JP6116286B2 - 発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、発銹起点となるCaSなど水溶性の硫化物系非金属介在物の生成を抑制したフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
フェライト系ステンレス鋼をはじめとする鉄鋼材料では、CaSなどの水溶性の硫化物系非金属介在物を起点とした発銹が問題となる。このCaSなどによる発銹を抑制する方法としては、溶製条件により行う方法が知られている。
例えば特許文献1では、CaSの生成を抑制するために、鋼中のCa量を10ppm未満とすることを提案している。この方法では、酸化物の組成が高CaOとなった場合には、その周囲に水溶性硫化物系非金属介在物のCaSが生成し発銹起点となる。
しかしながら、鋼中の酸化物は脱酸元素や精錬スラグの懸濁にも影響されるため、[Ca]濃度の管理のみでは不十分である。CaS生成を抑制するためには[Ca]濃度だけではなく、他の鋼中成分や酸化物系介在物組成の制御も重要なことが明らかになってきている。
特許文献2に示されるような酸化物系非金属介在物の組成と非金属介在物中の平衡S溶解量を0.03%以下に制御することで水溶性硫化物系非金属介在物CaSの析出を抑制する方法がある。この方法は、溶製・鋳造工程における非金属介在物組成を制御することを対象としており、スラブ加熱時に介在物と鋼材が反応してCaSが生成することまでは考慮しておらず、発銹を完全に防止できないことが問題であった。
また、本発明者らは、特許文献3にて、S濃度の低減と酸化物系介在物の平均組成を制御することによって、フェライト系ステンレス鋼板の発銹を低減する手法を開示している。特許文献3の手法は、X値で表される介在物平均組成の関係式において0.50以下の範囲で非常に有用なものであった。ただ、実機製造を考慮すると、制御すべき酸化物系介在物組成範囲を広げることが求められており、更なる改善が要求されていた。
特開平06−000599号公報 特開2001−107178号公報 特開2012−184494号公報
ステンレス鋼板の発銹を低減する製造方法では、前述のような非金属介在物組成を制御するために、溶製工程での脱酸剤の投入時期やスラグ精錬方法など厳しい工程管理が必要とされている。しかしながら、溶製時に生成した非金属介在物と鋼材の組成によっては、その後のスラブ加熱工程において酸化物周囲に硫化物が析出・成長し、発銹の起点となる場合がある。本発明はスラブ加熱時の硫化物生成までを考慮して、鋼中成分と非金属介在物組成を制御し、最終製品の発銹を改善することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、下記のフェライト系ステンレス鋼からなる。
[1]酸化物系介在物を含むフェライト系ステンレス鋼であって、該フェライト系ステンレス鋼は、質量%で、C:0.070%以下、N:0.020%以下、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.04〜0.50%、P:0.050%以下、Cr:13〜21%、Ni:0.60%以下(0を含む)、S:0.0002〜0.0030%、Al:0.004〜0.030%、Ca:0.0030%以下、T.O:0.007%以下を含有するとともに、下記(1)式を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、前記酸化物系介在物はCaO、及びAl23を含有するとともに、最大径2μm以上の平均組成が下記(2)、(3)式を満足することを特徴とする発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
[Ca]×[S]×10≦2.4−0.18×[Al]/T.[O] ・・・(1)
0.50<[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)]≦1.3
・・・(2)
(FeO)≦1.0 ・・・(3)
但し、式中の[元素名]は、当該元素の質量%を、(化合物名)は、当該化合物の含有質量%を意味する。
[2]前記フェライト系ステンレス鋼が、更に、質量%でTi:0.35%以下を含有し、前記酸化物系介在物はCaO、及びAl23を含有するとともに、最大径2μm以上の平均組成が下記(4)式を満足することを特徴とする前記[1]に記載の発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
