JP6116701B2 - 流体媒質試料の沈降パラメータをモニタするための方法および装置 - Google Patents

流体媒質試料の沈降パラメータをモニタするための方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、広義には、流体媒質試料中の懸濁液、または沈殿物の沈降性または拡散性を測定する方法および装置に関し、詳細には、流体を検査するための自己検知型のマイクロカンチレバーセンサを用いて、沈降速度または拡散速度を特定する方法および装置に関する。
流体媒質中の懸濁液または沈殿物の沈降速度(すなわち、重力の作用下における、液体中の懸濁粒子の沈殿能力)、浮揚速度(すなわち、液体中の懸濁粒子の浮上能力)、または拡散速度の測定は、医療診断、機械/工業処理診断(すなわち処理機械の検査)、環境モニタリングなどの広範な分野において有用である。このような測定は、密度差、または懸濁液と試薬との反応による試料分離に基づく場合がある。沈降粒子の質量、形状、およびサイズの全てが、沈降速度に影響を及ぼし、これらの特性は、測定された沈降速度から演繹可能である。例えば医療診断において、赤血球沈降速度(ESR)は、最も頻繁に行われる臨床検査の1つであり、赤血球が、垂直に固定された容器中で、重力の作用によって血漿から分離する速度を反映する。沈降速度(mm/時間)は、中断なしの沈降時間として設定されたおよそ60分後の、赤血球層の上端位置と、血漿層の上端位置との差から肉眼的に特定される。
流体中の懸濁液の沈降速度を測定するためのいくつかの公知の方法があるが、それらは、応答時間、試料調製、機器のサイズ、実施費用や実施の複雑性などに関して欠点を有している。例えば光学技術(レーザ光源などを用いる)は、バルク流体媒質が透明である場合にしか用いることはできない。
本発明は、流体媒質試料中の懸濁液、または沈殿物の沈降パラメータを測定する方法を提供するものである。この方法は、異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を有し、ヒータおよびピエゾ抵抗型センサを一体化されている少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサを用意するステップと、マイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスでヒータをパルス駆動するステップと、流体媒質試料における懸濁液または沈殿物の沈降中に、マイクロカンチレバーセンサの応答の特性を得るために、一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力をサンプリングするステップと、得られた特性を有する応答から、沈降パラメータの値を特定するステップとを含んでいる。
本明細書において、用語「測定」は、モニタリングの意味も含んでいる。
本発明の方法は、特定された沈降パラメータの値から、流体媒質試料におけるあらかじめ定められた反応の特性を特定するステップを、さらに含んでいる場合がある。この特性には、あらかじめ定められた(すなわち、指定された)反応の有無または程度が含まれる。
この方法は、懸濁液の体積パーセントを特定するステップを、さらに含んでいる場合がある。
この方法は、マイクロカンチレバーセンサの較正された応答特性を形成するために、マイクロカンチレバーセンサの少なくとも1つの応答を、既知の基準の体積パーセントを有する懸濁液の応答に対比させて較正するステップを、任意選択的にさらに含んでいる場合がある。既知の基準は、ヘマトクリットにおける基準であってもよい。
流体媒質試料は、生物学的試料を含んでいる場合があり、あらかじめ定められた反応の特性を特定するステップには、赤血球沈降速度を特定するステップと、沈殿の免疫学的測定を行うステップとのうちの任意の1つ以上が含まれる場合がある。
懸濁液または沈殿物の沈降パラメータには、沈降速度と、沈降の有無と、沈降のあらかじめ定められた量と、沈降の公称絶対値と、懸濁液濃度と、ヘマトクリット値とのうちのいずれか1つが含まれる場合がある。
懸濁液または沈殿物の沈降パラメータは、1つ以上の反応の生成物に由来するか、または1つ以上の反応に直接に由来する場合がある。
懸濁液または沈殿物、またはフロックの沈降パラメータは、フロック剤の作用による生成物に由来するか、またはフロック剤の作用に直接に由来する場合がある。
本発明の方法は、測定された沈降パラメータに基づいて、流体媒質試料中の膜組織を横切る拡散速度または灌流速度、流体媒質試料中のなんらかの面から離脱する懸濁液または沈殿物の拡散、流体媒質試料中の細胞凝着のうちの任意の1つ以上を測定するステップを、さらに含んでいる場合がある。
この方法は、沈降パラメータの測定と同時に、マイクロカンチレバーセンサを用いて、流体媒質試料の温度を測定するステップと、その温度に基づいて、測定された沈降パラメータの値を補正するステップとを、さらに含んでいる場合がある。温度は、ピエゾ抵抗型センサ、または発熱と温度測定との両方が可能なように構成されているヒータを用いて測定することができる(例えば「温度の読み出し」モードにおいて)。
少なくとも1つ(またはそれ以上)のマイクロカンチレバーセンサは、検査対象の流体媒質試料内の沈降パラメータの値の位置別のモニタリングを可能にするように、その流体媒質試料を収容する試料検査チャンバ全体にわたって(すなわち、内側面の全面にわたって)、または検査対象の流体媒質を用いている物体内に物理的に分配されている場合がある。
少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、複数のマイクロカンチレバーセンサを備えており、これらの複数のマイクロカンチレバーセンサは、沈降が生じる方向の軸に沿って物理的に分配されている場合がある。沈降が生じる方向の軸線は、重力または遠心力が働く軸線と平行とすることができる。
本発明の方法は、第1の流体媒質試料中に位置させるための第1のマイクロカンチレバーセンサと、第2の流体媒質試料中に位置させるための第2のマイクロカンチレバーセンサとを含む、実質的に同じ特性を有する少なくとも2つのマイクロカンチレバーセンサを用意するステップ、および第1および第2のマイクロカンチレバーセンサが、それぞれ第1および第2の流体媒質試料中に浸漬されているときに、第1のマイクロカンチレバーセンサに一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力と、第2のマイクロカンチレバーセンサに一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力とを比較するステップを、さらに含んでいる場合がある。
第1の流体媒質試料は制御流体媒質試料である場合があり、第2の流体媒質試料は懸濁液を含んでいる場合があり、第1のマイクロカンチレバーセンサは、制御マイクロカンチレバーセンサである場合があり、第2のマイクロカンチレバーセンサは、(沈降)測定マイクロカンチレバーセンサである場合がある。
第1の流体媒質試料は、懸濁液を含んでいる流体媒質の第1の試料である場合があり、第2の流体媒質試料は、懸濁液を含んでいる流体媒質の第2の試料である場合があり、第1のマイクロカンチレバーセンサは、第1の位置、および/または向きを占めるように配置されている測定マイクロカンチレバーセンサである場合があり、第2のマイクロカンチレバーセンサは、第2の位置、および/または向きを占めるように配置されている測定マイクロカンチレバーセンサである場合がある。
本発明の方法は、使用中の少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサを反転させる(例えば装置全体を反転させることによって、または関連するマイクロカンチレバーセンサを反転させるための内部手段を作動させることによって)ステップ、および/またはマイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスでヒータを再度パルス駆動するステップ、および/または流体媒質試料における懸濁液または沈殿物の沈降中に、マイクロカンチレバーセンサの反転応答の特性を得るために、一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力を再度サンプリングするステップ、および/または得られた特性を有する反転応答から、沈降パラメータの値を特定するステップをさらに含んでいる場合がある。
さらに、本発明によると、上述のいずれかの方法を実行するように適合化されているか、または構成されている装置が提供される。
さらに、本発明によると、流体媒質試料中の懸濁液または沈殿物の沈降パラメータを測定する装置が提供される。この装置は、異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を有しており、ヒータおよびピエゾ抵抗型センサが一体化されている少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサと、マイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスでヒータをパルス駆動するように構成されている加熱手段と、流体媒質試料における懸濁液または沈殿物の沈降中に、マイクロカンチレバーセンサの応答の特性を得るために、一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力をサンプリングするように構成されているサンプリング手段と、得られた特性を有する応答から、沈降パラメータの値を特定するように構成されている論理回路とを備えている。
本発明の装置は、2つの小チャンバを有する試料検査チャンバ〔または、流体連通しているか、またはしていない2つの試料検査チャンバ(流体連通の有無は、2つの試料検査チャンバへの流体媒質試料の充填の仕方、および検査/測定中の、流体媒質試料の混合の必要の有無に依存する)〕を、さらに備えており、少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、2つのマイクロカンチレバーセンサを備えており、2つのマイクロカンチレバーセンサのうちの一方および他方は、それぞれ2つの小チャンバのうちの一方および他方内に配置されている場合がある。このような二重チャンバ/二重マイクロカンチレバーセンサの一実施形態においては、2つのマイクロカンチレバーセンサは、使用中、一方が、沈降性(すなわち、重力または下向きの遠心力の作用を受ける粒子の濃度)を検査するように動作し、他方が、浮揚性(すなわち、液体によって及ぼされる上向きの力の作用を受ける粒子の濃度)を検査するように動作するように、互いに正反対に向き合って配置される場合がある。
別の実施形態として、複数のマイクロカンチレバーセンサが、高濃度の粒子供給源から放射状に拡散してくる(沈降または浮揚の場合ほど方向性が高くない)粒子をモニタすることができるように分配される場合がある。
