運転条件に基づいてステータブレード325を位置決めする下部回転機構350を収容することができる。内側シュラウド組立体332は、ロータ20の1つ又はそれ以上の歯形エッジシール38と共にブラシシール30及びエッジシール31間で制限空気漏洩通路44を形成する。それに代えて、空気漏洩通路は、内側シュラウド組立体332上におけるその他の数及び形式のシールにより制限することができる。
内側シュラウド組立体にはさらに、ロータ20及び内側シュラウド組立体332間の漏洩流れ44を作動流体ストリーム42内に戻るようにより効果的に導入する流れ迂回装置(流れスプリッタとも呼ぶ)360を設けることができる。環状流れ迂回装置360は、内側シュラウド組立体の上流面309の周りに配置される。流れ迂回装置360は、上流面309からオフセットしてそれらの間にチャネル365を形成する。流れ迂回装置360の内側半径方向端部は、漏洩流れ44の大きな部分を収集するスクープ370を形成した下流方向湾曲部を含むことができる。漏洩流れ44の収集部分48は、チャネル365を外向き半径方向上方に流れることができる。流れ迂回装置360の外側半径方向端部は、漏洩に対して下流方向速度成分を付加する吐出要素375を形成した下流方向湾曲部を含み、それによって作動流体42/漏洩流れ48の効率を向上させることができる。しかしながら、この構成は、ステータブレード325の前縁327の周りにおける漏洩空気衝突に対する保護をしていなくて、設計流れパターンを崩壊させかつブレード性能を最適性能以下にする。
本発明のさらに別の実施形態によると、流れ迂回装置からの流れに対してカバーを設けて、該流れ迂回装置を通って流れる漏洩空気の吐出がステータベーンの前縁における作動流体の設計流れに悪影響を与えるのを防止することができる。
図9は、本発明の実施形態による、ステータベーンの前縁に近接させて取付けられた流れ迂回装置で使用するフロントカバー550の軸方向図を示している。カバー550は、内側シュラウド組立体332の前面309の一部とすることができ或いはそれに代えて内側シュラウド組立体332の前面及び流れ迂回装置360間に取付けられた別個の要素とすることができる。カバー550は、ベーン性能を低下させる作動流体の流れパターンに対する崩壊からステータベーン325の前縁327を保護する。カバー550は、内側シュラウド組立体332の前面309から作動流体流れ42と混合する漏洩流れ48内に軸方向上流に延びることができる。カバー550は、内側シュラウド組立体の前面に取付けられたリング(図4及び図5における参照符号445を参照)として形成することができる。カバー550は、ステータブレード325の前縁327に円周方向に近接して配置されたセクタを含むことができ、その場合にセクタは、作動流体流れ42の上流方向に延びる増加した軸方向厚さを含む。増加した厚さのセクタは、漏洩流れによる衝突から前縁を遮蔽することができる。ステータベーンの前縁から離れたリング145の残りの円周には、遮蔽が必要でなくかつリングの比較的薄い厚さを設けて漏洩流れ(図3、図4及び図5を参照)の不必要な制限を防止する。それに代えて、分離カバー要素440(図6及び図7に流れ迂回装置がない状態でステータベーン組立体を前述したような)は、流れ迂回装置360及び前面309間に配置することができる。
遮蔽された内側シュラウド組立体の面の円周のセクタは、ステータベーンのピッチの約30%〜ピッチの約70%とすることができる。そのような広い範囲の遮蔽は、ステータブレード325が下部回転機構50及び上部回転機構(図示せず)の周りの軸線上で該ステータブレード325の前縁327が移動するように回転可能であるので望ましく、また回転運動の全範囲にわたって遮蔽されるのが望ましい筈である。
図10は、内側シュラウド組立体の前面における流れ迂回装置の本発明の流れカバーの実施形態の軸方向図を示している。流れカバー550は、内側シュラウド組立体332の前面309と一体形に形成することができ或いは該内側シュラウド組立体332の前面309に締結することができる。内側シュラウド組立体332の前面に対する流れカバー550の取付けは、ボルト止め57又はその他の公知の取付け方法によるものとすることができ或いはまた内側シュラウド組立体に対して流れ迂回装置360の外側半径方向端部を同時に取付けることができる。流れ迂回装置360の下部端部は、ボルト止め56又はその他の公知の手段により前面309に直接固定することができる。流れカバー550は、図4、図5、図6及び図7で前述したように配置されて回転可能な圧縮機ブレード作動又は回転しないブレード325の固定位置における前縁327の移動の範囲にわたる不都合な流れパターンからステータブレード325の前縁領域327を遮蔽する。