0.50<[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)+(TiO2)]≦1.30
・・・(4)
前記フェライト系ステンレス鋼が、更に、質量%で、Cu:0.1〜0.5%、Mo:0.1〜2.0%、Nb:0.1〜0.7%、B:0.001%以下、Sn:0.3%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
本発明は、ステンレス鋼板の表面に存在する非金属介在物に関して、スラブ加熱工程における水溶性CaSなど硫化物系非金属介在物の生成を防止し、発銹を大幅に抑制することを可能とするものである。
鋼片および熱処理後の介在物の組成分布を示す図である。 鋼材成分とSST発銹発生の関係を示す図である。 X値とSST発銹発生の関係を示す図である。 (FeO)濃度とSST発銹発生の関係を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、特に指定しない限り、%は質量%を意味する。また、[元素名]濃度は、当該元素の質量%を、(化合物名)濃度は、当該化合物の含有質量%を意味する。
まず、本発明の基礎となった知見が得られた試験について説明する。
Ar雰囲気の高周波溶解炉にて、C:0.003〜0.065wt%、Mn:0.10〜0.53wt%、P:0.011〜0.030wt%、S:0.0002〜0.0040wt%、Cr:13〜21wt%、のフェライト系ステンレス鋼となるよう原料を溶解し、Si脱酸後、Al脱酸した後、Ca添加またはフラックス(67%CaO−23%Al−10%CaF)添加を施して、酸化物組成をCaO−Al−SiOを主に含有する酸化物に制御した。この際、脱酸元素であるSi、Al、Caの濃度をそれぞれSi添加量:0.10〜0.50%、Al添加量:0.01〜0.07%、Ca:0.0002〜0.005%と変化させ、また、フラックス添加量を溶鋼1kg当り0.05〜0.10kg、処理時間を5〜30minの範囲で変えることによって、鋼中のメタル成分と酸化物組成を変更した。また、高周波溶解時の撹拌力などを変更することで介在物個数を変更させるようにした。
この溶鋼を鋳造し、1200℃で1時間保持する熱処理を行った後に鋳片C断面の表層から5〜20mmの任意の位置において、最大径が2μm以上の介在物を10個選んで、その組成および形態をEPMAによって調査し、CaSの生成有無を確認した。なお、ここで介在物の最大径を限定した理由は、最大径2μm未満の微細な介在物は発銹の起点にはなり難いためである。また、この鋳片を圧延した薄鋼板から試験片を採取し、この試験片について、塩水噴霧試験−JIS−Z−2371(以下、SST)を実施した。さらに、SST試験を行った試験片についても、SEM−EDXにて調査し、CaSによる発銹を確認した。
図1に、鋳片の熱処理前および熱処理後(1200℃×1hr)の介在物のEPMA測定結果を示す。熱処理後にはCaO−Al主体の酸化物の周囲にCaSが析出している様子が確認された。また、酸化物中にCaSの析出している鋼片から得られた薄鋼板では、SST発銹量が多く、しかも酸化物の周囲のCaSを起点として錆が生成していることが判明した。
酸化物周囲におけるCaS生成反応は下記の(A)式のように考えられ、介在物組成以外に鋼中の[S]濃度や[Al]濃度の影響が挙げられる。
3(CaO)+3[S]+2[Al]→ 3(CaS)+(Al23) ・・・(A)
また、従来知見のような、介在物中の(CaO)濃度を、[Ca]濃度やT.[O]濃度から推定するだけでは十分でなく、鋼材成分の制御が重要であることを見出した。
そこで、鋼材成分とCaSの析出状態および発銹状況からさらに検討を重ねた結果、[Ca]、[Al]、T.[O]濃度が高いほど、また[S]濃度が低いほど、酸化物の周囲にCaSが析出し、発銹の起点となることが判明した。これらは、(A)式の反応の進行に対応するものと考えられる。
続いて、上述した元素の含有量割合をどのように制御するかについて検討した。
まず、上記のように作成した、[Ca]、[S]、[Al]、T.[O]濃度の異なるフェライト系ステンレス鋼材であって、他は本発明の要件を満たす鋼材を多数準備して、それらの濃度とSST発銹発生との関係を調べた。
CaS生成は非金属介在物を含めた鋼材中の[Ca]濃度と[S]濃度に大きく影響される。また、(A)式の反応のように、CaOとCaSの置換反応が起きるが、放出されたOはAlで固定される。さらに、その挙動が鋼材中のT.[O]濃度の影響も受けることも考慮して実験データを統計処理した結果、〔(2.4−0.18×[Al]/T.[O])−[Ca]×[S]×10〕の値をパラメータとして実験結果を整理することとした。
