JP6105344B2 - 積層体の製造方法、積層体、太陽電池用カバーガラス、及び太陽熱発電用ミラー - Google Patents

積層体の製造方法、積層体、太陽電池用カバーガラス、及び太陽熱発電用ミラー Download PDF

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Description

本発明は、積層体の製造方法、該製造方法により製造された積層体、並びに該積層体を含む、太陽電池用カバーガラス及び太陽熱発電用ミラーに関する。
近年、世界的な温暖化現象により環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電や風力発電等の環境に優しい再生可能なエネルギーは、炭酸ガス等の温暖化を誘発するといわれているガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が盛んに行われている。なかでも、安全性や扱いやすさに優れることから、特に太陽電池発電の技術が急速に発展している。
太陽電池は、特に近年、大規模発電用として砂漠等の広大な敷地に設置されてきている。大規模発電の場合、家庭用と比較して、より一層高い出力が求められている。さらに、太陽電池の表面に備えられる保護カバーが煤塵や砂塵の堆積等で汚れると、太陽光の光線透過率が低下するため、これにより太陽電池のエネルギー出力が低下しない技術も求められている。そのため、太陽光からの光線透過量を向上して高出力を実現し、かつ太陽電池のエネルギー出力の低下を長期間抑制できる実用的な防汚技術が望まれている。
特許文献1には、高い光線透過率を有するフッ化ナトリウムマグネシウムを用いることによって高い光線透過率を実現するコーティング組成物が開示されている。さらに、特許文献2では透明性と防汚性に優れている有機無機複合組成物が開示されている。
特開2008−266505号公報 国際公開第2007−069596号パンフレット
しかしながら、これらのコーティング組成物を用いた積層体の製造方法では、透明性に優れ、その上耐熱性に優れる塗膜を形成する点において、さらなる改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、耐熱性に優れる積層体の製造方法、該製造方法により製造された積層体、並びに該積層体を含む、太陽電池用カバーガラス及び太陽熱発電用ミラーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基材上に塗膜を形成する際、コーティング組成物中に含まれる重合体エマルジョン粒子成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度で乾燥させ、引き続きガラス転移温度(Tg)以下の特定の温度で養生することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
〔1〕
基材の少なくとも片面に、下記(A)成分と下記(B)成分とを含むコーティング組成物を塗布する第1の工程と、塗布された前記コーティング組成物を乾燥させて有機無機複合塗膜を得る第2の工程と、該有機無機複合塗膜を養生して積層体を得る第3の工程と、を含み、
前記第2の工程における乾燥温度が、前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度(T1)であり、
前記第3の工程における養生温度が、前記温度(T1)以上前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)以下であり、
前記有機無機複合塗膜の厚さが、3200〜1500nmである、
積層体の製造方法。
(A)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
(B)成分:数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
〔2〕
前記第2の工程における乾燥温度が、40℃以下である、前項〔1〕に記載の積層体の製造方法。
〔3〕
前記基材の可視光における全光線透過率が30%〜99%である、前項〔1〕又は〔2〕記載の積層体の製造方法。
〔4〕
前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の積層体の製造方法によって製造された、積層体。
〔5〕
90℃で1500時間以上保管したときの前記有機無機複合塗膜の水接触角が30°未満である、前項〔4〕に記載の積層体。
〔6〕
前記積層体の光線透過率が、前記基材の光線透過率よりも高い、前項〔4〕又は〔5〕に記載の積層体。
〔7〕
前記有機無機複合塗膜の屈折率が、前記基材の屈折率よりも0.1以上低い、前項〔4〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔8〕
前項〔4〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の積層体を含む、太陽電池用カバーガラス。
〔9〕
前項〔4〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の積層体を含む、太陽熱発電用ミラー。
本発明によれば、耐熱性に優れる積層体の製造方法、該製造方法により製造された積層体、並びに該積層体を含む、太陽電池用カバーガラス及び太陽熱発電用ミラーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
〔積層体の製造方法〕
本実施形態に係る積層体の製造方法は、
基材の少なくとも片面に、下記(A)成分と下記(B)成分とを含むコーティング組成物を塗布する第1の工程と、塗布された前記コーティング組成物を乾燥させて有機無機複合塗膜を得る第2の工程と、該有機無機複合塗膜を養生して積層体を得る第3の工程と、を含み、
前記第2の工程における乾燥温度が、前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度(T1)であり、
前記第3の工程における養生温度が、前記温度(T1)以上前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)以下であり、
前記有機無機複合塗膜の厚さが、200〜1500nmである。
(A)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
(B)成分:数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
〔第1の工程〕
本実施形態における第1の工程は、基材の少なくとも片面に、下記(A)成分と下記(B)成分とを含むコーティング組成物を塗布する工程である。
(A)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
(B)成分:数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
(塗布方法)
上記塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、噴霧法、フローコーティング法、ロールコート法、バーコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法が挙げられる。
(基材)
本実施形態で使用される基材は、特に限定されないが、例えば、シート状(板状)のものが挙げられる。基材の材料としては、特に限定されないが、例えば、ガラス及び樹脂が挙げられる。そのなかでも、透明性及び耐候性の観点からガラスが好ましい。ガラスとしては、特に限定されないが、具体的には、一般的なガラスの他、強化ガラス、合わせガラス、複層ガラス、化学強化ガラスが挙げられ、これらを目的に応じて用いることができる。また、樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−フルオロエチレン共重合体が挙げられる。これらの樹脂には耐候性を付与する目的で紫外線吸収剤等の耐候剤等をさらに練り込んでもよい。これらの基材の中でも、厚み2mm以下、より好ましくは1mm以下の厚みの化学強化ガラスが軽量化の観点から好ましい。
基材の可視光における光線透過率は、30%〜99%が好ましく、より好ましくは80%〜99%であり、さらに好ましくは92%〜99%である。光線透過率が上記範囲内であることにより、透過性により優れる傾向にある。また、基材の光線透過率を向上させる目的で基材にテクスチャーを形成していてもよい。ここで「テクスチャー」とは、基材の片面又は両面に規則的に形成される凹凸のことをいう。
