JP6108271B2 - 合成皮革及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ダブルラッセル地の表面に樹脂層が形成されてなる合成皮革及びその製造方法に関する。
合成皮革は、織物、編物、不織布、フィルム等に造面加工をしたもので、インテリア、椅子地、シューズ、ケース等に広く用いられている。見栄え性、クッション性を付与するために、発泡ウレタン層を合成皮革の裏面に形成して使用されることも多い。
一方でダブルラッセル地は、表面、中糸、裏面の3層構造となっており、生地自体にクッション性がある。ダブルラッセル地は、クッション性を活かしてベットマット、椅子地、シューズ等に広く用いられている。
ところで、分散染料で染色されたポリエステル繊維からなるダブルラッセル地の表面に造面加工して合成皮革を作製した場合、ダブルラッセル地に含まれる分散染料が造面加工した面に移行するという問題がある。そのため、分散染料で染色されたダブルラッセル地は造面加工し難い素材であった。
特許文献1には、表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル層から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成したことを特徴とする経畝構造のダブルラッセル編地が記載されている。そして、レギュラーポリエステル糸と、カチオン可染ポリエステル糸とを3本交互に配置して、一枚の筬より供給し、他の筬についてもレギュラーポリエステル糸とカチオン可染ポリエステル糸を3本交互に配置して編成し、後工程の染色段階で両素材を染分ける事で、異色柄の市松模様を表現することが記載されている。
特許文献2には、ポリエステル繊維から構成された基布の少なくとも片側面に、ポリエステル系エラストマーが被覆されていることを特徴とする鞄地が記載されている。そして、基布を構成するポリエステル繊維がカチオン染料により着色されたカチオン染料可染性ポリエステル繊維であることが好ましいことが記載されている。
しかしながら、特許文献1には、ダブルラッセル地の表面に樹脂層を形成することに関しては一切記載されていない。また、特許文献2の鞄地は、防水性を付与するための樹脂面が鞄の内側に配され、基布面が鞄の外側に配されることを想定して製造されたものであり、樹脂面側から見た外観については何ら考慮されていない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、クッション性に優れ、表面樹脂層の耐剥離性に優れ、外観が美しく、しかも基布から表面樹脂層への染料の移行を防ぐことができる合成皮革を提供するものである。
上記課題は、ダブルラッセル地の表面に樹脂層が形成されてなる合成皮革であって;該ダブルラッセル地が表編地、裏編地及びそれらを繋ぐパイル層からなり、該表編地を構成する繊維がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維であり、かつ該表編地側に前記樹脂層が形成されてなることを特徴とする合成皮革を提供することによって解決される。
このとき、前記ポリエステル繊維が、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなるポリエステルからなり、該ジカルボン酸成分に下記式(I)で表される成分が含まれることが好適である。
[上記式(I)中、Xは、金属イオン、4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
このとき、前記ジカルボン酸成分にさらにシクロヘキサンジカルボン酸成分が含まれることが好適である。
前記表編地、前記裏編地及び前記パイル層のいずれもがカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなることが好適である。前記表編地及び前記裏編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、前記パイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなることも好適である。前記表編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、前記裏編地及び前記パイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなることも好適である。
また、前記表編地を構成する繊維の単糸繊度が0.3〜4.0dtexであることが好適である。
上記課題は、上記合成皮革の製造方法であって、カチオン染料で染色された前記ダブルラッセル地の、前記表編地側に前記樹脂層を形成することを特徴とする合成皮革の製造方法を提供することによっても解決される。
本発明の合成皮革は、クッション性に優れ、表面樹脂層の耐剥離性に優れ、外観が美しく、しかも基布から表面樹脂層への染料の移行を防ぐことができる。特に、合成皮革の基布として染色されたポリエステル繊維からなるものを用いた場合に、ポリエステル繊維中の染料が表面樹脂層に移行するのを効果的に防止することができる。
