JP6105322B2 - 鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、車幅を抑えることが可能な鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置を提供することを目的としている。
この構成によれば、駆動輪の側方に、動力伝達装置が占める車幅方向の幅をより一層抑えることができ、車体の小型化を図ることができる。
また、上記構成において、前記ベアリング(96)と前記歯車(67)とは、車幅方向にオフセットして配置され、前記ベアリング(96)より車幅方向外側に前記歯車(67)が配置されるようにしても良い。この構成によれば、ベアリングの外径に対して歯車の内径を小さくすることが可能になり、歯車の外径を小径にすることができる。また、チェーンを歯車に掛けやすくすることができる。
また、ベアリングと歯車とは、車幅方向にオフセットして配置され、ベアリングより車幅方向外側に歯車が配置されるので、ベアリングの外径に対して歯車の内径を小さくすることが可能になり、歯車の外径を小径にすることができる。また、チェーンを歯車に掛けやすくすることができる。
図1は、本発明の一実施形態の動力伝達装置を搭載した鞍乗り型ハイブリッド車両10を示す右側面図である。
鞍乗り型ハイブリッド車両10は、原動機として電動モータを搭載し、この電動モータにバッテリから電力を供給して駆動輪を駆動させるとともに、乗員がペダルを漕いで駆動輪を駆動させるハイブリッド型の動力伝達装置を備える車両であり、骨格となる車体フレーム11を備える。
車体フレーム11は、前端部を構成するヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方斜め下方に延びるメインフレーム13と、このメインフレーム13の後端部に取付けられた鋳造製のリヤフレーム14と、このリヤフレーム14から後方斜め下方に延びる左右一対のシートステイ15,15(手前側のシートステイ15のみ図示)と、リヤフレーム14を構成するロアフレームの中間部から後方斜め下方に延びる左右一対のチェーンステイ18,18(手前側のチェーンステイ18のみ図示)とから構成されている。
リヤフレーム14は、その上端部から一体に上方に延びるシートチューブ16と、下端部から下方に一体に延びるロアフレーム17とからなる。
ドラムブレーキ装置29は、右側のシートステイ15及び右側のチェーンステイ18のそれぞれの後端部に取付けられたブレーキパネル71と、このブレーキパネル71に近接して後輪27と一体的に回転するブレーキドラム(不図示)とを備える。
鞍乗り型ハイブリッド車両10は、左側のシートステイ15及び左側のチェーンステイ18のそれぞれの後端部に電動モータの動力を後輪に伝達する動力伝達機構74が取付けられている。動力伝達機構74は、駆動ケース76内に電動モータと共に配置された減速機構等から構成されている。電装品収納ケース46は、バッテリ56(図1参照)と電動モータとの間に配置されて、電動モータの駆動を制御するパワードライブユニット(PDU)78等の電装品が収納されている。
上記の電動モータによる動力伝達機構74及び足踏み式の動力伝達機構28は、鞍乗り型ハイブリッド車両10の後輪27を駆動する後輪駆動装置75を構成している。
後輪27は、ホイール33(図2参照)と、このホイール33に装着されたタイヤ34(図2参照)とからなり、ホイール33は、中央部に配置されたハブ88と、タイヤが装着されるリング状のリム(不図示)と、これらのハブ88及びリムのそれぞれを連結する複数本のスポーク(不図示)とからなる。
ドラムブレーキ装置29を構成するブレーキドラム84は、ブレーキパネル71の車幅方向内側に配置され、後輪27の中央部に配置されたハブ88に一体に形成されている。
ハブ88は、後輪27の外周側に設けられたリムと複数のスポークで連結される部分であり、車軸82にスプライン結合された筒状のカラー部材91が鋳込まれた内筒部88aと、この内筒部88aから半径方向外側に延びるディスク部88bと、ディスク部88bの外周縁に設けられた外筒部88cと、この外筒部88cの端部から半径方向外側に延びるリング状のスポーク取付部88dと、ディスク部88bから車幅方向外側に延びる筒状のブレーキドラム84とを一体に備える。スポーク取付部88dには、スポークの端部を掛ける複数のスポーク取付穴88eが開けられている。
駆動ケース76は、左端に設けられた左ケース104と、この左ケース104に隣接する中間ケース105と、この中間ケース105に隣接する右ケース106とからなり、左ケース104、中間ケース105及び右ケース106でそれぞれベアリング107,108,109を介して車軸82を支持している。
中間ケース105は、左側のシートステイ15(図2参照)及び左側のチェーンステイ18(図2参照)に取付けられ、左ケース104と中間ケース105、中間ケース105と右ケース106は、それぞれ図示せぬ複数のボルトで締結されている。
ステータ114は、コア123と、このコア123に取付けられたコイル124とからなる。ロータ121は複数の永久磁石126からなる。
減速機構102は、左ケース104及び中間ケース105にベアリング131,132を介して支持された減速軸133と、カラー部材118の端部に形成されたギア118cと、このギア118cに噛み合うとともに減速軸133に一方向クラッチ134を介して連結された第1減速ギア136と、減速軸133に形成されたギア133aに噛み合うとともに車軸82にスプライン結合された第2減速ギア137とからなる。