この装置は、さらに、2つのマイクロカンチレバーセンサを備えており、試料検査チャンバの2つの小チャンバの各々は、2つのマイクロカンチレバーセンサを有しており、この2つのマイクロカンチレバーセンサのうちの一方および他方は、それぞれ、試料検査チャンバの対向し合う2つの端部の一方および他方に、適切な軸に沿って、互いに向き合って配置されている場合がある。
適切な軸は、重力または他の力の作用軸である場合がある。
さらに、一実施形態においては、少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサを備えている検査装置が提供される。これらのマイクロカンチレバーセンサは、本明細書に記載の方法を実行するように構成されている場合がある。これらの少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、それらと組み合って動作可能なデジタルメモリ、および/または読み出し装置、および/またはこれらのマイクロカンチレバーセンサを収容している、取り外し可能なカートリッジとともに、(使用に先立って)製造時に較正されている。これらの少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、上述の方法において使用中のマイクロカンチレバーセンサの出力の補正のために、(使用に先立った)較正が利用可能になるように、読み出し装置とともに用いられる。
本明細書において、沈降パラメータ(例えば沈殿物の堆積速度または形成速度)の測定について言及している箇所で、その測定は、浮揚(すなわち、沈殿の方向に反対の方向への粒子の押し上げ)測定も意味している場合がある。以下において説明するいくつかの実施形態を参照することによって、本発明の上記した態様および他の態様が、明確かつ明瞭になると思う。
本発明の一実施形態による、沈降測定のためのマイクロカンチレバーセンサの側方斜視図である。 本発明の2つの実施形態による、互いに異なる構成を有する2つのマイクロカンチレバーセンサの上方斜視図である。 箱型の試料検査チャンバの概要的な斜視図である。 浮遊粒子の沈降速度/浮揚速度、または懸濁液中の粒子の拡散速度および/または分散速度、または溶液中の拡散速度の検出/測定を行うようになっている、1つ以上のマイクロカンチレバーセンサの、本発明のいくつかの実施例による位置を示す、図3aの試料検査チャンバのA−A’線における断面図である。 全血中の赤血球の沈降に対する応答としての、本発明の一実施形態による2つのマイクロカンチレバーセンサからの出力信号を、血漿流体試料の場合の出力信号と比較して示す図である。 試料検査チャンバの反転の前後における、全血中の赤血球の沈降に対する応答としての、本発明の一実施形態によるマイクロカンチレバーセンサからの出力信号を示す図である。 いくつかのヘマトクリット値を有する全血中の赤血球の沈降に対する応答としての、本発明の一実施形態によるマイクロカンチレバーセンサからの出力信号を示す図である。 図6の出力信号の一部分を正規化して示す図である。 多重チャンバ内への、本発明の任意の実施形態によるマイクロカンチレバーセンサのいくつかの配置例を示す図である。
本発明のさらなる詳細、態様、および実施形態を、図面を参照しながら、単なる例として説明する。図面において、同等の、または機能的に類似の部分には、同様の符号を付してある。図中の各部分は、単純かつ明瞭になるように示されており、必ずしも全てが同じ縮尺で描かれているわけではない。
本発明のいくつかの実施形態および実施例において、以下で、より詳細に説明するように、自己検知型のマイクロアクチュエータを用いて、流体媒質中の懸濁液または沈殿物の沈降速度(赤血球沈降速度などの)を測定する(試料すなわち流体のその場検査)ための測定装置および測定方法が提供される。以下において説明する、マイクロアクチュエータ式のセンサプローブは、マイクロカンチレバーまたはマイクロカンチレバー梁の形態のものとしてあるが、他の物理的形態のセンサを実装することもできる。
本明細書において用いられる用語「流体媒質試料」は、単一種の流体を意味する場合、あるいは、二種以上の流体の組み合わせを意味する場合、あるいは、一種以上の流体と、化学反応を起こす他の媒質(例えば触媒、フロック剤など)との混合物を意味する場合もある。用語「流体媒質試料」には、さらに、一種以上の流体媒質中の物理的懸濁液、または複合体懸濁液、例えば(半)固体部分と、液体や気体などの流体(一種以上の)との両方を有する粒子の懸濁液が含まれる場合がある。粒子が、例えば凝集塊、フロック(綿状沈殿物)などとして形成されている場合には、そのような粒子は、流体媒質試料中の双方向部分である場合がある。広い意味では、流体媒質試料は、検体から取り出された、検査に適する、いかなる化学的試料または生物学的試料でもあってもよい。
測定装置は、流体媒質試料中における1つ以上の特定の反応によって、時間の経過とともに生じる懸濁液または沈殿物の沈降速度または拡散速度(「拡散」は、本明細書においては、沈降の反対の意味、すなわち、粒子が、バルク流体媒質に相対的に浮上する意味で用いる)の測定に対して、高感度を有する動的なマイクロ検査/診断システムの一部を形成することもできるし、さらに、初動ミキサ〔すなわち、検査中の流体媒質試料における、懸濁液の沈降/拡散をもたらす相互作用(1つ以上の)の開始/促進のための〕としての機能も、内在的に併せ有しており、したがって、任意の化学的に駆動される沈降の開始を早めるために役立つこともできる。マイクロカンチレバーは、例えば沈降性粒子または浮遊性粒子を生成する反応のための触媒で、少なくとも部分的にコーティングを施される場合があり、その場合に、マイクロカンチレバーへのコーティング剤の選択および量は、使用依存性であることがある。このようなシステムは、流体中に生物学的懸濁液および化学的懸濁液が含まれている場合の測定に、特に好適に適用することができる。さらに、本明細書において開示される測定方法および測定装置は、公知の標準的な流体沈降検査方法に比して、より少量の電力しか要しない。
沈降速度測定の補償を行い、それによって、より高い精度を得るために、流体媒質試料中の懸濁液または沈殿物の沈降速度と体積百分率とを同時に測定するように、本発明の測定装置を用いることができる。
本明細書において開示される測定方法および測定装置は、沈降速度測定のための公知の標準的な測定方法および測定装置に比して、少ない流体媒質試料量において高感度であり、(相対的に)即時に応答することができ、また、例えば流体媒質に対する懸濁液、または粒子などの体積百分率が既知である、いくつかの既知の流体媒質試料中に浸漬して行った較正に基づいて、沈降速度を補正することができる。
複数のこのような、マイクロアクチュエータ式のセンサを、以下においてより詳細に説明するように、差動センサ装置/システム、または面積/体積検査システムを構築するために、流体媒質検査容器の内周面に/を横切って/の全体にわたって、例えばアレイ状、グリッド状、または他の分布状態で、一緒に用いることができる。本明細書における説明には、流体媒質試料中の懸濁液または沈殿物の沈降を測定するための、本発明による、マイクロアクチュエータ式の測定方法および測定装置(1つ以上の)の能力を評価するために、本発明のいくつかの実施形態において行われた実験の結果が含まれている。
図1は、本発明の例示的な一実施形態による、自己検知型の動的なマイクロカンチレバー沈降センサ100の側方斜視図である。詳細には、図1は、マイクロカンチレバーアクチュエータ110が、少なくとも1つの一体型のマイクロヒータ140の制御下で、粒子の懸濁液130または沈殿物を含んでいるバルク流体媒質中を、矢印120の方向に機械的にスイープする様子を示している。マイクロカンチレバーアクチュエータ全体の変位は、少なくとも1つの変位センサ150によって検出される。マイクロヒータ140および変位センサ150は、マイクロカンチレバーアクチュエータ110内に埋め込まれている場合があり、マイクロカンチレバーアクチュエータ110は、片振り平面曲げ状態で、流体媒質試料内に延在している場合がある。バルク流体媒質より高い密度を有する懸濁液130は、矢印135で示されているように下降し(すなわち、重力の作用によって)、一定速度(沈降速度として測定される)で試料検査チャンバの底に沈降する。同様に、バルク流体媒質より低い密度を有する(かつバルク流体媒質の表面から離れることができる/離れている)懸濁液160は、ある拡散速度で、流体媒質中を、矢印165で示されているように上昇する(すなわち重力の作用する方向とは逆方向に)。これらの2つのタイプの「沈降」速度はどちらも、上述のマイクロカンチレバー沈降センサによって測定可能である。その測定によって、反応の特性を明らかにするか、または単に確認すること、および/または沈降/浮揚の強度および速度、または関連するパラメータを示すことができる。マイクロカンチレバー沈降センサ100は、さらに、懸濁液の、溶液からの離脱および沈降をもたらす生物学的反応、または化学反応を測定することができる。
一般的なマイクロカンチレバー構造の1つの欠点は、マイクロカンチレバーが、シリコンなどの比較的硬質な材料から成っており、したがって、流体/液体試料のマイクロレオロジー特性の探査という観点からすると、センサの振れ範囲(したがって感度)が狭く限られることである。マイクロカンチレバーの振れ範囲が狭く限られると、かさばって、かつ位置合わせおよび較正を必要とし、したがって、単純な携帯装置には不向きである光てこ技術や干渉計技術を用いて、その振れを高解像度に読み出すことが必要になる。一般的なパッシブシステム(表面上の結合に頼る)の欠点は、背景ノイズおよびシステムノイズが相対的に大きいことである(凝着による、結合の変化および機械的変化が不定であることによって)。このようなパッシブシステムでは、振れ範囲も非常に狭く(1μm未満)、高解像度の読み出し方法が必要である。
本発明の例示的ないくつかの実施形態によるマイクロカンチレバー沈降センサは、第1の端部で本体に取り付けられているマイクロカンチレバー梁として形成されている場合がある。第1の端部から隔たっている第2の端部は、本体に相対的に自由に変位することができる。このマイクロカンチレバー梁は、通常、矩形の表面を有しており、矩形の長辺は本体から延びている。マイクロカンチレバー沈降センサは、少なくとも2つの層から成る積層体を有しており、これらの層の材料は、層ごとに互いに異なる熱膨張係数を有している(すなわち、バイモルフ構造を呈している)場合がある。これらの材料は、互いに異なる材料である場合もあるし、異なる熱膨張係数を有するように処理された(例えば圧力を加えられた)同じ材料である場合もある。少なくとも2つの層から成る積層体を形成するために適した1つの例示的な材料はポリイミドである。
加熱されると、同じ温度上昇において、1つの層が他の層より伸び、したがって、マイクロカンチレバー沈降センサは、低い熱膨張係数を有する材料が内側になるように曲がる。冷却されると、同じ温度降下において、1つの層が他の層より速く縮み、したがって、マイクロカンチレバー沈降センサは、高い熱膨張係数を有する材料が内側になるように曲がる。