本発明は、ダブルラッセル地の表面に樹脂層が形成されてなる合成皮革に関する。ここで、本発明で用いられるダブルラッセル地は、表編地、裏編地及びそれらを繋ぐパイル層からなるものである。本明細書において、ダブルラッセル地の表面に樹脂層を形成することを、造面加工ということがある。
ポリエステル繊維は、強度及び弾性率が高く、耐薬品性及び耐候性に優れ、熱セット性及び形態安定性にも優れている。そして、ダブルラッセル地は、表編地、裏編地及びそれらを繋ぐパイル層で構成されるので、シングルラッセル地と比べてクッション性に優れている。したがって、ポリエステル繊維からなるダブルラッセル地は合成皮革の基布に適している。本発明においては、表編地を構成する繊維がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維であり、かつ該表編地側に樹脂層が形成されてなることが重要である。表編地を構成する繊維をカチオン染料で染色されたポリエステル繊維とすることで、樹脂層に染料が移行することを防ぐことができる。また、カチオン染料で染色することの可能なポリエステル繊維で表編地を構成した場合には、カチオン染料で染色することのできないポリエチレンテレフタレート繊維を用いた場合と比べて、樹脂層の剥離強度が向上する。
カチオン染料で染色されたポリエステル繊維が、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなるポリエステルからなり、該ジカルボン酸成分に下記式(I)で表される成分が含まれることが好ましい。
[上記式(I)中、Xは、金属イオン、4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
上記式(I)で表される成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸アルカリ金属塩基を有するジカルボン酸成分;5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−エチルトリブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの5−テトラアルキルホスホニウムスルホイソフタル酸成分などを挙げることができる。上記式(I)で表される成分は1種類のみをポリエステル中に共重合させても、また2種以上を共重合させてもよい。上記式(I)で表される成分を共重合させることにより、スルホン酸基がカチオン染料と結合し色を呈するようになる。
ポリエステルに上記式(I)で表される成分を導入するための単量体としては、下記式(II)で示されるものが挙げられる。
[上記式(II)中、Rは水素、炭素数1〜10個のアルキル基又は2−ヒドロキシエチル基を表し、Xは上記式(I)と同様である。]
ジカルボン酸成分のうち、上記式(I)で表される成分の共重合量は、好適には1.0〜3.5モル%である。上記式(I)で表される成分の共重合量が、1.0モル%未満の場合、カチオン染料で染色したときに鮮明で良好な色調にならないおそれがある。一方、上記式(I)で表される成分の共重合量が3.5モル%を超えると、紡糸性が悪く糸にすることが困難となるため好ましくない。上記式(I)で表される成分の共重合量は、より好適には1.2〜3.0モル%であり、さらに好適には1.5〜2.5モル%である。
ここで、テレフタル酸を主成分とするとは、ジカルボン酸成分のうち50モル%以上がテレフタル酸成分であることを意味する。テレフタル酸成分の含有量は、好適には75モル%以上である。低温での染色性を重要視する場合、ジカルボン酸成分として上記式(I)で表される成分に加えて、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)などのシクロへキサンジカルボン酸成分や、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。シクロへキサンジカルボン酸成分や脂肪族ジカルボン酸成分を含むことで、カチオン染料の繊維内部への浸透が容易となり、染色性を向上させることが可能となる。
ジカルボン酸成分のうちシクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合量は、好適には2.0〜10.0モル%であり、より好適には5.0〜10.0モル%である。シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合量が2.0モル%未満では、繊維内部における非晶部位の配向度が高くなるため、常圧環境下で染色する場合、染色性が不足するおそれがある。シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合量が10.0モル%を超えると、繊維内部における非晶部位の配向度が低くなるため、糸強度が小さくなり好ましくない。
ジカルボン酸成分のうち脂肪族ジカルボン酸成分の共重合量は、好適には2.0〜8.0モル%であり、より好適には2.5〜7.0モル%であり、さらに好適には3.0〜6.0モル%である。脂肪族ジカルボン酸成分の共重合量が2.0モル%未満では、常圧環境下で染色する場合、染色性が不足するおそれがある。また、ジカルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸成分が8.0モル%を超えると、繊維内部における非晶部位の配向度が低くなるため、糸強度が小さくなり好ましくない。