図11は、タービンエンジン300の圧縮機における流れ迂回装置360のカバー550を備えたステータベーン組立体のセクタの斜視図を示している。ステータベーン組立体324は、ステータ内側シュラウドに半径方向に取付けられたステータブレード325を含む。流れ迂回装置360は、ステータベーン組立体324の前面309の軸方向前方に取付けられて該ステータベーン組立体324の前面309との間にチャネル65を形成する。ステータブレード325の前縁に円周方向に近接して分離流れカバー要素440が配置される。流れカバー要素440は、ステータピッチ308の約30%〜約70%の円周方向スパンを被覆することができる(図4及び図6)。流れカバー要素440の厚さは、流れ迂回装置360の外側端部に漏洩空気流れ51のためのチャネル365の深さ555を形成することができる。流れカバー要素440は、公知の取付け方法によってシュラウドの前面に取付けることができる。流れ迂回装置360はさらに、流れカバー要素440により内側シュラウド組立体332の前面309に締結することができる。
ステータベーンの後方に位置した高静圧側から前方側に流れる漏洩空気流れを該ステータベーンの前縁における空気力学的流れを妨げないようにすることによってガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法を提供する。図12は、ガスタービンの圧縮機段内におけるステータベーンの前縁から漏洩流れを迂回させる方法のフロー図を示している。ステップ1000は、ステータベーンピッチの約30%〜約70%の円周方向幅を備えて取付ける流れカバー要素を準備するステップを含む。ステップ1010は、流れカバー要素が流れ迂回装置リングを備えた漏洩通路に取付けられるか否かを判定するステップを含む。漏洩通路が流れ迂回装置リングを備えている場合には、次にステップ1020において、流れ迂回装置リング及び内側シュラウド組立体の前面間においてステータブレードの前面に近接してチャネルの出口に流れカバー要素を取付ける。ステップ1010において漏洩通路が流れ迂回装置リングを備えていない場合には、次にステップ1030において、ステータブレードの前面に近接させて内側シュラウド組立体の前面に流れカバー要素を取付ける。ステップ1040において、ステータベーンが固定であるか又は回転可能であるかが判定される。ステータブレードが固定ベーンである場合には、次にステップ1050において、流れカバー要素の円周方向寸法をステータベーンの前縁に中心合せする。ステータブレードが可動ベーンである場合には、次にステップ1060において、流れカバー要素をステータブレードの前縁における回転中心に中心合せする。
本明細書では様々な実施形態を説明しているが、これらの実施形態における要素の様々な組合せ、変更又は改良を行なうことができまたそれらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。
10 ガスタービンエンジン
12 圧縮機
13 加圧空気の軸方向流れ
14 燃焼器
16 タービン
20 ロータ
21 高温ガスストリーム
22 ロータブレード
22A 上流ロータブレード
22B 下流ロータブレード
23 従来技術のガスタービン圧縮機
24 ステータベーン組立体
25 ステータブレード
26 外側ケーシング
27 前縁
28 シャフト
30 ブラシシール
32 内側シュラウド組立体
34 内側半径方向面
36 シール組立体
38 歯形シール
40 第1のロータブレード及びステータブレード間の空間
41 ステータブレード及び第2のロータブレード間の空間
42 作動流体流れ
44 ロータ及びシュラウド間の漏洩流れ
45 作動流体流れに再合流する漏洩流れ
46 漏洩流れ
47 フロントカバーを通る漏洩流れ
48 迂回チャネルを通る流れ
49 迂回カバーの周りの流れ
50 下部回転機構
100 タービンエンジン圧縮機のセグメント
200 従来技術のタービンエンジン圧縮機のセグメント
300 タービンエンジン圧縮機のセグメント
305 ステータベーン組立体
306 上部表面
308 ステータピッチ
309 前面
311 回転軸線
312 回転中心
324 ステータベーン組立体
325 ステータブレード
327 前縁
332 内側シュラウド組立体
340 カバー
345 カバーリング
346 前縁に近接した遮蔽セクタ
347 厚さ
348 前縁から離れた非遮蔽セクタ
349 厚さ
351 深さ
360 流れ迂回装置
365 チャネル