作動ヒータすなわちマイクロヒータは、マイクロカンチレバー沈降センサの上に配置されている場合もあれば、マイクロカンチレバー沈降センサの中に配置されている場合もあり、また、マイクロカンチレバー沈降センサのある表面領域全体にわたる連続ラインまたは連続トラックを形成している導電材料を備えている場合もある。マイクロヒータは、さらに、マイクロヒータに電流を送る(また、マイクロヒータからの熱放出をもたらす)電気接点を備えている場合がある。これらの電気接点は、使用時にアクセスが容易になるように、本体の上面上に配置されている場合がある。
さらに、1つ以上の一体型の変位センサが、マイクロカンチレバー沈降センサの上または中に配置されている場合があり、マイクロカンチレバー沈降センサのある表面領域全体にわたる連続ラインまたは連続トラックを形成している導電材料を備えている場合もある。変位センサは、ピエゾ抵抗材料で形成することができる。ピエゾ抵抗材料は、温度変化による抵抗の変化を検出することによって温度を検出する能力も備えている。
ホイートストンブリッジ回路は、容量および抵抗の比較計測において、特に感度の高い装置であるから、一体型の変位センサ(1つ以上の)の出力の測定に用いることができる。マイクロカンチレバー沈降センサの変位量(すなわち、曲げ量)、またはマイクロカンチレバー沈降センサシステム全体の、熱特性などの他の特性(または特性の変化)の特定のために、マイクロカンチレバー沈降センサと一緒に、ホイートストンブリッジ回路を用いることができる。ホイートストンブリッジ回路は、マイクロカンチレバー沈降センサの本体上に配置される場合もあれば、マイクロカンチレバー沈降センサから分離される場合もある。後者の場合には、ホイートストンブリッジ回路は、マイクロカンチレバー沈降センサの、一体型の変位センサ(1つ以上の)などの、電気接点を有する部分の電気接点に接続される。使用時には、ホイートストンブリッジ回路の、1組の、対向し合う2つの分岐点間に電圧が印加され、もう1組の、対向し合う2つの分岐点間の電圧出力が測定される。ホイートストンブリッジ回路のこの電圧出力が零であるとき、ホイートストンブリッジ回路、したがって抵抗/容量は、いわゆる平衡状態にある。一体化されている変位センサ(1つ以上の)の出力の変化によって、辺の1つの抵抗/容量が変化すると、それまで平衡していたホイートストンブリッジ回路は、不平衡状態になる。この変化によって、ホイートストンブリッジ回路の、前出の電圧出力が変化する。この電圧出力の変化から、流体媒質試料の1つの特性(または特性の変化、または複数の特性)を示す、総体としてのマイクロカンチレバー沈降センサの出力を導出することができる。変位センサとして抵抗性センサを用いた場合には、その抵抗は、機械的変化、温度変化、またはそれら両方の、同時に働く変化によって変化する。
複数のマイクロヒータ/変位センサを組み合わせ、それらの各々からそれぞれの測定結果を引き出し、またそれらの測定結果を組み合わせて、全体を平均化した測定結果などにすることができる。10−9(1マイクロリットル)以下のサイズの試料においてさえ、流体媒質を検出することができる。マイクロカンチレバー沈降センサは、流体媒質の移動量および/または熱的な物理特性の測定値から、流体/凝集塊の特性を検出することができる。応答の速度および量は、検査中の試料における特定の反応や、沈降、分離、または同様のレオロジー過程の動力学に依存し、反応および/またはレオロジー過程の定量化のために用いることができる。したがって、駆動電圧またはパルス幅を調整して、攪拌が最小であり、沈降速度の測定が支配的である領域に近づくように、掃引パルスを合わせることが重要である。
図2は、マイクロカンチレバーの形態の、一体型のヒータおよび変位センサが、互いに代替的な構成を有している2つの適切なマイクロカンチレバー沈降センサ200、210を示している。マイクロカンチレバー沈降センサ200、210はともに、マイクロヒータ140および変位センサ150を有しているが、左側のマイクロカンチレバー沈降センサ200の変位センサ150は、マイクロカンチレバー沈降センサの長さ方向に沿って蛇行するように形成されており、右側のマイクロカンチレバー沈降センサ210の変位センサ150は、マイクロカンチレバー沈降センサの変位センサ部分の幅方向に沿って蛇行するように形成されている。蛇行形成の方向が異なるということは、2つの変位センサが、縦方向の線形歪に対して、互いに異なる感度を有することを意味する。それは、このような構造を有しない場合には、測定結果に影響を与え得る、外部からの歪要因を分離するのに役立つ。このような蛇行形状の変位センサを、例えば第2のマイクロカンチレバー沈降センサに用いることによって、基準のマイクロカンチレバー沈降センサをアクティブに用いることができる。すなわち、作動させることができる。一方のマイクロカンチレバー沈降センサは、ホイートストンブリッジの正アーム上に配置されており、他方のマイクロカンチレバー沈降センサは、ホイートストンブリッジの負アーム上に配置されているから、どちらの変位センサも同じである場合には、両方の変位センサを作動させると、信号は打ち消し合う。蛇行形状の変位センサは、曲げではなく、抵抗の熱ドリフト(存在すれば)しか測定しないから、2つのマイクロカンチレバー沈降センサのうちの一方だけに蛇行形状の変位センサを用いた場合には、アクティブなマイクロカンチレバー沈降センサと、基準のマイクロカンチレバー沈降センサとの両方を作動させると、より純然たる(ノイズの少ない)機械的信号が得られる。例えば、正アーム(ホイートストンブリッジの)においては、検出される信号は、機械的特性と熱的特性との両方に由来するが、基準の負アーム(ホイートストンブリッジの)においては、検出されるのは熱的特性に由来する信号だけである。したがって、一方の変位センサに蛇行構成を用いることによって、機械的信号と熱的信号とが、より良く分離されるという利点が得られる。さらに、構成が異なる2つの変位センサ、例えば構成が異なる2つの蛇行構成などを用いると、センサ出力信号のうちの熱的な部分が打ち消し合うはずであるから、任意のパルス長で検査を行うことができる。例えば沈殿物または凝集物の沈降速度を測定する通常動作に先立って、より早期の反応を促進するために、より強いスイープを用いることができる。
与えられた流体媒質において、粒子の種々の物理的特性によって、その粒子の沈降速度が決定される。そのような物理的特性には、限定するものではないが、例えば質量、形状、サイズ、密度などが含まれる。流体媒質または粒子の1つ以上の特性を固定するか、または一定範囲内に保持することができる流体システムにおいて、沈降速度を測定することによって、その沈降速度から、微粒子の特性に関する定量的および定性的な情報を推定することができる。
エンジンなどに用いられている油、およびその他の機械システム用潤滑剤においては、効果的に働いているときに、懸濁液中に、汚染物質が混じっている。これらの汚染物質の沈降速度を測定することによって、潤滑剤の機能および品質、潤滑剤中を循環している汚染物質の機能、および品質/タイプ、および機械システム全体の機能を含む、潤滑剤のパラメータについての有用な情報を得ることができる。したがって、このような環境において、沈降速度をインライン測定することによって、機械的劣化についての高度な警告を得ることができる。それによって、適期での(ちょうど間に合う)メンテナンスが可能になる(必要以上の/過度なメンテナンスをやめて、機械部品の磨耗、割裂、疲労を効果的に軽減するために)。これによって、部品を、予め交換するのではなくて、交換が必要になったときに交換するだけでよいから、いかなる他の利点にもまして、より効率的なメンテナンスが可能になるという利点が得られる。
同様に、廃水処理、食品製造などの、工業プロセス用の流体を扱う環境において、流体に対する処理の一部として沈降槽などに加える凝固剤および凝集剤の効果を査定するために、沈降速度の測定を用いることができる。食料製造も、凝集剤/凝固剤を用いる。したがって、それらの食品製造のための材料の沈降速度をモニタすることによって、特に例えば醸造業において、熟成度などの、製造される食品に関する情報を得ることができ、これを、品質および風味に関連付けることができる。
このように、本発明は、多くの理由により、流体の沈降を測定するか(または、その特性を特定する)ための改良された方法および装置を提供するものである。
さらに、沈降速度は、しばしば、健康診断において最も頻繁に行われる検体検査の一つであり、通常、赤血球が、重力の作用によって血漿から分離される速度が測定される。これは、全血が一定期間放置されると、赤血球が血漿から分離して沈降し、このことは、疾患の診断に非常に有用であるからである。赤血球が沈降する(すなわち、赤血球の密度が、周囲の流体すなわち血漿の密度より高いから、この特定の場合には、重力の作用によって降下する/落ちる)速度は、赤血球沈降速度(ESR)として知られている。血漿は、相対的に低密度であるために沈降システムの上端部に移動し、赤血球は、沈降システムの底部に沈殿/沈降する。沈降速度(通常、1時間あたりの降下量(mm)、すなわちmm/時間で示される)は、通常、垂直に立てた管などに入れられている巨視的規模の試料中の赤血球の上端から、血漿の上端までの距離の測定により、巨視的に特定されるだけである。
ESRの測定は、多くの特定疾患過程において、臨床的意義を有している。ESRの測定は、例えばリウマチ性関節炎、ホジキン病、骨髄炎、敗血症性関節炎などの疾患において、予後を予測し、治療に対する対応を決定するのに有用である場合がある。血液またはその他の体液/体内物質における沈降速度に影響を与える病態生理学的メカニズムのいくつかの他の例としては、急性ウイルス性感染症や急性細菌性感染症、慢性炎症、リウマチ性疾患、結核、貧血、悪性疾患(白血病、固形腫瘍)、骨髄腫、先天性心臓欠陥、貧血、および赤血球形状の変形による貧血(例えば、鎌状赤血球病)がある。低フィブリノゲン血症、およびある種の薬品も沈降速度に影響を与え、通常、沈降速度を、正常範囲に比して低下させる。沈降検査は、さらに、予後的重要性を有しており、感染および組織損傷の重症度の指標としての機能を果たすことができる。
今日においては、ESRを測定するために、通常用いられるいくつかの方法がある。最も重要で、かつ一般的に用いられている方法は、ウェスターグレン法、ローク−エンルステン(Rourke and Enrstene)法、およびウイントローブ−ランツベルク(Wintrobe and Landsberg)法の3つである。
ウェスターグレン法は、簡単、安価、容易に利用可能、かつ正確であるため、ESRを測定するための参照標準法になっている。しかしながら、60分間の沈降時間を要することが欠点である。他の2つの方法は、より速い応答時間を有するが、どちらも、扱いにくく、高価である、特殊な器具を必要とするという欠点を有する。救急部門においては、迅速な処置のために必要な時間および品物は、極度に重要であり、最小にすべきである。これらの方法のその他の欠点としては、例えば次のようなものがある。不希釈の標本を得るために、血液検体と適切な抗凝固剤とを正確に混合しなければならない。誤って沈降速度が低く測定されることを避けるために、血液試料の収集後2時間以内に、検査を開始しなければならない。温度のいかなる上昇/下降も、沈降速度を速くする/遅くする。容器の管は、垂直に保たなければならない。例えば垂直からわずか3度傾くと、沈降速度は、30パーセント速くなる。