〔コーティング組成物〕
本実施形態で用いるコーティング組成物は、(A)成分と(B)成分とを含む。コーティング組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、(A)成分及び(B)成分を、水及び/又は親水性有機溶媒等の溶媒に、溶解及び/又は分散させて調製することができる。溶解及び/又は分散させる温度としては、特に限定されないが、例えば、10℃〜60℃が好ましく、20〜40℃がより好ましく、25〜30℃がさらに好ましい。上記温度とすることにより、より分散性が均一で品質に優れる傾向にある。
コーティング組成物の固形分濃度は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることがさらに好ましい。固形分濃度が1質量%以上であることにより、希釈による不安定化で(A)成分と(B)成分の粒子が沈降することをより防止できる傾向にある。一方、固形分濃度が10質量%以下であることにより、乾燥後の塗膜の膜厚を薄く制御し、塗膜のヒビ割れを防止できる傾向にある。
また、コーティング組成物の20℃における粘度は、好ましくは1〜1000mPa・sであり、より好ましくは2〜100mPa・sであり、さらに好ましくは4〜20mPa・sである。粘度が、1mPa・s以上であることにより、塗装性により優れる傾向にある。また、粘度が、1000mPa・s以下であることにより、取扱い性により優れる傾向にある。
((A)成分)
(A)成分は、数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物である。(A)成分は、(B)成分と相互作用することにより、(B)成分の硬化剤として作用すると考えられる。当該相互作用としては、例えば、(A)成分が一般に有しうる水酸基と、(B)成分が有しうる水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びエーテル基のいずれかと、の水素結合、又は、(A)成分が一般に有しうる水酸基と、(B)成分を構成しうる後述の(b1)成分の重合生成物との縮合(化学結合)等が考えられる。
また、塗膜中では(A)成分と、(B)成分とが相互作用をし、(A)成分が(B)成分の粒子間に連続相を形成して存在することが好ましい。これにより、得られる積層体の光線透過率、耐候性、防汚性がより向上する傾向にある。連続相の形成は、(A)成分の配合量を調整することにより促進することができる。なお、連続相の形成は、断面の形態観察により確認することができる。
(A)成分の数平均粒子径は、1nm〜400nmであり、好ましくは1nm〜100nmであり、より好ましくは3nm〜80nmであり、さらに好ましくは5nm〜50nmである。数平均粒子径が1nm以上であることにより、(A)成分の分散液及びコーティング組成物の貯蔵安定性がより良好となる。また、数平均粒子径が400nm以下であることにより、得られる積層体の、透明性、光線透過率等の光学特性がより向上する。特に、数平均粒子径が100nm以下であることにより、得られる積層体の光線透過率がさらに向上する傾向にある。ここで「数平均粒子径」とは、1次粒子と2次粒子との混合物に基づいて測定した値をいう。なお、本実施形態における数平均粒子径は、後述する実施例の方法に準じて測定することができる。
(A)成分に用いられる金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ及び酸化セリウムが挙げられる。このような金属酸化物を用いることにより、(A)成分と(B)成分とがより相互作用しやすい傾向にある。この中でも、表面水酸基の多い二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物が好ましい。これら金属酸化物は、(B)成分との相互作用が特に強い傾向にある。また、このような金属酸化物は表面水酸基の多く、連続相を形成することで塗膜表面の水酸基密度が高くなり、それ自身の親水性が高くなる。親水性が高くなることにより付着した汚れが雨水などと一緒に流れ落ちる防汚効果が良好になるため、この観点からも上記金属酸化物がより好ましい。(A)成分の金属酸化物は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
(A)成分に用いられる金属酸化物としては、光照射により、光触媒活性及び/又は親水性を発現する化合物(以下、単に「光触媒」ともいう。)を用いることも好ましい。このような金属酸化物を用いることにより、汚染有機物質の分解活性や耐汚染性により優れる傾向にある。なお、本実施形態において「親水性」とは、測定対象物表面に対する水(23℃)の接触角が、好ましくは60゜以下であり、より好ましくは30゜以下であり、さらに好ましくは20゜以下であることを意味する。
上記光触媒としては、特に限定されないが、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、RuO、CeO、及び、Ti、Nb、Ta、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照。)を挙げることができる。これらの光触媒の中でもTiO(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれも使用できる。
また、(A)成分に用いられる金属酸化物としては、導電性を有する金属酸化物を用いることも好ましい。このような金属酸化物を用いることにより、帯電防止性能により優れる傾向にある。
このような導電性を有する金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。
(A)成分を用いる際の形態としては、特に限定されないが、例えば、粉体、分散液、ゾルが挙げられる。ここでいう「分散液」、及び「ゾル」とは、(A)成分が水及び/又は親水性有機溶媒中に好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子及び/又は二次粒子として分散された状態を意味する。
上記親水性有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド及びニトロベンゼンが挙げられる。親水性有機溶媒は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
本実施形態で使用できる(A)成分の金属酸化物としては、取扱い性の観点からコロイダルシリカを含むことが好ましい。このコロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。コロイダルシリカをゾル−ゲル法で調製する場合、Werner Stober etal;J.Colloid and Interface Sci.,26,62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6,792−801(1990)、色材協会誌,61[9]488−493(1988)等に記載の方法を参照して調製することができる。コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水又は水溶性溶媒の分散体である。コロイダルシリカは、水性分散液(分散体)の状態で、酸性及び塩基性のいずれであっても用いることができ、共に混合する(B)成分の水性分散体の安定領域に応じて、そのpHを適宜選択することができる。
水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば市販品として日産化学工業(株)製のスノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OS、スノーテックス−OL、スノーテックス−OXS、スノーテックス−OUP,旭電化工業(株)製のアデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン(株)製のクレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25等が挙げられる。