また、エチレングリコールを主成分とするとは、グリコール成分のうち50モル%以上がエチレングリコール成分であることを意味する。エチレングリコール成分の含有量は、好適には75モル%以上であり、より好適には90モル%以上である。
本発明の効果を阻害しない範囲において、ポリエステル繊維には、酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛などの艶消剤、リン酸、亜リン酸などの熱安定剤、あるいは光安定剤、酸化防止剤、酸化ケイ素などの表面処理剤などが添加剤として含まれていてもよい。
樹脂層が有色である場合、表編地もほぼ同色であることが好ましい。これによって、樹脂層を通して基布が透けて見えることによる色ムラの発生を防ぐことができる。外観を重視する場合には、裏編地もカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなることが好ましい。外観を特に重視する場合には、表編地、裏編地及びパイル層のいずれもがカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなることが好ましい。
パイル層にカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維を用いれば合成皮革の厚みが大きくなるとともに厚み方向の弾性率が高くなりクッション性も良好になる。クッション性に加えて外観も重視する場合には、表編地及び裏編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、パイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなることが好ましい。
カチオン染料で染色されていないポリエステル繊維を、裏編地に用いると合成皮革の経方向および緯方向の強度が大きくなることが認められた。強度及びクッション性を重視する場合には、表編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、裏編地及びパイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなることが好ましい。外観及び強度を重視する場合には、表編地及びパイル層がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、裏編地がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなることが好ましい。
ここで、カチオン染料で染色されていないポリエステル繊維とは、カチオン染料で染色するときの通常の染色条件において実質的に染色されないポリエステル繊維のことをいう。このようなポリエステル繊維としては、ジカルボン酸成分として上記式(I)で表される成分が含まれないポリエステル繊維を挙げることができ、代表的には共重合成分を含まないポリエチレンテレフタレート繊維である。また、カチオン染料で染色されたポリエステル繊維とは、カチオン染料で染色するときの通常の染色条件において十分に染色されるカチオン染料可染ポリエステル繊維のことをいう。
使用される糸の繊度については特に限定されないが、表編地及び裏編地に用いられる糸の繊度は56〜700デシテックス(dtex)であることが一般的である。表編地を構成する繊維の単糸繊度が0.3〜4.0dtexであることが好ましい。表編地を構成する繊維の単糸繊度が0.3dtex未満であると、カチオン染色したときの発色が悪く、特に黒色のカチオン染料で染色したときの発色が十分でなく、基布が透けて見えるおそれがある。一方、表編地を構成する繊維の単糸繊度が4.0dtexを超えると表編地側に樹脂層を形成したときに、当該表編地側と樹脂層との接触面積が小さくなり十分な剥離強度を得ることができなくなるおそれがある。表編地を構成する繊維の単糸繊度は1.5dtex以下がより好ましく、1.0dtex以下がさらに好ましい。
パイル層に用いられる糸の繊度は10〜350dtexであることが一般的である。パイル層に用いられる糸はマルチフィラメントでも構わないが、ダブルラッセル地のクッション性を高めるためには、パイル層に単糸繊度の太い糸を用いることが好ましく、具体的には11〜55dtexのモノフィラメントが好適に使用される。
本発明の合成皮革の好適な製造方法は、カチオン染料で染色された前記ダブルラッセル地の、前記表編地側に前記樹脂層を形成する方法である。
ここで用いられるダブルラッセル地の製造方法は特に限定されない。ダブルラッセル地は2列のニードルをもつダブルラッセル機で編み立てられた生地で、表編地、裏編地及びそれらを繋ぐパイル層の3層に区分されていることを特徴としている。2列のニードル間を通常釜間と呼んでいるが、この釜間についても特に限定されず、生地厚やクッション性を考慮して、通常2〜10mmとされる。ラッセル地を製造する機械は特に限定はされず、8ゲージから28ゲージまでのダブルラッセル機が一般的である。