本明細書において説明する発明は、微小センサであるため、非常に低い電力しか必要とせず、さらにハンドヘルドサイズの機器内に実装することができる。さらに、例えばデスクが完全には水平でない(したがって、試料検査チャンバが垂直でない)デスクトップ上でさえ、傾きの補償のために、ジャイロスコープを、(ハンドヘルド)機器に加えることができる。この微小センサは、さらに、絶対信号の較正済みの特性から、赤血球の体積パーセント(すなわちヘマトクリット値)を同時に測定することも、また一体化されている変位センサ(例えばピエゾ抵抗材料または金属から成る−したがって、温度を直接測定することができる)、および/またはマイクロヒータの抵抗〔既知の、抵抗の温度係数(TCR)で適切に較正されている場合に〕を用いた絶対測定から、試料の温度を同時に測定することもできる。
したがって、本明細書において説明する測定装置および測定方法は、その寸法の微小性、可搬性、マイクロカンチレバー式センサの有する感度、応答時間の短さによって、上述の従来技術の欠点を克服し、また沈降速度の測定と並行して、沈降速度の補正のためのヘマトクリット値、およびさらなる臨床情報を得ることができる。
図3aおよび図3b(原物の寸法と比例していない)は、本発明の任意の実施形態による複数のマイクロカンチレバー沈降センサ100の、試料検査チャンバ250内の位置(配置)、および向きのいくつかの例を示している。図3aは、A−A’線に沿う断面(すなわち、半々に切断した切断面)が正方形である箱型の試料検査チャンバ250を示し、図3bは、A−A’線に沿う断面を示している。
図3bにおいては、試料検査チャンバ250の内側表面の面〔すなわち、この場合には、箱型の試料検査チャンバ250の各側部(および頂部および底部)〕から、試料検査チャンバ250の内部に向かって湾曲しているマイクロカンチレバー沈降センサ100が、実線で示されている(側面/横から見たように)。さらに、マイクロカンチレバー沈降センサの別のあり得る配置として、マイクロカンチレバー沈降センサ100と逆向きに取り付けられているマイクロカンチレバー沈降センサ100’が破線で示されている(側面/横から見たように)。すなわち、マイクロカンチレバー沈降センサ100と100’とは、互いに、それらが取り付けられている面上で180°回転した関係になっている。この回転が、マイクロカンチレバー沈降センサ100と100’との組み合わせの各々の隣に、円状の矢印で示されている。さらに、マイクロカンチレバー沈降センサを、各面に沿ってどこにでも配置することができることを表している水平/垂直矢印、およびマイクロカンチレバー沈降センサを、そのマイクロカンチレバー沈降センサが位置している面上で、360°にわたって、いかなる向きに配置することもできることを表している回転矢印が示されている(マイクロカンチレバー沈降センサは、0°においてある向きに配置され、360°において再び同じ向きに配置され、そして、その間のあらゆる向きの角度にマイクロカンチレバー沈降センサを配置することができる)。図3bの中央には、上方から見た単一のマイクロカンチレバー沈降センサ(図1を参照)が、例示的に示されている(あたかも、マイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバ250の前部または後部に形成されているかのように見えるかもしれないが)。図3bには、さらに、マイクロカンチレバー沈降センサを、そのマイクロカンチレバー沈降センサが形成されている面上を、どこにでも移動させることができることが示されており、また、どの方向にも回転させることができることが示されている。
要約すると、本発明の任意の実施形態によるマイクロカンチレバー沈降センサを、試料検査チャンバの内側表面上の任意の位置に、また任意の向きに配置することができる。この配置には、限定するものではないが、試料検査チャンバの頂部、底部、または任意の側部の適切な位置、および任意の角度の向きへの配置が含まれる。「底部」とは、試料検査チャンバの水平下面(すなわち床)に非常に近い領域であり、「頂部」とは、試料検査チャンバの水平上面に非常に近い(すなわち、天井に非常に近い)領域である。したがって、頂部にあるマイクロカンチレバー沈降センサは、底部にあるマイクロカンチレバー沈降センサから非常に離れている。これらのマイクロカンチレバー沈降センサは、沈降性、浮揚性、および/または拡散性を測定するから、用語「頂部」、「底部」および「側部」は、試料検査チャンバに作用する力、例えば粒子に働く重力、または遠心力、または押上げ力の作用に相対的に定めることができる。沈降性、浮揚性、拡散性は、少なくとも部分的に互いに関連し合っている、またはこれらの力の任意の組み合わせに関連している。
マイクロカンチレバー沈降センサの正確な位置および向きは、検出しようとする沈降性または浮揚性の所望の形態に関連する場合がある。例えばその場測定の実施形態(例えば沈降性を検出するための1つ以上の、または多数の上述のマイクロカンチレバー沈降センサが、エンジンや工業処理機械などの観察対象の全体にわたって配置される)においては、マイクロカンチレバー沈降センサは、検出結果が観察されるはずの位置に配置される。エンジンの例においては、これは、エンジンの摩耗に起因する粒子などの沈降粒子が落下する開口の真下の最下点、または最下点の一隅への配置を意味する。
マイクロカンチレバー沈降センサは、通常、試料検査チャンバの壁、天井または床から「剥がれた」ように形成され(すなわち、それぞれ側部、頂部、または底部に配置されるときに)、また、試料検査チャンバの両端部または両側部または上に(例えば頂部と底部上に、または向かい合う両側部上に)それぞれ1つずつのマイクロカンチレバー沈降センサが配置される、2つのマイクロカンチレバー沈降センサを用いる典型的な一構成例において、2つのマイクロカンチレバー沈降センサは、互いに反転するように配置されることは理解しうると思う。例えば箱型の試料検査チャンバの水平頂面および水平底面上に、それぞれ1つずつのマイクロカンチレバー沈降センサを配置した例において、底部のマイクロカンチレバー沈降センサは、床から上向きに剥がれたように配置され、したがって、試料検査チャンバの内部空洞内に上向きに湾曲し、頂部のマイクロカンチレバー沈降センサは、天井から下向きに剥がれたように配置され、したがって、試料検査チャンバの内部空洞内に下向きに湾曲する。このように、複数のマイクロカンチレバー沈降センサを組み合わせることによって、懸濁液中の粒子の任意の沈降速度と、任意の浮揚速度または拡散速度(または懸濁液の溶液中の拡散速度)とを同時に検出することができる。用語「頂部」、「底部」および「側部」は、重力などの他の測定量に相対的に定まる相対語であることは理解しうると思う。しかしながら、その一方で、マイクロカンチレバー沈降センサは、試料検査チャンバが幾何学的にどのように配置されているかにかかわらず、試料検査チャンバのいずれかの端部に配置されていると見ることもできる。別の言い方をすれば、検出部分(例えば弾性部材)は、通常、常に、試料検査チャンバの境界(壁、天井など)から、試料検査チャンバの内部に向くように配置され、流体媒質試料中に完全に浸漬される。
例えば試料検査チャンバの両端部の各々に、少なくとも1つのマイクロカンチレバー沈降センサが取り付けられる、少なくとも2つのマイクロカンチレバー沈降センサの配置は、沈降分と浮揚分との両方を検出するために特に有用な配置である場合がある。例えばこの配置によって、エンジンオイル中の浮揚性の汚染物質/粒子状物質〔例えばエンジンオイルの分解、または他の化学物質(例えば水)との反応によって生じる化学物質または粒子状物質〕の検出と、例えば擦れ落ちた金属粒子や、エンジンオイル粒子より重い、その他の粒子などの、エンジンオイル中に沈降している他の粒子/汚染物質の測定との両方が可能になるから、この配置は、エンジンオイルの寿命などをモニタするための有益な配置となることがある。このような二重配置は、エンジンオイルの汚染レベルを特定し(例えば、エンジンの摩耗を示す沈降金属粒子から)、それと同時に、エンジンオイルの品質/今後の寿命を測定する(他の化学物質の作用によるエンジンオイルの分解によって生じた浮揚性粒子の測定から)ために用いることができる。懸濁液およびコロイド中の粒子の浮揚性および/または沈降性および/または拡散性を測定するとともに、溶液中の局所的な拡散速度をモニタする、二重測定装置の他の使用事例も存在することは理解しうると思う。
試料検査チャンバが2つ以上の小部分を有するように、二重測定のいくつかの例を形成することができる。各小部分には1つのマイクロカンチレバー沈降センサが配置されており、各小部分は、他の小部分と完全に流体連通している。すなわち、各マイクロカンチレバー沈降センサによるそれぞれの検査を個別に実施するために、試料検査チャンバを分割することができるが、単一の検査のために、試料検査チャンバ全体を1種類の流体媒質試料で満たすこともできる。試料検査チャンバは、いかなる適切な形状に構成してもよいが、沈降を起こすための、実質的に垂直な部分、および少なくともマイクロカンチレバー沈降センサの領域において、表面が水平な部分を有することが好ましい。いくつかの例として、頂部および底部に平坦な端部(またはマイクロカンチレバー沈降センサが1つである場合には、頂部または底部に少なくとも1つの平坦な端部)を有する円筒状の試料検査チャンバ、各軸端部に平坦な側部を有する直方体または立方体の試料検査チャンバ、または多数の側面を有する形状、例えば、十二面体の試料検査チャンバなどが挙げられる。
単一の検査の一部分として、または試料検査チャンバのそれぞれ異なる向きでの複数の検査を可能にするために、試料検査チャンバを、使用中に、自由空間中で反転させるか、または任意の方向および角度に回転させることができる。例えば1つ以上のマイクロカンチレバー沈降センサを有する試料検査チャンバが第1の向きに配置されて、少なくとも1つのマイクロカンチレバー沈降センサの出力が、第1の時刻(または、あらかじめ定められた第1の期間)においてサンプリングされ、次に、試料検査チャンバが反転させられて、同じまたは異なるマイクロカンチレバー沈降センサ(1つ以上の)の出力が、第2の時刻、またはあらかじめ定められた適切な第2の期間にわたって(再)サンプリングされる。例えば各試料検査チャンバのそれぞれの端部に、1つのマイクロカンチレバー沈降センサを有する二重チャンバ装置(検査対象の1種類の流体媒質試料を充填するために、2つの試料検査チャンバ間で流体連通可能である場合がある)を設けることができる。この二重チャンバ装置は、必要に応じて、二重の検査を行って、それらの検査から平均の測定結果を得るために、沈降測定装置全体を一回ひっくり返して、2つの試料検査チャンバ内の(1セットの)流体媒質試料における浮揚性および沈降性を同時に検査することができる。このような構成においては、2つの試料検査チャンバに、1つずつのマイクロカンチレバー沈降センサ(すなわち、合計で2つのマイクロカンチレバー沈降センサ)を、互いに正反対になるように設けることができる、または、各試料検査チャンバの2つの端部の各々に、1つずつのマイクロカンチレバー沈降センサ(すなわち、合計で4つのマイクロカンチレバー沈降センサ)を設けることもできる。