図2に、鋼材中の[Ca]、[S]、[Al]、T.[O]濃度に基づく上記パラメータの値とSST発銹の個数との関係を示す。図中、発銹個数が5個/100cm以下のものを○印で、6個/100cm以上を×印で示した。
この結果から、上記パラメータの値が0以上、すなわち、下式(1)を満足する範囲では発銹が抑制できることが分かった。なお、発銹個数が6個/100cm以上の場合は目視観察で発銹が目立つため、今回は5個/100cm以下をしきい値として設定した。
[Ca]×[S]×10≦2.4−0.18×[Al]/T.[O]・・・(1)
さらに、酸化物組成についても数多く調査し、酸化物組成とCaSの析出状態および発銹状況から検討を重ねた。
本発明者らは、特許文献3で、(CaO)、(MgO)、(Al23)、(SiO2)、(TiO2)濃度を制御することを提案したが、鋼材成分の濃度を上記式(1)を満たすようにすれば、これらの酸化物の濃度を制御する幅を広げることが可能であることが判明した。なお、MgOは耐火物の溶損に起因して混入するものである。
まず、上記のように作成したフェライト系ステンレス鋼材であって、介在物の組成以外は本発明範囲内に制御したフェライト系ステンレス鋼材を用いて、鋼材中に存在するCaO、及びAl23を含有する酸化物系介在物であって、最大径2μm以上の介在物の平均組成とSST発銹個数の関係を調べた。
図3に、その介在物中の(CaO)、(MgO)、(Al23)、(SiO2)濃度について、X値=[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)]とSST発銹個数の関係を調べた結果を示す。なお、〇と×の内訳は図2と同様である。
図3の結果から、X値が1.3の範囲まで、すなわち下記の(2)式を満たす範囲で、発銹を抑えることが可能であることが分かった。なお、X値の好ましい下限は、0.50超である。
[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)]≦1.3 ・・・(2)
なお、特許請求の範囲では、(2)式の下限を好ましい値の0.50超とした。
ここで、制御する対象をCaO、及びAl23を含有する酸化物系介在物であって、最大径2μm以上の介在物としたのは、前述のようにCaO−Al主体の介在物の周囲にCaSが析出して発銹の起点となるが、最大径2μm未満の微細な介在物は発銹の起点にはなり難いためである。
このX値の制御は、式を構成する各化合物量を調整することによって行うが、これらの含有量は脱酸元素やフラックスとして意図的に添加する以外にも溶鋼中に懸濁するスラグの量、耐火物からの混入、溶製・鋳造工程における介在物の浮上分離除去量、など、使用している設備や操業条件で異なってくる要因が大きく影響する。したがって、これら設備・操業要因を考慮して脱酸元素やフラックスの添加量、処理時間を適宜調整することで制御することができる。
さらに、鋼材中に存在するCaO、及びAl23を含有する酸化物系介在物であって、最大径2μm以上の介在物について、(CaO)、(MgO)、(Al23)、(SiO2)、(TiO2)濃度以外の他の酸化物の影響を調べた結果、(FeO)濃度がSST発銹発生と関係があることを見出した。
図4に介在物中の(FeO)濃度とSST発銹個数の関係を示す。なお、(FeO)濃度以外は本発明範囲内に制御した鋼材を用いている。図4の結果から、(FeO)濃度が、下記(3)式で表されるように1.0%を越えるとCaS生成が促進され、発銹しやすくなることが分かった。
(FeO)≦1.0 ・・・(3)
(FeO)濃度が高い場合には、熱処理時において介在物中にCaO−Al23−FeO系の液相がわずかながら存在するため、(A)式の反応が容易に起こると考えられる。なお、(FeO)濃度は脱酸元素が多い場合やフラックス量、処理時間が多い場合に低い傾向がある。(FeO)の制御についても、上記介在物中の(CaO)等の制御同様、設備や操業要因を考慮し、脱酸元素やフラックスの添加量、処理時間を適宜調整することで適正な範囲にすることができる。
以上説明した要件を兼ね備えることによって、本発明の効果を得ることが可能となるが、さらに、S、Al、Ca、T.[O]については、上記(1)式を満たすとともに、下記に示す範囲を満たすことが必要になる。以下、その範囲と限定理由について説明する。
Sは発銹を防止するため、0.0002〜0.0030%に制御する。好ましくは、0.0020%以下である。