ダブルラッセル地において、造面加工を施す面の編組織は特に限定されない。ハニカム構造に代表されるようなメッシュ柄は、繊維と樹脂の接触面積が減少するとともに、造面加工を施す際に樹脂の漏れが発生するおそれがある。造面加工を施す面の編組織は無地調であることが好ましく、テンビ、ハーフ、サテン、二目編等の組織、またはそれらを組み合わせた組織、さらにはそれらとクサリ編を組み合わせた組織等が挙げられる。造面加工を施す面の反対側の編組織は特に限定されず、用途によって決定される。
本発明の製造方法においては、あらかじめ染色されたポリエステル糸を製編してダブルラッセル地としてもよいし、ポリエステル糸を製編してダブルラッセル地とした後に染色してもよい。
本発明の製造方法において、造面加工の方法は特に制限されず、例えば基布に樹脂をコーティングする方法を採用できる。コーティング方法としては、溶融コーティングと溶液コーティングのいずれの方法を採用することができる。さらに、樹脂をコーティングした後、エンボスを施してもよい。また、柄の押された離型紙に樹脂をコートし離型紙の反対側を接着剤で基布に貼り合せる方法も採用することができる。樹脂層の厚みは通常0.1〜1mm程度であり、好適には0.2〜0.6mmである。
また、造面加工に使用する樹脂も、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などいずれも樹脂も用途によって選択することができる。風合いの観点からウレタン系樹脂が好適であり、耐久性やコストの観点からはポリ塩化ビニル樹脂などのビニル系樹脂が好適である。
上述したように、ポリエステル繊維を分散染料で染色した場合、樹脂層に当該分散染料が経時的に移行し、色泣きや色移りを起こして使用困難となる問題があった。しかしながら、本発明の合成皮革は、造面加工を施す面がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維で占められているので、染料が樹脂層に経時移行するのを防止することができる。したがって、合成皮革の外観が美しく、しかも色移りを発生させることがない。
本発明の合成皮革は、クッション性に優れ、表面樹脂層の耐剥離性に優れ、外観が美しく、しかも基材から表面樹脂層への染料の移行を防ぐことができるので、そのような性能を生かす様々な用途に用いることができる。靴、インテリア、事務用家具、車両内装材などの素材として好適に用いられる。中でもクッション性、耐剥離性、外観などの性能が要求される靴用の素材として好適に用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
釜間5mmの22ゲージダブルラッセル機にて、表編地、裏編地及パイル層に表1に記した糸を使用し、表編地をクサリ編及びハーフ組織で編み立て、パイル層にて表編地と裏編地をつなぎ、裏編地をクサリ編及びハーフ組織で編み立てしたダブルラッセル生機を得た。表1に示すように、ここで用いたポリエステル繊維は、ジカルボン酸成分のうち98.3モル%がテレフタル酸であり、1.7モル%が5−ナトリウムスルホイソフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるカチオン染料可染ポリエステル繊維である。そして、この生機を190℃でプレセットした後、130℃の染色温度でカチオン染料にて黒色にし、140℃の仕上げセットをし、24ウェール/2.54cm、48コース/2.54cmの密度に仕上げた。得られた生地の表編地に、黒色顔料又は白色顔料を含んだウレタン系樹脂をナイフコートでコーティングし、130℃で乾燥、熱処理をして合成皮革を得た。樹脂層の厚みは約0.3mmであった。樹脂層の厚みは、以下の実施例及び比較例についても同様であった。
釜間5mmの22ゲージダブルラッセル機にて、表編地、裏編地及パイル層に表1に記した糸を使用し、表編地をクサリ編及びハーフ組織で編み立て、パイル層にて表編地と裏編地をつなぎ、裏編地をクサリ編及びハーフ組織で編み立てしたダブルラッセル生機を得た。表1に示すように、ここで用いたポリエステル繊維は、ジカルボン酸成分のうち98.3モル%がテレフタル酸であり、1.7モル%が5−ナトリウムスルホイソフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるカチオン染料可染ポリエステル繊維である。そして、この生機を190℃でプレセットした後、130℃の染色温度でカチオン染料にて黒色にし、140℃の仕上げセットをし、24ウェール/2.54cm、48コース/2.54cmの密度に仕上げた。得られた生地の表編地に、黒色顔料又は白色顔料を含んだウレタン系樹脂をナイフコートでコーティングし、130℃で乾燥、熱処理をして合成皮革を得た。樹脂層の厚みは約0.3mmであった。樹脂層の厚みは、以下の実施例及び比較例についても同様であった。
得られた実施例1の合成皮革について、剥離強度及び色ムラ及び染料耐移行性を評価した。剥離強度は、JIS L 1089はく離強さに準拠して、生地の表編地にコーティングされた樹脂の剥離強度を測定した。色ムラは、黒色顔料を含んだコーティング面を目視したときに色ムラを感じるか否かで判断した。染料耐移行性は、白色顔料を含んだウレタン系樹脂を形成した合成皮革を用い、JIS L 0850ホットプレッシングに対する染色堅ろう度試験方法(A3号 乾燥)に準拠して染料のコーティング面への移行性を測定した。結果を表1に示す。以下の実施例及び比較例の評価についても同様である。