塩基性のコロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はアミンの添加で安定化したシリカが挙げられ、より具体的には、市販品として日産化学工業(株)製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L、スノーテックス−UP等;旭電化工業(株)製のアデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50等;クラリアントジャパン(株)製のクレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50等;デュポン社製のルドックス(商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30等が挙げられる。
また、水溶性溶剤を分散媒体とするコロイダルシリカの市販品としては、特に限定されないが、例えば、日産化学工業(株)製のMA−ST−M(数平均粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(数平均粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(数平均粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(数平均粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、NPC−ST(数平均粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)が挙げられる。
これらのコロイダルシリカは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。(A)成分の金属酸化物がコロイダルシリカを主成分として含む場合、少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウム等を含んでもよい。また、コロイダルシリカには、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等)や有機塩基(テトラメチルアンモニウム等)が共存してもよい。
((B)成分)
(B)成分は、数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子である。このような(B)成分と、前記(A)成分とを含むコーティング組成物を用いることにより、得られる積層体の光線透過率、防汚染性がより良好となる。
(B)成分の数平均粒子径は、10nm〜800nmであり、10nm〜100nmでが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。数平均粒子径が10nm以上であることにより、生産性がより向上する傾向にある。また、数平均粒子径が800nm以下であることにより、より得られる積層体の光線透過率が向上する傾向にある。
(B)成分のガラス転移温度(Tg)は、−20℃〜100℃が好ましく、25℃〜100℃であることがより好ましく、80℃〜90℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
(B)成分は、特に限定されないが、好ましくは、(b1)成分:加水分解性珪素化合物、(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、(b3)成分:乳化剤、並びに(b4)成分:水を含む重合原液中で(b1)成分及び(b2)成分を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。このようにして得られる(B)成分としては、加水分解性珪素化合物(b1)中の水酸基と、(b2)成分に由来するビニル単量体の重合体とが、水素結合等により複合化されたものを用いることが好適である。
((b1)成分)
(b1)成分は加水分解性珪素化合物である。(b1)成分としては、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表される化合物やその縮合生成物、シランカップリング剤が挙げられる。
SiW (4)
(式(4)中、Wは、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、フェノキシ基、アミノキシ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示し、
Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を示し、
xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。Wが複数の場合、あるいはRが複数の場合、それぞれのW又はRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(4)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類が挙げられる。また、これらは、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
また、(b1)成分として、フェニル基を有する珪素アルコキシド(例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等)を用いることができる。フェニル基を有する珪素アルコキシドを用いることにより、水及び乳化剤の存在下における重合安定性が良好となる傾向にある。
なお、(b1)成分として式(4)で表される化合物の縮合生成物が用いられる場合、当該縮合生成物のポリスチレン換算重量平均分子量(GPC法による)は、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜2000である。重量平均分子量が上記範囲内であることにより、取扱い性により優れる傾向にある。
なお、シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、チオール基、イソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在するシラン誘導体が挙げられる。このなかでも、チオール基を有するシランカップリング剤が好ましい。チオール基を有するシランカップリング剤を用いることにより、得られる積層体の長期防汚染性がより良好となる傾向にある。
上記チオール基を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
さらに、(b1)成分は、(b1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物を含んでもよい。(b1−1)成分を用いることにより、得られる積層体の長期防汚染性がより良好となる傾向にある。
(b1−1)成分としては、特に限定されないが、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
上記シランカップリング剤、及び(b1−1)成分は、後述する(b2)成分との共重合又は連鎖移動反応により化学結合を生成し得る。このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を上述した(b1)成分と混合若しくは複合化させて用いた場合、(b1)成分の重合生成物と後述する(b2)成分の重合生成物とを化学結合により複合化し得る。
なお、(b1−1)成分における「ビニル重合性基」としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。この中でも3−(メタ)アクリルオキシプロピル基が好ましい。このようなビニル重合性基を有する(b1−1)成分を用いることにより、化学結合により複合化しやすい傾向にある。
また、(b1)成分は、(b1−2)成分:環状シロキサンオリゴマーを含んでいてもよい。当該(b1−2)成分を用いることにより、得られる積層体の柔軟性がより良好となる傾向にある。
上記環状シロキサンオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(5)で表される化合物を例示することができる。この中でも、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。環状ジメチルシロキサンオリゴマーを用いることにより、反応性により優れる傾向にある。
(R’SiO) (5)
(式(5)中、R’は、互いに独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。mは整数であり、2≦m≦20を満たす。)