370 スクープ
375 吐出要素
440 分離カバー要素
445 円周方向スパン
450 軸方向厚さ
460 フロント面までの内側半径方向表面
465 フロント面までの円周方向表面
550 カバー
555 深さ
560 支持部材

Claims (16)

  1. タービンエンジン(10)の圧縮機(12)内に設置されたステータベーン組立体(324)の高静圧側から低静圧側に流れて圧縮機の主作動流体流れ通路(42)内に戻る漏洩空気(46)を、ステータベーン(325)の前縁(327)における前記作動流体流れとの干渉を回避するように導くためのシステムであって、当該システムが、
    ステータベーン(325)と、
    前記ステータベーンの半径方向内側先端部に連結されたシュラウド組立体(332)と、
    前記シュラウド組立体の半径方向内側先端部に連結された固定シール組立体(30,31)と、
    前記固定シール組立体の半径方向内側に設置された回転表面をシールするための少なくとも1つのシール(38)であって、前記固定シール組立体との間の境界面に漏洩流れ通路を形成する少なくとも1つのシール(38)と、
    前記ステータベーン(325)の前縁(327)における前記作動流体流れとの干渉を回避するように前記圧縮機の主作動流体流れ通路内に前記漏洩空気流れを導く複数のカバー(550)と
    を備えており、前記複数のカバー(550)が、前記ステータベーン(325)の前縁(327)の上流に円周方向に近接して前記漏洩空気流れ通路内に配置されている、漏洩空気を導くためのシステム。
  2. 前記複数のカバー(550)が、前記シュラウド組立体(332)の前端縁部に連結された流れ迂回装置(360)を含んでいて、前記流れ迂回装置(360)が、前記少なくとも1つのシール(38)から流出する漏洩空気を捕捉して、漏洩空気流れを主作動流体流れ通路内に戻すように導くチャネル(365)を有しており、前記チャネル(365)が前記主作動流体流れ通路(42)と直接流体連通しており、前記流れ迂回装置(360)が、速度の後向き成分を有する前記漏洩空気を前記主作動流体流れ通路内に戻るように吐出する前記チャネルの後向き配置出口セクションをさらに含んでいる、請求項1に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  3. 前記複数のカバー(550)が、前記流れ迂回装置(360)とシュラウド組立体(332)の間で前記漏洩空気流れ通路の出口に近接して配置される、請求項に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  4. 前記複数のカバー(550)が、前記ステータベーンを通過する前記漏洩空気流れ通路内にステータベーンピッチの30%〜70%の円周方向円弧にわたって配置される、請求項3に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  5. 前記複数のカバー(550)が複数存在していて、前記ステータベーン(325)の前縁(327)の周りで互いに円周方向に対称に配置される、請求項4に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  6. 前記複数のカバー(550)が、前記シュラウド組立体(332)の前端縁部と前記流れ迂回装置(360)の後壁の間に固定取付けされて、流れ迂回装置(360)を支持するための手段を構成する、請求項1に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  7. 前記複数のカバー(550)が、弓形スライスを含む、請求項6に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  8. タービンエンジン(10)の圧縮機(12)内に設置されたステータベーン組立体(324)の高静圧側から低静圧側に流れて圧縮機の主作動流体流れ通路(42)内に戻る漏洩空気(46)を、漏洩空気の再配向による直接的衝突からステータベーン(325)の前縁(327)が保護されるように導くためのシステムであって、当該システムが、
    前記エンジンの固定ケーシング要素に固定された複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータベーン(325)を備えるステータベーン組立体(324)と、
    前記ステータベーン組立体の半径方向内側に設置されたロータ手段(20)であって、ステータベーン組立体と共にステータベーン組立体の後方に位置した高静圧空洞からステータベーン組立体の前方に位置した低静圧空洞に至る漏洩空気流れ通路を形成するロータ手段(20)と、