また、得られた実施例1の合成皮革について、厚み及び引張強度を測定した。厚みは、株式会社尾崎製作所製の「DIAL THICKNESS GAUGE H30」を用いて測定した。引張強度は、JIS L 1096 A法(ストリップ法)に準拠して測定した。結果を表2に示す。
実施例2〜4
表編地のポリエステル繊維の繊度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。
表編地のポリエステル繊維の繊度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。
実施例5
表1に示すように、裏編地のポリエステル繊維を、ジカルボン酸成分の全部がテレフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるポリエステル繊維(以下、レギュラーポリエステル繊維という場合がある)に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
表1に示すように、裏編地のポリエステル繊維を、ジカルボン酸成分の全部がテレフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるポリエステル繊維(以下、レギュラーポリエステル繊維という場合がある)に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
実施例6
表1に示すように、パイル層及び裏編地のポリエステル繊維を、レギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革のクッション性が、実施例1で得られた合成皮革と比べて少し改善されていた。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
表1に示すように、パイル層及び裏編地のポリエステル繊維を、レギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革のクッション性が、実施例1で得られた合成皮革と比べて少し改善されていた。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
実施例7
表1に示すように、表編地のポリエステル繊維を、ジカルボン酸成分のうち88.3モル%がテレフタル酸であり、5.0モル%がシクロヘキサンジカルボン酸であり、5.0モル%がアジピン酸であり、1.7モル%が5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるカチオン染料可染ポリエステル繊維とし、パイル層及び裏編地のポリエステル繊維を、レギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革のクッション性が、実施例1で得られた合成皮革と比べて少し改善されていた。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、表編地のポリエステル繊維を、ジカルボン酸成分のうち88.3モル%がテレフタル酸であり、5.0モル%がシクロヘキサンジカルボン酸であり、5.0モル%がアジピン酸であり、1.7モル%が5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸であり、グリコール成分の全部がエチレングリコールであるカチオン染料可染ポリエステル繊維とし、パイル層及び裏編地のポリエステル繊維を、レギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革のクッション性が、実施例1で得られた合成皮革と比べて少し改善されていた。評価結果を表1に示す。
実施例8
表編地のポリエステル繊維の繊度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。
表編地のポリエステル繊維の繊度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。
実施例9
釜間5mmの22ゲージダブルラッセル機にて、裏編地に84dtex36fのカチオン染料可染ポリエステル繊維を用い、クサリ編×ハーフ組織で編み立て、パイル層に33dtexのカチオン染料可染ポリエステルモノフィラントを用い表編地と裏編地をつないだ。裏編地には、海成分が熱水溶解性ポリマー(株式会社クラレ製の商品名「エクセバール」)であり、島成分が実施例1と同じ組成のカチオン染料可染ポリエステル繊維であり、島数が12、海成分と島成分との重量比(海/島)が6/4の複合紡糸繊維からなる、140dtex24fの糸を用い、クサリ編及びハーフ組織で編み立てしたダブルラッセル生機を得た。この生機を90℃の水に浸漬し、上記熱水溶解性ポリマーを溶解した後、水洗、乾燥した。そして190℃でプレセットした後、130℃の染色温度でカチオン染料にて黒色に染色し、140℃の仕上げセットをし、24ウェール/2.54cm、48コース/2.54cmの密度に仕上げた。得られた生地の表編地に黒色顔料を含んだウレタン系樹脂をナイフコートでコーティングし、130℃で乾燥、熱処理をして合成皮革を得た。