さらに、試料検査チャンバのある領域の内表面、例えば試料検査チャンバの両側部(すなわち2つの壁)、または頂部と底部全体にわたって、複数のマイクロカンチレバー沈降センサを配置し、それによって、試料検査チャンバの選択された領域または容積全体にわたる相対的な沈降速度または浮揚速度を特定することができることは理解しうると思う。図4は、1つのマイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバの底部に配置されている(すなわち、水平底面から上向きに湾曲している)場合の、少なくとも1つのマイクロヒータ140の作動中の、マイクロカンチレバーの形態のピエゾ抵抗型のセンサ110の電気的応答300を示している。流体媒質試料は、クエン酸全血(グラフ310)および血漿(グラフ320)である。図4は、さらに、同じタイプのマイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバの頂部に配置されている(すなわち、水平頂面から下向きに湾曲している)場合の、そのマイクロカンチレバー沈降センサに対する同様のプロットを示している。流体媒質試料は、クエン酸全血(グラフ330)および血漿(グラフ340)である。この例のすべての場合において、マイクロカンチレバー沈降センサは、パルス周波数10Hz、パルス幅0.5ms,パルス電圧6Vで駆動された。しかしながら、別の駆動信号値を用いることもできる。
図4のグラフの各データ点は、単一の応答パルスを表している。マイクロカンチレバー沈降センサの、作動信号の立ち下がりエッジ(オフ)に相対的な変位応答の最大位置が測定されて、流体媒質試料の検査開始の4秒後(この例では4秒後であるが、別の時間とすることもできる)に測定された最初のデータ点と比較した。ハーフブリッジまたは完全なホイートストンブリッジに、第2のマイクロカンチレバー沈降センサを基準として用いる構成や、データからの背景ノイズの解析的な除去は、この例においては実施されなかったが、必要に応じて用いることができる。この一連の検査例においては、試料検査チャンバの実効的な寸法は、高さが400μm、幅が600μm、長さが1000μmであり、したがって、内容積は2.4×10−10(240ナノリットル)であった。しかしながら、別の適切な寸法の試料検査チャンバを用いることもできる。
この一連のグラフから、2つの向きにおいて(すなわち、マイクロカンチレバー沈降センサが頂部にある場合と、底部にある場合とにおいて)、流体媒質試料が血漿であるときには、系中に赤血球が存在せず、したがって、いかなる沈降も不可能であるから、電気的応答にあまり差異はない(わずかな差異があるが、この差異は、較正によって除去される)ことが分かる。一方、流体媒質試料がクエン酸全血である場合には、グラフ310においては、赤血球がマイクロカンチレバー沈降センサに向かって移動してくるから、その出力信号315に明確かつ測定可能な増加が観察され、グラフ330においては、赤血球がマイクロカンチレバー沈降センサから遠ざかっていくから、その出力信号335に減少が観察されるように、赤血球の沈降が測定される。すべての電気的応答に、この系の初期沈殿による寄与分350が含まれている。この初期沈殿による寄与分350は、解析的に、またはハーフブリッジまたは完全なホイートストンブリッジにおいて基準のマイクロカンチレバー沈降センサを用いることによって除去することができる。流体媒質試料(この例においては、クエン酸全血または血漿)に応じて、試料検査チャンバの寸法が選択される。図4は、10−9(1マイクロリットル)未満の試料検査チャンバにおける、赤血球沈降の測定結果を示している。
上述の例においては、出力信号のピーク位置が追跡されており、したがって、制動を強く受けるほど、ピーク位置は増加する。したがって、図中のグラフ310は、出力信号を、あたかも、増加していくかのように見えるように示しているが、実際の物理的状況では、スイープ運動の振幅は減少していっている。
逆向きの場合(すなわち、マイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバの頂部にある場合)の電気的応答は、本発明の任意の実施形態によるマイクロカンチレバー沈降センサを用いて、浮揚性によって流体媒質中を浮上する懸濁液、すなわち、バルク流体媒質よりも低い密度を有する粒子を測定することもできる(すなわち、拡散および/または分散の速度または程度など)ことを示している。この種の浮揚性粒子は、下方の基質の表面から懸濁液を引き離す反応、または浮揚性の懸濁液を含んでいるチャンバを開ける反応によって/反応の制御の下で、下方の基質から解放される懸濁液から生じ得る。これらの懸濁液の拡散速度および/または分散速度の測定によって、生じている反応、および反応の強さ/速度を特定することができる。拡散速度および/または分散速度は、反応がどのくらいの速さで生じているかを間接的に示す、および/または粒子が開放されているかどうか(または、開放の反対として、捕獲されているかどうか)を間接的に示す。したがって、流体媒質試料の浮揚性、および/または沈降性、および/または拡散性における、あらゆる変化を全体として検出することによって、粒子の拡散速度および分散速度をモニタするか、または特定することができる。
図5は、系全体が反転させられた時刻420、すなわち上下逆さにされた時刻の前後における、血漿流体媒質中の赤血球の沈降速度の測定における、マイクロカンチレバー沈降センサの電気的応答400(データ点410およびデータ点430)の一例を示している。この例においても、マイクロカンチレバー沈降センサは、パルス周波数10Hz、パルス幅0.5ms,パルス電圧6Vで駆動されたが、異なる実施形態においては、別の駆動信号値を用いることもできる。この場合にも、各データ点は、単一の応答パルスを表している。マイクロカンチレバー沈降センサの、作動信号の立ち下がりエッジ(オフ)に相対的な変位応答の最大位置が測定された。マイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバの底部にあり、赤血球がマイクロカンチレバー沈降センサに向かって移動してくるときの電気的応答(データ点410)、およびマイクロカンチレバー沈降センサが、試料検査チャンバの頂部にあり、赤血球がマイクロカンチレバー沈降センサから遠ざかっていく、系全体の反転後の電気的応答(データ点430)が示されている。データの、反転前の移動平均(グラフ415)、および反転後の移動平均(グラフ435)も示されている。試料検査チャンバの実効的な寸法は、高さが400μm、幅が600μm、長さが1000μmであり、したがって、内容積は2.4×10−10(240ナノリットル)であった。ハーフブリッジまたは完全なホイートストンブリッジに、第2のマイクロカンチレバー沈降センサを基準として用いる構成や、データからの背景ノイズの解析的な除去は、実施されなかった。
さらに、血液中の赤血球の体積パーセントが高いほど、赤血球の沈降速度はより遅くなり、血液中の赤血球の体積パーセントが低いほど、赤血球の沈降速度はより速くなると考えられるから、ヘマトクリット値(血液検体中の赤血球の体積パーセント)が、赤血球の沈降速度に重大な影響を与えるということが報告されている。したがって、補償なしでESRを測定する公知の方法は、この点で不正確になる場合がある。
ヘマトクリット値と沈降速度との並行測定が臨床的有用性を持つ、いくつかの病変がある。ヘマトクリット値は、また、全ての血液学的特定のうちで最も正確である(2〜4パーセントのパーセント誤差)から、貧血症や多血症の程度を特定するための最も有用な単一指標である。対照的に、直接に赤血球数を数える検査法は、8〜10パーセントのパーセント誤差を有する。したがって、ヘマトクリット検査は、貧血症に対するスクリーニング検査としての赤血球計数に好適である。ヘマトクリット検査の値は、ヘモグロビンおよび赤血球数の計数値に厳密に対応する。貧血症も感染症も、沈降速度を速め得るから、沈降検査を、感染症の重症度の正確な指標として用いる前に、貧血症の影響に対する補正が行われる場合がある。本発明の実施形態は、沈降速度の測定と並行して、さらに、ヘマトクリット値を特定できるので有益である。
赤血球体積パーセントの変動に対して、沈降速度を補正するためのより正確な方法の確立が、沈降速度検査の価値を高めることは明らかである。感染症または人体の組織損傷の重症度の指標としての沈降検査の価値は、赤血球体積パーセントの変動の影響に対する補正がなされれば、非常に高まる。したがって、本発明の実施形態は、さらにより改良された沈降(速度またはレベル)検査装置を提供するものである。
図6は、本発明の例示的な一実施形態によるマイクロカンチレバー沈降センサが、種々のヘマトクリット値を有するクエン酸全血を収容している試料検査チャンバの各々の底部に配置されているときの、マイクロヒータ140の作動中の、そのマイクロカンチレバー沈降センサのピエゾ抵抗型の変位センサの電気的応答500を示している。この例においては、マイクロカンチレバー沈降センサは、パルス周波数10Hz、パルス幅0.5ms,パルス電圧6Vで駆動されたが、実施形態が異なれば、別の駆動信号値を用いることもできる。この場合にも、各データ点は、単一の応答パルスを表している。マイクロカンチレバー沈降センサの、作動信号の立ち下がりエッジ(オフ)に相対的な変位応答の最大位置が測定された。ハーフブリッジまたは完全なホイートストンブリッジに、第2のマイクロカンチレバー沈降センサを基準として用いる構成や、データからの背景ノイズの解析的な除去は、実施されなかった。この場合にも、試料検査チャンバの実効的な寸法は、高さが400μm、幅が600μm、長さが1000μmであり、したがって、内容積は2.4×10−10(240ナノリットル)であった。図6は、4つの異なるグラフを示しており、各グラフは、それぞれ、赤血球の(相異なる)体積パーセント、すなわちヘマトクリット値60%(グラフ510)、50%(グラフ520)、40%(グラフ530)、30%(グラフ540)を有するクエン酸全血からの応答である。このように、沈降検査を受けるそれぞれの試料に対して、初期のピーク位置が明確に分離するから、試料のヘマトクリット値と沈降速度とを、並行して同時に特定することができる。図4の情報と組み合わせると、沈降速度は、上昇していくピーク位置または下降していくピーク位置として測定され、ヘマトクリット値は、ピーク位置の初期開始点として測定されることが理解されるからである。