(b1)成分と(B)成分との比((b1)/(B))(質量比)は、好ましくは0.01/100〜80/100であり、より好ましくは0.1/100〜70/100であり、さらに好ましくは0.2/100〜40/100である。質量比が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。ここで、「重合安定性」とは、粒子が均一に分散し凝集しない性質をいう。
(b1−1)成分と(B)成分との比((b1−1)/(B))(質量比)は、好ましくは0.01/100〜20/100であり、より好ましくは0.5/100〜10/100である。質量比が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
また、(b1−1)成分と(b2)成分との比((b1−1)/(b2))(質量比)は、好ましくは0.1/100〜100/100であり、より好ましくは0.5/100〜50/100である。質量比が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
さらに、(b1−2)成分と(B)成分との比((b1−2)/(B))(質量比)は、好ましくは0.01/100〜20/100であり、より好ましくは0.5/100〜5/100である。質量比が上記範囲内であることにより、親水性がより向上する傾向にある。
その上、(b1−2)成分と(b2)成分との比((b1−2)/(b2))(質量比)は、好ましくは0.5/100〜50/100であり、より好ましくは1.0/100〜20/100である。質量比が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
((b2)成分)
(b2)成分は、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体である。
上記水酸基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル若しくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述の各種の水酸基含有ビニル単量体類とε−カプロラクトン等のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体と酢酸等の酸類との付加物;(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸類と「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)に代表されるα−オレフィンのエポキサイド以外の種々のモノエポキシ化合物との付加物が挙げられる。
上記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸等の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチルのような不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル若しくはコハク酸モノビニル等の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸若しくは無水トリメリット酸等の飽和ポリカルボン酸の無水物類と上述の各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;上述の各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類とを付加反応して得られる単量体類が挙げられる。
上記アミド基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。より具体的には、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドが挙げられる。
上記アミノ基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート若しくはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリン等の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールN−ビニルキノリン等の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミド若しくはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリン等の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド又はN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミド等の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル若しくは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテル等の3級アミノ基含有ビニルエーテル類が挙げられる。
上記エーテル基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステル類のビニル単量体類が挙げられる。より具体的には、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350(以上、日本油脂(株)製商品名)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上、日本乳化剤(株)製商品名)が挙げられる。ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位の数は、塗膜の柔軟性の観点から2以上であることが好ましく、耐ブロッキング性の観点から30以下であることが好ましい。
(b2)成分としては、他成分との水素結合性をより向上させる観点から、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体を用いることが好ましい。特に水素結合力の観点から3級アミド基を有するビニル単量体が好ましい。
(b2)成分と(B)成分との比((b2)/(B))(質量比)は、好ましくは0.05/1〜1/1であり、より好ましくは0.1/1〜0.8/1であり、さらに好ましくは0.2/1〜0.5/1である。質量比が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
(b2)成分と(A)成分との比((b2)/(A))(質量比)は、好ましくは0.05/1〜1/1であり、より好ましくは0.1/1〜0.8/1であり、さらに好ましくは0.2/1〜0.5/1である。質量比が上記範囲内であることにより、(A)成分との水素結合性や配合安定性により優れる傾向にある。
((b3)成分)
(b3)成分は乳化剤である。(b3)成分としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤、酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
(b3)成分としては、得られる(B)成分の水分散安定性を向上させる観点、及び、得られる積層体の長期防汚染性を向上させる観点から、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いることが好ましい。
上記反応性乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、並びに、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体が挙げられる。
上記スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、ナフチル基、及びコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アリルスルホコハク酸塩が挙げられる。より詳しくは、例えば、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)が挙げられる。
また、上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(旭電化工業(株)製)が挙げられる。
上記硫酸エステル基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、及びナフチル基からなる群より選ばれる置換基を有する化合物が挙げられる。
ノニオン基を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)が挙げられる。