ドラムブレーキ装置29は、ベアリング81を介して車軸82を支持するブレーキパネル71と、このブレーキパネル71の車幅方向内側に近接配置された円筒状のブレーキドラム84と、ブレーキパネル71に設けられた支持部(不図示)に一端が揺動可能に支持されるとともに他端が、ブレーキ操作に伴い作動するホイールシリンダによりブレーキドラム84の内周面84aに押し付けられる一対のブレーキシュー86,86とを備える。
ブレーキドラム84は、後輪27(図3参照)の中央部に配置されたハブ88(図3参照)に一体に形成されている。符号W1はブレーキドラム84の軸方向の幅である。
スプロケット支持機構93の組付けは、一方向クラッチ94の内輪94aに、係合片94c、一方向クラッチ94のスプリング94d、ベアリング96、外輪94b、止め輪98を予め組み立てた後に、内輪94aの内周面に形成されためねじ部94eを、ブレーキドラム84の外周面84bに形成されたおねじ部84cにねじ込むことで行われる。
右側のシートステイ15及び右側のチェーンステイ18にはそれぞれボルト141でブレーキパネル71が取付けられている。また、ブレーキパネル71の内周面には、ベアリング81が止め輪142で軸方向に抜け止めされて固定され、このベアリング81に車軸82及びハブ88が、車軸82の端部に嵌められたカラー143と、車軸82の端部にねじ結合されたナット144とで固定されている。また、左側のシートステイ15及び左側のチェーンステイ18(図2参照)にはそれぞれボルト146で中間ケース105が取付けられ、右ケース106に複数のボルト147で中間ケース105が取付けられている。
ブレーキパネル71に対してブレーキドラム84が回転可能に配置され、このブレーキドラム84の外周面84bに一方向クラッチ94の内輪94aが結合され、この内輪94aの外周部に対抗するように一方向クラッチ94の外輪94bの内周部が配置され、内輪94aの外周部と外輪94bの内周部との間に係合片が係合又は非係合可能に配置されることで、図6では、内輪94aに対して外輪94bの反時計回りの回転が許容され、内輪94aに対して外輪94bの時計回りの回転が阻止される。従って、ペダル64,64(図1及び図2参照)を漕いでドリブンスプロケット67を時計回りに回転させたときには、内輪94aと外輪94bとが一体に回転し、内輪94aも時計回りに回転するため、内輪94aに一体的に連結された車軸82が時計回りに回転し、ハブ88(図3参照)を含む後輪27(図1参照)が回転して鞍乗り型ハイブリッド車両10(図1参照)が前進する。
メインフレーム13内には、扁平で直方体状のバッテリ56が配置されている。バッテリ56は、前端部及び後端部にそれぞれ車体フレーム11に取付けるための前ブラケット162及び後ブラケット163が取付けられている。バッテリ56の後端部からは複数の導線164,166が延び、例えば、電装品収納ケース46に収納されたパワードライブユニット78に接続されている。また、電装品から延びてメインフレーム13の下面に沿ってヘッドパイプ12側に延びるワイヤハーネス167、あるいはブレーキケーブル等を通すために、リヤフレーム14の下部を構成するロアフレーム17には貫通穴17aが開けられている。このように、ロアフレーム17に設けられた貫通穴17aにワイヤハーネス167、ブレーキケーブル等を通すことで、ロアフレーム17の両側方に配置されたペダル64,64(図2参照)を漕ぐときに邪魔にならない。
メインフレーム13の前端部を構成するとともにヘッドパイプ12の後部に取付けられた前端壁13Aは、メインフレーム13が延びる方向(後方斜め下方)に沿って突出する一対の突起部13b,13bを備える。バッテリ56の前端部に設けられた前ブラケット162は、バッテリ56に上下一対の締結部材171,171で締結され、バッテリ56を左右から保持する側壁162a,162a(奥側の側壁162aのみ図示)と、これらの側壁162a,162aの各前縁を繋ぐ前壁162bとからなる。前壁162bは上下一対の取付穴162c,162cが開けられ、これらの取付穴162c,162cにゴム製のグロメット173,173を介して突起部13b,13bが挿入されるように、メインフレーム13の前端壁13Aに前ブラケット162が支持される。
リヤフレーム14は、その中空部14aの前部開口14bにおける上縁部14c及び下縁部14dにそれぞれ取付面14e,14fが形成され、これらの取付面14e,14fにそれぞれめねじ14gが形成されている。バッテリ56の後端部に設けられた後ブラケット163は、バッテリ56に上下一対の締結部材175,175で締結され、バッテリ56を左右から保持する側壁163a,163a(奥側の側壁163aのみ図示)と、これらの側壁163a,163aの上縁同士及び下縁同士を繋ぐ上壁163b、下壁163cと、上壁163bの後端部から上方に延びる上フランジ163dと、下壁163cの後端部から下方に延びる下フランジ163eとからなる。
図2及び図10において、鞍乗り型ハイブリッド車両10のスタンド52は、ロアフレーム17に揺動可能に取付けられたプレートからなる基部181と、この基部181に取付けられた1本のパイプ又は中実のバーに設けられた左脚部182及び右脚部183と、基部181、左脚部182及び右脚部183を所定揺動位置から跳ね上げ方向に付勢する引張コイルばね(不図示)とから構成されている。実線はスタンド52を立てた状態、想像線はスタンド52を跳ね上げた状態を示している。