図7は、本発明の例示的な一実施形態による、ヘマトクリット値の較正機能を有するマイクロカンチレバー沈降センサの、相異なるヘマトクリット値を有するいくつかの沈降検査試料における電気的応答600として、図6から、全検査時間のうちの30〜80秒の部分を抜き出して示している(ただし、全てのグラフが、時刻t=0においてピーク位置が0として開始するように正規化されている)。したがって、電気的応答600は、このマイクロカンチレバー沈降センサが、二重測定能力(より厳密に言えば、一方のパラメータである沈降速度を、他方のパラメータであるヘマトクリット値の較正を行いながら、測定する能力)を有していることを示している。各データ点は、単一の応答パルスを表している。作動信号の立ち下がりエッジ(オフ)に相対的な変位応答の最大位置を測定し、流体媒質試料の検査開始の4秒後に、測定された最初のデータ点と比較した。
図7は、それぞれ、赤血球の体積パーセント、すなわちヘマトクリット値60%(グラフ610)、50%(グラフ620)、40%(グラフ630)、30%(グラフ640)を有するクエン酸全血から得られた、直線で近似可能な4つの異なる電気的応答を示している。
本発明のこれらの実施例は、沈降パラメータおよびヘマトクリットパラメータや、これらのパラメータの相対的変化に非常に敏感であるが、これらのパラメータの絶対値の特定には、既知の値と対照する較正を行って、他の方法による結果と比較できる公称出力値を得ることが必要であることは理解しうると思う。
上述のヘマトクリット値測定の精度は、マイクロカンチレバーの形態のピエゾ抵抗型の変位センサの抵抗値、および/またはマイクロヒータの抵抗値、および装置のフィルタ較正および利得較正、環境温度および湿度、および試料温度の値を得る/考慮することによって、さらに改善される。これらは、例えば固定環境状態下で、次いで、その環境状態を十分な制御状態で変化させて、変位センサの信号のピーク位置および振幅を測定して、信号を内的に補正するためのルックアップテーブルまたは方程式を設けることによって較正することができる。
上述のマイクロカンチレバー沈降センサは、種々のヘマトクリット値を有する流体媒質試料中の1つ以上の特定の反応によって生じる懸濁液または沈殿物の沈降速度、または拡散速度の経時測定に高い感度を有する、動的なマイクロ検査/診断システムの一部分を形成することができる。検査中の特定の反応は、例えば免疫沈降反応である場合がある。免疫沈降法は、検体の定性的または定量的な検出のために、抗原−抗体反応の原理を用いる方法である。免疫沈降法には、タンパク質と、その特異抗体との間の相互作用、免疫複合体の分離、および例えばSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)による、その後の分析が含まれる。この技術は、試料、例えば全細胞溶解液または培養上清から、特定のタンパク質を分離するための手段を備えている。さらに、生化学的特徴、翻訳後修飾、および目的のタンパク質の発現レベルの確認または学習のために、免疫沈降法を用いることができる。通常、この手法は、いくつかの段階、すなわち試料調製、プレクリア、抗体培養/抗体−抗原複合体の形成、沈殿、SDS−PAGEによる分析に分けることができる。
免疫沈降法は、特定のタンパク質と特異的に化学結合する抗体を用いての、溶液からの、その特定のタンパク質の沈殿を必須としており、したがって、この方法は、何千もの他の異なるタンパク質を含んでいる試料から、特定のタンパク質を単離し、集めるために用いることができる。免疫沈降法においては、手順中のある点で、抗体は、固体基質に結合する必要がある。歴史的には、免疫沈降法のための、大多数の科学者によって用いられた固相担体は、高度に多孔性のアガロースビーズであったが、本発明の実施形態においては、固体基質として、アガロースビーズに替えて、磁気ビーズを用いることができることが見出された。それは、磁気ビーズが、高効率性、特異性、再現性、単純性(遠心分離がない、培養時間がより短く、洗浄ステップが短縮される、プレクリアステップがない、磁性ナノ粒子は容易に目視可能である)、遠心分離に比しての、タンパク質の損失および応力の最小化、柔軟性、および抗体との化学結合を最適にすることができる、より大きな表面積/体積比を有していることによる。
したがって、磁気ビーズは、伝統的に用いられているアガロースビーズに比して、同等の化学結合能力およびその他の物理的特性を示すとともに、取り扱いが容易であること、遠心機などの機器が不要であること、常磁性であるために迅速な化学分析に理想的であること、サイズ、形状、反応性がそろっていることなどのその他の利点を有しているから、理想的な固体表面系である。
固体表面と化学結合するいかなる方法も、固体表面との化学結合を検出するいかなる方法も、本発明の任意の実施例において用いることができる。さらに、それらの実施例において、沈降性検出の場合には、化学結合後の沈降を促進することができるほどに高密度または大きい(例えば金ゾル粒子)限り、浮揚性検出の場合、または懸濁液試料の特性変化(例えば浮揚性または沈降性を強化または抑制する)によってもたらされる粒子結合剤(コーティング剤)の溶解の間接測定の場合には、十分に浮揚性である限り、いかなるビーズの形態も用いることができる。
さらに、いくつかの実施形態において、例えば磁気ビーズは、機能性担体として用いられ、したがって、生じる反応が凝集やグルーピングなどを可能にし、それによって沈降または浮揚(またはそれらの速度)を加速する可能性がある反応である場合には沈降する。さらに、磁性ナノ粒子の共生性質は、より良好な診断方法を可能にする。
沈降または沈殿が起こる検査は、それらの性質、および赤血球や、生体分子(例えば抗体)に化学結合している、または化学結合していない粒子(ラテックス粒子、磁性粒子など)の沈殿を検出することができる微小センサの感度、および反応チャンバのコンパクト性によって判別可能である。
本発明の任意の実施形態を、沈降スイッチとして用いる(すなわち、沈降があるレベルに達したときに活性化する)ことができる。詳細には、常温において、試料検査チャンバの面から離れるように、あらかじめ曲げて配置されており、したがって、粒子が沈降してくると、下向きの力を受けるマイクロカンチレバー沈降センサを用いて、このことが可能になる。例えばマイクロカンチレバー沈降センサをパルス駆動して、マイクロカンチレバー沈降センサを完全に、またはあらかじめ定められた量だけ変位させるためには、どの程度の発熱(マイクロヒータに与えられるエネルギー量に対する)が必要であるかを知ることによって、沈降レベルを「検査」することができる。それによって、沈降レベルの特定が、また経時的に行うことによって沈降速度の特定が容易になる。位置および/または向きを反対にして、マイクロカンチレバー沈降センサを用いることによって、全く同様に、浮揚スイッチを可能にすることができる。
本発明の任意の実施形態において、沈殿の沈降速度の測定から、生体分子間の化学結合(例えば免疫沈降による)を測定するために、沈降および沈殿の基本原理と組み合わせて、上述のセンサ機能を用いることができる。マイクロカンチレバー沈降センサの単純性、高感度性、柔軟性、および高速動作性を、抗体−抗原結合の原理、および赤血球、粒子、または複合体の沈殿を、それらの沈殿物の沈降速度または拡散速度の測定を介して、高感度で検出するマイクロカンチレバー沈降センサの能力と組み合わせることができる。
通常、免疫沈降検査プロトコルは、高度な訓練を受けた科学者によって実行されるいくつかのステップを含んでいる。本発明の任意の実施形態によるマイクロカンチレバー沈降センサの上述の能力(感度、試料検査チャンバの寸法の小ささ、など)を用いることによって、免疫沈降検査プロセスは、より短時間化され、試料適用から化学結合および検出まで1ステップで実行され、高度な訓練を受けた検査担当者を要しなくすることができる。例えば抗原は、反応領域内で、粒子(例えば磁気ビーズまたはアガロースビーズ)に(あらかじめ)付着させられている抗体と化学結合し、抗体を付着させられている粒子の密度が高く、免疫複合体のサイズが大きいために、化学結合した物質は沈殿する。この事象は、図4および図7を参照して上述したように、変位センサによって検出される。一方、マイクロカンチレバー沈降センサ(1つ以上の)が、インライン処理フロー設備(例えば食品工場の食品パイプ、燃料路や油送路など)の表面上に形成されている場合には、非特異性の、化学結合しなかった物質は全て、流体流によって洗い流すことができる。種々のサイズの粒子、標的検体に特異的な種々の抗体、バックグラウンド測定のための非特異的な種々の抗体(すなわち、標的検体と化学結合しない抗体)、基準センサを設置するための種々のチャネルおよび反応領域、信号減算器などによって、上述のマイクロカンチレバー沈降センサによって生成される信号を単離および変調することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、さらに、膜組織などを通る拡散速度または灌流速度を測定するための測定装置および方法に関している。これは、濃度勾配によって、イオン、分子、または血液細胞が、毛細血管壁を通り抜けて拡散することができ、したがって、いくつかの実施例において、複数のマイクロカンチレバー沈降センサを用いて、血液細胞の拡散速度の指標を与えることができ、鎌状赤血球症の状態での赤血球の脱水など、原因の判断に有用であることがわかっている毛細血管血試料の連続測定を可能にすることができるからである。流体媒質試料を横切る拡散速度を測定し、それによって、膜組織などをよぎる拡散速度または灌流速度を示すために、バルク流体媒質試料中でそれぞれに相異なる向きを向いている、1つ以上のマイクロカンチレバー沈降センサを、他の沈降測定方法および測定装置に比しての、本発明のマイクロカンチレバー沈降センサの単純性、高感度性、柔軟性、高速動作性の利点を活かしながら用いることができる。
用語「流体媒質試料」は、本明細書においては、検査対象のさまざまな「流体媒質」の、非常に小さい寸法の試料を意味するために用いており、またその流体媒質が、一種の「インビトロ」検査、すなわち、本明細書において説明されているマイクロカンチレバー沈降センサを組み込んでいる専用の沈降検査装置の試料検査チャンバ内における流体媒質試料の検査に用いられるということを示唆している場合がある。このような沈降検査装置は、例えば少なくとも1つのマイクロカンチレバー沈降センサが配置されている、流体媒質試料を収容するための試料検査チャンバを有する携帯型の電子装置(より特定の例では血液検査装置)の形態をとる場合がある。しかしながら、本明細書で開示され、詳細に説明されているマイクロカンチレバー沈降センサが、自身の動作に不可欠な流体を備えている、より大きな物体、例えば潤滑油を備えているエンジン、または内部に固有の流体を備えている、例えば醸造用の製造ライン内に配置される場合もあることは、理解しうると思う。このような「マクロ」な状態においては、流体媒質は、試料ではなく、通常の使用状況下にある流体媒質である。このような状態では、沈降の存在、程度、または他のパラメータにおける、流体媒質の(あり得る)変化をモニタすることができるように、マイクロカンチレバー沈降センサを、沈降が観察される物体(例えばエンジンや、商業用醸造装置などの産業用製造プロセスライン)の内部および内周面に配置することができる。例えばエンジンにおいては、複数の上述のマイクロカンチレバー沈降センサを、潤滑油のモニタリングのために、潤滑油供給装置の内周面に分配することができる。