(b3)成分の使用量は、(B)成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.001〜5質量部である。使用量が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
((b4)成分)
(b4)成分は、水である。(B)成分は、上述の(b1)〜(b3)の各成分、及び(b4)成分(すなわち水)を含む重合原液中の(b1)成分及び(b2)成分を重合して得られる重合体エマルジョン粒子であることが好ましい。(b4)成分の使用量は、重合安定性の観点から、重合原液中の含有率として、好ましくは30〜99.9質量%である。
((b5)成分)
重合原液には、(b1)〜(b4)成分に加え、さらに種々の成分を混合することができる。まず、重合原液には、(b5)成分として、(b2)成分と共重合可能な他のビニル単量体を混合することができる。(b5)成分を用いることにより、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(b1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等)がより制御しやすくなる傾向にある。
(b5)成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アニオン型ビニル単量体が挙げられる。
(b5)成分が重合原液に含まれる全ビニル単量体中の含有量としては、好ましくは0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.05〜10質量%である。含有量が上記範囲内であることにより、ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、(b1)成分である加水分解性珪素化合物の重合生成物との相溶性等がより制御しやすくなる傾向にある。
(連鎖移動剤)
また、重合原液には、連鎖移動剤を混合することができる。そのような連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸等のチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、α−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物が挙げられる。
これら連鎖移動剤の使用量は、重合原液に含まれる全ビニル単量体の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部であり、より好ましくは0.05〜10質量部である。使用量が上記範囲内であることにより、重合安定性により優れる傾向にある。
(分散安定剤)
さらに、重合原液には分散安定剤を混合することができる。そのような分散安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群より選ばれる各種の水溶性オリゴマー類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂等の合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種の水溶性高分子物質が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
これらの分散安定剤の使用量は、(B)成分の重合体エマルジョン粒子100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
(重合触媒)
上述の重合原液の重合は、重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。(b1)成分の重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類;酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩;フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物が挙げられる。この中でも、(b1)成分の加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、重合触媒及び乳化剤としての作用を有する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が好ましい。
(b2)成分の重合触媒としては、熱又は還元性物質等によってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適である。そのようなラジカル重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物が挙げられる。このようなラジカル重合触媒としては、特に限定されないが、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
なお、重合触媒の使用量としては、全ビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。なお、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を望む場合には、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いることが好ましい。
本実施形態において、(b1)成分の重合と、(b2)成分の重合とは、別々に実施することも可能であるが、同じ系内で実施することが好ましい。同じ系内で実施することにより、水素結合等によるミクロな有機無機複合化が達成でき、その結果、耐候性に優れる傾向にある。
(B)成分を得るための重合方法として、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下に(b1)成分と(b2)成分とを重合する、いわゆる乳化重合が適している。乳化重合の方法としては、例えば、(b1)成分及び(b2)成分、さらには必要に応じて(b3)成分を、そのまま又は乳化した状態で、一括若しくは分割して又は連続的に、反応容器中に滴下し、重合触媒の存在下、大気圧から必要により10MPaまでの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法が挙げられる。ただし、必要に応じて、これ以上の圧力で、又はこれ以下の温度条件で重合してもよい。
なお、重合原液の配合について、重合安定性の観点から、最終固形分量が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように(b1)〜(b4)の各成分を配合するのが好ましい。
さらに、乳化重合を行うに際して、得られる(B)成分の数平均粒子径を適度に成長又は制御する観点から、シード重合法を用いることが好ましい。シード重合法とは、予め水相中にエマルジョン粒子(シード粒子)を存在させて重合させる方法である。シード重合法を行う際の重合系中のpHとしては、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.0〜6.0である。そのpHは、リン酸二ナトリウム、ボラックス、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
なお、(B)成分を得る方法として、(b3)成分及び(b4)成分の存在下、(b1)成分及び(b2)成分を、必要により溶剤存在下で重合した後、重合生成物がエマルジョンとなるまで水を添加する手法も適用できる。
(B)成分は、それが含まれるコーティング組成物を用いて形成される有機無機複合塗膜の基材密着性、及び塗膜間の密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコア/シェル構造を有することが好ましい。当該コア/シェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行う、多段乳化重合が好ましい。
多段乳化重合は、具体的には、例えば第1段階として、(b3)成分及び(b4)成分の存在下、(b1)成分、(b2)成分及び(b5)成分からなる群より選択される少なくとも1種を重合してシード粒子を形成し、第2段階として、当該シード粒子の存在下、(b1)成分及び(b2)成分、並びに必要に応じて(b5)成分を含む重合原液を添加して重合する(2段重合法)。3段以上の多段乳化重合を実施する場合、例えば第3段階として、さらに(b1)成分及び(b2)成分、並びに必要に応じて(b5)成分を含む重合原液を添加して重合することができる。このような方法は、重合安定性の観点からも好適である。