    前記主作動流体流れ通路内に戻る前記漏洩空気流れ通路からの前記漏洩空気流れを漏洩空気流れが前記複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータベーン(325)の前縁(327)を迂回するように導くための手段と、
    を備え、
    前記漏洩空気流れ通路からの前記漏洩空気流れを導くための手段が、前記漏洩空気を封鎖する複数のカバー(550)を含んでいて、前記複数のカバー(550)が、前記複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータベーン(325)の前縁(327)の上流に円周方向に近接して前記漏洩空気通路内で上流に配置される、漏洩空気を導くためのシステム。
  9. 前記複数のカバーの各カバーが、前記ステータベーン(325)の前縁(327)の周りで前記ステータベーンを通過する前記漏洩空気流れ通路内においてステータベーンピッチの30%〜70%の円周方向円弧を封鎖する、請求項8に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  10. 前記複数のカバーのそれぞれが、前記ステータベーン(325)の前縁(327)の周りで互いに円周方向に対称に配置される、請求項9に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  11. 前記複数のカバーが、前記ステータベーン組立体の前方表面に結合されかつステータベーン組立体の前方表面との間にステータベーン組立体の下方を軸方向前向きに流れる漏洩流れをステータベーン組立体の前方表面に沿って半径方向外向きに前記複数のステータベーンに向けて流れるように導くチャネルを形成した流れ迂回装置を含み、
    前記複数のカバーが、前記流れ迂回装置及びステータベーン組立体間で前記ステータベーン(325)の前縁(327)に円周方向に近接して前記チャネルの出口に配置される、
    請求項8に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  12. 前記複数のカバーのそれぞれが、前記流れ迂回装置及びステータベーン組立体間に機械的に取付けられて、流れ迂回装置に対するその上部端部における支持を行なう、請求項11に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  13. 前記複数のカバーが、前記ステータベーン(325)の前縁(327)の軸方向前方で前記ステータベーン組立体上に配置される、請求項10に記載の漏洩空気を導くためのシステム。
  14. ステータベーンの後方に位置した高静圧側からステータベーン組立体の前方の低静圧側に流れる漏洩空気流れをステータベーン(325)の前縁(327)における空気力学的流れを妨げないように迂回させることによってガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法であって、
    流れ迂回装置の半径方向内側端縁部を前記ステータベーン組立体の低静圧側において漏洩空気通路の半径方向内側に配置するステップと、
    前記ステータベーン組立体の高静圧側から低静圧側に流れる前記漏洩空気流れを途中捕捉して、主作動流れと再合流させるステップと、
    複数の翼形部の前縁を前縁に近接させた複数のカバーにより前記漏洩空気流れから被覆するステップと
    を含み、
    前記被覆するステップが、前記複数の翼形部の前縁を前縁に対して上流かつ円周方向に配向させた状態で前記複数のカバーを配置するステップを含む、
    ガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法。
  15. 前記被覆するステップが、ステータピッチの30%〜70%の円周方向円弧にわたって前記複数の翼形部の前縁を被覆するステップをさらに含む、請求項14に記載のガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法。
  16. 前記被覆するステップが、前記流れ迂回装置及びステータベーン組立体間で流れ迂回装置のチャネルの出口に前記カバーを配置するステップさらに含む、請求項14に記載のガスタービン圧縮機の性能を向上させる方法。
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