例えば、鞍乗り型ハイブリッド車両10を自転車置き場に置く場合、自転車が込み合っていて、鞍乗り型ハイブリッド車両10を狭いスペースに止めざるを得ないときには、スタンド52を鞍乗り型ハイブリッド車両10の後方から立てやすいようにスタンド52の形状が工夫されている。また、スタンド52に足が当たったときでも支障がないように出来ている。
右脚部183は、立てた状態において基部181側から下方に延びる下方延出部183aと、この下方延出部183aから屈曲した屈曲部183bと、この屈曲部183bの端部から車幅方向外側に延びる接地部183cとを備える。下方延出部183aは、後輪27の側面とほぼ平行に延びることで接地部183cの車体外側方への突出量を少なくすることができ、狭い場所でもスタンド52が邪魔になりにくい。
また、図4に示したように、ベアリング96と一方向クラッチ94とは、ブレーキドラム84の軸方向の幅W1内に配置されるので、後輪27の側方に、後輪駆動装置75が占める車幅方向の幅をより一層抑えることができ、車体の小型化を図ることができる。
例えば、上記実施形態において、図3及び図4に示したように、ドリブンスプロケット67を、ハブ88に一体に設けられたブレーキドラム84に一方向クラッチ94を介して設けたが、これに限らず、ドリブンスプロケット67を、ハブ88のブレーキドラム84とは異なる部分に一方向クラッチを介して設けても良い。
また、図6に示したように、一方向クラッチ94は、外輪94bの段部に係合片94cが掛かることで、一方向のみ動力を伝達する形式で説明したが、特に、段部は重要ではなく、段部のない外輪に対し係合片が摩擦係合する形式の一方向クラッチでも良い。
26A 増速機構
27 後輪(駆動輪)
28 動力伝達機構(第2の動力伝達機構)
29 ドラムブレーキ装置
64 ペダル
66 ドライブスプロケット
67 ドリブンスプロケット(歯車)
67a 歯部
68 チェーン
74 動力伝達機構(第1動力伝達機構)
75 後輪駆動装置(動力伝達装置)
84 ブレーキドラム
94 一方向クラッチ
94a 内輪
94b 外輪
94c 係合片
96 ベアリング
W1 ブレーキドラムの軸方向の幅
W2 係合片の軸方向の幅
Claims (5)
- 駆動輪(27)と、この駆動輪(27)にその一側方から動力を伝達する第1の動力伝達機構(74)と、前記駆動輪(27)の他側方に設けられてドラムブレーキ装置(29)を構成するブレーキドラム(84)と、前記駆動輪(27)にその他側方から動力を伝達するとともに歯車(67)及び一方向クラッチ(94)を備える第2の動力伝達機構(28)とから構成された鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置において、
前記歯車(67)は、前記ブレーキドラム(84)の外周部に前記一方向クラッチ(94)を介して連結され、歯車(67)から一方向クラッチ(94)及び前記ブレーキドラム(84)を介して前記駆動輪(27)に動力が伝達されることを特徴とする鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置。 - 前記第2の動力伝達機構(28)は、運転者の脚力による動力を伝達し、前記歯車(67)は、前記ブレーキドラム(84)の外周部にベアリング(96)を介して回転可能に支持され、前記一方向クラッチ(94)は、前記ブレーキドラム(84)の半径方向外側に設けられる内輪(94a)と、この内輪(94a)の半径方向外側に内輪(94a)を囲むように設けられる外輪(94b)と、これらの内輪(94a)、外輪(94b)間に配置されて内輪(94a)と外輪(94b)とに係合又は非係合の状態とされる複数の係合片(94c)とを備え、この係合片(94c)は、その軸方向の幅(W2)が前記ブレーキドラム(84)の軸方向の幅(W1)に対して短く設定され、前記ベアリング(96)と軸方向に並ぶように配置されるとともに、前記ベアリング(96)より前記歯車(67)の歯部(67a)近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置。
- 前記歯車(67)は、運転者によって漕がれるペダル(64)により回動されるドライブスプロケット(66)からチェーン(68)を介して動力伝達されるドリブンスプロケットであって、前記ドライブスプロケット(66)は、前記ペダル(64)から増速機構(26A)を介して動力伝達されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置。
- 前記ベアリング(96)と前記一方向クラッチ(94)とは、前記ブレーキドラム(84)の軸方向の幅(W1)内に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置。
- 前記ベアリング(96)と前記歯車(67)とは、車幅方向にオフセットして配置され、前記ベアリング(96)より車幅方向外側に前記歯車(67)が配置されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型ハイブリッド車両の動力伝達装置。
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