2段重合法を採用する場合、上記第1段階において用いられる重合原液中の固形分質量(M1)と、上記第2段階において添加される重合原液中の固形分質量(M2)との質量比((M1)/(M2))は、重合安定性の観点から、好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8である。
また、上記コア/シェル構造として、重合安定性の観点から、シード粒子の粒子径分布(体積平均粒子径/数平均粒子径)が大きく変化することなく、上記第2段階の重合によって粒子径が増大した構造を有することが好ましい。なお、体積平均粒子径は、実施例に記載の数平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定し得る。
コア/シェル構造は、例えば、透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
コア/シェル構造のコア層のガラス転移温度(Tg)は、−20℃〜100℃が好ましく、25℃〜100℃であることがより好ましく、80℃〜90℃であることがさらに好ましい。また、本実施形態においてコア/シェル構造を有する場合の(B)成分の「ガラス転移温度」とは、(B)成分のコア/シェル構造のコア層のガラス転移温度をいう。Tgは、実施例に記載の方法により求めることができる。
(A)成分と(B)成分との比((A)/(B))(質量比)は、好ましくは100/100〜1000/100であり、より好ましくは120/100〜500/100であり、さらに好ましくは120/100〜250/100である。(A)成分及び(B)成分の質量比が上記範囲内であることにより、光線透過率、防汚染性により優れた積層体を製造できる傾向にある。また、優れた防汚染性がより長期に亘り持続する傾向にある。
また、(A)成分の表面積(SA)と(B)成分の表面積(SB)との比(SA)/(SB)は、0.001〜1000であることが好ましく、0.1〜500であることがより好ましく、1〜100であることがさらに好ましい。なお表面積は、(A)成分及び(B)成分の各々の数平均粒子径、及び各々の配合質量数から算出することができる。
本実施形態のコーティング組成物には、上記(A)成分及び(B)成分に加えて、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等をそれぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。
特に、上記光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。この中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。このような光安定剤を用いることにより、耐候性により優れる傾向にある。
また、紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、有機系紫外線吸収剤が挙げられる。このような有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。この中でも、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることがより好ましい。このような紫外線吸収剤を用いることにより、耐候性により優れる傾向にある。
なお、光安定剤は、有機系紫外線吸収剤と併用することが好ましい。両者を併用することは、得られるコーティング組成物の耐候性向上に寄与し得る。また、これらの有機系紫外線吸収剤、光安定剤を始めとする各種添加剤成分は、(A)成分及び(B)成分と単に配合してもよく、(B)成分を合成する際に共存させることも可能である。
〔(C)成分〕
本実施形態で用いるコーティング組成物は、(C)加水分解性珪素化合物をさらに含んでもよい。(C)成分を含むことにより、形成される有機無機複合塗膜の強度、防汚性がより向上する傾向にある。
(C)成分に用いられる加水分解性珪素化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される加水分解性珪素化合物(c1)、式(2)で表される加水分解性珪素化合物(c2)が挙げられる。
SiX4−n (1)
(ここで、式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を示す。これらの化学種(水素原子を除く。)は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の官能基で置換されていてもよく、
Xは加水分解性基を示し、該加水分解性基は加水分解により水酸基が生じる基であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基が挙げられ、
が複数の場合、あるいはXが複数の場合、それぞれのR又はXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
nは0〜3の整数である。)
Si−R −SiX (2)
(ここで、式(2)中、Xは互いに同一でも異なっていてもよい加水分解性基を示し、該加水分解性基は加水分解により水酸基が生じる基であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基が挙げられ、
は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を示し、
また、nは0又は1である。)
加水分解性珪素化合物(c1)としては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトオキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシランが挙げられる。
加水分解性珪素化合物(c2)としては、特に限定されないが、例えば、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンが挙げられる。
また、下記式(3)で表される加水分解性珪素化合物(c3)も好適に用いることができる。
−(O−Si(OR−OR (3)
(ここで、式(3)中、Rは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは2〜8の整数である。)
(c3)としては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(例えば、多摩化学工業(株)製の商品名「Mシリケート51」、コルコート(株)製の商品名「MSI51」、三菱化学(株)製の商品名「MS51」、同「MS56」)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(例えば、多摩化学工業(株)製の商品名「シリケート35」、同「シリケート45」、コルコート(株)製の商品名「ESI40」、同「ESI48」)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(例えば、多摩化学工業(株)製の商品名「FR−3」、コルコート(株)製の商品名「EMSi48」)が挙げられる。
また、(C)加水分解性珪素化合物は、シラザン化合物(c4)を含んでいてもよい。シラザン化合物(c4)としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザンが挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。また、上記加水分解性珪素化合物(C)は予め加水分解と縮合とを進めてからコーティング組成物に配合してもよく、金属酸化物(A)及び又はエマルジョン粒子(B)に配合してから、さらにコーティング組成物に配合してもよい。
(A)成分と(C)成分との比((C)/(A))(質量比)は、好ましくは0.2/100〜500/100であり、より好ましくは1/100〜200/100であり、さらに好ましくは30/100〜75/100である。(C)/(A)が0.2/100以上であることにより、高温条件下での接触角がより低下する傾向にある。また、(C)/(A)が500/100以下であることにより、塗膜の強度がより優れる傾向にある。
〔第2の工程〕