Alは、強力な脱酸および脱硫元素として有用な元素である。しかしながら、過剰に添加すると製造時に表面疵を生じやすくなる。また、Alが低い場合には脱酸および脱硫ができなくなる。このため、0.004〜0.030%とする。好ましくは、0.020%以下である。
Caを添加されない場合も、精錬スラグの懸濁に起因したCaO主体の介在物が生成し、温度降下に伴う脱酸反応によりCaO−Al−SiO主体の介在物が形成される。[Ca]濃度が0.0010%未満でも上記のような介在物が主体になり、脱硫などの溶製条件や二次精錬における介在物除去などの影響も大きく受ける。
Caが0.0030%を越える場合は鋳片段階でCaSの生成が確認され、発銹の原因になるため、Caを0.0030%以下に下げる必要がある。好ましくは、0.0020%以下であり、更に好ましくは0.0012%以下である。
T.[O]濃度は、主に脱酸材の添加や精錬条件に左右される。T.[O]濃度が高い場合には脱硫が困難になり、CaS生成を抑制できなくなるという問題があり、0.007%以下であることが必要である。過度の低減による製造コストアップも考慮した好ましい範囲は、0.0050%以下である。
また、Tiは、フェライト系ステンレス鋼におけるC、N安定化に効果があり、脱酸にも寄与するため、Tiを必要に応じて含有させる場合がある。
しかしながらTiの添加量が多すぎると、製造時に表面疵を生じやすくなり、耐食性および溶接部の強度を下げる。また、本発明はCaO−SiO2−Al23系介在物を対象としており、Ti添加量が多い場合には脱酸生成物中にTi酸化物が含有されてしまうため、添加する場合の望ましい範囲は、0.03〜0.35%である。
なお、Ti酸化物もCaSの生成に影響を及ぼすため、Tiを含有させる場合、上述したX値は、()式に替えて下式(4)を満たすことが必要となる。
[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)+(TiO2)]≦1.3
・・・(4)
なお、特許請求の範囲では、(2)式と同様に(4)式の下限を0.50超とした。
本発明は、上述した通り、脱酸および介在物組成制御に関するものであり、一般的に製造されている全てのフェライト系ステンレス鋼に適用可能なものである。以下に好適に用いることが出来る成分範囲を示すが、それらに限定されるものではない。
Cは、析出物の影響で耐食性を劣化させるため、0.070%以下にすることが好ましい。また、過度に低減することは製造コストの増加につながるため、更に好ましくは0.05%以下である。
Nは、靭性劣化のため、0.020%以下にすることが好ましい。更に好ましくは、0.01%以下である。
Siは、脱酸元素として有用であり、耐食性にも有効な元素である。しかし、多すぎると加工性が低下するために、0.05〜0.60%含有させることが好ましい。更に好ましい範囲は0.10〜0.50%である。また、SiはTiとの相互作用が大きく、溶鋼中のTiの活量を大きくする効果があるために、Ti添加の有効活用も考慮して添加量が選択される。
Mnは脱酸剤として機能するとともに、熱間加工性を向上させる元素である。また、SをMnSとして固定して、FeSの生成による赤熱脆性の発生を防止する元素である。これらの添加効果を得るため、0.04〜0.50%にすることが好ましい。
Pは、製鋼工程では不純物である。0.05%を超えると、熱間加工性が低下するので、0.05%以下とした。好ましくは0.03%以下である。
Crは耐食性改善のため、13〜21%含有させることが好ましい。更にこのましくは、16〜20%である。
Niは耐食性改善の効果があるが、高価であり、0.60%以下(0を含む)にすることが好ましい。
また、上記成分組成をベースとして考える場合は、必要に応じてCu、Mo、Nb、B、Snから1種以上を更に含有させることが出来る。
Cuは耐食性改善のために添加されるが、過剰の添加では鋳造および圧延時の割れが発生するため、0.1〜0.5%にすることが好ましい。
Moは耐食性改善のために添加されるが、高価であり、0.1〜2.0%にすることが好ましい。
NbはCやNの固定、高強度化、耐熱性改善のため、0.1〜0.7%にすることが好ましい。更に好ましくは0.2〜0.6%である。
Bは二次加工割れ防止の目的で添加されるが、過剰の添加は耐食性を劣化させるため、0.0010%以下にすることが好ましい。なお、Bの効果を得るには0.0005%以上とするのが好ましい。
Snは耐食性改善のため添加されるが、過剰の添加では鋳造および圧延時の割れが発生するため0.3%以下にすることが好ましい。なお、Snの効果を得るには0.05%以上が好ましい。