釜間5mmの22ゲージダブルラッセル機にて、裏編地に84dtex36fのカチオン染料可染ポリエステル繊維を用い、クサリ編×ハーフ組織で編み立て、パイル層に33dtexのカチオン染料可染ポリエステルモノフィラントを用い表編地と裏編地をつないだ。裏編地には、海成分が熱水溶解性ポリマー(株式会社クラレ製の商品名「エクセバール」)であり、島成分が実施例1と同じ組成のカチオン染料可染ポリエステル繊維であり、島数が12、海成分と島成分との重量比(海/島)が6/4の複合紡糸繊維からなる、140dtex24fの糸を用い、クサリ編及びハーフ組織で編み立てしたダブルラッセル生機を得た。この生機を90℃の水に浸漬し、上記熱水溶解性ポリマーを溶解した後、水洗、乾燥した。そして190℃でプレセットした後、130℃の染色温度でカチオン染料にて黒色に染色し、140℃の仕上げセットをし、24ウェール/2.54cm、48コース/2.54cmの密度に仕上げた。得られた生地の表編地に黒色顔料を含んだウレタン系樹脂をナイフコートでコーティングし、130℃で乾燥、熱処理をして合成皮革を得た。
実施例10
パイル層をレギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
パイル層をレギュラーポリエステル繊維に変更した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。評価結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして厚みと引張強度を測定した。結果を表2に示す。
比較例1
表1に示すように、表編地、裏編地及びパイル層のポリエステル繊維をレギュラーポリエステル繊維に変更し、分散染料で染色した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。
表1に示すように、表編地、裏編地及びパイル層のポリエステル繊維をレギュラーポリエステル繊維に変更し、分散染料で染色した以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。
比較例2
表1に示すように、表編地、裏編地及びパイル層のポリエステル繊維をレギュラーポリエステル繊維に変更し、ダブルラッセル生機を得た後に当該生機を染色しなかった以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。
表1に示すように、表編地、裏編地及びパイル層のポリエステル繊維をレギュラーポリエステル繊維に変更し、ダブルラッセル生機を得た後に当該生機を染色しなかった以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。
Claims (8)
- ダブルラッセル地の表面に樹脂層が形成されてなる合成皮革であって;
該ダブルラッセル地が表編地、裏編地及びそれらを繋ぐパイル層からなり、
該表編地を構成する繊維がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維であり、かつ
該表編地側に前記樹脂層が形成されてなることを特徴とする合成皮革。 - 前記ジカルボン酸成分にさらにシクロヘキサンジカルボン酸成分が含まれる請求項2に記載の合成皮革。
- 前記表編地、前記裏編地及び前記パイル層のいずれもがカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなる請求項1〜3のいずれかに記載の合成皮革。
- 前記表編地及び前記裏編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、前記パイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなる請求項1〜3のいずれかに記載の合成皮革。
- 前記表編地がカチオン染料で染色されたポリエステル繊維からなり、前記裏編地及び前記パイル層がカチオン染料で染色されていないポリエステル繊維からなる請求項1〜3のいずれかに記載の合成皮革。
- 前記表編地を構成する繊維の単糸繊度が0.3〜4.0dtexである請求項1〜6のいずれかに記載の合成皮革。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の合成皮革の製造方法であって、カチオン染料で染色された前記ダブルラッセル地の、前記表編地側に前記樹脂層を形成することを特徴とする合成皮革の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013131346A JP6108271B2 (ja) | 2012-06-25 | 2013-06-24 | 合成皮革及びその製造方法 |
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