本実施形態における第2の工程は、塗布されたコーティング組成物を乾燥させて有機無機複合塗膜を得る工程である。第2の工程における乾燥温度は、(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度(T1)である。
(乾燥温度)
乾燥温度は、(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度(T1)であり、60℃以上低い温度が好ましく、85℃以上低い温度がより好ましい。乾燥温度の範囲としては、(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45〜85℃以上低い温度が好ましい。乾燥温度が上記温度であることにより、耐熱試験後の水接触角を20°以下に抑えることができる。ここで、「耐熱試験」とは、実施例に記載の耐熱試験を意味する。
第2の工程及び第3の工程と得られる効果との関係は明確ではないが、以下のように考えられる。温度(T1)で乾燥させた場合、(B)成分同士が融着することが抑制されるため、第2の工程中に塗膜表面への(B)成分のブリードが抑制されると考えられる。さらに、第3の工程での養生により(B)成分の最表面のみが(A)成分と縮合して緻密化するため、(B)成分が塗膜中に閉じ込められた構造の塗膜が形成されると考えられる。その結果、耐熱試験後においても(B)成分の塗膜表面へのブリードが抑制され、耐熱試験後の水接触角の上昇が抑制されると考えられる。
また、乾燥温度は、40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましい。また、乾燥温度は、0℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることがさらに好ましい。40℃以下で乾燥させることにより40℃以下で乾燥させることにより、耐熱試験後の水接触角の上昇がより抑制される傾向にある。また、0℃以上で乾燥させることにより、生産性により優れる傾向にある。
(有機無機複合塗膜)
有機無機複合塗膜の厚さは、200〜1500nmであり、300〜1000nmが好ましく、400〜800nmが好ましい。有機無機複合塗膜の厚さが300nm以上であることにより、コーティング組成物に含まれる低分子成分のブリードアウトをより防止でき、接触角をより抑えることができる。また、1500nm以下であることにより、ヘイズ値をより低くできる。なお、有機無機複合塗膜は、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であってもよい。
〔第3の工程〕
(養生温度)
本実施形態における第3の工程は、有機無機複合塗膜を養生して積層体を得る工程である。第3の工程における養生温度は、温度(T1)以上(B)成分のガラス転移温度(Tg)以下であり、T1+5以上Tg−5以下であることが好ましく、T1+10以上Tg−10以下であることが好ましい。
〔積層体〕
本実施形態の積層体は、上記積層体の製造方法によって製造されたものである。具体的には、基材とその基材の少なくとも片面上に形成された有機無機複合塗膜とを備えるものである。
有機無機複合塗膜の屈折率が、基材の屈折率よりも0.1以上低いことが好ましく、0.19以上低いことがより好ましく、0.24以上低いことがさらに好ましい。有機無機複合塗膜の屈折率が基材の屈折率よりも0.1以上低いことにより、塗膜を積層した積層体の光線透過率がさらに高くなり、基材が有している元々の光線透過率よりも積層体の光線透過率がより高くなる傾向にある。有機無機複合塗膜の屈折率は、(A)成分及び(B)成分の粒径、配合比率等により制御することができる。また、基材の屈折率は使用される基材によって選択される。
また、本実施形態に係る有機無機複合塗膜の屈折率は、1.25〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.48であることがより好ましく、1.34〜1.43であることがさらに好ましい。有機無機複合塗膜の屈折率が1.25以上であることにより、塗膜の強度がより優れる傾向にある。また、有機無機複合塗膜の屈折率が1.6以下であることにより、ヘイズを小さくすることができる。上記のように、基材の屈折率とコーティング組成物の屈折率との差が小さいほど、塗膜の強度が向上する傾向にある。これは、塗膜屈折率が低いのは空隙が形成されているためであり、空隙が少ないと屈折率は相対的に高くなり、結果として塗膜強度は高くなる傾向にあるためである。
積層体の全光線透過率が、基材の光線透過率よりも高いことが好ましい。積層体の光線透過率が基材の光線透過率より高いと、太陽電池用カバーガラスにした場合、より多く光を透過させることができるので、太陽電池の発電量がより向上する傾向にある。
また、本実施形態に係る積層体において、積層体の屈折率は基材よりの屈折率よりも0.1以上低いことが好ましく、0.2以上低いことがより好ましく、0.25以上低いことがさらに好ましい。基材よりも積層体の屈折率を低くすることによって、表面からの反射量を低減することができ、太陽電池用カバーガラスにした場合、表面の反射を防ぐことによってより多くの光を透過させることができ、太陽電池の発電量がより向上する傾向にある。
本実施形態に係る有機無機複合塗膜の水接触角は、30°未満であることが好ましく、25未満であることがより好ましく、15未満であることがさらに好ましい。水接触角が上記範囲内であることにより、防汚性により優れる傾向にある。(A)成分と(B)成分の粒子径や配合比率等を制御することにより、有機無機複合塗膜の水接触角を制御することができる。水接触角は、実施例記載の方法により測定することができる。
90℃で1500時間以上保管したとき(耐熱試験後)の有機無機複合塗膜の水接触角は、防汚性の観点から30゜未満であることが好ましく、25゜未満であることがより好ましく、20゜未満であることがさらに好ましい。水接触角が上記範囲内であることにより、防汚性により優れる傾向にある。試験前の有機無機複合塗膜を緻密に形成することで耐熱試験後の有機無機複合塗膜の水接触角を制御することができる。
〔用途〕
本実施形態に係る太陽電池用カバーガラス、太陽熱発電用ミラーは上記積層体を含む。本実施形態に係る積層体は、透明性及び耐熱性に優れるので、太陽電池用のカバーガラス、太陽熱発電用のミラーの部材として有用である。本実施形態の積層体は様々な用途に用いられ得るが、特に太陽電池用カバーガラスとして用いられると、本発明による利益をより有効かつ確実に享受することができるので好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各種物性は下記の方法で評価した。
1.ガラス転移温度(Tg)
本実施形態における(B)成分のガラス転移温度(Tg)は以下の数式(1)によって算出した。また、計算中に使用した各高分子のTgは化学大辞典(共立出版社)から引用したものであるか、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名「DSC220C」)を用いて求めることができる。
(式中、a,b,…;コア層を形成する成分の各々の組成比
,T,…;コア層を形成する成分のガラス転移温度[℃])
2.数平均粒子径の測定方法
動的光散乱式粒子径測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックUPA)を用い、ヘテロダイン法にて(A)成分、(B)成分の数平均粒子径を測定した。
3.全光線透過率及びヘイズ値
濁度計(日本電色工業製、商品名「NDH2000」)を用い、JIS−K7105に準じて積層体の全光線透過率及びヘイズ値を測定した。
4.初期膜厚と屈折率
膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用い、有機無機複合塗膜の膜厚、並びに有機無機複合塗膜及び基材の屈折率(波長:633nm)を測定した。
5.水接触角
積層体における有機無機複合塗膜の表面に脱イオン水の水滴を載せ、23℃で10秒間放置した後、接触角計(協和界面科学製、CA−X150型接触角計)を用いてその水滴の水接触角を測定した。
6.鉛筆硬度
鉛筆硬度計(テスター産業社製、商品名HA−301−M クレメンス型引掻き硬度試験機(手動式))を用い、JISK5400に準じて、有機無機複合塗膜の鉛筆硬度を測定した。
7.耐熱試験
90℃に設定した恒温槽(ヤマト科学製)に実施例及び比較例で得られた積層体を投入し、これを1500時間保持した。その後、積層体における有機無機複合塗膜の表面に脱イオン水の水滴を載せ、23℃で10秒間放置した後、接触角計(協和界面科学製、CA−X150型接触角計)を用いてその水滴の水接触角を測定した。