また、記載した以外の元素についても、本発明の効果を損なわない範囲において適宜含有させることが可能である。
本発明の実施例を以下に記す。なお、実施例は、本発明の実施可能性や効果を示すための一例であって、これに限定されるものではない。
表1に記す成分組成のフェライト系ステンレス鋼を前述のようにAr雰囲気の高周波溶解炉で溶製、鋳造した。これを熱間圧延、熱延板焼鈍・酸洗、冷延、冷延板焼鈍・酸洗を実施し、1.0mmの冷延板を作製した。なお冷延板焼鈍の温度は、各々の鋼材の再結晶温度に基づき950〜1050℃の間で調整した。なお、表1の空欄は、添加していないため測定していないことを表す。
また、鋳造後の鋳片を1200℃で1時間熱処理し、空冷したサンプルについて、上述した方法で2μm以上の介在物の組成、及び個数密度を調査した。また、塩水噴霧試験−JIS−Z−2371に準拠して、5%NaCl溶液を用いて、35℃−4時間の連続噴霧試験を行い、これらの結果を表2に記載した。なお、冷延板についても同様に調査したが、介在物組成は変化していなかった。
本発明鋼であるNo.1〜10の鋼ではSST発銹個数が5個/100cm以下であり、良好な耐食性を示した。一方、本発明の鋼成分範囲を外されたNo.11〜13ではSST発銹個数が6個/100cm以上と多く、耐食性に劣ることを確認した。また、鋼成分は満たすものの、(1)式の範囲が外れているNo.14〜16も、SST発銹個数が多く、耐食性に劣っていた。
本発明の範囲を外されたNo.17ではCa添加の代わりにフラックス添加(67%CaO−23%Al−10%CaF、0.05kg/kg−steel)を施して、30min処理したが、[Al]濃度が低かったために、T.[O」が高く、また十分な脱硫も得られず、SST発銹個数が多く、耐食性に劣ることを確認した。
また、No.18、No.19では、鋼成分組成や(1)式を満たすものの、FeO濃度、又は、X値が範囲外となっており、SST発銹個数が多く、耐食性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 酸化物系介在物を含むフェライト系ステンレス鋼であって、
    該フェライト系ステンレス鋼は、質量%で、
    C:0.070%以下、
    N:0.020%以下、
    Si:0.05〜0.60%、
    Mn:0.04〜0.50%、
    P:0.050%以下、
    Cr:13〜21%、
    Ni:0.60%以下(0を含む)、
    S:0.0002〜0.0030%、
    Al:0.004〜0.030%、
    Ca:0.0030%以下、
    T.O:0.007%以下
    を含有するとともに、下記(1)式を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    前記酸化物系介在物はCaO、及びAl23を含有するとともに、最大径2μm以上の平均組成が下記(2)、(3)式を満足することを特徴とする発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
    [Ca]×[S]×10≦2.4−0.18×[Al]/T.[O] ・・・(1)
    0.50<[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)]≦1.3
    ・・・(2)
    (FeO)≦1.0 ・・・(3)
    但し、式中の[元素名]は、当該元素の質量%を、(化合物名)は、当該化合物の含有質量%を意味する。
  2. 前記フェライト系ステンレス鋼が、更に、質量%でTi:0.35%以下を含有し、前記酸化物系介在物はCaO、及びAl23を含有するとともに、最大径2μm以上の平均組成が下記(4)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
    0.50<[(CaO)+(MgO)]/[(Al23)+(SiO2)+(TiO2)]≦1.30
    ・・・(4)
  3. 前記フェライト系ステンレス鋼が、更に、質量%で、
    Cu:0.1〜0.5%、
    Mo:0.1〜2.0%、
    Nb:0.1〜0.7%、
    B:0.001%以下、
    Sn:0.3%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発銹の少ないフェライト系ステンレス鋼。
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