図8は、本発明のいくつかの実施形態によるマルチチャンバ型の配置を、例示的に示している。全ての例において、図3aと図3bとに示されている断面と同様の断面として示してある。具体的には、次の例のようである。
A 701 − 2つの試料検査チャンバ間に、流体の連通はない(実線の仕切り片700で仕切られている)複列チャンバ。マイクロカンチレバー沈降センサ100が、チャンバ全体(この場合には、2つのチャンバから成る)の対向する端部に、1つずつ互いに反対方向に向けて配置されている。2つのマイクロカンチレバー沈降センサ100は、互いに反転状態として設けられている。
B 702 − 2つの試料検査チャンバ間に流体が連通している(図の中央にある仕切り片の通孔部710で示す)ことを除いて、A 701の場合と同様の複列チャンバ。
C 703 − 少なくとも4つのマイクロカンチレバー沈降センサが存在し、2つの試料検査チャンバの各々の、対向し合う2つ端部のそれぞれに、1つのマイクロカンチレバー沈降センサが配置されていることを除いて、A 701およびB 702の場合と同様の複列チャンバ。
D 704 − 少なくとも4つの試料検査チャンバが存在する多重チャンバ。各試料検査チャンバに、異なる向きの2つのマイクロカンチレバー沈降センサが配置されている。
E 705 − 頂部または底部から見た、C 703の複列チャンバ。各試料検査チャンバの頂部および底部の央部分に、それぞれ1つのマイクロカンチレバー沈降センサが配置されている。
F 706 − C 703の複列チャンバを拡張した複列チャンバ。各試料検査チャンバの頂部および底部に、それぞれ4つのマイクロカンチレバー沈降センサがグリッド状に形成されている。一方の試料検査チャンバの各マイクロカンチレバー沈降センサの向きは、他方の試料検査チャンバの対応するマイクロカンチレバー沈降センサの向きと逆である。さらに、必要に応じて、同一の試料検査チャンバ内で、各マイクロカンチレバー沈降センサの向きを違えることも可能である。
例示的ないくつかの実施形態においては、前述したように、曲がり/湾曲に方向性がある(マイクロカンチレバー沈降センサは、駆動用の熱が加えられたときに、いずれか一方の方向に曲がるように形成することができる)から、マイクロカンチレバー沈降センサ(1つ以上の)を、試料検査チャンバの水平底面に配置する場合には、それらのマイクロカンチレバー沈降センサは、駆動信号が印加されると、水平底面から上方に向かって曲がり、駆動信号が切られて、発熱しなくなると、水平底面に向かって下方に戻ってくるようになっている。同様に、マイクロカンチレバー沈降センサを、試料検査チャンバの水平頂面に/上に配置する場合には、マイクロカンチレバー沈降センサは、水平底面への配置の場合と逆に、駆動信号が印加されると、水平頂面から下方に向かって曲がり、駆動信号による加熱がなくなると、水平頂面に向かって「引き返す」、すなわち上方に戻ってくるようになっている。
上述の実施形態には、2つ以上のマイクロカンチレバー沈降センサを用いて、検査中の流体媒質試料中での反応のアクティブ差動検出を行う方法および装置、すなわち、第1および第2のマイクロカンチレバー沈降センサを同時に作動させる方法および装置が含まれる。このように駆動すると、各マイクロカンチレバー沈降センサから、1つずつの2つの応答(すなわち出力信号)はどちらも、信号分と背景ノイズ分とを有する。したがって、上述のアクティブ差動検出は、「2つのアクティブ信号間の差の測定」である。これは、差動検査において、一方のマイクロカンチレバーセンサを作動させない従来の差動法、すなわち、パッシブ差動検査、または「1つのアクティブ信号と背景ノイズとの間の差の測定」と呼ぶこともできる、これまでの差動法とは対照的である。上述のアクティブ差動検出と公知のパッシブ差動検出との間のこの差異は、次のように数学的に表すと、最もよく理解することができる(マイクロカンチレバー沈降センサが2つである場合の式であるが、必要に応じて、任意の数のマイクロカンチレバー沈降センサの場合まで拡張することができる)。
パッシブ差動検出=(信号A+ドリフト)カンチレバー1−(ドリフト)カンチレバー2=信号A
一方、本発明による上述の実施形態では、〔アクティブ差動検出=(信号A+ドリフト)カンチレバー1−(信号B+ドリフト)カンチレバー2=信号A−信号B〕である。この式において、「ドリフト」は、2つの同等な(位置を除いては、例えば図3を参照して、より詳細に上述した、試料検査チャンバの頂部/底部/側部への配置によって、異なる位置を占めていることを除いて)マイクロカンチレバー沈降センサの応答における、背景ノイズによってもたらされるドリフトである。したがって、上述のアクティブ差動検出法は、各センサ出力間の真の差動測定値を与えることができる。例えば反応の進行具合の追跡を可能にするために、または同様に、本明細書に記載の粒子の沈降〔またはその速度、および/または浮揚(の速度)〕、および拡散および/または分散に影響する沈降や浮揚に関する他のパラメータの検出の過程を通じて、このように、アクティブ差動検出法を用いることができる。特に、本発明の任意の実施形態による複数のマイクロカンチレバー沈降センサが、検査対象の1種類以上の流体(適用可能な試薬を含む)(のマクロ試料)を収容している、より大きなサイズの容器、例えば製造タンクまたは製造容器の内部、または表面上に位置しており、それらのマイクロカンチレバー沈降センサが、容器の内側面または内部に、アレイ状に、または物理的に選択された位置に配置されている場合に、アクティブ差動検出法を用いることができる。その結果、各マイクロカンチレバー沈降センサの出力を、ドリフトなしで直接比較することができ、したがって、進行していく反応の「波面」を追跡することができる。あるいは、これらのアレイは、流体媒質試料の最終的に完全に混合した部分/完全に反応した部分の位置と、反応がまだ起こっていないか、またはまだ完了していない部分の位置とを、対比的に簡単に検出することができる。これは、全てのマイクロカンチレバー沈降センサが、実質的に同じであり(同一のウエハ上に、同じ大量生産工程によって作られる)、上述のアクティブ差動検出法を用いることによって、例えば何かの混合物(それぞれの製造に適した複数のベース流体および試薬を含んでいる)が存在している、製造バットの最下方にあるマイクロカンチレバー沈降センサの出力と、(最後の)物質が加えられた(例えばマヨネーズの製造においては、卵黄に油が加えられる)最上方にあるマイクロカンチレバー沈降センサの出力とを比較することができるからである。ここで、(任意の適切な数の)マイクロカンチレバー沈降センサから成るアレイを、アクティブ差動検出法を実行する構成になるように、適切に形成して配置することによって、卵黄との/による/への油の乳化の進行を追跡することが可能になる。これを、媒質の物理的特性の変化が、プロセスが完了しており、かつ過度に進行していないときなどを知る上で有用であるような任意のプロセス(特に、このようなアレイを用いない場合には、実時間での評価がより困難になる工業プロセス)に適用することができることは明らかである。
マイクロカンチレバー沈降センサから成るアレイは、特定の使用例において役立つ場合もある。例えば、ある領域にわたって反応の広がりを追跡する必要がある場合に、アレイを、一般的な、一連の点の形状を呈するように、例えば試薬の投入点を中心とする円状に形成することができる。
少なくとも1つのマイクロカンチレバー沈降センサの出力信号が、検査の要件に応じて、電気パルス(マイクロカンチレバー沈降センサと一体に形成されているマイクロヒータを加熱するための)の印加後の任意の時点でサンプリングされる場合がある。
本明細書に開示されている装置は、マイクロカンチレバー沈降センサのマイクロヒータ(1つ以上の)に関連信号を印加するための、また例えばホイートストンブリッジ構成を介して、マイクロカンチレバー沈降センサに組み込まれている変位/温度センサの出力信号をサンプリングするための、適切な電子論理回路手段を備えている場合がある。この装置は、さらに、入力信号および出力信号を処理し、それによって、速度などの沈降パラメータの結果を、直接に、または較正(制御環境内での使用前または使用後の)後に供給するように、および/または表示するように構成された処理論理回路を備えている場合がある。後使用/先使用制御環境には、限定するものではないが、例えば沈降値、ヘマトクリット値などの既知のパラメータ値を備えている環境が含まれる場合がある。制御環境などからの較正データ(すなわち、既知の流体媒質試料環境内で、実質的に同一のマイクロカンチレバー沈降センサを用いて得られ、したがって、未知の流体媒質環境における沈降の適切な特定を可能にする較正データ)を保持するために用いることができるように、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュRAM、または他の任意の適切な記憶装置などの記憶手段を装置総体に組み込むことができ、また処理論理回路に動作可能に結合させることができる。
上述のいくつかの実施形態、特にアクティブ差動検出に関する実施形態において説明した各マイクロカンチレバー沈降センサは、マイクロカンチレバー沈降センサごとに異なるコーティングを施されているか、または両方の/全てのマイクロカンチレバー沈降センサに、同じコーティングを施されているか、または両方の/全てのマイクロカンチレバー沈降センサにコーティングが施されていない、のいずれかとなることに留意されたい。異なるコーティングを施す方式は、例えば次のような理由で用いられる場合がある。
コーティングを施さない事例においては、コーティングを施さないということは、検査対象の流体(混合物)のみが解析され、コーティング剤に基づくいかなる形態の反応も解析されない(コーティング剤が存在しないのであるから)ということを意味する。これは、検査対象の流体に、特定の時点で試薬を混入させることができるか、またはこのことが必要があり、混入前から、混入時、並びに混入後の「最終定常状態」(当てはまる場合)に至るまでの全ての検査結果を検出し、解析し、その結果をモニタすることができる場合に、特に有用である。
異なるコーティングが施される事例においては、例えば同一のバルク流体中で、相異なる複数の反応検査を行うことができる(例えば種々の試薬に基づく反応比較検査を行うために)。例えば第1のマイクロカンチレバー沈降センサに、第1の試薬でコーティングを施し、第1の試薬に基づく検査を実行して、検出された沈降パラメータまたは浮揚パラメータから、検査対象のバルク流体についての第1のパラメータを特定し、次いで、第2のマイクロカンチレバー沈降センサに、第2の試薬でコーティングを施し、第2の試薬に基づく検査を実行して、検出された第2の沈降パラメータおよび/または浮揚パラメータから、検査対象のバルク流体についての第2のパラメータを特定することができる。マイクロカンチレバー沈降センサごとにコーティングを異ならせて、この検査の数を、任意の適切な検査の数まで拡張することができる。