[製造例1:重合体エマルジョン粒子((B)成分)の水分散体の製造方法]
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応容器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸6gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185gとフェニルトリメトキシシラン117gとの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度を80℃に維持した状態で約1時間撹拌を続行した。次にアクリル酸ブチル86gとフェニルトリメトキシシラン133gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gとの混合液と、ジエチルアクリルアミド137gとアクリル酸3gと反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25%水溶液)13gと過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40gとイオン交換水1900gとの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応容器中の温度を80℃に維持した状態で約2時間撹拌を続行した後、液を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で液中の固形分濃度を10.0質量%に調整し、(B)成分である数平均粒子径70nmの重合体エマルジョン粒子の水分散体を得た。上記数式(1)より(B)成分のTgは86℃であった。
[製造例2:コーティング組成物の製造方法]
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「スノーテック−OS」、(A)成分))を水中に分散させたもの(固形分濃度10質量%、数平均粒子径10nm)と、製造例1で合成した重合体エマルジョン粒子((B)成分)の水分散体と、テトラエトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBE−04」、(C)成分)とを、(A)成分200質量部、(B)成分100質量部、(C)成分60質量部の配合比にて配合した後、温度23℃の19%エタノール水で希釈して、固形分濃度が5%になるように調整し、コーティング組成物を得た。
(実施例1)
製造例2で得られたコーティング組成物を、基材の白板ガラス(厚さ2mm、6×6cm角、可視光における光線透過率92.6%)にディップコーティング法で乾燥後に750nmの厚さになるように塗布した。その後、23℃の乾燥温度で2時間乾燥させて、30℃で12時間養生して積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。なお、乾燥後の膜厚は、コーティング組成物の固形分濃度と塗布量(g/m2)から予測することができた。また、乾燥したかどうかは、指で塗膜に触れ、べたつき感が無くなったかどうかで判断した。
(実施例2)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に800nmの厚さとなるように塗布し、乾燥温度40℃で30分乾燥させて、養生温度70℃で8時間養生したこと以外は実施例1と同様の操作により、実施例2の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(実施例3)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に300nmの厚さとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様の操作により、実施例3の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例1)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に240nmの厚さとなるように塗布し、乾燥温度90℃で2時間乾燥させて、養生温度30℃で12時間養生したこと以外は実施例1と同様の操作により、比較例1の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に2000nmの厚さとなるように塗布し、乾燥温度70℃で2時間乾燥させたこと以外は比較例1と同様の操作により、比較例2の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例3)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に500nmの厚さとなるように塗布したこと以外は比較例2と同様の操作により、比較例3の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例4)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に210nmの厚さとなるように塗布したこと以外は比較例1と同様の操作により、比較例4の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例5)
製造例2で得られたコーティング組成物を乾燥後に180nmの厚さとなるように塗布したこと以外は比較例2と同様の操作により、比較例5の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例6)
基材である白板ガラスのみを用い、各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例7)
製造例2で得られたコーティング組成物の乾燥温度を変更した以外は実施例3と同様の操作により、比較例7の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
(比較例8)
製造例2で得られたコーティング組成物の養生温度を変更した以外は実施例3と同様の操作により、比較例8の積層体を作製した。各種物性を測定した結果を表1に示す。
表1に示されるように、各実施例の積層体は、透過率、ヘイズ値、耐熱試験後の接触角に優れることが確認された。一方、各比較例の積層体は、ヘイズ値、耐熱試験後の接触角のすくなくともいずれかに劣っていることが確認された。また、比較例2では、初期の鉛筆硬度が劣っており、初期の段階で積層体が剥れる恐れがある。
本発明に係る製造方法によって得られる積層体は、透明性、耐熱性に優れ、太陽電池モジュールや太陽熱発電システム等といった各種エネルギー生産装置の部材等として利用することができ、太陽光の透過性や集光性が良好な太陽電池用カバーガラス、太陽熱発電用ミラー等として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 基材の少なくとも片面に、下記(A)成分と下記(B)成分とを含むコーティング組成物を塗布する第1の工程と、塗布された前記コーティング組成物を乾燥させて有機無機複合塗膜を得る第2の工程と、該有機無機複合塗膜を養生して積層体を得る第3の工程と、を含み、
    前記第2の工程における乾燥温度が、前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)より45℃以上低い温度(T1)であり、
    前記第3の工程における養生温度が、前記温度(T1)+5℃以上前記(B)成分のガラス転移温度(Tg)以下であり、
    前記有機無機複合塗膜の厚さが、200〜1500nmである、
    積層体の製造方法。
    (A)成分:数平均粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
    (B)成分:(b1)加水分解性珪素化合物と(b2)水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体との重合物を含む、数平均粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
  2. 前記第2の工程における乾燥温度が、40℃以下である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記基材の可視光における全光線透過率が30%〜99%である、請求項1又は2記載の積層体の製造方法。
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