各マイクロカンチレバー沈降センサは、多様な形状を呈することができ、その遠位端(すなわち変位端)に、所望の効果(例えば検査中の流体中で受ける抗力の大きさなど)に応じて、任意の適切なあらかじめ定められた形状およびサイズを有するパドル部を備えている場合があり、また、2つの小部分間に1つ以上の開口を有している場合がある〔図1(この場合は、マイクロカンチレバー沈降センサの長さ方向に沿って単一のスリットが示されている)に示されているように〕。
本明細書に記載されているいかなる部分、実施例、実施形態、または特許請求の範囲を、本発明の特徴を限定するものとして解釈すべきではない。本発明の特徴として、上記した以外の事項も考えられるが、本発明の説明および特許請求の範囲を不明瞭にしないために、すべてを完全に記載した訳ではない。上記した記載の順序および請求項の番号は、特徴の選択および特徴の組み合わせを、その特徴の組み合わせが物理的に不可能でない限り、限定するものとして解釈すべきではない。本発明の複数の特徴における一部の選択を変更することにより、有用かつ重要な判断または観察能力をもたらす相乗効果に変化を与えることは理解しうると思う。諸要素に関する様々の組み合わせも考えられるが、混乱を避けるために、すべてを完全に記載することは避ける。
100、100’、200、210 マイクロカンチレバー沈降センサ
110 マイクロカンチレバーアクチュエータ
120、135、165 矢印
130、160 懸濁液
140 マイクロヒータ
150 変位センサ
250 試料検査チャンバ
300、400、500、600 電気的応答
310、320、330、340、415、435,510,520,530,540、610、620、630、640 グラフ
315、335 出力信号
350 初期沈殿による寄与分
410、430 データ点
420 時刻
700 仕切り片
710 仕切り片の通孔部

Claims (17)

  1. 流体媒質試料中の懸濁液または沈殿物の沈降パラメータを測定する方法であって、
    異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を有し、ヒータおよびピエゾ抵抗型センサが一体化されている少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサを用意するステップと、
    前記マイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスで前記ヒータをパルス駆動するステップと、
    前記流体媒質試料における前記懸濁液または沈殿物の沈降中に、前記マイクロカンチレバーセンサの応答の特性を得るために、前記一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力をサンプリングするステップと、
    前記得られた特性を有する応答から、前記沈降パラメータの値を特定するステップと
    前記沈降パラメータの測定と同時に、前記マイクロカンチレバーセンサを用いて、前記流体媒質試料の温度を測定するステップと、この温度に基づいて、前記測定された沈降パラメータの値を補正するステップとを含む方法。
  2. 前記特定された沈降パラメータの値から、前記流体媒質試料におけるあらかじめ定められた反応の特性を特定するステップを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記懸濁液の体積パーセントを特定するステップを、さらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記マイクロカンチレバーセンサの較正された応答特性を形成するために、前記マイクロカンチレバーセンサの少なくとも1つの応答を、既知の基準の体積パーセントを有する懸濁液の応答に対比させて較正するステップを、さらに含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 前記流体媒質試料は、生物学的試料を含み、前記あらかじめ定められた反応の特性を特定するステップには、赤血球沈降速度を特定するステップと、沈殿の免疫学的測定を行うステップとのうちの任意の1つ以上が含まれている、請求項に記載の方法。
  6. 前記懸濁液または前記沈殿物の沈降パラメータに、
    沈降速度と、
    沈降の有無と、
    沈降のあらかじめ定められた量と、
    沈降の公称絶対値と、
    懸濁液濃度と、
    ヘマトクリット値とのうちの
    いずれか1つが含まれている、請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
  7. 前記懸濁液または前記沈殿物の沈降パラメータは、1つ以上の反応の生成物に由来するか、または1つ以上の反応もしくはフロック剤の作用に直接に由来する、請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
  8. 測定された前記沈降パラメータに基づいて、前記流体媒質試料中の膜組織をよぎる拡散速度または灌流速度、前記流体媒質試料中のなんらかの面から離脱する懸濁液または沈殿物の拡散、前記流体媒質試料中の細胞凝着のうちの任意の1つ以上を測定するステップを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、前記沈降パラメータの値の位置別のモニタリングを可能にするように、前記流体媒質試料中に物理的に分配されている、請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、複数のマイクロカンチレバーセンサを備えており、これら複数のマイクロカンチレバーセンサは、前記沈降が生じる方向の軸に沿って物理的に分配されている、請求項1に記載の方法。
  11. 第1の流体媒質試料中に位置させるための第1のマイクロカンチレバーセンサと、第2の流体媒質試料中に位置させるための第2のマイクロカンチレバーセンサとを含む、実質的に同じ特性を有する少なくとも2つのマイクロカンチレバーセンサを用意するステップ、および前記第1および第2のマイクロカンチレバーセンサが、それぞれ前記第1および第2の流体媒質試料中に浸漬されているときに、前記第1のマイクロカンチレバーセンサと一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力と、前記第2のマイクロカンチレバーセンサと一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力とを比較するステップをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
  12. 前記第1の流体媒質試料は制御流体媒質試料であり、前記第2の流体媒質試料は懸濁液を含んでおり、前記第1のマイクロカンチレバーセンサは、制御用マイクロカンチレバーセンサであり、前記第2のマイクロカンチレバーセンサは、測定用マイクロカンチレバーセンサである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第1の流体媒質試料は、懸濁液を含んでいる流体媒質の第1の試料であり、前記第2の流体媒質試料は、懸濁液を含んでいる流体媒質の第2の試料であり、前記第1のマイクロカンチレバーセンサは、第1の位置および/または向きを取るようになっている測定用マイクロカンチレバーセンサであり、前記第2のマイクロカンチレバーセンサは、第2の位置および/または向きを占めるように配置されている測定マイクロカンチレバーセンサである、請求項11に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサを反転させるステップと、
    前記マイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスで前記ヒータを再度パルス駆動するステップと、
    前記流体媒質試料における前記懸濁液または沈殿物の沈降中に、前記マイクロカンチレバーセンサの反転応答の特性を得るために、前記一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力を再度サンプリングするステップと、
    前記得られた特性を有する反転応答から、前記沈降パラメータの値を特定するステップとをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. 流体媒質試料中の懸濁液または沈殿物の沈降パラメータを測定する装置であって、
    異なる熱膨張係数を有する少なくとも2つの材料を有しており、ヒータおよびピエゾ抵抗型センサを一体化されている少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサと、
    前記マイクロカンチレバーセンサ内に発熱を生じさせるために、1つ以上の電気パルスで前記ヒータをパルス駆動するように構成されている加熱手段と、
    前記流体媒質試料における前記懸濁液または沈殿物の沈降中に、前記マイクロカンチレバーセンサの応答の特性を得るために、前記一体化されているピエゾ抵抗型センサの出力をサンプリングするように構成されているサンプリング手段と、
    前記得られた特性を有する応答から、前記沈降パラメータの値を特定するように構成されている論理回路とを備え
    前記論理回路は、前記沈降パラメータの測定と同時に、前記マイクロカンチレバーセンサを用いて、前記流体媒質試料の温度を測定し、この温度に基づいて、前記測定された沈降パラメータの値を補正するように構成されている、装置。
  16. 前記装置は、2つの小チャンバを有する試料検査チャンバを、さらに備えており、前記少なくとも1つのマイクロカンチレバーセンサは、2つのマイクロカンチレバーセンサを備えており、該2つのマイクロカンチレバーセンサのうちの一方および他方は、それぞれ前記2つの小チャンバのうちの一方および他方内に配置されている、請求項15に記載の装置。
  17. 前記装置は、さらに、2つのマイクロカンチレバーセンサを備えており、前記試料検査チャンバの2つの小チャンバの各々は、2つのマイクロカンチレバーセンサを有しており、該2つのマイクロカンチレバーセンサのうちの一方および他方は、それぞれ前記試料検査チャンバの対向し合う2つの端部の一方および他方に、適切な軸に沿って、互いに向き合って配置されている、請求項16に記載の装置。
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